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「あのよ、うちのすぐ下のよ、50過ぎのダンケ(旦那)がよ、一昨日の朝方ジョギング中に倒れてよ、救急車で病院に運ばれたらしいんだが、知っている?」と、わが町内会の高台に住む水道工事屋の章ちゃんなる人が、庭を掃いていたならお早うも言わずにいきなり言い出した。「救急車、で、誰だい?一昨日か、ピーポーピーポーなんか聞かなかったぜ」。「あたりめぇさ、ジョギングの途中だもんな。バイパス越した向こうの公園近くらしいからな」。「交通事故かい?」。「いやな、あれだってさ、心筋梗塞だってよ」。「なにっ、死んだのか?」。「そう、早めに殺すなよ。熟睡中と言ったら語弊もあるがよ、まぁ、昏睡状態と言うことらしいな。常日頃、元気な筈だったんだがさ、こうした病気はいつ襲い掛かって来るか解かったもんじゃねぇな。もっともよ、空気のいい朝のジョギングも気持ちがいいだろうがさ、実はよ、あまり褒められた運動じゃねぇそうだぜ」。「なんでぇや、結構やっている人が多いだろうよ」。「それなんだがさ、医者が言うにゃよ、起きて間もねぇ運動はよ、自殺行為に等しいんだってさ」。「なんだと~、いつ医者から聞いたのさ」。「お隣同士だもんな、一応病院に駆けつけて見たさ。そこの医者の先生がそう言うておったよ」。「なんで自殺行為だと言うんだよ、健康保持の運動が?」。「それそれ、それよ、普段は素人はそう思っているらしいがよ、実はさ、これが命取りになることもあるんだってさ。聞く由によるとよ、人にゃよ、交感神経と副交感神経なるものがあってな、この神経が完全に目を覚ましていねぇ時によ、運動するてぇとな、頭が覚めていても体がまだ寝ぼけているんだってさ。要するによ、非常に不安定な時間帯らしくてな、下手に運動するてぇっと、脳梗塞とか心筋梗塞が起きやすいんだってさ。なんか知らんがよ、眠っている時にゃ休息モードで起きたときにゃ緊張モードとか言う自律神経の働きがあるんだってさ。そんなもんでな、まだ休息モード帯の体に負担のかかる運動をするてぇっとよ、この手の病気でコロリと行く時もあるんだってさ」。「おいおい、おんかねぇ(恐い)話やな。それじゃ~さ、朝の運動も出来ないだろうさ。一、 二の三のラジオ体操も出来やしねぇじゃねぇかよ」。「いやな、あの体操はそう体に負担のかかる運動じゃねぇそうだ。心臓の鼓動がよ、忙(せわ)しく活動する訳じゃねぇから負担がかからねぇそうだ」。「なるほど、それを聞いて一安心だな。そうか、起きてすぐのジョギングは危険と言うことかいな。いいこと聞いたな、これは」と、私も納得した。起きて歯を磨き、顔を洗い服を着替えるなどの一連の動作のうちに交換神経が活発になり、いわゆる緊張モードになる訳である。この緊張モード内は、頭が覚めていても体はまだ不安定で自律神経が不活発な状態なのであると言う。そんな状態でのジョギングは、ひどい時には突然死などもあり得ると言うことらしい。章ちゃんの朝抜けのお話しであったが、またしてもまた一つ勉強させられたいいお話しであった。メタボだ、やれ生活習慣病の是正だと言って、やたらと朝の起きがけにジョギングとしゃれる昨今だが、どうしてどうして裏を返せばこうした危険も潜んでいるらしいから気をつけねばなるまい。健康維持どころか、心臓にダメージを与え最後に「ご苦労さん、あの世でごゆっくりお休み下さい」では、本人ならず家族や周囲に大変な迷惑であろう。と言うことは、もしやろうとするならば一日の活動の継続中ともなる夕方の方が無難だと言うことにもなろう。もっとも、日頃から夫婦間で揉め事の絶えないご家庭であったならば、むしろ吉報と言うことにもなるかも知れない。「あんた、朝っぱらからゴロゴロしていないでたまにはジョギングして来てよ。お掃除もままならないわ」。と言って追い出したなら、途中で旦那が引っくり返って居て二度と帰って来なかったなどと言う朗報もあるやも知れない。「父ちゃんが メタボで残した 家族愛」などと言う、奥さん思いの方も出て来るかも知れないから・・・・・・・?「あ~ぁ、良かったです。私は痩せ型なもんでね」と安心するお父さんもおありであろう。「吹けば飛ぶ 亭主小食で かかぁデブ」ってなことで、かかぁだけが美味しい物を頬張って居るご家庭も、あるいは?これを評して、「蚤(のみ)の夫婦」とも言うが。
