東方見雲録

東方見雲録

2024.11.12
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カテゴリ: 文化






書店減少の背景には複雑な事情が絡み合う。人口減少、インターネット書店の台頭といった社会変化に加え、影響が大きいのは電子書籍の普及だ。雑誌や紙の書籍市場は縮小傾向にあるが、漫画を中心とした電子出版市場は拡大しており、書店で本を買う必要性が薄れている。

また、主力商品だった雑誌の苦境も続く。出版市場がピークを迎えた平成8年、雑誌の売り上げは書籍の1・4倍に上ったが、28年に逆転。ネットに無償の情報があふれたことで雑誌の価値が変化し、休・廃刊も相次いでいる。

本の流通を巡る課題もある。業界独特のルールである委託販売制度だ。書店は出版社との間にある取次会社から本を取り寄せるのが一般的で、売れ残った本を取次会社を通じて出版社に返品でき、在庫リスクを負わない一方、利益率は2割ほどと低い。

どんな本をどれだけ書店に納品するかといった采配は、書店の過去の実績によって取次会社側が行う。人気作家の新刊や話題の本は、多くを売れない町の小さな書店は入手しづらい。書店にとって在庫を抱えることなく、本が入ってきては飛ぶように売れた時代に適合した「薄利多売」の仕組みは、今となっては利益を上げにくい構造となっている。
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「委託販売制度」によって、書店への配本を担う取次会社。個人経営の小さな書店にとって取引はハードルが高く、書店の新規参入を阻む要因とも指摘されている。

そんな中、取次会社を介さない書店もある。平成27年開店の「誠光社」(京都市上京区)は、直接出版社から本を仕入れて手数料を抑え、選び抜いた本を売る新しいあり方を提案している。

地図や時刻表、レシピ本、イベント情報誌など生活に必要な実用書が、ネットの普及で商品価値を失った。経営者の堀部篤史さんは「今や書籍は嗜好(しこう)品と化している。高価でも付加価値があって買ってもらえる書籍を並べる努力が書店にも必要」と語る。

書店の棚ごとに、個人や企業が棚主として契約し、それぞれが好きな本を並べて販売する「シェア型書店」という業態も生まれた。書籍販売の新規参入のハードルが低い上、特定の分野に絞った本を並べ、販売することで業界のPRにつなげたい企業も注目の業態だ。



構造改革の英断が必要 直木賞作家で書店経営者の今村翔吾さん

メジャーなものからニッチなものまで、多種多様な本が一堂に会する書店が、人々に与える影響力は計り知れない。教育や文化のほか、世界が注目する日本のコンテンツ力の強さにも影響を与えているのは事実だ。

だが、そんな書店の苦戦を見るにつけ、作家として「いい小説を書いて業界を盛り上げます」としか言えないジレンマをずっと感じてきた。そこで読者に本を届ける最前線に立とうと、3年前に閉店が危ぶまれた大阪府箕面市の書店を買い取りリニューアルオープンさせた。昨年は佐賀市のJR佐賀駅構内に書店を復活。今春には東京・神保町にシェア型書店を立ち上げた。

周囲を見渡しても、従来型の書店にシェア型書店、移動式書店、スポーツジムやカフェとコラボした書店など、現在日本の書店文化はかつてないほど多様化している。ここまで多様性に富んだ書店を持つ国は、世界各国を見渡してもなかなかないだろう。「書店を残したい」というコアなファンが多いのも一つ。

引用サイト: こちら





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Last updated  2024.11.12 08:21:16
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