東方見雲録

東方見雲録

2026.03.19
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カテゴリ: 宙(そら)学入門



従来の研究では、局所銀河群を中心に質量が球状に均一に広がっていると仮定したモデルが用いられてきた。しかし、この球対称モデルでは局所銀河群の質量が大きいほど計算上の銀河速度が実測値よりも大きくなってしまい、観測と一致しないという矛盾が生じていた。

ウェンペらのシミュレーションが導き出した解決策は、局所銀河群を取り囲む物質が球状ではなく、半径10メガパーセク(約3,260万光年)以上にわたって広がる平たい板状の構造をなしているという結論だ。この平面の上下には物質がほとんど存在しない「ローカル・ボイド」と「ミニボイド」という巨大な空洞が広がっており、局所銀河群から離れるほど平面内の物質密度は高くなる。

球状の質量分布と異なり、板状の場合は平面上の遠方に位置する質量が外向きの引力として働く。これにより、局所銀河群の大きな質量があっても周囲の銀河が引き込まれる速度が抑えられる。つまり「重いはずなのに周囲の銀河はそれほど引き寄せられていない」という50年来の矛盾が、この板状構造によって解消されるのだ。
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この質量の平板構造は、宇宙で実際に観測されている近傍銀河の分布とも見事に一致しているという。「ローカルシート」や「巨人の評議会」と呼ばれる近傍銀河の配列が、シミュレーションで推定された質量分布の形状とほぼ重なるのだ。

これは目に見える銀河の分布が、目に見えないダークマター(暗黒物質)を含む全質量の広がりをも正確に反映していることを意味する。まさに宇宙の秩序が浮かび上がってきた瞬間だ。「銀河の運動だけに基づいて、局所銀河群の内部やすぐ外側にある銀河の位置と、それに対応した質量分布を導き出せたことに大きな意義があります」と、フローニンゲン大学の天文学者であるアミナ・ヘルミは語る。

特筆すべきは、宇宙の標準モデルであるΛ-CDM(ラムダ・コールド・ダーク・マター)モデルと局所的な観測データが、本質的に矛盾していないことを示した点だ。板状構造という条件さえ満たされれば、これまで解けない謎とされてきた局所的なハッブル流(宇宙膨張に起因する後退速度)の小ささが、既存の宇宙論の枠組みで完全に説明できることになる。

高緯度の矮小銀河が鍵を握る


新たな高緯度の矮小銀河が発見されれば、今回推定された宇宙構造の決定的な証拠になると、研究者たちは考えている。宇宙の“板”の全貌はまだ見えていないが、天の川銀河の周囲に広がる巨大な平面構造が宇宙を理解する鍵となる日は、そう遠くないかもしれない。
引用サイト: こちら





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Last updated  2026.03.19 07:00:07
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