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燕雲台-The Legend of Empress-全48話 48
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo最終話「国土と結ばれた運命」聖宗(セイソウ)・耶律隆緒(ヤリツリュウショ)が祝勝の席で皇太妃・蕭胡輦(ショウコレン)から兵権を奪おうとした。散会後、皇太后・蕭燕燕(ショウエンエン)は大姐の面目を潰した息子に腹を立てたが、韓徳譲(カントクジョウ)は聖宗の立場に理解を示す。すでに各部族の兵権は集約され軍が再編されたが、国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)だけが返上されず、批判の的になっていた。しかしこうなってしまった以上は仕方がない。燕燕はこの件を自分に任せて欲しいと言った。(  ̄꒳ ̄)いや~朕に任せたからこのザマなんですけど~翌朝、胡輦が荷物をまとめていると燕燕がやって来た。「ちょうど良かったわ、別れの挨拶に行こうと思っていたの」胡輦は姉妹の情で上京に戻ったが、妹は権謀術数に長けた皇太后になっていたと嫌味を言う。「罨撒葛(エンサーグァ)も烏骨里(ウグリ)もあなたを警戒しろと言っていた それでも妹を信じようとした私にこんな仕打ちを? …罨撒葛は国阿輦を最後の切り札だと言い残したわ、決して渡してはならぬとね…」胡輦は国阿輦を連れて北方へ戻ると言った。しかしそこへ血相を変えた高六(コウリク)が駆けつける。実は燕燕に反発した撻覧阿鉢(タツランアハツ)が数人の兵と一緒に聖宗を襲い、投獄されていた。(  ̄꒳ ̄)え___「俺たちが君主になろう」って本気だったのね___聖宗は負傷したが命に別状はなかった。しかし侍医の話では聖宗がかわしていなければ命も危うかったという。胡輦はひざまついて撻覧阿鉢をかばい、命だけは助けて欲しいと嘆願した。「国阿輦を返上し、私が罰を受けます」これには燕燕も聖宗も開いた口が塞がらない。「大姐、命乞いをするなんてどうかしている!陛下の命も蕭家も顧みないというの?」「…全てを差し出しても救いたいのです」「何を申すか!」聖宗は憤慨し、皇太妃を追い返した。(  ̄꒳ ̄)だーじぇぇぇぇマジかぁぁぁ___撻覧阿鉢は激しい拷問の末、聖宗を襲った罪で斬首を言い渡された。すると胡輦が配下たちと天牢を襲撃、楚補(ソホ)を殺害して撻覧阿鉢の救出に成功する。その頃、韓徳譲も知らせを聞いて聖宗を見舞った。聖宗は軽症なので心配ないと母を安心させたが、韓徳譲は母にとって息子の怪我は重大事だと笑う。しかし思わぬ急報が舞い込んだ。皇太妃が牢を破り、撻覧阿鉢を連れ去って上京を脱出したという。「…大姐を失ってしまう」燕燕はこのままでは姉を守れなくなると胸が痛んだ。胡輦たちは一路、可敦(カトン)城へ戻った。「帰って来たわ、もう大丈夫よ」深手を負った撻覧阿鉢を自分の寝宮へ運び入れ軍医を呼んだ胡輦、すると高六が駆けつける。「蕭継先(ショウケイセン)が城に迫り、勅命を伝えました、″降伏すれば殺さぬ″と」「そう言って皆殺しにするのよ…国阿輦を招集し、応戦せよ!」(  ̄꒳ ̄)大姐暴走~胡輦は城楼から朝廷の大軍を見下ろした。そこには幼い頃から手塩にかけて後継者に育てた蕭継先の姿が見える。すると継先は手を振り下ろし、ついに兵を動かした。大軍は容赦なく攻め込み、高六は皇太妃を逃がして城楼で絶命してしまう。(  ̄꒳ ̄)まさか___ラスボスが大姐___南朝とは何だったのか?胡輦は福慧(フクケイ)と南宮へ戻った。そこで撻覧阿鉢を連れて避難することにしたが、朝廷軍に包囲されてしまう。「太后の命により皇太妃を連れ戻す!」「…俺が全て悪いんだ、俺だけ行く」「ダメよ!決して離れないわ」すると撻覧阿鉢は胡輦を守るため反撃に出た。しかし多勢に無勢、結局、その場で刺し殺されてしまう。(  ̄꒳ ̄)ぁぁぁ____若い燕ががががが___胡輦は上京に連れ戻された。するとその夜、燕燕がやって来る。「大姐…」「…私は臣下です、姐だとは思わないでください」燕燕は昔に戻ろうと言ったが、胡輦は戻りたくても燕燕はもはや昔の妹ではないという。「私にはもう妹妹などいない、あなたを愛し、何事も譲った…これがその報いなの? 罨撒葛も烏骨里もあなたのせいで死んだ…そして撻覧阿鉢まで奪うなんて…」「謀反を起こしたのよ?私の咎だと?」「己の過ちにまだ気づかない?」(  ̄꒳ ̄)気づかないわ___「家族の情を捨て、天下のことしか頭にない、それで心が休まる?」(  ̄꒳ ̄)ってか姉さんたちが男のことしか頭にないからじゃ___胡輦に責められた燕燕は困惑した。皇太妃を断罪する奏状が山積みになる中、何とか大姐を救おうと必死で闘っている。すると胡輦は燕燕に国阿輦の兵符を突き返した。「奪えばいい!これが欲しかったのでしょう?!」「まさか…私にとってこの兵符が大姐より大切だと思っているの?」「私に会いに来たのは兵符のため、自分でも分かっているはずよ 今のあなたはすでに私の妹ではない…私のために悩まなくて結構!」コケコッコ〜🐔「私にはもう大姐しかいない…何があっても三姉妹は一心同体だと言ったでしょう? 私がいる限り誰にも大姐を傷つけさせない」「私を傷つけているのはあなたよ、いっそ殺してちょうだい!これ以上、顔も見たくない」(O_O)え___だぁぁじぇぇぇぇ___どうしちゃったの___韓徳譲は政務から戻らない燕燕を心配して様子を見に来た。すると燕燕が疲れ切って居眠りしている。机にはたくさんの奏状があった。徳譲は燕燕に自分の上着を掛けて奏状を確認していると、ふと燕燕が目を覚ます。「皆が大姐を殺せと言うの…」「天下の声に応え、我々は何らかの決断を下さねばならぬ」「…命を下す、皇太妃・蕭胡輦は独立を企て、謀反の大罪を犯した しかし過去の功績を鑑みて死罪は免じ、身柄を懐(カイ)州に留めて幽閉、永久に解放せぬこと」統和27年、皇太后・蕭燕燕は聖宗に政の実権を渡し、摂政の座を退いた。そんなある日、病にむしばまれていた燕燕がついに倒れてしまう。「大姐…大姐……」「燕燕?」韓徳譲がうなされる燕燕に声をかけると、ようやく燕燕が目を覚ました。寝所には知らせを聞いた聖宗と皇后・蕭菩薩哥(ショウボサツカ)、耶律観音女(ヤリツカンノンジョ)、耶律隆祐(ヤリツリュウユウ)が揃っている。「私は大丈夫、誰もがいつかこの日を迎える、恐れはしない…ただ…」燕燕は徳譲にひとつだけ気がかりがあると訴えた。(  ̄꒳ ̄)そう言えば別腹の皇子がもう1人…ってまさかぁぁぁ___あ、只没と出家?違うかその頃、幽閉された胡輦は雪の舞う中、剣の稽古に没頭していた。すると懐かしい旧友が現れる。「何年ぶりかしら?…韓大人が急に来るなんて、太后に何かあったのね? ふっ、己の死期を悟り、隆緒では私を抑えきれぬからあなたを寄越したの?そうでしょう?」「燕燕は遼を揺るがすことを望まぬ、私も同じだ」「ふふふ、まさかそこまで私を脅威に感じているなんてね」胡輦と韓徳譲は幼なじみだった。ふと思い出す徳譲への淡い初恋、あれからずい分と遠くに来てしまったようだ。「燕燕が羨ましくなる、愛した人に誠実に尽くされて、老いるまで共に歩んだ そんな幸せは滅多にない…特に私には…」徳譲はそんな胡輦の無念の思いを全て自分が受け止めると言った。すると胡輦は初めて自分の本心を赤裸々に告白する。「燕燕が後宮に入る前、父に訴えたの、燕燕のため私が代わりに嫁ぐと… 妹の幸せを願ったからよ、でも思い返してみるとそんな理由じゃなかった」胡輦は自分にも燕燕に負けないくらい野心があったと言った。人前ではおくびにも出さず品行方正に振る舞いながら、自分自身でさえその存在を認めていなかったという。しかし長公主を母に持ち、后族の宰相の娘、皇子に嫁ぐと定められ、国母としての振る舞いを自分に強いて来た。「ふっ、この変化と結末を誰が予想したかしら?」権力とは恐ろしい。まるで全ての者をのみ込み、逃れられない渦のようだ。↓ちょっと何言ってるか分からないですぅ___胡輦はもし罨撒葛が先に黒山に到着して自分が権力を握っていたら、烏骨里は死ななかったと言った。しかし徳譲は罨撒葛が皇帝になったら漢制改革が進まず、遼の民政と軍政は全く違うものになり、″澶淵(センエン)の盟″もなし得なかったと断言する。「遼の行く末は分からないわ、この世は変幻無常だから…私たちのようにね 燕燕より先に出会い、年齢も近い私ではなく、あなたは燕燕を愛した」「…我々は共に考えを隠し、人に動かされ、大局を前に用心し過ぎるきらいがある しかし燕燕は己が求めるものも、最も大事なことも一貫して明確だ」胡輦は父から感情で動くなと言われて納得できなかったことを思い出した。心任せに動く燕燕とは違い自分は大局を見てきたつもりだったが、なぜ父の評価は正反対なのかと。「やはり見抜いていたのね… 生涯、慎重に過ごした私はたった一度、己の心に従い、引き返せなくなった でも生涯、我を通した燕燕は自由に生きる権力を得たわ …気心の知れたあなたが私を見届けてくれるなら、円満な解決ね?」すると徳譲は大きなため息をついた。「胡輦、考えすぎだ… 燕燕は君に伝えたかっただけだ、今生、君と姉妹でいられてとても幸せだったと…」(  ̄꒳ ̄)ここってもしやポンポンの家?アーボーつながり?考えすぎ?燕燕と韓徳譲は幽州に立ち寄り、燕雲台に立った。( ๑≧ꇴ≦)<って燕燕、生きてたんかーい!「18歳のあの年、大姐は私を燕雲台から連れ戻した あの時から私の運命はこの国土と固く結ばれている 帝王とは孤独なもの、愛する人たちは次々と離れていったわ 今そばにいるのは徳譲、あなただけ」「君と南へ向かったあの年、目にしたのは貧困にあえぐ民の姿だった しかし今は平和な光景が広がっている…私たちは生涯、遼のために生きたのだ」すると徳譲は燕燕の手を取った。「君と共に末永い功績を残せた…この人生に悔いはない」↓(  ̄꒳ ̄)まあ2人にはないよね___…統和27年12月、蕭綽(ショウシャク)は捺鉢(ナバ)への道中、病により逝去した息子・隆緒が贈った尊号は″睿徳神略応運啓化承天(エイトクシンリャクオウウンケイカショウテン)皇太后″であるそして蕭綽の逝去の15ヶ月後、韓徳譲も病で世を去り、蕭綽が眠る乾陵の隣に埋葬された…完…そして今も燕雲台の板石の下には二人の髪の毛が挟まっている…ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノって オカルトかっwそんなわけで(ってどんなわけ?)だーじぇの恨み節で終わりました何だか思ってたんと違うw
2021.11.21
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第47話「太后の悲願」祝宴に現れた撻覧阿鉢(タツランアハツ)は無骨な男だった。皇太后・蕭燕燕(ショウエンエン)は不信感を募らせたが、皇太妃・蕭胡輦(ショウコレン)が寵愛している男では見逃すしかない。「ところで大姐…南方の国境で戦が絶えず、近々、軍を送るつもりで各地から兵馬を招集しているの 北方が落ち着いているなら大姐の兵馬を貸してもらえないかしら?」そこで胡輦は撻覧阿鉢に率いさせてはどうかと提案した。しかし燕燕は大事な一戦、自分が信じられるのは大姐だけだという。すると胡輦は各部族を従わせたばかりで、どちらにしても多くの兵馬を出すことはできないと暗に断った。祝宴は散会した。すると撻覧阿鉢は胡輦に南方行きは嫌だと訴える。胡輦は撻覧阿鉢が侮られないよう将軍に封じたが、敬われるためには軍功が必要になると説得した。「南方で功を立てて欲しい、そうすればあなた自身と私を守る力が得られるの」撻覧阿鉢は胡輦のためならと了承したが、明らかに燕燕に嫌われているようだとこぼした。しかし胡輦は嫌いなのではなく、知らないだけだという。実は胡輦も燕燕と会うのは久しぶりで、かつての仲良し姉妹ではないと吐露した。燕燕は大姐が一介の馬丁に兵を率いらせると言い出したことに失望していた。しかし韓徳譲(カントクジョウ)は胡輦が長年、寡婦だった上、罨撒葛(エンサーグァ)との婚姻も幸せではなかったと同情する。ようやく心から愛せる相手に出会えたのなら、少しくらいの厚遇は仕方がないだろう。あの暴れ馬のような撻覧阿鉢が胡輦のために様々な束縛に耐えているのも、胡輦を愛しているからだ。「こたびは長年のわだかまりを解きに来たのだろう?撻覧阿鉢ごときで目的を失うな」燕燕はともかく大姐に上京(ジョウケイ)へ戻るよう説得することにした。翌朝、燕燕は大姐の寝宮を訪ねた。胡輦の居所は昔と変わらず余計なものがなく、すっきりしている。すると燕燕は人払いし、昔のように大姐の寝台に腰掛け、足をぶらぶらさせた。「ふふ、いくつになったの?高貴な太后が子供みたいね」無邪気な燕燕の姿はかつての無鉄砲な幼い妹に見える。そこで燕燕は胡輦を隣に座らせた。父も二姐も亡くなり家族で残ったのは2人だけ、近くに住んで姉妹で助け合いたいという。「撻覧阿鉢と離れたくないんでしょう?ふふ… 大姐に愛する人ができたのを見て安心したし、嬉しく思ったわ かつて大姐は私たちのためにやむを得ず罨撒葛に嫁いだ」「…罨撒葛は私に優しかったわ」「大姐、私を恨んでいるのね」「何を言うの?私たちは家族よ?あなたは永遠に妹なの」胡輦は姉妹の情を思い出し、軍務を片付けたら上京へ戻ると約束した。 胡輦は撻覧阿鉢に上京へ一緒に行こうと誘った。すると撻覧阿鉢は皇太妃として上京へ行けと命令すればいいという。しかし胡輦は草原で自由気ままに生きて来た撻覧阿鉢にとって上京の城壁は高すぎると分かっていた。「あなたを動かせるのはあなたの心だけ」胡輦は撻覧阿鉢を解放することにした。上京に戻った燕燕は早速、朝議で国阿輦(コクアレン)の半数を呼んだと伝えた。韓徳譲も各部族の兵馬が揃い、あとは皇太后の命を待つのみだという。すると聖宗(セイソウ)・耶律隆緒(ヤリツリュウショ)が今回は親征すると表明した。「はお…近日、全軍を挙げて陛下と南方へ!」燕燕は出征前に病床にある大于越(ダイウエツ)・耶律休哥(ヤリツキュウカ)を見舞った。そこで南征の目的は瀛(エイ)州と莫(バク)州の奪還と、和議を促して天下を太平にすることだと伝える。休哥は南朝を討つことが目的ではないと知って安堵し、皇太后の深い狙いに感銘を受けた。胡輦が上京へ発つ日、撻覧阿鉢が馬を駆けてやって来た。「見送りに来てくれたの?」「そうじゃない、一緒に上京に行くよ」「無理しないで、草原の馬に上京は似合わないわ」「いや、俺は自分の心に従う、俺の心は君の元にあるんだ」遼軍は破竹の勢いで澶(セン)州城を目前にしていた。しかし軍営に思わぬ急報が届く。蕭達凛(ショウタツリン)が澶州の地形を偵察中、敵の弩(イシユミ)に射られて亡くなったという。あまりの衝撃に立ちくらみを起こす燕燕、すると達凛の死によって士気も下がり、澶州城を落とせないまま1ヶ月が経った。そんな中、今度は療養していた耶律休哥が亡くなったと知らせが届く。立て続けに親しい友を失った燕燕は人生のはかなさを知りながらも、やはり胸が傷んだ。そこで韓徳譲はそろそろ手を引いた方が良いと切り出す。燕燕は本来なら州と郡をいくつか得てから和睦の交渉を持ちかけるつもりだったが、南朝の新たな君主は予想外に知勇を備えていた。徳譲はようやく最近の猛攻が和議の主導権を得るためだったと気づく。「安心したよ、達凛の死で気落ちしているかと…」「君主に私情は禁物よ、大局を忘れてはならない」燕燕は自分の命があるうちに遼と南朝の対立を解決するため、徳譲と手を取り合い動き出した。燕燕は戸部侍郎・王継忠(オウケイチュウ)を呼んだ。王継忠は南朝の君主が親王だった時の配下だったが、傷を負って捕虜となり、遼に帰服している。皇太后に忠誠を誓って皇族との婚姻を賜り、数年経っていた。そこで燕燕はかつて両国の和議を願っていた王継忠を使者にしたいという。実は王継忠を生かして厚遇して来たのはこの日のためだった。…統和22年、25年間にわたる戦の末に遼と宋は澶(セン)州にて盟約を結んだ両国は兄弟国となり、白溝(ハクコウ)河を国境とする澶州は宋で″澶淵(センエン)″と呼ばれていたため、この盟約を″澶淵の盟″と呼んだこれにより両国の往来が始まり、120年にわたる平和の時代が幕を開けたのである…聖宗は母の南征の狙いが最初から講和と諸王たちの兵権を奪うことだったと知った。「忘れないで、力のある者だけが戦を終わらせ平和を得られると…それが真の勝者よ」「肝に銘じます」悲願を叶え、大姐との再会を待つだけとなった燕燕、そこで今後の朝政については聖宗の考えに任せると決めた。皇太后と聖宗が上京に戻った。すでに帰京していた胡輦は宮中でも撻覧阿鉢の自由にさせていたが、今夜の開皇(カイコウ)殿での祝宴には一緒に行こうという。実は皇太妃が馬丁だった男と宮中に住むことを批判する者が少なからずいた。胡輦は宴に同席させることで皇太后と聖宗が撻覧阿鉢を認めていると知らしめたいという。こうして和やかに始まった祝宴、しかし聖宗の発言で状況が一変した。「皇太妃、国阿輦の戦術は見事だったゆえ、将兵たちを各軍に分けて手本にしたいと思う 国境を守り続けた皇太妃にこれ以上、苦労はさせられぬ 北方の政務を降りて残りの兵も引き上げ、上京でゆっくりと…」驚いた燕燕は咄嗟に息子の言葉を遮り、これはあくまで孝心からのいたわりだと取り繕う。胡輦は事を荒立てまいとこらえたが、撻覧阿鉢が黙っていなかった。「蕭燕燕!胡輦は長年国境を守り、兵まで貸したのだぞ?そして大勢が死んだ 国阿輦の力を借りながら、褒美を与えるどころか兵を奪うとは…抜け目のないやつだ! 呼び戻したのは罠だったのか!」燕燕はカッとなって机を叩き、撻覧阿鉢を捕らえて鞭で打てと命じた。焦った胡輦は抵抗する撻覧阿鉢を引っ叩いて黙らせ、自ら罰を与えたいと申し出る。大臣たちも無礼な撻覧阿鉢に猛反発したが、燕燕は大姐に任せることにした。胡輦は手加減せず撻覧阿鉢に鞭を振り下ろした。撻覧阿鉢の背中には痛々しい傷が残り、寝宮に連れ帰った胡輦は目を潤ませながら手当てする。「私を恨んでいる?」「君は俺を救った、憎いのは燕燕だ」撻覧阿鉢は燕燕が姉妹の情に訴え胡輦を呼び戻したが、全て陰謀だったと憤る。すると胡輦もようやく燕燕の策だったと気づき、やはり北方へ戻ると決意した。一方、燕燕は何の相談もなく皇太妃の兵権を奪おうとした隆緒に怒り心頭だった。しかし聖宗は北方で天子より皇太妃が敬われていることを懸念し、何より皇太妃は馬丁に惑わされているという。「奴を甘やかし、宮中に住まわせているのですよ?朝廷では非難囂々です!」つづく(  ̄꒳ ̄)あ〜大姐、どうしちゃったの?あーぼーは連れて来ちゃダメだって〜
2021.11.20
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第46話「果たされた誓い」聖宗(セイソウ)・耶律隆緒(ヤリツリュウショ)も立后する年頃になった。隆緒は后族の血を引く蕭菩薩哥(ショウボサツカ)を見初め、蕭燕燕(ショウエンエン)も菩薩哥を娶ることを許す。報告を聞いた韓徳譲(カントクジョウ)は燕燕の息子と自分の姪の良縁を喜び、しみじみ時が経つのは早いと実感した。すると燕燕は自分たちも長い年月を無駄にしたと漏らす。「…私はこれ以上、待ちたくない」聖宗は菩薩哥を妃に迎え、皇后に封じると聖旨を出した。しかし韓徳譲を目の敵にする耶律虎古(ヤリツココ)は不満を募らせる。皇太后が蕭家の後継である蕭継先(ショウケイセン)の娘ではなく蕭隗因(ショウカイイン)の娘を選んだのは徳譲の妹の娘だからだろう。「太后の身内が皇后になるのではない、韓徳譲の姪が皇后になるのだ」そこで虎古は皇族たちを引き込み、朝議で突然、皇太后の隠居を上奏した。「太后は先帝の遺命で陛下を補佐して来ましたが、陛下はすでに成人されました 太后は朝堂から退き、陛下に実権をお渡しすべきです、我ら老臣が全力で陛下をもり立てます」太后はお退きください!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<我らが全力で陛下をもり立てます!燕燕は激怒し、年若い聖宗を傀儡にするつもりかと反発した。すると虎古はこれまでの鬱憤が爆発、皇太后が契丹人を蔑ろにして親戚や漢人を重用していると非難し、韓徳譲に皇族の私兵である斡魯朶(オルド)を与えたことを揶揄する。「なぜ韓徳譲を特別扱いするのです?…韓徳譲よ、もしやお前の後ろ盾が先祖を敬わぬ太后ゆえか?」「ふぁんすー!耶律虎古、口を慎め!」「お前こそ口を慎め!漢人の分際で契丹のことに口を出すな!」大于越(ダイウエツ)・耶律休哥(ヤリツキュウカ)は相父である韓徳譲を侮辱しないようたしなめた。しかし磨魯古(マロコ)が父に加勢、思わぬ暴言を吐いてしまう。「太后には徳がなく国の災いとなる!韓徳譲との関係は周知の事実だ! 先帝と陛下の面目を保つためにも太后を廃位すべきだ!」磨魯古の不敬に朝堂は紛糾、休哥は法にのっとり直ぐさま磨魯古を捕らえるよう命じた。そこで燕燕は虎古が私欲から臣下と結託したと追及し、聖宗に処分を委ねる。聖宗は虎古が老臣であることから穏便に済ませると見逃したが、ただし太后と相父が自分を補佐しているのは先帝の遺命であると釘を刺した。「遼と同じく朕にもまだ太后の庇護が必要だ、太后の隠居は二度と求めぬように…」事態を重く見た燕燕はいずれ聖宗に新政させるにしても、礎を築くまでは決して退かないと断言した。燕燕は聖宗の采配に従って耶律虎古を不問とした。しかし憤まんやる方がない虎古は夜のうちに準備を整え、ついに翌朝の朝議で謀反を起こす。「お前たちこそ逆賊だ!遼の古くからの法を変えようとした!かような事態を見過ごせるものか!」朝堂で皮室軍と反乱軍の激しい戦いが始まった。やがて虎古が隙を見て燕燕を襲撃したが、韓徳譲が身を挺して守る。徳譲は背中を斬られながら力を振り絞って虎古を退け、その場で成敗した。謀反は失敗し、反逆した皇族たちは降伏した。実は昨夜、町を警戒していた耶律斜軫(ヤリツシャシン)は不穏な動きを察知、そこで燕燕は先回りして逆賊たちの家族を保護しておいたという。「お前たちは老臣であり遼への忠誠心もある、死罪は免じよう 各自に草原の一部を与える、勅命なくば帰京は許さず、家族に会ってはならぬ 子孫3代、要職に用いることはない」燕燕は自分をかばって怪我をした韓徳譲を自ら手当てした。「私が危機に陥るたび、あなたが守ってくれる…」すると徳譲は涙ぐむ燕燕の手を握りしめ、こうして燕燕を守ることができるだけで満足だという。「怖かったわ…あたなを失うのではないかと…」「我らはかつて燕雲台で縁を断たれた、だが君への想いは一度も変わっていない 二度と君から離れず、永遠に見守り続けるよ、何も心配するな」「…あなたと夫婦になりたい、この蕭綽(ショウシャク)、先帝や民に恥じることは何一つない 自分のために生きるわ、もう二度とあなたを裏切らない」燕燕はどうせ何をしても否定されるなら、いっそのこと一緒になって堂々と並んで立ちたいという。そんな燕燕を徳譲は黙って抱きしめた。大丞相府に皇太后が文武百官を引き連れてやって来た。韓徳譲が出迎えると、燕燕はかつて韓家に嫁ぐためあつらえた漢式の婚礼衣装を身にまとっている。すると宮女たちが新郎の婚礼服を差し出した。「…なぜ私に相談しないで決めた?」「話をしたけどすぐ答えてくれなかったでしょう?」「はお、君に従うよ」大丞相府で燕燕と韓徳譲の祝宴が始まった。突然のことに面食らう臣下たちだったが、皇太后の聖旨の内容を聞いて驚愕する。燕燕は玉田(ギョクデン)韓氏一族を脱籍させ徳譲に耶律姓を下賜、季父房(キフホウ)に加えるとした。これにより徳譲の地位は親王の上となり、今後は朝堂でも拝跪の必要はないという。ザワザワ…>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ザワザワ…祝宴は騒然となったが、そこへ聖宗(セイソウ)・耶律隆緒(ヤリツリュウショ)が妹と弟を連れてやって来た。「隆緒、相父は皇族に名を連ねた、これからはおじ上と呼びなさい」聖宗は祝辞を述べ、臣下たちをなだめるために列席した大臣には銀千両を与え、爵位を1等級あげるとし、民の税を1年ほど免じて大赦を行うと伝えた。燕雲台で愛を誓い合った燕燕と徳譲がついに結ばれ、それから数年が経った。南朝では出征の経験もない三皇子が新帝に即位し、老臣はこれが遼にとって反撃の好機だと進言する。すると聖宗が強大な軍隊である皇太妃の国阿輦(コクアレン)斡魯朶を加勢させてはどうかと提案した。確かに胡輦は阻卜(ソボク)を平定し、女真(ジョシン)を破り、遼の情勢を安定させている。その時、思わぬ上奏があった。噂によると皇太妃が寵愛する馬丁を将軍にして近衛を率いさせたため、諸将の不満を招いたという。燕燕は皇太妃には自由に将軍を選ぶ権利があるとかばったが、噂の出どころが聖宗だと怪しんだ。燕燕は聖宗が北方の様子を探らせていると知っていた。もちろん北の国境は重要だが、聖宗は色恋沙汰を理由に大姐の兵権を奪うつもりだろう。燕燕は不満げだったが、韓徳譲が聖宗の考えにも一理あると援護した。色恋沙汰はさておき、これで国阿輦の兵権を没収できれば好都合だという。「…太后としては兵権をよそ者に渡せぬ、しかし妹妹としては大姐を傷つけたくない」しかし燕燕は重い腰を上げ、自ら北方へ足を運ぶと決めた。…当初、皇族たちは皇太妃の軍隊保持を口実にして兵権の返上を拒んでいたこのことが最大の脅威と見なされてしまう燕燕はたとえ遼の平和のために大姐の兵権を没収しても、大姐を守れると思っていたそれがまさか…燕燕は大姐が一から築き上げた可敦(カトン)城に入った。長い年月が姉妹の溝を埋めていたが、胡輦は決して君臣の垣根を越えることはない。燕燕はそろそろ上京に戻って欲しいと頼んだが、その時、噂の将軍・撻覧阿鉢(タツランアハツ)が宴の席に現れた。「小胡輦!今日の獲物は何だと思う?」「ふふ、先に太后に挨拶して」「君が燕燕か、話は聞いている、私は撻覧阿鉢だ」礼儀を知らない撻覧阿鉢の態度に宴席は凍りつき、高六(コウリク)が慌ててたしなめる。「撻覧阿鉢将軍!お慎みください」しかし胡輦が皇太后なら何も言っていないと撻覧阿鉢をかばった。皇太叔の死後、ずっと皇太妃を支えて来た高六は何ともやるせない。そこで韓徳譲が間に入り、撻覧阿鉢将軍は噂通り非凡な人だと褒めて収めた。つづく( ๑≧ꇴ≦)何これ~こんなやりたい放題でいいの?wってか聖宗が急に老けちゃった!胡輦はロマンス詐欺に引っかかってるし…ってえ?違うか?ε≡( 「ε:)ノいよいよ来週は最終回、大姐の運命やいかに!お楽しみに〜(^ꇴ^)
2021.11.14
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第45話「本当の自分」蕭燕燕(ショウエンエン)は三姉妹を離間させた黒幕である蜀(ショク)王・耶律道隠(ヤリツドウイン)に毒酒を賜った。さらに韓徳譲(カントクジョウ)と幽州へ赴き、二姐をそそのかした冀(ギ)王妃・夷蘭(イラン)を捕らえる。「しくじった以上は言い訳しないわ、蕭燕燕、知っている?お前の命を狙う部族がどれほどあるか ふっ、夫と子の敵である韓徳譲を殺せなかったのが唯一の心残りだわ…」すると夷蘭はあの世で待っていると言い残し、皇太后の前で毒酒を飲んだ。烏骨里(ウグリ)が亡くなって3年が経った。燕燕は皇太妃・蕭胡輦(ショウコレン)と文を交わしていたが内容は政務のことだけ、大姐は今でも自分を恨んでいるのだろう。しかしそんな燕燕のそばにはいつも韓徳譲がいた。燕燕の書斎には今も筆がけに鈴がぶら下がり、また徳譲の腰にも対の鈴が下がっている。今や燕燕の苦しみを知るのは徳譲だけとなった。共に苦難を乗り越え絆が深まって行く2人、そんな中、再び虎や狼が隙を狙い始める。実は皇太后が下した兵権集約の命に皇族内で不満の声が高まり、耶律虎古(ココ)たちが命を拒んでいた。強行すれば国を揺るがすことになるのは必至、それでも燕燕は徳譲に任せるという。そこで相父(ショウホ)としての礼遇を受けさせるべく、徳譲の誕生日に宮中で祝宴を開くと決めた。「身分を笠に来て好き放題の老臣たちに君臣の礼を教えねばならない 遼の主はあやつらではないと思い知らせる…(๑•̀ㅂ•́)و✧」一方、北方を守る胡輦は狩り場で自由奔放なたくましい青年と出会った。ひとりで湖畔にいた胡輦は急に暴れ出した馬から振り落とされたが、馬丁の青年に助けられる。「大丈夫かい?」「どうしてここに?ここは皇太妃の狩り場だと知っているの?」すると青年は撻覧阿鉢(タツランアハツ)と名乗り、皇太妃の馬の世話をしていると言い訳した。「君は?」「…胡輦よ」「小胡輦か」「何ですって?」胡輦は懐かしい響きに思わず亡き夫の声を思い出した。「私がここの狩り場の主よ」「狩場の主か…(はっ)君が皇太妃なのか」そこで胡輦は自分を助けた褒美は何がいいか聞いてみる。阿鉢はならば向こうの集落へ来て欲しいと頼んだ。「小胡輦、明日、待っているよ」耶律虎古は朝廷での漢人の台頭に焦り、聖宗(セイソウ)・耶律隆緒(ヤリツリュウショ)を担ぎ上げようと考えた。そこで花嫁候補の絵姿を献上した上で、成人した聖宗こそ君主であり、皇太后と韓徳譲は補佐に過ぎないと訴える。実は韓徳譲が始めた科挙のせいで漢人ばかり仕官し、契丹人の官員はもはや2割にも満たなかった。今や室昉(シツホウ)が北府宰相に成り上がる始末、このままでは遼の天下が漢人のものになってしまう。しかし聖宗はまだ母や丞相から学ばねばならないことがあると諭した。「感情に任せて敵視するな、さらに国には法がある」聖宗は皇太后や重臣を誹(ソシ)れば罰せられると釘を刺し、今回だけは見逃すという。仕方なく虎古は引き下がったが、屋敷に戻ると韓徳譲への恨みを募らせた。「韓徳譲を上京から離さねば…」胡輦は約束通りひとりで青年の集落を訪ねた。撻覧阿鉢の集落は北方で最も貧しかったが、部族が集まって楽しそうに踊っている。すると阿鉢は胡輦に気づき、出迎えた。親しげに手を取る阿鉢に困惑する胡輦、しかし阿鉢はひとりなら皇太妃ではなく小胡輦だと笑う。「さあ行こう!」草原で集落の男たちが馬を駆け、帯の取り合いを始めた。撻覧阿鉢の話では自分の帯を取られたら負け、一番多く奪い取った男が勇士となり、意中の女子を得られるという。「彼女がうちの集落で皆が憧れている阿曼(アマン)だ」すると阿鉢も想い人のために参加すると伝え、飛び出していった。撻覧阿鉢は見事に皆の帯を奪い取り、勇士となった。そこで阿曼に帯を差し出すと、喜んだ阿曼はお返しに花の冠を渡す。すると阿鉢はその花の冠を胡輦の頭に乗せた。「なぜ私に?」「俺の心を奪っていったからだ」燕燕は宮中で内輪の宴を開き、韓徳譲の誕生日を祝った。耶律虎古ら皇族たちは参加したものの、あからさまに機嫌が悪い。しかし燕燕は臆することなく聖宗に祝辞を述べさせ、さらに贈り物と称して斡魯朶(オルド)の兵符を渡した。これに虎古は猛反発、兵符は元来、皇族が管理してきたと訴え、掟に反すると諫言する。「陛下のために申し上げているのです!よそ者に斡魯朶を渡してはなりませぬ!」「よそ者?韓相は陛下の相父である、虎古大人は2人を対立させようと言うのか?」母と重臣の板挟みになる聖宗、そこで徳譲は自分に兵を率いる手腕がないため辞退すると申し出た。すると燕燕は掟も何も先帝が徳譲に兵権を与えていたと虎古を黙らせ、誇示する必要はないという。こうして兵符は無事に徳譲の手に渡ったが、祝宴は不穏な空気に包まれた。聖宗はその場を和ませるため、渤海(ボッカイ)部から献上された舞姫を呼んだ。すると招待席に座る美しい娘に一目惚れする。実はその娘は韓徳譲の妹と国舅(コッキュウ)・蕭隗因(ショウカイイン)の子・菩薩哥(ボサツカ)だった。聖宗の婚姻は国の根本に関わる重大な問題だった。大于越(ダイウエツ)・耶律休哥(ヤリツキュウカ)はすでに后族から年頃の娘の名簿を献上している。確かに皇后にふさわしい娘はたくさんいたが、聖宗は母に任せると言った。すると燕燕は聖宗が心から好きな相手を選んで欲しいという。「私は…私は菩薩哥がいいと思います」「見る目があるわね」そこへ渤海部の菓子が届いた。聖宗は宮中の菓子とは違うので味見して欲しいと勧める。早速、食した燕燕は美味しいと喜び、思わず韓徳譲にも届けるよう頼んだ。そんな母の姿を見た聖宗は自分から背中を押すことにする。「母后は常に私と国のことを考えておられます、でもご自分のことはいつも後回しですね 父皇は母后に″思うように生きよ″と言い残された…当時、幼い私は解せませんでした でも大人になり、想い人ができて、やっと父皇のお心が理解できたのです 父皇の願いは母后が新たな人生を歩むことです」聖宗は相手が相父なら反対しないと言った。「…朕は遼の太后です、国と民の安泰こそが望み、他の想いはないわ」「ご自分のことはお分かりにならないのですね?韓相は独り身を貫き母上に仕えています 父皇のご遺志だけが理由とは思えません、母后も韓相に想いを抱いているはず 機を逃すと生涯、悔やむことになります、堂々たる太后が何を恐れることがあるのです?」聖宗は誰が反対しても自分だけは永遠に母の味方だと言った。( ;∀;)良い息子に育ったわね~それにくら…ゲフンゲフン(´゚艸゚) 胡輦は亡き夫のように自分を少女として扱う撻覧阿鉢に惹かれていった。「小胡輦、君はいつも本当の自分を隠し、人にも自分にも気づかせない 本当の自分でいるべきだ」「…私は三姉妹の大姐だったの 母が亡くなってから我が家の女主人となり、父の世話をして、妹たちの面倒を見て来た 家族のために生きてきたわ」阿鉢はそんな胡輦とは正反対、幼い頃から独りで自由に生きて来たという。「いつになったら自分のために生きられる?」「…私、自分のために生きるわ、だから一緒に来て、私の将軍になってちょうだい! ずっと一緒にいられるわ!」「本当に俺を連れて行くのか?小胡輦、地位なんて欲しくないけど…君が好きだから行くよ」って行くんかーい!⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ズコッ!つづく( ̄▽ ̄;)いや~ここまで来て何を見せられているのでしょうかw
2021.11.13
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第44話「代償を支払う時」冀(キ)王妃・夷蘭(イラン)は幽州に戻る前、蕭烏骨里(ショウウグリ)に贈り物を届けた。それは″鴛鴦壺(エンオウコ)″と呼ばれる酒壺で南朝の宮中の品だという。壺の底には仕掛けがあり、それを動かせば美酒を注ぐか毒酒を注ぐか選ぶことができた。「あ~はっはは!心から感謝するわ、冀王妃!」すると回廊に控えていた桔梗(キキョウ)は王妃がなぜ笑っているのか気になった。そこで冀王妃の侍女・紫蘇(シソ)に贈り物は何か聞いてみる。紫蘇の話では大総管が漢人から手に入れた王妃秘蔵の酒壺で、確か鴛鴦壺という名前だという。しかし瑰引(カイイン)が主人の詮索をやめるよう叱り、桔梗はそれ以上、聞き出せなかった。烏骨里は喜隠(キイン)と留礼寿(リュウレイジュ)の霊前に立った。明日の祝宴が終われば2人のそばへ行ける。「これで私たち家族は2度と離れ離れにならない…」そして幼い頃から自分に仕えてくれた瑰引に鴛鴦壺を渡した。「明日はこれを持って私のそばに立っていればいい、そして太后に酒をつぐだけ」しかしその夜、間者の桔梗が人知れず趙王府を出ていた。一方、病を装って趙王妃の動向をうかがっていた蜀(ショク)王・耶律道隠(ヤリツドウイン)は密かに私兵を集めていた。「明日、太后に何かあれば趙王府に突入後、王妃を殺し太后の敵を討つ 何事もなくば誰にも気づかれぬよう動くな」趙王妃の誕生日、家族の宴に招待された皇太后が趙王府に到着した。烏骨里は笑顔を見せ燕燕(エンエン)と手を取り合い、宴席に案内する。久しぶりに顔を揃えた蕭家の三姉妹、胡輦(コレン)は母の誕生日も近いことから、3人で供養したいと提案した。「何年経ってもこうして三姉妹で集えるなんて嬉しいわ」しかし烏骨里だけはどこか上の空だった。宴もたけなわ、いよいよ烏骨里は瑰引に酒を注ぐよう命じた。瑰引はまず趙王妃の杯に注いだが、皇太后の番になると手が震えてうまく注ぐことができない。「不器用ね!」烏骨里は瑰引から酒壺を奪い取り、自ら仕掛けを動かして注いだ。「では燕燕と大姐にもう一献…」燕燕は何の疑いもなく口をつけようとした。すると突然、韓徳譲(カントクジョウ)が皮室軍を率いて乗り込んでくる。「待たれよ!それは毒酒です、飲まないように」烏骨里は無礼な韓徳譲に激怒した。そこで同じ酒壺から注いだ酒を飲み干して見せたが、徳譲は酒壺を持ち上げ、仕掛けを見せる。烏骨里はもはや言い逃れできなくなった。その時、酒壺の秘密を知るのは瑰引しかいないと気づく。烏骨李は激情に駆られ小刀で瑰引を刺し殺し、次に燕燕に襲いかかった。しかし咄嗟に徳譲が腕をつかんで阻止、謀反を起こした趙王妃を捕らえろと命じる。胡輦は烏骨里の暴挙に呆然としながら、すがるようなまなざしで燕燕を見つめた。「燕燕…」「待って!全員、下がって!…徳譲、あなたもよ」徳譲は仕方なく烏骨里を解放すると、皮室軍は瑰引の亡骸を運び出した。烏骨里の心は夫と息子を失った悲しみに捕らわれ、燕燕を逆恨みした。「こんなことなら喜隠が罠を仕掛けた時、あなたを助けるんじゃなかった… 台から落ちて死ぬ姿を見届けるべきだった!」「やはり知っていたのね…気づかぬふりをしてあげたのに、悔い改めるどころか後悔しているの? 姉と慕う私の死をずっと願っていたのね?」「そうよ、早く死んで欲しかった!私は喜隠と留礼寿に再会したい!あなたとはこれまでよ!」胡輦は混乱する烏骨里を慌てて連れ出そうとしたが、烏骨里の覚悟は決まっていた。「生きる気などとうにないわ!だからこの女に私を殺させてやる!」「そう、なら暗殺失敗の結果を受け止めるのね!」「燕燕、あなたの二姉なのよ!」「いいえ!この者は逆賊・喜隠の妻で私を妹とも思っていない、姉などではない」「燕燕!烏骨里は興奮して口走っただけ、血のつながった三姉妹じゃないの?!」「あっははは~!大姐!目を覚まして!」烏骨里は罨撒葛(エンサーグァ)を殺したのは燕燕が放った矢だったと暴露、燕燕が何年もその事実を隠して来たと笑った。しかしそれでも胡輦はひざまずき、姉を殺してはならないと皇太后に懇願する。その時、烏骨里が突然、酒壺の毒酒を自らあおった。「蕭燕燕…偽姉妹の絆でこれ以上だませると思う?…アハッハッハッハッハッハハッ~グハッ!」烏骨里は激しく血を吐き、その場で崩れ落ちるようにへたり込んだ。「烏骨里!しっかりして!」「だ…じぇ…喜隠のもとへ行くわ…大姐…保重…あの女を信じてはだめ…」「烏骨里…アァァァァ…烏骨里ィィィィ…」胡輦は涙に暮れたが、燕燕はただ呆然と立ちすくんでいた。燕燕は政務に戻ったが、姉妹の絆を失った傷は深く、鬱々としていた。そこへ韓徳譲が参内、烏骨里は冀王妃と同じように心の魔に支配され、恨みの中で己を見失ったと慰める。「…もう分からなくなった、誰を信じたらいいの?決して変わらぬものとは?」「私がいる」←( ๑≧ꇴ≦)もうジョーったらwうつむいていた燕燕がようやく顔を上げると、徳譲は今回の黒幕は蜀王の可能性があると報告した。確かにあの臆病な男は何かする時には誰かを表に立たせ、風向きが変わると病を装い閉じこもる。徳譲はすでに幽州へ戻った冀王妃を捕らえることができないため、蜀王を領地に帰さず、今後の動きを封じるよう進言した。胡輦は皇太后の弔問を拒み、燕燕は霊前の烏骨里との対面も果たせずにいた。そこで韓徳譲は静観する燕燕の代わりに趙王府へ弔問にやって来る。胡輦は徳譲と燕燕が烏骨里を追い詰めたと責めたが、徳譲は弁解しないと言った。「燕燕を害する者は誰であれ私が容赦しない ←( ๑≧ꇴ≦)キャアー!ジョーったらw 胡輦、忘れないでくれ、燕燕も君の妹だ 烏骨里が成功していたら、あの日、燕燕が死んでいた」「でも死んだのは烏骨里よ!過ちを犯しても私たちは姉妹だわ!なぜ生きる道を奪ったの?!」「…胡輦、恨むなら私を恨んでくれ、三姉妹がこうなったのは燕燕のせいではない」すると胡輦は自分のふがいなさを嘆いた。烏骨里の様子の変化に気付きながら、改心させたいと願って北方へ連れて行く決心もつかなかったという。胡輦はこれ以上、権力争いを見たくないと告げ、上京を離れる決意を伝えた。燕燕は北方へ戻りたいという胡輦の奏状を読んだ。せめて幸せを感じられるようになるまで太平王府に留まって欲しいと願ったが、もはや大姐にとっても自分は妹ではないと実感する。奏状には″家族を失い、孤独な身となり…″とあった。燕燕は皇太妃の北方行きを認め、郊外に先回りして大姐を見送ることにした。皇太后に気づいた胡輦は君臣として拝礼、しかしどこか燕燕を見る目は冷たい。それでも燕燕は大姐の手を取って無事を祈った。燕燕は耶律道隠が仮病だと知りながら侍医を遣わし、養生するよう命じて逃さなかった。そんなある日、蜀王府に皇太后が見舞いにやって来る。燕燕は蜀王妃を下げ、ある報告書を見せた。「先帝崩御から今まで義叔父上は趙王妃を6度、冀王妃を8度、裏から出入りさせている 病の身でなぜ頻繁に会っていた? 趙王妃死亡の前日は領地の兵を都に入れたな?一体、何のためだ? …穆宗(ボクソウ)の世を生きたなら、天子の怒りがもたらす結果を知るはず」道隠は皇太后が何を言いたいか分かっていたが、最後まで白を切り通そうとした。「…朕は安易に人を殺さぬが、殺せぬのではない…先帝も穏やかな方だったが人を殺せる」「無理でしょう、私を殺せば皇族に言い訳が立たない…」「罨撒葛は李胡を殺した!」すると燕燕は道隠の子供たちを盾に脅した。「ご自分の力量はご存知だろう?命に背くには相応の力が要る 力もなく余計な手を出し、事を起こしたなら代償を支払わなくては…」驚いた道隠は一族を守るため、慌ててひざまずき許しを請うた。しかし三姉妹の絆を絶たれた燕燕の怒りは収まらない。「投獄や連座は避けたいが見過ごすことはできぬ、姉の死は命で償ってもらおう 義叔父上、人は年老いたら子や孫のことを第一に考えるべきでは?」ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ<おっしゃる通りでございます燕燕は席を立った。すると侍従の双古(ソウコ)が薬瓶を置いて出て行く。道隠はその意味を悟って泣き笑いし、空(クウ)を仰いだ。つづく(  ̄꒳ ̄)うーん?ちょっとこれどうなの?まあ最後まで待ちましょうかね、総括になっちゃうのででも烏骨里の演技は良かったです
2021.11.07
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第43話「武運尽きる時」趙(チョウ)王妃・烏骨里(ウグリ)は皇太后を祖廟に案内した。そこには今も太祖と述律(ジュツリツ)太后の肖像が掲げられ李胡(リコ)の位牌があったが、喜隠(キイン)と留礼寿(リュウレイジュ)の位牌はない。燕燕は焼香して拝礼、その様子を見ていた烏骨里は思わず目を背けた。掟では末子の李胡は家督継承者であり、述律太后も遼を託すと約束していたという。すると燕燕は述律太后に代わり、自分が悲願を叶えると言った。燕燕は耶律李胡が謀反の濡れ衣で無念の死を遂げたとし、欽順(キンジュン)皇帝に追封した。思いも寄らない計らいに戸惑う烏骨里、すると燕燕はこれで権力闘争を終わらせるべきだという。太祖の崩御後、述律太后の私心が3人の息子を追い詰め、やがて果てなき闘争へ突き進み、これまで多くの犠牲者を出してきた。「これで亡くなった人々を慰め、生きている者の無念な思いを鎮めたい」「あなたは太后よ、どう決めようと許される…喜隠と義父上は喜んでいると思うわ」しかし皇太后が帰ると烏骨里は怒りを爆発させた。「追封の聖旨で李胡一族の恨みを払拭できると?…夢を見ないで」一方、韓徳譲(カントクジョウ)に反発する耶律虎古(ヤリツココ)は新政の実施を阻止していた。そこで徳譲は六院(リクイン)部の長を別の者に任せてはどうかと上奏する。実は遼の建国に尽力した曷魯(カツロ)大于越(ダイウエツ)が亡くなった時、孫の斜軫(シャシン)がまだ幼かったことから、当時、屋質(オクシツ)大王の提言で虎古が長となっていた。燕燕は本来なら斜軫が一族をまとめるはずだったと気づき、斜軫をじっくり育てて将来の長に据えようと決める。「ところで李胡を欽順皇帝に追封した、これで烏骨里の執念が消えるといいが …私たちは一緒に育った姉妹、わだかまりは消えると信じてるわ」しかし徳譲は大きなため息をついただけだった。韓徳譲は念のため腹心の信寧(シンネイ)に趙王妃を見張るよう命じた。その頃、烏骨里は名ばかりの帝位のために夫と息子が死んだと憤り、さらに自分を追い詰めて行く。「…地中は冷えるでしょう?待っていて、偽善者への復讐を果たしたら私もそばに行くわ」耶律斜軫は虎古を訪ね、なぜ皇太后に盾突くのかと諌めた。すると虎古は韓徳譲を逆恨みし、韓家を放っておけば自分たちを支配しかねないと警戒する。しかし斜軫は能力があるなら懲らしめればいいだけ、ないなら相手と上手く付き合うべきだと牽制して帰った。そんなある日、上京(ジョウケイ)に軍の急報が届いた。南朝軍の勢いは凄まじく、このままでは燕雲(エンウン)十六州を守れそうにないという。諸王たちは戦を避けるため燕雲十六州の返還も一手だと進言し、例え手放しても高齢の南朝皇帝が逝去すれば後継者争いが勃発した折に取り返せると訴えた。しかし韓徳譲は戦わずして退くなど世の笑い物だと反発、すると呉王(ゴオウ)は思わず耶律の奴婢が口を出すなと罵ってしまう。激怒した燕燕は奏状を投げつけ、太宗が心血を注いだ燕雲十六州を手放せと言う者は今後、許さないと厳命した。出兵の準備を始めた燕燕、すると党項(タングート)の李継遷(リケイセン)が遼に帰服したと急報が舞い込んだ。韓徳譲は北漢が滅びて南朝との間に盾を失った遼にとって党項が緩衝地になると期待する。しかし燕燕は李継遷にそこまでの価値があるのか半信半疑だった。すると室昉(シツホウ)が李継遷は幼い頃から馬上で育ち、気骨にあふれていると太鼓判を押す。燕燕は皆の称賛を聞いて李継遷に興味を持ち、会ってみようと決めた。「誠に優れていれば皇族から誰か嫁がせても良い、遼の娘婿となれば見捨てるわけにいかぬ」そこで顔が広い耶律休暇(ヤリツキュウカ)に貴族からふさわしい娘を推薦してもらうことにした。耶律斜軫の想い人・蕭海瀾(ショウカイラン)も花嫁候補に入った。すると皇太后とのお茶会の日、海瀾は顔馴染みの耶律汀(ヤリツテイ)を見つける。海瀾は本当の目的が花嫁選びだと教えたが、阿汀はそのおかげで皇太后と謁見できる機会をもらえたと言った。「でもなぜあなたまで?太后のお気に入りだし、何より斜軫大王に思われているものね~ふふ」「誰があんな人!…いい加減な人よ?幽州で妓楼を探していたんだから」「(´゚艸゚)∴ブッ!そう言うことだったの~実はある皇族が妓女を身請けしたと風聴してね それが斜軫大王の耳に入り、すぐ捕らえられて罰を受けたと聞いたわ 今や斜軫大王の前で妓楼の話をする者はいないそうよ?…知らなかったの?」思いがけず斜軫への誤解が溶けた海瀾、それにしても阿汀こそ本当に党項人に嫁ぐ気なのか心配になった。しかし阿汀は自分の運命なら自分で選びたいという。実は継母が阿汀の母が残してくれた財産を奪おうと、阿汀を自分の甥に嫁がせようとしていた。お茶会が開かれる庭園の涼亭から変な匂いが漂ってきた。どうやら宮女が持ち場を離れている隙に温めていた乳茶が煮詰まってしまったらしい。すると阿汀が駆けつけ、まだ何とかなると言って手際良く対処した。ちょうど蕭胡輦(ショウコレン)とお茶会に向かっていた燕燕は回廊からその様子をながめ、どこの娘なのか聞く。「王子帳節度使・耶律襄(ヤリツジョウ)の長女で名は汀です」良哥(リョウカ)の報告を聞いた胡輦は亡き正室が残した一人娘だと思い出した。しかし後妻が息子たちを産んだため、顧みられなくなったという。「どうりで宮女がいなくても慌てず対処できるのね…」燕燕と胡輦は機転が効く耶律汀を気に入った。耶律汀は皇太后に叱られると思い、乳茶に手を加えた経緯を説明して謝罪した。しかし燕燕は特別な味わいがあると喜ぶ。史書を一通り読んでいた阿汀は吐蕃(トバン)に嫁いで乳茶を広めた文成(ブンセイ)公主が塩や松の実、炒り米を加えたという記述を思い出して試したと話した。すると胡輦も美味しいと絶賛し、阿汀は宮中に留まるよう命じられる。喜んだ海瀾は友と一緒に過ごしたいと懇願、皇太后から許しをもらった。その夜、耶律斜軫は海瀾を嫁がせまいと皇太后へ直談判にやって来た。「太后!海瀾は私に嫁がせてください!挙兵の令状を下し、南朝を滅ぼすと誓います!」燕燕は安易に令状を下すなどもってのほかだと叱り、娶りたければ本人に言えという。その時、ちょうど皇太后を訪ねて来た海瀾が飛び込んで来た。「聞く必要はありません!…崇徳(スウトク)宮へ押しかけるなんて無礼よ」「海瀾の言う通りだ、南院大王ともあろう者が私用で押しかけるとは…誰か!捕らえよ!」燕燕は海瀾に本心を言わせるため、わざと斜軫に杖(ジョウ)刑80回を命じた。すると思った通り海瀾が慌てて斜軫をかばう。「ダメです!」「おう?なぜだ?皇宮に押し入り妄言を吐き、そなたの名声を損ねた」「ダメです!どうかご容赦ください、名声は損ねていません!」「では斜軫の求婚を受け入れるのか?」「(うんうん)」こうして斜軫と海瀾の縁談がまとまり、後日、李継遷は定難軍節度使および夏(カ)王に封じられ、義成(ギセイ)公主・耶律汀との婚姻を賜った。南朝皇帝は幼い聖宗(セイソウ)と摂政太后をみくびっていた。実は今回の北伐に将軍たちは反対していたが、威信回復を急いだ南朝皇帝が強行したという。勢いだけでまとまりのない敵軍、その勢いさえ避ければ一撃で分散させ潰せるはずだ。燕燕は幽州の軍営で指示を出し、見事に敵軍を退ける。しかし曹彬(ソウヒン)や藩美(ハンビ)という当世の英雄が兵を制御できなくなったことにいささか困惑していた。韓徳譲は勝つために君命に背くことも必要だが、今や兵は統制が利かず、兵法も解せない者がはるか彼方で操っているという。「もし南朝皇帝がこたびの敗戦で己の過ちを悔い改めなければ、その武運も尽きることでしょう」戦が終わり耶律斜軫と蕭海瀾は結婚した。そんな中、燕燕の元に烏骨里から招待状が届く。燕燕はようやく二姐が立ち直り始めたと喜び、もうすぐ二姐の誕生日だと思い出した。「必ず行くと伝えてちょうだい」一方、蜀(ショク)王府では耶律道隠(ヤリツドウイン)がまた病と偽り、引きこもった。「子や孫たちのためだ…それに王妃2人がどう出るか見ものでもある」烏骨里の誕生日の前日、冀(キ)王妃・夷蘭(イラン)が趙王府にやって来た。実は幽州へ戻る前に誕生日祝いの贈り物を持って来たという。つづく( ̄▽ ̄;)ちょっと留礼寿の肖像画が美化し過ぎじゃ…
2021.11.06
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第42話「姉妹の反目」皇太后・蕭燕燕(ショウエンエン)は先帝の死を悲しむ時間もなく政務に追われていた。そんな中、長寧(チョウネイ)宮に足を運んだが、寝台ですでに息絶えた渤海(ボッカイ)妃・玉簫(ギョクショウ)を発見する。枕元には遺書があった。…太后、申し訳ありません…陛下が崩御され生きる気力を失いました…陛下お一人では寂しいでしょう、私がお供します…太后、あなたに薬師奴(ヤクシド)を預ければ安心できます…お許しください、太后に全てを委ねて逝ってしまう私を…このご恩は来世でお返しします燕燕は乳母の腕に抱かれた薬師奴の顔を見ながら、まだ何も知らない赤子の行く末を案じた。一方、皇太妃・蕭胡輦(ショウコレン)は耶律喜隠(ヤリツキイン)の弔問に出かけた。趙(チョウ)王妃・蕭烏骨里(ショウウグリ)は棺からずっと離れず、涙も枯れ果て憔悴している。「大姐…遼では誰もが明扆(メイイ)の葬儀に奔走している、大姐だけが2人を弔いに来てくれた」胡輦は燕燕を恨まぬよう言い聞かせたが、夫と子供を殺された烏骨里の怒りは収まらなかった。「燕燕は大勢、子供がいて全員、無事なうえ、息子は帝位を継げたわ!…でも私は? 私には留礼寿(リュウレイジュ)だけ、たった1人の子だった…ゥゥゥ…」胡輦は烏骨里の無念を理解しながら、自分たちは一心同体の姉妹だと訴えた。しかし愛する家族を失った烏骨里の心にはもはや姉の言葉は響かない。…私と蕭燕燕はもはや姉妹ではない…その夜、耶律斜軫(ヤリツシャシン)は偶然、趙王妃の馬車を見かけた。「こんな夜遅くにどこへ出かけるんだ?怪しいな…」斜軫は従者の阿古(アコ)と追跡することにしたが、ふいに横道から想い人の蕭海瀾(ショウカイラン)が現れる。「またあなたなの?!」「誤解だよ~趙王妃の馬車が出かけるのを見たんだ」「でたらめよ!」海瀾は気を引くための嘘だと疑う。そこで斜軫は阿古を待たせ、海瀾を連れて馬車を探しに向かった。その頃、烏骨里は蜀(ショク)王府を訪ねていた。耶律道隠(ヤリツドウイン)は新帝の即位にケチをつけて以来くすぶっていたが、趙王妃から思わぬ提案を持ちかけられる。「大王、私はあなたを支持するわ…」烏骨里は皮室軍に対抗できるよう趙王府の精兵が支えると約束し、謀反をけしかけた。成功した暁には耶律李胡(ヤリツリコ)の斡魯朶(オルド)を譲るという。しかし道隠は考えさせて欲しいと返事を保留した。耶律斜軫と海瀾は蜀王府から出てくる趙王妃を見た。すると耶律道隠が馬車を見送り、何やら家職と話している。そこで2人は馬を降りて屋敷へ近づき、物陰から様子を見た。「李胡が残した斡魯朶は太祖の息子の斡魯朶のうち唯一、分割されておらぬ 王妃に謀反を持ちかけられたが、あっさり承諾するものか ふっ、まずは李胡の斡魯朶の一部を差し出させよう」斜軫と海瀾には詳しい内容まで分からなかった。しかし斜軫は大事なのは間違いないと確信、海瀾に皇太后に伝えて欲しいと頼む。すると海瀾が驚いた様子で斜軫の顔を見つめた。「あなたは普段はだらしないけど、真面目になると南院大王みたい」「みたいって…私は南院大王だぞ?」(  ̄꒳ ̄)私も斜軫が一番タイプです ←誰も聞いてないw烏骨里は蜀王から良い返事をもらえず落胆して屋敷に戻った。しかしそんな趙王妃を冀(キ)王妃・夷蘭(イラン)が出迎える。夷蘭は幽州で噂を耳にし、自分と同じように夫と息子を失った趙王妃の行動を推測して訪ねて来たと言った。「蜀王との交渉は難航したでしょう? 蜀王は利を見て義を忘れる、呉(ゴ)王は貪欲で好色、平(ヘイ)王は側女の言いなり… 手なずけたければそれぞれ対処しないと、私が諸王に話をつけるわ」蜀王に手を焼いていた烏骨里にはまさに渡りに船、似たもの同士の寡婦は同盟を結ぶことになった。翌朝、燕燕は韓徳譲(カントクジョウ)を呼んで烏骨里が蜀王と接触したと伝えた。徳譲は烏骨里が諸王と結託するつもりなら警戒すべきと進言し、力尽くで制圧するより順に攻略するよう提案する。また私的な集まりや夜間の外出を禁止することで諸侯たちの往来を阻むことにした。そこへ聖宗(セイソウ)・耶律隆緒(ヤリツリュウショ)がやって来る。燕燕はこの機に先帝が生前、聖宗を韓大人に託したと教え、これからは韓大人を″相父(ショウホ)″と呼んで敬うよう命じた。すると聖宗はひざまずき、相父に拝礼する。驚いた徳譲は畏れ多いと恐縮し、今後は聖宗を全力で支えると誓った。燕燕は子孫が多い蜀王一族を招き、子供たちを聖宗の学友にしたいと提案した。息子と孫たちは光栄な申し出を手放しで喜んだが、耶律道隠は愚鈍な子供たちで期待に添えないと難色を示す。「皆、耶律家の子孫で皇族なのだ 頻繁に参内して陛下と仲良くなれば将来、君臣として話もしやすい」屋敷に戻った蜀王妃は皇太后の気遣いを喜び、謀反からは手を引いて欲しいと頼んだ。そもそも家族がこうして平穏に暮らせるようになったのは先帝が釈放してくれたおかげだという。「太后娘娘のお言葉は正しいわ、あなたは年長ゆえ帝位さえ争わなければ厚遇されます もし平(ヘイ)王か呉(ゴ)王が帝位を得れば、あなたを排除するかも…」道隠は確かに時機ではないとあきらめた。燕燕は聖宗を連れて平王府の練兵場にいた。今日は天子の禁軍・皮室軍の中核とする勇士を選定するという。しかし平王府の私兵と精鋭の皮室軍の力の差は歴然、耶律隆先(ヤリツリュウセン)は皮室軍の力を見せつけられ尻尾を巻いた。古狸たちを懐柔した燕燕だったが、烏骨里を説得するのは至難の業だった。昔から人の話を聞かない二姐、すると韓徳譲が皇太妃に頼んではどうかと勧める。しかし燕燕は姉妹で落ち着いて話がしたいと言った。「李胡の系統が望んでいたものを私は与えられる、斡魯朶も正式に継がせるわ…」烏骨里は意気地のない老臣たちに激怒した。すると夷蘭が最後の砦、耶律虎古(ヤリツココ)の出番だという。そこに運悪く胡輦がやって来た。胡輦は入れ違いで帰った夷蘭を見て心配したが、烏骨里は同病相憐む者が語り合うことも許されないのかと反発する。「まだ怒りが収まらないの?…執着を捨てなければ結局、あなたが苦しむのよ?」「大姐…罨撒葛(エンサーグァ)を殺されて恨みはないと?燕燕を助けて後悔していない?! 燕燕の心は私や大姐よりずっと…非情よ」胡輦は烏骨里の言葉に何も言い返せなかった。涿(タクシュウ)刺史となって上京を離れていた耶律虎古が帰京した。すると早々に冀王妃が訪ねてくる。夷蘭は虎古の留守の間に皇太后の寵愛を受ける韓徳譲が増長していると訴えた。今や徳譲は南院枢密使の身で開府儀同三司と政事令総宿衛事に任じられ、しかも聖宗に″相父″と呼ばせているという。「奴婢が陛下の相父になったのですよ?!」虎古は机を叩いて激怒、さすがに相父はやり過ぎだと憤る。すると夷蘭は2人がかつて深い仲だったことを持ち出し、徳譲が皇太后を操っていると吹き込んだ。「韓家父子は昔から仕組んでいたのです、先帝の即位から太后の婚姻まで、全て父子の陰謀でしょう その過程で耶律家の英才が除かれていきました 韓徳譲の兄弟は全員、高位高官で大軍を握っています でも太祖の三支は人皇(ジンコウ)王の系統をのぞき、血統が途絶えました 帝位に最も近い親王が次々と殺された、陛下と太后だけとなればたやすく操れます」夷蘭は韓徳譲が始めた科挙でも仕官したのは漢人ばかりだと話し、徳譲が己の未来のために道をつけていると疑った。「その話が本当なら韓徳譲を生かしておけぬ…」そんなある日、耶律磨魯古(ヤリツマロコ)は先帝が定めた法を破り、かつての奴婢を強引に連行した。この暴挙に州や県は反発、耶律虎古の弾劾を求める。韓徳譲はなぜ州や県に本籍を移した者を捕まえたのか追及したが、虎古は堂々と奴婢たちが飢えと寒さのため戻って来たと嘘をついた。「私は気の毒に思って引き取っただけだ、疑うなら聞いてみたらどうだ? そもそも私が守るのは太宗と太宗以来の契丹の法だ」「未だ旧習にしがみつくなら朝堂を去り、遊牧でもせよ、勝手な真似は許さん!」「勝手な真似?私は契丹の重鎮だぞ?お前など黙っておれ!」すると虎古は帰ってしまう。一方、燕燕はようやく重い腰を上げ、趙王府へ向かった。二姐はわざわざ屋敷の前で燕燕を出迎えてくれたが、どこかよそよそしい。「二姐…私を恨んでいる?」「恨んでもどうにもなりません…喜隠は結局、死にました 喜隠は臨終で過ちを認めました、己の野心のため息子を失い、私の人生を台無しにしたと…」烏骨里はやけに冷静だった。するとふいに燕燕に腕をつかまれ、烏骨里は一瞬、たじろいでしまう。「ごめんなさい、喜隠を守れなくて…」つづく|ω・`)今さらまろこ〜誰と結婚したのかな? ←え?どうでもいい?w
2021.10.31
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第41話「願いを託して」景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)は自らの死期が近いことを悟り、着々と準備を始めた。まずは耶律休哥(ヤリツキュウカ)を大于越(ダイウエツ)に封じ、間近に迫った秋捺鉢(ナバ)にも行きたいという。燕燕(エンエン)は今の体力では長旅に耐えられないと心配したが、景宗は死ぬなら馬の背の上や大空の下で死にたいと訴えた。「はお、あなたが出たいならすぐ準備するわ」景宗は病を押して側近を書斎に集めた。秋捺鉢の行幸を断行すると聞いた韓徳譲(カントクジョウ)は何か考えあってのことだと気づく。実は景宗は未だ謀反心を捨てられない耶律喜隠(ヤリツキイン)が気がかりだった。自分が死んだら朝堂で何が起きるか誰でも予想がつくだろう。景宗は間近に迫った秋捺鉢を利用して黒山(コクザン)や祥古(ショウコ)山を再現させ、膿を出し尽くすつもりだった。「どうか万全の準備を頼む、激しい争いになるぞ…」皇太妃・胡輦(コレン)は景宗が秋捺鉢へ出かけると知って驚いた。燕燕はどうしても行くと言って譲らないと話し、二姐の趙(チョウ)王妃・烏骨里(ウグリ)も連れて行きたいという。「二姐は人に操られやすい、私が不在の隙にまた利用されでもしたら大変なことになるわ でも命は下したくない、だから…」すると胡輦は自分から話してみると言った。「きっと大丈夫よ」大姐から秋捺鉢に誘われた烏骨里は燕燕が自分を警戒しているためだと分かった。しかし胡輦は燕燕と仲直りすれば喜隠を許してもらえると匂わせる。烏骨里はようやく笑顔になり、やはり大姐は自分の味方だと喜んだ。「私たちの婚姻は不幸だった、私もそうだし燕燕だってそうよ? 喜隠は罪を犯したけれど、あなたたちの夫婦仲はよかったはず」すると胡輦はあまり焦らないよう釘を刺し、烏骨里に期待を持たせて帰ってしまう。そんな2人の会話を立ち聞きした留礼寿(リュウレイジュ)は悠長な母の思惑に思わず失笑した。これまで母と離れたことがない留礼寿が秋捺鉢には行かないと言った。烏骨里は騒ぎを起こさぬよう言い聞かせて出発したが、早速、留礼寿は撒懶(サツラン)に配下を集めるよう命じる。「世子、あまりに性急かと…」「不意打ちを食らわす」留礼寿は都を守る南院大王・耶律斜軫(ヤリツシャシン)をあなどり、速戦即決で上京(ジョウケイ)を奪い父を迎えると決めた。景宗は無事に焦山(ショウザン)行宮へ到着したが、咳はひどくなる一方だった。心配する燕燕だったが、そこへ韓徳譲が駆けつけ耶律斜軫からの密書を渡す。…留礼寿が謀反、耶律斜軫…景宗は激怒し、今度こそ喜隠を容赦できないと言った。驚いた燕燕はひざまずいて嘆願したが、景宗は姉を思う燕燕に免じて1度だけ機会を与えるという。そこで燕燕は胡輦の天幕へ駆けつけた。実は留礼寿が謀反を企て、祖州の喜隠は捕らえられたという。「急いで二姐と戻って留礼寿を説得して」留礼寿は門衛を襲撃、配下を従えて城門前に雪崩れ込んだ。「皇宮を占拠し、大臣どもを捕らえよ!その後、父上をお迎えし即位していただく!」しかし突然、皇宮から斜軫の配下が現れ、背後では門が閉まり、留礼寿たちはあっという間に包囲されてしまう。すると驚いたことにそこへ祖州にいるはずの父が連行された。「父上!」「逃げろ!早く!」「留礼寿!貴様らの企みなど陛下はお見通しだ、父親は私が連れて来た、下馬して投降せよ」その声は城楼に現れた斜軫だった。侍従・阿辛(アシン)は今すぐ投降すれば景宗が父子とも助けてくれると伝えたが、留礼寿は攻撃を命じてしまう。仕方なく斜軫は射撃を指示、皇后の命により殺してはならないと叫んだ。上京は急な雨に見舞われた。留礼寿が激しく抵抗したせいでその場は戦場と化し、喜隠は争いのどさくさに紛れて息子を助けに向かう。しかしやがて弓矢が留礼寿の喉元に命中、喜隠は息子を抱きしめながら号泣した。そこへ必死に馬を駆けて来た烏骨里たちが到着したが、その時、喜隠の背中に一斉に射撃隊が矢を放ってしまう。烏骨里は足がもつれ、何度も転びながらようやく夫と息子の元へたどり着いた。すでに絶命した留礼寿、すると虫の息となった喜隠がうっすら目を開ける。「私の野心のせいで君の人生を台無しに…我らの子を失ってしまった…」「一緒に老いると約束したわ…一緒に孫の顔を見ると…忘れたの?…ゥッ…」「私は…君との約束を1つも果たせなかったな… 最後に約束してくれ…己を…大切にして…しっかり生きると…君はまだ若い… 別の男に嫁いで子を産み、幸せになってくれ…」「嫌よ!」しかし喜隠は烏骨里と踊った跳月(チョウゲツ)大会の夜を思い出しながら旅立った。「喜隠?…喜隠!…喜隠!ああぁぁぁぁ~!」胡輦は烏骨里が喜隠を胸に出して絶叫する様子を見ながら、何と残酷な運命なのかと胸が締め付けられた。一方、焦山の行宮では病床の景宗の前に臣下たちが集まり、遺詔を聞いた。「″梁(リョウ)王・隆緒(リュウショ)は皇后の長子であり年は12歳、聡明で文武に優れるゆえ皇帝にふさわしい 群臣は忠心をもって幼帝の補佐に励むように、なお軍や国の大事については皇后が採決を行う″」すると景宗は燕燕と梁王、韓徳譲の3人だけを残して人払いした。「文殊奴(モンジュド)、お前は遼の君主となるのだ…怖いか?」「いいえ…シクシク」「2つのことを胸に刻んでおくように…将来、明君となるならこの言葉を覚えておくのだ ″大学の道は明徳を明らかにし、民を新にし、至善に止(トド)まるにあり″」それはかつて燕燕が景宗に言った言葉だった。「2つ目だ、韓徳譲はお前の父と母が誰よりも信頼する人物だ…父に対するのと同じく大切に敬え …決して背いてはならぬ、よいな?」「分かりました…(TωT)」景宗は息子を下げ、韓徳譲をそばに呼んだ。「かつて私は己の欲のために燕燕を無理に妃とした…私はお前を裏切った… だがお前たちは決して私を裏切らなかった…今日の遼があるのは2人のおかげだ…」すると徳譲は過去を水に流すと伝え、心を尽くして幼帝と皇后を補佐すると約束した。今回ようやく長く続いた懸案を取り除いた景宗、しかしまだ多くの困難が待ち受けているだろう。「お前に燕燕と我が子を…託したい…」「心配ない、私が必ず皇后と幼帝を守ってみせる」その言葉を聞いた景宗は安堵し、燕燕には自分の死後、思うように生きて欲しいと願った。「燕燕…」景宗は最後の力を振り絞って燕燕の手を取り、徳譲に渡そうとしたが、そこで力尽きてしまう。…乾亨(ケンキョウ)4年、景宗・耶律賢は雲州の焦山で病死、35歳であった…同年、梁王・耶律隆緒が即位し、統和(トウワ)と改元される…廟号は聖宗である燕王府では韓匡嗣(カンキョウシ)が危篤となり、夫人が悲しみに暮れていた。しかしそこへ景宗崩御の知らせが届く。韓匡嗣は息子を煩わせまいと、自分が死んでも上京に戻ってから伝えて欲しいと頼んだ。「陛下…あなたのような明君に仕えられて我が生涯に悔いはありません 願わくはこの先も…陛下と共に…」すると韓匡嗣は景宗のあとを追うように旅立った。焦山で梁王が即位、皇后が摂政となった。しかし即位式の途中で蜀(ショク)王・耶律道隠(ヤリツドウイン)が横槍を入れる。「皇后、先帝の崩御には心をお痛めのことでしょう しかし新帝即位については議論の余地があります」実は遼では幼帝即位の先例がなく、開国以来、年長の親王が帝位を継いでいた。掟に従うべきだと訴える道隠、すると韓徳譲が皮室軍を率いて現れ、真っ先に即位の祝辞を述べてしまう。恐れおののいた臣下たちは慌てて拝礼すると、さすがに道院も幼帝を受け入れるしかなかった。上京に戻った燕燕は早速、韓徳譲と協議を始めた。先帝の崩御を狙い南朝が攻めてくる可能性がある。そんな中、韓徳譲の元に父の訃報が届いた。燕燕は先帝と時を同じくして亡くなったことに驚き、燕王の先帝への忠心は他に並ぶ者がいないと感慨深い。一方、渤海(ボッカイ)妃・玉簫(ギョクショウ)は我が子の成長に目を細めながら、愛する人を失った悲しみに打ちひしがれていた。つづく(´-ω-`)なぜか泣けなかったわ…
2021.10.30
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第40話「遼の未来」皇太妃・蕭胡輦(ショウコレン)が天幕に戻ると、隠れていた蘭哥(ランカ)が姿を現した。蘭哥は銀子100両をもらえると言われて酒を届けたが、まさか青哥(セイカ)が死ぬことになるとは夢にも思わなかったという。その頃、朝堂では皇后・蕭燕燕(ショウエンエン)の捜査に皇族たちが反発、朝議は紛糾していた。「毒が宮中の物で酒を届けたのは皇后付きの侍女、都中を捜索するのは本末転倒なのでは?」耶律虎古(ヤリツココ)は皇后が手を引かないなら六院(リクイン)部が黙っていないと脅し、景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)の裁決を望むという。すると突然、景宗が現れた。景宗は孤軍奮闘する燕燕をかばい、作り話を広めた者を厳罰に処し、皇后の潔白を証明するべきだと訴えた。仕方なく虎古はせめて期限を決めて欲しいと嘆願、皇族たちも賛同する。するとそこへ胡輦が青哥を連れて現れた。重臣たちは青哥が生きていたと騒然となったが、実は青哥の双子の姉・蘭哥だという。実は韓徳譲に酒を届けたのは蘭哥だった。「私は趙王府の農場で働いていました、ある日、本邸の家職が訪ねて来て言ったんです 酒を届けるだけで暮らしに不自由させず、病の夫を治す銭も与えると… 皇后、私は人を殺すつもりなどありませんでした」ついに真相が明らかになった。趙(チョウ)王・耶律喜隠(ヤリツキイン)は徳譲に毒酒を送り李氏が死亡、そこで噂を流して皇后を陥れ、同時に青哥を殺して口を封じ、蘭哥の命も狙っていたという。しかし喜隠は奴婢の言葉など証拠にならないと反発し、そもそも李氏を殺す理由も皇后を陥れる理由もないと訴えた。するとこれまで静観していた韓徳譲が口を開く。「蘭哥の証言でようやく分かった… あの日、私を引き込めず殺意を抱き、逆心が明るみになることを恐れたのかっ!」往生際の悪い喜隠は最後まで濡れ衣だと訴えたが、燕燕は趙王を収監するよう命じた。趙王妃・蕭烏骨里(ショウウグリ)は息子・留礼寿(リュウレイジュ)と宮門で嘆願を始めた。「燕燕!お願いよ!喜隠に情けを!」「叔母上!父上をお許しください!」2人の悲痛な叫び声は寝殿にも届いたが、未だ怒りが収まらない燕燕は決して姿を見せてくれない。そこで烏骨里は胡輦に泣きついた。胡輦は喜隠の悪事に加担した烏骨里を糾弾、すると留礼寿は母を侮辱したと口答えしてしまう。実は胡輦は頼まれなくても燕燕に嘆願に行くつもりだったが、留礼寿の態度を見て迷いが生じた。「まだ分からないの?全ては燕燕ではなく喜隠に非があるの!」しかし妹を見捨てるわけにもいかず、2度とこんな罪を犯さないと約束させ、喜隠の命だけは助けてもらうことにした。崇徳(スウトク)宮に胡輦がやって来た。燕燕は喜隠のことだと察しがついたが、これまで二姐を思って喜隠を生かし続けた結果、身勝手な陰謀を許してしまったと後悔する。しかし大姐の功績に免じて喜隠の命乞いに来たのなら応じることにした。「でも次はない」「分かってる、どのような処分にするの?」「…2度と顔も見たくないわ」胡輦のとりなしで喜隠は極刑を免れたものの、祖州に幽閉という厳しい処分になった。母と見送りに来た留礼寿は父のため皇后を倒してみせると奮起する。しかし喜隠は憤怒の気持ちを隠すことを学べと助言した。「奴らの信頼を得て弱みを握れば機会も訪れよう」喜隠は我ら家族が再び集うためには帝位を奪うしかないと訴え、すべて馬鹿息子に懸かっていると言った。蕭海瀾(ショウカイラン)は露店で目をつけていた瑪瑙の腕輪を買いにきた。しかしすでに売れてしまったという。「海瀾姑娘、お探しの腕輪はこれかい?」実はその腕輪を買ったのは耶律斜軫(ヤリツシャシン)だった。斜軫は腕輪で海瀾の気を引こうとしたが、海瀾は取りつく島もなく帰ってしまう。「バカみたい、私は軽くないの!」玉簫(ギョクショウ)が懐妊した。いささか驚いた景宗だったが、それでも耶律皇族の子孫を宿したのはめでたい。すると早速、景宗の侍従・阿辛(アシン)から撒懶(サツラン)へ情報が入った。撒懶は趙王妃に景宗が密かに妃を置き、その妃が身ごもっていると報告する。「陛下は母子の安泰を願うため1万貫を費やしたとか…でも皇后はご存知ないかと」烏骨里はすぐ参内し、燕燕に景宗が陰で女を侍らせ、子供まで作ったと教えた。寝耳に水だった燕燕はにわかに信じられなかったが、烏骨里は事実だと断言する。「許嫁と引き裂かれ無理に嫁がされたのに、陛下はどういうつもりかしら?!」「知らせに感謝するわ」「燕燕、よく考えるのよ」烏骨里は妹想いの姉を演じて帰って行った。「遼に皇子が生まれるというのに、皇后である私が最後まで知らぬとは…」燕燕はその事実に大きな衝撃を受けた。( ̄▽ ̄;)もう皇子決定なの?w玉簫は琵琶を披露したが景宗は上の空だった。何かあったのか聞いてみると、実は皇后が自分の懐妊を知ったという。不安が募る玉簫だったが、景宗は心配せず散歩に行って来いと送り出した。散策に出た玉簫だったが、不安は拭えなかった。「忽列(コツレツ)?喜哥(キカ)小妃は死を賜ったそうね?」「はい、皇后を敬わず、やがて謀反に関与したのです」「そうだったの…」その時、玉簫は子供が転ぶのを見て慌てて駆けつけた。「泣かないで、大丈夫よ…」玉簫はすり切れた子供の手に手巾をまいてやる。「あなたはだあれ?初めて会うわ」「私?…彰愍(ショウビン)宮の者よ」「父上の寝宮?父上はお元気?ご病気の父上を邪魔しないよう母上に言われているの」その子供は皇女・耶律観音女(ヤリツカンノンジョ)だった。するとそこへ皇后が現れる。「母后!なぜここに?」観音女が嬉しそうに母の元へ駆けつけると、燕燕は娘を乳母に任せた。「あなたが玉簫ね?身重なのだから楽にしなさい…愛らしいわね」皇后はそう言って玉簫の前を通り過ぎて行った。(´・_・)ノ<可愛い人ね、ハベル?…♪めーもり〜(←分かる人だけでwその夜、景宗は自分の口から燕燕に釈明することにした。燕燕は淡々と玉簫に会ったことを伝え、側室として長寧(チョウネイ)宮に住まわせてはどうかという。「すまない」「皇帝だもの、本来は妃嬪を置いて当然だったのよ、謝る必要はない」「朕は身体が弱く、この命は蜻蛉のようにはかなく消える… 遼を背負う重責をそなた1人に押しつけ、己はありふれた暮らしを求めた 玉簫といると皇帝であることを忘れられる…」「愛しているのね…」燕燕は景宗が誰かを愛したことではなく、事実を隠していたことに腹が立ったと言った。しかし実際に玉簫と会い、人柄も良さそうだと分かったという。「普段、政務に追われてあなたを気遣えず、己を責めていた…あの人がいれば私も安心できます」燕燕は気丈だったが、泣き腫らしたのか目が真っ赤だった。すると景宗は燕燕を抱きしめ、自分の非を認める。「私が悪かった、そなたの広い心に感謝したい」_ ̄#)なんなん?いやなんなん?死ぬ死ぬ言って子供作ってなんなん?!その時、ふと風が吹いて徳譲の鈴がなった。( ̄꒳ ̄)やだもう~徳譲ったら~w一方、留礼寿は撒懶から景宗の病が重く、手の施しようがないと聞いた。「余命わずかでしょう」そこで留礼寿は秋捺鉢(ナバ)を利用し、父の救出と兵権奪回に動くと決めた。( ̄▽ ̄;)この親にしてホニャラララ~玉簫が皇子を出産した。景宗は薬師瑠璃光如来の名の下に託し、幸ある人生を送れるよう薬師奴(ヤクシド)と名付ける。すると燕燕は必ずや立派に育てると約束した。「玉簫母子のことは任せたぞ」景宗は薬師奴の将来も遼の未来も見ることができないと悟り、耶律休哥(ヤリツキュウカ)を呼んだ。「そなたに尋ねたい、遼の未来が見えるか?」「はい、遼には陛下と皇后が14年間、苦労して築いた礎があり、民も安泰でしょう 大皇子は文武両道で温和で誠実、将来は明君となるはずです」景宗は自分もそう信じているが、遼は建国以来、幼帝を立てたことがなかった。そこで皇族の中で最も名高い家の家長である休哥に耶律一族を託したいという。「大于越(ダイウエツ)は百官の上に立つ位だ、屋質(オクシツ)大王のような遼の柱石となってもらいたい 耶律一族の指針となって欲しいのだ、そなたは応えられるか?」実は景宗はすでに聖旨を準備していた。休哥は腹をくくり、皇后を支え国を安定させると誓う。どうやら景宗は自らの死期が近いことを悟り、着々と準備を進めているようだった。つづく( ゚ェ゚)残すところ8話?まさかここにきて浅はか一家の大冒険とは…
2021.10.23
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第39話「孤立無援」韓徳譲(カントクジョウ)の妻・李思(リシ)が皇后から下賜された毒酒で急逝した。やましいことがない皇后・蕭燕燕(ショウエンエン)は堂々と弔問に現れ、人払してから自分の仕業ではないと訴える。「青哥(セイカ)は行方知れず、今のところ真相は何も分からない でも悲しみのあまり逃げては駄目、あなた以外に真相を明らかにできる人はいないのよ? まさか真の敵を野放しにしておくの?!」しかしすっかり憔悴した徳譲は上京(ジョウケイ)に戻ったことを後悔するばかりだった。李思から何度も災いを避けるよう忠告されながら、結局、こんな最期を迎えてしまったと涙する。すると燕燕は徳譲の協力をあきらめ、自分の名誉のためにも徹底的に調べると言って帰った。韓徳譲の冷たい反応に燕燕は衝撃を受け、自分を疑っていると分かった。ともかく景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)に真相究明を願い出るため彰愍(ショウビン)宮を訪ねたが、ちょうど散歩に出ていて留守だという。仕方なく景宗が戻るのを待つことにした燕燕、しかしふと景宗の寝台に女物の手巾が落ちているのを見つけた。「急用を思い出したゆえ帰る」侍従・阿辛(アシン)は皇后を見送ると、皇后が手巾に気づいたと分かってほくそ笑んだ。侍女・良哥(リョウカ)は彰愍宮の支給品を調べて皇后に報告した。実は景宗が捺鉢(ナバ)の際に玉簫(ギョクショウ)という宮女を連れて帰り、小妃同様の待遇を受けているという。憤慨した燕燕は急にめまいを起こし座り込むと、ちょうど皇太妃・蕭胡輦(ショウコレン)が訪ねて来た。妹の異変に気づいた胡輦はすぐ迪里姑(テキリコ)を呼んだ。迪里姑は過剰な疲れと心にかかる重圧が原因だと話し、直ちに養生するよう告げる。すると迪里姑は薬の準備のため出て行った。胡輦は人払してから何があったのか聞いたが、燕燕は自分で解決できるという。「分かったわ、話したくなったらいつでも呼んで」燕燕は大姉に弱音を吐けなかったが、良哥に思わず疲れたと漏らした。胡輦を呼んだのは実は良哥だった。屋敷に戻った胡輦は良哥が自分を頼ったのは景宗と燕燕の間に何かあったからだと気付く。確かに妙なことが続いていた。「皇女の出生の噂の後、韓徳譲に毒酒が贈られ、燕燕が嫉妬して夫人を殺したと噂が立った…」これで燕燕の名声は地に落ち、当然、韓徳譲は都を追われるだろう。景宗の病は重く、燕燕は頼みの臣下を失い、名誉も損なわれれば群臣は離れ、摂政が不可能となる。それで利を得る者がいるのだ。٩( ᐛ )و<誰だか知ってるーっ!@視聴者一方、療養中の景宗は婆児(ハジ)から燕燕が迪里姑を呼んだと聞いて心配していた。もし韓徳譲まで噂を信じたのなら燕燕の怒りも当然だろう。玉簫は思わず皇后に会ってはどうかと進言したが、景宗は少し落ち着いてから話すと言った。燕燕は耶律休暇(ヤリツキュウカ)と耶律斜軫(ヤリツシャシン)に青哥捜索を命じた。すると町に出た斜軫が偶然、露店で買い物をする蕭海瀾(ショウカイラン)を見かける。斜軫は配下に捜索を命じ、その隙に海瀾に屋敷まで送って行くと声をかけた。しかし海瀾は無視して帰ってしまう。青哥の遺体が発見された。干し草の山に隠されている遺体を農民が発見したという。検視役人の話では死後2日、つまり李思が毒酒を飲んで死亡した日だ。燕燕は誰かが青哥を利用して自分を陥れたのだと確信し、必ずや青哥の敵を討ち、自分の潔白を証明すると誓う。一方、韓徳譲も信寧(シンネイ)から青哥の遺体が城外で発見されたと聞いていた。毒酒を届けてすぐ口封じに殺されたのだろう。あの毒酒は本来、自分に届けられたが、偶然にも参内するよう命じられて難を逃れた。恐らく第2の噂は殺し損ねた黒幕が自分と皇后を離間させ、追及から逃れるために流したに違いない。徳譲は初めから燕燕を疑っていなかったが、あえて黒幕の狙い通り冷たくあしらった。「趙(チョウ)王に監視をつけろ、絶対に関わっている」٩( ᐛ )و <知ってた!@視聴者耶律虎古(ヤリツココ)は密かに景宗と謁見した。実は青哥の遺体が見つかっても皇后が捜査をやめず、両院の皇族たちから恨みを買っているという。「彼らを怒らせれば精鋭ぞろいの皮室(ヒシツ)軍でも勢いを止められぬでしょう…」虎古は遠回しに脅しながら、そろそろ皇后の摂政を終わらせるよう匂わせた。これに憤慨した景宗は自分と皇后は一心同体であり、不満があるなら自分に言えと声を荒げる。虎古は慌てて引き下がったが、景宗は再びうごめき出した老臣たちにため息を漏らした。「婆児、崇徳(スウトク)宮へ向かう」景宗は燕燕を訪ねたが、燕燕はどこかよそよそしかった。ともかく皇族の恨みを買わないよう今回の件は終わらせてはどうかと勧めたが、燕燕は徹底的に調べねば皇女と自分の名声を取り戻せないと反発する。「なんと言っても我らは夫婦だ、そなたのすることは全力で支持する」「本当に?今も私に対してそのような思いを?」「どんな時でもそなたはかけがえのない″皇后″だ」すると燕燕は深く落胆し、この件は自分で何とかすると言った。一方、燕燕を案じる胡輦は2つの噂の出どころが趙王府だと知った。家職・高六(コウリク)が調べたところ、2つ目の噂の出どころは趙王妃だという。何でも烏骨里(ウグリ)は数々の集いに現れては″李氏は噂を広めたゆえ皇后に殺された″と話し、多くの者が信じていた。胡輦は趙王府に烏骨里を訪ねた。そこで2つの噂を流して燕燕を苦しめたと非難したが、烏骨里は侮辱されたと憤慨する。「燕燕は韓徳譲を愛していたし、李氏を殺すこともあり得るわ それに(出生の噂の出どころが李思だと)教えたのは燕燕のためよ」烏骨里は姉を追い返すと、撒懶(サツラン)に屋敷に噂を流した者がいないか調べるよう命じた。「噂の元がここではないと大姐に証明してみせるわ!」すると烏骨里の侍女・重九(チョウキュウ)の様子がおかしくなった。重九は早朝、荷物を持って屋敷を逃げ出した。しかし門を出たところで撒懶につかまり、連れ戻されてしまう。その様子を侍女・瑰引(カイイン)が見ていた。瑰引は急いで王妃に報告、重九が殺されてしまうと泣きついた。驚いた烏骨里は瑰引と一緒に物置小屋へ駆けつけたが、すでに重九は血だらけで息絶えている。烏骨里は激高し、耶律喜隠(ヤリツキイン)の書斎へ乗り込んだ。「なぜ重九を殺したの?!20年も私に仕えたのよ!」喜隠は重九が盗みを働いたとごまかしたが、烏骨里はすぐ嘘だと見抜いてハッとした。「まさか、大姐の話は本当だったの?噂を広めたのはあなたね? …李氏の死にもあなたが関わっている?!」烏骨里は家族に手を出さない約束だと声を荒げた。しかし喜隠は姉妹に手は出していないと言い訳し、倒したいのは韓徳譲だという。「重九は知るべきでないことを知って逃亡を図り、燕燕と胡輦にすべて話す危険があった …愛妃よ、私が一番、大切だと言ってくれただろう?」喜隠は烏骨里の手を握りしめ、自分が犠牲をいとわず戦う理由を忘れないで欲しいと訴える。すると烏骨里は大姐と燕燕にだけは手を出さないよう約束させた。侍女・福慧(フクケイ)は青哥が双子だったことを思い出し、胡輦に報告した。「蘭哥(ランカ)は農場で暮らしていて青哥とうり二つです 性格は全く違いますが知らぬ者は全く気づきません」いよいよ趙王府にも耶律休哥(ヤリツキュウカ)の捜索がはいった。証拠は何もなかったが、烏骨里は喜隠に蘭哥を始末してあるのか確認する。実はすぐ蘭哥を探したが逃げられ、その後、皇后の捜査が厳しくなって追跡できずにいた。「生かしておいてはだめよ、燕燕は激怒してる、あなたの関わりを知れば許さないわ」しかし喜隠は見張られているため動けないという。「私が行く」胡輦と福慧は蘭哥の居場所を見つけた。天幕には誰もいなかったが、食べかけの皿を見た胡輦は隠れていると気づく。「私は胡輦よ、青哥のことで来たの…青哥は死んだわ、お前の主の仕業よ?お前も命を狙われてる」しかしその時、烏骨里が現れた。胡輦が天幕を出ると、高六がちょう烏骨里を阻んでいるところだった。「烏骨里、やはり知っていたのね…喜隠を助ければ燕燕と敵同士になるわ」「いいえ!燕燕を傷つけたりなんてさせない、でも喜隠の危機は見過ごせないの」烏骨里は今だけ大目に見て許して欲しいと懇願したが、胡輦はむやみにかばえば取り返しがつかないと警告する。「戻りなさい、蘭哥ならもう逃したわ、疑うなら確かめて」胡輦は今度ばかりは喜隠を助けられないと妹を突き放した。烏骨里は仕方なく帰った。これまで母との約束を守り妹二人を守って来た胡輦、しかし幼かった妹たちも成長し、今では自分の考えを持っている。「…私の手にはもう負えない」つづく( ゚д゚)えー!まさかの双子ネタwこれで3姉妹はみんな侍女が1人になっちゃったのね…
2021.10.23
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第38話「悲しき別れ」景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)は捺鉢(ナバ)で渤海(ボッカイ)が献上した美女・玉簫(ギョクショウ)と共寝していた。この事実を皇后に隠していると知った趙(チョウ)王・耶律喜隠(ヤリツキイン)は絶好の機会が来たと喜び、韓徳譲(カントクジョウ)を味方にしようと企む。一方、燕燕(エンエン)は皇宮に戻った景宗が発作を起こしたと聞いた。驚いた燕燕はすぐ侍医・迪里姑(テキリコ)を呼んだが、そこでようやく景宗が余命いくばくもないと知る。すでに劇薬で痛みを止めるしかなかったが、実は景宗が痛み止めの件を皇后には知らせないよう命じていた。燕燕が彰愍(ショウビン)宮に現れた。婆児(ハジ)は慌てて大きな声で皇后の来訪を伝えると、景宗は側にいる玉簫に侍女の横で控えるよう指示する。そこへ燕燕が入って来た。「全員、下がって…」燕燕は見慣れない侍女を一瞥したが、気にも止めなかった。燕燕は南朝から最高の医者を呼ぶと言った。しかし景宗は自分の身体は自分が一番よく分かっているという。「朕はただ残された年月を穏やかに過ごしたいだけだ」「明扆(メイイ)…」( ๑≧ꇴ≦)騙されないで~燕燕!w韓徳譲は燕燕から景宗の状態を聞いて驚いた。何があろうと補佐すると励ます徳譲、しかしまた屋敷から李思(リシ)の具合が悪いと知らせが届く。徳譲は仕方なくすぐ帰ったが、李思は元気そうに刺繍をしていた。「なぜまたこんなことを…」「どんなに嫉妬深い女子だと思われてもいい、2度と参内しないでください」李思は新政に関わるだけでも命懸けだというのに、景宗と皇后の間に立つのは危うすぎると訴えた。人の噂は恐ろしいもの、近頃は景宗も気分の浮き沈みが激しく、何が起きてもおかしくない。「旦那様、朝議以外の参内はやめてください」「…考えさせてくれ」徳譲は庭園に出てひとり悶々としていた。そこへ信寧(シンネイ)が駆けつけ、趙王府から招待状が届いたという。耶律喜隠は韓徳譲を呼び出し、景宗が皇后に政務を押しつけ、その間に密かに渤海の娘を娶ったと教えた。後宮に入り浸って朝政を顧みない景宗など君主にふさわしくない。喜隠は力を貸してくれるなら燕燕とよりを戻させてやると懐柔した。「…趙王、もうおやめください(←全視聴者が同意w) 今日この場で出た話は聞かなかったことにいたします(←全視聴者がうなずくw)徳譲は景宗の即位でようやく太平となった遼で内乱が起きることなど誰も望んでいないと釘を刺した。燕燕は久しぶりに景宗と一緒の時間を過ごした。すると景宗は文殊奴(モンジュド)を梁(リョウ)王に封じ、斡魯朶(オルド)を持たせてやりたいという。燕燕はまだ幼いと驚いたが、景宗の言う通りにすると決めた。2人が中庭に出ると、ちょうど文殊奴と観音女(カンノンジョ)が水廊で遊んでいた。子供たちは久しぶりに元気な父の姿を見て喜び、急いで駆け寄る。すると観音女が父は唐の太宗のようだと絶賛し、景宗は思わず誰がそんなおべっかを教えたのかと笑った。「乳母です、父上に好かれたらずっと宮中にいられるって…」驚いた燕燕は他に何を教わったのか聞いた。「韓枢密使とは話さないようにって…私のためだと言いました」景宗と燕燕は書斎に乳母を呼んで追及した。すると乳母が恐る恐るある噂を小耳に挟んだと告げる。「二皇子は皇后が幽州にいた時、身ごもられました、それで… 公主の好みも陛下とは似ても似つきません 私は公主が巻き込まれないよう、韓枢密使から離した方がいいと思ったのです」驚いた景宗は婆児にすぐ調査を命じたが、そこへ韓徳譲が慌てた様子でやって来た。景宗と燕燕はてっきり二皇子の父が韓徳譲であるという噂の件だと思ったが、徳譲は何も知らない。そこで婆児が咄嗟に耳打ちして知らせると、憤慨した徳譲は必ず出どころを突き止めると約束した。「で今日は…」徳譲は景宗に話があったが、趙王妃・烏骨里(ウグリ)が現れ、結局、そこで帰ってしまう。すると烏骨里は景宗が休めるよう外で話そうと燕燕を誘い出した。実は烏骨里は例の噂を知っていた。しかもその噂を流したのは李思だと断言する。この噂で影響を一番受けるのは韓徳譲、夫の宮中入りを反対していた李思は夫の出世の道を断ち、幽州へ戻ろうとしているのだ。燕燕は半信半疑だったが、徳譲に参内するよう命じた。屋敷へ戻った韓徳譲は李思と食卓についた。すると侍女・芸児(ウンジ)が見慣れない酒器を運んでくる。実は皇后の侍女・青哥(セイカ)が屋敷に届けてくれた酒だった。「皇后娘娘が労いの印に韓大人に贈ってくださったのよ?せっかくのご厚意ですから」「君ときたら、またそんな言い方をして」「ふふっ」しかし徳譲が酒を飲もうとした時、信寧が駆けつけた。「皇后がすぐ参内せよと…急な相談があるそうです」徳譲は景宗に何かあったのかと驚き、杯を置いて席を立った。「行かないで、2度と参内しないはずでしょう?」「思児、これが最後だと約束する、噂の元を調べたら…」「やっぱり噂が立ったの?!皇后とは距離を置くべきよ!どうして分かってくれないの?」「思児、帰ったら話そう」韓徳譲は燕燕から噂を流したのが李思だと聞いた。しかし徳譲は妻ではないと否定する。その頃、李思は悲しみに暮れ、飲めない酒で虚しさをまぎらせようとした。「少しだけなら大丈夫よ…死ぬわけでもあるまいし…」李思は芸児が止めるのも聞かず、皇后から下賜された酒を飲んでしまう。一方、徳譲は病に伏せる妻が噂を広めることなどできるはずがないと訴えていた。燕燕は念のため確かめて欲しいと頼み、もし李思の仕業なら追及しないという。そこへ侍従・双古(ソウコ)が駆けつけ、韓夫人が死にそうだと知らせた。「毒酒を飲んだそうです」韓徳譲は侍医を連れてすぐ屋敷へ戻ったが間に合わなかった。芸児の話では皇后から賜った酒を数杯、飲んだだけで血を大量に吐いたという。「老爺、きっと皇后娘娘が夫人を殺すために毒酒を贈ったのです!」しかし徳譲はまだ何も考えられず、人払いした。「思児…私を許してくれ…夫として失格であった…」翌朝になっても青哥は見つからなかった。燕燕は上京中を探すよう命じ、生死を問わず青哥を見つけた者に褒美を出すという。一方、燕王府では徳譲が一睡もせず李思を弔っていた。李夫人は娘の訃報を聞き、倒れてしまったという。韓匡嗣(カンキョウシ)は思い詰めた様子の息子を心配したが、こんな時に皇后が弔問にやって来た。燕燕は堂々と弔問に現れた。焼香を済ませた燕燕は人払いしてから、毒酒は自分ではないと訴える。しかし韓徳譲は自分が上京に連れて来なければ李思は死ななかったと悔やんだ。「今はただ思児を静かに眠らせてやりたいのです…」つづく( ̄▽ ̄;)え?これって…まさか…烏骨里ですか?!つまり姉の裏切り、徳譲と離間、景宗は浮気…ってどうなる燕燕?!(O_O)
2021.10.16
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第37話「妻の不安」燕(エン)王・韓匡嗣(カンキョウシ)の処分を巡って皇后・燕燕(エンエン)と言い争った景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)。自分でもこれほど激高したことに驚き、もはや身体が過労に耐えられず、感情を制御できなくなっていると実感する。その夜、燕燕は自分の過ちだったと認めたが、景宗も燕燕に怒りをぶつけるべきではなかったと謝罪し、2人は和解した。摂政皇后の燕燕が韓徳譲(カントクジョウ)の協力のもと進めて来た新政がいよいよ公布された。新政では全ての領地で税制を改正、領民は地方官府と領主に税を支払う。また鐘院(ショウイン)を復活させ、冤罪を訴える者の言い分を聞き、それでも冤罪を晴らせない場合は御史台に訴えることが認められた。そして南京(ナンケイ)では科挙を試行、幽(ユウ)州と渤海(ボッカイ)の者にも受験を許す。こうして燕燕は静養中の景宗に代わり朝政を執りながら、無事に二皇子・胡都菫(コトキン)を出産した。韓徳譲と耶律休哥(ヤリツキュウカ)は自ら軍営を巡回、新制度で兵をふるい分けた。皮室(ヒシツ)軍では不適任者を除名し、各部族の私兵は州や県に編入させ、勇猛な者がいれば朝廷に報告して禁軍に入れる。つまり徳譲は兵権の集約で反乱を防いでいた。景宗はさすが徳譲は期待を裏切らないと絶賛し、また科挙を行うことで貧家の子弟も仕官が叶うことを喜ぶ。「先祖の夢の漢制改革が朕の代で完成する、意義ある人生だ そなたと韓徳譲に是非とも言いたい、心から感謝している」宿願を果たし、可愛い子供たちにも恵まれ、感慨無量の景宗、何より遼には燕燕という素晴らしい皇后がいた。景宗の病状は悪化の一途をたどり、迪里姑(テキリコ)にも手の施しようがなかった。そこで韓匡嗣を訪ねたが、韓匡嗣も天意に逆らうことはできないという。「そなたの話だと陛下の余命は2年だろう…」実は迪里姑は病魔に苦しむ景宗を見ていられず、劇薬を使っていた。景宗は薬が変わったことにすぐ気が付き、自分の命はもう尽きると漏らしたという。「もしかすると陛下はもうあきらめたのかと…」迪里姑は思わず涙ぐんだ。「もし薬で苦痛を和らげられるなら…それもよかろう」韓匡嗣はこれが天命だと告げ、迪里姑を慰めた。一方、幽(ユウ)州で蕭海瀾(ショウハイラン)に一目惚れした耶律斜軫(ヤリツシャシン)は蕭達凛(ショウタツリン)に仲立ちを頼んだ。しかし斜軫といえば愚行も多く、達凛は渋い顔をする。「本当に真剣なんです、だから求婚する時に皇后娘娘と蕭討古(ショウトウコ)大人の前で褒めてください」斜軫は努力して南院大王から南京留守になり、幽州に常駐したいという。「海瀾のためなら身も心も差し出します!」それを聞いた達凛は、実は海瀾が皇女の相手をするため上京(ジョウケイ)に来ていると教えた。まじかっ!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/›› 敬って損した!近頃、国境付近が不穏になり、燕燕は万一に備えて捺鉢(ナバ)行きを断念した。「燕燕、遼の天下はそなたの肩にかかっている、苦労をかけるな」「夫婦は一心同体よ?心配せずに行って来て…」こうして景宗は燕燕に病状を伏せ、捺鉢へ出発した。景宗は病を押して族長たちとの酒宴や狩りをこなした。ひと段落した景宗は草原を散策していたが、少し歩いただけでも息切れがする。するとどこからともなく美しい琵琶の音が聞こえて来た。景宗はお供を待たせ、婆児(ハジ)の手を借りて琵琶を弾いている娘の元へ向かう。その娘は外見からして渤海部が献上した美女36名の中の1人だと分かった。しかし娘はその高貴な公子が誰か分からず、困惑してただ黙っている。景宗は仕方なく戻ることにしたが、その時、急に激しい頭痛に襲われ立ちくらみを起こした。「どうかしましたか?」娘は医術の心得があると伝え、景宗の首を揉んでほぐしてやる。「かたじけない、姑娘」「陛下、早く帰りましょう」「陛下?!…玉簫(ギョクショウ)が拝謁いたします」玉簫はこの公子が景宗だと知り、慌ててひざまずいた。そこで婆児は玉簫も軍営に連れて行ってはどうかと提案する。「お加減が優れない時、痛みを和らげてくれます」「うむ…手配せよ」一方、李思(リシ)は韓徳譲が景宗の留守に参内するのを嫌った。そこで夫が出かけると決まって具合が悪いと知らせ、屋敷に呼び戻してしまう。侍女・青哥(セイカ)はそんな韓夫人に憤慨したが、燕燕は潔白だからと気にしなかった。李思は未だ子供を授かれず焦っていた。怪しげな医者を呼んでは無駄な金を払い、韓徳譲も頭が痛い。「夫人、これが私たちの運命なら無理に求める必要はない」「あなた、側女を迎えてください、韓家の子孫を絶やすことはできないもの…」「私の兄弟は多い、皆、子供がいる、側女の話は2度と出すな」しかし李思は夫が妾を拒むのは自分のためではなく燕燕のためだと疑った。今でも2人の仲を怪しみ、燕燕がいつも徳譲だけ呼びつけると不満をぶつける。徳譲は他にも人がいるとなだめたが、李思の不安は消えなかった。「まるで嫉妬深い女よね?…でも怖いの 新政で皇族の権力が弱くなったら大勢の恨みを買うわ、昔あらぬ噂が立ったことを忘れたの?」李思は景宗が徳譲を矢面に立たせているだけだと訴え、いずれ使い道がなくなれば徳譲を生かしておかないという。すると徳譲は李思を抱きしめ、気が済むまで泣かせてやるしかなかった。玉簫は軍営で甲斐甲斐しく景宗の世話を焼いた。やがて捺鉢も終わりに近づく頃、景宗は玉簫に想い人がいるなら故郷に帰すと告げる。しかし玉簫はひざまずき、景宗に仕えたいと懇願した。景宗一行は帰途についた。馬車の中では玉簫が景宗の世話をしていたが、入内することに不安が募る。「心配せずとも皇后には朕から話す、そなたは朕の女だ、もちろん身分を与える そなたは朕のそばでこまやかに世話をしてくれる」「うふふ~では皇后は?」「皇后か?…皇后はいわば天が遼に与えた宝だ」すると玉簫は複雑そうな顔を見せた。「…そなたは分をわきまえておるが、それでも忠告しておこう 何があろうと皇后の地位は永遠に揺るがぬ、よいな?」「分かっています」燕燕は開皇殿の前で臣下たちと景宗を出迎えた。皇后の手を取り石段を上って行く景宗、馬車の後ろには玉簫がひざまついていたが、燕燕の目に留まることはない。一方、趙(チョウ)王府に戻った耶律喜隠(ヤリツキイン)は撒懶(サツラン)から面白い情報を得た。実は侍従・阿辛(アシン)から景宗が渤海の女子と共寝したと聞いたという。しかも皇后には伏せてあるらしい。「ついに機会が巡って来たぞ(←いや何度目?w)、韓徳譲を呼んで昔話でもするか…」喜隠は南院の兵馬を握る徳譲の支持を取り付ければ怖いものなしだとほくそ笑んだ。つづく(  ̄꒳ ̄)死ぬ死ぬ~からの共寝って…
2021.10.16
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第36話「改革への扉」韓徳譲(カントクジョウ)はこの数年、頭の中で考えて来た構想を一晩で書き終えた。そこで翌朝、行宮の皇后に謁見し、改革案を上奏する。燕燕(エンエン)は見事に遼(リョウ)が直面する問題を言い当てていると感心し、その手腕を開皇殿で振るうべきだと説得した。しかし徳譲は改革を行えば草原の八部族を敵に回すことになり、幽州でさらなる抵抗に備えなければならないという。「ならば改革は遼と民にとって何の利もないのでは?」「いいえ、遼を長く安定させ、軍民の心を得ることができましょう」その時、2人の話を回廊で聞いていた景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)が入ってきた。「やはり韓大人は朕の心を分かっている…皇后よ、身重なのだ、かしこまる必要はない」景宗は拝礼する燕燕を立たせたが、徳譲はこの時、初めて皇后の懐妊を知った。景宗は韓徳譲が今も国を思って考えを巡らせていてくれたことに感激した。そこで皇后が言った通り開皇殿で理想を実現すべきだという。しかし徳譲は言うは易く行うは難しだと言った。改革を行えば皇族や高官が権益を損い、部族が結束して新政に抗えば世宗の二の舞となる。すると燕燕はこのまま遼の衰退を坐視していても同じこと、困難な道でも一歩ずつ進めば頂へ着くと訴えた。景宗は自分も皇后と同じ気持ちだと言ったが、徳譲は返事を保留する。「幽州での暮らしが長く、妻も病気がちゆえ、少し考えさせてください」景宗は燕燕が徳譲に懐妊を隠していたことをいぶかしんだ。しかもその夜、燕燕は勅命を出してでも徳譲を上京へ戻すべきだという。「だが朕はすでに誓ったのだ…韓徳譲の望まぬことを2度と強いたりしないと…」燕燕はその意味をすぐ悟ったが、決して諦めなかった。「韓徳譲が上京に戻るまで改革への扉は開かない、遼だけでなく陛下にもあの人が必要よ?」すると景宗は話を切り上げ書斎へ向かったが、結局、寝所には戻らなかった。翌朝、目を覚ました燕燕は隣に明扆(メイイ)がいないと分かった。良哥(リョウカ)の話では景宗が書斎にこもり、誰も入れぬよう命じたという。「何をお考えなのでしょうか…」そこへ双古(ソウコ)が駆けつけた。韓夫人が訪ねて来たという。「…脇殿に通して」李思(リシ)は皇后の姿を見てすぐ身重だと分かった。「またご懐妊とは羨ましいかぎりです」「焦る必要はない、いずれ大勢の子に恵まれるであろう」すると李思は夫から上京へ戻る話を聞いたと切り出した。夫はまだ決めかねているようだが、上京での噂は夫にとって耐え難いことだと訴える。「夫とは十数年、連れ添って参りました、私の望みは平穏な日々だけ 娘娘も女子なら私の気持ちがお分かりのはずです…どうかお聞き入れを」その時、景宗がちょうど脇殿の隣にある書庫にやって来た。(  ̄꒳ ̄)盗み聞き多過ぎ~しかも主上なのにw燕燕は韓徳譲の才能を高く評価した。「韓徳譲は見識の高い立派な男で、私欲に走ることもなく、こたびの功績で世にその名を知らしめた それだけの力量と才能を持っている 国のためにも民のためにも、そして本人のためにも流言に惑わされ機を逃してはならぬ 上京こそが韓徳譲のいるべき場所だ …天下の前には情など意味を成さぬ、まさか永遠に夫を幽州に縛り付けておく気か?」燕燕はこれ以上、話しても無駄だとばかりに李思を見送るよう命じた。すると李思は思わず帰り際に捨て台詞を吐いてしまう。「娘娘のおっしゃる通りです、私はあの人をよく分かっていない…でも誰より愛しています」李思が出て行くと、青哥(セイカ)は何とも無礼な夫人だと憤慨した。しかし燕燕は李思には理解できないのだとため息をつく。「構わぬ、愛にとらわれるだけの女だ」耶律賢は燕燕が情からではなく、国や民のために韓徳譲の復帰を熱望していると知った。その思いに胸を打たれた景宗は、勅旨ではなく自分なりの方法で説得してみると燕燕に告げる。するとその夜、韓徳譲の屋敷に景宗が現れた。実は景宗は長く心にわだかまっている疑問があるという。「お前に聞いてみたい…おまえにとって朕はまだ明君と言えるだろうか?」「当然、明君です」しかし景宗は徳譲が頑なに上京へ戻るのを拒む理由は自分に失望しているためだと肌で感じていた。景宗と韓徳譲はかつて生死を共にする友だった。しかしあの一件がきっかけとなり、今では別々の道を歩んでいる。「時折、残念になるのだ、朕は皇后を得たが″燕燕″を失い、韓大人を得たが″徳譲″を失った だがこうも思う、天が再び機会をくれたとしても同じ選択をするだろう」すると景宗は徳譲の前でひざをついた。驚いた徳譲は慌てて景宗を立たせようと手を伸ばしたが、景宗はその手をつかんで説得する。「四哥(スーグァ)…私の身体は日に日に弱くなる、まだ皇子が幼いゆえ燕燕は多忙の身だ 私が死ねば遼は混乱に陥るだろう、遼だけでなく燕燕にもお前が必要なのだ 約束する、上京に戻ってくれたら何をする時も私が味方となろう」徳譲は景宗の心からの言葉にわだかまりが解け、ついに決心した。そして景宗の前にひざまずき、遼のために尽くすと誓う。回廊で様子を見ていた李思は夫の決断を目の当たりにし、涙に暮れた。…保寧(ホネイ)11年、韓徳譲の父・韓匡嗣(カンキョウシ)は総帥の任を受け、南府宰相・耶律沙(ヤリツサ)、惕隠(テキイン)・耶律休暇(ヤリツキュウカ)と共に南朝軍の追撃を命じられた…韓徳譲は南院枢密使に封じられた。すると耶律虎古(ヤリツココ)は南院の軍事をつかさどる要職のため、これまで通り老臣が努めるべきだと上奏する。趙(チョウ)王・耶律喜隠(ヤリツキイン)も虎古を推挙し、一時の功に惑わされず熟考するよう諫言した。しかし燕燕が老臣たちを黙らせる。「臣下は才と功労によって取り立てるものだ 不満があるなら次の南朝軍の襲来で援軍なしで半月、幽州を守ってみせよ その時、朕と陛下はその功に報いるとしよう」趙王府に長老たちが集まった。長老たちは景宗が韓家の言いなりだと不満を漏らし、このままでは遼の朝廷が韓父子の天下になってしまうと不安を募らせる。こうして喜隠は虎古や蜀(ショク)王・耶律道隠(ヤリツドウイン)、平(ヘイ)王・耶律隆先(ヤリツリュウセン)、呉(ゴ)王・耶律稍(ヤリツソウ)と徒党を組み、韓徳譲を失脚させようと考えた。一方、病弱でなかなか懐妊できない娘を心配した李夫人は上京の名医を頼った。「先生の薬をしっかり飲めば来年には元気な子を産めるわ… あ…徳譲は子のことを何か言っている?側室を迎える気は…」驚いた李思は韓徳譲はそんな人ではないと安心させた。景宗と燕燕が食事をしていると急報が舞い込んだ。…韓匡嗣が独断で敵地へ深入りし、降伏を偽った敵に大敗を喫す…すると早速、嗅ぎつけた長老たちが謁見を願い出る。燕燕は断るよう指示したが、景宗は書斎で待たせるよう命じた。「今日、会わずとも、いずれ会わねばならぬ」喜隠と長老たちは韓匡嗣の死罪を上奏した。景宗は犠牲の報告が届いたばかりで決断を迫る喜隠たちの思惑などお見通し、この件は公正な処分を下すと告げて追い返す。しかし息子の功で父親の罪を帳消しにするわけにもいかなかった。韓徳譲は開皇殿の前で父の罪をかぶると嘆願を続けた。徳譲と百官の板挟みに頭を悩ませる景宗、そこへ燕燕が駆けつけ、性急に決断しないよう訴える。「常に即断即決の皇后がなぜ韓匡嗣の命乞いを?朕にどうしろと言うのだ?!」景宗は苛立ちを隠せず、思わず声を荒げた。「あなたに後悔して欲しくないの」韓匡嗣は祥古(ショウコ)山で景宗を救い、それからも治療に当たって景宗の治世に貢献して来た。燕燕は一時の勢いで殺してからでは取り返しがつかないと訴える。「…それでも許さぬと言ったらどうするつもりだ?」「任命責任はあなたにあるのでは?」そもそも韓匡嗣は兵を率いた経験がなかった。景宗は韓家の立場を磐石にしようと急ぐあまり韓匡嗣を総帥に任命し、自らこの局面を招いたに過ぎない。その時、激高した景宗が茶碗を床に叩きつけた。╰( `•ω•) ╮-=ニ=゚➰🍵ガッシャーン! ( ತ _ತ)←冷静な燕燕すると景宗は燕燕に下がるよう命じ、その後、寝込んでしまう。景宗はよもや自分がこれほど激怒するとは思わなかった。すでに身体が過労に耐えられず、感情を制御できなくなっているのだろう。結局、景宗は韓匡嗣が3代の皇帝に仕えた功を鑑みて死罪を免除し、職を解いて幽閉とした。つづく( ˘ω˘ )<構わぬ、愛にとらわれるだけの女だ…頭は相変わらずグッサグッサ挿さってるけど、燕燕、カッコいい!まあ李思の言いたいことも分かる確かに私も好きだわ~ぴんぴんあんあんって音がw
2021.10.10
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第35話「皇后の親征」冀(ギ)王・耶律敵烈(ヤリツテキレツ)が独断で北漢(ホクカン)の救援に向かったが、白馬嶺で待ち伏せしていた郭進(カクシン)たちの奇襲に遭い全滅した。南朝(ナンチョウ)は守りが手薄となった幽州に侵攻、韓徳譲(カントクジョウ)は援軍を要請したが、早馬は全て阻止された。一方、趙(チョウ)王・耶律喜隠(ヤリツキイン)は景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)にまたしても出兵を阻まれ憤慨していた。不満を募らせた喜隠は再び帝位を奪おうと奮起、しかし罨撒葛(エンサーグァ)の末路を見た王妃・烏骨里(ウグリ)は息子には平穏で健やかに過ごして欲しいと訴える。「もう我慢ならん!帝位は息子のためだ、一生、君の妹の息子に臣下の拝礼をさせる気か?!」すると烏骨里は夫について行くしかないと心を決めた。韓徳譲は幽州の城門を必死に死守していた。しかしすでに残りの兵は2000人、さらに北漢が南朝に投降したと知らせが届く。限界が来たと悟った徳譲は最後にもう1度だけ援軍要請の文を送ると決めた。夜になり敵軍の攻撃が一旦、止んだ。韓徳譲は断腸の思いで愛馬・烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)に大役を任せる。「お前と知り合ってすでに十数年、経った…あの時のあの人との出会いもお前がきっかけだ 私に代わり、あの人に伝えてくれぬか?」こうして烏雲蓋雪は伝令兵たちと一緒に城門から駆け出して行った。「燕燕(エンエン)…幽州は孤立無援だ、文が届くことを祈っている」( ;∀;)ウマー嫌々?燕燕は行宮から出た時、なぜか烏雲蓋雪の鳴き声を耳にした。まさか黒山(コクザン)にいるはずないが、その時、すでに息絶えた伝令兵を乗せた烏雲蓋雪が現れる。しかし矢を受けた烏雲蓋雪も任務を果たし、ばったり倒れた。「皇后娘娘、文が…」双古(ソウコ)は皇后に血に染まった文を届けた。文は幽州の危機を伝えている。「急ぎ陛下と臣下で協議する!」景宗は体調が悪く親征は無理だった。さらに南朝軍の進軍に腹を立て頭に血が上り、協議の途中で寝殿に戻らざるを得なくなる。そこで燕燕は摂政として景宗の代わりに親征すると決断した。景宗は日が暮れる頃ようやく体調が戻った。しかし燕燕の姿はなく、政務の補佐を命じられた耶律休哥(ヤリツキュウカ)が控えている。すでに燕燕は耶律斜軫(ヤリツシャシン)と皮室(ヒシツ)軍を5万ずつ率いて幽州へ発っていた。「皮室軍10万だと?少な過ぎる…」景宗は身重の燕燕を心配し、休哥に五院部から8万の兵を出して直ちに追いかけるよう命じた。(  ̄꒳ ̄)え?こんな肝心な時に喜隠は何してるの?w幽州の城門が今にも破られようとしていた。しかし韓徳譲は撤退せず、最後まで戦うと決める。「死ぬなら幽州で死ぬ!燕雲台に上がり、幽州と共に滅びるのだ!」そしてついに城門は敵軍に破壊され、南朝軍が雪崩れ込んできた。燕燕が援軍を率いて幽州に到着した。すると燕雲台で満身創痍の韓徳譲が孤軍奮闘する姿を見つける。その時、敵軍に囲まれた徳譲はついに死を覚悟した。しかし突然、弓矢が敵兵を直撃、吹き飛ばしてくれる。徳譲は一瞬、何が起きたのか分からなかったが、戦火の向こうに愛しい人を見つけた。「燕燕…」援軍の到着に気づいた徳譲はこれで幽州が守られたと安堵し、そのままばったり倒れてしまう。↓燕燕、変なかぶり物wがない方がキレイ!韓徳譲は命に別状はなく、休養すれば治ると診断された。知らせを聞いた李思(リシ)は慌てて駆けつけ、皇后への拝礼も忘れて夫の哀れな姿に涙する。すると燕燕は目覚めたら知らせて欲しいと頼んで行宮へ向かった。行宮に到着した燕燕はかつて穆宗(ボクソウ)が使っていた寝殿に入った。ここで肖古(ショウコ)に扮して命を落としそうになり、運良く韓徳譲に助けられたことが、まるで前世のことのように思える。「まだ若く、無知で恐れを知らなかった日々、もう2度と戻らないのね…」「娘娘、お疲れの時に考え過ぎは身体に毒です、事後処理は大臣たちにお任せを…」「そうね…もう考えないわ」燕燕は久しぶりに燕雲台から草原を眺めた。そこへ韓徳譲がやって来る。「皇后が親征されるとは思いませんでした…来るべきではない」「来たのはこの地を守るため…あの日、ここであなたと話したように私たちは旅人、民こそが永遠よ」徳譲はこの地で親政を進め、民と共に荒地を開墾し、今や幽州からの納税額は毎年、上位だった。景宗も燕燕も徳譲の才が幽州に留まらないと知っている。燕燕は自分と一緒に上京(ジョウケイ)に戻って欲しいと言った。しかし徳譲はあっさり固辞する。「今一度、考えよ、良い返事を待っている」燕燕は海瀾(カイラン)を連れて耶律休哥を見舞った。「蕭討古(ショウトウコ)の娘・海瀾よ 私に付き添い幽州の状況を教えてくれる、文武両道の優秀な娘だわ」休哥は蕭思温(ショウシオン)が敵魯(テキロ)の甥だったと気づき、討古が敵魯の孫を娶ったと思い出す。「確か…朴瑾(ボクキン)公主では?」「(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク、私の母です」すると休哥は上京へいつ戻るのか尋ねた。燕燕は徳譲の同行を待つと答え、このまま南京留守にしておくにはもったいないという。「公事によきことなら私事の問題は些細なこと」休哥は皇后の決断を支持した。翌朝、摂政皇后の燕燕は朝議で今回の高粱河(コウリョカ)の戦いに大勝したことを称えた。そこで耶律休哥は首級、耶律斜軫は次級の功績者とし、上京に戻り次第、景宗から褒美を授けると決める。幽州を死守した韓徳譲と耶律学古(ヤリツガクコ)、及び劉弘(リュウコウ)も高く評価され、褒美を取らせた。また敗走した耶律沙(ヤリツサ)に関しては援軍と敏速に合流して敵を破った功績が認められ、責任は問わないとする。なお冀王・耶律敵烈は戦死のため責任は問わず、ただし逃亡した配下は斬り捨て、他は杖(ジョウ)刑とした。「お待ちください!」そこへ冀王妃・夷蘭(イラン)が現れた。夷蘭は夫の窮地に出兵しなかった徳譲を逆恨みし、遼の親王を見殺しにした罪を償うべきだと訴えた。しかし燕燕は悲しみが深いのだと理解を示し、落ち着いてから話そうとなだめる。「皇后!私情で韓徳譲をかばうのですか?!」「朕は誰もかばわぬ」燕燕は冀王が独断専行し、安易に救援に向かったせいで幽州が危機に陥ったと指摘した。誰もがこの道理を理解していたが、夫を失った夷蘭だけはどうしても納得できない。「韓徳譲、絶対にお前を許さない…」すると衛兵は王妃を連れて行った。( ;∀;)恨まれるヒゲジョー、王妃が何かやらかしそうです燕燕は幽州で契丹人と漢人に落差があり、争いが耐えないと知った。実は太祖、太宗の頃に2種類の法が制定され、漢人の罪には唐の法を適用し、契丹人は契丹の法で裁くことになったという。本来は両者の共存を図るためだったが、近年は同罪でも民族や貴賤(キセン)により判決が異なった。例えば契丹人が漢人を殺しても牛馬で償えるが、逆なら唐の法に基づいて斬罪に処されてしまう。韓徳譲は一国に2つの法は不公平を生み出すと訴え、先帝の頃は法が機能しなかったせいで訴訟が滞り、民は不満を抱いていると報告した。また税収にも格差があるという。漢人は1人ずつ、契丹人は部族ごとに税が課されるため、幽州は事実上、漢人の税で成り立っていた。「現行の不公平な法には言いたいことが山とある」すると燕燕は徳譲に新しい考えがあると確信し、上奏文に書いて欲しいと頼んだ。その頃、町に出た耶律斜軫は偶然、傍若無人に振る舞う男を懲らしめた美しい娘を見かけた。「私は蕭海瀾、父は南京統軍使の蕭討古、皇后は私のおば上よ?相手を間違えたわね」斜軫は早速、声をかけて自己紹介しようとしたが、いきなり顔を引っ叩かれてしまう。「あなたも悪人ね」実は海瀾は斜軫が妓楼がどこか聞いているのを見ていた。韓徳譲は一心不乱に上奏文を書いていた。そばで甲斐甲斐しく世話を焼いていた李思だったが、夫の様子に一抹の不安がよぎる。一方、海瀾に一目惚れした耶律斜軫は耶律休哥を頼った。「どうやって夫人に惚れさせたんだ?」「簡単に教えてたまるか?!」つづく(꒦ິ⌑꒦ີ)ウマー!
