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秋の夜空は広く月は音を放って輝く虫たちは月の音をその細い触角に受け共鳴して鳴きかわす私は虫の声でようやく月の音を推測する野暮な耳の遠い観客である
Sep 29, 2010
眠りのなかでふやけてしまった脳みそを魚たちがついばみに来る白くふやけてしまったもう記憶も水びたしであやふやなそんな脳みそをついばんでゆく時折ひらめく思いでも魚にはなんの意味もない空の青 風の音 緑の輝き魚にはそれがなにを意味するのかなにひとつわかりはしないすっかり腹を満たした魚たちは空になった頭骨から闇を抜けて海へと帰るわたしはもうめざめることもない
Sep 27, 2010
いまは暗く、重い言葉しか心に浮かばない鮮やかな色彩や芳しい香り天より降る音はみなどこへ行ってしまったのか私は自らを追放したのか
Sep 24, 2010
魂は廃園にあり荒涼として寂寞たる園かつての麗しい姿の名残がいっそう悲しさと空しさを見せて私の心をすさませる心がすさめば姿も言葉もすさみ輝く緑と色とりどりの花を愛でた庭師は今では灰色の園を憎み自らを呪って歩む黒い無残な影に成り果てた慈雨は降らぬかぬくもりの陽は射さぬのか乾いた風に灰色の砂埃節くれだった枯れ木風の音ここにあるのはそれだけ
Sep 22, 2010
閉ざしたのか閉ざされたのか見るもの聞くものすべてが味気なくなにも心に響かないまるで深い深い枯れ井戸の中に抛り込んでいるようなむなしさ痛みだけが鮮烈な感情を恐怖を赤い色彩とともに自分にもたらしくれるわが身を打ち、切り、突く痛みは脳髄まで達して開いてくれる外側へ通じるわずかな隙間を
Sep 20, 2010
こみ上げる感情を胸の奥に抑えつける思わず苦しみの吐息が唇の間から漏れる目に映っているのは灰色の窓けれど本当は夢なぞもう見ないと思っていたそれをいきなり昨夜夢魔の悪戯なのかかりそめの喜びと目覚めた時の悲しみを小さな悪魔はこっそり見ていたのかゆっくりと鉛の串が右側頭部の上から心臓へ向かってわが身を貫いてゆく憂鬱さがじんわりと染みて感情をくるみこんで溶かしてしまう灰色の窓の先は遠い空遠い地上そこから出て行くのならば軽いものは空へ重いものは地へいまはまだ体が動かない毛布に包まって壁に背を押し付けたまま指一つすら動かせられない酸のような感情が心の内壁をすすいで傷を深くするこのままなにもかも終わってしまえばよいのに
Sep 19, 2010
静かな時間自分の呼吸の音すら聞こえないそれでも聴覚は澄み渡り畳に落ちた針の音すら聞き逃さぬほどに冴えている閉じたまぶたの裏には闇思い出や幻を投じることなくただ静かに闇ひんやりとした畳に横たえた体のしだいに輪郭がぶれてきて魂魄が分かれていきそうな感覚まだまだまだ静かではない心身の感覚すらなくなり時は流れているが全てが動きを止めた世界の中にあるようなその静けさを求めてその求める心すら忘れて静かに開放された閉鎖あらゆるものに通じてその果てに到達した静けさ夢の帳は開く
Sep 18, 2010
昼間の空は青すぎてまるで目隠しをされているよう空のその上にまだ知られざる宇宙がありその風景は夜の闇の中に星明かりとしてかいま見られる都会の空はあまりにも暗くそして寂しい地上が明るければなおのこと宇宙の闇が思われていつか地上の明かりが全て吸い込まれ消えてしまうのではないかと不安に思うもしやあの星ぼしはかつて地上から取り上げられた明かりなのかも知れない
Sep 17, 2010
指先にはりを刺してぽちりと出た血の一滴をプレパラートに載せてカバーガラスを置いて顕微鏡で覗いてみた紅い海をちいさなちいさな魚が泳いでいた
Sep 12, 2010
アスファルトの上にの上り立つ陽炎の揺らめきの中に身の透けた小魚たちが戯れている透明な体はレンズのように陽炎でゆがんだ日差しを屈折させて思わぬ方向へ焦点を結ばせるちらちらと光の点が黒く溶けかかったアスファルトの上で渦を巻く陽炎の影の中にきらきらと輝いてなにか幻の炎のよう陽炎が消えると魚たちは日差しの中で白熱して消えてしまう骨はきっとマグネシウムなのだ
Sep 11, 2010
夜更け開け放った窓から闇がするすると部屋の中に流れ込み寝台の傍らに渦を巻きよどみ始めるすると流れに乗って黒く優雅な泳ぎをする魚がよどみの中に入って背びれをゆらゆらと翻しながら回遊する静かに寝返りを打って魚の泳ぐ気配とひれの動きをぼんやりと見つめていたがやがて自分も闇の中に沈み軟らかな泥の褥の上で夢を見始める魚は今私の上を泳いでいる朝になれば闇は引き私は寝台の上に打ち上げられ遭難者のごとくぼうっとしてしばらくはなにも思い出せぬのだ
Sep 10, 2010
青空は澄み渡ってしかし暑さは苛烈を極め魚の抜け殻が白い道の上のあちこちに転がっている青い鱗はそのままにやがて皮からはがれて熱風に舞ってきらきらと輝きながら青い空の奥へと帰っていくあの鱗が小さな魚に転生するのだと誰かが教えてくれた
Sep 9, 2010
未だ夏は終わらずさながら世界がひまわりのはて無き迷路をさまようごとし日よ陰ろ! 北風よ吹け!長すぎるカーニバルは身も魂も疲弊させる迷路で息絶える前にひまわりを全て枯らしてしまえ!
Sep 1, 2010
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