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今年のブルゴーニュの異変の一つに何時も秒刹のユドロ・バイエが普通に買える事です。
不景気の為かと思ったら、このブログの読者の方からRWG25号で酷評されたのが原因だと聞いて、私も本を買って読んでみました。
RWG(リアルワインガイド)は今や最も売れているワイン雑誌です。
確かに25号に書かれているユドロ・バイエの評価は酷評でした。「スカスカ」と言う言葉が2度使われています。
ユドロ・バイエと言えば元々RWGが高評価を与えて売れて来たドメーヌです。
正直言って私は個人的には高くは評価していないドメーヌです。どちらかと言うと若飲み系で、ストレートな味の表現で、やや薄旨系で日本人には受けるタイプではあります。シャンボールの御三家(G・ルーミエ、ミュニエ・ヴォギュエ)と並ぶか上を行くと言う様なワインではない事だけは事実です。
そんなRWGが育てて来たと言っても良い、ユドロ・バイエの07をパスグラはスカスカで、村名はACブル並にスカスカと書いたのですから、信者は誰も買いません。
他の雑誌で育てたワインなら、RWGで酷評しても此処まで影響は無かったと思います。自分で育てたワインを自分で落としてしまったのですから、その影響は大きいです。
自分の筆の影響の多さに気が付いたのか、次号の26号にはユドロ・バイエの再評価が載りました。
下記がその26号の文章です。
「昨年12月の樽試飲(一部はビン詰め済みのものを試飲)で得た印象は本誌25号でレポートしたように、ユドロ・バイエとしてはイマイチだった。しかし本当にそうなのかを再度確認したいという気持ちも含めて今回のビン詰め済み完成ワインの試飲に臨んだ。結論から言うと、多くのワインが前回の樽試飲時より中身が充実してきており、07年のワインとしてはなかなか満足のいく仕上がりとなっている。
また、ワインのスタイルは近年のユドロ・バイエらしいエレガントで優しい力を持った美しいものが継承されている。それが確認できたことでかなりホッとした。
ただし、05、06年と比べるとやはりヴィンテージの困難さには抗えず、他の多くの優良生産者と同様に05、06年に比肩する品質とまではいっていない。もっともそれがヴィンテージであり、ワインなのだ。 小ぢんまりとしながらも柔らかいタンニン、バランスの良い酸、頃合いの良い果実味という07年のキャラクターが、ユドロ・バイエにもしっかりと反映されている。」
ACブルの評価も
「前回のビン詰め済み試飲では86/86だったが、これも少し上方修正。例年の芳香の強さはないが、とても品の良い香りがする。赤黒果実に大地香もチラリとある。味わいや酒質は昨年12月の試飲時より肥えてきており、なかなか満足できる仕上がりだ。
甘苦酸のバランスも長く、これも素直に美味しい。
ただ、後半~アフターにかけてスキが若干あるところはご愛嬌ということで。
今飲んで86+ ポテンシャル86+ 飲み頃予想 今~2017」
と全て上方修正されています。
元々ワインはヴィンテージによる差は絶対あります。全てのヴィンテージが作り手にとっては初体験です。一回しか仕込む事は出来ないのです。だから、狙った通りのワインが必ず出来るわけでは無いし、多少の出来不出来はあるものです。
RWGも、もう少し言葉を選んで評価をするべきと思いますね。
作っている人は人生かかっているし、一年間の努力の賜物で、真剣勝負で作っています。
私の様な影響力のない人が酷評するのと意味が違うと思うのです。
特にスカスカは本当に酷いワイン以外には私でも使いません。劣化酒でないと普通は使わないでしょう。
まだ出来たての瓶詰め前のワインを飲んで評価するのは本当に難しいものです。ある程度のワインの力の差ぐらいしか分からないものです。瓶詰め後にドンドン変って来るのがワインの面白さでもあるのです。
再評価を出すぐらいなら、もっと丁寧な評価を最初にするべきではないでしょうか?
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