2021.10.09
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第34話「去りゆく人々」蕭胡輦(ショウコレン)は草原で耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)の葬儀を行っていた。そこへ皇后・蕭燕燕(エンエン)が現れる。景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)は皇太叔への礼をもって罨撒葛に供物を贈り、胡輦を皇太妃に封じて国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)を託すと決めた。すると燕燕は流産のことを知ったばかりだったと胡輦を気遣い、また授かれるだろうと励ます。しかし胡輦には再婚など到底、考えられなかった。「今まで人のために生きて来た、これからは自分のために生きていきたい…もう嫁ぐ気はないわ 分かっているの、罨撒葛は大罪を犯し、決して許されぬと 頭では分かっていても心は恨みを捨てられない」「そんな価値もないわ、大姐には優しい人だったけれど父上を殺した黒幕なのよ?」「ごうら!価値は自分で決める…罨撒葛は死んだ、どんな大罪も共に天に昇り土へと還る もう言い争いたくもないわ」胡輦は気持ちの整理がつくまで斡魯朶を率いて不穏な北方を守りたいという。驚いた燕燕は危険だと反対したが、胡輦はまさか自分を疑っているのかと聞いた。「北方で独立するとでも?」「…思ってもいないわ」燕燕は胡輦の北方行きを認めるしかなかった。韓徳譲(カントクジョウ)は反旗を翻しかけた冀(ギ)王・耶律敵烈(ヤリツテキレツ)が守る南方を心配し、幽州へ戻りたいと嘆願した。景宗は確かに最大の憂いが解かれると理解を示したが、やはり燕燕は新政の好機に離れることを反対する。「新政は焦らず少しずつ進めるべきでしょう、官職の改革はすでに手がけられた 次は農耕の推進を…」徳譲の進言を聞いた景宗は、十分な兵糧を得れば遼の鉄騎も天下を駆け巡ることができると期待した。しかし燕燕は契丹人に農耕の習慣自体がないと指摘する。確かにそこが大きな問題だったが、徳譲はそれでも遼で最も重要な漢人定住地の幽州に行くことを譲らなかった。↓(꒦ິ⌑꒦ີ)ジョ〜行かないでジョ〜景宗は弟の寧(ネイ)王・耶律只没(ヤリツシボツ)を心配し、迎えに行った。しかし妻の大罪に深く傷ついた只没は俗世に見切りをつけ、余生は全身全霊で仏に仕えたいという。「皇兄、お引き取りを」こうして胡輦は高六(コウリク)、福慧(フクケイ)と共に国阿輦斡魯朶を率いて北へ発った。また韓徳譲も燕王府を離れ、妻の李思(リシ)と共に南へ出発する。その頃、頭にグサグサかんざしを刺したサンタクロースの燕燕は城楼で物思いにふけっていた。「上京が突然、空になった…一夜で全てが変わってしまったみたい…」それから11年の歳月が流れた…Σ( ̄。 ̄ノ)ノ えっ?!皇宮で景宗の再生儀が行われた。再生儀とは12年に一度、皇帝の再生を祝う儀式で、これにより皇帝は病や憂いが消えて魂が安らかとなり、生まれ変わったとされる。間もなく春捺鉢(ナバ)の季節、耶律休暇(ヤリツキュウカ)は北方の各部族が黒(コク)山の行宮へ向かっていると報告した。景宗は懐妊中の燕燕に留守番を勧めたが、燕燕は安定期になったと安心させ、この機会に北方の部族長にも会いたいという。何より自分がいなければ子供たちの世話は難しいだろう。皇子・隆緒(リュウショ)幼名・文殊奴(モンジュド)と妹の観音女(カンノンジョ)は今がやんちゃ盛りだった。その夜、参内した趙(チョウ)王・耶律喜隠(ヤリツキイン)が泥酔して帰って来た。「11年たってもあの軟弱者は生きてるっ!」王妃・烏骨里(ウグリ)は暴言を吐く夫に驚き、慌てて息子と側仕えを下げた。すると喜隠は漢制を進める景宗への不満が爆発、このままでは父との約束も果たせないと嘆き、酔い潰れてしまう。景宗と燕燕は黒山に到着、北方の部族とようやく顔を合わせることが叶った。しかし宴席で景宗が急に咳き込み、喜隠は早速、具合が悪いのかと揶揄する。燕燕は再生儀を終えた景宗なら壮健さを増したと公言し、遼の国と同じく末長く君臨するだろうと安心させた。こうして燕燕の助力により祝宴は滞りなく散会したが、天幕に戻った景宗は倒れてしまう。太妃の毒に冒された皇子はすぐ快癒したが、景宗は治療の時期を逃していた。もはや根本から治すことは不可能、そのため時に頭痛やめまいなどの症状が現れるという。景宗は燕燕に心配ばかりかけると気遣い、皇太妃に来るよう頼んでおいたと教えた。一方、幽州では韓徳譲と耶律敵烈がもめていた。敵烈はたった2ヶ月で太原(タイゲン)の包囲を許した北漢軍に呆れ、このままでは幽州が危険にさらされると訴える。しかし徳譲は守りの固い太原府より案ずるべきは幽州だと指摘した。鎮(チン)州に留まる南朝の精鋭軍が攻めて来る危険性もある。敵烈は属国である北漢を見捨てるのかと激怒したが、幽州防衛の精鋭軍は1万8000騎に過ぎず、石嶺(セキレイ)関の敵軍の約3万には遠く及ばなかった。「軽挙を慎み、陛下の援軍を待つべきです」徳譲の判断はどうてみても正しかったが敵烈たちは猛反発、石嶺関を攻めて郭進(カクシン)の部隊を全滅させてみせると意気込んだ。「ならぬ!我らの役目は幽州を守護すること!兵の南下は陛下の北巡が済んでからだ! それまで勝手な真似は許さぬ!私には南京留守(ナンケイルス)として無謀な行動を阻む権利がある!」「ワナワナ…私は堂々たる遼の冀王であり、南京の鎮守を任された! たかが南京留守が私に指図するのか?!」すると敵烈は憤慨して出て行ってしまう。胡輦が黒山に到着、燕燕は姉と再会を果たした。胡輦は痩せていたが、生き生きとして美しい。燕燕はそんな姉の姿を喜び、実はお腹に3人目がいると教えた。そこで北方に心を動かされる人がいないか聞いたが、胡輦は独りでも自由を謳歌していると笑う。景宗は病を押して北方の部族長をもてなし、あとは各首領を見送るだけとなった。一安心する燕燕だったが、その頃、幽州で敵烈が不穏な動きを見せる。敵烈は漢人臣下びいきの景宗にも不満があり、この好機に出征して息子・蛙哥(ワカ)に手柄を立てさせようと企んだ。黒山の行宮で蕭家の三姉妹が久しぶりに集まった。胡輦はすっかり大きくなった甥や姪と楽しい時間を過ごしていたが、燕燕は政務に忙しい。そんな皇后の様子を気にしながら、烏骨里(ウグリ)は姉も一緒に上京に戻ってしばらく一緒に過ごせると知り喜んだ。そこへ婆児(ハジ)が慌てた様子でやって来る。「皇后、北漢から急報です、南朝の北伐を知らせ、我らに援軍を送るよう求めています」幽州に隣接する北漢は南朝を牽制する存在、もし北漢が滅びれば遼は盾もなく南朝と戦うことになる。「南朝の皇帝が親征するとは…幽州の危機だわ」冀王と耶律沙(ヤリツサ)将軍が勝手に出兵した。しかも精鋭を1万も連れて行ってしまったという。信寧(シンネイ)から報告を聞いた韓徳譲は動揺を隠せず、南朝軍に今、攻められたら太刀打ちできないと焦った。ともかく守りを固めて南朝軍の奇襲に備えるしかない。一方、黒山では援軍の要請について協議が始まった。景宗は幽州から兵を動かすことに難色を示したが、実は燕燕も遼が兵を動かすべきではないという。「南朝軍は太原を落とせば太行山を越え鎮州に迫ります 戦線の拡大により糧食や武器など輸送に問題が生じるはず 北漢が再度、南朝と戦うなら南朝軍が疲弊するまで待つのです そこで我らの兵を南下させ新帝に打撃を…」景宗と休暇は素晴らしい作戦だと称賛、燕燕は早速、休暇惕隠(テキイン)に皮室(ヒシツ)軍の準備を任せた。耶律喜隠は烏骨里から北漢の話を聞いて飛びついた。そこで景宗の天幕に駆けつけ、出兵したいと嘆願する。しかし景宗は耶律李胡(ヤリツリコ)の系統でただ1人の喜隠を守らねばならないと反対、認めなかった。幽州に深傷を負った兵士が戻って来た。実は出征した冀王たちが待ち伏せに遭ったという。「冀王は白馬嶺で郭進の攻撃に遭い、苦戦を強いられ助けを求めています…どうか援軍を…」「まずい…」すると徳譲が恐れていた通り、南朝軍が攻めて来た。韓徳譲は最初から謀られていたと気づいた。無能な将一人で千の兵が無駄になり、冀王の身勝手な出兵で将兵を失うとは…。もはや北漢の太原に留まらず、幽州も危機に陥った。蕭討古(ショウトウコ)は景宗に援軍を求めるよう進言したが、徳譲は手遅れだという。「先日、兵の増員を求める文を送ったが…どうやら南朝軍は早くから謀っていたらしい」徳譲は早馬が敵に襲われ文が届いていないと気づいた。恐らく南朝軍は燕雲十六州を狙う気だろう。しかし遼の南の門戸である幽州を決して失うわけにいかなかった。つづく( ๑≧ꇴ≦)あははは~喜隠、全く成長してないのねwでも確かに死ぬ死ぬ詐欺だよねwさて来週はヒゲジョーの出番でしょうか?!
2021.10.02
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※残忍なシーンが含まれています燕云台 The Legend of Xiao Chuo第33話「愛と憎しみ」太平王府に軟禁された胡輦(コレン)は兵馬の足音で目を覚ました。すると鎧をまとった耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)が現れ、今日で全てを終わらせるという。侍女・福慧(フクケイ)は外へ引っ張り出され、罨撒葛は自分が戻るまで大人しく待っていろと言った。「罨撒葛、私をここから出して…あなたを一生、恨むわよ!」「…必ず戻って来る」罨撒葛は胡輦を閉じ込めたまま出発することにしたが、ふと足を止めて聞いた。「胡輦…今夜、私か明扆(メイイ)のどちらかが死ぬ、ここの扉を開ける者が誰であって欲しい?」しかし胡輦は答えなかった。その夜、開皇殿では皇子の快癒を祝って家族の宴がにぎやかに開かれていた。皇太叔は風邪気味のため欠席、しかし寧(ネイ)王・耶律只没(ヤリツシボツ)は結局、王妃・安只(アンシ)と一緒に出席している。すると安只が立ち上がり、夫婦で作った酒を献上したいと申し出た。ちょうど同じ頃、城門に小妃・喜哥(キカ)がやって来た。侍女たちは門衛に祝酒を振る舞うと、毒酒を飲んだ門衛たちはばったり倒れてしまう。すると喜哥は反乱軍のため門を開けた。「蕭燕燕(ショウエンエン)を殺してください、私を辱めた者を皆殺しに…」景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)と皇后・燕燕は喜んで寧王夫妻の酒を飲んだ。すると急に2人が苦しみ出し、燕燕は酒に毒が入っていたと訴える。殿内が騒然となる中、なぜか安只はあっさり自分の仕業だと認めた。何も知らなかった只没は激高したが、安只はこれも全て只没のせいだと訴える。「毎日、読経ばかりで権勢を得ようとしない、だから私が代わりにやったのよ! 只没…太平王は約束してくれた、陛下と皇后の命さえ奪えば、あなたを宰相にしてくれると そうなれば誰にも侮られずに済むわ!」実は罨撒葛は寧王夫妻が謀反を起こしたとして捕らえ、これを皇位継承の大義名分にしようと企んでいた。只没は権力に惑わされた安只に絶望し、いきなり短刀で安只の腹を刺した。「どんなわがままでも許して来た…だが謀反だけは許さぬ!」「やっぱり…あなたは甲斐性なしよ…私は人生を間違えた、役立たずに嫁ぐなんて!」「黙れ!」すると只没は安只に止めを刺し、その場にへたり込んでしまう。罨撒葛は衛兵たちをなぎ倒し、開皇門をくぐった。するとそれを合図に全ての宮門が閉められてしまう。開皇殿に戻ろうとしていた喜哥は締め出され、耶律休哥(ヤリツキュウカ)を牽制するはずだった女里(ジョリ)も宮道で足止めされた。その頃、高勲(コウクン)の前に蕭達凛(ショウタツリン)が現れ、開皇門の前に立ちはだかる。「(ニヤリ)蕭達凛、それしきの兵馬で私を止められんぞ!わははは〜!」「ふぁんじぃぇん(放箭)っ!」達凛の号令で城壁に隠れていた射撃隊が一斉に姿を現し、高勲の部隊は矢の雨に襲われた。一方、休哥も城楼から火の玉を投げつけ、女里の部隊は火責めにされてしまう。罨撒葛は異変に気づかず、石段を馬で一気に駆け上がり、そのまま大殿に突入した。バリバリ!ドッカーン!🌀🐎=====3すると玉座では毒に冒され苦しむ景宗と皇后の姿がある。「…帝位は本来、私のものだった お前は奴婢を使い、恩人である兄上を殺した、計画した時、こうなると思わなかったか?」「お前こそ察割(サツカツ)と組んで私の両親を殺した…ゥッ… 家族が惨殺される様を6歳の私に見せるとは、お前たち兄弟は残酷すぎる…」「ゥッ…お前たち兄弟は道に背き人心を失ったのよ、帝位を奪えば横死を免れるとでも?」「わはっはっはっは!横死するのはお前たちだ!私は即位を…」꒳ ̄)ノ<ちょっと待った!皇太叔!殿内に突然、景宗の兵士が雪崩込み、幽州へ行ったはずの韓徳譲(カントクジョウ)が現れた。しかしもはや手遅れ、どちらにしても景宗と皇后は毒ですぐ死んでしまうだろう。罨撒葛は勝利を確信していたが、その時、景宗と燕燕が颯爽と立ち上がった。( ー̀ωー́ )<イヤイヤイヤ~またしても皇太叔を失望させてしまいましたな~実は景宗と燕燕は毒に冒されてなどいなかった。罠にはまったのは罨撒葛の方だった。景宗と燕燕は一芝居うち、罨撒葛を失脚させる決定的な証拠を引き出すことに成功する。しかし後戻りはできない。罨撒葛は迷わず景宗に向かって行った。宮道に閉じ込められた女里と高勲たちは逃げ場を失った。女里は休暇の火矢で絶命、高勲は達凛の長矛が直撃して息絶える。一方、大殿では罨撒葛たちと韓徳譲たちの抗争が続いていた。景宗と皇后はその凄惨な光景から目を逸らさず見守っている。その頃、燕燕から要請を受けていた趙(チョウ)王妃・烏骨里(ウグリ)も兵を率いて加勢していた。烏骨里は大殿の前で耶律斜軫(ヤリツシャシン)から罨撒葛が大殿にいると聞いた。そこで剣を抜き、急いで石段を駆け上がる。その時、殿内では韓徳譲と罨撒葛の一騎討ちとなっていた。すると烏骨里は玉座で燕燕が弓を構え、罨撒葛に狙いを定める姿に気づく。燕燕の矢は罨撒葛に命中、烏骨里はあまりの衝撃に言葉を失った。韓徳譲は燕燕の援護で罨撒葛に止めを刺そうと斬りかかった。しかしそこへ粘木袞(デンボクコン)が駆けつけ、罨撒葛を連れて逃げ出すことに成功する。「大王、すぐお逃げください!」「王妃を…迎えに行く」粘木袞は大王を馬に乗せて何とか逃したが、そこで徳譲に殺された。監禁された胡輦は眠れぬ夜を過ごした。すでに夜が明けたが、その時、突然、戸が開いて罨撒葛が現れる。まさか妹に手をくだしたのだろうか。すると罨撒葛は激しく血を吐いて膝をつき、自分が負けたと教えた。「共に…逃げよう…」胡輦は罨撒葛が約束を守って戻って来たと知り、涙があふれた。「これからは兵権やら帝位やら、もう争わなくていい、2人で各国を巡りましょう」「…確かにもうどうでもいい」しかし罨撒葛はすでに時間がないと分かっていた。「最も気がかりなのは君のことだ…国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)を君に譲ろう」罨撒葛は胡輦に兵符を渡した。「胡輦、忘れるな…権力の前では家族の情などない…燕燕は今や摂政皇后だ 己の夫や息子を第一に考える…いくら君が誠意を尽くしても報われるとは限らない… 必ず兵馬を掌握していろ…兵馬があれば自主権を持ち、虐げられずに済む、分かったな」罨撒葛は大粒の涙を流し、胡輦の頬に触れた。「小胡輦…すまない、これから君を大切にすることも守ることもできない…」それが罨撒葛の最期の言葉となった。耶律休暇たちが太平王府に駆けつけた。しかし寝殿にいる胡輦と罨撒葛の姿を見た休暇は兵を止める。一方、景宗は城楼から上京を眺めていた。そこへ韓徳譲がやって来る。「罨撒葛は皇后に射殺されました 冀(ギ)王は南京に撤兵、高勲と女里はすでに成敗され、国阿輦斡魯朶も矛を収めました」すると徳譲は兵権を返した。あの時、韓徳譲は流言を流す目的が自分の排除だと気づき、これを逆手に取ることにした。計画が成功したと思わせれば必ず罨撒葛たちが動く。そこで景宗は徳譲を信頼し、自分に残っていた兵馬を託していた。景宗は内戦の後始末の様子を見ながら虚しくなった。帝位を守る引き換えとしてこれほど多くの兵士の血が流れている。しかし韓徳譲は兵士が守ったのは帝位ではなく遼の天下だと言った。「皆が深く信じています…遼を平和にできるのは陛下しかいないと」すると景宗は徳譲に上京に残って欲しいと頼んだ。「じっくり考えよ…どうしても去るなら止めはしない」燕燕は韓徳譲が戻って来ることを知らなかった。実は景宗は燕燕に話せば自分以上に徳譲を心配すると思ったからだという。燕燕は自分を信じて隠し事はしないで欲しいと頼み、早速、事後処理について話し合うことにした。しかし胡輦が流産したと聞いたことを思い出し、ふと悲しくなってしまう。韓徳譲は上京ですべきことを終えた。酒楼で婚姻を決めた時に誓った通り、李思と共に幽州へ行こうと決める。一方、燕燕は兵馬を貸してくれた烏骨里との約束通り趙王・耶律喜隠(ヤリツキイン)を帰京させた。宮中は何もなかったように平穏を取り戻した。朝議では耶律喜隠が原職に復職し漢人軍を束ねるよう命じられ、また女里の兵は休暇の旗下に入る。太平王妃・胡輦は皇太妃に封じられたが、朝議に胡輦の姿はなかった。胡輦が罨撒葛の葬儀を準備していると聞いた燕燕は、休暇に弔慰金を届けるよう頼む。つづく(  ̄꒳ ̄)うむ…罨撒葛、最後まで国のことは考えなかったのね…
2021.10.02
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第32話「亀裂」皇子が原因不明の高熱を出した。景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)と皇后・燕燕(エンエン)は太平王妃・胡輦(コレン)の勧めで薩満(シャーマン)の祈祷を頼み、皇族の王や王妃も共に祈りを捧げる。宮中には祭壇が設けられ、皇族たちはその夜、用意された天幕で休んだ。罨撒葛は胡輦が熟睡したことを確認、密かに太妃たちの天幕を訪ねた。しかししばらくすると胡輦が目を覚まし、罨撒葛を探しに天幕を出てしまう。その頃、太妃たちの天幕では祈祷師が木彫りの人形を置いて皇子に呪いをかけていた。すると罨撒葛はなぜ皇子がまだ生きているのかいぶかしむ。蕭蒲哥(ショウホカ)は空になった小瓶を見せ、薬に問題があったのではないかとごまかした。そこで罨撒葛は3日のうちに効果が出なければ祈祷師の命をもらうと脅す。「誰だっ!」罨撒葛は気配を感じて天幕を出ると、驚いたことに胡輦がいた。罨撒葛は人目につかないよう咄嗟に胡輦を天幕へ入れた。すると胡輦は罨撒葛が帝位欲しさにこんな卑劣な手段を使ったのかと憤る。しかも2人の太妃まで、何の不満があって恩知らずな真似をするのか。蕭啜里(ショウセツリ)は慌てて釈明しようとしたが取り付く島がなかった。憤慨した胡輦はいきなり祭壇をひっくり返し、燭台を倒して天幕に火をつけてしまう。罨撒葛は慌てて配下に後始末を任せ、胡輦を連れて逃げた。天幕で小火が出た。どうやら太妃が祈祷中に祭壇が倒れて火事になり、啜里太妃が亡くなったという。報告を聞いた燕燕と景宗は翌朝、鎮火した現場へ向かった。そこで景宗は木の人形を発見、さらに燕王・韓匡嗣(カンキョウシ)が空の薬瓶を拾い、すぐ成分を調べに向かう。楚補(ソホ)の話では駆けつけた時に2人の賊が逃げ出し、追跡して1人は捕まえたものの自害していた。太妃たちは賊に刺され啜里太妃が死亡、深手を負った浦哥太妃は昏迷しているという。すると楚補が倒れた燭台を見ながら首を傾げた。火事の原因は火のついたろうそくだが、あの俊敏な賊が燭台にぶつかるとは思えないという。「故意に火をつけたと?…つまり誰かが警告のため火を放ったのね でも口封じなら関わった者を全員、殺すはずよ?…(はっ)」「罨撒葛か」「…大姐ね」景宗と燕燕はすぐに気がついた。そこへ婆児(ハジ)が駆けつけ、皇太叔は王妃の体調が悪くなり、夜半頃に帰ったと伝える。「予想通りね」その頃、太平王府では胡輦が罨撒葛を激しく責めていた。「子を授かったのにあんなことをして…騰里(テングリ)の罰が下るわ! …私の家族には手出ししないと約束したはずよ?! 罨撒葛、あなたは私を裏切り、子孫は傷つけない契丹の伝統に背いた!」「納得がいかないというなら、我が子から父親を奪うのか?罪人の子として生きろと? …腹の子供のためだと思って冷静になって欲しい」罨撒葛は今の家族は自分と胡輦、そして腹の子だと指摘する。しかし胡輦はどうしても罨撒葛を許せず、黙って悲しみをこらえていた。すると罨撒葛は仕方なく寝殿を出てそのまま胡輦を閉じ込めてしまう。燕燕は胡輦が無理やり屋敷へ戻されたと知った。恐らく胡輦は何かを知ったのだろう。焦った燕燕は姉を救出するため、近衛軍と皮室(ヒシツ)軍を出せば罨撒葛に対抗できると考えた。しかし景宗は女里(ジョリ)と高勲(コウクン)が組めば厄介なことになるという。そこで罨撒葛の警戒を解くため、皇子の厄払いに家族の宴を開こうと提案した。燕燕はその間に二姐・烏骨里(ウグリ)の兵を借りることにする。すると宮中に取り残された胡輦の侍女・安熙(アンキ)と福慧(フクケイ)が訪ねて来た。燕燕は2人の侍女に太平王府に戻って胡輦を助け出すよう頼んだ。侍女たちは夫である皇太叔が危害を加えるとは思えなかったが、燕燕は父を殺した黒幕の可能性があると教える。「くれぐれも内密に、お腹の子に障るわ…後のことは任せなさい」罨撒葛は女里と高勲と結託、家族の宴の日に反旗を翻すと決めた。家職・高六(コウリク)には胡輦を見張るよう命じ、2人の侍女にも注意するよう釘を刺す。また内外で呼応するため、寧(ネイ)王妃・安只(アンシ)にも一報を届けていた。一命を取り留めた浦哥はようやく意識を取り戻した。しかしもはや余命いくばくもない。そこで浦哥は最期に景宗と2人だけで話がしたいと嘆願し、これまでの罪を明かした。「私はあなたたち父子に顔向けできない…そうよ、罨撒葛に脅されたの 十数年前も同じ…あの時も罨撒葛に脅されてあなたの薬をこっそりすり替えた…」「つまり、朕が長年、薬を飲み続けても治らなかったのは…あなたのせいか? 罨撒葛に脅されてやっただと?本当か?!」浦哥は命が惜しくて罨撒葛の傀儡となり、次々と過ちを重ねたと泣き崩れた。許してもらえるとは思っていないが、せめて死ぬ前に罪を償いたかったという。すると浦哥は、皇子に飲ませた薬を少し手元に残して厨子(ズシ)の中に隠してあると教えた。「あなたの助けに…な…」浦哥はそこで力尽きてしまう。胡輦は食事も喉を通らず、眠れなかった。すると罨撒葛が現れ、2人の侍女に世話を任せて出て行く。そこで安熙と福慧は逃げる気力を養うためにも食事をするよう勧めた。「高六によると皇太叔は明日、国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)の招集に行くそうです 決起なさるおつもりです、だからその前に急いで逃げましょう もし決起が失敗したら、お怒りになって王妃を…」「私と子供は大丈夫、でもここを出たいわ」胡輦たちは罨撒葛の留守を狙い、太平王府を脱出することにした。そこで王妃が病だと嘘をつき、門が開いたところで侍女たちが見張りを角材で殴りつける。こうして3人は裏門から逃げ出し、すでに準備していた馬車に乗り込もうとした。しかし突然、兵士たちが現れ、馬車は取り囲まれてしまう。その時、罨撒葛が姿を現した。「胡輦…私のもとを去るのか?私の側近を買収したくらいで逃げられると?」実は罠にはまったのは胡輦たちだった。安熙は王妃に逃げるよう訴え、自ら皇太叔に向かって行った。すると粘木袞(デンボクコン)が立ちはだかり、安熙の腹をひと突きして殺してしまう。「安熙ィィィ!」ちょうど馬車に乗り込もうしていた胡輦は急いで足場から降りようとした。しかしうっかり踏み外して腹から転落、激しい腹痛を起こしてしまう。胡輦は流産した。罨撒葛は生涯、子供を持てない運命なのかと絶望、胡輦の言葉を思い出して涙に暮れる。「胡輦…全て私のせいなのか…」罨撒葛は胡輦の前では気丈に振舞った。「子供はいなくなったが君が無事でよかった…また…子をなせば良い」しかしその言葉はかえって胡輦を傷つけてしまう。「″よかった″ですって?…あの子は確かに私のお腹の中にいた 大きくなって行くのを感じていたのよ…罨撒葛、ひど過ぎるわ!出て行って!顔も見たくない!」罨撒葛はこらえきれず、胡輦が自分から逃げようとしたせいで子を失ったと非難してしまう。すると胡輦は手段を選ばず帝位を求める罨撒葛に人の心があるのかとなじった。「私は君に皇后の冠をかぶせたいのだ…だが君の心に私がいたことはない」「…汚い手で得た皇后の冠などいらないわ」「胡輦…私は時々、君を殺してしまいたくなる…」罨撒葛と胡輦の絆は子を失ったことでもろくも崩れ始めた。一方、高勲は小妃・喜哥(キカ)から準備ができたと知らせを受けた。「ふっ…この遼が再び変わるのだ」そしていよいよ皇子の厄祓いと称した家族の宴の日を迎えた。安只は参内するため寧王・耶律只没(ヤリツシボツ)を迎えに来た。しかし只没は勅命とは言え家族の宴なら病だと断れという。皇族の一員として堂々と宴に参加したい安只、すると只没は名声が望みなら他の拠り所を探せと言い放った。「どういう意味?! …あなたは一日中こもって経を読むだけ、私のことなどただの俗物だと思っている 何の情もないのね?こんなことならあの時、暗君に殺されてしまえばよかった!」その時、侍女が王妃を呼びに来た。侍女の目配せに気づいた安只は話を合わせ、景宗への贈り物を確認に行くと嘘をつく。「…小善を積まぬ者は聖人になれぬ、小悪を積む者は身を滅ぼす 安只、今日は家族の宴だ、贈り物など必要なかろう」只没の言葉はまるで安只の裏切りを見透かしているようだ。安只は不満そうに出て行くと、只没も重い腰をあげた。胡輦は兵馬の足音に気づいて目を覚ました。すると鎧姿の罨撒葛が現れ、今日で全てを終わらせるという。「この天下は私のもの、すでに手はずは整えた 見込みがなければ上京(ジョウケイ)に戻っては来ない、私が戻ったのは皇太叔になるためだと?」「…あなたは私を殺しに来たのね?」「君を殺すわけがないだろう、君は私の王妃、将来の皇后だ」「いっそ殺してください…ゥッ…」つづく|ω・`)ジョーいない…
2021.09.30
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第31話「連環の計」景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)は燕王・韓匡嗣(カンキョウシ)に徳譲(トクジョウ)の婚姻を頼んだ。翌朝、その話を聞いた韓夫人は激怒、かつて息子の恋路を邪魔しておきながら、よくも婚姻を迫れたものだ。しかし母として息子の結婚を望んでいるのも事実だった。そこで韓匡嗣は李思(リシ)はどうかと提案し、夫人から説得して欲しいという。一方、韓徳譲は蕭思温(ショウシオン)暗殺事件の真相を暴くべく調査を続けていた。やがて点と点がつながり、実は耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)が上京(ジョウケイ)を離れた瞬間から悪意と策略に満ちた罠を仕掛け、容易に複数の勢力を操っていたと分かる。しかしまだ十分な証拠がなかった。これでは景宗と皇后が勢力を巻き返した罨撒葛に勅命を下すことは難しいだろう。そこで徳譲は腹心の信寧(シンネイ)に罨撒葛を警戒するよう頼んだ。罨撒葛は女里(ジョリ)と高勲(コウクン)を太平王府に呼び出した。女里は指示通り朝堂で皇后に圧力をかけたが失敗、しかし罨撒葛はそれを責めるつもりはないという。確かに景宗に守られた皇后はやすやすと倒せる相手ではなかった。それにしても漢人の臣下たちは、あれほど流言が広まっても韓徳譲のこととなると大騒ぎだ。「ったく、よそ者どもはいるだけで不愉快です!」女里は目の前に漢人の高勲がいるにもかかわらず、うっかり口を滑らせた。「どう言う意味かな?この私まで一緒に始末すると?」「あははは~言葉が足らず失礼を!貴殿は遼で唯一、信頼する漢人だ!」女里が笑ってごまかすと、罨撒葛は目下の急務は騒ぎを広げることだと言った。「陛下が韓徳譲を憎むようにな…」罨撒葛は気づいていた。あの時、景宗が朝堂に現れたのは助け舟を出すためではなく、疑念を抱いたからだろう。流言はすでに静養中の景宗の耳にも届いたのだ。韓徳譲は景宗と皇后に暗殺事件の全容が罨撒葛の″連環の計″だったと報告した。高勲と女里のうぬぼれの強さを知り尽くしていた罨撒葛は、2人が権力を独占する蕭思温を妬み、殺意を持つと容易に想像がついただろう。そこで2人をたきつけるため、上京を任せていた粘木袞(デンボクコン)に告発状を書かせ、蕭思温のもとに届けさせたのだ。これに焦った2人は証拠を消すため、海只(カイシ)と海里(カイリ)を使って蕭思温の殺害を画策する。さらに海只たちと海東青(カイトウセイ)を引き合わせ、同時に長年、従って来た死士たちを分けて上京に送り、海東青を装わせて景宗を襲わせていた。景宗はこれほど複雑に絡み合っていたのかと驚いた。しかし話はそこで終わらない。罨撒葛は事実の露見を恐れ、早い段階で耶律喜隠(ヤリツキイン)に目をつけていた。そこで傲慢な喜隠に高勲と女里の関与を知らせ、2人の告発状を喜隠の密偵が見つけるよう魏(ギ)王府に配したという。予想通り喜隠は2人を脅して結託、一方、罨撒葛は皇后が懐妊したため景宗は動かないと判断し、王妃・胡輦(コレン)に文で帰京と兵権の譲渡を匂わせ、景宗の警戒を解いた。そして摂政の話が出た途端、数々の証拠を放出して喜隠に罪を被せたのだろう。全ては罨撒葛が張り巡らした陰謀だったのだ。その夜、韓夫人は徳譲に婚姻を勧めた。実は景宗が皇后との仲を恐れ、上京を離れるか、妻を娶るか父に迫ったという。韓夫人は景宗の身勝手さに腹を立てていたが、確かに独り身である徳譲が心配だった。「娘(ニャン)…まだ忘れられないのです」←( ;∀;)ジョー…しかし韓夫人はいま乗り越えなければ一生、克服できなくなると訴え、今度ばかりは親を安心させると思って妻を迎えて欲しいという。そんなある日、突然、燕王府に李思が訪ねて来た。「韓四哥、お久しぶり」「李姑娘(グーニャン)、いつ戻って来た?」←Σ(°∀°ノ)ノ えーっ!「数日前よ」実は李思は朝廷でのもめ事を伝え聞いて来たと話し、相手が必要なら見知らぬ娘ではなく自分を娶って欲しいという。徳譲はどうしても踏ん切りがつかず、答えに窮した。すると李思はこれ以上、徳譲を困らせないとあきらめ、帰ってしまう。皇后と韓徳譲の流言は収まるどころか広がっていた。燕燕(エンエン)は誰かの企みだと気づいていたが、流言を収めるのに最も良い手段は徳譲の婚姻だと分かっている。そこで胡輦を呼んで相談した。しかし胡輦は徳譲の心には燕燕しかいないと難色を示す。「投げやりな婚姻は苦しむだけよ…」胡輦は自分の前でだけは辛い気持ちを抑える必要はないと言ったが、燕燕は皇后として心中を漏らすことなどあり得ないと断言した。「今の私が考えるべき問題は遼の天下と民のことだけ、恋心などとうに手放しました…」↓( ;∀;)皇后!付いていきます!…髪型が変だけどw一方、韓徳譲と信寧は悪辣な流言の出所である酒楼に乗り込んだ。信寧はあまりに下劣な噂話に思わず激怒したが、講談師はそれを利用して韓家が民を虐げていると思わせようと企む。徳譲は信寧をなだめて様子を見ていたが、その時、上階から李思が下りて来た。「韓大人は私と結婚します、なぜ嫌がらせするのかしら?」韓徳譲の許嫁の登場に客たちが動揺すると、すかさず講談師が茶々を入れる。「韓大人の許嫁など聞いたことがない、若い娘が軽々しく言うことではないぞ」その時、徳譲はついに決意し、自ら李思との婚約は本当だと認めた。「2度と君に屈辱は受けさせない、私はできる限り努力してよい夫となると誓う 私が上京ですべきことを終えたら、共に幽州へ戻ろう」↓そんなわけでとんとん拍子に話が進み、婚礼となりました( ̄▽ ̄;)韓徳譲は妻と幽州へ戻りたいと奏状を出した。これを見た燕燕はすぐ徳譲を呼び出し、問題が山積する上京から逃げ出すのかと非難する。徳譲はもともと留まるつもりはなかったと釈明したが、燕燕は虚偽の噂から逃げ出せば相手の思う壺だと言った。「そもそも私たちの間に何があると?!なぜ気にする必要が?やましいことはないわ!」|ω・`).oO(それがあったんです@ジョーそこへ景宗がやって来た。景宗は自分から皇后に話そうと言って徳譲を帰し、燕燕にはほとぼりが覚めたら上京に呼び戻せばいいと提案する。「…韓徳譲を追い出したいのは一体、誰かしら?」「言いたいことは分かるが考え過ぎだ」「韓徳譲が去ったら腹黒い者たちの思い通りよ?それでも行かせるの?!」景宗と燕燕は韓徳譲を巡って険悪な雰囲気になり、たまりかねた景宗は急用があると断って書斎へ行ってしまう。一方、罨撒葛に弱みを握られている太妃・蕭蒲哥(ショウホカ)は皇子を害するよう脅されていた。すると侍女・豆蔻(トウコウ)が駆けつけ、ちょうど皇后が崇徳(スウトク)宮を離れ、今なら乳母たちも薬入りの茶で寝ていると報告する。浦哥は腹心だと信じていた侍女までが罨撒葛の配下だったと知り、もはや後戻りできないと覚悟した。燕燕は韓徳譲が上京を発ったと聞いて落胆していた。するとその夜、突然、皇子が高熱を出し、大騒ぎとなる。迪里姑(テキリコ)は風邪の症状なので薬を飲ませたが熱が下がらず、急いで燕王を呼んだ。しかし韓匡嗣の見立ても迪里姑と同じで、なぜ熱が下がらないのか分からないという。翌朝、胡輦は皇子の病が重いと聞いて参内することにした。すると事情を聞いた罨撒葛が薩満(シャーマン)を呼んで祈祷してはどうかと助言する。そこで胡輦は燕燕と景宗に宮中に薩満を呼んで儀式を行うよう勧め、僅かな可能性でも試すべきだと説得した。「それから罨撒葛から提案が… 祈祷をするなら宮中に祭壇を置き、皇族の王や王妃も共に祈るべきだと」景宗は罨撒葛の意見と聞いて疑念を持ったが、とにかく皇子のために何でも試してみようと決めた。つづく( ;∀;)ジョー、結婚まで燕燕のためなんて…それにしても初夜なのに燕燕の鈴が鳴っちゃうとか…え?w
2021.09.29
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第30話「流言飛語」耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)は蒲哥(ホカ)太妃の弱みを握っていた。そこで景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)に皇子が誕生したものの、生まれつき身体が弱いかもしれないとほのめかす。「冷宮で年老いて生涯を終えるか、後宮の主として留まるか…考える必要があるか?」浦哥は恐ろしさのあまりへたり込み、罨撒葛からは逃れられないと知って泣き崩れた。耶律喜隠(ヤリツキイン)の流刑が決まり、憤慨した烏骨里(ウグリ)は直談判に向かった。「蕭燕燕(ショウエンエン)!私の人生をぶち壊すつもり?!」「流刑になった理由を知らないの?…私のことはまだいい、父上の真相は?」烏骨里はそこで初めて喜隠が父の暗殺の黒幕だと知り、泣きながら飛び出して行った。烏骨里と入れ違いで胡輦(コレン)がやって来た。胡輦も喜隠が黒幕とは信じられなかったが、事実なら燕燕の決断を支持するという。「ずっと一心同体だと誓ったけれど、私はもう誓いに背いてしまった… 二姐にも父上にも母上にも申し訳ないわ」「いいえ、そんなことはない、あなたは遼の皇后よ 大局を重んじる責任があると烏骨里も理解するわ」←さすが大姐( ˘ω˘ )屋敷に戻った烏骨里は喜隠に父を殺したのかと迫った。すると喜隠は泥酔しながらも、騰里(テングリ)に誓って義父を殺していないと訴える。「死んでもそんなことはせぬ!」烏骨里は夫の無実を信じ、妻として必ず濡れ衣を晴らして見せると約束した。燕燕も景宗も烏骨里には会ってくれなかった。追い詰められた烏骨里は韓徳譲を訪ね、恩情は求めないが喜隠にもう一度だけ会って訴えを聞いて欲しいと頼む。韓徳譲は了承し趙王府を訪ねたが、喜隠は自暴自棄になっていきなり宝剣を抜いた。「とっとと消えろ!」しかし烏骨里が興奮する喜隠をなだめ、今の上京(ジョウケイ)で助けてくれるのは徳譲だけだと説得した。喜隠は射鬼箭(シャキセン)での企みと皇子の儀式に刺客を送り込んだ件は認めた。ただし閭(リョ)山での景宗暗殺未遂については一切、関わっていないと否定する。「私が明扆(メイイ)を殺せば罨撒葛がそれを口実に私を殺し、息子は皇帝になれぬ 息子の前途を断つほど愚かではない!」←( ゚д゚)え?しかし徳譲は刺客の中に喜隠の配下もいたと教えた。喜隠はもし自分が黒幕で配下を送り込むなら証拠など残さないという。「女里(ジョリ)と高勲(コウクン)と組んだことは?!」「蕭宰相殺害の黒幕だと知って2人を脅しただけだよ!って(´゚艸゚)あ…」烏骨里は喜隠が父を殺した黒幕を見つけながら隠していたと知った。墓穴を掘った喜隠はそのままへたり込み、自分はうまくはめられたと嘆く。すると徳譲は本当に潔白を証明したければ力を尽くすと約束した。「趙王妃と留礼寿(リュウレイジュ)の暮らしも守りましょう」耶律喜隠は祖州へ連行された。烏骨里は息子を立派に育てると約束して送り出し、高勲と女里を絶対に許さないと恨みを募らせる。その頃、韓徳譲は信寧(シンネイ)から喜隠の側近・撒懶(サツラン)の供述書を受け取っていた。撒懶の話では当時、魏(ギ)王府に密偵を潜ませ、蕭思温を長らく監視、告発状の件や高勲の来訪を伝えて来たが、海只(カイシ)と海里(カイリ)の背後にいる者をどう知ったのかは謎だという。その密偵は趙王府に戻っていたが、喜隠が捕らえられると行方知れずになっていた。かなり慌てて逃げ出しのか、居室は物が散乱し、敗れた文が見つかったという。復元を試みても内容は分からなかったが、ただ″粘木袞(デンボクコン)″という名前は判明した。「やはり奴の罠だったか…」徳譲はこれほど巧みな罠は罨撒葛にしか仕掛けられないと確信した。そんなある朝、胡輦は罨撒葛の身支度を整えながら、急に吐き気に襲われた。罨撒葛は胡輦が身ごもったと気づき、すぐ侍医を呼ぶよう命じて胡輦を部屋で休ませる。すると粘木袞が密偵の件を韓徳譲が突き止めたと報告した。しかし罨撒葛はいずれ露見すると分かっていたと問題にしない。それより今は父親になれると喜びに湧き、直ちに動かねばならないと言った。景宗と燕燕は閭山の襲撃事件がすでに解決したものと思っていた。すると再び韓徳譲が参内、実はまだ隠された事実があったと報告し、自分の無能さを謝罪する。徳譲が調べたところ喜隠は罨撒葛に誘導されており、証拠は全て罨撒葛が手を回したものだった。喜隠は自分が駒であると気づきもしなかったのだろう。しかし景宗はすでに罨撒葛を呼び戻してしまった以上、処罰するには相当の理由が必要になると困惑した。徳譲は必ず真相を明かすと約束したが、景宗はなぜか複雑な心境になってしまう。都で皇后と韓徳譲のあらぬ噂が瞬く間に広がった。燕燕と徳譲と言えばかつて恋仲で駆け落ちまでしたことは周知の事実、そこで耶律休哥(ヤリツキュウカ)と蕭達凛(ショウタツリン)は燕王府を訪ね、静観せず噂を止めようと徳譲を説得する。徳譲は自分が弁解すればかえって騒ぎが大きくなると懸念したが、2人の協力に感謝した。一方、燕燕はやましいことなど一切ないと毅然な態度を貫いた。しかし侍女たちは宮中にまで噂が広がっていると憤る。そこで燕燕は双古(ソウコ)に命じ、流言を広めるものは掟に従い処罰するよう命じた。双古は早速、女官たちを集め、誰から噂を聞いたのか追及していた。その中にやけに落ち着きのない女官がいる。一方、小妃・喜哥(キカ)も景宗に謁見し、皇后の悪口を吹き込んだ。「妻となったら疑いを避けるべきです 皇后は賢いのにその辺は疎くて、陛下と皇子に恥をかかせています 至る所に噂が広まり、陛下まで…」すると景宗は茶碗を投げ割り、激高した。「皇后を批判するとは…再び申せばその舌を引き抜くぞ!」|ω・`)あれ?喜哥って幽閉じゃなかった???女里と高勲は皇后と韓徳譲の噂を流したのが皇太叔だと分かっていた。「皇后を引きずり下ろすおつもりで?」「喜隠が敗走すれば次の標的は私だ、ゆえに先手を打つ」高勲は確かに流言で徳譲を排除できれば皇后は右腕を失い、残った病弱な景宗など警戒する必要がなくなると合点がいく。これは明日の朝堂が楽しみだ。女里は世間で皇后と韓徳譲が恋仲だという流言が飛び交っていると上奏した。もし根拠なき噂だというなら調べてはどうかと提案する。「関わりがある以上、当然、韓大人から調べよう」すると韓徳譲は女里に賛成し、徹底的に調べるべきだと賛同した。「ですがこれは女里大人の職務ではない、休哥惕隠(テキイン)なら公正に判断するでしょう ″根本″までたどった結果、女里大人が納得せぬなら、私自身が調べます」徳譲は遠回しに女里を脅すと、焦った女里は皇族の名を汚した徳譲を流刑にすべきと声を荒げた。皇后が潔白なら徳譲をかばう必要はないという。再び紛糾する朝堂、しかし急に景宗が現れ、女里たちはそれ以上、皇后を追及できなくなった。燕燕はあのまま女里が軌道を逸し、怒りを爆発させたところで捕らえようと考えていた。景宗のせいで目論みが外れ不機嫌な燕燕、すると景宗が失笑し、朝廷はそんなに単純ではないという。女里が朝堂で居丈高に振る舞えるのは背後に罨撒葛がいるからだ。もし朝堂で女里を捕らえれば罨撒葛がかばうことは目に見えている。まさか些細なことで厳罰に処すこともできず女里を解放すれば、ますます気炎を上げ噛みつき流言は真実だと主張するだろう。「でたらめだわ」「分かっている、だが朝堂では過程は論じられず結果だけ見られる」あのまま景宗が現れず女里を捕らえていたら、燕燕は罨撒葛の罠にはまって引きずり下ろされていただろう。燕燕は罨撒葛が元凶と知りながら何もできないのかと苛立ったが、景宗は恐らくすぐにぼろを出すはずだと安心させた。罨撒葛が慌ただしく動き始めた理由は王妃の懐妊だった。燕燕の前では笑顔で振る舞っていた景宗だったが、本当は憤懣(フンマン)やる方ない。そこで迪里姑(テキリコ)に太平王妃の脈診に行くよう命じ、すぐ韓匡嗣(カンキョウシ)を呼ぶよう頼んだ。韓匡嗣は朝廷の騒ぎを治めるため、息子に捜査の幕引きを命じた。皇帝と皇后の安全のため、まだ去れないと訴えた徳譲だったが、独りになるとふと燕燕を思い出してしまう。…韓徳譲よ韓徳譲、これまでさんざん″君主のために尽くす″と言ったな…誠にそうか?すると目に前に花嫁衣装をまとった燕燕が現れ、幸せそうに笑っている。徳譲は思わず微笑んだが、すぐ現実に引き戻された。( ;∀;)ジョー、妄想だよジョー翌朝、夫から話を聞いた韓夫人は思わず興奮して声を荒げた。「徳譲と燕燕を引き裂いたのはあの方ですよ! 今度は聖人ぶって何を言うかと思えば、息子に婚姻を迫るなんて!」つづく( ๑≧ꇴ≦)ママン!分かるわ~ケンって時々、本当にイライラするw
2021.09.17
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第29話「摂政の座」景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)が倒れた。皇后・燕燕(エンエン)はなぜこれほど悪化する前に知らせなかったのかと憤ったが、ともかく急ぎ室昉(シツホウ)、耶律休哥(ヤリツキュウカ)、耶律賢適(ヤリツケンテキ)、そして韓徳譲(カントクジョウ)と蕭達凛(ショウタツリン)を招集する。すると楚補(ソホ)が皇太叔夫妻と耶律敵烈(ヤリツテキレツ)一家が見舞いに来たと知らせた。燕燕は罨撒葛(エンサーグァ)を警戒し、燕王・韓匡嗣(カンキョウシ)の見立てを理由に面会を断った。仕方なく引き下がることにした罨撒葛だったが、太平王妃・胡輦(コレン)は頑なに拒否した燕燕の様子に困惑する。一方、耶律喜隠(ヤリツキイン)は趙(チョウ)王妃・烏骨里(ウグリ)に自分を摂政にするよう皇后に口添えを頼んでいた。しかし燕燕は″射鬼箭(シャキセン)″の一件が喜隠の仕業と知りながら姉妹の情で見逃してくれたばかり、烏骨里は調子に乗るなと呆れる。すると喜隠は燕燕が許してくれたのは情ではなく、今の状況下では自分を頼るしかないからだと吹き込んだ。病の景宗を支えるには誰かの助けが必要だが、兄弟は姉2人、かと言って罨撒葛に頼めば地位が危うくなり、自分と手を組んで対抗するしかないという。「私は燕燕を助けたいんだよ~」「分かった、頼んでみるわ」その夜、燕燕は腹心を集めて明日の朝議について話し合った。明日は自分ひとり、罨撒葛と喜隠を同時に対処することは難しい。そこで燕燕はまず喜隠を抑えると決め、休哥には景宗と皇子の警固を命じた。また経験豊富な室昉と賢適には朝議で自分の支えとなるよう頼み、達凛は郎君(ロウクン)軍を率いて大殿の外で待機、万一の時は臨機応変に動くことを認める。燕燕はそこで散会したが、徳譲だけ残した。粘木袞(デンボクコン)は皇太叔に皇后が腹心を集めて朝政の相談をしたと報告した。景宗が倒れて大慌ての皇后、罨撒葛は愚かな喜隠ならこの機にすぐさま動くと分かる。そこで女里(ジョリ)と高勲(コウクン)に明日の朝議で喜隠と皇后の対立を煽るよう指示した。燕燕は何か言いたそうだった韓徳譲を引き止め、策があるのか聞いた。すると徳譲は喜隠が尊大で傲慢な男だと指摘、抑えるより逆の手段を取るよう提案する。実権のないうわべの職を与えれば喜隠は必ず居丈高(イタケダカ)に振る舞うはず、周囲の者も自然と離れて行くだろう。翌朝、皇后が初めて独りで執り仕切る朝議が始まった。予想通り喜隠が真っ先に御前に立ち、景宗が療養する間、朝政をどうするつもりか尋ねる。燕燕は景宗の指示により自分が代行して秦(シン)王・高勲が補佐し、女里・賢適・室昉が宰相と協力して事務を取り仕切ると答えた。そこで高勲は真っ先に拝命したが、喜隠は異論を唱える。皇后なら景宗のそばで尽くし回復を助け、摂政は太祖の子孫が行うべきだという。すると罨撒葛の指示通り高勲は皇后をかばい、わざと喜隠と対立した。女里も高勲に追従し、趙王は二心ありと疑う。ザワザワ… ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ ザワザワ…朝議は紛糾した。「騒ぐでない!」その時、驚いたことに皇后が確かに自分では景宗の代行として力不足だと認めた。燕燕は今の状況では確かに趙王の方が朝政を担うのに適切だと言った。予想外の展開に顔がこわばる罨撒葛、すると韓徳譲も趙王が摂政となることが民の望みだと賛同する。ただし景宗の聖旨に背くことになるため、今日のところは保留にして景宗の決断を待ってはどうかと上奏した。喜隠は徳譲のまさかの援護に鼻高、異論はないという。「ならばそうしよう、この件は朕と陛下で相談する」景宗は病床で燕燕から朝議の報告を聞いた。「釣りには餌が必要だもの」「ふっ…事を荒立てずに喜隠を始末するわけか?妙策だな」正直なところ燕燕独りで朝議に出すことを案じていた景宗だったが、驚いたことにわずかな計略を用いてたやすく事態を収めた。「つまり朕は苦い薬を飲まずともゆっくり養生できる」「…もし飲まないなら燕王に頼んでもっと苦い薬を出してもらうわよ?」景宗は仕方なく薬を飲んだ。すると燕燕は実はこの妙策が韓徳譲の発案だと教える。旅から戻った徳譲は以前より着実で周到になっていた。「徳譲哥は朝政についても深い見識を持っている、あなたも回復したら意見を聞くといいわ」高勲と女里は皇后の判断に動揺し、太平王府を訪ねた。罨撒葛も皇后があえて喜隠を摂政にしたことに違和感があり、静観していたという。思えば皇后の腹心が1人も擁護しなかったのは話がついていたからだ。あれは見せかけの譲歩に違いない。「蕭燕燕を侮っていたな、思ったより手強い…」しかし高勲は手強いのは皇后に裏で献策している韓徳譲だと指摘した。すると罨撒葛は自分に策があると安心させる。「大した敵ではない、だがまず喜隠を片付けなければ…」本来ならまだ動く気はなかったが、罨撒葛は情勢が変わったため打って出ることにした。女里から奏状が届いた。皇子の儀式に紛れ込んだ刺客・玉宛(ギョクエン)は趙王の配下だったという。その証拠として趙王が命じた文が居室で見つかっていた。しかし喜隠に逃げ道を与えないよう、燕燕はまだ追及しないことにする。一方、韓徳譲の右腕・信寧(シンネイ)はついに刺客の靴の中敷をつきとめた。中敷を作ったのはやはり喜隠に仕えている梁(リョウ)州の者だったという。梁州では棕櫚(シュロ)の生産が盛んだが、上京(ジョウケイ)では売られていなかった。上京でこの中敷を作れるのはこの男だけ、しかし男はなぜ自分が捕まったのか分からず困惑している。そこで徳譲は正直に話せば悪いようにしないと安心させた。男の話では自分が作った物は全て喜隠大王の屋敷へ納めており、靴の中敷を作る前には足の寸法を測っていたという。すると徳譲は人相書きを見せて知っている顔を教えるよう命じた。「あ…見た顔です!頬に刀傷があったので覚えています、この方は喜隠大王の配下でした」景宗は気分転換に散歩がてら皇后の様子を見に来た。しかし韓徳譲から報告を聞いていた燕燕はやけに沈んだ顔をしている。実は閭(リョ)山で景宗と蕭思温(ショウシオン)を襲わせた真犯人が喜隠だと分かった。ただ奇妙なことに一晩のうちに証拠が出て来たという。燕燕は自分たちの策が奏功し、誰かが喜隠の摂政を阻止するため隠し持っていた証拠を出したのだと気づいた。すると徳譲は別の目的も考えられると指摘、ともかく兵馬を持っている喜隠の身柄を押さえようと提案する。景宗はすぐ許可したが、燕燕は姉と甥を傷つけないで欲しいと頼んだ。その夜、喜隠はすっかり舞い上がり、ひとり祝宴をあげていた。まさかその時、屋敷の周りをすでに郎君軍が包囲しているとは夢にも思うまい。すると韓徳譲たちが乗り込んできた。蕭達凛は王府を封鎖するよう命じ、韓徳譲が聖旨を告げる。「お許しがあるまで趙王は禁足だ」すでに摂政気分だった喜隠は泥酔して悪態をつくと、徳譲と達凛はその姿に呆れて引き上げて行った。翌朝、宮中でも趙王の禁足が知れ渡った。証拠があるため皇族からも不満はなく、燕燕もこれでひと段落ついたと安堵する。実は高勲と女里が喜隠の件を調べたいと申し出たため、これを認めていた。「喜隠と近かった2人が手の平を返すように反撃に出たのね… 韓大人、血を流さず喜隠を捕らえられたのはあなたのおかげよ、心から感謝します 父上の件はこれで片づいたわ…やはり去るの?」すると韓徳譲は黙って拝礼した。( ;∀;)ジョー高勲と女里は喜隠が以前より簒奪を企てていたと報告、厳罰を求めた。しかし罨撒葛は遼が皇子を得た今、徳を積むべきだと進言し、王妃と屋敷の者は免罪とし、喜隠は軟禁してはどうかという。すると燕燕は皇太叔に従い趙王は祖(ソ)州へ流し、祖陵を守らせると決めた。そんなある日、罨撒葛は冷宮の蒲哥(ホカ)太妃を訪ねた。「あのことを誰かに話したの?!」罨撒葛は浦哥の弱みを握っていた。つづく(  ̄꒳ ̄)え___ジョーの献策ってバレバレじゃ…でもジョーしか見所ないから許すw
2021.09.17
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第28話「新たなる戦い」太平王・耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)は沙陀(サダ)にいても上京(ジョウケイ)の事情に通じていた。「明扆(メイイ)はどんな条件を出して君を遣わした?」そこで王妃・胡輦(コレン)は景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)からの親書を渡した。景宗は兵権を半分、差し出すことを要求し、その代わり罨撒葛が統べていた太宗皇帝の国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)を継承させるという。一方、景宗が罨撒葛を呼び戻すと聞いた耶律喜隠(ヤリツキイン)は怒り心頭だった。すると趙(チョウ)王妃・烏骨里(ウグリ)が気まずそうに書斎にやって来る。先の射鬼箭(シャキセン)の件でわだかまりがある2人、しかし烏骨里は罨撒葛が戻っても喜隠に機会はあると助言した。義父・耶律李胡(ヤリツリコ)が皇太弟や皇太叔に封じられながら結局、帝位に就けなかったように、景宗も兵権を持つ罨撒葛をなだめるため称号を与えるだけだろう。「2人は再び争うはずよ、和解はうわべだけのもの」「その通りだ!…さすが愛妃、私がズンドコ…いやどん底に落ちるといつも支えてくれる」こうしてバ…ゲフンゲフン…夫婦は仲直りした。太平王府に主が帰って来た。「もう二度と我らは離れない」「そうね…」罨撒葛は胡輦の手を握りしめ、久しぶりの我が家へ足を踏み入れた。罨撒葛が参内すると、景宗は病床にいた。確かに明扆は明らかに弱って見える。景宗は余命がわずかとなり、帝位を伯父に返したいと伝えた。そこで罨撒葛を皇太叔に封じて国阿輦斡魯朶を返すと決め、その代わり皇后・燕燕(エンエン)と生まれて来る我が子を大切にして欲しいという。太平王が朝議に堂々と姿を見せた。朝堂が騒然となる中、罨撒葛は反逆したことを後悔していると伝え、その証拠に兵権の半分を朝廷に差し出し、今後は粉骨砕身して仕えると上奏する。そこで景宗は太平王・耶律罨撒葛に皇太叔の称号を授け、国阿輦斡魯朶を与えて領地は従来のままとする旨の勅命を下した。女里(ジョリ)は上機嫌で高勲(コウクン)を訪ねた。実は以前くすぶっていた太平王にあえて文を送り、高勲の名も出しておいたという。女里は早速、一緒に太平王を訪ねようと誘ったが、高勲は喜隠が目を光らせていると止めた。「太平王は我らより焦っているはずだ…ニヤリ」その頃、上京で暗躍していた粘木袞(デンボクコン)が太平王府へ駆けつけ、主に拝礼した。「大王!よくぞお戻りに!」「王府もお前も変わっておらぬ、当然、私も変わってはおらぬ…苦労をかけたな」しかし粘木袞は肝心な時に失敗してしまったと肩を落とした。罨撒葛は焦る必要ないとなだめ、秘密を知る者なら全て始末したという。今の情勢なら自分たちに有利、そこで罨撒葛は景宗の望み通り喜隠に噛みついてみようと決めた。景宗を安心させて油断した頃が好機となる。すると粘木袞は喜隠なら女里、高勲と同盟を結んだようだと報告した。「女里からの文が″刀″となる、その刀の切れ味を見る時が来た」そこへ思わぬ来客の知らせが届いた。耶律只没(ヤリツシボツ)に愛想を尽かした寧(ネイ)王妃・安只(アンシ)は罨撒葛を頼ることにした。罨撒葛はまだ若く美しい安只が活路を求めて自分のところへ来たと見抜く。「私の命には何でも従うか?」「もちろんです、大王」そこで罨撒葛は今後も自分に従うなら栄耀栄華を極めさせてやると約束した。( ๑≧ꇴ≦)転んでもただは起きない安只!一方、蕭家の三姉妹は父の墓参りにやって来た。3人は蕭家の後継として選んだ継先(ケイセン)に叩頭させ、これから胡輦が教育すると墓前に報告する。(  ̄꒳ ̄)突然、現れたこの子は…誰?!そしていよいよ燕燕のお産が始まった。燕燕は無事に皇子を産んだ。我が子を腕に抱いて幸せに包まれる景宗、2人の姉たちも甥の誕生を喜ぶ。しかし燕燕は出産直後でありながら、虎に狼を食わせて均衡を保つしかない現状を嘆いた。娘ならまだ良かったが、息子なら標的にされるのは必至、もし敵が目覚めれば共謀して自分たちに刃向かって来るだろう。景宗はともかく今はゆっくり休むようなだめ、自分がいる限り誰にも勝手な真似はさせないと安心させた。耶律只没は二兄の子を見て感激しながら一方で跡継ぎを残せない悲しみに打ちひしがれた。自分が二兄のように冷静沈着だったら、遼の皇族の中に母の子孫もいたはずだろう。位牌の前で泣き崩れる只没、その様子を偶然、回廊を通りかかった安只が見かけた。…申し訳なく思うのは母親と父親にだけなの?じゃあ私は?…子供は仕方ないとしても、権勢すら与えてくれないなんて景宗は皇子の満ひと月の祝宴を開いた。胡輦と烏骨里は燕燕と一緒に後宮で儀式を見守っていたが、早速、事件が起こる。それは月里朵(ゲツリダ)が祈祷を終えて皇子を侍女に渡した時だった。皇子を抱いた侍女はわざと椅子にぶつかってつまずき、皇子を放り投げてしまう。しかし月里朵が飛び出し、身を挺して皇子を抱き止めた。燕燕は皇子の無事を確認して安堵し、代わりに火傷を負った月里朵の手当てを命じる。「どこから来た侍女なの?見ない顔だわ、誰の差金?」すると捕らわれた侍女は奥歯に仕込んでいた毒を噛み、自害した。宴席にいた耶律喜隠は婆児(ハジ)から手先がしくじったと聞いた。またしても失敗した喜隠は憤慨、その様子を見ていた罨撒葛は黙って席を立つ。その時、ちょうど楚補(ソホ)が現れ拝礼したが、罨撒葛は裏切り者に一瞥もしなかった。景宗が急に退出し、祝宴はそこでお開きになった。耶律休哥(ヤリツキュウカ)は何があったのか確認すると、楚補は皇子が狙われたと耳打ちする。一方、一足先に開皇殿を出た罨撒葛は粘木袞と合流した。「愚か者の喜隠は思った以上に気が短い…だが好都合だ、一石二鳥の機会を得た」罨撒葛はこれで景宗が喜隠を除く決意を固めると確信し、女里に会いに行くよう命じた。景宗は皇子が無事だと知って安堵した。思えば射鬼箭の時から狙われていた燕燕、うかつだったと反省し腹をくくる。「私には子供やあなたや遼を守る責任がある もう以前の無邪気な蕭燕燕ではいられない、強大な皇后にならなくては…」景宗は燕燕の覚悟を知り、全面的に燕燕を支持し、後ろ盾となると誓った。皇子を殺めようとした宮女の名は玉宛(ギョクエン)、下級の宮女だったがなぜか儀式に紛れ込んでいた。恐らく黒幕の手引きで宮中の検査をすり抜けたのだろう。景宗は韓徳譲に捜査を任せ、楚補から罨撒葛と喜隠の動向を聞いた。すると罨撒葛は相変わらず王妃とのんびり過ごし、趙王は屋敷に兵馬を集め、よく高勲の屋敷へ行っているという。「高勲を脅しているようです」そこで景宗は2人に動きがあれば報告するよう命じた。侍医・迪里姑(テキリコ)は国事に忙しい景宗を心配し、休みを取るよう諫言した。景宗は出産後の皇后を休ませる間だけだと言ったが、無理がたたって倒れてしまう。その頃、見舞いに訪れた罨撒葛は開皇門の前で弟・耶律敵烈(ヤリツテキレツ)と出くわしていた。「敵烈よ、蛙哥(ワカ)をよく見守れ、蛙哥は我が太宗の系統で唯一の子孫だ 我らの系統はこの先、蛙哥が頼りだぞ」敵烈は兄たちが先に宮殿に入るのを見送った。「先ほどの言葉は意味ありげだな…」「罨撒葛はあなたを悪事に誘い込む気かも?」冀(ギ)王妃・夷蘭(イラン)は罨撒葛に近づかず、平穏に暮らしたいと言った。胡輦も罨撒葛の敵烈への言葉に他意があったと気づいた。まさか景宗が倒れて我慢できなくなり、何か企んでいるのだろうか。しかし罨撒葛はからかっただけだと笑い飛ばした。「あなたの野心は知っているけれど、私たち3姉妹を巻き込まないでね、妹の子どもたちも」すると罨撒葛は自分たちにも息子が欲しいと言った。つづく(^ꇴ^)罨撒葛の復帰でようやく引き締まりましたでも下ネタはなしでお願いします(笑
2021.09.11
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第27話「狙われた皇后」摂政になれると舞い上がっていた趙(チョウ)王・耶律喜隠(ヤリツキイン)だったが当てが外れた。「蕭燕燕(ショウエンエン)さえいなければ私が摂政だったはず ←( ̄▽ ̄;)え? 子を宿したくらいで我が祖母・述律(ジュツリツ)皇后と並び立つつもりかっ…ワナワナ」一方、韓徳譲(カントクジョウ)が流した偽情報により、蕭思温(ショウシオン)暗殺に関わった者たちが追い詰められていた。ε=┌(; ̄◇ ̄)┘<逃げるぞ!@蕭海只(ショウカイシ)この屋敷も見張られてますよ>( ̄꒳ ̄ )=C<o; ̄◇)oそこで蕭海里(ショウカイリ)は女里(ジョリ)から警備図をもらったことにしようと提案する。しかしその頃、女里と高勲(コウクン)もまた保身のため2人を差し出そうと考えていた。捜査を続ける韓徳譲は4月の記録簿に″蕭宰相が女里と高勲に関する告発状を受けた″という記載を見つけた。しかしその告発状が見つからない。もし女里と高勲が盗んだのなら記録も抹消しているはずだ。確かにあらゆる手がかりが女里と高勲を指していたが、問題は景宗を襲う理由がないことだった。「まるで何者かが裏で糸を引いているようだ…こんなことができるのはあの者だけ」\(( °ω° ))/<やっとまともな悪者クルーッ?!女里が朝議で蕭思温暗殺の首謀者として蕭海只と蕭海里を告発した。高勲の話では2人が高家の侍女を弄び、激怒した蕭思温が2人を処罰しようとしていたという。女里と高勲が一緒に調べを進めていたところ、2人の屋敷から警備図が発見されていた。ザワザワ…ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ…ザワザワ蕭海只と蕭海里が景宗と皇后の前に引っ立てられた。すると2人は互いに相手に罪を擦りつけ、その醜い姿に激怒した燕燕は顔を20回、打てと命じる。これで2人は言い訳もできなくなり、それを良いことに女里は2人が従者を買収し、自分を脅して来たと説明した。しかし買収された従者はすでに露見を恐れて自害してしまったという。蕭海只と蕭海里は収監された。首謀者が突然、見つかったことを訝しむ景宗だったが、実は韓徳譲の画策だと知る。徳譲は密かに偽り情報を流し、真っ先に動いたのが女里と高勲だった。追い詰められた2人は刺客を雇った蕭海只と蕭海里を罪人として突き出したのだろう。実は徳譲は蕭思温の背中を刺したのが高勲だと見当をつけていた。蕭思温の近くにいて背中を刺せたのは内部の者の犯行、侍衛の証言では蕭思温を支えていたのが高勲だったという。しかし景宗を狙った別の刺客たちに関してはまだ調べがついていなかった。「しばらく2人は泳がせておきましょう」景宗は燕燕を納得させるためにも、蕭海只と蕭海里を差し出して恨みを晴らさせようと決めた。早く真相を明らかにしなければ朝廷は揺らぎ、燕燕のお腹にいる子にも危険が及ぶ。すると徳譲は秘密裏に証拠を集めたいと申し出た。どうやら蕭思温の暗殺は巨大な陰謀の幕開けかもしれない。徳譲は黒幕に心当たりがあり、慎重に動くべきだと助言して下がった。そこで景宗は婆児(ハジ)に休哥(キュウカ)惕隠(テキイン)を呼ぶよう命じる。「頼みがある…」景宗は蕭海只と蕭海里の処刑を蕭家の3姉妹に託した。そこで耶律喜隠は烏骨里(ウグリ)に″射鬼箭(シャキセン)″を勧める。本来は儀式の際に生贄に対して行われるが、大罪人への処刑にもうってつけだと教えた。ただ大姐は屋敷の差配で忙しく、皇后は身重、喜隠は2人に手間をかけないよう自分が準備を手伝うという。耶律休哥が突然、女里の屋敷に現れた。実は蕭思温の亡骸を調べたところ、なぜか背中に刺し傷があったという。警備を担っていたのは女里、なぜそんな隙が生まれたのだろうか。休哥は刺客がさらに景宗まで狙ったが、これは重罪になるとほのめかした。後ろ暗い女里は焦りを隠せず、何が目的かと聞く。そこで休哥は高勲と甘い汁を吸うなら自分も分け前が欲しいと迫った。「蕭宰相を殺したのは権力が欲しいからだろう?独り占めとは虫がよ過ぎる …高勲より私を味方につけた方が役に立つぞ?」女里が上機嫌で狩りから戻ると、高勲が待っていた。「なぜ休哥を政事令に推挙した?!危う過ぎる!」「休哥は惕隠で皇族の長だ、抱き込んで損はない」女里は休哥なら信頼できると安心させ、これからは手を組むと言った。( ̄▽ ̄;)ダメだこりゃ耶律喜隠と撒懶(サツラン)は今日の射鬼箭で身重の燕燕が矢倉から落ちるよう階段に細工をした。「皇后が矢倉に上がる時、烏骨里だけを止めよ」「大王、高い台ではありません、何も言わぬのが得策でしょう 王妃にも秘密にすれば、誰にも疑われることはありません」しかし偶然、回廊で話を聞いた烏骨里が書斎に乗り込んでくる。「燕燕に罠を仕掛けたの?!」「少し灸を据えようと思っただけだ、燕燕は私から摂政の座を奪った ←まだ言ってる( ̄▽ ̄;) …私を支えてくれる約束だろう?」一方、街に出ていた韓徳譲は信寧(シンネイ)から射鬼箭で使う矢倉を作った匠が趙王の配下だったと報告した。「何か細工を施したのでは?」「…まずい!」蕭海只と蕭海里の処刑が始まった。燕燕たち3師妹は処刑台の蕭海只と蕭海里に矢を放つため、矢倉に上がる。胡輦は身重の燕燕に先に行くよう勧め、その後ろから心配そうに烏骨里が続いた。思わず燕燕を支えようとする烏骨里だったが、ふと夫の鋭い視線に気づいて手を引っ込める。しかしその時、突然、韓徳譲の叫び声が響き渡った。「皇后!危ない!」驚いた燕燕は足を止めて振り返ると、ちょうど一段上に上がった侍女・青哥(セイカ)の足元が崩れ、転落した。韓徳譲の予感は的中、やはり皇后を狙って矢倉に細工があった。胡輦は延期してはどうかと提案したが、燕燕は気丈にも続けるという。こうして3人は矢倉に上がって罪人に矢を放ち、父に敵を討ったことを報告した。燕燕は階段が崩れる直前に二姐が自分の腕をつかんで助けたことに気づいていた。実の姉が耶律喜隠の企みを隠していたことに衝撃を受ける燕燕、しかし景宗は烏骨里が最終的に妹を選んだとかばう。しかし今回、妹を選んだからと言って次も妹を選ぶとは限らなかった。一方、計画が失敗に終わった耶律喜隠は烏骨里に八つ当たりしていた。烏骨里は妹を見捨てることなどできないと訴えたが、喜隠は甘過ぎるという。「この道がどれほど残酷か知らぬのか!」「あなたが妹を傷つけるなら私は妹を守る!でも妹があなたを傷つけるなら妹と戦う!」「…両方を選ぶことなどできぬ」「それでも選びたいの!燕燕と大姐には手を出さないで!」「甘いっ!」すると喜隠は憤慨して出て行ってしまう。胡輦のもとに罨撒葛(エンサーグァ)から文が届いた。上京(ジョウケイ)で別れて数ヶ月、罨撒葛も蕭思温の訃報を聞いて心を痛めているという。「私は沙陀(サダ)にいる、1日も早く再会し君と寄り添いたい」←まさか下ネタじゃないよねwすると胡輦は参内し燕燕に会うことにした。燕燕は耶律喜隠に手を出せば皇族たちに不安が広がると心配した。景宗は身体が悪く、自分も大きなお腹でままならない。軽率に動けば喜隠は逆襲して来るだろう。しかし韓徳譲はこのまま喜隠を野放しにはできないと訴えた。「私にも考えがあるの…大姐が来たわ」燕燕は景宗と徳譲に罨撒葛からの文を見せた。胡輦なら烏骨里と違い夫を牽制できる。今や喜隠は高勲や女里と組んで大きな勢力を築き、これに対抗できるのは太平王しかいなかった。燕燕は″虎″と″狼″の均衡を利用し、その間に力を養うことができるかもしれないと期待する。「どれだけ危険か分かっているのか?」「…私たち夫婦、そして子孫が乗り越えるべき山よ、逃げては駄目 罨撒葛を呼び戻し、私たちの目の届く所へ置くの、困難は一緒に立ち向かいましょう」燕燕が優しく景宗の手に触れるのを見た徳譲は思わず目を背けた。「はお、そなたに従おう」燕燕は寝宮に戻ることにした。すると追いかけてきた韓徳譲が回廊で呼び止める。「皇后、その場しのぎで罨撒葛を呼び戻すのはあまりに危険すぎます …もし罨撒葛のために姐妹が反目するようなことになれば…」「私にとって大事なのは情より国です、大姐も同じはずよ」徳譲は燕燕がすでに立派な皇后になっていると知った。沙陀の罨撒葛の軍営に胡輦が現れた。一瞬、目を疑った罨撒葛だったが、千里を駆けて会いにきてくれた愛する妻を自ら迎える。「ようやく会えた」罨撒葛は人目もはばからず胡輦を抱きしめ、目を潤ませた。そこで配下たちに今後は太平王妃を自分だと思い、逆らってはならないと命じる。「再会を祝し、禁酒を解いて大いに飲もう!」しかし罨撒葛は景宗が胡輦を遣わしたと分かっていた。つづく(  ̄꒳ ̄)立ち上がる皇后→狙われた皇后…次は狙い過ぎた喜隠かな?
2021.09.10
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第26話「立ち上がる皇后」蕭思温(ショウシオン)暗殺事件を調べ始めた韓徳譲(カントクジョウ)。景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)の話では刺客は弓を構えて潜んでいたが、蕭宰相を襲ったあともさらに数が増えたという。やはり検死で分かった通り、刺客は2つの集団に分かれていた。しかも蕭宰相の死は別の者による可能性が高い。「蕭宰相の身体には矢傷もありましたが、致命傷となったのは背後からの刺し傷でした …私が必ず黒幕を突き止めます」蕭海里(ショウカイリ)は海東青(カイトウセイ)が城門から出たのを見届け、蕭海只(ショウカイシ)と合流した。これで叔父の物は全て自分たちのもの、叔父の跡を継ぐのはもちろん兄の海只で、領地は海里と山分けだと皮算用した。翌朝、弔問に訪れた趙(チョウ)王妃・烏骨里(ウグリ)は我が物顔で実家を仕切る従兄弟たちの姿を見た。家職・虎思(コシ)の話では海只と海里が蕭達凛(ショウタツリン)を追い出し、叔父への孝行だと言って屋敷のことに口を出し始めたという。憤慨した烏骨里は屋敷へ戻ると耶律喜隠(ヤリツキイン)に助けを求めたが、けんもほろろにあしらわれてしまう。どうせ海只や海里に大したことはできない。喜隠はそれより徳譲の捜査で不安に駆られている女里(ジョリ)と高勲(コウクン)の動向が気になった。その頃、韓徳譲は楚補(ソホ)の案内で蕭思温の殺害現場を検証していた。そこで徳譲は楚補を蕭思温に見立て、襲われた様子を再現してみる。蕭宰相の刀傷から察するに最初に襲撃した刺客は前から斬りかかっていた。2つの弓傷はその後に現れた別の刺客が放ったものだろう。しかし弓で狙うなら距離が必要、こんな広い場所で背後まで近づき背中を刺すことは不可能だ。すると調べを終えた信寧(シンネイ)が駆けつけた。思った通り凶器は遼(リョウ)の肉切り刀、刺客の武器ではない。つまり蕭宰相の背中を刺せるのは内部の人間だけ、護衛の誰かだ。景宗は内部の者の仕業だと聞いて愕然となった。蕭宰相を襲ったのは海東青という暗殺組織で景宗を襲ったのは動きから見て軍経験者、しかしまだ正体は不明だという。やはり頼りになるのは韓徳譲だったが、徳譲は要件だけ済ませると早々に下がってしまい、取り付く島もなかった。朝堂では秦(シン)王・高勲が空位となった北府宰相と北院枢密使の後任の選定を上奏した。蕭達凛は不謹慎だと憤慨したが、確かに重要な2つの職位を長く空けておくことはできない。そこで景宗は臣下たちの意見を聞きたいと探りを入れた。すると高勲は女里を枢密使に推挙する。しかし燕王・韓匡嗣(カンキョウシ)がすかさず反対した。女里は契丹行宮都部署・近衛軍統領、閭(リョ)山警備の責任は免れず、昇進などあり得ないという。横槍を入れられた高勲と女里は反発したが蕭達凛が応戦、これをきっかけに朝臣たちは紛糾した。その時、心労が重なった景宗が突然、気を失い、机にうつぶしてしまう。燕燕は景宗が倒れたと聞いて急いで彰愍(ショウビン)宮に向かった。今は大事ないが、ただこれからは休養が必要になるという。しかし景宗は思うようにならない自分の身体に苛立ち、自棄になって薬を飲もうとしなかった。「遼は宰相に続き君主まで失うのかしら? 父親がいない子は苦労する、この子をあなたと同じ目に遭わせるつもり?」燕燕はあえて辛く当たると、景宗はようやく身体を起こして薬を飲むと言った。「高勲が女里を枢密使に推薦したそうですね…」「高勲はまず女里を枢密使にしてから今度は自分を宰相に推薦させる気だ」「高勲が望むなら宰相にすればいい、朝堂を仕切る者は必要でしょう ただ落ち度があった女里は無視すればいいのです」「…ふっ、そなたは学ぶのが早いな」景宗は″離間の計″を提案した燕燕に感心し、ならば枢密使にふさわしいのは誰か聞いた。枢密使は高勲を牽制する鍵、燕燕は迷わず信頼できる韓徳譲だと推挙する。すると景宗は急に顔を曇らせ、まだわだかまりがあると言った。景宗にはもうひとつ大事な人事があった。日ごとに悪化する体調、政局の安定には時間が足りそうにない。「摂政を置かねば朝廷が乱れてしまう」しかしさすがに摂政を決めるにはまだまだ話し合いが必要だった。一方、暗躍する耶律喜隠は間者から景宗が摂政を探していると聞いた。もはや摂政王になったも同然とひとり浮かれる喜隠、すると撒懶(サツラン)が興味深い情報を持ってくる。実は閭山の数日前、ある者が蕭宰相の馬車を止め、女里と高勲の謀反を告発していたというのだ。喜隠は告発状の行方が不明だと知り、何としてでも手に入れるよう命じる。するとその夜、魏王府の蕭思温の書斎から侍女がこっそり告発状を盗み出した。…女里と高勲は罨撒葛(エンサーグァ)と通じ野心を…景宗は韓徳譲を呼び出した。そこで枢密使を任せたいと打診したが、徳譲は暗殺事件の捜査が先だという。「この件は陛下の新政への反撃に見えます、黒幕を捕らえれば新政は進みます ですが解決せずに朝廷に入れば、私は死ぬでしょう」徳譲は枢密使に耶律賢適(ヤリツケンテキ)を推薦したが、景宗は再度どうしても戻って欲しいと頼んだ。そんな中、寧(ネイ)王・耶律只没(ヤリツシボツ)は権勢からひとり遠ざかっていた。寧王妃・安只(アンシ)はこのままでは喜隠が摂政になってしまうと焦り、すぐ参内するようけしかける。しかし只没は安只と静かに暮らしたいと話し、全く興味を示さなかった。「まるで死人のようですね!情けない!」郊外で海東青の首領・忽爾博(コツジハク)の遺体が見つかった。信寧は早速、韓徳譲に報告し、携帯品を届ける。すると金塊と蕭海只の令牌が出て来た。どうやら海東青はただの駒に過ぎず、恐らく小悪党の海只も身代わりだろう。信寧はふと思い出し、実は海只と海里が高家の侍女を辱めて蕭思温を怒らせたと話した。何でも蕭思温は激怒し、2人に跡を継がせないと断言したとか。「…つまりあの2人にも蕭宰相殺害の動機があったわけか」そこで徳譲は信寧に″海東青の忽爾博が捕らえられた″と噂を流すよう指示、さらに人手を増やして高勲を監視させることにした。韓徳譲の包囲網がじわじわと迫る中、高勲と女里は耶律喜隠の酒席に招かれた。喜隠は2人が景宗を狙って重臣の蕭思温を亡き者にしたと指摘、その証拠に魏王府で見つけた告発状を見せる。告発の内容までは分からなかったが、さすがにごまかせなくなった高勲は何が目的かと聞いた。すると喜隠は太祖の系統の継承者として摂政は自分の座になると豪語し、同盟を結びたいという。「陛下の体調は良く知っているだろう?余談を許さぬはずだ…」喜隠は撒懶の妙策のおかげで簡単に2人を引き込めたと上機嫌だった。弱みを握られては従うしかあるまい。しかし撒懶は策略と手段に優れた2人には十分な警戒が必要だと諫言した。←( ̄▽ ̄;)え?「あまり追い詰めると反撃されます」「偶然、要職を得たからと調子に乗りすぎだ ←( ̄▽ ̄;)鏡鏡! 君臣の礼は最初のうちにしっかりと叩き込まねば」景宗は徳譲の調べで喜隠が高勲や女里と組んだと知った。「あの勢力は朕に従わぬ、燕燕は身ごもっており、もはや我らは最も弱い立場になった …平穏を保つためには譲歩するしかない」しかし燕燕は退けば挽回が不可能になると反対し、お腹の子は自分が守るという。景宗は燕燕の思いが痛いほど分かったが、ただ今の朝廷で対抗勢力を抑えられる者がいなかった。「ある方をお忘れです…」黙って聞いていた徳譲だったが、皇后を摂政に推挙する。燕燕は確かに皇后として今こそ立ち上がり、困難に向き合うべきだと気づいた。景宗も最も信頼する燕燕と徳譲に朝廷を任せたいが、徳譲が朝政に乗り気でないと知っている。「無理強いはしない」「…陛下と皇后のお望みならば国に尽くします」景宗はあれほど頑なだった徳譲が燕燕のためにあっさり承諾したことに一抹の不安がよぎった。↓ジョーがこのプロペラでいつケンを叩くのかと…w景宗は燕燕を連れて朝議に現れた。そこで摂政としての権限を皇后に託すと宣言し、今日から皇后も″朕″と称することを認めるという。耶律喜隠は当然、反発したが、すかさず韓徳譲が抑えた。すると景宗は高勲を宰相に任じ、また耶律賢適を北院枢密使に任じて大丞相の北府の政を支えるよう命じる。また喜隠は西南面招討使(メンショウトウシ)に、徳譲は枢密院通事に任じられた。納得がいかない喜隠は政の経験が少ない徳譲の起用に異議を申し立てると、昇格しなかった女里たちも賛同する。しかし思った通り高勲は追従しなかった。景宗は即位した当時、重要な役職には忠誠心を重視して経験は問わなかったと言った。もし徳譲がふさわしくないと言うなら一体、誰がこの重要な任務を担えるのか。「異議を唱えるものはまず己の官職を返上してから意見を聞かせてもらおう」するとさすがに朝臣たちは静かになった。つづく( ๑≧ꇴ≦)喜隠wwwこれは演出のおかげなのか、中の人の演技力のおかげなのか…上手い!w違った意味で面白くなってきました( ̄▽ ̄;)え?
2021.09.04
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第25話「失意の再会」景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)と魏(ギ)王・蕭思温(ショウシオン)は狩りに向かう道中、刺客に襲撃された。女里(ジョリ)は標的の蕭思温から景宗を引き離したが、その時、別の刺客が現れる。その一群は明らかに景宗を狙っていた。蕭思温の暗殺を請け負った忽爾博(コツジハク)たちは別の一群に驚いて撤退した。危ないところで一命を取り留めた蕭思温、しかし暗殺の失敗に気づいた高勲(コウクン)は動揺を隠せない。一方、女里は予想外の刺客に戸惑いながらも景宗を守っていた。そこへ楚補(ソホ)が騎馬兵を率いて現れ、刺客を撃退してくれる。景宗は急いで蕭思温の元へ戻ったが、すでに虫の息となった蕭思温に高勲が付き添っていた。「分かっている、約束しよう、燕燕(エンエン)と蕭家は朕がしっかりと守る!」「・・・・・」蕭思温は景宗を見つめて必死に訴えていたが、結局、何も伝えられず絶命した。景宗は身重の燕燕を心配し、厳戒令を敷いて皇后の耳に入らないよう命じた。蕭家の姉妹でただ1人、閭(リョ)山に同行していた烏骨里(ウグリ)は父の亡骸に付き添い、夫の腕の中で気が狂わんばかりに泣き続けている。「父上が死んでしまった…父上!」その頃、高勲は女里の首に短剣を突きつけていた。「何をした?!陛下を狙う刺客も現れたのはそなたの仕業か?!」「警備の配置を変えただけだ!」すると高勲は別の者がいると気づいた。「奴らの狙いは陛下だ…」「奴ら?」一方、絶望に突き落とされた景宗はこの衝撃にじっと耐えながら、無意識に血が出るほどこぶしを握りしめていた。「帰京する」景宗が帰ってきた。燕燕は真っ先に景宗の手の怪我に気づいたが、景宗は自分の不注意だと笑って気丈に振る舞う。そこで留守の間、皇后の話し相手をしてくれた胡輦(コレン)だけを外へ連れ出すことにした。「もうすぐ蕭宰相の誕生日だが祝いの品を選ぶ暇がなかった、太平王妃に手伝ってもらおう」燕燕は自分が選ぶと言ったが、景宗は休んでいるよう命じた。蕭思温の亡骸はすでに魏王府に到着していた。景宗から父の訃報を聞いた胡輦は急いで駆けつけ、棺に眠る父と対面を果たす。「なぜこんなことに…信じられない…父上…」胡輦は棺にしがみついて号泣した。女里は浮き足立ち、高勲に蕭海只(ショウカイシ)と蕭海里(ショウカイリ)を突き出すよう迫った。しかし高勲は軽はずみに動けば自ら火中に飛び込むことになると釘を刺す。実は高勲は裏で糸を引いているのが趙(チョウ)王・耶律喜隠(ヤリツキイン)だと見当をつけていた。太平王は上京(ジョウケイ)にいない。ならば直接、利を得るのは趙王ただ1人、趙王にとってまさに一挙両得のはずだ。その頃、独りで食事をしていた韓徳譲(カントクジョウ)は偶然、隣の席から思わぬ話を耳にした。「上京は不穏ゆえ、しばらく近づくな」「何かあったのか?」「宰相大人が殺されて陛下が刺客を追っているらしい」驚いた徳譲は取るものも取り敢えず烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)にまたがり、上京を目指した。一方、後宮では女里の姪で小妃・喜哥(キカ)が早速、太妃たちに宰相の急逝を伝えていた。しかし景宗が動揺させまいと皇后には知らせていないという。そこで蕭蒲哥(ショウホカ)と蕭啜里(ショウセツリ)はこれを利用し、日頃の鬱憤を晴らそうと考えた。喜隠は密偵から蕭思温の死で利を得るのが蕭海只と蕭海里だと報告を受けた。しかしさすがに喜隠も2人の背後に潜む者がいると気づく。閭山での警備は厳重のはず、事前に配置を知らなくては容易に襲撃などできるはずがない。「警備を担っていたのは女里だ…」すると撒懶(サツラン)が女里1人で景宗の暗殺をもくろむとは思えないという。喜隠は蕭思温が高勲と女里の権限を削るよう進言したことから、高勲も関わっていると分かった。「大王、最初から刺客も口封じに消す計画だったのでしょう」「これは絶好の機会だ、確かな証拠をつかみ、女里と高勲を言いなりにする!(๑•̀ㅂ•́)و✧」2人の太妃が急に皇后の寝宮に乗り込んで来た。燕燕は何事かと気になり、太妃たちを通すよう命じる。すると太妃たちはさも燕燕を心配しているふりをして慰めに来たと言った。「ご存知ないのですか?蕭宰相が殺害されたと…」突然の知らせに卒倒する燕燕、その頃、韓徳譲は必死に馬を駆けていた。燕燕が目を覚ますと景宗が付き添っていた。景宗は身ごもっている燕燕の身体を心配し、黙っていたと釈明する。「…言ったはずよ?父の権力が大き過ぎて人々に嫉妬され、危険にさらされると あなたは耳を貸さず、父を守ると約束したのに…あなたのせいよ」燕燕は寝台から出ると、屋敷に帰って父に会うと言った。「朕も一緒に…」「来ないでください、蕭一族以外、誰も入ることは許しません」景宗は燕燕に責められても何も言えなかった。すると婆児(ハジ)は喜哥小妃が太妃たちをけしかけて皇后に伝えさせたと報告する。景宗はこれまで目をつぶって来たが、ついに決心した。「命を伝えよ、太妃2人は偏宮で静養を、朕の許可なく出ることは許さぬ 喜哥小妃に至っては冷宮送りが妥当だ」燕燕が魏王府に駆けつけた。胡輦は泣き崩れる燕燕を優しくなだめ、泣き過ぎるとお腹の子に良くないという。すると燕燕は父と2人だけにして欲しいと頼んだ。ちょうどその時、門前に韓徳譲が到着する。↓( ๑≧ꇴ≦)帰ってきたジョー!走馬燈のように蘇る父との思い出、燕燕は涙も枯れて途方に暮れていた。そこに突然、韓徳譲が現れる。徳譲は皇后に拝礼すると、蕭思温の位牌に叩頭した。呆然と立ちすくむ燕燕、しかし徳譲の弔問が終わると声をかけた。「長旅で疲れたでしょう?」「こたびの件を知って急ぎ駆けつけました、どうぞご自愛を 必ずや黒幕を捕らえ、蕭宰相の墓前にご報告します…」「徳譲哥哥、ありがとう…」燕燕は徳譲に拝礼すると、徳譲は困惑した。「…私は皇后の臣下、君臣の礼は守らねばなりません、すぐ調べに取り掛かります」↓(TㅅT)おかえりジョー燕燕は宮中に戻った。景宗は安堵したが、実は魏王府に韓徳譲が弔問に訪れたと知る。そこで燕王府に徳譲が戻りしだい参内するよう勅命を出した。その夜、徳譲は景宗に謁見した。懐かしい友との再会に喜びを隠せない景宗、しかし徳譲はどこかよそよそしい。「以前とは違います、君臣の垣根は越えません、お申しつけのみで結構です」徳譲は蕭宰相殺害の真相を調べたいと嘆願し、そのために戻って来たと言った。そこで景宗は徳譲の願いを聞き入れ調査を認め、今も最も重要な席は徳譲のために空けてあると引き止める。しかし徳譲は昔に戻れると思うのかと冷ややかだった。「もう夜も更けました、これで失礼いたします」「…私も殺されかけた!他に誰が燕燕と子を守れる!」景宗は思わず徳譲の背中に怒鳴ったが、徳譲はただ黙って振り返っただけだった。韓徳譲は蕭達凛(ショウタツリン)の協力を得て、手始めに刺客たちの亡骸を調べた。するとある遺体に見覚えのある入れ墨がある。「″海東青(カイトウセイ)″という組織の印だ」中には印のない遺体もあったが、海東青は掟が厳格で印のないよそ者は混ざれない。また遺体の手にはマメがあり、そのマメの場所から海東青は刀を使い、一方は弓を使うと分かった。次に亡骸の衣服を調べると、履物から棕櫚(シュロ)の中敷きを見つける。棕櫚は南方の素材、上京で見るのは初めてだ。そこで徳譲は信寧(シンネイ)にこの中敷きを扱う店が上京にあるか調べるよう頼む。また達凛から検死報告書を借りることにした。達凛の話では一番の疑問は致命傷となった背中の傷だという。徳譲は改めて武器を調べて傷口と照らし合わせることにしたが、想像以上に複雑な陰謀が絡んでいると驚いた。「海東青以外の奴らは恐らく陛下を狙っていたな」韓徳譲は景宗からも当時の話を聞くことにした。あの日、確かに刺客は即座に蕭宰相を襲ったが、景宗は本当の狙いが自分だったという。「不審に感じた点はありますか?」つづく( ;∀;)ディエディエ~!悲しみと陰謀の…ってえ?何これ?浅はか選手権?w(* ತ _ತ)<こたびは読みを誤ったわ…って太妃( ̄▽ ̄;)
2021.09.04
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第24話「迫りくる陰謀」耶律喜隠(ヤリツキイン)は趙(チョウ)王に封じられた。王妃・烏骨里(ウコツリ)は自分たちも領地へ行くのかと不安になったが、喜隠はもちろん上京(ジョウケイ)に残るという。「明扆(メイイ)は病弱で長生きできぬ、奴が死んだ時にそばにいなければ再び帝位を逃すからな」一方、景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)は念願叶って燕燕(エンエン)とついに結ばれた。心を開ける相手を手に入れ、初めて心の安らぎを得られるようになった景宗。こうして景宗一行は夏捺鉢(ナバ)を終えて上京に戻り、燕燕は吉日に立后の儀を迎えた。韓徳譲(カントクジョウ)はひとりで食事中、偶然、隣の席にいた商人の話を耳にした。先日の立后の儀は贅を極め、黄金だけで100両も下賜されたという。格別の寵愛を受けているという皇后の噂。徳譲はすでに割り切ったつもりでいたが、やはり気分が沈んだ。その頃、客室にいた李思(リシ)は侍女から文を受け取っていた。実は侍女が侍衛に頼んで密かに李夫人に近況を報告していたという。←これが密偵?すると文に燕燕が皇后に冊封されたとあった。李思はこれで徳譲も吹っ切れると期待し、思わず頬が緩んでしまう。皇宮に戻っても景宗は小妃・喜哥(キカ)を無視していた。堪りかねた喜哥は皇后に景宗を独り占めしないよう訴えたが、燕燕もこればかりはどうしようもない。そこで後宮を出るよう勧めた。喜哥はまだ若く今が花盛り、好きな殿方に嫁げば夫を分け合いたいと泣きつく必要もないだろう。しかし喜哥は拒否し、思わず皇后に詰め寄ろうとした。侍女は咄嗟に喜哥を止めると、そこへ侍医・迪里姑(テキリコ)がやって来る。喜哥は皇后が身ごもったと気づき、激しい嫉妬から燕燕への恨みを募らせた。燕燕が懐妊し、景宗は父親になれる喜びに湧いた。これにより多くの大臣が祖父となる蕭思温(ショウシオン)のご機嫌取りに忙しくなる。そんな蕭思温を苦々しく思う女里(ジョリ)と秦(シン)王・高勲(コウクン)、一方、喜隠は懐妊だけで盛大に祝われる皇后を羨み、息子を産みながら祝ってもらえない烏骨里を憐れんだ。そんなある夜、大于越(ダイウエツ)・耶律屋質(ヤリツオクシツ)が危篤となった。知らせを受けた皇族たちが屋敷に駆けつけると、すでに景宗と皇后がそばに付き添っているという。遼の3度の危機を解決した屋質、しかし実際のところ紛争や内乱を止められなかったと悔やんだ。しかしこうして英明な景宗が改革に着手し、皇后も懐妊、自分がいなくなっても蕭思温がいると安堵する。そして最期に屋質は皇族一同を呼び、全身全霊を捧げて景宗を支え、遼を繁栄させて欲しいと願って息を引き取った。ある日、蕭思温の馬車の前に突然、誰かが飛び出した。「蕭宰相!女里と高勲を告発します!これが証拠です!」その様子を粘木袞(デンボクコン)が物陰から見ていた。 ←違う?高勲は魏(ギ)王府に送り込んだ間者から自分と女里が謀反の件で告発されたと知った。驚いた高勲は急いで女里を訪ね、すでに調査が始まっており、先手を打つしかないと迫る。そこで高勲は蕭思温を消したいのは自分たちだけではないとほのめかした。「数日後、陛下は閭(リョ)山へ、蕭思温もお供する…」高勲は女里が景宗の護衛を率いていることから、密かに警備の配置を変えて刺客を入れるよう頼んだ。その夜、燕燕は彰愍(ショウビン)宮を訪ね、政務に根を詰める景宗を諌めた。何でも最近、景宗の脈が乱れているという。景宗は明日から定時に薬を飲むと約束したが、これも生まれて来る皇子に自分と同じ運命をたどらせたくない一心からだった。「皇子に平和な遼を与えるため、朕は全力を尽くしたい」「なら言わせてもらいます…高勲と女里は功臣だから、あなたは2人に大きな権力を与えたわ 今度は権力を奪うなんてとても危険です、2人は黙っていないでしょう 下手をすれば恐ろしいことになります、あなたのやり方は誰がどう見ても問題があるわ」しかし景宗には理由があった。父の世宗は皇族を懐柔するため誤って察割(サツカツ)を重用、一方の穆宗(ボクソウ)は猜疑心が強すぎて、皇族を重用したが奪った命も数知れない。景宗はこの教訓を汲んで臣下と皇族の均衡を保つためだと説明した。すると燕燕は自分と父の権力があまりに大きくなったことで嫉妬が生まれ、危険にさらされると不安を募らせる。燕燕の話はもっともだったが、景宗は権力を渡す相手を誤っては大きな災害を招くと訴えた。「何も案ずるな、だが焦ってはいない、権力は徐々に分割し、人選はじっくり見極めるよ」景宗は燕燕の機嫌を取るため、何かと皇后を煩わせている太妃2人を二度と来させないようにすると約束した。魏王府に突然、高勲が訪ねてきた。実は高家の侍女が陵辱され、悪党を役所に突き出そうとしたところ、2人が蕭思温の甥で、そのうち1人は蕭宰相の跡継ぎだと言い張っているという。驚愕した蕭思温は詳しく調査をしてから必ず厳罰に処すと約束し、2人の身柄を引き受けた。高勲は侍女を使って蕭海只(ショウカイシ)と蕭海里(ショウカイリ)を罠にはめた。騒動ばかり起こしては悔い改めもせず、甥たちが跡継ぎの座まで狙っていると知った蕭思温は激怒、2人にだけは后族を託さないと断言する。「屋敷に戻って猛省せよ!閭山から戻った後に罰する!」蕭思温は閭山へ出発する前、皇后へ挨拶に来た。景宗から留守番を命じられた燕燕は烏骨里も同行するのに自分だけ居残りだと不満を漏らす。そこで蕭思温は胡輦(コレン)を呼んではどうかと提案した。燕燕は大姐がいれば一番だと喜び、初めて手作りした匂い袋を父に贈る。すると蕭思温は父を気遣ってくれるようになった娘の成長に感慨無量となり、目頭が熱くなった。「そうだ、父上、お腹の子に名を付けてください、二姐の子にもつけたのでしょう?」「大人になっても甘えるとは…分かった分かった、閭山に行ったらしかと考えておこう」蕭海只と蕭海里は叔父が戻れば一族から除名されると怯えた。活路を探す2人は叔父さえ死ねば血縁が近い自分たちが跡継ぎだと考え、高勲のことも揉み消せるはずだと気づく。「よし、決まりだ」蕭海里は女里の従者に金をつかませ、閭山の警備図を手に入れていた。2人は利用されているとも知らず、刺客集団の隠れ家へ出向き仕事を依頼する。すると2人が帰ったあとに粘木袞が現れた。「銭はある、品は?」閭山、景宗は蕭思温と一緒に狩りへ向かった。2人の背後には警護を任された女里と高勲がついている。景宗と蕭思温は生まれて来る子供の話で和気あいあいとしていが、じわじわ刺客が近づいていた。女里と高勲はそろそろだと目配せした。やがて潜んでいた刺客たちが現れ、景宗一行を襲撃する。「陛下を守れ!」女里は景宗を保護させ、標的である蕭思温と引き離した。すると蕭思温が腹に矢を受けてしまう。つづく( ̄▽ ̄;)やっと半分まで来ました~ジョーがいないせいか、急激に落ちて行く視聴意欲
2021.08.28
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第23話「人生の選択」女里(ジョリ)にそそのかされた耶律喜隠(ヤリツキイン)は息子を養子にして帝位に就かせる手もあると知った。しかし烏骨里(ウグリ)から自分で帝位が奪えない代わりに息子を差し出すつもりかと責められ、断念せざるを得ない。そこで諸王に知らせを送り、南北大臣会議で動くことにした。一方、韓徳譲(カントクジョウ)は今日も草原で燕燕(エンエン)に想いを馳せていた。…燕燕、遼を守ることが君の使命なら、私は自分のやり方で国土を検分し、この国の民を守る…これが君を生涯、守る私なりの方法だ( ;∀;)ジョーすると李思(リシ)がやって来た。「風が出て来たわ、戻りましょう?」「そうだな…」徳譲は出す宛てもなく書き綴っている文をしまうことにしたが、ふと何枚か足りないと気づいた。「先日の乱闘でなくしたのだろうか…」( ;∀;)ジョー後ろ!後ろ!韓徳譲が紛失した文は景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)に届いていた。楚補(ソホ)は密偵が入手したため疑われないよう数枚だけしかないと断り、ただどちらにしても景宗に宛てた文だと安心させる。そこで景宗は燕燕を呼んで徳譲の文を見せてみたが、燕燕はすぐ景宗に宛てた文ではないと見抜いた。「正直に話して、これはどこから?」「ぁ…徳譲が去る時、心配だったゆえ見張りをつけた…安全のためで他意はない」しかし景宗が徳譲を尾行させていたと知った燕燕は激怒、徳譲には自分の人生を選ぶ権利があると訴えた。「そなたは今も私を責め、不愉快なのだろう、すぐ許せとは言わない」「(はぁ?)私が悪いの?運命を受け入れないから?権力で私の人生に手出ししたくせに!」「朕が悪かったと認める、一生かかっても償えぬ、だが朕のすることは全て間違いか?!」「そうよ!間違ってる!」燕燕はついにこれまでの鬱憤を爆発させた。「分かった…去りたいなら止めはしない、そなたを自由にしよう」翌朝、景宗は傷心のまま最初の南北大臣会議に臨んだ。すると喜隠が謀反を企む罨撒葛(エンサーグァ)を討伐すべきと上奏する。魏(ギ)王・蕭思温(ショウシオン)や寧(ネイ)王・耶律只没(ヤリツシボツ)たち側近は反対、罨撒葛の弟・敵烈(テキレツ)も口を出せる立場にないと差し控えた。そんな中、叔父の耶律稍(ヤリツソウ)は景宗に任せると明言を避け、もう一人の叔父・耶律隆先(ヤリツリュウセン)は出征すれば民に負担がかかるとしながらも、もし討伐するなら最良の将を選ぶべきだと喜隠に視線を送る。腹に一物ある叔父たちに頭を悩ませる景宗、そこでひとまずこの件は後日に改めて話し合うと決めて散会した。胡輦(コレン)が燕燕の天幕を訪ねると、侍女たちが忙しそうに荷物をまとめていた。実は後宮を出る許しが出たため、今日中に発つという。胡輦はまさかここまで関係が悪化しているとは知らず、燕燕を連れ戻したことを後悔した。しかし燕燕は自分を犠牲にして罨撒葛に嫁いだ姉を責めるつもりはないという。「燕燕、人生では取捨選択がつきもの、犠牲を伴わない選択はないわ」胡輦は責任を負うなら愛を失う悲しみを受け入れ、もし去るつもりなら責任については考えないことだと助言した。燕燕を失い失意の景宗、そこへ喜隠がやって来た。喜隠は出征を認めるよう迫り、景宗に自信がないなら兵権を渡せと脅して来る。「私は耶律李胡(ヤリツリコ)の息子だ、お前と血糖いや血統の差はない それにお前と違って息子がいる!」すると喜隠は机に手をつき、耶律賢の顔を覗き込んだ。「軟弱で息子もなせないとは…ふっ、不安定な玉座だな」「無礼者!ひざまずきなさい!」その声は燕燕だった。「私に命令する資格が?」「貴妃がひざまずけと命じているのよ!」「燕燕は朕の貴妃であり将来の皇后だ、貴妃の言葉は朕の言葉である ひざまずけと命じたのだ…直ちにひざまずけ!」すると衛兵が喜隠を拘束し、足を蹴って無理やりひざまずかせた。「喜隠は無断で現れ、朕を侮辱した、杖(ジョウ)刑20回に処せ」燕燕は景宗に別れの挨拶に来たが、結局、喜隠のいざこざで再び天幕に戻った。かつて共に民を守ろうと誓った燕燕と韓徳譲、しかし今は徳譲ひとりに背負わせている。…徳譲哥哥、私はどうすればいいの?ここを去れば済むと分かっている。しかしもし自分がいなくなれば二心を抱く者が朝堂で面倒を起こすのは目に見えていた。妹たちを守るため犠牲をいとわない大姐、遼の宰相として責任を負う父、燕燕は自分だけが身勝手を許されていいのかと葛藤する。すると楚補が慌ててやって来た。景宗が飲み過ぎて吐血し、自暴自棄になって迪里姑(テキリコ)を呼ぶなと拒否しているという。燕燕は人払いをしてから、景宗の酒瓶を奪い取った。泥酔した景宗は誰もが自分を軽視していると嘆き、この世で信じられるのは韓徳譲と燕燕の2人だけだという。「かつては2人とも朕を支えると言ったが、どちらも去って行く!」すると景宗は燕燕にすがりつき、どこにも行かないでくれと訴え、そのまま酔い潰れた。…私が去ったら遼の改革の道はどうなるの?父上は?…徳譲哥哥、私たちの縁は遼のために断ち切られる運命なのね( ̄▽ ̄;)ここまで引っ張りながらあっさり納得…景宗が寝床で目を覚ますと燕燕が付き添っていた。すると燕燕は自分の意思でもうどこにも行かないと決めたと伝える。喜んだ景宗は燕燕を一生、愛すると誓い、遼で最高の皇后になれると言った。「案ずるな、朕がいる限り誰もそなたを傷つけさせぬと誓う」景宗と共に遼の地と民を守ると決意した燕燕、一方、旅を続ける韓徳譲は思い出の燕雲台にひとりで登っていた。(  ̄꒳ ̄)<一生そなただけを愛する…( ๑≧ꇴ≦)フラグ立った!景宗はついに燕燕と結ばれた。ようやく胸を張って父の小妃だった太妃の蕭蒲哥(ショウホカ)と蕭啜里(ショウセツリ)に燕燕を紹介する。太妃たちは早速、景宗に妃が少ないと指摘し、家族の宴なら喜哥(キカ)も呼ぶべきだと言った。「お優しかった懐節(カイセツ)皇后を思い出しますわ~遼のために私心を捨て甄(シン)皇后とも親しかった 皇后お二方は子孫繁栄を願い、私たちにも親切でした~」太妃は景宗の寵愛を独占する燕燕を暗に批判し牽制する。「陛下の後宮にも賢い皇后を期待していますわ~」景宗は困惑したが、その時、燕燕が口を開いた。「陛下は英明です、妃のことも含め何事も他人の指導は必要ないかと…」太妃は燕燕にやり込められ、景宗は思わず失笑した。韓徳譲と李思は大同府に到着した。報告を聞いた景宗は燕(エン)王・韓匡嗣(カンキョウシ)を呼び、徳譲から連絡はあるか尋ねる。韓匡嗣はまだわだかまりがあると認めたが、徳譲からの文には民間での経験や政(マツリゴト)への提言が記してあるという。すると景宗は是非とも読みたいと頼み、父子の名前で上奏するよう勧めた。女里(ジョリ)が蕭思温の天幕にやって来た。すると推薦者の名簿を渡して便宜を頼む。蕭思温は決めるのは景宗だと断り、暗に官職を売っている女里を批判した。景宗は帰京を前に側近3人と密談していた。すると蕭思温が喜隠の勢力はもともと比較的大きいため、諸王に倣って外地に赴任させたりすれば自由を得て力をつけると懸念、分封に反対する。景宗は納得し、出身を問わず能力のある者を採用するよう、蕭思温の心眼を信じて一任した。そこで蕭思温は最近、ある大臣が女里と高勲(コウクン)を弾劾した奏状を提出する。実は先帝の賞罰が気まぐれで容易に処刑していたため、遼の国法は崩壊していた。蕭思温はこの機に景宗が国法を再び整える必要があると進言する。実は蕭思温に追い返された女里は景宗に直接、人材の推薦に来ていた。しかし景宗は女里がへそを曲げないよう遠回しに断ったという。新帝の即位後、女里は富に、高勲は権力に執着していた。韓匡嗣は2人に褒美を与えて安心させながら、少しずつ他の者に代わらせるよう助言する。確かに女里は金銀で事が済むが、問題は高勲だった。韓匡嗣は高勲が晋の北平王の子であるため、王に封じればどんな褒美より魅力的なはずだという。そこで高勲を秦(シン)王に封じて報奨金を与え、2人が握る兵権は信頼できる者に渡すことにした。高勲に取って代われる人材は仲父房(太祖の伯父の子孫)・耶律休哥(ヤリツキュウカ)と后族から少父房(述律太后の弟の子孫)・蕭達凛(ショウタツリン)だろう。しかし高勲は見掛け倒しの出世だと分かっていた。女里と高勲は2人で遠乗りに出かけた。以前から蕭思温に嫉妬していた2人は景宗に自分たちの権限を削らせたのが蕭思温だと逆恨みする。すると高勲はひとつだけ解決策があると切り出した。「殺す」夏捺鉢(ナバ)の終わりを前に、景宗は冊封を命じた。道隠(ドウイン)は蜀(ショク)王、隆先は平(ヘイ)王、稍は呉(ゴ)王、喜隠は趙(チョウ)王、敵烈は冀(ギ)王に封じられ、これから諸王は各地に赴任し、上京(ジョウケイ)を守ることになる。つづく(  ̄꒳ ̄)うむ…″取捨選択″と聞くと梅長蘇を思い出します琅琊榜の中で、いや中国ドラマの中で大好きなエピのひとつです
