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May 31, 2026
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カテゴリ: 教授の追悼記
精神分析学者の岸田秀さんが亡くなりました。享年92。

 岸田秀さんと言えば、やっぱり『ものぐさ精神分析』ですかねえ。精神分析系の本の中では抜群に面白かった記憶があります。

 色々うろ覚えですけど、岸田さんは、たしか母親との関係が良くなかったんじゃなかったかな? それで精神を病みかけたのだけれども、フロイトの精神分析の本を読んだら、全部自分に当てはまっていて、それで自分の精神状態を理解することができ、欝からも立ち直ることができた。だから、岸田さんは自らの身をもってフロイト精神分析の正しさを実感したんですよね。

 それで、岸田さんは以後精神分析を深く研究するようになったんだけど、その内、人間に対して精神分析するだけじゃなく、日本という国を、あたかも個人であるように見立てて精神分析するという、ある意味、画期的なことをやり始めた。で、それをやって見たら、戦後日本の在り様が、ものすごくよく分かってしまった。

 とまあ、そんな感じで、フロイト派の精神分析手法で国家を分析するという面白いことをやり始めたんだけれども、その辺りで英文学者の由良君美に見出されて『ユリイカ』に書くようになって、一気にメジャーになったと。

 でまたちょうどその頃の日本は、ニュー・アカデミズムが起こりかけていた頃だったので、岸田さんはたちまち時代の寵児となり、ニューアカ・ブームを牽引するようになった。

 それで、その頃、大学生だったワタクシも、岸田秀の名を知るようになり、彼の本を何冊も読み、大いに刺激を受けた次第。ニュー・アカの中でも、岸田さんの本は素人にも読み易かったからね。

 特に岸田さんの「唯幻論」は面白かった。人間は本能が壊れているから、どう生きればいいかが本能的には分からず、その都度その都度悩まざるを得ない。そこで人間は誰しも何らかの信念(要するに幻)を頼りにしなくては生きていけなくなった、という仮説を岸田さんは立てるわけなんだけど、それを読んでなるほどなあ、と思わされたものです。栗本慎一郎の『パンツをはいたサル』の原型みたいなものですわな。

 で、すっかり岸田ファンになった私は、彼の本を面白がって何冊も読んだのですけど、どの本の中だったか、岸田さんが翻訳の仕事が好きで、翻訳だったら、いくらでも永遠に訳していられる、というようなことを書いていて、へえ~、そんな人、いるんだ・・・と驚いた記憶がある。



 岸田さんとは全然別の学問に進んだとはいえ、私の若き日に知的刺激を与えてくれたことは紛れもない事実。岸田秀さんのご冥福をお祈りいたします。合掌。





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Last updated  May 31, 2026 08:04:54 PM
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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