2013.09.29
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10日ほど前のことだった。台風のドン真ん中での露天風呂は、どんなもんだろうかと奇異なことを思い浮かべさっそく支度に取り掛かった。女房が、嵐にさらわれて運転を誤るから止しなさいと顔を膨らしていた。どう言う訳か、そんな悪天候になると何となく出て歩きたくなる。昔から、「へそ曲がり親父」と家族や周囲から言われっぱなしであったから今さら気にもならない。「遣りたいときにはやる」と言う、ただそれだけのことだ。何時も行くサウナ付き温泉は、街外れのちょっと小高い山の傾斜面にある。と言ったところで、がけ崩れが起きる様なそんな危険な場所ではない。なだらかな、ゆるい山間(やまあい)になっていて周囲には畑もあり今がそのリンゴの収穫期でもある。この小高い丘の温泉から眺める前方には、果てしなく田んぼが広々と永遠に続いて見える。あまり変わり映えしない風景だが、これがまたのんびりして気持ちが良い。実の詰まった金色の稲穂が、重そうに頭(こうべ)を垂れてこれもまた果てしなく続く。ちょっとした、絶景でもあり解放感この上ない。雨が降ろうが風が吹こうが、温泉には休みは無いはずだと思い余り雨の降り出さない間にと思い、先ず外へ出た。と思い気や、もう降り出してきた。テレビからの報道からしても、どうやら台風到来の影響とのことでそう簡単に止む様な天候ではないようだ。そこで、こうも鬱陶しい天候であるならばどこに居ても変わり映えはしない気がした。そうであるならば、雨の中の露天風呂にお盆でも浮かべての一杯も悪くもあるまいと友人に電話を入れた。案の定お相手の大将も、暇を持て余していたとのことだった。「じゃ~、温泉にでも行くか~」となり、めいめいその目的地に向かうことにした。連休の中日でもあるから、きっと混雑するのではと思い気や案外と客足が薄いようだった。やはり、雨が祟ってのことのようだ。温泉に着くなり、先ずもって一風呂浴びるのが通例である。湯船に浸かりながら、相棒のことや四方山話をしているうちにいつしか最近のテレビ関係の話しになっていた。「そう言えやぁあれだな、相撲も始まったな。となるとあれか、当分は温泉もガラ空きかな」と、相棒。「いや、反対に混むかもな。孫どもに、テレビが爺ちゃんに独り占めされると文句も出るだろうからな。そうなると、ここが一番さ。なんたってよ、二階のお座敷にゃご老体用のお座敷にテレビがセットされているもんな。だ~れにもよ、気兼ねすることなく満喫できれゃ~な」。「それもそうだな、臨時の敬老会になるかもな」と、相棒。「そうなるとあれかな、連続物のテレビドラマもお休みと言うことになるな」と、小生。「あ~ん、連続ドラマ~?そんな、俺たちが見るようなドラマがあったけか?」。「なんだ、おめぇ(あんた)さんは、見ておらんのか?」。「見ておらんと言うよりも、真昼間にそんなもの見ている暇がねぇさ」。「まぁ~な、茄子だそれキュウリだと畑仕事じゃ~な。毎朝よ、市場へ持って行くんかいな?」と、相棒。「毎朝と言うわけじゃねぇがよ、二、三日に一度は行かんとな。頼むから、生(な)らないでくれと言う訳にも行かんしな。捥ぎ採らんことにゃよ、変色してさ、土地が痩せたような気がしてどうもシックリしねぇんださ。もっともさ、もう終わりに近づいては来ているがな」。