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灰色の細かい雨脚の今夜・・・ こんな夜は濃くて柔らかい香りをまといたい気分である。私は”香り”に弱い。自分で言うのもなんだが、香りには大変危うい。 昔の音楽を聞き返すとその当時の出来事が思い出されてしまうものだが香りによっても、私はその”過去の時”を楽しむのである。 日常の意識がその時だけ逆回転して心がどこかに迷い込んでしまう。妙な虚無感と共に。。。 好みの香りがどこからともなく、ふんわり漂ってくると、つい感覚が鋭敏になってしまう。意識下になかった人間が、何故か特別な存在に思われてくるのだ。 ブルガリ・プール・オム ・・・ それは、シャボンせっけんのように軽く、しかし野生的でセクシーな一面も持つ微妙な香り。 くっきりとしたアーモンドのような優しい目を持つ男がいつも付けていた。 時に心地よさをもたらして人を酔わせる危険な香り。 この香りが乾いた空気の隙間に浮遊すると、いつも孤独な感傷だけが心にまとわりついてくる。
2001年07月07日
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