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ある温泉場での、お話しである。 「うちのな、五、六軒先に独身の女がいるんじゃよな」と、例の「お色気話し名人のホンダホンダ(本当だ、本当だ)の爺さん」が話し始めた。 「幾つになる女(ひと)や」と、元銀行員の浅倉さん。 「そうじゃのう、もうかれこれ32、3かな? 出戻りでの、まーぁ、今で言うところのバチイチとか言う立場じゃな」。 「その女(ひと)、どうかしたのかい?」と、仲間の元警官のチョビ髭さん。 「どうしたと言うことでもないがの、時たまある男が酔いに任せて夜にお邪魔したなそうじゃ。 この家はの、みんなの家からチョッと離れているお家での、勿論辺りはエヌキ林と言うて の、まぁ垣根代わりに杉の木や竹藪で囲ってあるわけさ。 俗に言うところの、屋敷囲いじゃがこの辺りじゃ~エグネなどと言うておるようじゃがの。 今年も暑かったじゃろ、そんなもんでこの女が夜になって縁側で浴衣を着て夕涼みしておったようじゃ。 そこへな、近在では後家殺しと言われている東平と言う男がの、何の前振りもなくいきなり訪問したんじゃな」。 「なら、ビックリしただろうさ、その女は?」と、チョビ髭さん。 「と普通は思うだろ? ところが、ニ~ッと笑って家の中へ引き込んだらしいんワサ。 こりゃ~下手すりゃ~よ、お頂戴できるかも知れんと思っての、そのままズーズーしく今晩はと言って敷居を跨いたなそうじゃ。 もっとも、口実は秋の稲刈りのことじゃったようじゃがの」。 「稲刈り、なんでまた、百姓なら自分でやるだろうさ?」と、浅倉さん。 「まぁな、ところがよ、この家では親父殿が既に亡くなっていての、70近いお袋さんと二人だけの生活じゃったんだよ。 家督の兄さんもおったのじゃがの、東京に出稼ぎに出ておって事故に遭いコロリと逝ってしまった訳よ。 何十階もある板場から、足を踏み外したとなりゃ~さ、良くて半身不随と言うところじゃろうが、それが地面に叩き落ちもんだからひとたまりもねぇさ。 即死したらしいな。 それからさ、酒癖の悪い亭主に三行半(みくだりはん)を突きつけ帰ってきたと言う訳よ。 田んぼはさ、毎年この東平ドンに頼んで耕作してもらっていたと言うことよ。 だから、うんちくを知っていると言う仲な訳よ」。 「なるほど、で、どうしたいその東平ドンは?」と、今度は私。 「おー、そうだった、前置きが長かったな。 でな、夜這いは成功したらしいんだワサ。 それはいいが、その女のな、フトンの辺りに妙な物が転がっておっての、何だろうと思ったが聞くもせずに終わった後に黙って持ち帰ったなそうじゃ。 何だと思う?」と、ホンダの爺さん。 「サイフか、女だけに肌身離さずと言うこともあろうからな、多分?」と、チョビ髭さん。 「チョッと、長いもんだぞ」と、ホンダの爺さん。 「なにーっ、長いもの、擂り粉木(スリコギ)か、まさか?」と、私。 「いやっ、あれだろ、ほら、膨らましたチョッと長い風船かも? でもあれかな、すべりが悪いか?」と、浅倉さん。 「ハハハハ、まぁさ、色んな道具はあるさ~な。 それがな、なんと、ソーセージだったんだよな」と、ホンダの爺さん。 「ほう~、なるほどな~、あれならよく似ているかもなぁ~」と、チョビ髭さんがニヤケて言う。 「そのソーセージじゃがの、ウインナーもあるがその違いが分かるかい? まぁ、ウインナーは羊の腸を利用したものじゃが太さが20ミリ以下ということだじゃから、 4、5歳児のチンポコと言うことになるの。 これじゃ~、使い物にゃならンワナ」と、ホンダの爺さん。 「カマボコもあるな、あれじゃ~あれかな、フニャフニャしてチンコの代用にならんか」と、浅倉さん。 