東方見雲録

東方見雲録

2026.02.20
XML
カテゴリ: 宙(そら)学入門
宇宙で唯一の生命を育んだ「海」、あたりまえのようにそこにある「山」、そしてミステリアスな「川」……。地球の表情に刻まれた無数の凹凸「地形」。どうしてこのような地形になったのかを追っていくと、地球の歴史が見えてきます。
・・・・
地球カレンダーでは「11月6日」にあたる約7億年前、地球に大事件が起こりました。地表のほとんどすべてが氷に覆われてしまう「スノーボールアース」という現象が勃発したのです。
・・・・
ニューヨークのマンハッタンの公園には巨大な花崗岩があり、どこから来たのかわからないことから「迷子石(まいごいし)」と呼ばれていますが、いまでは氷河期に北半球を広大に覆っていたローレンタイド氷床の氷によって運ばれてきた氷堆石であることがわかっています。

ナミビアの砂漠では、この氷堆石からなる地層が見つかったのです。なぜそんな赤道近くの場所に氷河が発達していたのでしょうか?


ナミビア・カオコベルド地方の風景。氷河堆積物が多数発見されてている photo by gettyimages
© 現代ビジネス



ニューヨーク、セントラル・パークの迷子石 photo by gettyimages


当時の地球は表層のほとんどすべてが氷河で覆われていたのだろうとする「スノーボールアース仮説」が提唱されました。現在では、このスノーボールアース事件が過去に少なくとも3回あったと考えられています。約22億年前、それから約7億年前、そして約6億年前です。ただ、最初のスノーボールアースについては、ほとんどのことはわかっていません。

対して「11月6日」に起きた2度目のほうは、その後の地球史に与えた影響がある程度はわかっています。そこで本書では2度目についてとりあげることにします。

このとき、赤道付近でも気温はマイナス50℃まで下がり、地表のみならず、海も水深1000mまで凍りついた状態が数百万年から数千万年続いたともいわれています。当時の地球をもし外から眺めることができれば、まさに雪球のように見えたことでしょう。
・・・・
その原因はいまだによくわかっていませんが、もっとも有力そうなのは、二酸化炭素の減少によって、温室効果が小さくなったという考え方です。
・・・・
いったん地球の表面を氷が覆ってしまうと、太陽の光を反射してしまうアルベドという作用が大きくなるために、太陽の熱は地球を暖めることができなくなるのです。スノーボールアース事件は、海と大気と陸による環境調節のバランスがいったん崩れると、地球も「ハビタブル」な惑星ではなくなってしまうことを物語っています。
・・・・
当時の生物たちにとって、この事件はいうまでもなく大打撃でした。海が1000mの深さまで凍りついてしまっては、生息できる場所さえなくなります。

ところが、この極限状況下でもかろうじて命をつないだ生物はいました。海底にはわずかに、液体の水が残っていたのです。その大きな理由のひとつに、水という物質の特異な性質があります。水は4℃のときに密度が最大、つまりもっとも重くなります。

また、海水は凍る直前で密度が最大になります。そのため氷よりも下に、海水が液体の状態で存在するのです。もし海を満たしていたものが水ではなかったら、地球生物は全滅していた可能性もあります。

どうやら確実なのは、この2度目のスノーボールアース事件の直後に、酸素濃度が急上昇していることです。海底の熱水系から供給され、生物に消費されずに沈殿していた有機物、とくに生命活動の制御に重要なリンが、解凍とともに海の表層に上昇し、そのためシアノバクテリアが大繁殖して光合成活動が盛んになったからと考えられています。

生物を陸上にみちびいたオゾン層
酸素濃度の急上昇は、やがて地球進化における大きなイベントにつながります。3つの酸素原子が結びつき、オゾン(O₃)が生まれたのです。地球カレンダー上では「11月上旬」、先カンブリア時代も終わりに近づいた頃でした。
・・・・
オゾンはやがて成層圏の中に集まって、オゾン層を形成します。地上から50kmほどの高さのところです。


・・・・
酸素はこのように、わたしたちが呼吸に使うほかにも、きわめて重要な役割を果たしています。地球は「水の惑星」といわれますが、太陽系で唯一、酸素が豊富にある惑星となったことも、わたしたちの生存には欠かせない条件でした(もっとも、その酸素も海から生まれたものですが)。

ところで、わたしたちはふだん、酸素の存在などあまりにも当たり前すぎて、それがなくなってしまう心配などしたこともありませんが、酸素は地表の有機物や鉱物を酸化することで、どんどんなくなってしまう気体です。もし補充がなければ、たちまちわたしたちは死んでしまいます。はたして、酸素が足りなくなることはないのでしょうか。

「大気の王者」窒素
結論をいえば、その心配はないようです。酸素はシアノバクテリアの出現以来、増えつづけていましたが、ある時期からは安定し、大気中に占める割合は現在、約21%です。

それでも、植物が放出する酸素と、動物の呼吸や酸化で消費される酸素は釣りあっていると考えられています。ただし、酸素の供給は植物などによる光合成によってのみなされていることは忘れてはならないでしょう。

では現在、大気中にもっとも多く存在している元素は何でしょうか。それは窒素です。割合でいえば圧倒的で、78%にもなります。しかし、窒素がいつからこのように「大気の王者」となったのかは、実はよくわかっていません。
・・・・
窒素の供給元は火山ガスなどの脱ガスで、地球の歴史を通じて見ると徐々に追加されてはいますが、地球の形成に伴ってマグマオーシャンをつくったガスとして放出されたときから、その量はあまり変化してはいないというのが多くの人の考えです。

反応性が乏しいために、酸素や二酸化炭素のような出入りが少なかったからだろうと考えられています。現在の大気中での割合の高さは、酸素は増えつづけていたけれどもやがて安定するようになり、二酸化炭素は大きく量を減らしていった結果、相対的に窒素がもっとも多く残ったからではないか、というのが大方の見方です。
引用サイト: こちら





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2026.02.20 07:00:08
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: