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2006年01月22日
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カテゴリ: クラシック音楽
 考えてみると先週聴いたカリンニコフとショスタコーヴィチの作品は、作曲をする上での環境(体制)が作曲者にどれだけ影響を与えるのかを非常に鮮明に描き出していて興味深かった。

 カリンニコフは1866年に生まれ、1901年に亡くなっている。あと15年足らずでソビエト革命が起きたとはいえ、彼が生きていた時代はまだまだ帝政ロシアの社会だった。この頃は一部の貴族や富裕層以外の国民は貧しかったが、「作曲」活動に「国家」が介入することは無かった。

 そもそもこの時代「音楽」は国民を動かす為の道具ではなく、貴族中心の富裕層の「娯楽」的要素が強かった。チャイコフスキーの有名曲も、まだまだ一般国民が楽しんで聴くという状況ではなかったわけだ。しかし作曲で身を立てるという手段は確立していた。

 そのような時代を背景に書かれたカリンニコフの交響曲は、ロシアの自然と郷愁を美しく描いており、そこに「思想」だの「国家」だのは登場しない。ひたすら素朴に生の喜びを歌い上げているのだ。

 対するショスタコは誰もが知っている、共産党独裁のソ連邦を代表する作曲家。恐怖のスターリン時代を生き抜き、15もの交響曲を残した。しかし共産党から「わざと難解な音楽を書いて人民を愚弄している」「革命に非協力的な危険分子」というレッテルを貼られ、何度も命の危険にさらされた。

 ショスタコの生涯は自分が住んでいる国家体制からの圧迫と、自分自身の芸術的欲求との果てしない闘争の連続だったと言っていい。有名な「革命」も初演時は革命讃歌としてもてはやされたが、現在そのような解釈でこの曲を振る指揮者はいないだろう。共産党の意向に沿う曲を作ることが至上命題で、自由に自然を謳歌するような曲など書いても評価されないばかりか、命の危険さえあった。

 とはいえその強烈な精神的圧迫から、後生に残る曲を作るのだからやはりショスタコは天才だ。5番や7番交響曲のような巨大なスケールの音楽は、あの時代と体制がなかったら間違いなく生まれていないだろう。

 「森の歌」も最終第7曲集結部は合唱と管弦楽が最高潮に達し、聴く者を圧倒し、高揚させる効果を発揮する。そこで歌われる歌詞は「人民万歳、共産党万歳、スターリン万歳」の繰り返し。人々を無理矢理鼓舞する圧倒的な音楽ドラマを書き上げているとき、ショスタコの胸中はどんなものであったのか。

 カリンニコフとショスタコーヴィチ。生きた時代が異なるだけで、同じロシアの作曲家。しかしその作風は全く別の国の人間のようだ。そして彼らの音楽は、自由に作曲し発言できる社会の尊さを教えてくれている。








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最終更新日  2006年01月22日 20時31分49秒
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