「そうか、となると、フランクフルとか?」と、チョビ髭さん。 「それもある、じゃがこれは36センチ以下で豚の腸に入ったものじゃからの。 三十女とお寺の鐘はさ、突けば突くほど唸り出すと言う唄があるようにさ、何となく物足りない感じがするだろうな。 となると、牛の腸に入った36ミリ以上のポロニャソーセージと言うことになるな」と、ホンダの爺さん。 「それだったんだ、その拾い物は?」と、チョビさん。 「そうよ、よくしたもんだぜ、大分研究したような女(ひと)だな。 それでよ、野朗め東平がよ、その持ち帰ったソーセージに齧りついて食ってしまったと言うからビックリしたよ」と、ホンダの爺さん。 「なんだとーっ、食ったーっ! どんな味がしたんだよ、臭かろうて?」と、チョビさんがビックリしていた。 「それがな、こんな物がいらんようにさ、これから本物のソーセージを食わしてやるから必要ねぇと言うたらしい。 半分は、ソーセージに焼餅を焼いたんだろうて近所じゃ言うておるよ。 ソーセージの中身なんかはさ、作っている奴と神様しか知らんと言うな。 そのほかによ、法律とソーセージはよ、作る過程を見ない方がいいとも言うな」と、チョビさんがご披露していた。 「どうしてなのさ?」と、私も食い込んで見た。 「そりゃ~あんた、その家庭や店の秘伝があるからさ。 何を混ぜているかは、だーれも知らんさ。 法律だってさ、どんなに綺麗にまとまった法律と言ってもよ、出来るまでの過程でよ、醜悪な根回しなんかあるらしいんだワサ。 だからよ、見ない方はいいと言うわけよ」。 「なーるほど、挽肉や牛とか羊のグロデスクな腸を思い浮かべたなら、食えないもんな。 こりゃー、見ないに限るな」と、浅倉さん。 「だろう? 口に入る物を一々見たり聞いたりしたんじゃー、料理なんてものは食いづらくなってくるものよ。 あれだってさ、暗いからとてよ、いわんや見なくとも入るもんだろうさ」。 「ちげぇねぇ」と、一同で笑ってしまった。 この東平さんの話題で、ソーセージ類の勉強にもなった。 単なるお色気話しのみならず、この爺さんの博学には脱帽である。 「普段着の 話しに栄える 年の功」と、言うところなのであろう。
2013.06.30
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わが飲み友の浅倉氏が、真面目に相棒の爺さんにこんな話しの質問をしてきた。 「ねぇホンダホンダ(そうだそうだ)の爺さんね、つかぬことお伺いしますがね、お宅のお孫さんのA君さ、何で計理士だか税理士の勉強しているんです?随分と、地味な仕事だと思うんだがな、外にあったろうにね?」と、奇妙なことを言い出した。「本人が選んだのだから、それでいいと思うよ。もっとも、ある会社の経理課で働いている大学の先輩に言われてのことらしぃんじゃがな。そう言うあんたも、経理マンだったろうさ」。「まぁね、信用金庫だったからね。あの頃は、残業が多かったが今はどうなのかな」と、回想する風だった。「実はな、これにも裏があってとのことだったな、確か」。「ウラッ、どんな?」。「あのさ、もしだぞ、もしもの話しじゃがの、どこの会社にも色んな職種があるだろ?例えば営業とか、あるいはお得意さん係りとか配送だやれ在庫係りだとかとな、その中で一番安定してしかも会社の実情を把握出きる部署はどこだと思う?」。「そりゃ~なんたって経理だろうな、あっ、そうか?」。「なっ? その上にさ、上司とも一番付き合っている立場だろうがさ」。「と言うことは、クビにもなり難(がた)い部署でもあるかもね、確かに?」。「分かっているんじゃないか。