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1989年7月、ワイオミング州、グランド・ティートンへの2泊3日の旅行。その当時の写真を眺め、懐かしく記憶を辿り始めて以来、私の頭の中には、『シェーン』のテーマ曲、「遥かなる山の呼び声」が繰り返し流れている。
写真や地図と睨めっこしている私は、すっかり20年前に戻ったような気分である。写真に写っている自分が、まるで少年のようであることが大きく違うのであるが、気持ちだけでも、当時の若さ、そして冒険心というものが取り戻されるようでもある。
7月1日の夜、グランド・ティートン国立公園に入った私が、映画『シェーン』の世界をじっくりと満喫するのは、2日目のことである。写真から当時を振り返ると、その日は、朝から、国立公園内のビューポイントを網羅するように車を走らせている。さらには、その後で、イエロー・ストーンにまで車を飛ばして、夜ホテルに戻ってきているので、その行動範囲には驚くばかりである。
その一つ一つを記すには、とても紙面が足りそうにないが、そんな一日の中から、思い出を掘り起こし、美しい光景などをここに紹介してみたい。
この時の旅で私が宿泊したのは、Jackson Lake Lodgeというホテルで、国立公園内の数少ない宿泊施設の中では一番規模の大きな施設だったと思う。Lodgeというに相応しく、レセプションやレストランがあるメインの建物とは別に、客室は屋外に配置されていて、確か1階建ての所謂、山小屋のような(?)建物が縦横に並んでいたように記憶している。部屋にはテレビも無かったが、それも国立公園内のロッジらしいではないか、と思ったものである。
2日目の朝のスタートは、外から聞こえる音に目を覚ます。それを確かめるべく、カーテンを開けると、外は既に陽が高く、木々の緑が眩しい。そして、その緑の中に何か動くものが目に入る。それは、リスか、マウスか、プレーリードッグか?その可愛い小動物が2匹、中睦まじく、囁き合っている(下写真)。恋人同士の囁きだったのだろうか、それが音の正体だった。その2匹がずっと立ったままで、囁きあう光景に心和まされ、そして私の一日も始まったのである。
朝食はメインの建物のレストランで、とった筈である。そこの大きい窓からは、グランドティートンの山並みが眼前に迫って見える。そして、外に出ると、その『シェーン』の山並みの全容を目にするのである(下写真)。前夜、グランド・ティートン国立公園に入り、その山並みの端の方が目に飛び込んできた時の感動、それが甦り、あらためて山の大きさを感じた筈である。
その山並み背景にして、広大な草原、湿原が眼前に広がり、その先にジャクソン・レイクが青々とした水を湛えているのが見える。そして、眼下に目を落とすと、思わぬものを目にするのである。それは、エルクの親子の姿だった。水を飲む親、そして親に寄り添っている子供のエルクが、そこにいた。(下写真)。そこには、平和な時間が流れていた。
もともと山が好きで、それまで日本アルプスの山々を歩いていた私には、ここからの景色は、『シェーン』の景色として以上に、新たな感動を得るのであった。そのスケールの大きさ、そして山と湖と草原と野生動物が織り成すその光景には、息を飲まれたものである。
しかし、それはこの日繰り返される雄大な景色と、山の美しさ、そして『シェーン』の世界。その始まりであったに過ぎない。私のグランド・ティートンでの長い一日は、これから始まるのである。(つづく)
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