ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2010.03.23
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カテゴリ: 国際政治
米国の医療保険制度

米国の医療保険制度は、基本的に公的保険制度はありません。公的保険制度としては、高齢者と障害者対象のメディケアと、最底辺層を対象としたメディケイドという、大変限定的な制度があるだけです。

一般的には個人が民間の医療保険会社と契約するのです。大多数の国民は勤務先の会社、役所などが福利厚生の一環として、1部保険料を負担してくれる保険に加入しています。また米国では、保険は州ごとに運用されるため、現実には夫々の州での保険会社の新規参入はほとんどなく、保険会社はほとんどの州で、独占または寡占の状態になっています。ですから、保険料は高止まりするどころか、毎年のように値上がりしている状況にあります。

こんな形ですから、中小企業ではとても保険料の負担は出来ません。そうした従業員も、個人で高額な保険料の全額を支払うことなど、とても出来ません。個人営業の商店なども同じです。ですから米国の場合、日本で言う生活保護世帯は公的保険の恩恵を受けるのですが、保護を受けずに頑張っている低所得世帯が、医療から見放された悲惨な状態に置かれているという、おかしな逆転現象が生じていたのです。

医療保険の1部公的負担が導入されたのは、1930年代です。総合的な公的医療保険制度の導入を、最初に提起したのは、セオドア・ローズヴェルトでした。彼は1912年の大統領選に、公的医療保険制度の創設を公約して立候補したのですが、国民の支持を得られずに敗北しました。

以後数多くの候補者や大統領が、この問題を提起しては、国民の反発を受けて挫折してきました。最も最近では、ビル・クリントン大統領が、果敢に挑みましたが、やはり国民と議会の反対を崩せず、失敗しています。

今回実現した改革案でも、政府が運営する公的保険(日本の国民健保のような)はありません。反対が強く断念したためです。その他様々な点で政府が譲歩して、ようやく僅差で通したというのが、今回の改革案です。

結局、今後10年間で政府が総額9400億ドル(約84兆円)を支出して、現在約4千万人と推定される未保険者の多くの保険加盟を推進すること、一定の年収以下の無保険者に補助金を支給する、保険加盟を原則義務化する、州で独占となっているような保険会社の無競争状態を是正するよう、州際の参入障壁を排除して保険会社の競争を促すこと、既往症を理由とした契約拒否を禁じること、などが定められたのです。

保険会社が強く反対したのは勿論ですが、この問題が1912年に提起され、100年近くも何も決まらずに来たわけは、中産階級を中心に、自己の生活の向上は自助努力で果たすべきことという、フロンティア時代からの通年が、現代にまで延々と脈打ってきたことが大きいのです。






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最終更新日  2010.03.23 13:38:25
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