眠れない夜のおつまみ

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2006/04/18
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彼女が去っていくのを見届けると、急に空しくなって私も出ることにした。
しかし、その帰り道彼女の事がずっと気がかりで頭から離れなかった。
家に着くと丁度妻は風呂上りでバスルームからドライヤーの音が聞こえてきた。
暫くするとリビングに現れ
「あら、案外早いお帰りだったんですね。」
と意外そうに妻は言った。
時計を見ると9時である。
確かに早い。
しかし、あの空間にいた時は時間の感覚が麻痺していたようでとても長い時間いた気がしたのだが・・・。



それから数日が経ったが、時々ふとあのクラブの事が頭に浮かんだ。
男とは何と馬鹿な生き物なのだろう。
ほんの数十分しかいなかったのに、何かを期待できそうなあの雰囲気をもう一度味わいたいと思っている。
それに、あの女性ともう少し話がしたかった、と思う気持ちもあった。
何故そんなに気になるのだろう。分からないが、人間そんなものなのかもしれないと曖昧な答えを自分に出して落ち着かせようとしていた。
私はやはりもう一度あのクラブに行きたいと思うようになり、黒田抜きで一人で行く事を決心したのは1ヶ月経ってからのことだった。
あの看板の無い古びたビルの前に立った時、「看板が無いからいいんじゃないか。いかがわしい看板が掲げてあったら入りづらいだろう?」と言った黒田の言葉を思い出した。
確かにそうかもしれない。
誰かに見られやしないかとビクビクする必要もない。
前回には気付かなかったのだが、このビルの中には1階から4階までは他の店舗も入っているようだった。
しかも、エレベーターは5階直通ではなかった。

それにしては、おかしい。
どこか違和感を感じつつも私はエレベータに乗って5階のボタンを押した。
おかしいと思うことはもう一つある。
なぜ誰一人すれ違う事が無いのか、という事である。
エレベーターは5階に着き、扉が開いた。

その扉の前に立つとシュッと軽い音を立てて滑らかに開いた。
今度は驚かない。
フロントは私の名前を覚えていた。
同じように小部屋に案内され今日のマスケルを選んだ。
そして15階にエレベーターで向かった。
「では、いってらっしゃいませ。」
とフロントの男はマニュアル通りに深々と頭を下げた。
シュルシュルとマントの擦れる音をさせながら扉を開いて中に入った。
一瞬眩しさに目が眩んだが、すぐに慣れて私はゆっくりと周りを見渡した。
私は無意識に「彼女」を探していた。
キョロキョロしていると背後から声をかけられた。
が、その声は探していた相手のものでは無いと瞬時に分かりがっかりした。
振り向くと赤い羽根で目の周りを装飾されたマスケルが
「誰かお探しですか?」
と首を少しかしげているのが目に映った。
「あ、いえ。」
その女はクスリと笑って
「あなた、キョロキョロしてらっしゃるから。」
と言った。
「はぁ。お恥ずかしい。私は実は今日ここに来るのが2回目なんですよ。」
「そうでしたの。」
「まだ、よく分からないので。」
女は今度は逆に首をかしげて
「じゃ、今夜は私の相手をしてくださらないかしら。」
と少し甘ったるい声を出して言った。
女はマントの中から細くて白い手を出して私を呼んだ。
「ここでは欲望のままに。」
と女は私の手をマントから引きずり出すと自分のマントに誘い込んで胸に当てた。
私はその感触で女が全裸である事が分かりぎょっとした。
慌てて手を戻そうとすると、白いマスケルの奥の女の目は楽しむように笑っているように見えた。
「あちらに行きましょう。」
と私は女の言うなりに連れて行かれた。
このホールの奥にはカーテンで仕切られている照明の暗いフロアがもう一つあり、いくつも置かれたソファーには何組かのカップルが重なり合っていたのだ。
所々で漏れるあえぎ声と、重なり合ったマントの隙間から覗く肌はチラリズムを刺激して次第に興奮へと変わって行く。
私はソファーに座らされた。
女は私のズボンのベルトを緩めチャックを下げて出てきた私のものを何の躊躇いも無く口に含んだ。
そして女は私の上に乗り手をまた自分の胸へと連れて行く。
「今夜は楽しみましょう」
そう言って女は私の右手を下半身へと誘導した。
誘導された場所を探る度に女はため息のような微かな声をあげ、湧き出る泉のように潤って行った。
私の愚かなただの欲望は抑えられずに、その日私もいくつかのマスケルが重なるように、その女と重なった。
女は全てが終わると何も言わずに呆気なく去って行ってしまった。
私はソファーに一人残され夢と現実の狭間で暫く揺らいでいた。





                            <つづく>



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*****ちょっと一言*****

エロな展開になりました。(笑)
かなり最初の展開とはかけ離れてきました。
あと、2、3回で終わらせる予定です。
どうなることやら・・・。





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Last updated  2006/04/19 03:13:23 AM
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