「そう言えやぁ~さ、茄(なすび)の花と年寄の話しにゃ無駄がねェと言うからさ、霜降っても咲くそうじゃねぇか、茄子は、の?」と、相棒。「まぁ~な、寿命がある限り実が生るな、もっともさ、小さくなった実だがな。食べて美味しいもんじゃねぇがさ。だからよ、早めに耕耘機で掻き回して土地を休まさせる訳よ」。「休ませる、土をか?」。「あ~ぁ、そうよ、連作もいかんしな、毎年畑を替えて植えんことにゃの」。「そうなんだ、じゃ~、水戸黄門様のようなわけにゃ行かんと言うわけか」。「なに~っ、水戸黄門?なんだ、そりゃ、・・・・・・・・?」。「連続テレビ番組よ。あれだってな、あの放送番組がさ、徳川幕府260年の間によ、任命された全国の代官のさ、5倍以上の代官様の放送になっているらしいぜ。もうそろそろあれだろうて、平成の代官様を派遣せんといかんのと違うか?」。「なに~っ、平成の代官・・・・・・・だ~?代官と言ったって、そんなのこの平成にゃ存在せんだろうて、な?」。「いや、おる。知事がそれだろうて、の?」。「バカ言え、ご老公様にお叱り受けんでもよ、選挙と言う市民の拳(こぶし)で首に出来ら~ぁな、そこへ直れーっとさ、印籠を出されなくともよ。あの印籠でよ、実際に居た代官の5倍以上も首にしているんだぜ、物語はさ。テレビにさ、生かされている黄門様さ」と、小生。その彼が、お猪口と小瓶をタオルに押し隠し風呂場へと消えた。「風呂へか?」。「まぁな、今日は代官様さ」、と言う。暫くして、わたしも後を追うようにして露天風呂へ。その彼が露天に浸かりながら、「願わくば 黄門様の 如くに慕われて 生きて見たし 夢の夢」と、都都逸(どどいつ)風に鼻唄を唄っていた。しかも、お盆の上にお猪口と徳利を載せて露天風呂に浮かしていた。大雨の中だけに、頭だけはタオルで覆(おお)っていた。「雨水で割って飲んで居るんかいな、日本酒をさ。のう、代官殿?」。「風情(ふぜい)じゃよ、風情・・・・・・・な?」と、相棒。 まさに、言うこと無しの感じだった。
2013.09.26
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最近になって、宅配人のAさんがどう処理して良いのか迷った荷物があった。普通なら、翌日あるいは二、三日中に何らかの問い合わせがあるものだ。ところが何日経っても、その預かり品の荷物の話しが当の本人であるAさんや会社にも何の連絡も無かった。もっとも、飲食料や宿泊料、あるいは木戸銭や席料などと同じく、運送物の損害保障期間は一年以内と言う短期時効の中に入る。年に何個となく、破損する荷物も多い。だが、その破損した物はすべて会社側が受取人と交渉して処理してくれることになっていた。ところが、この受取人であるM氏はその後何の音沙汰も無いのであった。未だ過って無い、ケースの部類である。そろそろ、日永になったこの夏の夕方近くにになって背広姿の二人の男達が荷物ターミナルに遣って来た。その名刺には、「S警察署、捜査第一課」とあった。面会に応じた、カウンター近くの女の子が近くに居た係長にその名刺を渡した。「なんだこりゃ、お巡りじゃねぇようだな、デカ(捜査課)か」と言って、応対に出た。「Aさんと言う方は、居りますかね?」と、一人の私服の刑事が聞いて来た。「はぁ、居るには居ますが、今配達に出ていると思いますが?」と、係長。「そうですか、じゃ、会社から聞きますか?」とこの刑事が、もう一人の同伴の刑事に確認する様に言った。「なんでしょうか、うちのAが、何かしたのでしょうか?」と、係長。「いや、Aさんじゃないんですよ、Aさんが配達為された物について、お伺いしたくてお邪魔した訳です、はい」と、言う。「荷物?・・・・ですか?」。「はい、ちょっと時間が経っていますがね。「いつの、事でしょうか?」。「お歳暮時期の、ことですよ。ですから、去年の暮れと言うことになります」。