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2011/05/01
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~



『ホルデイン国・王城』

玉座に座ったワドリーテは今日も憂鬱そうに頬杖をついて窓の外の空を眺めていた
この玉座で憂鬱そうに頬杖をついている美しい女性が現在のホルデイン王国を治めている女王ワドリーテ・ベルクシュタイン・ホルデインである

「あの日いらい…毎日うわの空ですね…」

「うむ…困ったものだ」

ワドリーテの姿を見て外務長のアルベルトと大臣のイグルーは顔を見合わせて大きなため息をついた
この2人が口にした「あの日」というのは今から数日前の話

元々若くして王位についたワドリーテには心を許せる歳の近い友は城内にはいなかったため
知り合いとなったアイナの存在はとても大きかった
しかし2日という短い間でアイナは元いた世界に戻ってしまった
それからワドリーテは今のような状態となっていた

「ここのところ平穏が続いてますが…戦でこのような状態では志気は保てません」

「そうだな…もしも敗戦が続く様な事になれば姫を信じてついて来ている者達を裏切る事にもなる」

アルベルトとイグルーがうなだれ、また大きなため息をついた
その時…部屋に近衛騎士団長のオライオンが飛び込んでくると

「クラウス山脈にエルソードが仕掛けてきました!」

オライオンはイグルー達にそう報告した

「ダメか…」



「姫…エルソードが仕掛けてきました迎撃の準備をいたします」

アルベルトはワドリーテの傍まで行ってそう告げた

「あ!…ゴメンなさい直ぐに準備を…」

ワドリーテはその言葉を聞いて我に返り慌てて玉座から立ち上りそう言い掛けた時…

「その様は何事ですか!今の姫様に兵1人として付いては来ませんぞ!」


あまりの状況にワドリーテはおろかイグルーやオライオンも硬直する

「姫が姫でいる事がどれほど辛き事かは我々も…そして国民全員が知っております…故に皆、姫に命を預けて戦場に赴くのです!…今の姫にその価値があると思えますか!」

アルベルトは呆然としているワドリーテにたたみ掛けるようにそう言い放った

「アルベルト!落ち着け!」

イグルーがアルベルトに駆け寄って肩に手を置いてそう言うと

「落ち着いておりますよ…ここの誰よりも…だからこそ言っているのです…姫様、今日は戦場には赴かないで下さい我々が指揮をしてこの一戦を収めてきます…姫様に対してこのよう振る舞いをとった責は戦の後にどのような罰も受けます。では失礼いたします」

アルベルトは国主である姫に強く言い放つとオライオンに指示を出しながら部屋を出て行った

「姫様…申し訳ないですな…しかし私もアルベルトと同意見です…今日のところは我々に任せてください。姫様にはいち早く立ち直ってもらい今まで以上の采配を振るって頂けると信じております」

イグルーはアルベルトの暴言を擁護しつつもきちんと釘を刺して部屋を後にした
ワドリーテは天井を見上げながら大きなため息をついて玉座に座り込んだ
それからどのくらいの時がたったのだろうか…

「私とした事が…情け無い…」

静まり返った部屋にそんなワドリーテのつぶやきが響く

「いいんじゃないのかな…その思いを明日につなげれば」

部屋の入り口でそんな声が聞こえワドリーテは玉座の脇に据えた剣に手をかける

「会いに来るのが遅くなってしまい無駄な思案を増やしてしまったようで申し訳なかった…」

声の主はそう言いながらワドリーテの座っている玉座の方に歩いてきた

「お、お前は…」

ワドリーテは声の主の姿を確認してそう声を漏らした

「この前はきちんとした挨拶もできず申し訳ありませんでした。改めまして私は焔と申します」

声の主はそう名乗って玉座の前で片膝をついて頭を下げた

「どういう事か…説明して頂けるのですか?」

ワドリーテは剣に手をかけたまま焔に聞き返した

「まずどこから話しましょう…ここメルファリアとクロノス大陸とではかなりの時間軸のズレがあります。私がクロノス大陸で生まれる前…当時クロノス大陸を掌握していたシドスいう元凶が討伐されました。その際の犠牲者の1人に私の父…焔がいました。母の名はアイナ…先日この地に迷い込んできた母はおそらくその頃のアイナでしょう。なぜにこの地に迷い込んできたのかは私にもわかりません…もしかしたら私の亡き母を思う気持ちがそうさせてしまったのかもしれません」

焔は淡々とワドリーテに語り続けた

「その後…一度は平和を手にしたクロノス大陸もまた争乱と混沌の時代に入ります。まぁ…この地のように人同士の戦争ではありませんが…熾烈な戦いの末に私の師でもあり母の良き友であった悲魔という方が我が父と同じように自身を犠牲にして争乱を収めました…その最後の言葉に従い私はこの地を創造したのです」

