東方見雲録

東方見雲録

2025.06.14
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カテゴリ: 政経
政府は、トランプ米政権の関税措置を巡る日米交渉で、高性能なレアアース(希土類)磁石のサプライチェーン(供給網)強化に向けた協力を提起する方向で調整に入った。磁石市場は中国が高いシェア(市場占有率)を誇る中、中国に依存しない供給網の構築を日米で推進し、山場を迎える両国の関税交渉を前進させる狙いがある。

 複数の政府関係者が明らかにした。レアアース磁石は、電気自動車(EV)のモーターやミサイルなどの装備品製造に不可欠だ。代表的なネオジム磁石の生産は中国が8割超のシェアを握る一方、日本も高い製造技術を持ち、15%のシェアがある。

 米国は、中国によるレアアース輸出規制への対応に苦慮している。日本メーカーが高い競争力を持つ分野で米国の製造業に貢献する姿勢を示すことにより、日本の基幹産業である自動車に課された25%の追加関税などについて、米側の譲歩を引き出したい考えだ。

 一方、赤沢経済再生相は13日、米ワシントンで行われる6回目の閣僚級協議に向けて出発した。赤沢氏の訪米は4週連続で、15~17日にカナダで開かれる先進7か国首脳会議(G7サミット)に合わせて調整されている日米首脳会談に向けて、詰めの協議を行う。

 赤沢氏は今回の協議で、供給網強化を含む経済安全保障分野の協力策や日本企業による対米投資の促進などを訴え、協議の進展を図る構えだ。赤沢氏は出発前、羽田空港で「しっかり国益を守る交渉をやっていきたい」と記者団に語った。

引用サイト:読売新聞  こちら

関連サイト:中国のレアアース輸出制限で米自動車業界がピンチ→まさかの「学生ビザ」との交換条件で6ヶ月限定解除へ
レアアースの威力が再び証明された。米中が交渉の場でレアアースについて妥協点を見出したのだ。中国がレアアースの輸出制限を解除する代わりに、米国は中国人留学生のビザ取り消し措置を撤回することで合意した。レアアースを電気自動車の重要素材として使用する世界の自動車メーカーは一息ついたが、不確実性は依然として残るとの見方が強い。
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中国は4月4日から、レアアース7種とそれを使用した磁石の輸出に政府許可を義務付けた。米国以外の国も規制対象だったが、主なターゲットは米国だった。米自動車業界を代表する米国自動車イノベーション協会(AAI)は先月9日、「レアアースの供給不足で米国内の工場操業を停止する可能性がある」という内容の非公開書簡をトランプ政権に送っていた。



レアアースは電気自動車の駆動モーター、バッテリー、センサーなど幅広く使用されている。中でもジスプロシウム(Dy)は電気自動車の駆動モーター部品である永久磁石の核心素材だ。永久磁石はネオジム(Nd)20〜30%、ジスプロシウム10%、鉄60〜70%、ホウ素1%などで構成される。ジスプロシウムは高温で磁性が弱まる軽レアアースのネオジムの特性を補完し、永久磁石の磁性を強化する役割を果たす。ベトナムなどが代替生産するネオジムと異なり、ジスプロシウムは中国でのみ生産されている。

韓国資源情報サービス(KOMIS)によると、ジスプロシウムの国際価格は中国の規制直前の4月3日に1kg当たり230.5ドル(約3万3,073円)だったが、10日には277.5ドル(約3万9,817円)と20.4%上昇したという。韓国材料研究院(KIMS)のキム・テフン博士は「駆動モーターの高性能化、電気自動車の軽量化にはジスプロシウムが不可欠で、電気自動車業界もその含有量を増やしている」とし、「国内外の研究者がジスプロシウムを使用しない永久磁石の開発に取り組んでいるが、まだ目立った成果がないため、中国の輸出制限措置は非常に脅威となっている」と述べた。
引用サイト: こちら

関連サイト:日米関税交渉、自動車で続く対立 6回目訪米は「突っ込んだ議論」   こちら
【ワシントン=八十島綾平】赤沢亮正経済財政・再生相は米首都ワシントンで現地時間13日午後、日米関税交渉で6回目の閣僚協議に臨んだ。協議後の記者会見で「非常に突っ込んだやりとりをして合意の可能性を探った」と述べた。自動車関税を中心に対立が続き、「日米間で精力的に調整を進める」と説明した。

赤沢氏はラトニック米商務長官と約70分間、その後にベッセント財務長官と約45分間、個別に協議した。これまで求めてきた一連の関税措置の「撤廃」について、改めて要求したかは明言を避けた。

日米の閣僚協議は4月16日に始まり、この2カ月間で計6回実施した。近くカナダで開催する主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて開く首脳会談での一定の合意をめざし、4週連続で赤沢氏が米国を訪れて話し合いを続けた。

