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昔の旅の思い出、その復元作業にGoogleは欠かせない。しかし、それにGoogleマップが加わることで、思わぬ記憶の呼びこしが可能となる。それは、ふとした閃きから掘り起こした、フィンランドの思い出である。
フィンランドの思い出、その多くはヘルシンキの郊外、エスポーESPOOにある顧客とのビジネスを通して得られたものである。その最たるものは、以前にも記した、バルト海クルーズの客船内でのミーティング( こちら )であるが、その他にも、食事のおもてなしを受けた思い出も忘れられない。
一つは、穏やかな湾に面した由緒あるレストランに招待された思い出。当時、それがヘルシンキのどこにあったのか、観光マップと睨めっこしながらも、結局、地図上で場所を確認できなかった。しかし、それから5年以上がたち、たまたま当時愛用していたPDA「クリエ」に、そのレストランの名前を見つける。そして、その住所をGoogleマップに入力すると、地図上にその場所を確認したのである。
それは、"Kulosaaren Kasino"という名のレストラン。Kasinoと言ってもカジノではない。多くの小島が浮かぶ湾内、陸にほど近い、その一つの島にそのレストランはあった。橋を渡ったところに、入り口があり、豪華な内装だったと記憶している。そして、反対側テラスに出ると、まだ日没前、遥か海上に世界遺産、スオメンリンナの要塞群を臨むことが出来た。(なぜ当時、カメラを持参していなかったのか、悔やまれるところである)
そして、もう一つ、忘れらないレストランの思い出がある。それは午前、顧客での打ち合わせを終えたあとのランチ。出席者全員で車に分乗して向かったのは、確か森の中にある郊外のレストラン。前述のレストラン同様、それが何処だったのか後で探ったものだが、レストランの名前は記録になく、また観光地でもないため、場所について手がかりが無かったのである。
しかし、Googleマップの空撮から探し出せるのではないか?と、ふと閃いたのである。そのヒントは、そのレストランの奇想天外な外観、そしてそこから世界のNokia本社を眺められたという記憶である。まずはNokiaの本社の住所を調べ、Googleマップにコピペして検索。あっさりその場所を割り出すと、今度は空撮マップを頼りにNokiaの周囲5キロ以内を虱潰しに探したのである。
そして、とうとうそれらしき建物を見つけたのである(下:Googleマップからのイメージ)。空から見たその姿は、まるでUFOが映り、その影を落としているかのようである。実は、それは、塔の上部が逆半球をした外観の貯水塔。空撮写真から、その円形の物体を探したというわけである。その塔の上は展望レストランになっていて、周囲をぐるりと一周する展望デッキから「あちらに見えるのがNokia」と紹介された。この写真にも、展望デッキらしきものも確認できる。
しかし、フィンランドには貯水塔が多い。その理由は分からない(凍土だから?)が、仕事で、ヘルシンキ、エスポーと何往復もした中でも、その景色に貯水塔を多く見たものである。バイキングラインでヘルシンキ港に入った時にも、彼方に貯水塔を認めたほどで、フィンランドの特徴的な建築物であるとも言えるのではなかろうか。
そういうこともあり、より正確を期すために、マップ上の通りの名前をヒントに、Googleで検索をかけたのである。そして、この貯水塔こそが、我々が訪れたレストランのある貯水塔であることを確信したのである。その名は、『ハウキラハティ貯水塔Haukilahden vesitorni』、エスポーの町にある(冒頭写真:Finnish Pumpkin様からのご提供)。(フィンランドの貯水塔については、 こちら に紹介されているので、参照ありたい)
分乗した車でそこに到着すると、目の前にあるのは、周囲に何もない森の中に、一本、聳え立つコンクリートの巨大物体である。車を降りた瞬間、私には、米映画『未知との遭遇Close Encounters of the Third Kind(1977)』にも出た、デビルスタワー(米ワイオミング州)を連想されられたのである。
これは何?という疑問を持ちながら、顧客の後に従うと、中にあるエレベータに乗って、最上部にあるレストランに直行。全く予期しえなかった場所にあるレストランに、驚いた。ビュッフェスタイルのランチは、いろいろと珍しいものがあったような気がする(ボワーッとした記憶だ)。そして、そこから見渡す眺望は、フィンランドの湖沼と森、海。そんな中Nokiaはわずか5キロ弱ほどの目と鼻の先にあったのである。(この時もカメラを持参しておらず実に残念)
つきとめることを諦めていた、フィンランドの記憶。それがほんの限られた情報をヒントに解き明かされていく。まさに、Googleマップさまさまである。テクノロジーは本当に凄いなと実感する。
*.このたび、Finnish-Pumpkin様のご好意により、写真を掲載させて頂きました。ビュッフェの写真もご提供頂きましたので、以下に掲載させて頂きます。私の思い出の記録に華を添えて頂き、感謝いたします。
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