「え?」

ワドリーテは焔の言葉に対し思わずそんな声を漏らす

「まぁ…そうそう信じてはもらえない話だとは思いますけど…事実です。我が母であるアイナは天族と呼ばれる神族の血を引きし者…父である焔は同じ神族であり天族と相反した側に立つ魔族でした。母は過去において瀕死の重傷を負った際に父の血を受けて命を救われた経緯を持ちます…故に私と同じこのような翼を持っています」

焔はそう言ってワドリーテの前で白と黒の大きな翼を出して見せる
ワドリーテは声を出す事すらできずにただ呆然と焔の話を聞いた

「我が師…悲魔の遺言は堕ちていく魂を1つでも多く救い…そしてまた生まれ返させる事でした…故にこの地は魂が堕ち逝く最期の地である冥府の手前に創られています。受け皿となるべく創ったはずのこの地ではありましたが…残念な事にそれぞれの魂が持つ因縁を消し去る事はできなかったのです。因縁は幾千幾万の時を経て積もり始め…現在の混沌と争乱を生み出しました。本来この地を支えるはずのクリスタルは戦乱の糧としてあらぬ使い道をされ今ではやっとこの地を支えてるに過ぎない程度の力まで消耗してしまいました…この争乱がこのまま収まらないのならいずれ近い将来この地は崩壊してしまう…魂の争乱はもうそんなところまでこの地を追い込んでしまっているのです」

焔はそう言ったところで話を止めて窓辺から空を見上げる

「つまり…無益な戦いは止めろ…と、そう言いたいのですか?」

「結論で言えばそういう事です。しかし…そう言って収まるのであればもうとっくに収まっているでしょう…故に私は各国の王と語りどうするべきか考えようと思ってます。」

「なぜ…もっと早くにそうしなかったのですか?」

ワドリーテは恨めしそうな声で焔にそう問うた

「確かに…争乱がここまでになる前に手を打てなかった私の罪でもあります。しかし私は人の…人にしかない心に賭けてきました。いずれ気がつくのでは?いずれ正しき道に戻るのでは?と…それに争乱の渦中では何を言っても無駄ですしね…しかし今の王の方々ならば耳を貸してくれるのでは?そう思ったまでです」

「では…この話は他の王の方々にも?」

ワドリーテの問いかけに焔は首を横に振った

「いずれ近いうちには全員に話はしますが…ここまで話したのはあなたが初めてです…」

「私にどうしろと?」

「戦いを今すぐ止めろとか、誰かを立てて負けを認めろとかそういう事ではありません。考えて頂きたいのです…何がために戦い…そして何を目指すのか…私が聞きたいのはそれです。」

ワドリーテは焔の言ってる事が理解できず首を傾げる

「あなたが今、王として戦っている事には意味があると思います…まずはそれを聞きたいのです。全ての王からその答えを聞いた上で考えてみます。平和な世を作るにはどうしたら良いのかを…」

焔はワドリーテを見る事なく窓の外を眺めたままそう答えた

「わかりました…今一度考えてみます」

「恐縮です…その言葉、その心に感謝いたします。またいずれ答えを聞きに参ります」

焔は振り返りそう言うと深々とお辞儀をすると羽織を翻してその場から消えた

「痛い…」

ワドリーテは思わず自分の頬をつねりそう声を漏らす
そこにイグルーとオライオン…そしてアルベルトが戦場から帰還してきた

「姫様…エルソードの軍勢を返り討ちにしてきましたぞ」

イグルーはそう言ってニヤリと笑った

「アルベルトの采配は見事でした…病に伏した姫のためにどうかこの一戦を勝利してくれと兵に頭を下げて…上に立つ者としてそこまでの覚悟と決断は出来ません!故に先の暴言についてはなにとぞ…」

オライオンがイグルーの横に座りそう言い掛けるとその言葉を押しとめてアルベルトが一歩前に座る

「姫様…どういった事情があれ、家臣である者が国の主にあのような暴言を投げつける事はあってはならぬ事…いかような処分も受ける覚悟は出来ております」

そう言って携えた剣を外し目の前の床に置いた

「アルベルト…ありがとう…私はあなたの言葉で目が覚めました…私が誰であるか何をすべきなのか…忘れていました。これからも傍で私を支えて下さい」

ワドリーテはそう言うと玉座から降りアルベルトに頭を下げた

「ひ、姫様…滅相もございません…頭を!どうか…どうか…どうか頭をお上げください!」

アルベルトはそう叫んで両膝をつくと額が床につくほど頭を下げて後ずさりを始めた…その姿奇妙な生き物のようにも見え、ワドリーテが思わず吹き出して笑う
つられてイグルーとオライオンも笑い出す

「私は独りなのではなく…皆がついている事を…支えてくれているという事を忘れていたのかもしれません」

ワドリーテは玉座の横に立ち部屋の天井を見据えてそんな言葉をつぶやいた


そして…この日から半年の月日が流れた後…5つの国の王達が初めて顔を揃える事になる…



…『To Be Continued♪』





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Last updated  2011/05/02 03:18:41 AM
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