それだけじゃないぜ、会社の内容も分かるしな、オマケに情報も早く把握出きる立場だろうが?」。「ついでにあれだな、会社の内部抗争もキャッチ出きるという訳か、なるほど」。「まぁな、派閥争いは別としてな、要は会社の内部事情がいち早く認識できるという立場だろうがさ」。「まっ、俺の時は営業と言えやぁ預金の獲得と、その預金をすぐ使わせないことだったがな」。「使わせない、どうして?」。「たった2,3日で払い戻しされたんじゃさ、預金金利を持って行かれてさ、こっちが貸付しないうちに金利掛かったんじゃ、合わないからですわいな」。「な~るほど、貸付金利が産まないうちじゃ両刃の鋸(のこぎり)にゃならねぇか。でもよ、普通預金じゃ大した金利でもあるまいて」。「だからね、せめて短期定期預金などにしてもらう訳ですよ。その実績がね、要するに優秀な行員と言うことになる訳でさ。もっともよ、更に貸付損の無い貸し出しすることも重要な要素でもあるがね」。「それはそうだろうな、しかし、銀行が潰れないと言う神話は滅びたな。大分前になるがさ、確か北海道の拓殖銀行が一番の走りだったかな、その後はバタバタと倒産した銀行が多かったな。その潰れた時にの、大学の先輩がさ、サラリーマンになるなら経理部門に、出来れば経理士になりなと諭(さと)したなそうじゃ。お蔭げさまでの、今はまだ計理士見習いじゃがな、なんと驚くなかれある会社の部長さんがの、自分ところの会計資料をな、そっと孫の経理事務所に持ち込んで精査してくれと駆け込んできたらしぃんだわさ」。「なにーっ? 自分とこの経理がやったのをかね?」。「そうよ、売上がある割にはどうして経費をきつくして来たか、疑問に思ったらしぃんだな。ゴルフ接待も出来んようじゃ、お得意様係りが出来やしないとな。それはいいんじゃがの、その帳簿がさ、水増し会計だったことが分かったわけよ」。「で、どうしたのその後?」と、浅やん。「そこでさ、この部長さんがな、部下である課長をそっと呼んで聞きただしたなそうだ。ところがこの経理課長がさ、このことをもっと上の専務に報告したらしぃんだわさ。それから一月もしないうちにな、この部長がトンでもない辺鄙な支店の課長に格下げされての、飛ばされてしもうたなそうじゃ」。「なんと、じゃー誰がその帳簿を改ざんしたの?」。「その専務さ。なっ、経理に疎(うと)かったり経理部門にいないとさ、正直者がバカを見ることさえある訳よ。誰が振るいに掛けられ落ちこぼれされるか、地獄耳じゃなくともよ、早めに情報が入る部署とでも言えるかもな。」。「なーるほどなぁ、確かにそれは言えるかも知れんな。もしもの会社の倒産だって、こりゃー早く情報が入るもんな。なにもさ、銀行に限ったことじゃないがね」。「それはそうとお前さん、倒産を予想して会社勤めしている訳じゃねぇだろうな。気が休まる暇がねぇじゃねぇかよ、それじゃ、え、の?」。「いや~ぁ、奥の手がありますからねぇ。会社の痛い所ですがね、へへへへ・・・・・・・。余所の人はね、上司の後ろにピッタリ食い付いて歩みますがね、私は上司の爪先を見て歩いて居ますんでね。一歩先じてね、何を望んでいるかを読みませんとねぇ。もっとも、もしもの場合にゃ首になる前にね、余所の会社に飛び越えますがね、その時ぁ~ね。そんな訳でね、同業者とも良きライバルとして懇(ねんご)ろに付き合わせてもらっていますよ、はい」。なんとも、今流のサラリーマンも居るものだ。「上司の 爪先見つめて 明日を知る」。
2013.06.24