2021.08.28
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第22話「草原に生まれる命」鞭で打たれた奴婢・十五(ジュウゴ)を送り届け、手当てすることにした韓徳譲(カントクジョウ)。すると元気になった魯端(ロタン)が現れ、母親が涙ながらに感謝した。実は奴婢たちは贖罪のために働き、罪を清算したら死ねると教え込まれ、それを信じて来たという。「もともと風邪だったんだ、自然の薬で治る」徳譲は人が背負うのは罪ではなく責任だと説いた。誰もが家族を安心させる責任を持ち、堂々と生きる権利があるという。「世宗皇帝は定めた、遼(リョウ)では地位、民族を問わず、誰もが平等だと」感激した奴婢たちは徳譲を″騰里(テングリ)の使者″だと崇めたが、長老・脱里(ダツリ)は面白くなかった。一方、貴妃(キヒ)・蕭燕燕(ショウエンエン)は景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)と陵墓にいた。景宗は15年間も墓参りに来られなかったと母に謝罪、婚姻を報告する。妃として拝礼するのはいささか気が引ける燕燕だったが、それでも世宗皇帝を支えた懐節(カイセツ)皇后に対して素直に敬意を表した。景宗は改めて燕燕が心を開いてくれるのを待つと伝え、それより親孝行が間に合わないことは何より悲しいという。燕燕はふと嫁ぐ日の父への自分の態度を思い出し、後悔した。日連(ニチレン)部の族長がついに亡くなった。魯端の母たちは殉葬者として連行され、知らせを聞いた韓徳譲は救出へ向かう。そこで魯端は門番たちがいない間に檻に監禁されている奴婢たちを解放、韓徳譲と共に立ち上がろうと鼓舞した。村の広場では亡き族長の火葬の準備が整い、阿孛合(アボツゴウ)の継承式が始まった。脱里から宝刀を受け取り新しい族長となった阿孛合、すると配下が奴婢たちを葬ろうと一斉に弓を構える。すると韓徳譲が駆けつけ、止めた。脱里は韓徳譲が妖言で奴婢を惑わし、騰里を怒らせたせいで前族長の死を招いたと罪を着せる。そこで徳譲は病の治療に鹿の血など使わないと教え、脱里が前族長の病を長引かせていたと暴露した。しかし長老に絶大な信頼を寄せる阿孛合は信じてくれない。「父君の遺体を確かめさせてくれ!死因を特定してみせる!」焦った脱里は阿孛合に早く徳譲を殺せと迫ったが、その時、魯端が仲間たちと武器を持って広場になだれ込み、暴徒と化した。韓徳譲は騒ぎのどさくさに紛れて前族長の亡骸を調べた。すると脱里が徳譲めがけて矢を放つ。しかし咄嗟に十五が飛び出し、身代わりとなって倒れた。「十五!」「韓大人…ゥッ…」徳譲はこれ以上の犠牲を出さないよう、思わず部族旗を壊して争いの中に倒した。「(ガシャーン!)そこまでだ!阿孛合!遺体を確認した! 父上は病死ではなく中毒死だった!脱里が火葬を急ぐのは己の罪を隠すためだろう! まだ分からないのか?若い族長のお前は傀儡と成り果てるぞ?!」そこで阿孛合は脱里に父の死因を教えるよう迫った。劣勢になった脱里は本性を表し、短剣で阿孛合を刺してしまう。「お前の父親さえ従えさせた私に逆らえると思うか?!役立たずの父子め!」徳譲は咄嗟に投げ縄で脱里の腕を捕らえ、阿孛合から引き離した。阿孛合は深手を負いながらも父の本当の敵である脱里を自らの手で殺す。こうして暴動は収まり、村人も奴婢も新しい族長に拝礼した。燕燕は父の天幕を訪ねた。蕭思温(ショウシオン)はすっかり痩せてしまった娘の姿に胸を痛め、実は当時、胡輦(コレン)が身代わりで嫁ぐと申し出たことを教える。しかし景宗が選んだのは燕燕だった。父として燕燕には永遠に幼な子のままでいて欲しかったが、一方で太祖三支が争いを続けてこのまま途絶えるのではと恐ろしかったという。「遼はこれ以上、内輪でもめてはなら…ゲホゲホッ!」蕭思温は激しく咳き込み、燕燕は驚いて背中をさすった。「娘よ、お前の辛さは分かっている、この父にいくらでもその怒りをぶつけるがよい」「やめてください、父上もお辛いのに…」燕燕は父の複雑な胸中を知り、自然と胸のつかえが下りた。太妃は小妃・喜哥(キカ)に協力し、点心を持たせて景宗の天幕へ送り込んだ。喜哥は宮女に扮して太妃からの差し入れを持ってきたと嘘をつき、まんまと景宗に近づくことに成功する。しかし景宗は喜哥に全く興味を示さず、呆気なく追い出されてしまう。天幕に戻った喜哥は2時間も泣き続けた。裕福な実家で嫁ぎ先も引く手数多の自分がなぜこんな仕打ちを受けるのか。すると宦官の忽列(コツレツ)から思わぬ話を聞いた。忽列は以前、穆宗(ボクソウ)の皇后に仕えていたという。先の皇后は十数年も連れ添いながら子ができなかったが、それは一度も先帝と共寝をしていないからだった。何でも先帝は女人を恐れる病で、房事に及べぬ鬱憤からか日々、暴虐になったという。結局、唯一の妃だった皇后は病で亡くなったが、それは表向きの死因で、実は穆宗が誤って殺したという。「今の陛下も貴妃と床を共にされず、娘娘(ニャンニャン)とも共寝されない、もしかすると…」忽列は景宗も同様の病かもしれないと怪しみ、距離があるのはかえって良いことかもしれないと助言した。阿孛合は韓徳譲と一緒に父たちを草原に埋葬した。そこで徳譲に良い族長となる教えを授けて欲しいと頼む。徳譲は村人の豊かな暮らしを実現することだと助言し、漢人の方法を草原に取り入れるよう勧めた。かつて韓家の先祖が太祖に進言したように、民に家族を持たせて農耕を基盤とすればいい。阿孛合は教えに感謝し、これからは村人も奴婢もわだかまりを捨てて共に生きようと宣言した。するとそこへ漢人の馬車が到着する。馬車から降りてきたのは李思(リシ)だった。翌朝、喜哥は叔父の天幕へ駆けつけ、景宗は房事ができないと言いつけた。女里は寵愛を得られぬ言い訳かと疑ったが、実は貴妃さえ相手にされていないと知る。ともかく今日のところは喜哥を追い返し、女里は考えを巡らせた。その時、耶律喜隠(ヤリツキイン)の子が生まれそうだと知らせが来る。喜隠のことなど眼中になかった女里、しかし景宗が子をなせないとなると話は別だ。一方、烏骨里の天幕からついに赤子の元気な泣き声が響き渡った。喜隠は息子の誕生を喜び、烏骨里は父に名前をつけて欲しいと頼む。すると初孫を抱いた蕭思温はすでに考えてあると教え、″留礼寿(リュウレイジュ)″と名づけた。日連部ではその夜、宴会が開かれた。改革に成功した韓徳譲はしみじみ漢制という任の重さと道のりの長さを実感し、愛する燕燕に思いを馳せる。…燕燕、君は元気でいるかい?…李思は生き生きとした徳譲の表情を見て、ここで多くの経験をしたのだと分かった。「韓四哥?草原であなたを見つけられたのも騰里のおぼし召しかしら?」しかし徳譲は何も言ってくれない。確かに独り千里を駆け抜け、密書を追って幽州へ向かった燕燕には遠く及ばないだろう。李思が思わず卑下すると、徳譲は2人は全く違うと話し、遠回しに自分を追いかけても無駄だと釘を刺されてしまう。「もう決めたの、どこまでもあなたに付いて行く…ところで日連部をどうするつもり?」「阿孛合と村人を安全な地へ移動させ、その後、幽州へ移す」徳譲は幽州で村人も奴婢も共に農耕を学び、学問を身につければ暮らしが楽になると期待した。女里は喜隠の子供が王子だと知って早速、祝いに駆けつけた。しかし鈍い喜隠はなぜ景宗を支持する女里が自分を訪ね、息子を持ち上げて帰ったのか分からない。これにはさすがに撒懶(サツラン)も呆れ果て、うっかり口を滑らせそうになった。「アイヨー、大王はなぜそんなにあ…ゲフンゲフン」撒懶は仕方なくかいつまんで説明した。子がいない景宗は養子を取る可能性があり、身分や血縁を鑑みれば当然、喜隠の子が選ばれるところだが、耶律敵烈(ヤリツテキレツ)がすでに養子の座を狙って蛙哥(ワカ)を貴妃に会わせているという。つまり女里は喜隠に情報を流して恩を売ったのだ。喜隠は息子を養子に出せと言われ憤慨したが、確かに息子を皇帝にする近道だと気づいた。そこでその夜、烏骨里に1つの考え方として相談してみる。しかし話を聞いた烏骨里は激怒した。「私がお腹を痛めて産んだのよ!考えるまでもないわ!」「でも息子が遼に君臨するんだ、嬉しいだろう?」つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ!李思はてっきり居場所「知ってたーっ」って正直に言うと思ってた
2021.08.22
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第21話「新しい妃」しぶしぶ景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)と一緒に食事をすることになった貴妃・蕭燕燕(ショウエンエン)。すると景宗は数日後に迫った夏捺鉢(ナバ)で多くの大臣と会うため、自分たちの不仲が見破られると面倒だと冗談めかした。「そなたは朕の貴妃だ、万が一、朕の身に何かあった時はそなたに朝廷を託したい」即位したとは言え反撃の機会を狙う耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)や、他にも景宗には警戒すべき3人の叔父がいた。3人の叔父は耶律璟(ヤリツケイ)に幽閉されていたが、斡魯朶(オルド)の再編には3人の支持が必要なため釈放したという。危険は重々、承知していたが、一番の問題は各斡魯朶の権限が大き過ぎることだった。これを根本から解決できねば改革は机上の空論、何としても改革はやらねばならないという。確かに当時、先祖が定めた斡魯朶の掟はもはや時代にそぐわず、燕燕も漢人の制度を取り入れて旧習を改めるべきだと賛同した。「…ふふ、やはりそなたは一番の理解者だ」その日から景宗と燕燕は一緒に夕餉を囲むことになった。耶律喜隠(ヤリツキイン)と王妃・烏骨里(ウグリ)はあっさり禁足を解いてくれた景宗を軽んじた。しかも二心がある叔父たちを釈放するとは墓穴を掘ったようなもの、近頃の景宗は改革を試みているようだが、このままでは父親と同じ末路を辿ることになるだろう。一方、南院枢密使の役目を免除された高勲(コウクン)は女里(ジョリ)に不満を訴えていた。女里は出世して美女を侍らせることに何の文句があるのか分からない。しかし高勲は自分たちの実権が奪われていると危機感を募らせた。その証拠に新帝の即位以来、破竹の勢いである蕭思温(ショウシオン)が近衛軍の権力を奪い、郎君(ロウクン)軍を自分の親戚に掌握させている。高勲は漢人の自分では限界があるが、女里なら娘を後宮に送って皇子を産ませ、将来は蕭思温と対等に争えると煽った。その頃、李思(リシ)は愛する韓徳譲(カントクジョウ)に会うため、家を出ようとしていた。娘を見送る李夫人たち、その様子を少し離れた回廊から使用人が見守っている。「でかしたな、陛下が褒美を…」李思に韓徳譲の居場所を教えた使用人は銭袋を受け取ると、そっと手元に隠した。韓徳譲は日連(ニチレン)部に滞在しながら、奴婢たちの厳しい暮らしを目の当たりにしていた。そんなある日、徳譲は自分の世話をしてくれた奴婢・魯端(ロタン)が病に倒れたと知る。しかし魯端は騰里(テングリ)のもとへ行ければ幸せだと訴え、人に使われて苦しむこともないと死を受け入れていた。そこで徳譲は十五(ジュウゴ)の力を借りて長老の天幕に忍びこみ、薬を調達して戻る。「全て草原で育った薬だ、これで病が治れば騰里の思し召しだ、ほら」吐児(トジ)山で夏を過ごすことになった景宗一行。すると早速、女里が謁見し、子孫繁栄のためにはもっと妃を迎えるべきだと進言、兄の娘・喜哥(キカ)を推挙した。景宗は後宮入りを認めて女里を下げたが、婆児(ハジ)は嫌なら断るべきだと諌める。しかし景宗は女里が蕭思温に嫉妬していると見抜き、ここで拒めば疑心暗鬼になると分かっていた。「あのような功臣はなだめておくのが一番だ」そこで婆児は貴妃に伏せておくか確認したが、景宗は伝えて構わないと認めた。数日後、喜哥が後宮に入った。燕燕は興味がなく、むしろこれで静かに暮らせると安堵する。しかしその夜も景宗はなぜか燕燕の天幕に現れた。小妃に嫉妬して欲しい景宗と知らないふりを続ける燕燕、2人は食事をしながら牽制し合う。一方、叔父の期待を背負って後宮入りした喜哥は景宗の来訪を待ちわびながら、いつの間にか眠っていた。侍女たちは政務で忙しかったのだろうと慰めたが、宦官・忽列(コツレツ)の話では景宗は昨夜も貴妃の天幕に行ったという。喜哥は貴妃が初夜を邪魔したと激怒、使用人の制止も無視して燕燕の天幕に乗り込んだ。「貴妃!話があるの!立って!」「…あなたが喜哥小妃?」ちょうど身支度を整えたばかりの燕燕はゆっくり立ち上がった。「私の天幕に押し入り乱暴を働くなど言語道断よ?」「私は率直なの!何その頭の飾り?!(←とは言ってないw) 昨夜は私の初夜だったのよ?!少しは顔を立てて! まあ昨日のことはもういい!でも今夜は陛下を奪わな…」「ふぁんすっ(放肆)!誰か?!…喜哥に掟を教えてやって」すると喜哥は両腕を捕まれ、引きずり出されてしまう。しかし本来なら杖(ジョウ)刑で歩けなくなっても文句を言えない無礼だった。報告を聞いた景宗は思わず失笑する。「掟を教えただけか?」婆児は高貴な貴妃にとって無名の一族の娘など眼中にないのだろうと言った。一方、延々と掟を聞かされた喜哥はようやく天幕へ戻った。しかし痛い目に遭っても自分の立場をわきまえず、貴妃を逆恨みする。早々に女里に泣きつけば役立たずだと思われ、叔父は他の姪を送り込むだろう。喜哥はこの試練を自分で乗り切るしかないと考え、2人の太妃に目をつけた。聞けば太妃はどちらも世宗皇帝の小妃、自分と同じ立場なら味方になってくれるだろう。そこで翌朝、早速、贈り物を携えて太妃たちに挨拶した。蕭蒲哥(ショウホカ)と蕭啜里(ショウセツリ)は自分たちを敬う喜哥に好印象を持った。それに引き換え貴妃は来る気配もない。2人は思わずあの気の強い長公主と蕭思温の娘では仕方がないと揶揄した。「何とかしてあの2人の妃を手懐けましょう、そうすれば太后の威厳を備えられる」その夜、夕食に来た景宗は喜哥を二度と貴妃の天幕へ来させないと言った。しかし燕燕は新しい妃が口達者なのでにぎやかだと歯牙にも掛けない。「ふふ、でも嫌いだろう?」「陛下の妃です、私の好みは関係ありません」景宗はなぜ喜哥を後宮に入れたのか釈明しようとしたが、燕燕が食事を終わらせて話を遮った。「ぁぁ~明日は父を弔うため顕陵(ケンリョウ)へ行く、半日はかかるから早めに休もう…で」すると燕燕は席を立ち、拝礼して景宗を一方的に見送ってしまう。侍女・良哥(リョウカ)はさすがに景宗が不憫になり、そろそろ心を開いてはどうかと進言した。「そう簡単に心は変わらないわ」韓徳譲は草原でひとり燕燕に思いを馳せた。…燕燕、私は上京(ジョウケイ)を離れたが、今なお君と同じく草原にいる…思うに私たちの距離は決して遠くない一方、燕燕も閭(リョ)山の顕陵(ケンリョウ)へ行く馬車の中から草原を見つめていた。景宗は皇族たちや重臣と共に世宗皇帝の祭祀を行った。ここで景宗は改めて世宗皇帝の遺訓に従って漢制を推し進め、遼(リョウ)に繁栄をもたらすと宣言する。実は韓徳譲も日連部での経験を通じて悟っていた。…漢制改革は歴史に名を残す手段ではなく、民を幸せにするため必ず通らねばならない道だ…燕燕、遼の改革の道はまだ始まったばかりだ十五が村で見せしめに鞭で叩かれていた。そこへ韓徳譲が駆けつけ、十五は阿孛合(アボツゴウ)の命で自分の世話をしているため、処罰なら自分がするという。「おお~つまりお前が指図したのか?!」「脱里(ダツリ)長老!韓大人とは関係ありません」実は十五は族長の具合が悪いと嘘をついて長老たちを誘き出し、その間に徳譲が薬を盗んでいた。すると騒ぎを聞いた阿孛合が現れる。長老と恩人の板挟みになる阿孛合、そこでこれを最後に韓徳譲との絆を断ち切ると決めた。阿孛合は自ら手の平を切って血を流すと、ひざまずいて長老に十五の処罰撤回を懇願する。仕方なく脱里は十五を解放、徳譲は阿孛合の傷の借りは必ず返すと言った。韓徳譲は傷だらけの十五を支えて連れて帰った。「なぜ私の名を出さなかったんだ」「我らを人として扱ったのは韓大人が初めてです…韓大人に出会えて光栄です 鞭打ちなど何でもありませんよ」十五は血だらけの身体で笑顔を見せた。「韓大人は魯端を助けてくれた、私が韓大人を裏切ったらけだものにも劣ります」すると道すがら徳譲は檻に入った奴婢たちを見かけた。十五の話では過ちを犯したり、村人を怒らせた奴婢が監禁される場所だという。この檻に入ったら最後、飲まず食わずでただ死を待つだけだった。つづく( ̄▽ ̄;)ジョー以外、誰も好きになれないw
2021.08.21
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第20話「民への思い」蕭燕燕(ショウエンエン)は貴妃として景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)に嫁いだ。しかし床入りの儀となっても燕燕は押し黙ったまま、景宗も無理強いはしない。「そなたと出会った日に朕は心を決めた…これを見よ」景宗の手には燕燕が無くした玉佩があった。「天意だろうか、この玉佩は朕の命を救った だから朕はそなたを待つ、そなたが朕を受け入れるまで…」「必要ありません、私は陛下の妃です、陛下の命なら何なりと従います …陛下は聖旨さえ下せばどんな願いも叶えられる」「では共寝を命じても従うと?!」「…はい」失望した景宗は大きなため息をつき、1つだけ釘を刺しておいた。「この天下は朕のもの、無論、そなたも朕のものだ…早く休むがよい」初夜にひとりきり、燕燕は寝台に横たわると韓徳譲(カントクジョウ)のこと思った。その頃、徳譲も野宿しながら、第5話で燕燕と一緒に天幕で過ごした夜を懐かしむ。一方、景宗は楚補(ソホ)に徳譲の様子を聞いていた。深傷を負った徳譲はすでに動けるようになり、1人で旅に出たという。すると景宗は徳譲に尾行をつけ、動きを報告させるよう命じた。彰愍(ショウビン)宮に蕭思温(ショウシオン)と寧(ネイ)王・耶律只没(ヤリツシボツ)がやって来た。景宗は祝宴の席で今年の夏は吐児(トジ)山で夏を過ごし、諸王や皇族、大臣たちも同行させると言い渡すという。すると蕭思温は南北の大臣が集まれば斡魯朶(オルド)の再編や各地にいる諸王の処遇が議題になると言った。景宗は早速、韓徳譲が以前、書いた奏状を渡すと、蕭思温は4つの斡魯朶では少ないと進言する。確かに斡魯朶の改革は必要だったが、景宗は皇族の反発を招かぬよう焦ってはならないと警告した。「深いお考えです、しかし斡魯朶の改革を進めるなら近衛軍と郎君軍も刷新せねばならぬでしょう 陛下の左右を護衛する軍ですから…どうぞ慎重に」「もっともだ、近衛軍を率いる女里(ジョリ)は近頃、多忙だ、補佐する者が必要だろう」しかし景宗は只没ではなく蕭思温に進言を求めた。蕭思温はかつて上京(ジョウケイ)の兵をまとめた功労者である耶律休哥(ヤリツキュウカ)を推挙、景宗は女里の率いる近衛軍のうち半数を休哥に託すと決める。その時、ようやく手持ち無沙汰の弟に気づいた景宗は夏捺鉢(ナバ)の準備を全て只没に任せ、父の寝宮だった積慶(セキケイ)宮を与えると言った。一方、韓徳譲は燕雲台に上っていた。燕燕と愛を誓い合った思い出の場所、その時、後宮にいた燕燕は徳譲がくれた鈴の音を耳にする。…いつどこにいようと、この鈴が鳴る時、私は君を思っている…(꒦ິ⌑꒦ີ)ジョーその頃、景宗は楚補から徳譲の動向を聞いていた。「韓頭領は南下して幽州へ向かったと…人気のない所へ行き、身なりも構わぬようです」「そうか…このまま尾行を続けさせよ、あ、それから折を見て徳譲の行方を李思(リシ)姑娘に知らせよ」(  ̄꒳ ̄)抜け目がない景宗め…韓徳譲は旅の途中、偶然、雄鹿に襲われている男を見かけ救出した。命拾いしたのは日連(ニチレン)部の阿孛合(アホツゴウ)。感謝した阿孛合は必ず恩を返すと約束して徳譲が仕留めた鹿を運ぼうとしたが、足の怪我で思うように動けない。実は阿孛合は父が病に倒れ、長老から雄鹿の血が薬になると聞いて狩りをしていた。そこで徳譲は阿孛合に手を貸し、送って行くことにする。こうして徳譲は草原で暮らす日連部の村にやって来た。韓徳譲は脱里(ダツリ)長老に挨拶し、しばらく日連部で世話になることになった。村が裕福なのは、族長である阿孛合の父が太宗の戦に従軍したとき褒賞をもらったおかげだという。しかし村人の中には貧しげな牧畜民も多かった。聞いてみれば彼らは奴婢で、草原の流浪の民や引き取られた太宗の捕虜だという。村人は500人で奴婢は1000人、徳譲は反乱が起こらないのか不思議だったが、阿孛合は失笑した。「韓大哥、町の漢人だって奴婢は使うだろう?奴婢は牛や馬と同じ、牛や馬が反乱を起こすか?」阿孛合は時に聞き分けの悪い牛や馬もいるが、鞭で打てばおとなしくなると平然と言いのけた。只没は王妃の安只(アンシ)と一緒に懐かしい父の寝宮を訪ねた。想像以上に寂れている屋敷の様子に唖然となったが、ようやく報われたと実感する。安只は屋敷の采配をすべて任され、もはや怯えて生きる必要もなくなった。そこで邪魔になった太平(タイヘイ)王の配下である侍女・塔布(トウホ)を毒殺してしまう。( ๑≧ꇴ≦)安只、しぶといっ!一方、耶律胡古典(ヤリツココテン)は偶然、二兄が貴妃の寝殿に泊まっていないという噂話を耳にした。心配になった胡古典は貴妃を訪ね、それとなく自分が力になると切り出してみる。しかし燕燕から景宗に頼まれたのかと疑われ、結局、後宮の外まで噂が広まっていると知らせることになった。「噂が広まるのって早いのね~」燕燕は気にしていなかったが、胡古典は貴妃を不愉快にさせたと焦ってしどろもどろになってしまう。するとちょうど景宗がやって来た。景宗は妹が迷惑をかけたのかと思い、早々に胡古典を下げる。「妹妹が邪魔をしたようだ、2度と来ないように言っておく」「…結構です、会いたくなければ私から断りますから」景宗は燕燕が妹を煙たがっていないのだと分かり安心したが、燕燕は相変わらず心を閉ざしたままだった。景宗は自分にとって大切なのは遼(リョウ)が久しく続き、民が穏やかに暮らせることだと言った。しかし燕燕は不満をあらわにし、穏やかどころか景宗のせいで大勢が苦しんでいると反発する。「そなたの気持ちは分かるが、やむを得なかった 漢制の推進に反対する皇族たちは朕を短命だと思って軽視している 朕が死んだあとに旧制に戻すつもりなのだろう、改革への道は長く険しい 太祖には述律(ジュツリツ)太后という補佐がいた、朕も強い皇后を得なければ何事もなし得ぬ」その時、燕燕はかつて韓徳譲と草原で話したことを思い出した。…太后が後押しせねば、太祖の八部族統一はなかった@第5話…すると景宗が軽いめまいに襲われる。燕燕は心配してふと手を伸ばしたが、景宗がその様子に気づいて慌てて引っ込めた。阿孛合は韓徳譲にも世話係の奴婢をつけた。翌朝、徳譲が村を散策していると、ある奴婢の一家が騰里(テングリ)に母の病が治るよう祈っている姿を見かける。「騰里だと?医者はいないのか?」すると魯端(ロタン)は草原では薬が何よりも貴重なため、奴婢には使えないと教えた。とは言え奴婢にとって病はむしろ幸せなこと、死ねば解放されて楽になれるという。徳譲は愕然となった。…燕燕、知っているか?部族の暮らしは思うより大変だ…牛や馬、虫けら同然に扱われる者もいる、漢制が推進されれば彼らも救われるやもその夜、景宗が倒れた。知らせを聞いた燕燕は見舞いに駆けつけたが、病床の景宗はうなされながら怯えている。「やめろ、放せ…嫌だ…やめてくれ」燕燕は思わず景宗が伸ばした手をつかみ、やさしくさすってやった。すると景宗は落ち着き、自ら燕燕の手を握りしめる。侍医・迪里姑(テキリコ)はいつも怯えている時に人が近づくと暴れるが、こんな景宗は珍しいという。燕燕は結局、朝まで景宗に付き添い、彰愍(ショウビン)宮を出た。思いがけず景宗の孤独を知った燕燕、すると侍女たちは景宗が安らげる相手は貴妃しかいないと後押しした。一方、李夫人は韓徳譲を諦められない娘を心配していた。しかし李思は心から尽せばいつか振り向いてくれると信じ、苦しい道のりだと分かっていても後悔だけはしたくないという。「そこまで言うのなら会いに行きなさい」李夫人は遺恨を抱いて欲しくないと許したが、それが正しいかどうか自信はなかった。その頃、草原では韓徳譲の世話をしていた魯端が病に倒れた。徳譲は急いで駆けつけると、魯端はひどい熱を出して腹痛を訴えている。「韓大人(ダーレン)、騰里天神のもとへ行ければ幸せです…」「何を申すか、薬を飲めば良くなる!」寝宮に戻った燕燕だったが、ゆっくり食事もできなかった。実は床を離れた景宗が早速、現れ、一緒に食べるという。燕燕は思わず席を立ったが、景宗が引き止めた。「十数年間、独りで食事をしてきた、ようやく共に食事する相手ができたのに拒むつもりか?」「はお、陛下の命なら従うしかありません」すると燕燕は席に戻った。つづく|ω・`)ジョーにも自暴自棄バロメーターのヒゲががが…w
2021.08.14
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第19話「あなたがくれた名」韓徳譲(カントクジョウ)は愛する蕭燕燕(ショウエンエン)をどうしても諦められず、苦悩していた。そんな息子に韓匡嗣(カンキョウシ)は生きてこそ希望を見出せると励まし、そばで支え合うことが叶わなくても遠くでお互いの成功を見守ることならできると説く。「燕燕のことを忘れられぬだろう… だが前を向かねば…燕燕はお前が再び立ち上がる姿を見たいはずだ お前も燕燕が息災に過ごせるよう、祈ってやれ」←(`ω´ )ウルセー一方、燕燕は後宮入りを拒否し、絶食を続けていた。「徳譲哥哥は重症よ…助からなければ私も死ぬ」すると胡輦(コレン)は今の燕燕を見たら韓徳譲は安心できないと告げる。「…今夜、来るわ」驚いた燕燕はようやく粥を口にした。そしてその夜、韓徳譲は胡輦の手引きで裏門からこっそり魏(ギ)王府へ入る。信寧(シンネイ)は燕燕の部屋の前まで車椅子を押すと、外で待っていると断って戻って行った。燕燕はようやく愛する韓徳譲と再会した。徳譲の傷だらけの姿を見た燕燕は胸が痛み、燕雲台で一緒に死ねば良かったと涙ぐむ。しかし徳譲は生きねばならないと訴え、生きてこそ燕燕を見守り続けることができると言った。「徳譲哥哥…死だけが私たちに残された道なら、来世で夫婦になりたい 輿入れの日、婚礼衣装を来て共に死ぬ」「もう言うな…燕燕、君は若い、まだ見ぬ美しい未来がたくさん待っている 私は今生、添い遂げられずとも深い愛を知ることができた」「…あなたと一緒じゃなければ美しい未来などないわ、2人で支え合って共に年を重ねたい」「燕燕、済まない…ゥッ…」徳譲は明るい未来を信じて新帝の即位に心血を注いだが、それがまさか自分たちの未来を奪うことになるとは思わなかったと嗚咽を漏らした。「燕燕…共に生きられぬ運命なら遠くから君を仰ぐ、君を見守り、消息を確かめ続けたい 添い遂げられずとも心に留めることはできる、私たちの愛は決して消えない」徳譲は自分たちは愛のためだけに生きられない立場だと言い聞かせ、それでも勇敢に生き続けようと鼓舞した。「分かった…生きると約束する」←わりとあっさり納得した( ̄▽ ̄;)すると徳譲は一対の鈴を出し、燕燕にひとつ贈った。「いつどこにいようと、この鈴が鳴る時、私は君を思っている」「…鈴の音を借りて遠くへ想いを届ける(チリン♪)良い音色ね」「漢名が欲しいと言っていたね」徳譲は燕燕の手のひらに″綽(シャク)″と書いた。「″長恨歌(チョウゴンカ)″の1節だ、″楼閣は玲瓏で五雲立ち 綽約(シャクヤク)として仙子多し″ 燕燕、綽(タオ)やかな仙女は君だ、2人といない」「その歌を知っているわ… ″天では比翼の鳥に 地では連理の枝に 天は長く地は久しくも尽きる この想いは尽きる時なし″」燕燕と徳譲は肩を寄せ合い、最後の時を過ごした。。・゜・(ノД`)・゜・。蕭思温(ショウシオン)は燕燕に好物の艾餅(ヨモギモチ)を差し入れた。燕燕は父に一瞥もくれず、黙々と筆を動かしている。「普通の家の娘なら愛を貫くこともできる、だがお前は后族の娘なのだ 生まれながらに重責を担っている、遼を繁栄させるであろう明君にお前は選ばれた それに応えることが蕭家の責任であり、天命なのだ…娘よ、他に道はない」蕭思温はそこで帰ることにしたが、最後に一言だけ釘を刺しておく。「もうすぐ輿入れだ、若さに任せた恋心は胸にしまっておけ」その時、無心で″綽″と書き続けていた燕燕の筆が止まった。燕燕は漢族用の婚礼衣装をしまった。そして相棒だった烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)を燕王府へ返してしまう。一方、韓夫人は意気消沈している徳譲を心配し、李思(リシ)を呼び寄せた。そこで徳譲を励まして欲しいと頼んだが、李思に断られてしまう。李思は傷心の徳譲に付け込むような真似をするくらいなら、愛されない方がマシだった。「四哥が立ち直ったら会いに行くわ…」韓徳譲は燕燕の輿入れを前に旅に出ると決めた。困惑する韓匡嗣だったが、徳譲は愛する人を奪い、友としての信頼も裏切った耶律賢(ヤリツケン)に今さらどう仕えればいいのか分からないという。「私が屈服すれば疑わないとでも?…ますます後ろめたく思うはずです 日に日に猜疑心をこじらせ、解けなくなる」韓匡嗣は徳譲が賢すぎるゆえ自分を窮地に追い込むと戒めたが、徳譲は友情に背く者が臣下を裏切らないとは言えないとほのめかした。「韓家が一心に漢制を進めても、明扆(メイイ)は保身のためならいつでも我々を切り捨てます 父上、世宗皇帝の死をお忘れで?…漢制により権力は君主へ、利は民へと返る しかし今それらを握る皇族や高官や部族はどう反応すると? 怒りのあまり皇帝の命さえ奪いかねない 古(イニシエ)より改革には流血を伴いますが、明扆は決して自分を犠牲にしない」驚いた韓匡嗣は口を慎めと叱ったが、徳譲は続けた。「″己を知る者のために死す″… 明扆のためなら死ぬ覚悟でしたが、今はもう私が命を預けた君主ではない …父上がなさることを今後も支え続け、韓家の1人として責任を果たす所存です しかし君が命を下そうと臣は己の意に従う…上京(ジョウケイ)を離れます 天下を変えたいと願うなら、世間を渡り、人々の生き様を知り、人々が求めるものを知るべきです」魏王府に景宗(ケイソウ)の使者である寧(ネイ)王・耶律只没(ヤリツシボツ)が貴妃を迎えにやって来た。胡輦と烏骨里(ウグリ)は妹の辛い胸中をおもんばかりながら、燕燕が只没からの杯を飲み干す様子を見守る。「では娘娘(ニャンニャン)、馬車へ」燕燕はゆっくり席を立つと、父の前に立ち止まり拝礼した。「娘娘、どうか陛下と仲むつまじく…」しかし燕燕は一度も父と目を合わさず、一言も挨拶せずに行ってしまう。貴妃の長い婚礼行列はやがて皇宮に入った。その頃、韓徳譲はひとり馬を駆けながら、燕燕に思いを馳せる。…燕燕、君がそばにいたのに私は大業を成すことに取り憑かれていた…今、思えば、はかない夢に過ぎない…何より大切な君を永遠に失ってしまった…君のいない未来は孤独な日々だ、想像以上に困難だろう…かつて共に行った地を通ると、そばに君がいるような気がする燕燕は皇族や臣下たちの出迎えを受けた。そして天神の品を受け取り、天神の酒を持っていくつもの鞍をまたいで行く。こうして儀式が整い、燕燕は長い石段を上って行ったが、その顔に笑顔はなかった。つづく( ;∀;)やだ~片尾曲が流れ来ると涙が…私はジョーについて行く!←誰も聞いてないけどw
2021.08.13
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第18話「愛と使命」燕雲台で愛を誓い合った燕燕(エンエン)と韓徳譲(カントクジョウ)。しかし蕭家を守る使命に駆られた胡輦(コレン)が二人の前に立ちはだかった。必死に抵抗するも燕燕は徳譲と引き離され、愛する人が身体中を刻まれる様子を目の当たりにする。「もうやめて、大姐!私は一緒に戻るから徳譲哥哥を放して!」すると胡輦の合図でようやく徳譲への攻撃が止まった。「ごめんなさい、徳譲哥哥…誓いを破ってしまった…」胡輦は瀕死の重傷を負った韓徳譲を燕(エン)王府へ送り届けた。息子の悲惨な姿に言葉を失う韓夫人、しかし韓匡嗣(カンキョウシ)は止めを刺さずに手加減してくれたことをむしろ感謝する。一方、燕燕は魏(ギ)王府に連れ戻され、自室に監禁された。傷ついた妹がどんなに泣き叫ぼうが、胡輦は心を鬼にして開けてやるわけにいかない。その夜、彰愍(ショウビン)宮では景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)が燕燕の行方を心配していた。すると楚補(ソホ)が駆けつけ、二人は無事に戻ったが、韓統領は重傷だと報告する。驚いた景宗は直ちに侍医の迪里姑(テキリコ)を燕王府へ向かわせることにした。駆け落ち騒動から一昼夜が過ぎた。景宗は韓徳譲の命が助かったと聞いてほっと胸を撫で下ろす。そしてその夜、ようやく徳譲の意識が戻った。しかし景宗の侍医・迪里姑がいると気づくと途端に不快感をあらわにする。「出ていけ…うせろっ」息をするだけでも激痛が走る身体のはず、それでも徳譲は怒りを抑えられなかった。徳譲は何より燕燕の身を案じた。そこで韓匡嗣は聖旨に背いた噂が広まれば景宗が韓家と蕭家の支持を失ったとみなされ、ようやく平定した局面が覆ってしまうと諭す。「政局が乱れればお前と燕燕は遼の罪人となるのだぞ? お前たちは縁なき定めだったのだろう、人は運命を受け入れねば…」「…できません…受け入れられないっ…」徳譲はかろうじて動く腕で、悔しそうに何度も寝台を叩き、また気を失ってしまう。(TㅅT)ジョー、演技が上手いよジョー…胡輦は燕燕に食事を届けた。しかしこれまでの食事が全て手付かずでそのまま置いてある。燕燕は韓徳譲の腕から虚しくも外れた帯を握りしめていた。「食べもせず飲みもせず、飢え死にするつもり?」「どうせ縛ってでも嫁がせるのでしょう?屍を運べばいいわ …徳譲哥哥がいないなら、生きている意味はないもの」そんな騒ぎのことなど知らず、烏骨里(ウグリ)は景宗が未だ喜隠(キイン)の禁足を解いてくれないことに憤っていた。すると胡輦が急に訪ねて来る。烏骨里はてっきり父からの朗報だと期待したが、胡輦はなぜか一緒に燕燕を慰めて欲しいと頼んだ。「実は陛下が燕燕を貴妃にと望まれたの、でも燕燕があらがって…」寝耳に水だった烏骨里は呆然、しかも父と景宗がすでに決めていたことだと知る。「どうりで黒山で父上は喜隠でもなくエン…エンサツ…エンカツサ…エン…エン…罨撒葛っ!でもなく、 軟弱な明扆(メイイ)を支持したわけね、私たちを袖にして燕燕を皇后にするためよ!」烏骨里は父が自分と大姐を犠牲にしたのだと激怒した。喜隠が遅れて胡輦に挨拶に来た。しかし胡輦は話を聞こうとしない烏骨里に愛想を尽かし、帰ってしまう。喜隠はなぜ姉妹が喧嘩になったのか分からず困惑したが、烏骨里から事情を聞いて唖然となった。(; ̄꒳ ̄)相変わらずズレてる夫婦w景宗が突然、燕王府へ見舞いにやって来た。←なぜ逆撫でするのかねえ( ̄▽ ̄;)韓匡嗣は見苦しい姿だと暗に断ったが、景宗は自分を警戒しているのかと疑う。「実の子以上に心血を注ぎ関わって来たつもりです、我が子を警戒する者はおりません」「朕はそなたと徳譲を失えぬ、そなたの今の言葉を聞けて安心した」←よく言うわ(  ̄꒳ ̄)韓徳譲の寝所に景宗がやって来た。ちょうど薬を飲ませていた韓夫人は拝礼したが、あからさまに距離を置く。すると景宗は徳譲と二人だけで話したいと言った。「″私″を恨んでいるのだな…許されるとは思わない、だが分かってくれ 私の行いは私欲ではなく遼の国家のためなのだ」「陛下は遼を思っておられる…私は無様だ」徳譲の目から涙がこぼれた。「お前も知る通り私の身体は弱る一方だ ←(  ̄꒳ ̄)あ!そうだった! 遼に必要なのは君主に何が起きても立ち上がり、独りでも大局を掌握できる皇后だ ←確かに それは燕燕しかいない…知らぬだろうが燕燕は機会を求めている 述律(ジュツリツ)太后のようになりたいと以前、話してくれた あの知恵と才能を無駄にするのは惜しいだろう?」「…述律太后は幸せな生涯だったと?愛も幸せも持たぬ女子は権力にとらわれた獣に成り果てる」「朕が守り、愛する!朕は燕燕を遼で最も尊い女子にする、最も尊い皇后に… すべては時が証明するだろう、忘れるな、歴史に名を残すことは情愛よりはるかに重要だ」「…燕燕を分かっていない、燕燕が求めるのはそんなものではない」話は平行線だった。そこで景宗は一生のうちで信頼できる者など少なく、韓親子は大切な存在だと訴える。「我々の改革の道は長く険しい、お前なしで私はどう進めば良いのだ? …私は借りを作った、だから今日、頼みに来たのだ、埋め合わせをする機会をくれ、どうだ?」「何かを得れば何かを失う、大義を選択したのはお前自身だ だが私は愛を失い、恨みのやり場もない 疲れた、この十数年間で…ゥッ…私は疲れ果てた…明扆(メイイ)、この先の道はお前自身で進めっ」すると徳譲は信寧(シンネイ)を呼んだ。着替えたいので景宗に外してもらって欲しいという。景宗は仕方なく帰ることにしたが、徳譲が戻る場所はいつでも自分の側にあると言い残した。( ;∀;)ブワッ…ジョー、やっぱり上手いよジョー韓徳譲は生きる希望を失い、再び薬を拒むようになった。見兼ねた韓夫人は自暴自棄になる息子を叱咤し、奮起させようとする。「這うこともままならずに何ができるというの?! 女を奪うため戦いたいならまず立ち上がることよ!」「娘(ニャン)、私はどうすれば…」韓夫人は初めて大きな挫折を味わった息子に命がなければ未来もないと励ました。今は天が崩れたように感じているが、人生はまだまだ続く。何度も天が崩れるような経験を繰り返しているうち、人は慣れていくのだ。それこそ最初の頃の自分を軟弱だったと感じるほどに…。「私は間違っていたと?…ゥッ…」「徳譲…お前は悪くない、男がこんな仕打ちを受けてあらがわぬ方がおかしいわ 人生とは思うようにならぬものだけど、あらがいもせず諦めてはいけない」「にゃん…燕燕は?」「お前と同じ状態でしょうね、あの子の性格からして納得するはずがない でもこたびはお前たちの負けよ、でも人生は長いわ」韓夫人は今生で2度と会えずとも、二人が互いを思い続けていれば天で再会できると慰めた。胡輦が燕王府にやって来た。徳譲は胡輦がここに来たのは燕燕に何かあったからだと気づく。すると胡輦は正直に燕燕が絶食を続け、誰にも会わないと教えた。のどを潰すほど日々泣き続け、笑顔を失い、魂が抜けたかのようだという。「初めて見る姿だわ…姉の私も胸を刺される思いよ」←え?( ̄▽ ̄;)胡輦はもはや燕燕を説得できるのは徳譲だけだと悟った。「どうかお願いよ、想いを封じ、お互いを解放して」「私は燕燕を理解し、求めるものも分かる、胡輦…愛していない者と添う人生の方が苦難の道では? 燕燕は私の慰ではなく、私を求めているっ… 君は誰かを愛したことがあるのか?」←痛いところ突いてくるジョー胡輦は説得に失敗し、帰ることにした。回廊で待っていた韓匡嗣は息子の代わりに謝罪したが、胡輦は謝るのは自分の方だという。「二人の愛を甘く見ていました…」韓匡嗣は徳譲を説得することにした。すると徳譲は燕燕の元へ行くため、まだ傷も癒えない身体で着替えようとしている。「そんな身体で燕燕とどこへ行くというのだ?!」「北漢の人里離れた山で暮らします…」「遼を出れば藩鎮(ハンチン)が割拠し戦が絶えず、山へ着く前に白骨と化すだろう お前は燕燕を共に死なせることしかできぬ! …行くなら行きなさい!しかし韓家は?幽州の大勢の民はどうなる?!」←いやどっちよ?w韓匡嗣は情愛のために韓家三代の抱負を捨てるのかと迫った。父の言葉は徳譲の胸に突き刺さったが、自分でもどうしたら良いのか分からない。「燕燕は生涯で愛する人、失うわけにはいきません…父上、私はどうすれば?」つづく( ๑≧ꇴ≦)やだ、うっかり景宗に説得されちゃうところだったwケンの歯が一生ジョーより白くなりませんように~@ジョーの呪いそれにしても説得だけで続く45分とか…( ̄▽ ̄;)ちょっと面倒になって端折りました
2021.08.07
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第17話「永遠の誓い」魏(ギ)王に封じられた蕭思温(ショウシオン)の祝宴の日。燕燕(エンエン)は養子の座を狙って蕭達凛(ショウタツリン)に難癖をつけていた従兄弟たちを追い払っていた。すると従兄弟たちと入れ違いで韓徳譲(カントクジョウ)がやって来る。一方、宮中では景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)が立后に向けて動いていた。しかし冊立の吉日が半年後だと知り、燕燕をひとまず貴妃として娶ってから皇后に立てると決める。景宗は聖旨を託すと、そこへ弟の只没(シボツ)が挨拶にやって来た。只没は皇帝となった兄にどこか他人行儀だった。兄弟であっても君臣の礼は大事、自分が敬意を示すことで皆の鑑となり、わきまえさせるという。しかし景宗は少なくとも今はここに皇族がいないと笑い、二人で一緒に腰をおろした。すると只没は帝位が自分たちの系統に戻り、父も大兄も浮かばれたはずだという。景宗もそう願うと言ったが、この日を迎えるのが遅れて只没を守れなかったと後悔した。「二哥…子をなしてください、大哥や私の分まで子だくさんに」「ああ、そうだな…」そこで景宗は只没を寧(ネイ)王に封じ、自分の婚姻の差配を全て任すと伝えた。蕭家に戻った太平王妃・胡輦(コレン)は偶然、燕燕の嫁入り道具の中に皇妃の冠を見つけた。父の考えに気づいた胡輦は悶々としながら部屋へ戻ることにしたが、ちょうど燕燕と韓徳譲がやって来る。のん気な二人を見た胡輦は苛立ちを隠せず、すぐ嫁入り道具を確かめるよう告げた。燕燕は父の書斎に駆けつけ、なぜ嫁入り道具に皇妃の冠があるのか聞いた。すると蕭思温は聖旨を渡し、景宗が燕燕を皇貴妃として後宮に迎えると教える。寝耳に水だった燕燕は縁談を断るよう懇願したが、蕭思温は景宗が燕燕の補佐を望み、他の女子では務まらないことだと説得した。残念ながら今生では韓徳譲との縁はなかったのだろう。しかし燕燕は嫁がないと断固拒否し、飛び出して行ってしまう。韓徳譲は燕王府へ戻り、父に燕燕との縁談話がどうなっているか聞いた。実はいつ切り出そうか悩んでいたという韓匡嗣(カンキョウシ)、何とも言いづらそうに景宗が黒山(コクザン)から戻った翌日には燕燕を妃にする聖旨を出したと認めた。徳譲はふと離宮での耶律賢との会話を思い出し、ふつふつと怒りが込み上げて来る。…天下のための行いなら帝王は誰の許しもいらない…まさかあの時の耶律賢の問いが燕燕を娶るための弁明とは知らず、徳譲は忠誠を誓っていた。「父上…臣下の妻を奪うなど最低の主君です!」韓徳譲は急いで参内したが、景宗は姿を見せなかった。「明扆(メイイ)!私の誠意を踏みにじって愛する人を奪うとは!出てこい!」憤慨した徳譲は強引に押し入ろうとして侍衛たちともみ合いとなり、景宗はその騒ぎに頭を抱えた。「朕が直接、向き合わねばならぬこともある…」景宗は腹をくくって書斎を出ると、ちょうど徳譲が侍衛たちに取り押さえられたところだった。景宗は韓徳譲を解放するよう命じ、二人でけりをつけることにした。しかし激情に駆られた徳譲はいきなり景宗を殴りつけてしまう。「徳譲、殴って気が済むのならいくらでも殴れ」「帝位を得たのは天下のためではなく、私の愛する人を奪うためだったのか?」「朕も遼も燕燕を必要としている…」「私の許嫁だと知っていたはずだっ!」「そうだ…だが燕燕は聡明で政治についても見識が深い… 以前、国家と女子のどちらが大切か聞いたな?お前は国家だと答えた」「これがお前の言う国家なのか…ワナワナ」徳譲は再び景宗を殴り倒すと、愛する燕燕を決して手放さないと断言した。明扆の性格上、聖旨を撤回することはないだろう。徳譲は弟のように慕い付き従って来た明扆の本当の姿を知り、深く失望した。「これまで理解していると思って来たが間違いだったよ…」( ๑≧ꇴ≦)弟?ってジョーが年上なのかぁぁぁ〜!徳譲が燕王府へ戻ると燕燕が待っていた。「徳譲哥哥!話はついたの?」「燕燕…逃げよう」一方、蕭家では侍女が燕燕の姿が見えないと胡輦に報告していた。胡輦はこれが燕燕の選択だと気づき、妹の幸せを願って密かに援助しようと決める。しかしちょうど出かけようとした時、父に見つかった。「それは何だ?開けてみよ」箱の中には金塊が入っていた。蕭思温は胡輦の感情的な行動に呆れ果てた。しかし胡輦は自分と烏骨里(ウグリ)がすでに政争に巻き込まれてしまったことから、せめて燕燕だけは愛する人と幸せになって欲しいと願う。そこで景宗が后族との婚姻を結びたいなら、耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)と縁が切れた自分が身代わりに嫁ぐと申し出た。驚いた蕭思温は景宗がひ弱に見えも胡輦が御せる相手ではないと一蹴し、そもそも燕燕を選んだのは景宗自身だと教える。すると胡輦は涙ながらに、もし亡き母が娘たちの不幸な結婚を知れば悲しむと訴えた。「燕燕を許してくれるまで立ちません!」蕭思温は冷静に胡輦を説き伏せることにした。胡輦がもし妃となれば罨撒葛は決して許さず、上京(ジョウケイ)に攻め入り天下は乱れるだろう。そうなれば蕭家は国を揺るがした罪人となってしまう。燕燕は姉妹の中で最も意志が強く、たとえ宮中で困難にぶつかっても乗り越えられるはずだ。蕭思温は自分の身に何か起きた時、胡輦がこの家を担って行かねばならないという。蕭家を守って行くのは皇后になるより大切な努めだ。すると蕭思温は胡輦に令牌を託し、燕燕と韓徳譲を連れ戻すよう命じた。「燕燕さえ無事に戻れば事態は我々にとって有利に運ぶ、妹が大切なら無事に連れて帰るのだ 胡輦、お前に一家の主としての責任を託す、一族の長としてふるまえ!」(  ̄꒳ ̄)さすがパパ、胡輦を熟知してるね〜一方、景宗も燕燕と韓徳譲が駆け落ちしたと報告を受けていた。しかし蕭思温と韓匡嗣なら言わずともどうすべきか分かっているだろう。その頃、追い詰められた燕燕と徳譲は上京を脱出すべく馬を駆けていた。幽州の郊外まで走り続けて来た二人、やがて雲行きが怪しくなり雨が降り出してしまう。そこで徳譲は燕燕と馬を休ませるため、廃屋で一夜を過ごすことにした。徳譲と燕燕は肩を寄せ合って暖を取った。そこで徳譲は遼を出たら北漢に身を寄せようと提案する。何の心配もなく燕燕との自由な暮らしを夢見る徳譲、すると燕燕は二人の子供が産まれたら、やがて子供たちが大きくり、自分たちも年寄りになると話した。「歩けなくなるほど老いたら、子供たちに遼の話を聞かせるの そして遼に戻って家族と一緒に葬ってもらうのはどう?」「そうだな、君の好きなようにしよう」翌朝、二人は遼を出る前に思い出の燕雲台に登った。かつて互いの想いを確かめ合った燕雲台、すると燕燕が急に二人の髪の毛を少し切って一緒に結ぶ。「今日ここで私たちは誓う、あなたと添い遂げ、老いるまで慈しみ合うと…」徳譲は燕雲台の″雲″の石板を外して二人の髪を入れてから閉じた。「私、韓徳譲は今日から蕭燕燕と永遠に生死を共にする」二人は愛を誓って堅く抱き合うと、手を繋いで燕雲台を降りた。しかし、そこに胡輦が現れる。胡輦は蕭家を守るため、たとえ恨まれても燕燕を必ず連れ帰ると言った。燕燕と韓徳譲は魏王の私兵に包囲された。胡輦は無理強いしなくて済むよう徳譲に燕燕を返すよう迫ったが、二人は逃げようとする。しかしいくら武功の優れた徳譲でも多勢に無勢、二人は引き離され、抵抗する徳譲は身体中を斬りつけられた。燕燕の泣き叫ぶ声が響き渡った。やがて徳譲は血まみれになって倒れ、燕燕を探して手を伸ばす。「…燕燕っ!」「離して!」拘束された燕燕は必死にもがいて逃げ出し、徳譲の元へ駆けつけた。二人は堅く手をつないだが再び引き裂かれ、もみ合ううちに燕燕が徳譲に贈った帯が手首から外れてしまう。↓大姐…鬼つづく( ;∀;)立つんだ!立つんだジョー!
