東方見雲録

東方見雲録

2024.08.21
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カテゴリ: 教育




 同センターは「市制50周年記念事業」として計画され、1983年にオープンした。ただ、開館までの道のりは単純ではなかった。

険しい道のり
 93年に刊行された同センター開館10周年記念誌などによると、77年に開かれた記念事業打ち合わせ会では、各団体から出された「博物館」「美術館」「児童会館(児童文化センター)」の3案で意見が拮抗(きっこう)した。児童会館建設を推進していた米子青年会議所(JC)は早くから独自の建設プランや運営プランを示し、各方面に熱心に働きかけた。本紙も当時、市民アンケートを実施。「児童会館」が17・5%を占めトップとなった。

 こうした市民の声を受け記念事業は児童会館に決定したが、市議会では消極論や不要論も飛び交い、建設場所も二転三転した。危機感を覚えたJCのメンバーらは、グループや個人に声をかけ、建設推進市民協議会を発足。79年には「ミニ児童センター」と題したイベントも行い盛り上げを図った。地道な努力が実り、80年に同公園を建設地とする基本構想が決定された。

 突き動かしたのは、「子どもたちの施設を作りたい」という大人たちの思いだった。当時、非行の低年齢化や、子どもの孤立が社会問題化していた。中心メンバーの一人、永瀬正治氏(元米子商議所会頭)は78年の本紙「潮流」で「子どもたちが心おきなく集まり、なりふりかまわず遊び、話し、考え、創作することができる場所、それが今大変必要になっている」と提起。「子ども志向を世に広言した児童会館建設は、米子の大人の良識ある選択の表現。子どもを裏切ってはならない」と説いた。

運営サポート
 「プラネタリウムから出てきた子どもたち一人一人の目の輝き、高揚感は今でも忘れられない。努力が実った」。当時、建設運動に携わった卜蔵(ぼくら)久子さん(81)=米子市西福原7丁目=は、約2千人が訪れた開館日を鮮明に覚えている。

 運動に携わったメンバーには「箱ができて終わりではない」との思いもあった。市民サイドで運営を考えようと、83年にボランティア団体「チルコムA」を設立。開館後は子どもたちと一緒に竹とんぼやこいのぼりを一緒に作ったり、1泊のキャンプ、サイクリングにも出かけたりした。



実体験や学び
 施設の人気は開館から41年がたった今も変わらない。筆者は8月上中旬、数日に分けて同センターを訪れ、館内で時間を過ごした。

 夏休みは平日も子どもがセンターに集まる。ホワイエでは工作やけん玉に興じる子ども、約3万7千冊の蔵書を誇る図書室で絵本を楽しむ親子も。ここで知り合った児童らが、楽しそうに屋外を駆け回っていた。夏休みの子どもにとって貴重な居場所となっている。

 週末の別の日は、多くの家族連れでにぎわっていた。米子市旗ケ崎6丁目の税理士、播間光広さん(51)、仁さん(10)親子は2代続けての同センターの“常連”。光広さんは小学生の頃、学校から帰ると毎日通った。「職員さんにけん玉も卓球も教えてもらい、学校の先生以外との大人の関わりをここで学んだ」。今は仁さんにとってもお気に入りの場。「いろんな遊びが一つの施設でできる。一日いても退屈しない」と笑顔を見せた。

 筆者は約35年ぶりにプラネタリウムにも足を踏み入れた。夏休み中は平日4回、土日祝日5回投影される。2020年度に改修。いすや投影機が新調された。直径12メートルのドームに85の座席がある。ゆったりと座れるいすで“夜空”を見上げる。「夏の大三角」などの解説を聞きながら、胸をときめかせた少年時代をふと思い出した。

 ホワイエにはミクロの世界を体感できる電子顕微鏡が設置されている。電子顕微鏡の開発・研究に貢献した市ゆかりの研究者2人を顕彰する「電子顕微鏡のまち・米子市」推進協力会が18年に市に寄贈。予約すれば市民が気軽に利用できる。

 この日は福生東小2年の福留茉奈さん(8)が、鳥取大医学部解剖学講座のプロジェクト研究員、稲賀すみれ医学博士の指導を受け、トマトの葉についた体長約0・1ミリの微生物を観察。体についた1ミクロン以下の突起を発見し「とげの方向で動く向きが分かった。小さな世界を見て面白かった」と興味津々の様子だった。

 子どもたちに実体験としての遊ぶ楽しさや、科学の不思議を伝えている同センター。子どもを取り巻く環境が複雑化している現代だからこそ、施設の存在意義はますます問われる。

 村田美佐子館長(56)は「ボランティアや地域の指導者の皆さん、応援してくださる方々のおかげで41年続いた施設。先人の思いを大切にしながら、子どもたちの多彩な表情が感じられる施設を引き続き目指していきたい」と話した。
引用サイト:日本海新聞   こちら

260416 追記
こちら
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Last updated  2026.04.16 06:45:24
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