眠れない夜のおつまみ

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2006/04/16
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こんな所に通うようになってしまったのは、あいつのせいだ。
そう思いながら繁華街の雑居ビルを掻き分けるように目的地に向かっていた。
古びたビルの5階にそれはある。

今から3ヶ月前のこと。
MR(医薬品情報担当者のこと。以前はプロパーと呼ばれていた製薬会社の営業マンのこと。)の黒田から電話がかかってきたのだ。
黒田とは同級生で、直接仕事とは関係ない。
もちろん、その電話もプライベートでの事であり私にも何のやましい気持ちも無かった。
黒田は私を飲みに誘い、偶然にもその日は休日で待機も無かった為その誘いにすぐに乗ったのだった。
今でこそかなりの規制がされるようになったが、かつてプロパーと呼ばれていた頃の黒田はやり手で私達医師の間でもその接待の仕方は有名だった。

久しぶりに会うと、よく黒田は
「これは内緒なんだが、」
と言ってはSMクラブにはまった医師を小馬鹿にして笑いながら私に話した。
私は黒田が実は医者になりたくてもなれなかったのを知っている数少ない一人で、いつも偉そうにしている医者をSMクラブに連れて行き、どっぷりと奴隷にはまらせるのは黒田にとって唯一の楽しみのようなものであることも何となく知っていたのだ。
いつも黒田は言っていた。
「お堅い職業のお偉い先生方はストレスが溜まってるのさ。抜いてやらなきゃかわいそうだろう?」
そんな言葉を頭に浮かべながら待ち合わせの店には私のほうのが先に着いたようだ。黒田の姿は見当たらない。
暫くすると
「よう。元気か?」
とひょうひょうと黒田が現れた。
「久しぶりだな。」

「ああ。」
私の頭に菱沼教授がドMで女王様通いをしている、と言う噂が過ぎった。その切欠の接待をしたのも黒田だった。
「相変わらず、お前ストレス溜めてるな。」
「そうか?」
「ああ。そういう顔してるぞ。仕事大変なのか?今日は大丈夫なんだろ。お前の所、珍しくきっちり主治医制じゃないからな。」

私の患者が急変しても滅多な事では私に連絡は来ない。今日の当番のDrに連絡が行く仕組みになっているのだ。
「今日は飲もう。」
と、黒田は私に酒を勧めた。
いつしか私達は酒を飲みながらお互いの近況から、仕事の話などをし、ほろ酔いのいい気分になっていた。
「だいぶ解れてきたみたいだな。たまには息抜きしなきゃな。」
と黒田に言われてやはり私にはストレスがかなり溜まっているのだろうと改めて感じた。
「黒田、お前もいつも下げたくも無い頭をペコペコ下げてストレス溜まるだろう。どうやって抜いているんだ?私はどうもそう言う事が下手なのだろうか。ストレス解消になるものが思い当たらないんだ。」
「う~ん・・・。そうだな。最近俺がよく行くのは・・・。そうだ!今夜一緒に行ってみるか?」
「いや・・・。どこなんだよ。私はSMクラブとかそういうのは駄目だよ。」
「そんなんじゃないさ。ま、1回行ってみなよ。」
そう言われるがままに連れ出され、古びたビルの前に着いた。
「ここの5階だ。」
ネオンで煌く繁華街の中に何の看板もないビルが不気味に思えた。
「何も看板もないが。大丈夫なのか?」
「看板が無いからいいんじゃないか。いかがわしい看板が掲げてあったら入りづらいだろう?」
「やっぱり、そういうところなのか?私はそんな所にはいかないぞ。」
「お前が思っているほどのいかがわしい所じゃないさ。」
と、黒田は私の手を取ってそのビルに半ば強制的に連れて行かされた。
エレベーターに乗ると奇妙な事に5階までの直通になっており黒田と一言も交わせずにすぐに着いた。
エレベーターを降りると黒い鉄の扉が私達を今まで待っていたかのように迎えていた。
その扉は自動ドアで思ったよりも軽がると開いたことに私は一瞬驚いた。
そして私は黒田に引きずられる様に中に入っていった。





                            <つづく>



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*****ちょっと一言*****


暫く短か目のお話を書きます。
へたれ中休みです。(^^;A





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Last updated  2006/04/17 03:11:50 AM
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