東方見雲録

東方見雲録

2026.04.16
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カテゴリ: 政経
立党70年を迎えた自民党大会が4月12日に開催された。高市首相は、深みのある紺のスーツを纏い、総裁として壇上に立った。そして、自身が置かれている権力基盤の優位性も弱点も知り尽くしているかのように、精緻に計算された言葉を紡いだのだった。

「わが党は先の衆院選で316議席という過去最多の議席数を賜ることができた。国民から『重要な政策転換を何としてもやり抜いていけ』と、力強く背中を押していただけた」

「今年いくつの公約を実現できたのか、来年いくつの公約を実現できるのか。それが党勢の拡大、来春の統一地方選、再来年の参院選での自民党への信頼につながる」

「国でも地方でも選挙に勝ち続ける、強い自民党をつくることが目標だ。私が先頭に立つ」

 高市首相は演説で、立て続けにこう力を込めた。自身の最大の権力基盤である衆院選での地滑り的大勝と、高支持率という武器が、歯切れ良い物言いを裏打ちしている。

 公約を守るということは、有権者への約束であり、異を唱えようがない。党内に対し、政策実現への注力を求めるのには、うってつけの表現だ。そして、これら政策実現を今後の選挙への勝利と結びつけることは、間接的ながら、高市体制への献身を当然とすることと同義となる。

 政策遂行への非協力姿勢を遠回しに牽制し、有権者への信頼を大義として、党内の引き締めを図ったということだ。

 衆院解散さえ幹事長への相談なく実行したと伝えられるほどに、高市首相の政治スタイルは「根回し不足」と評される。しかし、その結果が、空前の圧勝である。

 仮に「相談がない」と不満を持つ議員たちが、「誰が代わりに選挙を勝てるのか」という問いに直面したとしても、答えはなかなか用意できない。高市氏が、選挙勝利という実績と大衆人気を、党内批判を封じる強力なツールとして意識しているのは間違いない。



 演説の中で最も踏み込んだであろう言葉は、憲法改正についての部分だ。「立党から70年。時は来た」「改正の発議について『目途が立った』と言える状態で、来年の党大会を迎えたい」と具体的な期限を示したためである。

「来年の党大会」とは来春である。その年の秋には、悲願とする長期政権樹立のためには避けて通れない次期総裁選がある。改憲発議について目途が立った状態で党大会を迎えるということは、総裁再選に向けて環境を整備するという意味合いを持つ。

 また、ライバル陣営や批判勢力といえども、70年来の党是の実現には協力せざるを得ない。総裁選の準備のほか、党内を一方向に動かし、グリップする手段でもある。演説の言葉と来秋の総裁選再選戦略を、鮮やかに一致させている。総裁選への助走は静かに、しかし着実に始まっているのだ。

「目途が立った」という曖昧な表現ににじむ難しさ
 もっとも、改憲に関し、現実の政治状況の厳しさは否めない。参院は与党が過半数割れしている。憲法改正の発議に必要な3分の2の勢力は事実上、現時点では確保されていないと見るのが適切だ。

 再来年の参院選で改憲勢力が伸長すれば可能性は開けるが、あくまで期待値に過ぎない。「目途が立った」という言葉の曖昧さに、こうした現実の困難さが読み取れる。

 なお、衆院憲法審査会長には、改憲をライフワークとしてきたベテラン議員で、高市氏の後ろ盾となってきた古屋圭司前選対委員長が就いている。

 このほか、皇族数確保の問題で「皇統に属する男系男子を皇族とする案を第一優先として、国会における議論を主導する」と宣言した。男系男子路線を明確に最優先とすることは、保守層への強いメッセージである。

 支持基盤である党内保守派を見据えた、保守票の固め直しの意義を持つ。「126代にわたって男系で皇統が継承されてきた歴史的事実こそが、天皇の権威と正統性の源だ」とも語った。

 別の角度から注目すべきは、一定の時間を割き、地方創生を訴えたことだ。本来、高市氏は総裁選でも、都市部で党員票が多く、政策でも都市型であり、もっと言えば、新自由主義的色彩を帯びたイメージがあった。地方創生は、石破前首相が看板とした政策であり、高市氏とは、いささか距離を感じさせる分野だ。党内ハト派の系譜を引く岸田元首相も、デジタル田園都市国家構想に尽力してきた。

「47都道府県のどこに住んでいても安全に生活でき、必要な医療・福祉を受けられ、質の高い教育を受けられ、働く場所がある。これが高市内閣の目指す日本列島の姿だ」



 このほか、日本列島にくまなく経済投資することの重要性にも触れた。これは、次期総裁選で地方組織の支持を得る狙いが垣間見える。党大会の聴衆である全国の党員・地方議員への直接的な呼びかけであった。

 政権内では「孤高」のイメージがあったとしても、日本全国への党員に対しては、ともに知恵を出し合おうと呼びかける。全国100万人の党員との直接的コミュニケーションで突破口を模索していると言えそうだ。
引用サイト: こちら

自民党大会で陸上自衛隊員が国歌歌唱 防衛省幹部「軽率な判断だ」 こちら



自民党大会、世良公則氏「燃えろサナエ」替え歌に相次ぐ失望 こちら


「危機感ないの?」「呆れすぎて」高市首相に厳しい声...美容対談は34分、パキスタン首相との電話対談は15分 こちら

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Last updated  2026.04.16 08:00:06
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