2021.08.06
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第16話「新帝誕生」太平(タイヘイ)王・耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)は黒山(コクザン)の異変を察知、急いで駆けつけるも耶律璟(ヤリツケイ)はすでに崩御していた。激怒した罨撒葛は南院枢密使・高勲(コウクン)たちと激突したが、その時、行宮から新帝を祝う臣下たちの声が聞こえて来る。「陛下、万歳!万歳!万々歳!」耶律賢(ヤリツケン)は穆宗(ボクソウ)の暗殺計画に成功、いち早く到着して即位を宣言していた。納得がいかない罨撒葛は耶律賢を殺して帝位を奪い返すべく、行宮に攻め込む。その時、露台に女里(ジョリ)が姿を現し、先帝の遺詔に従って皇子賢を擁立したと告知、新帝の勅命を伝えた。「逆賊・罨撒葛を捕らえよ!生死は問わぬ!捕らえれば褒美を弾む!」粘木袞(デンボクコン)は黒山の十数万の兵に太刀打ちできるはずがないと焦り、太平王に撤退するよう訴えた。女里と高勲は罨撒葛の捕縛に失敗したと報告した。しかし耶律賢は追及せず、蕭思温(ショウシオン)と韓徳譲(カントクジョウ)を先に上京(ジョウケイ)へ帰すことにする。国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)と奪里本(ダツリホン)斡魯朶の兵は大部分が上京に残っていた。罨撒葛は必ず上京に戻る。「屋質(オクシツ)大王と協力して罨撒葛を捕らえよ」その頃、耶律休哥(ヤリツキュウカ)は耶律屋質に黒山で政変があったようだと報告していた。屋質は国を平和にできる者が王座に就くべきと考え、皇子賢の擁立に理解を示す。そこで犠牲者を増やさぬよう国阿輦斡魯朶と奪里本斡魯朶の頭領を連れてくるよう命じた。「私の説得に応じなければ拘束せよ、その後、お前は軍営へ行け 新帝即位の名目で兵権を引き継ぐのだ」もし即位したのが罨撒葛なら、その時は自分たちの首を差し出すまでだ。耶律賢は太平王府の令牌を持って黒山へ向かっていた。高六(コウリク)から報告を聞いた胡輦(コレン)は燕燕(エンエン)の仕業だと気づき、動揺を隠せない。耶律賢が罨撒葛より早く発ったのなら、黒山に腹心がいるはずだ。「まさか…もし父上だとしたら罨撒葛はどうなるの?…ってか私は?!( ̄▽ ̄;)」権勢を極めた皇弟・罨撒葛は一夜にして逆賊へと転落した。そこで巻き返しを図るため、上京郊外に駐留する国阿輦斡魯朶の軍営に駆けつける。しかしすでに屋質大王の命で耶律休哥が軍営を掌握していた。父の国阿輦と兄の奪里本が寝返るとは信じがたい罨撒葛、まだ自分に従う勇士がいると豪語する。「…よし、戦いたければ受けて立とう、国阿輦の兵の半分は私が握った もし国阿輦が四分五裂となれば、お前は太宗皇帝に顔向けできるのか?!」罨撒葛は休哥の言葉で戦意を喪失、ついに負けを認めて去って行った。耶律休哥は城門で蕭思温と韓徳譲を出迎えた。実は屋質大王の命で反乱を抑え、すでに2つの斡魯朶の頭領に上京で新帝を迎えるよう指示を出したという。さすがは遼の柱石である屋質大王、蕭思温はほっと胸を撫で下ろし、韓徳譲に罨撒葛の捜索を任せた。蕭思温は新帝・景宗(ケイソウ)の即位を宣言し、戒厳令を出した。上京の脱出に失敗した耶律喜隠(ヤリツキイン)は罨撒葛が即位するものと思い込み、もはや万事休すと落胆している。すると撒懶(サツラン)が駆けつけ、実は見張りの兵が撤収し、即位したのは耶律賢だと報告した。「太平王はお尋ね者になりました、奴は失脚したのです!」喜隠は予想外の展開に大笑いした。「どうせ明扆(メイイ)は身体が弱い、罨撒葛がいなくなれば岳父は私を助けるだろう …私を皇太叔にしてくれれば、遼はいずれ我が子のものになる!」同じ頃、耶律只没(ヤリツシボツ)の元にも急報が届いた。穆宗が崩御し、黒山で二兄が即位したという。にわかに信じられない只没、しかしそれ以上に驚いたのは王妃・安只(アンシ)と監視役の侍女・塔布(トウホ)だった。罨撒葛は配下を連れて沙陀(サダ)へ逃げると決め、胡輦を迎えに戻った。しかし胡輦は蕭家に行ったと知る。実はその時、胡輦は都へ戻った父に詰め寄っていた。「なぜこんな仕打ちを?!私は父上の娘、罨撒葛は私の夫です!家族でしょう? なのに明扆を助けて罨撒葛を見捨てるなんて…帝位は本来、罨撒葛のものです!」「太祖の崩御以来、三支は絶えず帝位を争って来た 多くの者は帝位を求めるだけで、即位後、遼のために何をすべきか考えておらぬ しかし明扆は他の者とは違う」罨撒葛は蕭家に乗り込み、胡輦を探して蕭思温の書斎へ向かった。すると胡輦の声が聞こえ、そのまま回廊で立ち聞きする。「罨撒葛は暗君の手から大勢を救ってきた なのになぜ明扆が罨撒葛に勝るのです?まだ何もしていないのに…」「胡輦?お前は夫と己、どちらのために怒っているのだ?」蕭思温は暗に胡輦が后位を逃して苛立っていると指摘した。当然、胡輦は否定したが、内心ではいずれ皇后になれると思っていたのだろう。「罨撒葛は確かに多くのことをしてきた、しかし残念ながら遼の未来についての考えがない たとえ即位しても先帝と同じ道をたどる」「でも父上、私は罨撒葛の妻ですよ?あの人を捨てるのは私を捨てるも同然…」「胡輦…私は…」蕭思温が言葉に詰まると、そこへ罨撒葛が現れた。蕭思温は新帝に服従するのが最善の選択だと説得した。しかし罨撒葛は胡輦の腕をつかみ、一緒に遼を出るという。「蕭思温、代償を払うことになるぞ…何もかも必ず奪い返してみせる」その頃、燕燕も耶律賢が即位したと聞いて喜んでいた。すると胡輦が来ていると知り、令牌を盗んだことがばれたのだと気づく。そこで助けを求めて父の書斎へ向かったが、なぜか呆然と座り込む蕭思温の姿があった。燕燕は父から胡輦が罨撒葛と一緒に出て行ったと聞いた。その頃、罨撒葛一行は南門を守っていた蕭達凛(ショウタツリン)と対峙、ついに剣を抜いて血路を開くと決める。すると颯爽と韓徳譲が駆けつけ、抵抗している罨撒葛に矢を放った。肩を射抜かれた罨撒葛は落馬、驚いた胡輦は慌てて駆け寄ると、そこへ徳譲がやって来る。「罨撒葛、陛下はお前の命を取らぬ、御前で謝罪を…」しかし罨撒葛は決して屈しないと拒否した。韓徳譲は剣を抜いたが、その時、胡輦が咄嗟に短刀を自分の首にあて、罨撒葛を逃さねば死ぬと脅す。「胡輦、やめろ!こやつを殺して逃げればいいんだ!」「私は行かない、早く逃げて!私は家族と離れない 以前、烏骨里を救ってもらった、これで貸し借りはなしよ、私たち夫婦の縁もこれまで」燕燕が南門に到着すると、胡輦が自害しようとしていた。驚いた燕燕は自分たちを残して死ぬのかと止めたが、胡輦は罨撒葛を逃したいだけだという。韓徳譲は罨撒葛を逃せば遼はいずれ争乱が起こると諭した。しかし燕燕は姉を思い、罨撒葛が遼を去れば脅威にはならないと訴える。仕方なく徳譲は折れて開門を命じた。罨撒葛は胡輦を残して逃げると決めたが、これで諦めるつもりはない。「私は行く、だが忘れるな、胡輦、どこへ行こうと必ず会いに戻る、命が尽きるまで君は私の妻だ」景宗・耶律賢は上京へ戻り、改めて即位を宣言した。重臣たちは次々と罨撒葛を逃した罪を認めて罰を請うが、景宗は政局さえ安定すれば脅威にならないという。それより見事に情勢を安定させた側近たちに報いたいと、蕭思温は北院枢密使を兼任、尚書令として魏(ギ)王に、高勲は政事令、女里は近衛軍頭領兼契丹行宮都部署、耶律休哥は惕隠(テキイン)、韓匡嗣(カンキョウシ)を上京留守にそれぞれ昇格させた。韓匡嗣は蕭思温が絶大な権勢を手に入れたにも関わらず、先帝の時より慎重だと指摘した。しかし蕭思温は失笑し、他人には絶大な権力と見えても、自分が重んじているのは家と国だという。「今は国のために家のことを顧みられぬが…」「どういう意味だ?家は順調だろう?」すると蕭思温はため息をつき、含みを持たせて行ってしまう。蕭思温の祝宴の日、烏骨里と燕燕は蕭家に戻った胡輦に付き添っていた。しかし二人の妹にとって罨撒葛は悪人、夫婦だった胡輦の複雑な気持ちは理解できないだろう。胡輦は妹たちに客の対応をするよう命じ、とにかく一人になりたいと言って追い出した。烏骨里は父を書斎に訪ね、それとなく喜隠の禁足を解いて欲しいと頼んだ。すると蕭思温はまだ複雑な情勢のため、しかるべき時にとりなしてやると言ってくれる。烏骨里は父も喜隠を案じてくれていると知って喜び、もし喜隠が皇太叔になればお腹の子が遼の未来を担えると口を滑らせた。前庭では蕭達凛が祝宴に訪れた客人や贈り物の対応に追われていた。そこへ蕭海只(ショウカイシ)と蕭海里(ショウカイリ)がやって来る。二人は蕭思温の甥である自分たちが変わると伝え、逹凛は客人だと牽制した。しかし達凛は重要な祝宴のため落ち度があってはならないと断り、一触即発の様相となる。「腹の中はお見通しだぞ?叔父上は養子を取って後継にする、お前のような遠縁が出しゃばるな」「…その言い方は少々、浅ましいのでは?」「何だと?!懲らしめてやる!」その様子を偶然、回廊を歩いていた燕燕が見かけた。「そこまでよ!父上が話をする前から養子の座を狙うなんて…とっとと帰って!」燕燕は達凛をかばった。つづく( ๑≧ꇴ≦)ジョー!馬と弓矢というテッパンにモフモフと白い歯でたたみ掛けてキター!それにしても振り返りは必要ないのよ太平王夫婦( ̄▽ ̄;)そして今回も喜隠と烏骨里はお花畑夫婦でしたw
2021.08.01
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第15話「黒山の攻防」穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)は冬捺鉢(ナバ)で黒山(コクザン)の行宮へ、一方、右腕の太平(タイヘイ)王・王耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)は留守を守るため上京(ジョウケイ)に残った。そんな中、耶律賢(ヤリツケン)の監視役・楚補(ソホ)が太平王を裏切り、耶律賢側に回る。実は穆宗に殺された義兄・白海(ハクカイ)はあの日、楚補の代理で狩りに同行していた。「本当は私が死ぬはずだったのです…」楚補は復讐を胸に耶律賢に叩頭、忠誠を誓った。燕燕(エンエン)は韓徳譲(カントクジョウ)から政変が近いと聞いた。しかし楚補が懐柔された話にはどこか違和感がある。「ちょうど義兄が殺されるなんて間が良すぎない?もしかして明扆(メイイ)大王が…」「あり得ぬ、明扆は蟻一匹も殺せぬ男だ」徳譲は兄弟も同然の耶律賢が清廉潔白であると信じて疑わなかった。一方、穆宗は黒山の狩り場で馬を駆けていた。しかし獲物が見当たらず、ふと思い立って宦官たちを標的にしてしまう。逃げ惑う宦官たち、すると穆宗は次々に矢を射っては高笑いした。穆宗の暴挙に怯える毎日、しかし従者たちもいよいよ腹に据えかねていた。するとその夜、側仕えたち4人の天幕に楚補がやって来る。楚補は明扆大王の勧めで訪ねたと切り出し、4人に家族からの差し入れを渡した。明扆大王の心遣いに笑顔が戻る4人、しみじみ優しい明扆大王に仕える楚補をうらやましく思う。そこで楚補は義兄・白海の無念を訴えた。「白海の両親に会ってきた…兄弟が大勢いたが無事に育ったのは白海だけ、だが白海も死んだ…」楚補はこのまま黙って死ぬくらいなら道連れにすればいいと扇動した。穆宗の側仕え4人が動いた。今夜も玉座で酔い潰れている穆宗、そこで4人は差し入れを届けに来たと見せかけ、盆の下に短剣を忍ばせて近づく。すると急に穆宗が寝言を叫び、驚いた随魯(スイロ)はお盆もろとも短剣を落としてしまう。ガシャーン!穆宗は大きな音で目を覚ました。しかし側仕えがいるのはいつもの情景、別段、気にする様子はない。そこで酒を持ってこいと怒号を響かせたが、ふと随魯の足元に転がっている短剣に気づいた。「…朕を殺す気か?」随魯は咄嗟に短剣を拾ったが間に合わず、瞬時に机の小刀を手にした穆宗に腹を刺されてしまう。驚いた3人は一斉に穆宗に襲いかかったが歯が立たず、そうこうしているうちに近衛軍がなだれ込んで来る。こうしてあっけなく失敗に終わったかに見えた穆宗の暗殺計画、しかし思わぬ伏兵がいた。耶律賢は近衛軍に劉梓固(リュウシコ)を紛れ込ませていた。穆宗を守ると見せかけ近づいた劉梓固、穆宗は捕らわれた宦官たちに気を取られ、刺客の存在に気づくのが遅れる。すると劉梓固が穆宗の腹を突き刺し、さらに抵抗する穆宗の首に短刀を突き立て止めを刺した。兵士たちが急いで刺客に斬りかかるも時すでに遅く、穆宗はそこでばったり倒れてしまう。「暴君を…ついに討った…」劉梓固は使命を果たし、絶命した。蕭思温(ショウシオン)たちが行宮に駆けつけた。早速、蕭思温は情勢を安定させるため、当時の耶律屋質(ヤリツオクシツ)に倣って新君を擁立しようと動き出す。そこで穆宗が先帝崩御の際、臣下の前で″皇子賢(ケン)を我が子同様に育て上げる″と宣言したことを利用した。つまり息子がいない穆宗の正当な後継者は皇子賢となる。蕭思温は混乱を防ぐため崩御を伏せ、行宮から人を出さないよう女里(ジョリ)に命じた。「表沙汰にするのは…陛下が刺客に襲われ、首謀者を捕らえたことだけ」そして韓匡嗣(カンキョウシ)が穆宗に代わって遺詔を準備することにした。雪が舞う上京、ついに耶律賢たちが待機する離宮に鳥文が届いた。「どうやら私の運も悪くないらしい…」鳥文には″事成(成功)″とある。すると韓徳譲が席を立ち、改めて拝礼した。「陛下にご挨拶を」韓徳譲は耶律賢を即位させるため、黒山へ発つことになった。しかし城門が封鎖され、昨日から太平王の新しい令牌以外では通れなくなっている。徳譲が探りを入れたところ罨撒葛が間者を捕らえ、残党が逃げぬよう令牌を変えていた。今日中に向かわねば罨撒葛のこと、すぐ異変に気づくだろう。追い詰められた徳譲は仕方なく蕭家に燕燕を訪ねた。太平王府に燕燕がやって来た。胡輦(コレン)は嫁入り道具に足りないものがあったのか心配すると、燕燕は実は持って行きたい書物があるという。「契丹(キッタン)八部族の族譜、部数が少ないから貴重なの~ほら、徳譲哥哥は書物が好きでしょう?」胡輦が可愛い妹の頼みを断るはずがない。「燕燕?いたずらしないでね、大切な公文書があるから触らないでよ?」「分かってるって~」罨撒葛の書斎にやって来た燕燕、そこでわざと山積みになっていた竹簡にぶつかった。胡輦は燕燕をどかせて侍女・安熙(アンキ)と片付けることにしたが、その隙に燕燕は机にあった通関令牌を手に入れることに成功する。一方、徳譲の帰りを待つ耶律賢は楚補に指示を出していた。「我らが去ったら婆児(ハジ)たちと屋質大王のもとへ行ってくれ、連絡は伝書鳩を使う」燕燕は徳譲に通関令牌を渡した。「燕燕、戻ったら婚礼を挙げよう」すると燕燕は手首に巻いていた帯を外し、そっと口づけしてから徳譲の手首に巻く。「うまく行くって信じてる、待っているから…」「必ず戻るよ」徳譲は燕燕の額に口づけし、決戦の地へ旅立った。その夜、韓徳譲と耶律賢は道中、韓匡嗣が出した迎えの軍と合流した。一方、黒山の変事は上京の耶律喜隠(ヤリツキイン)の耳にも届く。暗君が殺されたと気づいた喜隠はこの好機を逃すまいと黒山へ向かうことにした。身重の烏骨里(ウグリ)は気丈にも夫を送り出し、吉報を待つ。こうして喜隠は死士を集めて見張りの兵士たちを襲撃、無謀にも屋敷を飛び出した。喜隠は城門を突破するため、衛兵たちと衝突した。太平王府で報告を聞いた罨撒葛は激怒したが、胡輦の手前、義妹を寡婦にはしないと約束する。そこへ急報が届いた。「(ガーン)陛下が襲われ、黒山が封鎖された、本営に行った者も戻らぬと…おかしい」罨撒葛は何かが起こったと気づいた。すると粘木袞(デンボクコン)が喜隠の動きと関係があると疑う。罨撒葛は直ちに出発するため、ひとまず東の大営にいる兵馬を連れて行くと決めた。罨撒葛が城門へ到着すると、喜隠たちが兵士に囲まれていた。すると離宮の様子を見てきた高六(コウリク)が追いつき、耶律賢がいないと知る。罨撒葛は耶律賢に出し抜かれたと気づき、喜隠を捕らえるよう命じて慌てて出発した。その頃、病弱の耶律賢は山の寒さに耐えられず、意識が朦朧としていた。韓徳譲は弱気になる耶律賢を励まし、馬に飛び移って耶律賢の身体を支えながら行宮を目指す。やがて日が昇る頃、耶律賢はついに行宮へ到着、門では南院枢密使・高勲(コウクン)が出迎えた。臣下たちが行宮に集められた。一体、何事かと思えば、穆宗が従者に襲われて崩御したという。その頃、ついに罨撒葛たちも黒山に到着した。しかしすでに行宮は封鎖され、服喪の用意が始まっている。罨撒葛は兄が殺されたと気づき、呆然となった。「皇兄…皇兄ーーーっ!突撃しろ!」行宮の外で激しい戦いが始まる中、蕭思温は粛々と新帝の即位を進めていた。「ここに陛下の遺詔がある」すると臣下たちは一斉にひざまずく。「我が子、皇子賢は特に秀で大任を担うに値する、よってこの国を授け、遼の君主に任命する… 新帝をお迎えする!」その時、扉が開いて王冠をかぶった耶律賢が韓徳譲を従えて入って来た。「陛下、万歳!万々歳!」つづく( ̄▽ ̄;)喜隠…視聴者でさえ失敗すると分かっているのにw
2021.07.31
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第14話「皇后の座」耶律喜隠(ヤリツキイン)に嫁いだ蕭(ショウ)家の次女・烏骨里(ウグリ)が懐妊した。禁足で寂れた王府も喜びに湧いたが、喜隠は数少ない使用人に決して漏らさぬよう口止めする。実は喜隠は穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)が耶律只没(シボツ)を宮刑に処したのは、人皇(ジンコウ)王の血族を断つための罠だと疑っていた。耶律賢(ヤリツケン)が病弱なことを思えば、この系統の血は途絶えることになるだろう。烏骨里は自分の子供も標的になると知るや、急に恐ろしくなった。そこへ燕燕(エンエン)が訪ねて来たと知らせが届く。喜隠は心の憂いが身重の身体に悪影響があると心配し、燕燕にだけは懐妊を明かすことを許した。燕燕は暇を持て余し、馬球の誘いにやって来た。すると烏骨里は人払いし、二人きりになってから身ごもったと報告する。燕燕は叔母になると知って大喜び、早速、大姐にも知らせて来ると言った。しかし烏骨里から止められ、太平(タイヘイ)王妃の胡輦(コレン)には教えないよう釘を刺す。もちろん姉のことは信じているが、問題なのは耶律罨撒葛(ヤリツエンサツカツ)だった。「陛下も罨撒葛も子がいない、なのに喜隠や明扆(メイイ)に子を持たせると思う?」確かに只没の一件を思えば烏骨里の懸念は当然のことだった。燕燕は燕王府に韓徳譲(カントクジョウ)を訪ねた。何やら難しい顔で文机に向かう徳譲、すると燕燕が来たと気づいて慌てて文を裏返してしまう。燕燕は気になって咄嗟に文を取り上げると、それは新帝への奏状だった。見られてしまった以上は仕方なく、徳譲は皇子賢(ケン)こそ遼(リョウ)の新しい明君となれる人物だと訴え、その時が迫っていると匂わせる。燕燕は事情を知って協力を申し出ると、自分なら太平王府の出入りが自由だと言った。しかし徳譲は危険を冒さないよう釘を刺し、思わず燕燕の手を握りしめる。「私はこたび命を懸ける、心配させまいと黙っていたが、万一のことがあれば私たちの婚姻も…」驚いた燕燕は咄嗟に徳譲の口を手でふさぎ、言葉を遮った。「言わせないわ、いくらでもあなたを待ってる」「燕燕…君を娶れることは生涯、最大の幸せだ」「ふふ…あ、そうだ!あなたの妻になるなら漢名が要るわね!」燕燕は早速、徳譲と一緒に名前を考えることにした。一方、耶律賢も燕燕への想いを募らせていた。…これまで多くのものを失ってきたが、この先、望むものは決して手放さない…何も知らない韓徳譲、自分の犠牲になった時、本当に一緒に遼の改革への道を歩んでくれるだろうか。そんなある日、屋敷にいた燕燕は耶律賢が書房に案内されるのを目撃し挨拶に向かった。すると平服姿の耶律賢は祖州から来た劉(リュウ)と名乗り、南朝の進攻について宰相に話があるという。「″劉″と言ったわね?太祖は漢の高祖(コウソ)の劉姓を名乗った つまりあなたも太祖たちの遺志を継いで漢制を進めるのね?」燕燕は″道義にかなえば助けを得る″だと説き、すでに道義ある耶律賢なら成功すると後押しした。「武力で天下を抑えても治めることはできないわ 遼を長く安定させるなら漢人に倣い、漢制を進めるべきよ」その話をちょうど書房にやって来た蕭思温(ショウシオン)が聞いていた。蕭思温は大王と話があると言って燕燕を下げた。耶律賢がこの緊迫した状況下に宮中を出たのはすでに計画があり、重大な局面が近づいているからだろう。「南朝軍が北伐を図るなら迎え撃つ備えが必要だ だが陛下の性格からして深く考えていないゆえ、宰相から提言して欲しい 冬捺鉢(ナバ)の間、罨撒葛に上京(ジョウケイ)を守らせるようにと…」「罨撒葛が上京に残り、陛下が単独で黒山(コクザン)に向かう…分かりました、必ず手はずを整えます」すると耶律賢はもう1つ重要な話を始めた。「こたびもし私が勝てば優れた皇后を選びたい、それは燕燕だ」「燕燕ですか…燕燕はまだ子供です」蕭思温は話を逸らそうとしたが、耶律賢は燕燕に他の令嬢にはない能力があると見抜いていた。「私は述律(ジュツリツ)皇后のような妻を選びたい、私を支え、私に代わり、遼の天下を支える妻を… 宰相が認めてくれるなら燕燕はその座に就ける」耶律賢の夢は燕燕と夫婦になり、共に天下を治めることだという。何より后族の中で皇后を輩出していないのは蕭思温の家のみ、耶律賢は自分に機会を与えてくれれば、それは蕭家一族にとってもまたとない機会なると言った。蕭思温は耶律賢の言葉に心が揺れた。しかし韓徳譲との婚姻が決まり笑顔が絶えない燕燕、今も婚礼の衣装選びに忙しいらしい。蕭思温は娘の様子をこっそりのぞいてみたが、すぐ燕燕に見つかった。3人の娘の中でも最も母親に似ている燕燕、蕭思温はすでに嫁ぐ歳になったと感慨深いが、その相手が誰になるかは天神にしか分からない。「燕燕、人の一生は大半が思うようにならぬもの、今後つらい時はこの言葉を思い出しなさい ″去らぬ苦難はない″と…お前は騰里(テングリ)の娘、漢人の女子のように容易に傷つくな」「大丈夫よ、契丹(キッタン)の女はつらくても泣き叫びません」そんな中、狩りに出かけた穆宗は酔って逆上、また数人を殺した。報告を聞いた耶律賢は被害に遭ったのが白海(ハクカイ)だと知り、婆児(ハジ)に折を見て義弟の楚補(ソホ)に話せと命じる。常軌を逸した穆宗、今や民にも皇族にも見放され、自ら孤立していた。耶律賢は罨撒葛の差し向けた護衛の楚浦もこれで目が覚めたはずだと期待する。そこで韓徳譲を離宮に呼び、近衛軍を掌握する女里を訪ねることにした。徳譲は表立って会えば太平王に知られると警戒したが、耶律賢は楚補の罨撒葛への忠誠心を試しているという。「今日、動きがなければ手なずける策を考えよう」それにしても白海の死は間が良すぎる。徳譲はまさか耶律賢が関わっていないか心配した。偉大な志を抱く耶律賢が残虐な穆宗のように無辜の命を奪うなどあってはならない。すると耶律賢はもちろん自分は無関係であると否定し、徳譲を安心させた。耶律賢たちは女里の協力を得ると離宮へ戻った。後ろめたさを感じながら韓徳譲を見送る耶律賢、するとその足で劉梓固(リュウシコ)を訪ねることにする。実は劉梓固の父は耶律賢の恩人で、これまで家族を守って来た。そんな劉梓固は敵討ちを今か今かと待っている。耶律賢は自分の指示を待つようなだめたが、復讐の機会はまもなく訪れると伝えた。燕燕は太平王府に胡輦を訪ねた。すると大姐がすっかり夫である罨撒葛側の人間になっている。胡輦は只没の一件も罨撒葛が取り成したおかげで何とか収まり、最近では耶律賢兄弟を心配して奔走していたと話した。燕燕がこのままでは穆宗が燕雲十六州という先祖の遺産を手放してしまうと嘆けば、胡輦は兵士たちを無駄死にさせたくないからだという。姉の変わりように驚きを隠せない燕燕、しかし胡輦は罨撒葛にとって穆宗が兄というだけでなく恩人だとかばった。自分たち姉妹がそうであるように、兄弟の絆は切っても切れないという。「物事の善悪は明らかよ?兄弟だろうと関係ない!…罨撒葛を好きになったから味方するんだ?」「…誰より大事なのは父上よ、そして妹たち、私を信じられないの?」「大姐は信じてる…ブツブツ…信じられないのはえんかっ…えんさつさっ…えんさつかつよ」「舌をかみそうね?何かあったの?まさか喜隠が騒ぎを起こして烏骨里に影響が?」「フル(・_・ ))(( ・_・)フル」すると胡輦は燕燕が話せないなら直接、聞きに行くと言い出し、焦った燕燕は烏骨里の懐妊を教えてしまう。「子の安全のため、罨撒葛には知られたくないって」「あの子ったら、喜隠の入れ知恵ね、私まで敵と見なすなんて…」烏骨里を守るために罨撒葛に嫁いだ胡輦は憤慨したが、秘密にすると約束した。燕燕は燕王府を訪ね、徳譲に愚痴をこぼした。「罨撒葛をかばうなんて、大姐は変わったわ」燕燕にとって完璧な人間だった胡輦、これまで大姐の言うことは全て正しいと思って来たが、実は胡輦にもよく見ていないことがあると気づく。すると徳譲は燕燕の鋭い物の味方は多くの男や胡輦をも超えていると称賛した。「で、今後はどうするつもりなの?」「陛下が捺鉢で黒山に行ったこの機に動く」「監視役に計画が知られたりしないかしら?」「心配ない、明扆(メイイ)は長年、自分を監視して来た者を懐柔する」つづく(  ̄꒳ ̄)じわじわ来る…
2021.07.24
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第13話「果たされた約束」蕭燕燕(ショウエンエン)は耶律只没(ヤリツシボツ)が皇帝の逆鱗に触れ、宮刑に処されたと知った。只没と言えば耶律賢(ヤリツケン)の弟、燕燕はふと約束を思い出し、慌てて屋敷を飛び出して行く。一方、耶律賢は絶望の淵にいる弟を救う手立てを探っていた。そこでまず例の宮女を永興(エイコウ)宮へ連行するよう指示する。実は安只(アンシ)は混乱のさなか放置されていたが、運良く女里(ジョリ)が指揮使となった近衛軍が捕らえていた。耶律賢は安只が誰かの差金で弟を陥れたと疑った。驚いた安只は涙ながらに只没と本当に愛し合っていたと訴え、生涯を共にしようと誓ったという。「生涯を共にだと?…只没のように簡単に騙せると思うな」耶律賢は弟が罰を受けている時に安只は何もしなかったと指摘、本物の情があるとはとても思えなかった。すると焦った安只はか弱い女子に何ができようかと泣き崩れ、思わず耶律賢の足元にすがりつく。「只没大王への思いは本物です!じぇんだぁ!(/ω\*)ウワーン(/ω・\*)チラッ」耶律賢は小賢しい安只にへき易していたが、最後の機会を与えた。「どんな方法でも良い、只没に食事をさせ、薬を飲ませ、生かすのだ もし死なせたら、お前を只没と共に葬る」只没は安只に勧められても頑なに薬を拒んだ。仕方なく安只は先にあの世で待っていると伝え、短刀で自害しようとする。驚いた只没は思わず起き上がり、安只の腕をつかんで止めた。「必死でお前を救ったのは死なせるためではない…」「死など恐れません、私が怖いのは大王に捨てられること…ウルッ」「私は全て失った…今や無用の長物だ」(இωஇ)<いいえ、私にとってあなたは永遠に私の只没大王、決して変わりません!(ノ꒦ິ⌑꒦ີ)ノ<安只…私から離れるな、そばにいてくれ~↓このアヒル口はお見事!すでに夜も更けた。しかし耶律賢は燕燕と会う約束があったため、今から出かけるという。婆児(ハジ)はさすがに酒楼も閉まり、燕燕は帰っただろうと反対した。すると耶律賢はたとえ燕燕がいなくとも約束を破りたくないと話し、禁を犯して皇宮を出てしまう。驚いたことに燕燕はまだ衡山(コウザン)酒楼で待っていた。聞けば昼に韓徳譲(カントクジョウ)と待ち合わせしていたが、いくら待っても来ないので屋敷へ帰ったところ、只没の件を聞いて耶律賢との約束を思い出したという。「あなたが来るかどうか全く分からなかったわ、でも約束を破ればもっと悲しませると思って…」今の燕燕にできることは黙って耶律賢の酒に付き合うことだった。「泣きたいと思うなら泣いたほうがいいわ」「子供の頃すでに悟った、涙は何の役にも立たないと…」耶律賢は強がって見せたものの、ついにこらえ切れず、泣き崩れてしまう。「恐ろしいのだ、このまま私が持ちこたえられなかったら、どうなってしまうのか…」「只没大王を守れるのはこの世であなただけ、きっと乗り越えられるはずよ」…天禄5年、帰化(キカ)州祥古(ショウコ)山まだ幼き耶律賢と韓徳譲は祖廟に忍びこみ、上階に隠れていた二人は祭祀の様子を盗み見ながら、跪拝の時に一緒に″免礼″と言おうと笑うすると突然、反乱軍が雪崩込み、目の前で生母と長兄が殺された徳譲は悲鳴をあげそうになった耶律賢の口を咄嗟にふさぎ、全てが終わるのを待つやがて惨劇が終わり、二人は外へ出た耶律賢はあの時の血生臭い光景を決して忘れることはない…耶律賢が目を覚ますと、すでに朝だった。すると燕燕が飲みすぎて眠ったのだと教え、何度も声をかけたが起きなかったという。「1人じゃ心配で付き添ったの」「もう何年もほんの僅かな物音で眠れなくなっていたが…まさか起こされても目覚めぬとは」耶律賢は酒楼の前で燕燕と別れ、その背中を見送った。…10数年ぶりに良く眠れたのは君がいて安らいだからだ…燕燕、君は騰里(テングリ)が遣わした贈り物だ韓徳譲は燕燕と一緒にいてもどこか上の空だった。穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)が使用人だけでなく皇族にまで手を出したことから、朝廷に激震が走っている。徳譲はこの混乱が自分たちの婚姻にも影響しそうだと心配していた。しかし燕燕は婚姻とは無関係だと訴え、これを言い訳にしないで欲しいという。徳譲は失笑し、もちろん燕燕を早く娶りたいと言った。ただ耶律賢には明君の才覚があり、残虐な皇帝から1日も早く代わらせたいという。今回も穆宗は宮刑で只没を罰したように見せて、実は耶律賢に警告を与えたのだ。徳譲は命をかけて耶律賢を守るつもりだが、そのせいで燕燕を巻き込むことが怖いと打ち明ける。すると燕燕は徳譲に嫁ぐと決めた以上、苦労を共にするのは当然だと言った。耶律只没は安只の献身的な看病で順調に回復した。そこで只没は安只を娶り、正式な立場を与えたいと耶律賢に頼む。安只はもはや只没の生きる希望、耶律賢は迷わず皇帝に許しを求めることにした。耶律賢が弟の婚姻を申し出たのを機に太平(タイヘイ)王・耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)が動き出した。罨撒葛はまず安只を太平王府に呼び付け、塔布(トウホ)という侍女を紹介する。「安心して王妃を努めよ、あとは塔布に任せればよい…大出世だな」焦った安只は只没に何かあれば殉死することになると訴えたが、罨撒葛は自分に従えば後ろ盾になると安心させた。また耶律賢の妹・胡古典(ココテン)には粘木袞(デンボクコン)が探してきた楚里(ソリ)という男をあてがうことにする。( ー̀ωー́ )<うむ…見た目は良いが(え?w)いささか風格が…しかし罨撒葛は公主を娶れば自然と風格も身につくと期待した。耶律賢は燕(エン)王・韓匡嗣(カンキョウシ)に協力を頼んだ。穆宗からの縁談話を病を口実に断り、できれば宮中を出て療養したいという。「そうすれば今後、かなり動きやすくなる」すると耶律賢は燕王から思わぬ事実を聞いた。あまり顔を出さない韓徳譲が気になっていたが、実は蕭思温(ショウシオン)の三女との婚姻の準備で忙しいという。耶律只没と安只、胡古典と楚里の縁談がまとまり、いよいよ婚儀の日を迎えた。2組の夫婦の幸せを祈り、杯を交わす耶律賢、しかし疲れが出たのか突然、倒れてしまう。知らせを聞いた穆宗や太平王がすぐさま駆けつけた。そこで罨撒葛はこの機に乗じて漢人が婚姻で病を治すらしいと進言する。耶律賢は息も絶え絶えに、いつ尽きるかも知れない命のため婚姻は避けねばならないと訴えた。すると穆宗も了承し、燕王にしっかり病を治すよう命じる。韓匡嗣はすかさず郊外の離宮で静養してはどうかと提案、殿内に緊張が走った。咄嗟に短剣に手をかける穆宗、しかしさすがに凶行には及ばず、療養に行くことを認めるという。罨撒葛は何とか耶律賢の縁談をまとめようとしていた。太平王妃・胡輦(コレン)は純粋に叔父としての優しさだと信じていたが、身体が弱い耶律賢では妻を娶っても床入りもままならぬだろう。そこで胡輦は他の系統から養子を取れば耶律賢も安心し、病が治るのではと助言した。罨撒葛は胡輦の話から思わぬ糸口を見つける。…明扆(メイイ)と只没に子がなければ傍系(ボウケイ)から養子を取ればいい…それで人皇(ジンコウ)王の系統の憂いも消え、太祖の三支は私が掌握することになる韓徳譲は離宮で耶律賢と合流した。すると耶律賢はなるべく早く蕭思温に会いたいと頼み、改めて徳譲の覚悟を確認する。もし事を起こせば多くの者の命を危うくするだろう。耶律賢には選びようのない宿命だが、徳譲にとっては犠牲になるに過ぎない。しかし徳譲は韓家が3代前に漢制改革に携わって以来、自分も大王を支えることが宿命になったと言った。そこで耶律賢は国家と愛する女子、どちらが大切だと思うかと聞く。徳譲は当然、国家だと即答した。「国家のため誰かを犠牲にしても私は許されるだろうか?」「天下のための行いなら、帝王は誰の許しも要らぬ」「犠牲になるのがお前でも?」「漢制への道が遼のためなら私は死んでも悔いはない」「…韓徳譲、この先、何があっても私と共に遼の改革への道を歩んで欲しい、お前にできるか?」「信じてくれ、大王を支え、共にやり遂げる」(  ̄꒳ ̄).oO(言ったな?今、言ったな?一方、烏骨里(ウグリ)は侍医から懐妊2か月と診断された。耶律喜隠(ヤリツキイン)は大喜びだったが、なぜか懐妊を漏らさぬよう命じる。つづく|ω・`)押すなよ押すなよ?絶対、押すなよ?みたいな…違うw
2021.07.23
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第12話「怒りと憎しみ」韓徳譲(カントクジョウ)は父に蕭燕燕(ショウエンエン)との縁談を頼んだ。燕(エン)王・韓匡嗣(カンキョウシ)は燕燕を危険に巻き込むと警告したが、徳譲は幽(ユウ)州の一件で考えが変わったという。「燕燕は私の理解者です、私が危機に瀕しても付いて来てくれます」徳譲は母が勝手に李家との縁談を進めていることから、引き伸ばせば李思(リシ)を誤解させ、何より燕燕を傷つけてしまうと訴えた。確かに李思の方が自分にふさわしい相手なのだろう。正直なところ以前は徳譲も夫婦は互いを敬い合えれば十分だと考えていた。「世の中はままならぬことばかりです、何とぞ私のわがままをお許しください」南朝の趙匡胤(チョウキョウイン)が親征した。危機に陥った北漢(ホッカン)は援軍を求めて遼(リョウ)を頼ったが、穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)は使者の前でも酒を飲んで泥酔している。仕方なく蕭思温(ショウシオン)は北漢を助けるよう進言、すると穆宗は了承して早々に退朝した。穆宗は酒を飲んでは次々と宮女を刺し殺した。生き延びるため仲間を犠牲にするしかない侍女・安只(アンシ)、しかしこの地獄から耶律只没(ヤリツシボツ)が救い出してくれると信じている。一方、耶律賢(ヤリツケン)も婆児(ハジ)から穆宗がまた人を殺したと報告を受けた。聞けば様子を見に行った女里(ジョリ)さえ危険な目に遭ったという。すると耶律賢は書斎の裏に密かに飾ってある燕燕の絵を見に行った。…宮中にはびこるのは殺戮や陰謀、そして血だ…燕燕、君は私が求めていた女子だ…賢いだけではない、政(マツリゴト)について洞察力が深く、先見の明もある…私と共に遼を守るのにふさわしい女子だ耶律賢は全てが片付いたら燕燕に婚姻を申し込もうと決めていた。韓徳譲は燕燕に父が婚姻に同意してくれたと伝えた。幸せに包まれる燕燕と徳譲、しかしその頃、横恋慕する耶律磨魯古(ヤリツマロコ)も父に燕燕との縁談を懇願していた。「私の意思は変わりません、父上が承諾するまでひざまずきます!」耶律虎古(ヤリツココ)はあのじゃじゃ馬が来たら屋敷が大変なことになると反対したが、息子にせがまれ折れた。こうして奇しくも燕王と虎古が同じ日に蕭思温を訪ね、燕燕への縁談を申し込むことになった。板挟みとなった蕭思温は、燕燕の一生に関わることゆえ本人に話を聞くことにする。すると父に呼ばれた燕燕は当然、韓徳譲を選んだ。虎古は断るだけならまだしも、娘を漢人に嫁がせるのかと激怒する。しかし蕭思温は娘の決断が自分の決断であり、とやかく言われる筋合いはないと気丈だった。一方、只没は安只と密通を続けながら、皇族の重鎮を懐柔しようと動き始めていた。大軍が国境に迫っているため穆宗はいずれ出兵するはず、この好機に出征して兵権を得れば帝位は自分のものになる。しかし大長老である大于越(ダイウエツ)・耶律屋質(ヤリツオクシツ)にはすげなく追い返された。すると只没の安易な行動はすぐ太平(タイヘイ)王・耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)の耳に入る。兵権を求めて軍功を狙う者は数知れず、罨撒葛は只没が格好の見せしめになると考えた。「…只没に何か弱みはないか?」遼の大軍が南朝軍の奇襲に遭った。この失態に穆宗は激怒、多くの将兵を斬り、九族皆殺しにすると息巻いているという。戦で負けても穆宗は人を殺すばかり、腹に据えかねる韓徳譲と耶律賢だったが、今は耐えるしかなかった。「″睡王″と揶揄される陛下が夢うつつで遼の天下を他人に渡すやも… 胸に秘めた大志を果たせねば、私は先祖に合わせる顔がない」「大王、案ずるな、そんな事態にはならぬ」只没は北府宰相に蕭思温を訪ね、皇帝に自分の出征を上奏するよう訴えた。しかし救援を仕切っているのは太平王のため、太平王と協議するよう体良く追い返されてしまう。只没は仕方なく蕭家を後にしたが、外で兄が待っていた。只没が皇族に接触していることはすでに噂になっていた。耶律賢は告発されたら大ごとになると言い聞かせたが、血気盛んな只没は阿保機(アホキ)の子孫として決着をつけると息巻く。「とにかく軽挙は慎むと約束してくれ、いいな?」「…私のことはご心配なく」すると只没は頑な態度で帰ってしまう。婆児(ハジ)は宮中育ちの只没ならわきまえているとなだめたが、耶律賢は嫌な予感がしていた。燕燕は酒楼で韓徳譲と待ち合わせしていた。徳譲にお茶をご馳走しようと準備を始める燕燕、しかしその頃、宮中で大変な事件が起こる。只没が安只との密通現場を取り押さえられ、皇帝の前に連行されたのだ。只没の側仕えから報告を聞いた耶律賢は愕然、恐らく穆宗は表向き密通という罪名で弟を処刑するつもりだろう。そこで耶律賢は真っ先に太平王府へ駆けつけ、口添えを頼んだ。罨撒葛は自分の策略ながら何も知らなかったように驚き、耶律賢に同情する胡輦(コレン)の手前、情けをかけるという。只没は安只と愛し合っていると訴えたが、穆宗は自分のものに手を出した甥を許さなかった。すると只没はこれまでの鬱憤が爆発、そもそも全て父のものだったと暴言を吐いてしまう。「父上が亡くなった時、我ら兄弟は幼かったからお前は即位できただけだ! お前の帝位はいずれ私が継ぐ、まさか敵烈(テキレツ)の子に譲位すると?敵烈は奴婢の子だ!」「…だが生粋の契丹人だぞ?」穆宗は只没の生母が漢人・甄(シン)氏だと指摘、只没を雑種だと蔑んだ。「耶律璟…もう一度、言ってみろ!殺してやる!」その頃、参内した罨撒葛は回廊をわざとのんびりと歩き、耶律賢をやきもきさせていた。穆宗は只没に車裂きの刑を命じた。そこへちょうど耶律賢が到着、慌てて弟の命乞いをする。「只没は無知なのです…断じて伯父上に二心はありません!」耶律賢は罨撒葛に助けを求めたが、穆宗が発言させる隙を与えなかった。「朕はそやつを死罪に処すと決めた、引っ立てろ!」すると衛兵に抱えられた只没は開き直り、穆宗を酒乱の能無しだと愚弄、遼の皇帝に相応しくないと叫んでしまう。激情に駆られた皇帝は取るものも取り敢えず机にあった小刀を思い切り投げつけた。小刀は只没の右目を切り裂き、激しい血が吹き出す。さらに穆宗は自ら只没を斬殺すべく駆けつけ、剣を振り上げた。しかし危ないところで罨撒葛が皇帝を取り押さえ、ここで只没を殺せば皇族の反発を買うと説得する。「皇兄、殺さずに別の刑罰を与えては?鬱憤は晴らせます」穆宗はその手があったと気づき、命だけは助けようと言った。ひたすら平伏していた耶律賢は感謝したが、その代わり罰として宮刑を申し渡されてしまう。只没は衛兵に連行され、すぐさま去勢されて戻って来た。罨撒葛は耶律賢に感謝するよう促したが、耶律賢は放心状態のまま言葉がでない。「宮刑では軽すぎたようだ、見せしめで杖刑100回に処す」穆宗の容赦ない仕打ちに耶律賢は慌てふためき、急いで頭を下げた。「…明扆(メイイ)がお礼を申し上げます」罨撒葛の口添えのおかげで杖刑の罰は侍医が止血してからと決まった。すると皇帝に命じられた衛兵が只没を引きずり出し、回廊から放り投げてしまう。耶律賢はなす術なく、ただ長い石段を転がり落ちて行く弟の姿を呆然と見ていた。まるでゴミのように捨てられ、眼下に横たわる血塗れの弟…。耶律賢は耐え難い屈辱と怒りの中、激しく吐血し卒倒してしまう。耶律賢が目を覚ますと、燕王と韓徳譲が付き添っていた。只没はすでに寝殿に戻り、命に別状はないという。すると耶律賢は重い身体を起こし、只没の様子を見に行くことにした。耶律胡古典(ヤリツココテン)は涙しながら三兄を介抱していた。しかし只没が薬を拒否し、どうしたら良いのか分からない。そこへ耶律賢が病を押してやって来た。「早く薬を飲め、さもなくば傷口がふさがらぬ」「…私は去勢され独眼となりました、10日後には杖刑100回を受ける 薬を飲んだところで、何日か命が延びるだけです …再び辱めを受けて死ぬより、早く楽になりたい」「絶対にお前を死なせたりしない…必ず命を守ってやる!お前を死なせるものか!」「私に生きる意味が?もはや生ける屍だ…いっそ早く死にたい…」耶律賢は弟の無念を思い、泣き崩れた。かつて身体の弱い兄とか弱い妹を自分が守ると約束してくれた只没、そんな弟の哀れな姿を思うとやり切れない。それでも耶律賢は生きていれば希望があると励まし、何としてでも生き延びるよう説得した。しかし只没は頑に薬を飲もうとしない。すると耶律賢は妹に只没の世話を任せ、引き上げて行った。太祖の三支のうち喜隠(キイン)は禁足、只没が宮刑となり、韓徳譲は次の標的が耶律賢だと警告した。「大王、何かお考えが?」「…徳譲、今日は父上と帰ってくれ、私は一人になりたい」一方、徳譲にすっぽかされた燕燕は仕方なく屋敷へ戻った。すると家職の虎思(コシ)が心配そうに前庭で右往左往している。聞けば宮中で大事があり、父もまだ帰っていなかった。「陛下が只没大王の目を傷つけ、宮刑に処したとか…」燕燕は徳譲が来られなかった理由を知ると、慌てて屋敷を飛び出してしまう。つづく(O_O)え___何この展開?
2021.07.17
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第11話「確かめ合う想い」酒楼での騒ぎを収拾した太平(タイヘイ)王・耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)。実は耶律賢(ヤリツケン)が蕭思温(ショウシオン)の末娘・燕燕(エンエン)に近づいていると知ったが、自分の敵ではないことから見逃した。一方、燕燕と耶律賢は再び酒楼の個室に戻った。耶律磨魯古(ヤリツマロコ)を懲らしめ胸がすく思いの燕燕、それにしてもなぜ漢族というだけで韓徳譲(カントクジョウ)を蔑むのだろうか。燕燕がため息を漏らす様子を見た耶律賢は何か悩み事かと聞いた。すると燕燕は目を輝かせ、好きな人がいると告白する。しかし相手には同じ民族の許嫁がいるため、きっと相手の家族は反対なのだとこぼした。燕燕の想い人が契丹(キッタン)人ではないと分かった耶律賢は確かに家柄が釣り合わないという。「何と言っても君は后族で契丹人だ、皇后にもなれる」「皇后なんてなりたくない!好きな人に嫁ぎたいの」耶律賢は燕燕の即答に落胆したが、燕燕が気づく様子はない。「そうだ!あなたは漢学に通じてる、その人に何を贈ったらいいかしら?」「…学のある人物なら書物が良い、私の元に珍しい法律書がある、きっと気に入るだろう」耶律賢は燕燕に自らお茶を立てた。その様子を見ていた燕燕は、太祖が漢制を学んだおかげで遼(リョウ)がめざましく発展したにもかかわらず、契丹人以外を差別し、出自を笠に着ている人がいると嘆く。「才能があり、遼に忠誠を誓う人物なら出自は関係ない、大事なのは遼の興隆よ?今の陛下は…」燕燕は思わず穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)を批判しそうになったが、耶律賢が咄嗟に遮った。「女子の君が国家に関心を持つとは…君も述律(ジュツリツ)太后のようになりたいと?」「当然よ、太后娘娘のように国を動かせたら人生に悔いはないわ~ナンツッテ…」「将来、君を評価する皇帝と出会い、述律皇后のように重んじられたら、 国を動かし、夫の偉業を補佐できるかもしれないな」「ふふふ、あなたは人をからかうのがうまいわね~」燕燕はまるで今すぐ述律太后になれそうな気分になったと笑った。「私は本気だ、いずれ分かる…」すると頃合いを見計らっていた婆児(ハジ)がそれとなく大王に目配せした。「…燕燕姑娘、少し外す、ここにいてくれ」耶律賢は階下で南院枢密使・高勲(コウクン)と接触した。実は高勲は晋の北平(ホクヘイ)王の子で高貴な出自、しかし一族は没落している。すでに徳譲と女里(ジョリ)が何度も高勲を推挙していたが、出自の問題で出世を阻まれていた。「陛下には頑固すぎるところがあるゆえ、そなたたち忠臣に我慢を強いてすまぬ」「先帝がご存命の頃は信賞必罰でした、しかし…ぁ」高勲はそこで言葉を飲み込み、人皇(ジンコウ)王の系統に忠義を尽くすと誓った。燕燕はなかなか戻って来ない耶律賢を心配していた。すると耶律賢が現れ、部屋を間違えて迷っていたと誤魔化す。「あまり外出できないゆえ書物は明日、届けさせる、来月15日にまた会ってもらえぬか?」(^ꇴ^)ノ<はお、じゃあ先にお礼を言っておくわ♪ ←能天気すぎるw耶律賢は永興(エイコウ)宮へ戻った。すると婆児が燕燕と会えなければ危ないところだったと安堵する。それにしても何と見識の高い娘だろうか。耶律賢は燕燕に惹かれていたが、燕燕の想い人が誰なのか気になった。しかし相手は契丹人ではない。后族を娶るには皇族でなければ釣り合わず、耶律賢はどちらにしても結ばれないと余裕を見せた。その頃、李思(リシ)は縁談のため母と一緒に燕王府を訪ねていた。すると韓夫人はしとやかな李思を気に入り、早速、独り身の四男・徳譲に相手をさせる。どこか気まずい徳譲だったが、李思は燕燕に土産を差し出した。「燕燕姑娘は后族だからいずれ皇族に嫁ぐわ、ご機嫌取りに見えるかしら?ふふ」李思は徳譲が燕燕との付き合いを続けていれば、いずれ皇后や妃になった時に助けてもらえるという。しかしその会話を運悪く燕燕が聞いていた。「何ですって?!」燕燕は耶律賢から届いた書物を早速、韓徳譲に届けに来た。しかし涼亭で話している徳譲と李思の会話を耳にして激怒する。「皇后や妃って?どういう意味かしら?!」「燕燕姑娘、誤解しないで、あなたは大勢の皇族から慕われているでしょう?」「徳譲哥哥の心は私のものよ?忘れないで」驚いた徳譲は燕燕の無礼な態度を叱ったが、燕燕を怒らせてしまった李思は慌てて謝罪した。「四哥、私が悪いの…燕燕姑娘、ごめんなさい」「いいわ、許す、ならもう帰って!」すると徳譲は母から李思の相手をするよう頼まれた以上、ここに居てくれと引き止めた。燕燕は唖然、徳譲の態度に憤慨して帰ってしまう。「燕燕はまだ幼く、礼儀が身についていない、私が代わりに謝罪する」徳譲は拝礼し、急いで燕燕を追いかけた。( ゚д゚).oO(幼い?って…誰が?燕燕は韓徳譲が追いかけてくると見込んでのんびり市場を歩いていた。すると偶然、耶律磨魯古(ヤリツマロコ)と出くわす。いつもなら磨魯古の誘いなど断る燕燕だったが、そこへちょうど徳譲が追いついた。そこで燕燕はわざと磨魯古と相撲の試合へ行くことに同意する。徳譲は燕燕を引き止めたが、燕燕はこの機会を利用してやり返した。「磨魯古?私にいじめられたり、私のせいで禁足にされたりしてるわね? 私に腹が立たないの?」「まさか、君のことが好きだからな」「それじゃ、私のどこが好きなの?」「燕燕は美しいし性格も豪傑、上京で燕燕に憧れる者は数知れずだ」「私もそう思う(え?w)でも鈍感で全然、分かっていない人がいるの~」「…分かった、もう邪魔はしないよ」徳譲はへそを曲げ、帰ってしまう。燕燕は磨魯古を煙に巻いて徳譲を探した。すると隠れていた徳譲がひょっこり姿を現す。「そろそろ機嫌を直してくれ」徳譲は燕燕の不安をなくすため、父に頼んで正式に婚姻を申し込むと伝えた。一方、耶律賢の異母弟・耶律只没(ヤリツシボツ)も野心のため燕燕との縁談を望んでいた。これを知った穆宗の侍女・安只(アンシ)は絶望し、只没の前で池に身を投げてしまう。安只を助けた只没は自分の寝宮で介抱すると、三つ指を立てて誓った。「私は決めた、生涯、安只を大切にする…ここに誓う、決してお前を裏切らないと」こうして只没は掟を無視して皇帝の侍女と密通してしまう。その夜、罨撒葛が胡輦(コレン)へ贈り物を届けた。実は述律太后や母の装身具を手がけた匠に自ら頼んで作らせた冠だという。胡輦は自分に釣り合わないと恐縮したが、罨撒葛は明日の宴に付けるよう勧めた。「罨撒葛、あなたは大勢の恨みを買った、太平王府は耳目を集めている 私が嫁いだ今、目立つことは控えてはどうです?」「君は私の王妃、何を言われても構わん、皇后亡き今、最も高貴な女は君だ 陛下も言ってくれただろう?我らの息子を後継にするつもりだと」罨撒葛は胡輦を娶ったのは大切に愛するためだと訴え、これまでの慎重さは必要ないと言った。「私に頼ればいいんだ」翌日、罨撒葛と胡輦は太平王府で家族の宴を開いた。こうして弟の敵烈(テキレツ)一家、喜隠(キイン)と烏骨里(ウグリ)夫妻、そして燕燕が一堂に会する。すると罨撒葛は今や家族となった喜隠に過去のいざこざを帳消しにしようと提案、二人は杯を空けて表向き和解した。宴がお開きになると、蕭家の三姉妹水入らずとなった。顔を合わせれば小競り合いになる烏骨里と燕燕、しかし今となってはそれも懐かしい。すると胡輦は燕燕が気もそぞろだったと指摘し、何か悩みがあるのか聞いた。燕燕は思わず含み笑い、実は韓徳譲と縁談話があると告白する。しかし今でもなぜ徳譲があの時、李思の味方をしたのか分からなかった。話を聞いた烏骨里は子供みたいだと呆れ、まずは優しく包み込むようふるまい、わがままになるのは相手の心をつかんでからだと熱弁を振るう。「こんなに早くから本性を見せて、よく婚姻の話が出たわね?」胡輦は妙なことを教えるなと笑い、穏やかな徳譲は好きではない相手にこそ他人行儀にふるまうと教えた。怒ったのは燕燕を身内だと思っているからだという。大姐の言葉ですっかり自信を取り戻した燕燕、一方、徳譲は父に頭を下げていた。「父親(フーチン)、宰相に燕燕との婚姻を申し込んでください」つづく( ̄▽ ̄;)只没よ…お前もかそして圧が強いけど太平王の好感度up!w
2021.07.16
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第10話「君主の道」姉たちの婚姻で気分がふさぐ蕭燕燕(ショウエンエン)。しかし耶律賢(ヤリツケン)と草原で語り合ううち、意外にも皇子が人格者であると知った。実は蕭家の娘たちの婚礼は上京(ジョウケイ)でも話題、娘の夫を遼(リョウ)を支配しうる2つの系統から選んだ蕭宰相は計算高いと揶揄されている。「みんな勝手なことばかり言うんだから(ボソ」「″流言は知者に止まる″、見知らぬ者の言うことに腹を立てることはない」「ふふ、あなたは理にかなった人ね、あの二人とは違って次期皇帝にふさわしいわ」「どんなところが?」「知らんけどw…でも幼い頃に父が書物の言葉を教えてくれたの ″大学の道は明徳を明らかにし、民を新たにし、至善にとどまるにあり″、君主の道も同じだって 私の考える民が求める君主とは、道理を知り、徳を積み、それを民にも広める人 努力する人なら自然と推戴(スイタイ)されるはずだわ、だからあなたはふさわしいの」耶律賢は燕燕が説く君主の道に思わず失笑した。これまでずっと先帝の息子なら帝位を継ぐべきと言われながら、その一方で文武ともに成せず、人より劣ると言われてきたという。まさかここに来て己の努力で帝位に就けと言われるとは思いもよらなかった。「私を皇帝にしたいと?」「あなたがなりたいかどうかよ?政(マツリゴト)は遊びじゃないわ」耶律賢は燕燕が教養がある后族の娘の中でも誰より賢く、先見の明があると感心した。燕燕と耶律賢には事情が違えど思わぬ共通点があった。病弱な耶律賢は周囲から壊物のように扱われ、毎日のように薬を飲み、少し外にいれば誰かが来て座っていろと注意されるという。すると燕燕も皆から騒ぎばかり起こすと叱られてばかりだと笑った。「二姐はうるさくなくて仲良しだった、でも二姐は…近づく相手の思惑を疑いもしなかったの」「つまり君は全てが起こる前に戻りたいんだね?…ゴホッゴホッ!」耶律賢が咳き込むと、案の定、婆児(ハジ)がそろそろ戻ろうと声をかけた。「今日から私たちは友だ、私は警戒される身で人付き合いは少ない この友情もまだ秘密にしておいて欲しい」「誰にも言わないわ」一方、太平(タイヘイ)王妃となった胡輦(コレン)は夫の耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)と一緒に参内した。皇帝への謁見の際は妹夫妻に会えると期待していたが、どうやらまだ到着していないらしい。その代わり義弟となった耶律敵烈(ヤリツテキレツ)が夫人と息子を連れて祝福に来ていた。穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)は上機嫌、まるで自分の婚礼のように喜んでいたが、なぜか三弟にはあからさまに冷たい。敵烈の息子を尻目に自分たちの系統には未だ後継がいないと言い放ち、胡輦に早く息子を産んで欲しいと言った。焦った敵烈は思わず蛙哥(ワカ)も12歳になったので役に立てると口を挟み、皇帝の怒りを買ってしまう。「弟弟(ディディ)や…南京(ナンケイ)では皇族の鎮守を欠いているゆえ、お前と蛙哥を共に派遣する」敵烈はまだ幼い我が子を守ろうと独りで行きたいと申し出たが、穆宗は突然、激昂して机を叩いた。結局、皇帝の命に従うしか道はない敵烈、酒席は水を打ったように静まり返り、胡輦は兄弟の確執に困惑してしまう。その時、耶律喜隠(ヤリツキイン)の来訪の知らせが届いた。しかし穆宗は待たせておけという。↓いきなり地獄( ̄▽ ̄;)燕燕は韓徳譲(カントクジョウ)と草原へ出かけた。人目を気にせず仲良く手を繋いで歩く二人、しかし誤って一緒に転んでしまう。「…早く起きろ、女子が男の身体に乗っていては体裁が悪い、ふっ」「やましいことはしていないわ、ふふ」↓(  ̄+ー ̄)キラーン…二人は立ち上がり再び歩き出したが、運悪く耶律磨魯古(ヤリツマロコ)の一行と遭遇した。磨魯古は想い人の燕燕を見つけて駆け出すと、一緒に乗馬に行こうと強引に手を引っ張る。これに怒った徳譲は燕燕を守ったが、磨魯古は幼い頃から漢族の徳譲を見下していた。「韓家は要領がいいな?ふん 医術で述律(ジュツリツ)太后に取り入り官職を得て、今は酒乱の陛下を世話して王となった そんな奴がまさか后族の娘を娶るとでも?…お前はふさわしくない、高望みはするな」「磨魯古殿、敬意は払うが恐れはせぬ…」徳譲にとって磨魯古など敵ではなかった。しかし多勢に無勢、徳譲は磨魯古の仲間に取り押さえられ、暴行を受けてしまう。徳譲を助けようと止めに入った燕燕、すると誰かの肘が顔に直撃した。磨魯古の叔父にあたる耶律斜軫(ヤリツシャシン)は争いに加わっていなかったが、さすがに燕燕に怪我をさせた磨魯古たちに激怒する。「大勢で、しかも女子まで殴るとは何事か!六院(リクイン)部の恥だ!」そこへ騒ぎを聞きつけた耶律休哥(ヤリツキュウカ)が駆けつけた。一方、喜隠と烏骨里は開皇(カイコウ)殿に入れてもらえず、ずっと立たされていた。胡輦は外にいる妹を心配し、罨撒葛にこっそり催促する。しかし罨撒葛から喜隠夫妻を中へ呼ぶよう頼んでも、穆宗は喜隠を逆賊の息子だと蔑み、太平王の妹が妻でなければ宮中にも入れないと突っぱねた。「死ぬまで立たせておけ!」その頃、喜隠は今にも倒れそうな烏骨里を支えていた。太平王に嫁いだ姉が歓待され、自分に嫁いだ烏骨里がこんな仕打ちを受けようとは面目が立たない。すると烏骨里は気丈にも大丈夫だと答えた。「これは始まりに過ぎない、夫婦一体となり、あなたを支えます いつの日か何倍もの栄光を取り戻してみせるわ!(๑•̀ㅂ•́)و✧」穆宗の嫌がらせに決して屈しまいとする烏骨理、そこへ随魯(スイロ)が現れ、皇帝から帰宅を許す命が下ったと伝えた。燕燕は燕王府で韓徳譲を介抱していた。すると徳譲は磨魯古の言葉が気になり、噂にならないよう早く帰った方が良いと言う。燕燕は馬鹿げていると笑い飛ばし、徳譲のそばを離れないと誓った。「だから約束よ、出自を理由に私を遠ざけないで」「はお、約束するよ、君を手放したりしない」「…ねえ、聞きたいことがあるの、いつ求婚に来てくれる?ふふっ♡」「燕燕…君と蕭宰相を巻き込みたくないんだ」しかし燕燕は共に密書を追いかけた時から巻き込まれていると笑い、一緒に立ち向かいたいと言った。「私のせいで怪我させちゃったけど、大丈夫(ポンポン)責任を取るから安心して」耶律休哥は磨魯古を屋敷へ送り届け、耶律虎古(ヤリツココ)に草原で見たことを一部始終、報告した。確かに粛祖(シュクソ)の子孫が大勢で漢人を虐げれば叱責されても仕方がない。虎古は息子を厳しく叱ったが、一方で契丹(キッタン)と漢は区別するべきであり、休哥は漢人に肩入れし過ぎだと苦言を呈した。すると休哥は韓家が遼に来てすでに3代、皇帝から功績を認められているにも関わらず、なぜ出自にこだわるのかという。そんな休哥は若いが身分が高く、仲父房(チュウフボウ)の直系、しかも文武に優れて人望があった。将来が期待される休哥を敵に回したくない虎古はそれ以上、反論はせず、休哥を帰すことにする。磨魯古は怒りがおさまらず、思わず邪魔立てした斜軫に八つ当たりした。しかし斜軫は曷魯(カツロ)大于越(ダイウエツ)の孫、虎古は無礼があってはならないと釘を刺す。「再び分別のないことを言えば、脚をへし折るぞ!」耶律賢は蕭家の屋敷の前で燕燕を待っていた。しかし婆児が聞いてきたところ、燕燕は朝から出かけてまだ戻っていないという。罨撒葛の配下につけられていることもあり、耶律賢は今日のところは帰ろうと決めた。その時、ちょうど燕燕が帰ってくる。屋敷の前で烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)から降りた燕燕、すると耶律賢の姿を見つけて駆け寄った。「私に会いに来たの?」「そうだ、良い酒楼がある、座って話さないか?」罨撒葛の配下は酒楼に入った耶律賢と一緒にいたのが太平王妃の妹だと気づいた。するとその酒楼に南院枢密使・高勲(コウクン)がやって来る。配下はこれが偶然なのかどうか分からず、念のためすぐ太平王に知らせることにした。耶律賢は燕燕の顔にあざがあると気づいた。「あ〜これ?喧嘩したの」「私もしてみたいが…負けるのが怖い」「ふふふ」耶律賢は心配してすぐ薬を手配すると、実は喧嘩の時に韓徳譲が一緒だったと知る。何でも磨魯古のせいで徳譲は燕燕を守り、傷を負ったと言うのだ。燕燕は磨魯古が権力を笠に人をいじめるしか脳がないと非難し、皇帝が韓家を王に封じても言いがかりをつけると話した。「ウム…徳譲は誠の英才だ、侮辱されるいわれはない」「徳譲哥哥は英才なの?!」「長い付き合いゆえ能力は承知している、5年もせずに朝堂で活躍するだろう」「そうよねそうよね!明扆(メイイ)大王はやっぱり見る目があるわ〜!」燕燕は必ず今日の借りを返すと意気込み、男でも女でも互いに守るべき時があると熱弁を振るった。その時、窓から外を警戒していた婆児が磨魯古を見つけて報告する。耶律賢はふと妙策を思いつき、燕燕の鬱憤を晴らしてやることにした。磨魯古は燕燕が向かいの酒楼に入って行く姿を見かけた。そこですぐさま後を追いかけ、ある部屋の前にいた燕燕を引き留める。磨魯古はその部屋に徳譲がいると思い込み、男同士で決着をつけると言って扉を蹴り飛ばした。「卑しい奴婢め!出てこい!」しかしその部屋にいたのは高枢密使だった。高枢密使は自分を侮辱した磨魯古を袋叩きにした。そこへ知らせを受けた罨撒葛が駆けつけ、居合わせた耶律賢と燕燕も呼んで事情を尋ねる。磨魯古は誤解だと訴えたが、高枢密使は確かに自分を奴婢だと罵ったと激怒、これも虎古を重用している太平王の指示かと噛みついた。「明扆、何があった?」「存じません、私は燕燕姑娘と酒を飲みに来たところ、騒ぎが聞こえて様子を見に出ただけです」すると罨撒葛は自分も耶律賢も通りかかっただけ、自分たちに他意はないと釈明した。「磨魯古、重臣を侮辱した罰を待て、うせろっ!」罨撒葛が事態を収拾、燕燕と耶律賢は個室へ戻った。罨撒葛は何も言わなかったが、恐らく耶律賢も喜隠のように蕭思温の娘を娶り、その援助を期待しているのだろう。「考えが甘すぎるぞ…」つづく( ̄▽ ̄;)どう見ても磨魯古の方がおじさ…ゲフンゲフン
2021.07.10
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第9話「姉妹たちの夜」蕭思温(ショウシオン)は耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)に嫁ぐと決めた長女・胡輦(コレン)の覚悟を知った。しかし相手はしたたかで考えが読めない太平(タイヘイ)王、恐らく″太平王妃″にはいばらの道が待っているだろう。すると胡輦は父を心配させまいと笑顔を見せた。「何があろうと私は息災に日々を過ごせます」「父は信じている、お前なら大丈夫だ」二人は固く手を握り合ったが、その様子を回廊にいた燕燕(エンエン)が見ていた。燕燕は大姐(ダージェ)が嫁ぐ理由を知り、二姐(アージェ)の部屋に乗り込んだ。何も知らず花嫁衣装をながめながら夢心地の烏骨里(ウグリ)、そんな身勝手な二姐に燕燕は激怒する。「大姐を犠牲にして…自分の心配ばかり!大姐や家のことはどうでもいいの?! 大姐は二姐のために一生を棒に振って罨撒葛に嫁ぐのよ!」「犠牲ですって?!バカな子ね、分からないの?!罨撒葛の片想いじゃない! 大姐も皇后の座が欲しいのよ!罨撒葛を見込んで帝位に就かせようとしているの!」すると燕燕は思わず烏骨里を突き飛ばした。「自分勝手な上に大姐を侮辱したわね!」「燕燕…あなたなんか妹妹(メイメイ)じゃない!」「そっちこそ姐姐なんかじゃない!」侍女たちはつかみ合いになりそうな二人を引き離し、一緒にいられるのも残り少ないと訴えた。しかし納得がいかない燕燕は出て行ってしまう。怒りが治らない燕燕はその足で燕王府に韓徳譲(カントクジョウ)を訪ねた。話を聞いた徳譲は聡明で善良な胡輦の決定を尊重するようなだめたが、燕燕は二姐がすっかり変わってしまったと憤る。「燕燕、君に責められたら烏骨里も傷つく、泣き顔で嫁がせるつもりか?」徳譲はしょんぼりする燕燕の頭を優しく撫でた。屋敷に戻る頃にはすっかり落ち着いた燕燕、しかし二姐の部屋を訪ねてみると、烏骨里はまだ悲しみに暮れていた。「私は悪者で大姐は慈悲深いんでしょう?!喜隠(キイン)に嫁ぐ私に2度と会わないつもりなのね?!」「分かっているのに過ちを認めないから怒ったの…」すると烏骨里は投獄された時と同じような恐怖だったと吐露する。あの時もこのまま家族と永遠に離れ離れになるのではと怯えていたのだ。燕燕は婚礼を前に二姐を不安にさせたことを反省、思わず烏骨里と抱き合った。「もう泣かないで…」胡輦が妹たちの様子を見に来た。侍女の話では二人でひとしきり泣いて笑って、そのまま寝てしまったという。二人の寝顔を見た胡輦は侍女に掛け物を持ってくるよう頼み、自分も横になって妹たちと手を繋いで眠った。一方、蕭思温は嫁ぐ娘たちに文をしたためていた。…私の娘たちよ、これがお前たちの運命でも、肉親の愛だけは忘れないで欲しい…血は水よりも濃い、どんな状況にあっても互いを信頼し、常に心を1つにすること…決して政争に巻き込まれてはならぬ婚礼当日、耶律罨撒葛と耶律喜隠は蕭家へ許嫁を迎えにやって来た。義理の兄弟となった二人は互いに笑顔で挨拶したが、腹の中では相手への憎悪が渦巻いている。こうして奇しくも異なる系統に嫁ぐことになった胡輦と烏骨里、二人が乗った馬車は別々の方向へと走り出した。燕燕は思わず屋敷から飛び出して姐たちの馬車を見送ったが、どこか不安がぬぐえずにいる。…騰里(テングリ)天神、大姐と二姐をどうかお守りください、そして平穏な幸せを…たとえ嫁いでも良き姉妹でいられますように太平王と喜隠の権勢の差は誰が見ても明らかだった。その夜、太平王府の祝宴には皇族と后族のほとんどが集まったが、喜隠の屋敷に招待客の姿はない。烏骨里に心配をかけまいと笑顔で床入れの儀に現れた喜隠、しかし烏骨里は侍女から表の様子を聞いていた。太平王府の祝宴がお開きとなり、罨撒葛も床入りの儀を迎えた。隣に座った太平王に緊張を隠せない胡輦、しかし罨撒葛は胡輦にとって望まぬ婚姻だと分かっている。「私は待てる、君が振り向くまで」罨撒葛は男らしくあきらめて戻ることにしたが、胡輦が袂を握って引き止めた。感激した罨撒葛は思わず胡輦を強く抱きしめ、何度も胡輦の名を呼び続ける。胡輦は意外にも太平王がこれほど自分を愛しているのだと知り、嬉しい驚きだった。「胡輦、后族の君なら分かるはずだ、皇族の争いの残酷さを… 特に私のような帝位継承権を持つ者は一時も安らげぬ、だから妻にするなら家族を愛する女子が良い 私が失意に沈む時も、優しくそばにいてくれる君のような女子が…」「太平ぉ…」「いや、罨撒葛と呼んでくれ」「え、えんさつ…えんかつさ…(あ、舌かんじゃった)罨撒葛…」すると罨撒葛は胡輦を一生、大事にして守り続けると誓った。喜隠にとって屈辱となった祝宴、しかし烏骨里の前では噯(オクビ)にも出さなかった。しかしそんな健気な夫の姿に烏骨里はついに我慢できなくなる。「喜隠…あなたが全てを奪い返せるよう支え、あなたをみくびる者たちに後悔させる」「バカだな…それは男の事情だ、君は心配しなくて良い さほど待たせず、君をその屈辱の千倍分、喜ばせる」二人は手を取り合い、再起を誓った。韓徳譲は思い詰めた様子の燕燕が気になって帰れなかった。すると燕燕はひとり中庭の涼亭で考え事をしている。燕燕は徳譲の顔を見ると、内に秘めていた本音をぶちまけた。「とても悲しいし、悔しくてやりきれない…なのにどうすればいいか分からない」 燕燕にとって父と大姐は雲の上の人だった。しかし幽(ユウ)州から戻ってみると、完璧だと思っていた父にもあらがえない事があり、大姐さえ自分の運命を選べないと知る。燕燕は全ての元凶が暗君である穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)のせいだと分かっていた。父は″契丹(キッタン)八部族は常に有能な者が統べる、部族の利益を損なう長(オサ)は認められない″と言ったが、明らかに穆宗は失格だろう。徳譲は聡明な燕燕の指摘に驚いたが、自分たちの計画を明かすことはできなかった。「徳譲哥哥(グァグァ)、あなたと父上はもしかしてすでに…(はっ)私は支持するわ」「心に留めておいてくれないか、誰にも言わないでくれ」「大姐は知っているんでしょう?」果たして父と徳譲が選んだのは誰なのか。燕燕は徳譲がまだ自分に話せないとしても、姉たちのことは守って欲しいと頼んだ。翌日、耶律賢(ヤリツケン)は宰相の屋敷の前で燕燕が出てくるのを待っていた。婆児(ハジ)は頻繁に宮中を離れては警戒されると諌めたが、耶律賢は皇帝の恩人となってから警戒されていないと安心させる。するとようやく燕燕が屋敷から出て来た。しかし燕燕は門前ですぐ烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)にまたがり、侍女たちと出かけてしまう。耶律賢は狩場で燕燕を探していた。その時、ふと背後に気配を感じて振り返ると、弓矢を構えた燕燕がいる。「何者なの?なぜ私の後を追ってるの?」「また会えるとは思いもしなかった、干し草の山でのことを覚えているかい?」耶律賢は指で口髭を作ると、燕燕はようやくあの時の″ゴホゴホ公子″だと思い出した。「燕燕姑娘に心から感謝を…」「どうして私の名前を?」「私は明扆(メイイ)だ」「明扆?…聞き覚えがあるわ…はっ!もしかしてジョー&ケンの皇子賢?!」「(*゚▽゚)*。_。)ウン、人皇(ジンコウ)王は私の爺爺、世宗皇帝は私の父皇だ」←自慢か?w一方、太平王の婚儀に触発された耶律只没(ヤリツシボツ)は、ちょうど朝議を終えた蕭思温を呼び止めた。「実はお話があってお待ちしていました、宰相の末のご息女に縁談などは?」驚いた蕭思温は思わず亡き妻を持ち出し、末娘を占ったところ婚姻を急いではならないと言われ、まだ数年は手元でしつける必要があると断った。「娘の婚姻を急げば大王に影響を及ぼすやも…」「ご息女を思う気持ちは分かります、では機が熟してから燕燕姑娘に再び縁談を申し入れます」その話を只没に想いを寄せる皇帝の侍女・安只(アンシ)が聞いていた。耶律賢は燕燕が姉たちの婚姻で気分がふさいでいると知った。すると燕燕は婚姻の自由さえあれば父は二人の姉を嫁がせなかったと訴える。「太平王には迫られ、喜隠には手を回されて仕方なかったの…」つづく|ω・`)ぁ…熟年の再婚は…え?違う?(笑
2021.07.09
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第8話「揺るぎない同盟」蕭家の長女・胡輦(コレン)が太平(タイヘイ)王府にやって来た。そこで耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)は痛々しい背中の傷が見えるよう仕組み、それとなく恩を着せる。すると何も知らず案内された胡輦は慌てて目を逸らした。罨撒葛は急いで肌衣をまとって無礼を謝罪した。すると胡輦は気を取り直し、蕭家の傷薬を差し入れる。罨撒葛はありがたく受け取ると、馴れ馴れしく胡輦の手を握りしめ、口説き始めた。しかし胡輦は女に困らない太平王の殊勝な演技の裏には何か企みがあると疑う。そこで罨撒葛は娶りたいのは胡輦だけだと告白し、貢ぎ物の真珠の耳飾りを贈った。胡輦も若い娘(え?w)、悪い気はしなかったが、父がこの縁談には同意しないと遠慮する。「私が方法を考える、君の気持ちは?…胡輦、君を娶り、遼(リョウ)で最も高貴な女子にする」「…真心で接してください、他に目的があるなら私は真心を捧げられません」韓徳譲(カントクジョウ)は燕(エン)王府の祝宴に来てくれた燕燕(エンエン)を屋敷まで送り届けた。するとちょど胡輦の馬車が到着する。「大姐が帰って来た!」慌てて駆け出した燕燕はうっかり段差につまずいたが、徳譲が抱き止めて難を逃れた。「いつもそそっかしいな、私が支えなければ転んでいたぞ?」胡輦は燕燕と徳譲の親密な様子に戸惑いながら噯(オクビ)にも出さず、祝宴の欠席を丁重に詫びた。しかし徳譲は燕燕が蕭家を代表して来てくれたと喜び、そこで帰ることにする。「ぁ…徳譲哥哥!明後日なら会いに行ってもいい?」「用がある」「明明後日は?」「よし、待っていろ」「歯医者に連れて行ってね~(^ꇴ^)ノ″」←とは言ってないw燕燕は大姐と屋敷に入ったが、胡輦はどこか機嫌が悪そうだった。そこで侍女・良哥(リョウカ)に探らせたところ、大姐が太平王府に行って来たと知る。驚いた燕燕はその夜、姉の寝所を訪ねた。すると大姐が高価な真珠の耳飾りを握りしめ、何やら物思いにふけっている。「それは罨撒葛からの贈り物?!…まさか好きになったの?」「もう燕燕たら…」燕燕は何か悩みがあるなら姉妹で協力して解決しようと訴えたが、胡輦は心配かけまいと追い返した。一方、耶律喜隠(ヤリツキイン)は烏骨里(ウグリ)を娶るため、一族の大長老・耶律屋質(ヤリツオクシツ)を頼っていた。屋質は蕭思温(ショウシオン)と燕国長公主の娘を娶りたいだけだと思ったが、喜隠は父を失って烏骨里だけが最も愛しい人だと訴える。どうやら喜隠も今回の投獄で成長したのだろう。確かに太祖の三支の子孫を絶やすわけにはいかず、屋質はひと肌脱ぐことにした。耶律屋質が喜隠の代理として蕭家にやって来た。烏骨里は大喜びだが、蕭思温は大長老からの縁談に驚きを隠せない。その頃、胡輦は草原の天幕で密かに罨撒葛と接触していた。すると罨撒葛は胡輦の言った通り″真心は真心で接すれば得られる″という考えに同意だと告げ、念願の胡輦の乳茶を飲む。「ん?なぜあの耳飾りをしない?」「もともとおめかしは好きではありません」「そうか、ふっ…小胡輦、私は惚れた女子を必ずものにする 他の男に惹かれるな、さもなくば君の心を奪ったやつを切り刻んでやる…」罨撒葛は脅しておきながら、あまり考え過ぎるなと豪快に笑った。「楽しく花嫁衣装を準備して私に嫁げ」胡輦は返事をしなかったが、帰路の馬車の中で罨撒葛からもらった耳飾りをつけた。太平王府に突然、穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)が現れた。狩りの準備をしていた罨撒葛は慌てて拝礼、すると焦った家職が結納用の雁を射るため出かけると口を滑らせてしまう。報告していなかった罨撒葛は困惑したが、驚いたことに穆宗は弟が胡輦に求婚すると知っていた。「朕の苦肉の計が役に立ったであろう?杖刑20回で女を射止められたんだ 今後は他人に弱みを握られるな」穆宗は喜隠の件で罨撒葛を疎むことなどないと安心させた。そこで罨撒葛は喜隠を放ったのには理由があると釈明する。耶律李胡(ヤリツリコ)は逆賊とは言え太祖の嫡子、太祖の子孫は3系統しかなく、いずれも自分たちの身内だ。他の2系統を殺し尽くせば自分たちの系統は勢力を失い、また万一の時、五院部・六院(リクイン)部・后族との間に溝がある自分たちの系統だけでは危険がある。「2系統を残しておけば、阿保機(アホキ)の子孫が遼を統治できます」すると穆宗はさも始めから分かっていたように喜隠は殺さないと言った。「只没(シボツ)は虫の好かぬ奴だが、明扆(メイイ)@ケンは悪くない 人皇(ジンコウ)王の系統も断絶させぬ、安心せよ」その話を皇帝付きの侍女・安只(アンシ)が聞いていた。穆宗は近衛軍指揮使が空位になったことを思い出した。やはり韓徳譲の助言が功を奏し、穆宗は耶律賢が辞退したことで分をわきまえていると評価する。結局、耶律賢は女里(ジョリ)を推薦したが、穆宗は罨撒葛を復帰させることにした。しかし罨撒葛もあえて辞退し、女里に任せてはどうかと兄の警戒心を解く。すると穆宗は女里に任せると決め、機嫌良く弟の狩りに付き合うことにした。太平王が大きな雁を手土産に蕭家に現れ、胡輦を娶りたいと頼んだ。蕭思温は本人の意思を尊重したいと遠回しに断ったが、驚いたことに太平王が胡輦の腕輪を見せる。それは確かに胡輦が肌身離さずつけていた母の形見の腕輪だった。まさか娘がすでに情の品を太平王に渡していたとは…。動揺する蕭思温を前に罨撒葛は自分たちとわだかまりがある后族を牽制した。「この雁も陛下と共にしとめたものだ、陛下は私の求婚を知り大層お喜びだぞ?」罨撒葛は婚姻を結んで義理の親子になれば蕭家も安全だとほのめかして帰って行った。蕭思温はすぐ胡輦を呼び出し、太平王との関係を追及した。するとようやく戦で留守の時、胡輦が烏骨里を救うために太平王からの求婚に応じたと知る。驚いた蕭思温は胡輦を守るため自分が責めを負うと言ったが、胡輦は皇帝の信頼を得て権勢を振るう太平王からの縁談を断ることがどんなに危険か分かっていた。「私はあの人に嫌悪感はありません、どちらにしても長女の私はいずれ皇族に嫁ぎます これが私の運命なのでしょう…あの人は約束通り烏骨里を助けた、私も約束を守ります」耶律賢は弟・只没と中庭を散策していた。そこで偶然、宦官たちの噂話を耳にする。実は喜隠だけでなく太平王も蕭家の長女に婚姻を申し込んだと言うのだ。その夜、耶律賢は自分を救ってくれた燕燕の面影がちらついて眠れなくなった。「燕燕、蕭家の娘は皇族と婚姻を結ぶ…君は誰に嫁ぐのだ?」耶律賢は燕燕の絵を書いているうち、そのまま眠ってしまう。韓徳譲が永興(エイコウ)宮を訪ねると、耶律賢は青白い顔で病床にいた。急な病の悪化を訝しんだ徳譲は侍医・迪里姑(テキリコ)の職務怠慢だと咎めたが、耶律賢は自分の責任だと告げる。実は昨夜、床に就かなかったというのだ。聞けば蕭家の婚姻話を知り、宰相が自分たちとの同盟を解消するのではと心配になったという。しかしそもそも蕭家は耶律家と姻戚、徳譲は今回の婚姻がなくても皇帝や罨撒葛と宰相の関係は耶律賢より近いと教えた。それでも宰相が耶律賢を選んだのは、縁者より遼を案じている者に尽そうと決めたからだろう。耶律賢は確かに蕭家の娘が誰に嫁ごうと自分たちの大事に影響しないと気づき、宰相に会いたいと頼んだ。娘たちの縁談に苦悩する蕭思温、すると突然、耶律賢が訪ねて来た。韓徳譲は二人が面会している間、回廊で待っていたが、ふと気配を感じて振り返る。すると柱の影に隠れた燕燕に気づいた。「燕燕?こそこそ何をしている?…様子が変だな?」「徳譲哥哥…実はね、父に聞いてみたの、私たちのこと反対しないみたい」「本当か?!」耶律賢は縁談のことが気がかりなら、どちらも承諾してはどうかと勧めた。そうすれば攻めやすく守りやすくなるという。もし自分たちの大事が失敗しても蕭一族を守ることができるからだ。耶律賢は互いに遼を案ずる同志だと訴え、どちらの縁談も断り難い事情は承知しているという。「私が案ずるのはこの件で我らの間に溝が生じること、それだけは避けなければならない」「…大王の話を伺い、慚愧(ザンキ)に堪えません」蕭思温は自分の方が大王を疑っていたようだと恐縮し、目が覚めたと言った。韓徳譲は宰相と大王の話が終わったと気づき、慌てて門の前に戻った。すると回廊に出た耶律賢は急いで帰って行く燕燕の後ろ姿を見る。「あ…宰相の三女・蕭燕燕です」「美しい後ろ姿だな」「ははっ、確かに美しいが無鉄砲で騒動ばかり起こします…実に頭が痛い」燕燕の話をする徳譲の表情はこれまで見たことのない笑顔だった。永興宮へ戻った耶律賢はひとり悶々としていた。すると書斎の絵を片付けていた婆児(ハジ)が画板から枠を外す音が聞こえて振り返る。「大王、この絵はしまいますか?」「もう良い、燃やしてくれ」そうは言ったものの耶律賢はやはり燕燕の絵を表装して欲しいと頼んだ。「しかし人に見られないようにな…」蕭家の屋敷は祝賀の紅い布で美しく飾りつけられた。その夜、蕭思温は回廊を歩いている時、ひとりで涼亭にいる胡輦を見つける。「まだ寝ないのか?」「眠れないのです…」胡輦の目は心なしか潤んで見えた。「父は日頃、烏骨里へのしつけを怠っていた、お前が尻拭いすることになるとは… こたびお前は烏骨里を救うため求婚を受け入れた、父はお前に申し訳ない」「やめてください、烏骨里の件がなくても太平王はいずれ求婚したでしょう 陛下は残虐で血を好む、蕭家は常に危険と隣り合わせです 私は昔から女子が政争に巻き込まれ、命を落とす姿を見て来ました 太平王に嫁いで我が家を守れるなら悪くありません」そんな二人の話を燕燕が聞いていた。つづく(  ̄꒳ ̄)ん?ケンは作戦ではなく本当に身体が弱い設定だったの?やだ全然、病弱に見えないぃぃぃ___(O_O)
2021.07.03
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第7話「揺らぐ兄弟の絆」南朝軍が撤退、幽(ユウ)州は危険な状態を脱した。上京(ジョウケイ)に戻った穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)は相変わらずおぼつかない足取りで朝議に現れ、早速、酒を飲み始める。すると弟の太平(タイヘイ)王・耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)が謀反人の名簿を渡した。名簿を確認した穆宗は、逆賊の両親や友人たちも同罪だと非難した。北府(ホクフ)宰相・蕭思温(ショウシオン)は先祖が残した教訓、″謀反の罪は本人のみ、子孫は罪に問わない″と諌めたが、穆宗は子孫を責めていないと揚げ足を取る。するとさすがに罨撒葛も行き過ぎだと反対した。「そうなると上京の多くの契丹(キッタン)人の家で死者が出ます…もう少しご恩情を」「恩情だと?!…謀反人の命の方が朕の命より尊いと言うのか?!」「滅相もない、陛下の命に従います」天牢で処刑が始まった。耶律李胡(ヤリツリコ)は皇帝が戻ったのだと気づき、ならば蕭思温が娘の烏骨里(ウグリ)を救うはずだと期待する。「烏骨里、私はそなたと喜隠(キイン)がこの李胡の子孫を残してくれることを願う それこそが最上の喜びだ …喜隠、私の言葉を忘れるな、必ずや我らの系統が帝位をつかむのだ」すると喜隠は生涯を懸けてつかみ取ってみせると約束し、烏骨里も喜隠に嫁いで志を支えると誓った。(  ̄꒳ ̄)ぁぁぁ___あえていばらの道を進むスタイル~耶律李胡たち3人が最後に牢から引きずり出され、罨撒葛の前に引っ立てられた。毒酒を賜った李胡は自ら飲むことを選択し、自分が去れば次は罨撒葛の番だと言い残す。「喜隠!私との約束を忘れるな!しかと心に刻め!」すると李胡は喜隠と烏骨里の目の前で毒酒を飲み干し、絶命した。太平王が喜隠を見逃すと知り、側近の粘木袞(デンボクコン)は後顧に憂いを残すと危惧した。何より烏骨里が本当に喜隠に嫁げば、宰相が味方になる可能性がある。しかし実は太平王も蕭家の長女に縁談を申し込むつもりだった。突然の申し出では宰相も辞退できるが、喜隠が烏骨里を娶れば自分と胡輦(コレン)の縁談を断れないと目論む。「英明です、大王の婚姻をお祝い申し上げます」蕭家に太平王から烏骨里を迎えに来るよう連絡が来た。胡輦は罨撒葛が願いを叶えてくれたと安堵し、早速、燕燕(エンエン)と一緒に迎えに行く。しかし烏骨里は帰るのを拒み、喜隠と一緒にいたいと訴えた。「牢で誓ったの、生涯を共にすると…」これに胡輦は激怒、家に帰る帰らないで烏骨里と言い争いになってしまう。すると喜隠が烏骨里に今日のところは帰るよう勧め、堂々と婚姻を申し込みに行くと約束した。↓なんておじいちゃ___( ̄▽ ̄;)蕭思温はやつれた烏骨里の姿に心を痛め、娘を巻き込んだ喜隠を決して許さないと激怒した。しかし当の烏骨里は愛する喜隠を必死にかばう。蕭思温や胡輦は烏骨里の浅はかさに憤ったが、烏骨里は一人残された喜隠をそばで支えたいと涙ながらに訴えた。「許していただけるまで、ここでひざまずきます!」すると蕭思温は胡輦に烏骨里を連れて行くよう命じ、問題を起こさぬよう世話を任せた。胡輦が烏骨里を連れて出ていくと、蕭思温は大きなため息をついた。そこで燕燕は父の肩をあんまして機嫌を取り、二姐を怒らないで欲しいとなだめる。「一時の気の迷いです…それにあまり怒ると身体に毒ですよ?」燕燕は姉の縁談話のついでに、韓徳譲(カントクジョウ)のことをどう思うか父に聞いてみた。すると蕭思温は三姉妹の嫁ぎ先なら太祖の三支のいずれかに決まっていると釘を刺す。「それが后族の責務、権力を分散させるためだ、勝手は許されぬ …しかしお前の姉たちがどちらも皇族に嫁げば、お前は好きな相手を選べるやもしれぬな」↓おじいちゃ…( ̄▽ ̄;)その頃、燕(エン)王府では祝宴の準備に追われていた。韓匡嗣(カンキョウシ)は暗君の寵愛を受けて医術で王に封じられたことに違和感があったが、息子の徳譲は来るべき日に備えて立場を固めておくのは悪くないと励ます。確かに誰もが政(マツリゴト)にも日々の暮らしにも失望している今、王として1人でも多くの領民を擁護できることだけは救いだった。韓徳譲と耶律賢(ヤリツケン)は蕭家の次女が釈放されたと聞いて点と線がつながった。罨撒葛が烏骨里の件を皇帝に報告しなかったのは、最初から胡輦に狙いを定めていたからだろう。天牢で烏骨里に喜隠と苦難を共にさせ、あえて李胡の獄死を見せたのだ。こうして烏骨里の喜隠への想いを揺るぎないものとし、喜隠に烏骨里を娶らせれば、宰相も罨撒葛と胡輦の婚姻を認めざるを得なくなる。そこでジョーとケンは女里(ジョリ)を使ってこの件を皇帝の耳に入れることにした。耶律璟は疑り深い上、常に酒を浴びて酩酊状態、今や弟の罨撒葛の手腕で安定を保っている。もし皇帝兄弟の間に疑念が生じて反目し合えば、形勢はジョー&ケンに有利になるはずだ。(^ꇴ^)今週のジョー&ケン!白歯のジョーが弓までかっこいいわ~耶律賢は春捺鉢(ナバ)で自分を助けてくれた娘の話を持ち出した。すると韓徳譲はその娘が蕭燕燕だと教える。耶律賢は二人の姉の婚姻が決まれば、残った末娘に多くの皇族が関心を寄せるだろうと探りを入れた。「そうだな、后族の娘は皇族に嫁ぐ、自由に相手を選べるかは何とも言えぬ…」二人は互いに燕燕への気持ちを隠し、大業を成すまで身を固めることはできないと覚悟した。穆宗は女里と二人で酒を飲んでいた。そこで上京で何か面白い話はないか聞いてみると、実は話題ならあるが太平王が関係しているという。「喜隠が李胡の謀反を知っていたことを太平王は隠しました」「わははは〜エンサグァは朕の弟だ、なぜ喜隠をかばう?」「私も信じられなかったのですが、李胡を捕らえた時、屋敷には蕭宰相の次女もいました 喜隠と逢い引きしていたのです、このことを太平王は報告していないのでは? …太平王は蕭宰相の長女を見初め、蕭家のために隠したのです」「ふっ、わははは~!確かにこれは上京の面白い話だ 色のためなら天をも恐れずか〜大胆に法を曲げるとは…罰を与えねばな、誰か!」穆宗は太平王に不手際があったとして杖刑(ジョウケイ)20回、さらに近衛軍指揮使の職も解くと命じ、耶律賢を後任に指名した。耶律賢は近衛軍指揮使に任命された。側近の婆児(ハジ)は兵権を持てば宮中から独立できると喜んだが、韓徳譲は辞退するよう助言する。もし皇帝が本当に耶律賢を信頼しているなら、一度の辞退で任命を撤回しないはずだ。恐らく皇帝は耶律賢の忠誠心を試しているのだろう。耶律賢は確かに猜疑心の強い皇帝に危うい態度は取れないと気づき、すぐ辞退する旨の奏状を書くことにした。「大王は成長なさいました」徳譲は安堵したが、大王の年齢なら自分で気づき、自分は補佐に回るべきだという。「いつまでもお前に頼らず、自分の力で判断すべきだな」胡輦は太平王が杖刑の罰を受けたと聞いた。責任を感じた胡輦は韓家の冊封の祝宴を燕燕に任せ、太平王府に向かう。燕燕は仕方なく一人で出かけることにしたが、今まで欠席などしたことがない大姐に困惑した。「大姐の大事な用って何かしら?…近頃うちの家族は変わった、二姐も変だし、大姐も変だわ」耶律敵烈(ヤリツテキレツ)が太平王府にやって来た。杖刑で怪我を負った二兄のため渤海(ボッカイ)から献上された薬を届けに来たという。ちょうど背中に薬を塗ってもらっていた罨撒葛は冷ややかな反応だったが、世話係に美しい生娘を連れて来たと聞いて機嫌を直した。しかしそこへ胡輦が到着したと知らせが届く。驚いた罨撒葛は余計な気を回した弟に激怒、薬も娘も連れて帰れと声を荒げた。( ๑≧ꇴ≦)キテレツキター!(←名前が似ているだけでw罨撒葛は女たちの痕跡を残さないよう、急いで床掃除をさせた。そして再び寝台に寝転んで背中に薬を塗るよう指示、わざと胡輦にあられもない姿を見せる。すると胡輦が薬の差し入れにやって来た。胡輦は上半身裸の太平王の姿に驚いて背を向けると、罨撒葛は急いで肌衣をまとう。つづく(  ̄꒳ ̄)まさかの色気付く罨撒葛あ、エンサツカツは舌かみそうなのでピンインを採用、″エンサ-グァ″に変えました
2021.07.02
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第6話「草原の告白」韓徳譲(カントウジョウ)の部屋に李思(リシ)がやって来た。そこで徳譲はこれから父と参内すると話し、その間に燕燕(エンエン)が出歩かないよう見ていて欲しいと頼む。李思は快く引き受け、実は戦が一段落したら母が自分たちの縁談を持ちかけると伝えた。しかしちょうど着替えを済ませて駆けつけた燕燕が二人の話を聞いてしまう。「韓四哥(スーグァ)、どう思う?」「李姑娘(グーニャン)、それは…はっ!燕燕?!」回廊に燕燕がいることに気づいた徳譲は慌てて席を立ち、李思を置き去りにして燕燕を追いかけて行った。韓徳譲に許嫁がいたと知った燕燕は深く傷つき、街に飛び出した。やがて雨が強くなり駆け出す燕燕、すると裏道で怪しげな一行にぶつかってしまう。「肖古(ショウコ)大人(ダーレン)、大丈夫ですか?」燕燕は覆面をつけた傲慢な女が兵士たちの話していた例の国医だと分かった。すると憤慨した肖古が燕燕を薬草の採取に行かせると決め、従者に捕まえるよう命じる。しかし素早い燕燕はあっという間に従者をまいた。参内が控えていた肖古は無礼な小娘の追跡を諦め、屋敷へ戻った。すると肖古をつけて来た燕燕が塀をよじ登って寝殿に潜入、肖古を殴って気絶させてしまう。「大勢の民を捕らえて苦しめた罰を下すわ」しかしその時、外から参内の時間だと声がかかる。「ぁ…分かった、化粧を済ませたら出る」燕燕は咄嗟に鼻をつまんで答えた。参内と聞いた燕燕は、この機会を利用して太平王・耶律罨撒葛(ヤリツエンカツサツ)が皇帝に送った密書を盗もうと考えた。そこで祭壇で見つけた衣と覆面を身に着け、国医に成り済まして部屋を出る。「中に秘薬があるゆえ、誰も入ってはならぬ」すると行宮へ向かう道中、燕燕は自分を捜す韓徳譲を見かけた。燕燕は咄嗟に衛兵に耳飾りを渡し、青い衣の男に渡すよう命じる。「おめでとうございます、肖古国医に気に入られましたよ」兵士から耳飾りを受け取った徳譲は燕燕の物だと気づいて驚いた。「国医は今から参内ゆえ話はできませんが、お目に留まるとはまたとない機会です 路地の奥の屋敷でお帰りをお待ちください、では…」徳譲は燕燕の計画に気づき、信寧(シンネイ)を急ぎ報告に向かわせた。南朝軍が撤退した。一安心した蕭思温(ショウシオン)と韓匡嗣(カンキョウシ)だったが、そこへ信寧が駆けつける。「燕燕姑娘が肖古に扮し、密書を盗みに行宮へ行きました」驚いた二人は直ちに参内を決めたが、燕燕はすでに行宮へ到着していた。すると皇帝がまだ休んでいるため、脇殿で待って欲しいという。そこで燕燕は皇帝が静かに眠れるよう側仕えたちに下がるよう命じ、安眠を妨げる物がないか寝所を確かめると言った。燕燕は皇帝の書斎で太平王からの密書を発見した。しかし突然、穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)が目を覚ましてしまう。穆宗は酒がないと叫び出し、驚いた燕燕はうっかりつまづいて密書を落とした。その時、皇帝の声を聞いた側仕えたちが一斉に入って来る。「陛下がお着替えの間、外でお待ちを…」すると側仕えが床に落ちていた密書を拾い、皇帝の机に戻してしまう。燕燕はここで退散するしかなかった。そこで衛兵に皇帝の薬を忘れたので取りに行くと嘘をついて逃げ出す。一方、気を失っていた本物の肖古はようやくを目を覚まし、解放された。聞けばあの娘が自分に成りすまして参内したと知る。「あの者の正体を暴いて殺す!」燕燕は広い行宮で迷った。するとちょうど燕燕を探し回っていた韓徳譲と回廊で出くわす。「密書を盗めなかったわ」「気にするな、君の方が大事だ、密書は何とかする」徳譲は燕燕を連れて逃げようとしたが、運悪く皇帝の側仕えが現れた。「すぐ参るよう陛下が仰せです、お怒りになると大変な騒ぎに…」穆宗が国医の到着を待っていると、蕭思温と韓匡嗣がやって来た。南朝軍が撤退して幽州は危険な状態を脱したという。しかし憔悴した穆宗は戦況に興味がなく、二人の重鎮がいれば心配ないと言ってお茶を飲もうとした。その時、最悪なことに机の上に転がっていた弟からの密書に気づいてしまう。「太平王から?上京(ジョウケイ)で何かあったのか?」穆宗は早速、密書を読むと、顔色が一変した。「謀反を企てた者がいる、そなたたちはこの件を知っていたのか?…どう始末するつもりだ?」緊張が走る蕭思温と韓匡嗣、すると穆宗が密書を放り投げ、読み上げろと迫る。韓匡嗣は恐る恐る密書に目を通したが、そこにはただ皇太叔・耶律李胡(ヤリツリコ)が謀反を企てたとあった。李胡の謀反に動揺した穆宗は耐え難い頭痛に襲われ、癇癪を起こした。するとようやく国医が到着する。正体を知っている蕭思温と韓匡嗣は何とか口実をつけて燕燕を逃そうとしたが失敗、かえって穆宗に怪しまれてしまう。「肖古よ、今日は様子が変だぞ?…こちらへ」もはや逃げ出すことができなくなった燕燕、そこで思い切って実は新しいお告げがあったと上奏した。「騰里(テングリ)天神いわく、″殺し過ぎだ、これまで殺めた人々の怨霊が取り憑き、病は治らぬ″と…」「(はぁ?)何だと?…今、何と言った?!」穆宗は肖古の言葉に激昂、自ら宝剣をつかんで襲い掛かろうとする。逃げ惑う燕燕、蕭思温と韓匡嗣は皇帝を取り押さえると、頭に血が上った穆宗が急にへたり込んだ。騒ぎに気づいた韓徳譲は急いで側仕えたちを殿内に呼び入れた。その間に燕燕を外へ逃がし、すぐ後を追うことにする。「陛下、肖古を捕らえ、罪を問います!」穆宗は朦朧としながら肖古を殺せと何度も繰り返した。すると蕭思温はこれを利用しようと思いき、衛兵に伝達する。「聞け、陛下の勅命だ、肖古を極刑に処す!」韓徳譲は燕燕を連れて急いで行宮を脱出することにした。しかし運悪く本物の肖古が怒り心頭でやって来るのが見える。徳譲はひとまず燕燕を連れて引き返し、偏殿に避難した。「ここにいろ、奴らを引き離す」徳譲は燕燕の覆面を持って偏殿を出た。韓徳譲は回廊で肖古たちを見つけ、まず従者を倒した。そして肖古を殴り飛ばし、倒れた隙に国医の覆面を素早くかぶせ、衛兵を呼ぶ。「誰か!肖古はここだ!…人心を惑わすゆえ口をふさげ!」肖古は偽物の不敬により自分が死罪を賜ったと知ったが、口に布を詰め込まれて釈明できなかった。そこへ蕭思温が到着する。蕭思温は国医の正体を確認するや否や、皇帝を呪ったと断罪し、馬踏みの刑を言い渡した。衛兵が肖古を連行すると、韓徳譲は燕燕なら偏殿に隠したと報告した。安堵した蕭思温は密書に蕭家の件は書かれていないと伝え、娘を連れてすぐ行宮を離れるよう頼む。徳譲は拝命し、急いで偏殿に駆けつけた。漢服に着替えて待っていた燕燕は密書が気がかりだったが、妙なことに密書には蕭家の件が書かれていなかったという。すると徳譲は燕燕の手を握りしめた。「私がどれだけ心配したと思う?君を失うかと思った…私にとって君は大切な人なんだ」燕燕は徳譲の言葉が嬉しかったが、ふと許嫁の李思を思い出した。しかし徳譲は家族同士の付き合いだと釈明、自分にその気はないという。韓徳譲は美しく勇敢な燕燕にすっかり心を奪われた。しかし燕燕を愛すれば失いたくないものが増えてしまうと気づく。街はちょうど夕暮れ時だった。燕燕は燕雲台の上まで走ろうと提案、陽が沈む前に到着できるか試したいという。「夕日が沈む瞬間が見たいの」「分かった、遅れるぞ、走れ!」「ぁっ、徳譲哥哥!置き去りにしないで!」すると徳譲がふと足を止めて振り返った。「燕燕!一生、君を置き去りにしない…早く来いよ!」燕雲台は石敬瑭(セキケイトウ)が燕雲十六州を献上した時、太宗皇帝が南征のために建てた。当時、燕雲十六州の民が南を望むため、建てたと言われている。「なぜ南を望むの?」「南方に聖君を期待して…燕燕、思わないか? 助けを期待するより、自身の努力で状況を変えるべきだと…」「いつの日か国同士の和睦が叶えば、民は戦で苦しまなくなる」「きっと叶う…とにかく君はもう二度とひとりで危険を冒すな」徳譲はこれからは何があっても一緒だと言った。すると燕燕は徳譲が自分に借りがあることを思い出し、望みを伝える。「燕雲十六州を守るのは韓家の役目だと言ってたわね?…その役目を私にも担わせて欲しいの」「(ふっ)やはり君は特別だ… しかし我々はこの地では旅人にしか過ぎない、限られた時の中で民のために尽くそう」「じゃあ~承諾してくれたのね?」「そうだ、君の望みを叶えるよ、今もこれからも私たちは共に歩むんだ」二人は末長く一緒にいられるよう願い、喜びの時も悲しみの時も支え合おうと約束した。一方、韓匡嗣は倒れた穆宗に付き添っていた。どうやら今日は怒りで肝を痛めたため心臓に負担がかかり、血が逆流してめまいに襲われたのだろう。そこで肝とめまいの薬を処方し、さらに鍼治療も行うと説明した。穆宗は韓匡嗣の忠告も聞かず巫女の肖古を誤信したと猛省、献身的な韓匡嗣に感謝して燕(エン)王に封じると決める。「これから朕はそなただけを信じよう」韓徳譲は燕燕を李家に送り届けてから父を訪ねた。そこで密書の内容を確認したが、やはり李胡の件だけで、耶律喜隠(ヤリツキイン)と烏骨里(ウグリ)のことも書いていなかったという。太平王は一体、何を企んでいるのだろうか。すると徳譲は大業を成し遂げたら燕燕を娶ると報告した。韓匡嗣は遼の后族である燕燕とは身分が釣り合わないと難色を示したが、徳譲はあきらめられない。「大業を成すまでは慎みます、ですが成功すれば機会もあるのでは?」しかし父は何も言ってくれなかった。翌朝、韓徳譲と燕燕は上京へ戻ることになった。見送りに出た李思はこれみよがしに徳譲へ手作りの点心を持たせると、燕燕も対抗して徳譲と手をつないで帰っていく。しかし幽州を離れても気が晴れず、燕燕は急に徳譲の手を振り払った。「なぜ意地悪な態度を取るんだ?」すると憤慨した燕燕は李思が怒らせるからだと言い返す。「わがままは良くない、それでは他人から粗暴だと思われる」「私はわがままで粗暴よ?それが嫌なら李姑娘のところへ戻ったら?」燕燕は不機嫌になって走り出すと、徳譲が慌てて引き止めた。「なぜ私を追いかけるの?…彼女を追ったら?」「バカなことを言うな…分かっているだろう?私が好きなのは君だ」「(∩゚д゚)アーアーキコエナイ~今、何て言ったの?」そこで徳譲は燕燕の手を握り、燕燕が好きだと告白した。「聞こえないわ~!」燕燕が逃げるように駆け出すと、徳譲は大きな声で燕燕が好きだと叫んだ。「えーっ?!何?!聞こえな〜い!キャッキャ!ウフフ~!」「蕭燕燕!我喜欢你!」つづく( ๑≧ꇴ≦)キャッキャウフフ〜♪の声は確かにラバちゃんだ!←違うけどw展開が早くて面白かった!ジョーが爽やかすぎるわ〜でも歯がいくら白くても、耳飾りをつけるシーンはちょっとキモ…ゲフンゲフン
2021.06.26
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第5話「密書の行方」蕭(ショウ)家の大小姐・胡輦(コレン)に太平(タイヘイ)王・耶律罨撒葛(ヤリツエンサツカツ)から文が届いた。驚いたことに妹・烏骨里(ウグリ)が父の通関令牌を盗み出し、耶律喜隠(ヤリツキイン)に渡すところを捕らえられたという。父は戦で留守、そこで胡輦はすぐ蕭達凛(ショウタツリン)と韓徳譲(カントクジョウ)に相談することにした。蕭達凛と韓徳譲は急ぎ、北府宰相の屋敷に駆けつけた。情報では死を免れぬ耶律李胡(ヤリツリコ)が蕭家や韓家を含む重臣を誣告したという。徳譲たちは太平王の思惑など知らず、この報告が皇帝に届けば父たちが無事ではいられないと焦った。そこで胡輦は太平王に陳情し、徳譲は耶律賢(ヤリツケン)と策を練ると決める。しかし燕燕(エンエン)は太平王が皇帝に送る密書を先に奪うべきだと提案した。徳譲は確かに妙案だと感心したが、頼める人材がいない。「私が!烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)は俊足よ!」燕燕が名乗りを上げたが、胡輦は侍女に燕燕を部屋へ連れて行くよう命じた。「大姐(ダージェ)!急がなきゃ密書を奪えない!大姐ーっ!」その頃、まさに太平王は幽州にいる皇帝に宛てた密書を早馬に託したところだった。燕燕は置き手紙を残して早々に旅立った。…密書を奪ったら幽州へ行き、父親(フーチン)に伝えます、燕燕…侍女から手紙を受け取った胡輦は無鉄砲な妹に頭が痛い。すると韓徳譲が燕燕を連れ戻すと安心させ、直ちに側近・信寧(シンネイ)と出かけて行った。やがて道は二手に分かれる。「待ち伏せできる場所は少ない、私は宿場へ、信寧、お前は幽州へ行って蕭宰相に報告してくれ」その頃、燕燕は烏雲蓋雪で宿場に先回りしていた。すると予想通り太平王の密書を運ぶ早馬の一行が立ち寄る。そこで燕燕は密かに宿の裏に積まれていた藁に火をつけ、火事を装った。店内には煙が充満、燕燕は逃げ惑う客人たちに紛れて密書が入った荷物を奪うことに成功する。しかし使いの男たちが荷物を持った娘を見つけた。燕燕は男たちを振り切ったが、護衛兵が矢を放ち、燕燕の左肩に命中してしまう。使いの男たちに捕まり絶体絶命の燕燕、その時、韓徳譲が駆けつけ、燕燕を救出した。韓徳譲は燕燕を烏雲蓋雪に乗せて宿場から逃げ出した。しかし燕燕の傷から出血していたため、ひとまず手当てをしてから幽州へ向かおうと決める。肩から矢を抜くのは激痛を伴ったが、燕燕はそれ以上に己の不甲斐なさが応えた。「私は役立たずね、いつも面倒を起こす…結局、密書を奪えず、相手にも見つかった 私は負傷し、あなたも巻き込んだ…」燕燕は父から政(マツリゴト)の恐ろしさを聞かされてはいたが、ただの物語に過ぎないと真に受けていなかった。まさかどれも物語ではなく、むごい真実だったとは…。すると徳譲はこれが権力争いだと認め、本来は女子が関わるべきではないという。「でも君は良くやった、誰よりも勇敢な女子だ」「本当?」燕燕は徳譲に認められ、ようやく笑顔を見せた。|ω・`).oO(ヌーディーなメイクの方が可愛いし若く見えるのに…その夜は野宿になった。韓徳譲は燕燕が持って来た天幕で寝床を作り、燕燕に休むよう告げる。「外は寒いわ、一緒に入りましょう?」「我らが同じ天幕で寝たら君の名節に傷がつく」「烏雲蓋雪が言いふらすとでも?」ヒヒ〜ン🐴.oO(言いふらすかも…燕燕は徳譲が入らなければ自分も入らないと頑なに拒否した。 燕燕と韓徳譲は互いに背中を向けて横になった。なかなか寝付けない二人、すると燕燕はこの機に乗じて徳譲の好みの女子を聞いてみる。「大姐みたいな大人びたしっかり者が好き?…それとも二姐みたいな美しい女子はどう?」「…私が好きなのは″勇敢な女子″だ」「ふふっ」「…燕燕?今日、君を探していた時、二度と会えないかと思った 約束してくれ、こんな軽率な真似は二度としないと」「約束するわ、しっかり自分の身を守る(クスッ」すると燕燕は思わず、このままいつまでも夜が明けなければいいのにと本音を漏らした。翌朝、燕燕と韓徳譲は幽州を目指した。一方、烏骨里が心配で仕方がない胡輦は居ても立ってもいられず、太平王府を訪ねることにする。「小胡輦、やっと会いに来たな」太平王はまるで胡輦が来ることを知っていたかのようだった。「烏骨里が投獄されたゆえ、約束を思い出したのだな?約束はした、私にできることなら何でもする しかし…謀反となると話は別だ」驚いた胡輦は濡れ衣だと訴え、妹は喜隠の甘い言葉に丸め込まれただけだと釈明する。しかし罨撒葛は烏骨里が獄中で喜隠と愛を誓い合っていたと話し、自分が許せばいずれ喜隠のために真の敵になるだろうと警告した。「小胡輦、妹のために陳情すれば、妹が将来、断罪された時、君は代償を払うことになるのだぞ? それでも陳情すると?」「はい、何としても妹を救います!あの子のためなら全ての罪を着る覚悟です」「謀反は死罪だ、命を捨ててでも妹を助けたいと?」「もちろんです、私は長女として妹を守ります…ウッ…」「家族のために己を犠牲にするのか?」「もちろんです、家族のためなら喜んで…」胡輦は堪えきれず泣き出した。罨撒葛は追い詰め過ぎたと謝り、今度は優しく涙を拭いてやる。「小胡輦、私は最初の妻を亡くしてから5年も独り身でいる (←知らんがなw 私は君を娶りたいと思っている、必ず大切にして愛し、守ってやる」しかし胡輦は困惑した。太平王ともなれば縁談は引く手数多だろう。「確かに遼には私に嫁ぎたい者がいくらでもおる…皇弟という身分を慕ってな」「恐れながら私にとってもあなたは太平王でしかありません 高貴な方というだけで、あなたという人間は感じ取れません…(名前も舌カミそうだし)」すると罨撒葛は急に胡輦を抱きしめた。「私は激しい権力闘争を見て来た、今日は高貴な太平王でも明日には消える@プロジェクトランウェイ 私とて愛の温もりを渇望している、心から安心したい…今のように」罨撒葛は胡輦のためなら死ねると告白、自分を家族と見なして欲しいと懇願した。「私が生きている限り、誰も太平王妃の家族を傷つけることはできぬ …まあいい、これから妹妹に会わせてやろう」烏骨里は姉の姿を見て安堵の涙を流した。しかしこの後に及んでも烏骨里は喜隠も必ず助けて欲しいと懇願する。胡輦はさすがに呆れ果て天牢を後にしたが、このまま妹を見捨てることはできなかった。馬車まで見送った罨撒葛、すると胡輦は腕輪を外して太平王に託す。「…母の形見です」「必ず大切にする」その頃、燕燕と韓徳譲は幽州に入った。戦は膠着状態、兵士たちも疲弊し、怪我人を運びながら思わず恨み言が漏れる。「南朝の皇帝は前線で指揮を執っているのに、我らの皇帝は酒色に溺れている ″国医・肖古(ショウコ)に従って香の原料を探せ″と兵を断崖絶壁に送り、大勢、死んだらしい 戦時に多くの兵が薬草探しで死ぬとはな… 燕雲16州のうち、すでに2州を失った、この幽州も守れないだろう」燕燕は皇帝の愚行を耳にし、驚愕した。蕭思温(ショウシオン)と韓匡嗣(カンキョウシ)はまだ太平王の密書を奪えずにいた。すると信寧が駆けつけ、韓徳譲が燕燕を連れて無事に到着したと報告する。蕭思温は燕燕の顔を見て安堵し、面倒を見てくれた徳譲に感謝した。そこでひとまず二人を休ませることにしたが、徳譲は宿ではなく、父の親友である南京三司使・李継忠(リケイチュウ)の屋敷に滞在するという。燕燕は自分も一緒に行きたいと懇願、蕭思温は反対したが、韓匡嗣が同じ年頃の娘がいるので安心だと説得してくれた。三司府では李思(リシ)が韓徳譲との再会を今か今かと待っていた。そしてついに韓徳譲が到着したが、隣には知らない娘が寄り添っている。徳譲は二人を紹介すると、李思は燕燕が怪我をしていると気づいた。「あ…でも徳譲哥哥が手当てしてくれたから大丈夫よ(ふふ」「( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)ガーン…でも手当が十分じゃないかも、私に見せてくれない?」「そうだな、見てもらうといい」徳譲は李思に燕燕を任せた。李思は燕燕の傷の包帯を替えながら、かつて徳譲も矢傷を負ったと話した。「その時は私が矢を抜いたのよ?」「…あの人とは仲が良いの?」しかし李思は何も答えず、衣が破けている燕燕のため、侍女に着替えを用意するよう指示した。「小姐、漢服しかありませんが…」「構わないわ、漢服も好きよ、着るわ」李思は母に数年ぶりに会った徳譲は素敵だったと報告した。すると李夫人は戦が一段落したら韓家に縁談を持ちかけると決める。はにかみながらも喜びを隠せない李だったが…。つづく(  ̄꒳ ̄)ジョー、歯が真っ白だよジョー
2021.06.25
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第4話「后族の娘」草原で語り合う蕭燕燕(ショウエンエン)と韓徳譲(カントウジョウ)。韓徳譲は燕燕が思いがけず見識のある娘だと知って感心した。しかし燕燕が述律(ジュツリツ)太后のようになりたいと聞いて目を丸くする。「述律太后?!述律太后は挙兵し、世宗皇帝と対峙した 屋質大王が制止したから引いたが、それも正しい決断か?!」「太后は旧制を好み、商人を嫌ったと皆は言う でもかつて太祖を制したのは太后よ?南方から来た漢人の家臣を殺さずに守ったわ」「よく知ってるな…当時、太后が後押しせねば、太祖の八部族統一はなかった 多くの漢人臣下も太后の推挙により重用されたんだ」すると韓徳譲は思わず笑顔になり、新たな見方を教えてくれた燕燕に感謝した。長い道のり、時には立ち止まって考えることも必要だろう。「改めて考えて感じたが、今の我らは急ぎ過ぎている」一方、耶律賢(ヤリツケン)は恩人が落として行った玉佩(ギョクハイ)を眺めていた。側近の婆児(ハジ)が調べたところ、その玉佩は部族からの貢ぎ物で、世宗皇帝が燕(エン)国長公主に下賜した品だという。「長公主?ではあの人は蕭宰相の娘だったのか?…とにかく必ずまた会えると信じている」皇帝一行は春捺鉢からの帰途についた。馬車の中では耶律罨撒葛(ヤリツエンサツカツ)が手懐けた耶律只没(ヤリツシボツ)を利用し、耶律賢を牽制する。「明扆(メイイ)は普段、捺鉢では出歩かぬ、行くべきでない場所に迷い込まぬとも限らぬだろう だから付き添ってやるのだぞ?」「(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク 兄さん、出かけるなら伯父上に断らなくては、情勢が複雑な今こそ、敵と味方を見極めるべきです」「そうだ、敵味方の区別は必要だ…」寝ていると思っていた穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)が急に口を開いた。表情を変えず静かにうなずく耶律賢、実はその時、草むらには皇帝一行を狙う刺客の姿があった。待ち伏せしていた刺客が皇帝一行を襲撃した。懸命に応戦する韓徳譲や皇族の子弟たち、しかし韓徳譲は様子がおかしいことに気づく。「…裏切ったな?」韓徳譲はこれが謀反だと気づき、急いで皇帝の馬車へ駆けつけた。すると穆宗をかばった耶律賢が刺客に斬られて倒れている。驚いた韓徳譲はひとまず馬車にいた刺客を仕留め、あとは耶律休哥(ヤリツキュウカ)らに任せて皇帝たちを脱出させた。耶律賢の傷は浅く、運良く内臓は無事だった。韓匡嗣(カンキョウシ)は危険を冒した大王を諌めたが、耶律賢は刺客が自分まで殺そうとしたため、咄嗟に皇帝を守ると見せかけたという。太祖の三支のうち人皇(ジンコウ)王の系統である耶律賢と太宗の系統である穆宗、両家を同時に狙うのは耶律李胡(ヤリツリコ)しかいない。その頃、皇帝暗殺に失敗した耶律李胡と耶律喜隠(ヤリツキイン)は後始末に追われていた。すると李胡は息子に大于越(ダイウエツ)・耶律屋質(ヤリツオクシツ)に助けを求めるよう命じる。あの時、屋質大王が仲裁に入ったせいで太后は我が子の即位を断念、耶律阮が皇帝となった。「屋質は我らの系統に帝位の借りがある!」李胡は屋質も若い喜隠なら守ってくれると期待し、自分は仮病を使うことにした。「薩満(シャーマン)を呼び、私の病払いをさせろ」世宗妃たちが耶律賢の見舞いにやって来た。「私たちの明扆が騰里(テングリ)天神に守られ、早く回復し、妃を迎えるように…」すると婆児が大王に声をかけたため、世宗妃たちはそれが合図となり帰って行った。耶律賢は刺客騒ぎで失くした恩人の玉佩を心配していたが、婆児が預かっているという。実は刺客に斬られた時、懐に入れていた燕燕の玉佩が盾となって重傷を免れていた。その代わり玉佩が真っ二つに割れてしまったという。耶律賢はすぐ匠に相談するよう指示しながら、恩人が二度も救ってくれたことに感銘を受けた。その頃、蕭家の三姉妹は願掛けの帯を外しに来ていた。胡輦(コレン)は父と一族の無事を祈り、烏骨里(ウグリ)は喜隠大王との婚姻を願って帯を外す。そんな中、燕燕は暗君が支配する遼を憂いていた。韓徳譲が耶律賢を訪ねた。実は耶律喜隠が蕭宰相家の二小姐・烏骨里に接近したという。もし皇帝の耳に入って蕭思温(ショウシオン)に疑いが掛かれば自分たちにとっても痛手になるだろう。韓徳譲はそうなる前に太平(タイヘイ)王・耶律罨撒葛をあおって李胡と喜隠を捕らえさせた方が良いと勧めた。今の上京(ジョウケイ)で太平王を説得できるのは耶律虎古(ヤリツココ)だけ、そこで耶律賢はすぐ婆児に使いを送るよう命じる。すると耶律賢は蕭家に詳しい徳譲に三姉妹の誰かと親しいのか探りを入れた。韓徳譲は幼少から付き合いがあり、兄代わりだという。「良い相手はいるのか?」盟友の思わぬ質問に韓徳譲はピンと来た。永興(エイコウ)宮に到着した時、ちょうど太妃たちが帰って行くのを見たが、大かた縁組でも勧められたのだろう。耶律賢はただ意中の人がいるのか気になっただけだと否定したが、韓徳譲はその表情で図星だと分かった。「いるはずない、大業を成す前は慎まねば相手の迷惑になる 明扆?今日は何だか変だぞ?…さては好きな女子でもできたな?」「大業を成す前は婚姻など二の次なのだろう?ならば私も同じだ」「私とお前は違う、我が家は兄弟が多いが、先帝が残した皇子はお前と只没だけ、しかもお前が兄だ 大業の成否にかかわらず、先帝の血は絶やせぬ」「なら誰を娶れば良いと思う?」「当然、后族からだ」「すると一番の候補は蕭宰相家だな?三姉妹のうち誰が相応しい?」「三姉妹にはそれぞれ良さがある 長女・胡輦は大人びたしっかり者、次女・烏骨里は柔和だ、末娘は活発で賢い だがまだ時機ではない…」蕭思温は后族の筆頭、皇族なら誰でも縁組を望んだ。しかし今は朝廷で陰謀がうごめき、太祖の三支それぞれに思惑がある。韓徳譲はこんな時に蕭家の娘と関わればあまりに目立ち過ぎると警告した。一方、喜隠は耶律屋質と面会の約束を取り付け、烏骨里を同伴して屋敷にやって来た。すると家職から喜隠ひとりだけしか会えないと言われ、烏骨里は仕方なく門前で待つことにする。蕭宰相の娘を利用して屋質大王に取り入ろうとした喜隠、しかし全く相手にされず、それどころか耶律は二度と争ってはならないと釘を刺されて追い返された。烏骨里は肩を落として戻って来た喜隠を励ました。すると喜隠は蕭宰相なら助けられると思いつき、烏骨里の自分への情に付け込む。婚姻を匂わされた烏骨里は愛する人のため父を説得しようと考え、帰宅早々に面会を頼んだ。しかし侍女は誰にも会わないと断られてしまったという。仮病を使った李胡だったが、太平王の目は誤魔化せなかった。こうして皇太叔・耶律李胡は謀反を企てたとして屋敷を封鎖され、父子は追って投獄すると決まる。蕭思温は報告を読みながら、この災いを避けられた幸運に感謝していた。穆宗は今回の謀反がきっかけで精神的に追い詰められた。その夜も誰もが自分を殺そうとしていると怯え、弟の太平王にさえ短剣を向けてしまう。罨撒葛は必死に皇兄をなだめたが、穆宗はこの泥沼から抜け出せないと嘆いた。「すぐに王妃を娶るのだ、后族の姑娘(グーニャン)を娶って家族を持て そうすればお前は遼の皇帝になる、私はひとり草原へと去る… 我らが太宗の系統はお前に懸かっている」すると憔悴しきった耶律璟は草原の広い空を思い出しながら、また酒におぼれた。そんな中、南朝軍が皇帝の親征で数州を落とし、幽州に迫っていた。…趙匡胤(チョウキョウイン)が北伐…報告書を見た蕭思温は呆然となり、急ぎ太平王と虎古に知らせるよう命じる。しかし穆宗は翌朝になっても酩酊していた。南朝軍が太原(タイゲン)を包囲したと聞いても一笑に付し、そのまま玉座で倒れてしまう。蕭思温は国の一大事に泥酔している皇帝に激怒したが、虎古が宰相をなだめ、太平王も目覚めたら親征を嘆願すると言った。「戦は早さが命だ!目覚めるのを待っていたら幽州を失うぞ!」そこで太平王は自分の責任で皇帝を馬車に乗せて親征とすると決断、取り急ぎ各斡魯朶(オルド)の点呼を頼んだ。(斡魯朶:皇族の私兵)自身は捺鉢の刺客の件で上京に残り、喜隠を押さえなければならないという。その頃、烏骨里は父の留守を狙い、通関令牌を盗み出していた。すると書斎を出たところで運悪く燕燕に見つかってしまう。烏骨里は軟禁されている喜隠に会いに行くと教え、父と大姐に黙っていて欲しいと懇願した。燕燕もこれが最後になると同情し、その代わりすぐ戻ると約束させて見逃してしまう。耶律李胡は万が一の時には自分が全ての罪を背負うと決めた。望みはただひとつ、喜隠が本来の位を奪い返すこと、そうすれば死んでも浮かばれるという。一方、烏骨里は喜隠に会うため、裏の塀沿いにそびえ立つ大木を登り、屋敷の屋根に上がった。するとちょうど中庭で行ったり来たりしている喜隠の姿を見つける。「喜隠?!ここよ!」烏骨里は中庭に飛び降りると、喜隠に通関令牌を差し出した。「万が一の時はそれを持って都を離れ、自分の領地へ逃げて」喜隠は烏骨理の深い愛情に心を打たれ、思わず涙ぐんだ。「愛しい君よ、私のために危険な目に…」「あなたのためなら何でもするわ」喜隠は感激して烏骨里に口づけしたが、そこへ太平王が兵を率いてやって来た。太平王は二人を捕らえた。驚いた喜隠は烏骨理を離せともがき、その時、偶然、令牌が落ちてしまう。それは北府の通関令牌だった。慌てた烏骨里は喜隠をかばって自分の令牌だと口を滑らせ、かえって父を巻き込んでしまう。「北府宰相は李胡と結託し、皇帝暗殺を謀った…この令牌が証拠だ」太平王は二人を収監し、思いがけず手に入れた切り札を使うことにした。胡輦は烏骨里の姿が見えないと報告を受けた。すると燕燕が太平王から大姐に文が届いたと知らせに来る。しかし文を読んだ胡輦の顔色が一変した。烏骨里は蕭府の通関令牌を盗み出し、喜隠に渡すところを捕らえられたという。驚いた燕燕は出掛けの二姐に会ったが、喜隠に会ったらすぐ戻ると約束したと説明した。「知ってたの?!…父上にまで累が及ぶ行いなのよ?!」そこで胡輦はすぐ蕭達凛(ショウタツリン)と韓徳譲を呼ぶことにした。つづく(  ̄꒳ ̄)カツ…サツカツサツカツ…エンサツカツ…正直ルビには全く自信がありません( ̄▽ ̄;)
2021.06.20
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第3話「意中の人」跳月(チョウゲツ)大会の夜、蕭(ショウ)家の長女・胡輦(コレン)は韓徳譲(カントクジョウ)を探していた。すると急に耶律喜隠(ヤリツキイン)に引き止められてしまう。実は喜隠は父から宰相・蕭思温(ショウシオン)を懐柔するため、蕭家の三姉妹を利用するよう吹き込まれていた。そこで情の品として耳飾りを贈ろうとしたが、胡輦は取り付く島もなく行ってしまう。「射柳(シャリュウ)大会でなさったことは全て見ていましたよ?これがお返事です、失礼」喜隠の目論見は失敗した。しかしすぐ次の好機が転がり込む。蕭家の次女・烏骨里(ウグリ)が自ら罠にかかってくれたのだ。烏骨里に呼び止められた喜隠は早速、標的を変えて烏骨里に耳飾りを贈る。喜隠に淡い恋心を抱いていた烏骨里はすっかり舞い上がり、誘われるまま踊りの輪に加わった。一方、胡輦は無事に韓徳譲と接触、父が耶律賢(ヤリツケン)との面会を望んでいると伝えた。「あれほど疑い深い陛下を恐れず明扆(メイイ)大王@ケンを助けるなんて… 本当に忠誠心からだけかしら?」「忠誠心などではない、私自身が選んだ道だ 漢制による遼(リョウ)の繁栄が明扆の歩む道、世宗皇帝が歩めなかった道だ だからその道を歩むと決めた明扆を私は選んだ」「ふふ、父が信頼するのも納得だわ」胡輦は徳譲の志に感銘を受け、父から預かっていた玉佩を返した。国医・肖古(ショウコ)が皇帝の天幕へ駆けつけた。今夜もまた侍女が理不尽に殺されたのか、亡骸が運び出されて行く。すると穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)はこれも肖古の香のせいだと訴えた。あの香を嗅ぐと快楽で我を忘れ、かと言って香を断てば悪夢ばかりを見るという。「香はあるのか?」しかし香の原料は幽州の断崖絶壁にしか生息せず、採取するのも命がけだった。肖古は出し渋っていたが、穆宗が禁断症状で癇癪を起こしてしまう。「多少の犠牲が何だというんだ!」驚いた肖古はひざまずき、すぐ手配すると従うしかなかった。韓徳譲は巡回に戻った。すると蕭達凛(ショウタツリン)が徳譲と胡輦が熱心に話し込んでいたのを見たと切り出し、踊りに誘わないのかとからかう。徳譲は胡輦とは幼なじみで妹も同然だと笑ったが、そこへ蕭家の末娘・燕燕(エンエン)がやって来た。実は燕燕は本当なら射柳大会で自分が優勝だったと未だに根に持っている。「今日こそ決着をつける、組手で勝負よ!嫌なら負けを認めて!」「はお、挑戦を受けるよ…蕭姑娘、ご教示を賜ります」こうして二人の手合わせが始まった。韓徳譲は燕燕がこれまで負かしてきた男たちなど比にならないほど強かった。しかし倒されてもあきらめず立ち上がる燕燕、やがて燕燕は徳譲を投げ飛ばすことに成功する。徳譲も次第に熱が入り激しい組み合いとなった。すると二人は倒れ込んだ拍子にうっかり唇が重なってしまう。「すまない!今のは…避けようがなくて…」「アワアワ…次は絶対に勝つんだからねっ(怒」燕燕は居たたまれなくなり、慌てて帰って行った。その夜、胡輦は恋話で盛り上がる妹たちを横目にひとり父の天幕を訪ねた。「妹たちは意中の相手に出会えたようです、おしゃべりに興じて騒がしいわ」本来なら微笑ましい話だが、蕭思温(ショウシオン)は后族ゆえに悩ましかった。そこで胡輦に妹たちをしっかり守って欲しいと頼み、誰かに想いを告げられたか聞いてみる。すると胡輦は喜隠が近づいて来たが、きっぱり断ったと報告した。皆が注目する蕭家の娘が容易になびけば、弱みになると百も承知している。蕭思温は長女ゆえ苦労が多い胡輦に負い目を感じながら、必ず良い相手を見つけてやると安心させた。韓徳譲は危険を冒してでも宰相との面会を望む耶律賢のため、日程を決めて手配を済ませた。そして当日の朝、侍医・迪里姑(テキリコ)は太平(タイヘイ)王から届いた薬湯をうっかりこぼしたと報告する。耶律賢は護衛・楚補(ソホ)に薬をもらってくるよう頼み、その隙に侍従に変装して徳譲と出かけた。しかし運悪く楚補が天幕を出て行く二人を見てしまう。楚補は早速、耶律罨撒葛(ヤリツエンサツカツ)に報告、耶律賢が后族の幕営地の方へ向かったと伝えた。蕭思温は成長した耶律賢と再会を果たした。二人が遼の未来について語り合う間、韓徳譲と胡輦は狩りと称して付近を監視している。「昨夜は小妹が迷惑をかけてごめんなさいね」「燕燕のことか?無邪気で心のままに動く可愛い娘だ」←えっ?w「さすが韓頭領、寛大ね、燕燕がうらやましいわ」「それぞれに良さがある、胡輦姑娘は落ち着きがあり、心優しい君を妻に迎えられる男は果報者だ」胡輦は徳譲の言葉に胸をときめかせたが、その時、草原を馬で疾走する太平王一行を見つけた。「あんなに急ぐとは妙だ…胡輦姑娘、私は知らせに行く、罨撒葛が来たら阻んでくれ」「はお」耶律賢は先帝と同様、漢制を推進させたいと話した。南北枢密院を盛り返し、諸王と各族の兵権を分散させ皇帝の権威を強化、そして内乱を平定した後は科挙を行い、契丹(キッタン)人と漢人から分け隔てなく広く人材を求めたいという。先帝は漢制にこだわりすぎて八部族の反撃に遭ったが、耶律賢は当時と今では違うと言った。何より先帝に反対していた者たちはすでに穆宗が殺している。確かに犠牲者がでることは否めないが、耶律賢は宰相を危険に晒すことはないと約束した。后族の幕営地に太平王の一行が駆けつけた。胡輦は偶然を装い罨撒葛を引き止め、自分の天幕で乳茶でもどうかと誘う。しかし罨撒葛は本当に自分を誘っているのか、別の目的があるのか疑った。耶律賢は外見こそ世宗皇帝とそっくりだが、父より着実だった。不安を拭い去った蕭思温は一献(イッコン)差し上げることで忠誠を誓う。耶律賢は喜んで杯を空けたが、そこへ韓徳譲が駆けつけた。「太平王が来ました」胡輦は罨撒葛を案内すると見せかけ、父の天幕に太平王の来訪を伝えた。しかしすでに耶律賢の姿はなく安堵する。罨撒葛は椅子を見て先客がいたようだと牽制、その時、配下が駆けつけ、天幕の後方から密かに二人が離れたと報告した。「小胡輦、次に来た時にそなたの乳茶を頂こう」韓徳譲と侍従に化けた耶律賢は何食わぬ顔で馬に乗っていた。すると後ろから追っ手の兵が来る。「明扆、別れるぞ!」二人は別々の方向に馬を走らせた。その様子を偶然、高台で馬の世話をしていた燕燕が見かける。「韓徳譲だわ…何だか危険な状況みたい」燕燕は咄嗟に囲いの紐を外し、馬を放牧して兵士たちの行手を阻んだ。耶律賢は咄嗟に干し草の山の中に飛び込んで難を逃れた。兵士たちがいなくなったと分かって外へ出てみると、見知らぬ娘が現れる。どうやら馬を放してくれたのはこの美しい娘だったらしい。「救ってくれたことに深く感謝する…ゴホッゴホッ!」すると耶律賢は無茶をしたせいか、激しく咳き込んだ。燕燕は具合が悪そうな男を馬で送った。しかし行き先は皇族たちの幕営地、燕燕は皇族なのかと驚いたが、耶律賢は友人とここで待ち合わせしているとごまかす。「姑娘、今日はありがとう…あ、名前をうかがっても?改めてお礼を…」「お礼なんていらないわ、じゃあね~縁があったらまた会いましょう!」燕燕はすぐ引き返して行ったが、耶律賢は娘が落として行った玉佩を拾った。韓徳譲は燕燕が耶律賢とは知らずに皇族の幕営地まで送り届けてくれたと知った。「こたびの君の手助けに心から感謝している」徳譲は丁重に拝礼したが、燕燕は自分に借りがあると認めるよう迫る。「認めるよ、それで?」「それなら1つ、要求に応じて…そうね、今から″徳譲哥哥″と呼んでもいい?」「要求はそれか?」「違うわ、すぐには思いつかないの、考えたら伝える」一方、二人組に逃げられた罨撒葛は皇族の幕営地に戻るなり耶律賢の天幕へ乗り込んだ。しかし耶律賢の姿はなく、気晴らしに散歩へ行ったという。罨撒葛は仕方なく皇帝を訪ねたが、そこで耶律賢を見つけた。「普段は天幕にこもって外へ出ないが、なぜ今日に限って急に方々へご機嫌うかがいに?」そこで罨撒葛は耶律賢に蕭宰相を訪ねたか聞いた。「…后族の幕営地は遠く、身体に負担ゆえ行けません」「だが今日…」すると穆宗が太平王の言葉を遮ってしまう。「回復したら朕たちと狩をして酒を飲め、契丹の男がひ弱ではいかん」穆宗は耶律賢が帰ってから罨撒葛の話を聞いた。すると穆宗は病弱な耶律賢が罨撒葛の追跡をかわせるはずないと笑ってみせる。「向こうに警戒させるな、この件はお前に任せる」明日は上京(ジョウケイ)への帰路に就く。もし耶律賢に異心があるなら弟はすべきことが分かっているはずだ。烏骨里と喜隠が甘い時間を過ごしている頃、罨撒葛は胡輦を訪ねた。ちょうど帰京の準備をしていた胡輦、すると罨撒葛が胡輦に贈り物は何が良いか尋ねる。しかし胡輦は必要なものなら足りていると断った。「小胡輦、忘れないでくれ、太平王府は君を歓迎する いつでも私は君の望みに応えるつもりだ」罨撒葛は妹たちも成長してやがて嫁ぐと切り出し、自分のことを考えてはどうかとほのめかす。「花咲く年頃を妹妹たちの世話に費やすな」「…お心遣いに感謝します」胡輦のつれない態度に罨撒葛は無理強いするのをやめた。「まあ良い、小胡輦、乳茶は近いうちに飲ませてもらうぞ」草原に韓徳譲と燕燕の姿があった。徳譲は無邪気な燕燕がいつも幸せそうだと言ったが、燕燕はこれでも悩みならあるという。すると徳譲が意味ありげに笑った。若い娘の悩み事と言えば縁談に決まっている。しかし思いがけず燕燕は遼の行く末を憂いていた。「今の陛下は横暴で残酷だし、太祖の三支は争いが絶えないわ 民や朝臣は緊張を強いられている、遼は改革が必要よ」「(´・ω・)お、おぅ…若いのに見識があるんだな?」つづく(  ̄꒳ ̄)烏骨里がチョロいチョロいwそれにしても燕燕が耶律賢を馬で送り届けるシーンが残念すぎる…演出って大事だわ
2021.06.20
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第2話「皇帝の猜疑心」韓徳譲(カントクジョウ)が耶律賢(ヤリツケン)の密使だと知らず、強引に連れ出してしまった蕭燕燕(ショウエンエン)。唖然としていた北府(ホクフ)宰相・蕭思温(ショウシオン)だったが、娘が馬の件だと誤解していると分かって安心した。しかし燕燕は姉からの警告も忘れ、″祥古(ショウコ)山″のことを聞いて父を激怒させてしまう。そこへ胡輦(コレン)と烏骨里(ウグリ)がやって来た。胡輦は燕燕がまた父に反抗したのだと気づき、烏骨里に燕燕と下がるよう合図する。すると燕燕は二姐に引っ張られながら、最後まで射柳(シャリュウ)大会には必ず行くと叫んでいた。胡輦は父の手にある玉佩(ギョクハイ)が耶律賢の物だと知っていた。天下の民か、謀反の大罪か、蕭思温もさすがにすぐには選択できなかったという。疑り深い皇帝のこと、もし蕭家が太祖の三支(太祖をルーツとする3系統)に近づいた場合、まかり間違えば大難を免れないだろう。しかし蕭思温は遼の安定に比べれば蕭家など取るに足らないと悟り、ついに決断した。「胡輦、韓徳譲とは面識があるな?折を見て伝えよ、玉佩の主に会いたいと…」蕭思温は胡輦に玉佩を託した。上京(ジョウケイ)の郊外で射柳大会が始まった。眼下に広がる草原を眺める蕭家の三姉妹、するとちょうど決勝に残った参加者たちが馬を休めにやって来る。后族の蕭達凛(ショウタツリン)、人皇(ジンコウ)王の孫・耶律只没(ヤリツシボツ)、仲父房(太祖の伯父の子孫)・耶律休哥(ヤリツキュウカ)、皇太叔・李胡(リコ)の息子・耶律喜隠(ヤリツキイン)、皇帝の弟・耶律敵烈(ヤリツテキレツ)、そして燕燕にいつもいじめられている耶律磨魯古(ヤリツマロコ)の姿もある。…あの人が参加すればいいのに…燕燕はふと韓徳譲のことを思い出したが、驚いたことに決戦に進んだ参加者の中に韓徳譲がいた。胡輦が一族の達凛に声をかけた。そこで燕燕は好敵手がいるか聞いてみる。「まず休哥だ、騎射に長け実に手強い、韓徳譲は昔よく一緒に遊んだ 奴はこの数年、幽州にいたんだが、今じゃ休哥より腕を上げているかもな? まあ吉報を待っていてくれ!」…あの人って実はすごいのね…燕燕はますます韓徳譲に興味が沸いたが、その時、磨魯古の姿がないことに気づいた。病弱な耶律賢は今朝も倒れ、視察には参加しなかった。穆宗(ボクソウ)・耶律璟(ヤリツケイ)は大会が終わってから見舞いに行くと決め、決勝に進んだ参加者の名簿を見る。しかしその中に喜隠の名前を見つけると顔色が一変した。皇帝の弟、太平(タイヘイ)王・耶律罨撒葛(ヤリツエンサツカツ)は李胡一家なら心配ないとなだめたが、皇帝は不安を隠せない。「油断は禁物だ…」胡輦と烏骨里は決勝戦を見ようと会場へ降りて来た。烏骨里のお目当ては皇太叔家の喜隠。その勇ましい姿に目が釘付けだったが、胡輦はいつの間にか燕燕がいないことに気づいた。決勝が始まると言うのに、燕燕と磨魯古はどこへ行ってしまったのだろうか。そうしているうちにも決勝戦の開始を知らせる角笛と太鼓の音が響き渡った。会場には参加者7人を表す7本の柳の枝がぶら下がっていた。参加者はそこまで馬を駆け、自分の矢筒と同じ色の枝を射抜き、最初に手で受けた者の勝利となる。大会の覇者は郎君(ロウクン)軍の統領となり、陛下より刀を賜ることができた。その時、参加者たちは磨魯古がいないと気づく。すると烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)にまたがった燕燕が現れ、″耶律磨魯古″の令牌を示して、しれっと参加者の列に並んだ。貴賓席にいた蕭思温はもちろん、胡輦と烏骨里も呆然、しかし皇帝の前で取り乱すわけにもいかない。一方、穆宗は太平王から女が参加していると報告を受けていた。「捕らえますか?」「いいや、女が射柳大会に参加するとは面白い」決勝戦が始まった。喜隠は父の期待に応えるため、卑怯な手を使って敵手を次々、蹴落として行く。馬を蹴られた敵烈は早々に落馬して失格、只没は細工された鞍(クラ)が外れ、競っていた休哥を巻き込み失格となった。先頭を走っていた達凛は余裕で弓を構えたが、焦った喜隠が馬の足に矢を命中させ妨害する。落馬した達凛は危うく喜隠の馬に踏まれるところだったが、その前に韓徳譲が手を伸ばして達凛を押し除け、助けてくれた。向かうところ敵なしとなった喜隠。しかし自分の柳に向かって矢を放ったところ、燕燕に矢を射落とされてしまう。憤慨した喜隠は燕燕を蹴り落とそうと鐙(アブミ)から左足を抜いたが、これに気づいた韓徳譲に弓先で右足を持ち上げられ、そのまま落下した。「耶律喜隠も落馬!失格とする!」すると穆宗は思わずニヤリとした。試合は燕燕と韓徳譲の一騎打ちとなった。二人は同時に柳を射落としたが、その時、落馬した喜隠が烏雲蓋雪を狙って弓で小枝を放つ。突然、小枝が当たった烏雲蓋雪は興奮して前足を上げ、燕燕は思いがけず後ろに振り落とされそうになった。しかし隣にいた韓徳譲が咄嗟に背中を支えて援護、燕燕は難を逃れる。そして韓徳譲は瞬時に手を伸ばし、地面に落ちるすれすれのところで柳を受け止めた。↓ウマーは正義(^ꇴ^)ショーン、カッコいい!韓徳譲は皇帝を欺いた燕燕を心配し、早く戻るよう勧めた。しかし穆宗が女子も一緒に呼べと命じ、蕭思温、胡輦、烏骨里は背筋が凍りつく。すると試合を楽しんだ穆宗は覇者である韓徳譲に刀を賜り、遼の郎君軍・統領だと認めた。そしてひざまずいている燕燕をまじまじと見ていたが、その時、運悪く磨魯古が皇帝を守れと叫びながら駆けつける。いきなり気を失った磨魯古はてっきり刺客が自分の令牌を盗み、大会に紛れ込んだと思ったのだ。兵士は当然、磨魯古の令牌を持っている燕燕をその場で拘束、激怒した蕭思温が慌てて止める。「刺客ではない!」穆宗は肝を冷やしたが、娘が刺客ではなく蕭思温の娘だと知って安堵した。蕭思温、胡輦、烏骨里は御前でひざまずき恩情を求めたが、皇帝の怒りは収まらない。すると急に燕燕が自ら罰を請うた。「家族に責任はありません、私が磨魯古を気絶させて令牌を奪ったのです 私が罰をお受けします、でもこれも全て遼と陛下のためでした」燕燕は憧れの述律(ジュツリツ)太后の言葉、″遼の女子は国を案じよ″を持ち出し、例え女子でも兵を率いて戦えると証明したかったと訴えた。「優勝するまで挑戦します、夢が叶った暁には遼と陛下に尽くす所存です 今日は私が責任を負います、罰をお与えください」しかし穆宗はひざまずく燕燕を立たせた。「似ている…誠にそっくりだ、生前の長公主にな、まさに生き写しだ 我が姉上にしか、かくも個性のある娘を産めぬ」穆宗は燕燕を気に入ったと高笑い、騒ぎは治まった。そんな中、太平王は密かに美しく聡明な胡輦に目を留める。一方、李胡は息子の喜隠に熱い眼差しを送る烏骨里に気がついた。穆宗は春㮈鉢(ナバ)を前に猜疑心がいっそう強まっていた。その夜も誰かが謀反を企んでいると怯え、酒を運んで来た宦官に驚いていきなり刺し殺してしまう。騒ぎに気づいた太平王はすぐ駆けつけ人払いすると、穆宗は許可なく集まりを開いた者を死罪にするよう命じた。翌朝、耶律賢は韓徳譲から優勝の報告を聞いて喜んだ。しかし思いがけず皇帝が太平王や弟を引き連れ来訪、韓徳譲は慌てて向かいの書斎に身を隠す。すると穆宗が耶律賢に皇后や后族に不審な動きがないか探りを入れ始めた。「じき春㮈鉢が始まる、朕は皇宮を出て無防備になるのだ 朕の命を狙う者たちにとって絶好の機会であろう?」耶律賢は心配無用だと答えたが、穆宗は突然、耶律賢の胸ぐらをつかんだ。「明扆(メイイ)?お前も太祖の三支だ、朕を殺して即位したいのか?」その時、耶律璟(ヤリツケイ)はふと思い出した。先帝たちの亡骸を前に第2皇子・明扆を一生守り、只没と胡古典(ココテン)を育て上げ、誓いに背けば天罰を受けると約束したことを…。穆宗は我に帰り、急に笑って冗談だとごまかした。そこで今度は優しい叔父を演じ、耶律賢を牽制する。「遼は古来、武力で国を治めておる、先帝は漢制の推進で皇族の反乱を招いたのだ 先帝が崩御した時、お前は幼かったゆえ朕が引き取った…朕には子がおらぬ よって遼の帝位はいずれお前が継ぐ」驚いた耶律賢は少しでも長生きできれば十分だと訴えたが、太平王がすかさずその言葉を利用した。「お前は最近、何度も卒倒したとか?そこで陛下は煎じ薬を用意させた」耶律賢は毒を警戒し困惑したが、徳譲の父・韓匡嗣(カンキョウシ)が勧めたので飲むことにした。穆宗は耶律賢の世話をしている韓匡嗣を褒め、褒美代わりに春㮈鉢を仕切らせると決めた。これは耶律賢にとって好都合だったが、穆宗から春㮈鉢でも宮中に留まるよう命じられてしまう。その時、韓匡嗣が機転を聞かせ、皇帝に上奏した。「この永興(エイコウ)宮は暗くて寒い、明扆大王は冷え性なので出歩いた方が身体に良いかと…」穆宗は耶律賢の同行を認め、そこで帰ることにした。すると様子を伺っていた韓徳譲が慌てて身を隠し、うっかり竹簡を落としてしまう。物音に驚いた皇帝一行に緊張が走ったが、真っ先に調べに来た韓匡嗣が息子の存在に気づき、風で窓が開いたせいだと報告して難を逃れた。韓徳譲は耶律賢が毒を飲まされたと心配し、すぐ吐き出せと言った。しかし耶律賢は韓匡嗣がいれば死なないと安心させる。「お前の父は祥古山で私の命を救った、お前たち父子への恩は断じて忘れぬ」「長年、苦労したのだな…」それにしても耶律賢の弟である只没の態度は妙だった。只没と言えば先帝と甄(シン)氏の子だが、耶律賢は皇帝の腹が読めないため、弟の安全のために真実を告げていないという。「今は時期尚早だ、いつか機が熟したら必ず伝える」…我ら契丹人は遊牧して暮らし、馬や馬車を家とする…太祖が農業を奨励したのち、農耕と定住が徐々に始まったが、陛下はなおも古い習慣を守っていた…四季に従って行宮へ移動し、馬車の中で政(マツリゴト)を論議する…このような暮らしと政のやり方を我らは″㮈鉢″と呼ぶ…㮈鉢における若者たちの関心事と言えば、若き男女の出会いの場でもある″跳月(チョウゲツ)大会″である射柳大会で騒ぎを起こした燕燕は跳月大会に参加せず、殊勝にもおとなしくしようと決めた。一方、韓徳譲には早速、郎君軍の統領としての仕事が待っていた。今夜は跳月大会、皇帝の安全のためにも巡回を怠るわけにはいかない。やがて日が暮れると、酔った穆宗は再び被害妄想に駆られ、侍女を刺し殺した。仲間の悲劇を目の当たりにした侍女・安只(アンシ)は驚いて天幕から逃げ出し、必死に走り続ける。するとちょうど只没大王と鉢合わせになり、次は自分が皇帝に殺されそうだと泣きついた。只没は安只の話に耳を傾け、心配ないと安心させた。すると安只はここぞとばかりに只没に身を預けて誘惑する。「いつか大王のお世話がしたい、侍女で構いません…」「案ずるな、私が救ってやる」胡輦は跳月大会を利用して韓徳譲に接触しようと考えた。しかし喜隠が宴に顔を出した胡輦に気づき、しつこく引き止められてしまう。実は喜隠は父から蕭思温を懐柔するため、蕭家の三姉妹を利用するよう吹き込まれていた。つづく(  ̄꒳ ̄)♪耶律だらけのこんな世の中じゃ〜″エンサツカツ″って舌かみそうwバスガス爆発…バスエンサツカツ…ガスバスサツカツ…うわーっ!o(`ω´ )oあ、カツサツ言っていたのに↑入れるの忘れましたw
2021.06.19
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第1話「波乱を起こす少女」『契丹(キッタン)は″精鋼(セイコウ)″を意味する 広大な草原で生きる者は願う、鉄のごとく強靭でありたいと…』統和(トウワ)27年、蕭綽(ショウシャク)は幽(ユウ)州の城壁にある燕雲台(エンウンダイ)に立ち、広大な草原を眺めていた『我ら遊牧民は風雪に耐え、ある伝説を残した…』時を遡ること天禄(テンロク)5年、帰化(キカ)州祥古(ショウコ)山、物語はここから始まる『世宗皇帝は掟を破り、漢人の女子を皇后に立てた 漢制(漢族の制度)に倣うという決意を示したのである、しかし守旧派の反対を甘く見たため、 祭祀は血に染められ、私に関わる人たちの運命がかき乱された』守旧派は祭祀を襲撃、遼の世宗・耶律阮(ヤリツゲン)と甄(シン)氏は惨殺され、蕭(ショウ)皇后と大皇子も巻き込まれてしまうそれから18年が経った『私は当時、女子の強さを証明したくて草原一の馬を手に入れようと躍起になっていた…』蕭燕燕(ショウエンエン)は馬を賭けて耶律磨魯古(ヤリツマロコ)に戦いを挑んだ。すると燕燕は軽やかな身のこなしで見事に立ち回り、ついに屈強な男を押さえ込むことに成功する。一方、幽州の軍営では統領の韓徳譲(カントクジョウ)が烏合の衆を短期間で見事に鍛え上げていた。そこへ軍馬が到着したが、ちょうど雷鳴がとどろき、漆黒の馬が暴れ出してしまう。兵士たちは暴れ馬を止めようとしたが、片っ端から跳ね返された。その時、韓徳譲が暴れ馬にまたがり見事に手なずけ、その褒美として馬を譲り受けることが許される。「馬体は真っ黒だが蹄は白い、烏雲(ウウン)が残雪を蓋(オオ)うかのよう…名は烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)だ」そんな韓徳譲に上京(ジョウケイ)から一通の文が届いた。…徳譲、懐かしき我が友よ、別れて早くも数年が経つ、早く上京に戻ってこい…それは旧友・明扆(メイイ)からだった。韓徳譲はまだ幼い頃、耶律磨魯古たちにいじめられたことがあった。その時、まだ幼名で″明扆大王″と呼ばれていた耶律賢(ヤリツケン)が助けてくれる。二人はそれ以来の朋友、そこで韓徳譲は耶律賢のため上京へ戻ることにした。街に戻った蕭燕燕は偶然、美しい漆黒の馬を見かけた。…耳が尖っている、草原一の馬だわ!…そこで燕燕は密かにつぶてを投げて馬の額に命中させた。韓徳譲は突然、興奮した烏雲蓋雪馬をなだめた。仕方なく馬から降りて巻き込まれた娘に謝罪する。「あなたのせいで私の馬が驚いたわ、その馬で弁償して」「驚かせてすまなかった、ただこの馬は気性が荒いのでね…チッ」韓徳譲は面倒な娘に絡まれたと思い、早々に立ち去ろうとする。「ちょっと、ゆすりじゃないわ、私に売ってくれない?」「…本気か?都で最高の馬は金2両はする、この馬は6両だ」すると娘は失笑し、10両入った銭袋をつかませ、烏雲蓋雪にまたがってしまう。「ダメだ!御せないぞ!」「私に御せない馬はない…って、ぅわあぁぁぁぁーっ!」烏雲蓋雪は娘を乗せて暴走、韓徳譲は慌てて娘の馬に乗って追いかけた。燕燕を乗せた烏雲蓋雪は運悪く死刑執行中の刑場に飛び込んだ。図らずも刑場を襲撃した燕燕は官兵たちに包囲され、烏雲蓋雪から振り落とされてしまう。しかし危ないところで韓徳譲が現れ、燕燕を抱き止めた。官吏は激怒し二人を捕らえるよう命じたが、韓徳譲は娘が落とした腰牌を拾い、起点を利かせる。「実は…我らは宰相(サイショウ)家の者です」仕方なく燕燕は男から自分の令牌を取り返し、身分を利用した。「私は北府(ホクフ)宰相・蕭思温(ショウシオン)の娘・蕭燕燕よ」燕燕はこの男なら自分の馬丁(バテイ)だと嘘をつき、見逃してくれるなら父もこの恩を忘れないだろうとほのめかした。燕燕と韓徳譲は無事に解放された。しかし燕燕はなぜ男が令牌の家紋を見ただけで宰相と分かったのか怪しむ。韓徳譲は蕭家が名族のため見たことがあるとごまかし、先を急ぐことにした。すると燕燕は男を引き止め、刑場で助けた代わりに馬を譲れと迫る。「救ってくださり感謝いたす、この10両は返そう」「どうしても買いたいの」「君の命を奪いかけた馬だろう?」「気性が荒いから気に入ったのよ?…助けたのに恩知らずね?あなたは南方の軍隊の者でしょう? 平服を着ているけれど、鞍(クラ)と鎧(アブミ)を見るに辺境部隊か留守部隊の者ね? 身分証がないなら通行手形も持っていないはず、つまり無断で都へ入った 人に言えない秘密があるんだわ」韓徳譲はなかなか観察眼に優れた娘に根負けし、馬を譲ることにする。「じゃあ遠慮なく!」喜んだ燕燕は馬にまたがると、颯爽と駆けて行った。その頃、草原では蕭家の二小姐・烏骨里(ウグリ)がもめ事を起こしていた。烏骨里は謎かけでひとり勝ち、装身具を奪われた娘たちは不満を募らせる。するとある高官の娘が負けを認めず、謎かけを終わりにしようと言い出した。「ただの遊びでしょう?后族(代々皇后を輩出している一族)の娘は欲が深いわね」憤慨した烏骨里はかんざしを奪おうと娘に手を出し、その場は大騒ぎになってしまう。「おやめなさい!」その声は蕭家の大小姐・胡輦(コレン)だった。胡輦は装身具を全て娘たちに返した。「蕭家は強欲ではないけれど、侮らないで…それにあなたが謎かけを提案したのに、とぼけたわね?」すると娘は確かに自分が装身具を賭けようと提案したと認める。ただし自分が負けたのは烏骨里がお題を出したからに過ぎないと言い返した。「蕭家の大小姐は聡明だと評判だわ、是非ここで証明して」「私が勝ったら烏骨里に謝りなさい」「はお」しかし娘たちは大小姐の評判が事実だと思い知ることになった。蕭家を揶揄した娘は潔く負けを認めた。しかし胡輦も妹が失礼だったと謝罪する。「賭けはおしまいに…私たちは高官の娘よ、お互いに言動に気をつけましょう さもないと家族に迷惑をかけることになる」すると娘は丁重に拝礼して帰って行った。上京の王宮、再会を果たした耶律賢と韓徳譲は熱い抱擁を交わし、旧情を温めた。「お前は10代で幽州へ、きっと辛酸をなめたであろう」「この通り元気だ、明扆こそ辛い思いをしたのでは?」「耶律璟(ヤリツケイ)は祥古山で察割(サツカツ)の乱を利用し、父上の帝位を奪った… 私は敵を討つために生きている」「私が戻った以上、今後は必ず力になる」一方、蕭家の三姉妹は願掛けに来ていた。胡輦は燕燕が連れて来た馬を見ると、すぐ並の馬ではないと気づく。鼻が高い燕燕は10両で買ったと教えたが、殿方とお洒落にしか興味のない烏骨里にはその価値が分からなかった。「馬が何の役に立つの?」「まあ見てて、射柳(シャリュウ)大会のあと、この馬は草原中に名を馳せるわよ!」しかし胡輦から皇帝が視察に来る大会で問題を起こさぬよう釘を刺されてしまう。胡輦は妹たちに帯を渡した。実はこの帯を木に結んでからひと月後に持ち帰ると願いが叶うと言われている。命の源であり希望でもある水、木のそばには必ず水源があるため、契丹人は木を祭って子孫繁栄と平和に感謝して来たのだ。胡輦は早速、家族の幸せを祈り始めたが、燕燕は二姐の祈願が殿方との良縁しかないと分かっている。「それ以外に何を祈るって言うの?結婚は女子にとって一番、大切でしょう? 燕燕、ならあなたは誰かに心が動いたことはないの?ほんの少しでも…」すると燕燕の脳裏にふと刑場で自分を抱き止めてくれた男の顔が浮かんだ。韓徳譲は権力の中枢に近づくため、身分が必要だった。そこで耶律賢はまず射柳大会で優勝し、郎君(ロウクン)軍の統領になるよう指示する。(郎君軍:皇族の子弟を中心とする禁兵)「すでに機は熟した、私は先帝・耶律阮の子だが、帝位の奪還には后族の支持が必要だ ますはその鍵となる者に会いたい」すると耶律賢は父の形見を預け、これを見せれば分かるはずだと言った。燕燕は結局、願掛けを止めた。ここで帯を結ぶだけで何もしなければ、何も得られない。「述律(ジュツリツ)太后は14歳で太祖の阿保機(アホキ)様に嫁ぎ、その若さで政務を執った …確かに私は幸せだけど、こんな暮らしはつまらない 私は大姐や二姐を見習えない、私は毎日この大草原で狩りをして戦をしたいの! 述律太后のようになりたいわ」胡輦は空想ばかりしている妹を父が案じていると知っていた。そこで亡くなった母も燕燕の平穏を願っていると言い聞かせたが、燕燕は射柳大会に女が出場できないのは不公平だとふて腐れてしまう。后族の支持が必要なのは皇太叔(コウタイシュク)・耶律李胡(ヤリツリコ)も同じだった。すでに一部の皇族と接触し支持を得ていたが、息子の喜隠(キイン)に何としてでも明日の射柳大会で優勝を果たしてもらう必要がある。「さもなければ兵権を奪う機会はない」「父上、ご安心を…手は打ちました」蕭思温は耶律李胡からの文を読んでいた。…じき春㮈鉢(ナバ)が始まる、できることならその時、蕭殿と二人で語り合いたい…目を通した蕭思温はすぐ文を燃やすと、そこへ三姉妹がやって来た。「お前たちに伝えておく、春㮈鉢の期間はみだりに出歩くな」当然、射柳大会の見学も禁止され、特に腕白で面倒ばかり起こす燕燕は父から念を押されてしまう。すると家職が現れ、客人が来たと報告した。「春㮈鉢の前には誰にもお会いにならないと伝えましたが、客人がある言葉で翻意なさるはずだと… ″祥古山″です」驚いた蕭思温は娘たちに下がるよう命じ、虎思(コシ)に客人を通すよう指示した。父はなぜ″祥古山″と聞いて顔色を一変させたのか。燕燕が首を傾げていると、胡輦は余計な詮索はしないよう叱る。「父上だけでなく、皇族の禁句でもあるの、身の破滅を招くわ」その時、前から馬を売ってくれた男が歩いて来た。燕燕は馬の件で訪ねて来たと誤解、銭なら払ったはずだと迫る。そこで韓徳譲は燕燕が強引に馬を奪ったので文句を言いに来たと嘘をつき、銭袋を返して失礼した。「徳譲では?」胡輦はその男に見覚えがあったが、帳簿の照合を頼まれたせいでうやむやになってしまう。韓徳譲は蕭思温との面会が叶った。そこで耶律賢から託された先帝の形見を差し出し、決断を促す。宰相も先帝と同じく漢制の推進を願っているはず、察割の乱を制圧した宰相が国の危機を見逃すはずはないだろう。「玉佩(ギョクハイ)の主が仰せです、春㮈鉢の時に会いたいと…」蕭思温は玉佩をつかむと、あの時の記憶が蘇った。当時、蕭思温は皇帝に漢人である甄皇后の祭司への参加を反対した。耶律屋質(ヤリツオクシツ)も改革を焦ればつまづく恐れがあると諫言、甄皇后も一理あると同意する。ふもとには南征を控えた大軍もいたことから、蕭思温はこの機に乗じて異心を抱く者もいると守旧派を牽制した。『漢制の推進は太祖の時代に始まった… 屋質、そなたは朕のために障壁を除け、他の輩と共に邪魔立てするな』すると世宗皇帝は甄皇后の手を取り、祖廟に入ってしまう。「分かっておるのか?私が玉佩の持ち主と会えばどうなるかを…」「遼の未来が決まります」そこへ突然、燕燕が入って来た。「父上!この人の話を信じないで!とんだ嘘つきなの!銭を渡しちゃダメよ!…来てっ!」燕燕は男の手をつかんで無理やり連れ出し、街まで逃げた。燕燕は男が父に告げ口したと思い込み、あの馬が惜しいなら返すと言った。しかし射柳大会が終わるまで待って欲しいと頼む。すると韓徳譲はあの馬なら刑場で救ってもらったお礼だと笑った。「くれるの?ぁぁ…返さないと思ったのね?大会が終わったら返すから」「どうか受け取ってくれ、君子に二言はない」そこで韓徳譲は馬の名前を教えた。「烏雲蓋雪?…烏雲が残雪を蓋うかのよう…良い名前ね、気に入ったわ」「今から言うことを忘れないでくれ 今日のことを誰かに聞かれても、私は馬の件で屋敷を訪ねたと答えて欲しい そうするのは君と蕭家のためだ」喜んだ燕燕は心を込めて烏雲蓋雪の世話をすると伝えた。つづく(  ̄꒳ ̄)またしても年齢詐称問題w<史劇ものでは恒例となりましたが、3人揃うとちとキツ…ゲフンゲフンそんなわけで(←どんな訳?)二小姐は″うこつり″表記ですが″うこっけい″みたいなのでピンインの″ウーグーリ″を採用します
2021.06.17
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