赤沢氏は首脳会談での合意の可能性に関しては「予断をもつことは控える」と言及するにとどめた。ベッセント氏が6月11日に米連邦議会で示唆した相互関税の猶予期間の一部延長は、13日の協議では説明がなかったという。

日米間での大きな争点の一つがトランプ政権による自動車関税だ。トランプ氏は12日に関税引き上げをほのめかした。赤沢氏は「そのような事態を避けるために米国側と精力的に協議しており、米側も真摯に対応している」と語った。

米国に入る自動車と部品には現在25%の追加関税が課されている。日本は繰り返し撤廃を求め、赤沢氏は5月に自動車など品目別の関税の見直しがなければ、交渉で「合意できない」との認識を示していた。

自動車は日本経済の屋台骨となっている。米国への輸出は2024年に137万台に上った。部品と合わせた輸出額は計7.2兆円で対米輸出全体の34.1%を占める。トランプ関税によるダメージは大きい。



米国にも譲りにくい事情がある。トランプ氏が4月29日の就任100日演説で触れたのは「米国に自動車労働者を取り戻す」ことだった。6月12日には「関税を上げれば上げるほど、米国で工場を建設する可能性が高まる」と主張した。製造業の復活をめざし、国内に生産を取り戻す手段との考えが透ける。

「米国に生産を戻したい産業の筆頭が自動車ではないか」と第一生命経済研究所の前田和馬氏も分析する。輸入比率が高い、賃金水準が高い、雇用吸収力が大きいという3点がそろっているためだ。「米国は自動車関税の見直しには厳しい態度をとるだろう」と指摘する。

政治的にも重要な意味をもつ。米ゼネラル・モーターズ(GM)など「ビッグ3」の生産拠点が集中する米北東部の「ラストベルト(さびれた工業地帯)」はかつて民主党の地盤だったが、24年の大統領選でトランプ氏に流れたとみられる。全米自動車労組(UAW)幹部は自由貿易を、多数の雇用流出を招いた「災厄だ」と表現する。

米英両政府が5月に結んだ合意では、英国からの輸入車に年10万台まで10%の低関税枠を設けた。英国は高級車が多く、米メーカーと競合しにくい。英国は対米貿易赤字のため、米国も妥協しやすかった面がある。

137万台を輸出する日本では「年10万台の低関税枠でのめるわけがない」(経済官庁幹部)といった声が聞かれる。巨額の対米貿易黒字を計上する日本に対して米国も妥協しにくい。自動車関税で日本に譲歩すれば、有力メーカーをかかえる韓国や欧州連合(EU)との協議で押し込まれるリスクも指摘される。








言葉の森:ジスプロシウム

ジスプロシウムの供給は、主に中国に依存している。中国は世界の希土類元素生産の約70%を占め、ジスプロシウムにおいても大きな割合を占める。中国の市場支配力は、その他の産出国であるオーストラリア、アメリカ、インド、マレーシアに比べて圧倒的である。オーストラリアは、ジスプロシウムの生産量で中国に次ぐ位置にあり、アメリカやインド、マレーシアも生産を拡大しているが、市場シェアは中国に遠く及ばない。

ジスプロシウムの課題
ジスプロシウムは供給の不安定さに直面している。中国の政治的な動向や貿易政策が世界市場に大きな影響を与える可能性がある。また、採掘と精製プロセスが環境に与える影響は深刻であり、持続可能な方法の開発が急務とされている。加えて、ジスプロシウムの希少性により、需要の増加に伴う価格の高騰が懸念されている。

ジスプロシウムは、そのユニークな特性から多くの先進技術にとって不可欠な存在である。しかし、その希少性と供給の不安定さは、技術開発と環境保全のバランスを取る上で重要な課題であり、今後の対応が求められている。
引用サイト:ジスプロシウムの特質、用途、主要産出国   こちら

追記
関連サイト:米国に経済安保協力を提案の日本 「脱中国」の貢献狙うも… こちら
日本は中国が規制したレアアースを使用するネオジム磁石で約15%の世界シェアを持ち、「関連技術は日本と中国だけしか持ってていない」(政府関係者)。日本企業が持つレアアースの加工技術やその使用量を減らすノウハウを米国側にアピールしている。

 ただ、日本がレアアースそのものを生産しているわけではなく、米国の「脱中国依存」への貢献度は限定的だ。日本は、同様に米国が脱中国を急ぐ半導体供給網の構築でも協力する考えだが、半導体製造装置や素材を除けば、業界での日本の優位性は乏しい。米国技術由来の半導体購入を拡大しても、その多くは台湾など米国外で製造されているため、関税交渉で米国が重視する貿易赤字の削減にほとんどつながらないのが実態だ。





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Last updated  2025.06.18 06:22:46
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