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「意外と、燃えそうな女(ひと)なそうだぜ」と言って、座布団を引き寄せる浅倉さん。 ここは、いつも屯する健康ラウンド式温泉場である。いつものように、仲間4,5人が集って何やらお色気話しが始まった。今日は、「敬老の日」とあって、65歳以上の人は入場券1.260円は無料とのことである。そのためか、座敷式食堂兼ホールは「敬老会」のように混雑していた。そんなことを予測した仲間のおトヨおばさんが、早めにお風呂から上がり我々のための席を確保して待っていた。「どの女(ひと)のことよ、うん、浅やん?」と、デカ上がりのチョビ髭さん。「斜めお向かいのさ、あの小太りの人さ。まだ40ちょっとかな、後でここへ来てもいいかと言っていたっけ」。「俺は、知らん人だな」と土建屋の「ドラ太」さん。「あたしの知り合いよ、もっとも、ここで知り合った仲だけどね」と、おトヨさん。「あの人、あんまり歯並びが良くないね、唇も前に出ているような感じがしたな」と、浅倉氏。「そうか、じゃーあれだな、その燃えるは当たっているな、きっと」と、「夜這い色気話し名人」の「ホンダホンダ爺さん」。「どうしてさ、確かに体つきはそんな感じもしないでもないが、あのお顔じゃーな」と、朝倉氏が首を振る。「いいかぁ、昔からな、歯並びの良くない女(ひと)はよ、あっちの方が好きだと言う言い伝えもあるくらいだぜ。嫁に貰ったならさ、家が傾くとさえ言われたもんさ」と、ホンダの爺さん。「なんでぇさ、どんな関係や?」と、土建屋の「ドラ太」さん。「知らんかったか、あんまり人(男)にモテないからさ。それでな、ストレス持ちになってさ、あっちの男こっちの男と言う風に渡り歩く癖を持っていると言われているのさ。それによ、気が強くてな短気な場合が多いと言うぜ」。「おいおい爺さんよ、ホントかい?じゃ、俺が目付けられたと言うんかい?」と、浅やん。「かもな、ちゃんと退職金しまっておけよ、な、おい?」と、ドラ太さん。「そう言えばな、そう言うタイプはさ、爺さんじゃないが確からしいぞ。大体にしてな、歯並びが悪いとさ物が詰まったり虫歯になったりもする。それが高じるとな、舌の安定感もなくなりイライラするらしぃんだよ。そうなるとさ、精神面でも安定感がなくなり自棄(やけ)になるときもあるらしぃんだな」と、チョビ髭さん。「そう言うこっちゃな、そのイライラがさ、人間関係をギクジャクにしてさ長続きしなくなると言う訳よ。だから、ついあっちの男こっちの男と渡り歩いてしまうらしいな。だからさ、遊ぶにはいいかも知れんがな、嫁にはもらえねぇとなる訳よ」と、ホンダの爺さん。「なんだよ、歯を隠して尻隠さずって訳かい。たまんねぇな、そんな女をよ女房にしたらさ、満足に家も空けられねぇだろうて」と、ドラ太さん。「で、どうするの、呼ぶの?」と、おトヨさん。「浅ヤンが、いいってさ。たまには、ゲテ物もどうや、うん、浅やん?」と、チョビ髭さん。「そりゃおもしれぇ、どうせそんな女だったら長続きはせんだろうからな。試してみな、俺はそれからでいいさ」と、ドラ太さん。「冗談じゃねぇさ、折角入れた高い金歯を抜いて持って行かれるがな」。とは言え、もっとも最近ではこうした歯並びの悪い人は見受けなくなった。年頃になれば、歯科整形する関係で綺麗な歯並びになる。従って、それなりに欠点を補っている関係上自信も付くのであろう。とは言うものの、本来持って生まれた性格や潜在的な心の屈折はどうなのだろうかと思った。一人の男に満足しないこの欠点は、中国の「観相学」でも言われていると言う。「歯」が、こんな重要な意味を持っているとはまた一つ勉強になった。「ネズミより 身上(しんしょう)噛み砕く 反っ歯女(びと)」、血統を確認しないといかんかな。
2013.06.15
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