東方見雲録

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2024.03.12
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カテゴリ: ランドスケープ



2024年1月 広葉樹の伐採に着手


 1944年3月7日に国の天然記念物に指定された岩美町唐川の「唐川のカキツバタ群落」が、日照不足やシカの食害などで絶滅の危機にある。指定80年を迎え、町は美しい景観を取り戻そうと、湿原を囲む木の伐採など対策に乗り出した。有識者らと連携して数年かけて土壌整備を行い、群落の再生を目指す。

開花が急減
 カキツバタは岩美町の「町の花」。唐川には標高400メートルの谷間に約1・3ヘクタール(カキツバタ群落はうち0・6ヘクタール)の湿原が広がり、県のレッドデータに載っているサギソウやトキソウなども含めて約100種類の湿原植物が自生する。

 しかし、鳥取大農学部の日置佳之特任教授(66)によると、2023年に開花したカキツバタは約150本で、21年の約1800本から大幅に減少。開花が減った要因として、日照不足▽シカによる食害▽地中の水が深く下がり、花に行き届かない水不足-の三つが考えられるという。

 このため町は1月下旬に湿原を囲む広葉樹の伐採を開始。新年度当初予算にカキツバタ再生事業費約800万円を盛り込み、3月下旬からシカの食害対策で高さ180センチ、総延長350メートルの防護柵を設置する。

2度の危機
 唐川のカキツバタ群落はこれまでも消滅の危機があった。国の天然記念物に指定された1940年代は戦時中で、食料増産のために田んぼにする計画が浮上。それに反対した民芸運動家の吉田璋也や植物学者らが田んぼで得られたはずの収穫利益に相当する金を工面して群落を守った。



 日置特任教授は、郷土の先達らの行動によって守られてきた聖域を「平和な時代に残せないのは大いに問題」と指摘する。

当時の姿に
 日置特任教授によると、減少要因の一つでも解決できなければ再生は難航する。長期的な問題となる水回りの整備は、町が25年度に工事に取りかかり、26年度以降の完成を予定する。

 1939年発行の「鳥取県史蹟名勝天然記念物調査報告」によると、「毎年六月となれば黒紫濃色のカキツバタ咲き乱れ、生育の最もよいところは一米四方に百本を算し(抜粋)」とある。現存する群落に当てはめると約60万本となる。

 町教委は「昔は川の上流にも花が咲いていた。私たちの知る群落への再生はもちろんだが、国に指定された当時の景観までもっていきたい」と力を込める。

(後藤昇一郎)
引用サイト:日本海新聞   こちら

ちょっと寄り道:大山鏡ケ成のノハナショウブ

引用サイト: こちら

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Last updated  2024.03.12 13:31:59
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