ゆうさんの日記

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2026.05.28
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大人のスリリングな恋には、いつか「その時」が訪れる。
それは、蒸し暑い夏の日の夜十時過ぎ。出張中でしばらく帰らないはずだった智恵子さんのご主人が、突然の予定変更で玄関のドアを開けたのだ。
「ただいまー。いや、急に会議がバラけてさ」
その瞬間、リビングにいた智恵子さんと大吾さんの脳裏に、かつてないほどの警報が鳴り響いた。
大吾さんは、着ていたシャツのボタンを掛け違えながら大慌て。玄関からリビングまでは目と鼻の先で、正面突破は絶対に不可能だ。
「大吾さん、二階へ!」
智恵子さんの電光石火の判断で、大吾さんは階段を静かに駆け上がり、二階のベランダへ。三十五歳の引き締まった身体と整体師としての高い身体能力をフルに活かし、彼はベランダの柵を乗り越え、物置の屋根を伝って下町の闇へと音もなく飛び降りた。間一髪の脱出劇だった。
しかし、一難去ってまた一難。玄関に入ってきたご主人が、靴箱の脇に置かれた見慣れない男物のスニーカーを見つけて首を傾げた。
「おい、智恵子。この靴、誰のだ?」

「あ、それ? 息子のご友人のものよ。こないだ合宿のときに間違えて持って帰ってきちゃったみたいで。明日、学校で返すんですって」
さすがは修羅場をくぐってきた美魔女である。中学生の息子くんの存在を盾にして、大人の男物のサイズ感を見事に誤魔化し、ご主人の疑念をあっさりと煙に巻いてしまった。
翌日、さすがにこの九死に一生の恐怖に懲りたのだろう。大吾さんはそれ以降、夜間に智恵子さんの自宅へ通うことをピタリとやめた。
だけど、一度燃え上がった大人の情熱がそれで消えるはずもない。
夜の密会がダメになった代わりに、今度は平日の昼休憩、お昼の一時を過ぎた頃に、智恵子さんが大吾さんの整体院へ足繁く通うようになったのだ。
「大吾先生、最近どうも腰の調子が悪くて……。ちょっと、長めに診てもらえるかしら?」
「わかりました。奥の個室で、じっくり『深いところ』まで揉みほぐしましょう」
カーテンで仕切られた個室の向こう。昼下がりの静かな整体院に、かすかに響く衣擦れの音と、智恵子さんの吐息。
私は自分の店のジョギングに出かける前、隣の整体院の看板を見つめながら、「夜がダメなら昼間なんて、余計に大胆なんだから」と、一人でニヤニヤしてしまう。
ちなみに、何も知らない幼馴染の透は、「最近、お昼に整体院に行くといつも智恵子さんがいるんだよね。僕のライバル、昼間からガードが固いわ!」と相変わらず見当違いな悔しがり方をしていて、これもまた可笑しかった。
危険な橋を渡りながらも、したたかに、そしてより深く愛を育み続ける三十八歳の美魔女と三十五歳の整体師。





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Last updated  2026.05.28 19:56:09
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