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2019.08.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今日のセミウォーキングは高浜堤から河口32.0km迄で折りかえし、シャルマンを通って帰宅した。

***

アジアでは水問題が深刻になっている。東南アジアの河川と言えば、先ずメコン川やプラマプトラ川が挙げられる。そんな、メコン川を巡って、流域国の間で軋轢が起こっている。メコン川を介して、上流国のダム建設と、下流国の洪水や干ばつ被害の問題が大きくなってきた。

メコン川はチベット高原を源流とし、中国やラオス、タイなどを通ってベトナムから海に流れ込む。上流に位置する中国やラオスではダムを建設して、水力発電を行っている。中国は国境ぎりぎりの景洪ダムで放水制限をし、さらにラオスはサイヤブリダムでの試運転を始めたことで、下流のタイの水量が急減した。

タイでは100年ぶりの渇水状態だという。タイ北部チェンライで撮った写真を見るとその様子がよく分かる。メコン川の漁師は、魚が捕れなくなって収入が減ったと嘆いている。影響を受けるのは漁業だけではない。メコン川の下流域の世界最大級の穀倉地帯も、水不足による不作は大きな問題となっている。

タイのプラユット首相は水不足解消のため中国など上流3カ国にダムの放水量を増やすよう要請し、水量は少しずつ戻っているとはいえ、北部では依然として例年の半分ほどの水位が続いているとのことだ。

メコン上流ではダムの建設ラッシュが続く。世界最貧国の一つであるラオスは近年、メコン川の豊かな水を使って発電し、周辺国に売ることで7%前後の経済成長を実現してきた。そのラオスが中国などの後押しで2030年までに約150のダム新設を計画しているとのことだ。中国も同じく2030年までに20以上のダムを造る計画のようだ。

ラオスは外貨獲得のため、また、中国は水力発電を増強して世界最大の温暖化ガスの排出国の汚名返上と言ったところだ。そのひずみが下流の国々に及んでいる。

メコン川の水利用は東南アジアの流域国で構成するメコン川委員会(MRC)が利害の調整役を務め、中国もオブザーバーとして参加している。MRC構成メンバーはタイ・ラオス・カンボジア・ ベトナムの4カ国だが、MRCには中国を動かす力がない。


中国は2015年に「瀾滄江―メコン川協力(LMC)」という経済協力を立ち上げた。自国と、メコン流域の国のみが参加可能な協力機構だ。そこでラオスやカンボジアなどの小国へ経済援助の名の下、自国の要求が通りやすく画策している。既存のMRCの活用で十分の所をわざわざLMCを立ち上げるのはAIIBの設立同様に中国が主導権を採ることを狙ったものだ。

之に対抗するようにアメリカもメコン川流域の犯罪防止に向けた1400万ドル(約15億円)の支援や日本と協力した送電インフラ整備などの企画を打ち出している。メコンを巡る権力闘争は米中の確執を反映する一面だ。

メコンを巡る経済協力は多数存在するが、殆どの機構に中国が入り込んでいる。LMCは中国の世界規模戦略一帯一路の一角を占める重要な面を持っている。

ジャカルタやバンコクなどアジアの都市が世界でも最速のペースで地盤沈下を続けている。地下水の過剰なくみ上げが原因だ。一方では異常気象によるゲリラ豪雨も頻発している。雨が降る度に住民の多くが洪水の脅威にさらされる事になる。

インドネシアの首都ジャカルタはもともと低地であり、加えて、約1000万人の水を確保するために地下水を汲み上げていて、年平均で5~10cmも地盤が沈下しているとのことだ。この沈下スピードは、世界で最も速いペースだと専門家が指摘している。ジャカルタ北部では海抜ゼロm地帯が増えている。

2007年には市街地の7割が水につかる大洪水に見舞われた。インドネシア政府はジャカルタ沖に巨大な防潮堤を造ることを計画したが野党の反対で、実現していない。そこで、ジョコ大統領は最後の手段として、首都移転を考えている。

タイの首都バンコクも海抜1・5mの湿地の上に築かれた都市だ。ここも年平均2cmのペースで沈下している。放置すれば2030年までに都市の40%が水没するとの試算もある。2011年にはバンコクなどを流れるチャオプラヤ川とメコン川が氾濫した。中部アユタヤやバンコク北部などの工業団地が長期にわたって水に浸かった。ホンダやトヨタなど日本の自動車工場なども被害が甚大で、5兆円近い経済損失が出て、政権を揺るがす騒ぎになった。

タイは慢性的な財源不足であり、放水路の設備も十分ではなかったようだ。洪水を防ぐ主要な2つの放水路のうち、1つ目が完成するのは早くても2025年になりそうだ。

フィリピンでは、マニラ首都圏の170件の洪水対策の7割が未完成で、4割近くは着工すらしていないという。6月までの少雨でマニラの一部ではいまだに水不足であり、且つ洪水にも悩まされている。

シンガポールを除く東南アジア主要5カ国とインドなど南アジア3カ国の都市では洪水対策をとらなかった場合、損失は2030年に2270億ドル(約24兆円)にのぼるとの試算がある。さらに気候変動によるゲリラ豪雨などのリスクも高まっており、洪水対策がアジア共通の課題となっている。

シンガポールは総額100億シンガポールドル(約7700億円)をかけて、直径6mの巨大な地下トンネル網を建造中だ。2025年までに総距離約90kmのトンネル網の完成を目論む。



政府は2060年に排水の再処理と海水の淡水化によって、水需要の85%を満たす長期目標を掲げている。現時点で水需要の40%を排水の再処理水で賄なっているが、トンネル網は、この割合を一段と高めることができる。

シンガポールが巨額を投じて計画するこの水事業は、長年頼ってきた隣国マレーシアから横やりが入ったからだ。これまで、シンガポールは1962年に結んだ99年間の長期契約に基づき、マレーシアから1000ガロンあたり1円未満の価格で大量の水の供給を受けてきた。

ところが、2018年5月に政権復帰したマハティールは「裕福なシンガポールが理屈に合
わない安い価格で水を買っている」として、値上げを要求したのだ。この要求はもっともだと思うものの、契約は契約と価格見直しを拒むシンガポールとの間で折り合いは付かない。

このまま推移すると、両国関係が悪化した際、シンガポールは水の供給を止められるリスクがあるのだ。一方のマレーシア側にも複数の州のダムの貯水率が大幅に下がり、コメの栽培にも影響が出ているのだ。雨量減少と気温上昇といった気候変動が頻発すると、これまで水資源が豊富だとされていたマレーシアも窮することになる。


アジアは今、様々な要因で、水との戦いを強いられている。

【古今和歌集】

827.浮きながらけぬる泡とも成りななむ ながれてとだに頼まれぬ身は (とものり)
浮いたまま消える泡ともなってしまいたい、このまま流れてゆくとさえ期待することのできないこの身は





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Last updated  2019.08.14 06:58:10
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