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2010年05月05日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: カテゴリ未分類


 その母の口癖がいつしかわたしにも乗り移り、死ぬまでに一度は行きたいと思うようになっていた。
 「母さんね、死ぬまでに一度は桜前線を追いかけたいの。その手始めに弘前の桜が見たいのよ」
 と、ゴールデンウィーク直前に半ば冗談交じりでわたしはつぶやいた。
 「え?そんなに行きたいのなら今からでも間に合うから行こうよ」
 ということになり、急遽長女と旅に出ることになった。
 ところが、本当に思いつきから始まったので、希望通りには切符も宿も取れなかった。
 それでも、初日に弘前までの夜行バスと帰途の北上からの新幹線だけは取れたのである。
 弘前から北上までの交通手段も決まらぬまま、ひとまず八戸と盛岡に宿を取った。(というより、そこしか取れなかったのであるが)


弘前駅前1

 午前八時少し前。
 青森県弘前駅前にバスは着いた。
 初めての町の駅前はまだ閑散としていた。
 同じように桜を見に来た人達がバスから吐き出され、ひとまず朝食を取ろうと、その辺りを歩き始めたが、ドトールくらいしか開いていなかった。
 わたし達も右に倣って、モーニングセットをコーヒーで流し込んで、いざ弘前城へと向かった。

そら

 天気は快晴である。

 そして、目指す弘前城の桜に遭遇したとき、あまりの美しさにわたしは言葉を失ったほどで
ある。

弘前桜3

弘前桜4

 「きれい。こんな桜初めてだわ」

 と長女がわたしを茶化した。
 「死んでも良いと言うより、長生きをして良かったよ」
 わたしは、心から来て良かったと思ったのだ。
 同時に、せめて生きているうちに、母を連れて来てあげれば良かったと、親不孝なわたしは今更ながら悔いたのである。











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最終更新日  2010年05月05日 19時36分41秒 コメント(1) | コメントを書く


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