東方見雲録

東方見雲録

2024.01.25
XML
カテゴリ: 政経
将来世代に負担を押し付ける危険な宅地開発
大都市圏の分譲マンションや戸建て住宅の不動産価格の上昇で入手困難さが増す中、コロナ禍によるテレワークの進展もあり、手頃な価格帯で、かつ間取りの自由度が高まる広い住宅を郊外に求める動きも顕在化している。ここで筆者が問題視したいのは、甚大な浸水災害が多発する中で、水害リスクの高い低地の農地エリアで宅地化が進行しているという点である。郊外に広がる農地エリアは、都市計画法によって、原則として開発を抑制すべきとする区域(市街化調整区域)や宅地開発の規制がほぼないに等しい区域(非線引き区域)である場合が多い。大都市郊外に広がる市街化調整区域は、2000年の都市計画法改正によって、自治体の判断で新規の宅地開発を進めることができる規制緩和が可能となった。その結果、優先的に開発・整備すべき市街化区域よりも、市街化調整区域の農地エリアに開発需要がシフトした自治体が数多く見られるようになった。

一方、政府は多発する自然災害を背景に、20年、都市計画法などを一部改正し、市街化調整区域では、原則として、おおむね3メートル以上の浸水リスクが想定される区域は新規の宅地開発を抑制する方向にかじを切った。しかし、改正法の施行後も、少しでも人口を増やすために開発を進めたいと考え、災害リスクが非常に高いエリアに対する規制緩和政策を見直さない自治体もある。

農地はもともと浸水リスクが高い低地にあることが多いため、既成市街地に比べて格段に地価が安く、手ごろな価格帯の住宅供給が可能となる。市町村はとにかく人口を増やしたいし、事業者は住宅をたくさん売りたい。購入者は安くて広い住宅に住みたいと考える。しかし、こうしたニーズを優先させて、近視眼的に災害リスクが高い農地の宅地開発を許容し続けると、災害時や復旧・復興に対する公的コストを増やし、将来世代にまで多大な負担や対応を押しつけることにもなりかねない。
・・・・
「入手困難さ」を低減するには、住宅を一律に捉えるのではなく、一般庶民に手が届く住宅の「数」を増やすための政策に重きを置くことが重要となる。そのためには、例えば、分譲マンションの開発に対して容積率を緩和する際に、公共福祉や開発利益の還元といった観点から、中低所得層にも手が届く価格の住宅(アフォーダブル住宅)の供給という視点を新たに盛り込むことも必要だ。アフォーダブル住宅不足については諸外国でも大きな都市問題となっており、例えば米国では、行政だけでなくGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの大手企業がアフォーダブル住宅の供給に取り組むようになっている。

京都市で日本では初めて導入される予定の「空き家税(正式名称:非居住住宅利活用促進税)」のように、活用されない住宅の流通・活用を促進するための新たな取り組みも始まろうとしている。いずれにしろ、人口減少が進み、災害も多発化する日本においては、居住地の立地や数のバランスを、都市圏全体としてどうコントロールするかという観点が必要不可欠であり、高度経済成長期から続いてきた住宅政策や都市計画の在り方を根本的に見直すべき時期にきているのは間違いない。

引用サイト:nippon 野澤 千絵   こちら


引用サイト:ニフティ不動産   こちら





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.01.25 08:00:10
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: