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2011年12月29日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 2011年3月の福島第一原子力発電所事故が発生、安全神話が崩壊し、政府は脱原子力依存へ方向転換した。新エネ、除染関連法令が着々と制定され、困難が横たわっているものの、対策が推進される体制が取られつつある。そして、今、政府が福島第一原子力発電所事故の冷温停止状態を12月16日に確認し、事故収束を宣言、また事故調査・検証委員会の中間報告書が12月26日に公表されたこの時期に、今の福島第一原子力発電所事故後の対応等について俯瞰して、最後に感想を述べたいと思う。なお、文章中の日付は、すべて2011年。情報源は主に朝日新聞。

 ここでは大きく分けて以下の5点について整理する。
(1)原子力発電所の状況と廃炉
(2)汚染地域の除染
(3)原子力発電所事故の原因と対策、および稼働状況
(4)東京電力のゆくえ、
(5)まとめ。


(1)原子力発電所の状況と廃炉

 まず、原子力発電所の状況であるが、冷温停止状態の確認をもって事故収束を宣言するに至った。冷温停止状態とは、


b)原子炉から大気への放射能の漏れを大幅に抑える、

 の2つを条件とする。1~3号機の炉の温度は、9月下旬以降、100℃を下回り、12月15日現在においては、38~68℃と報告されており、放射性物質の外部への飛散は毎時0.6億ベクレルと事故時よりも1300万分の1に減少している。

 しかしながら、懸案事項は依然として残る。炉内の把握は、推定の域を出ない。東電が11月30日に溶け落ちた核燃料の状況を推定した結果を発表しているが、1号機では、全量が原子炉圧力容器を突き抜けて格納容器に落下。底に敷かれたコンクリートを、場所によっては鋼鉄性の容器の壁から37cmのところまで侵食。核燃料の溶解は、今後の除染や廃炉へ向けた作業を妨げる可能性がある。2号機では、燃料の57%、3号機では同63%が溶け落ち、格納容器の床を12cm~20cm侵食。さらに、溶け落ちた核燃料の3%程度が水から露出している。2号機の格納容器の一部は、11月に入っても約400℃と高温のままの箇所もあるという。

 ここから言えるのは、圧力容器の底部の温度が100℃であるが、格納容器内は、100℃未満とはなっていない。燃料の形状と水温によって局所的に臨海状態が起きている可能性は否定できず、まだまだ、安心できる状況でないことがわかる。ただ、11月にはキセノンが検出され臨界の疑いもあったが、最終的に、核分裂が連鎖的に起きる臨界ではなく、核分裂が一時的に起きる自核分裂であると東電は結論づけた。また、10月1日には、注水が38時間停止すると核燃料が再溶融するとの推定結果を東電は発表している。

 また、原子炉内の核燃料を冷やすために使った水を含む放射性汚染水の保管が行き詰まりつつある問題もある。2012年3月には、今ある処理水を保管しているタンクがいっぱいになる見込み。これを海洋へ放出する東電の計画があったが、全国漁業協同組合連合会の強い抗議により撤回した。さらに、放射能汚染水の処理については、浄化装置の停止や水漏れが繰り返し起きている。「冷温停止状態」を維持するためには、復旧作業での予想外のトラブルへの備えが必要でもある。

 以上のように原子炉内の状態を推定で判断するしかなく、また、放射能汚染水の保管について解決していない中、廃炉の計画が立案されている。

 廃炉の工程については、原子力委員会が10月28日に報告書案を初めて明らかにした。廃炉完了に30年超とされたが、12月21日に政府と東電は、福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉に向けた工程表の発表によると、廃炉完了までに30~40年と長期化を視野に入れた表現となっている。使用済み燃料プール内の燃料取り出し開始までの第1期(2年以内)、溶融燃料取り出し開始までの第2期(10年以内)、廃炉完了までの第3期(30~40年後まで)に分け、必要な作業や課題を示した。大きな山場となるのが、格納容器を水で満たす作業。溶融燃料を取り出すためには、周囲を水で満たし、放射線を遮ると共に冷やしながら作業を進める必要がある。2016年頃には格納容器の補修を実施。2017年頃に格納容器内部、2019年頃に圧力容器内部の調査に入り、2021年末までに溶融燃料を取り出し始めるのが目標。補修や調査は遠隔操作で進めなければならない。しかしながら、世界的にも前例がなく、新たな技術開発が必要になる。また、核燃料処分法も未定である。

(2)汚染地域の除染

 法令関係は、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」が平成23年8月30日に(以下、「放射性物質汚染対処特措法」)、政令および省令が平成23年12月14日に公布されている。

 10月29日、環境相は福島県内の汚染土壌を収容する中間貯蔵施設を2015年1月から県内で稼働させるロードマップ(工程表)を明示。中間貯蔵施設への搬入前の各市町村の仮置き場の保管期間は3年ほどとし、中間貯蔵の開始後30年以内に県外で最終処分する。工程表では、中間貯蔵施設の場所選びを2012年度中、2014年度に着工。並行して完成した区画から2015年1月以降、順次仮置き場の土壌などを運び入れる予定。



 ここで、少し気になるのが、焼却灰の扱いである。1キロあたり10万ベクレル未満のものは一般処分場への廃棄が可能となったわけで、7月に柏市の焼却灰が1キロあたり7万ベクレル検出され問題となったのであるが、結局、基準が緩和され、一般処分場への廃棄が許されることになってしまったのか。10万ベクレルの根拠がなにかを確かめる必要がある。まさか、柏の汚染焼却灰を一般処分場に捨てるため1キロあたり10万ベクレルとしたわけではないだろう。

 また、12月18日には、「事故収束宣言」を受け、野田政権が、年間放射線量に応じて三つの区域に再編する方針を関係自治体に伝えている。現在は、原子力発電所から半径20キロ圏内を警戒区域、20キロ圏外で計画的避難区域を設定している。これを、地上から高さ1mの放射線量を年間で換算して20ミリシーベルト未満を「避難指示解除準備区域」、20~50ミリシーベルト未満を「居住制限区域」、50ミリシーベルト以上を「帰還困難区域」に再編することになる。「避難指示解除準備区域」は、生活インフラの復旧や子供の生活圏の除染の進捗を踏まえ、段階的に解除する。早ければ住民が戻り始める時期が2012年春から年央になると想定されている。原則立入禁止となる「帰還困難区域」は、「5年経過してもなお、年間20ミリシーベルトを下回らない区域」と定義し、少なくとも5年間は固定し、その後見直す方針であるが「将来にわたって居住を制限することを原則とする」とも記している。

 12月19日には環境省から「放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染廃棄物対策地域、除染特別地域及び汚染状況重点調査地域の指定について(お知らせ)」報道発表があった。これによると、汚染廃棄物対策地域は、福島県の11市町村、除染特別地域は、福島県の11市町村、汚染状況調査重点地域の市町村は、岩手県3、宮城県8、福島県40、茨城県20、栃木県8、群馬県12、埼玉県2、千葉県9(松戸市、野田市、佐倉市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市、印西市及び白井市の全域)、計102市町村になる。

 汚染状況重点調査地域は、その地域の平均的な放射線量が1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域を含む市町村を、地域内の事故由来放射性物質による環境の汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な地域として、市町村単位で指定。指定を受けた市町村は、調査測定の結果に基づき、具体的に市町村内で除染実施計画を定める区域(1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の区域が対象)を判断していく。このため、汚染状況重点調査地域として指定を受けた市町村の全域が除染実施計画を定める区域になるとは限らない。
また、この1時間当たり0.23マイクロシーベルトという要件は、その地域における追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトにあたる放射線量だが、これは重点的な調査測定が必要な地域、除染実施計画を定める区域をまずは網掛けするという考え方で設定。



 今後、2012年1月1日に、放射性物質汚染対処特措法の完全施行が行われ、以降、市町村による除染実施計画の策定が行われる。

(後編へ続く)

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最終更新日  2011年12月30日 08時37分28秒
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