「もしかして、T街に住んでいらっしゃるMさんの荷物で?」。「あぁ、そうそう、それなんですよ、よく覚えて下さったですな?」。「いやね、破損させたのはうちの配達員でしょ。そこで、Mさんと交渉して処理しょうとしたら何でもAと会ったらしく、どう言う訳かその破損物はどうなったかと、ただそれだけ聞いてそのまんまになっておりますがね?」。「でしたか、やはり・・・・」と、刑事。「矢張り、・・・・ですか?」と、係長。「実はですね、あの荷物の中身に問題がありましてね、その破損した中身の痕跡があるかどうかを、伺いに来たんですよ」。「破損の、痕跡ですって?さーて、大分前の事でしたからねぇ、どうなんでしょうな~ぁ。まっ、お調べしたいと言うのであれば、このターミナルの東外れにゴミステーションがありますんで、そこをお調べください」と、係長は今忙しいとばかりに言ってその二人を促した。そう言われた刑事は、外へ出てから何やら手を挙げた。一台の、黒っぽい車両が入って来た。どうやら、鑑識課の車のようであった。彼等は、すぐそのゴミステーションに向って行った。そこへ、Aさんが戻って来た。すぐに、ゴミステーションに走った。「あのう、Aですが、何の御用でしょうか?」。「あーぁ、いい所に帰って来てくれましたね」と、刑事がニコニコして出迎えてくれた。縷縷説明する刑事の話しを総合すると、このコーヒー瓶の中には覚醒剤が隠されているとの事だった。「覚醒剤?・・・・・・、あのシャブとか言われている、あれですか?」と、Aさんは少々驚き気味ではあったが、「な~るほど」と今合点した。「で、どの辺に捨てました?」。「確か、この辺りかと思いますが」と、Aさん。ゴミステーションが、半分以上もゴミで埋められていた。鑑識の人たちが、そのゴミ山を取り除きコンクリート地面が見える程度までに片付けていた。何やら、見たことも無い器械を駆使してそこの部分を丹念に探し求めていた。と一人の捜査官が、一際高い声を発した。「おい、これじゃないか?」と、一人の鑑識係りが声を弾ませた。白い、粉末を包んだような薬の包み紙が発見された。もう一人の鑑識の人が、静かにその包みを解(ほど)きやがて舐めて見た。「ちげぇねぇ」と言って、ニヤリと笑った。「これで、決まったな」と、刑事もニコニコ笑いながら応じた。後で解かったことだが、二五十グラム入りコーヒー瓶のコーヒーの中に、この薬状態の紙包み数個を入れて発送したものだった。粉末状の中に入れれば、透き通って見えない訳である。しかも、ご丁寧に720ミリリットルの日本酒三本も入れて、お歳暮用の祝い紙を貼って贈って来た物だった。さらに、贈り主も受取人も、同一人物でもあった。贈る時は偽名で、受け取る方も偽名だった。手の混んだ、密売用の代物だった。道理で、壊れても文句を言わなかったと初めて合点した。「こんな事に、宅配を使われちゃ、困るんだよなぁ、全く」と、Aさんは嘆息した。神戸市内で、ある運び屋にガサ(捜索)が入って一人の暴力団風の男が逮捕された。その男から頼まれたM氏は、発送済みした後に市内のサウナに立ち寄った。直ちに、地元の警察がこのM氏を確認し取り合えず任意同行を求めた。その時に、この発送伝票が押収されたのであった。だが、中身は「酒」とこの伝票には記載されていた。そこで、早速ここの警察署はAさんが住んでいる警察署に「ガサ入れ」を申し入れた。だが、何も発見されなかった。当然の、ことだった。肝心な荷物が、破損されて配達不能になっていたのである。だから、どこをどう探しても「ブツ」(覚醒剤)が出て来なかったのである。手詰まり状態の神戸の警察署は、その動向を探る為にある女を尾行することになった。「犯罪の影に、女あり」と言う、格言のもとに張り込んだ。遂に、その女も覚醒剤を使用していることが外の夜の女から情報があった。任意同行の末、腕の針跡を確認して逮捕した。その女の供述から、M氏の発送した荷物の中身が知れたのであった。「女は、情けには強いが取調べには弱い」と言う、ジンクスがあると言う。その通りに、白状されてしまった。この事件は、大した価値のある事件ではないがAさんは深く反省させられた事件でもあった。一生懸命、善意をもって贈る人、贈られる人の気持を大事にして、その業務に誇りを感じて努力しているのである。それが、こうして犯罪に利用されるとは情けなかった。ただ受け取り、ただ配達するだけの業務ではないのである。そこには、その荷物を取り巻く人達の掛け替えの無い心と人生ドラマが隠されているのである。そして、知り得てはならない個人の秘密や情報がその中身となって運ばれているのである。「たかが荷物、されど荷物」である。だが、その荷物は黙して語らずだがその相手に届いた時に初めて大きく物を言うのである。そう思って、今日も雨が降ろうが雪が舞うであろうが風が吹こうが天から与えられた天職として、これらの荷物を待つ人々の為に邁進するのみであると、Aさんは改めて決意するのだった。また、今年も実りの秋がやって来た。新米であろうこの荷物を、早く届けてやらねばとアクセルを踏む。 「この荷物 物は言わぬが 待つ人に 幸を届ける 飛脚の心」。 故意にそうする訳は無いが、偶然にあるいは誤(あやま)って破損することもある。
2013.09.21
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「ところで先生よ、ちょっと余分なお話をお伺いしますがね、ある道路際の病院の看板ですがね、あの数多い科目の医療ね、あれ本当に全部資格持って掲げているんですかい?いやいや、先生の病院の看板のことじゃありませんよ。念のため、誤解なさらないように」と、元銀行上がりの浅倉さん。「看板? 看板ね、・・・・・・、これは参ったな」と、「裏半髪先生」が口篭もった。「いかんこと、聞きましたかな、先生?」。「うーん、厳しいご質問ですな。しかし、なんでまたそう言うご意見で?」と、先生は困惑したお顔をした。「いやね、先だってうちのカミさんがね、腰痛やら肩こりでね満足に夜も眠れないとね言い出して、それである病院に行ったんですよ。もうかれこれ、10日近く通っているんですがね、ちっとも良くならないとこぼしているんですがね」。「腰痛ねぇ、立てないくらいかね?」。「いや、むしろ夜寝ていてね、朝方近くなりますとね、腰の何と言いましょうかな、そうそう、腰の下の辺りから大腿骨にかけて痛み出すなそうですワイナ」。「片方ですか、それとも両方?」。「そう、両方なそうでね、やたらと寝返りを打ってますワー」。「うーん、両方ね、これもしかすると年かもね、多分、年齢から来るもんでしょう?」。「とし? つまり年寄りって訳ですか?」。「まぁ、その人によりきりですがね、大抵は60過ぎますとそう言う異常が現れますがね。そうだね、むしろマッサージの方が良いかもね。それに、こうした温泉の湯上りにほぐすと楽になりますよ。放っておきますとね、頭痛が酷くなります上に自律神経失調症を引き起こすこともありますからね、マッサージが一番ですね」。「そうですか、やはりマッサージね。ところで先生、さっきのお話しですがね、あんなに診療科目が多くてね、個人医のお医者先生があれだけのご専門の医療が出来るもんでしょうか?」。「おうおう、それそれそれよ、あんたいいとこに気が付いたな。俺もそう思うことがあったな、やたらと外科から内科、形成外科から酷いのじゃ泌尿器科の果てまでさ、ありとあらゆる科目と言いたいくらいさ、羅列された看板があるよな。あれってさ、本当にそれだけ出来る専門の先生がいるんだろうかね、先生?」と、今度は「チョビ髭」さんが食らいついた。「そうだよなぁ、一人のお医者さんであれだけの診療が出来るとは考えなれねぇなぁ。でぇいち、一つの科目を終了するにゃ先生、何年掛かるんです?」と、今度は土建屋の「ドラ太さん」。「これは参ったぞーっ、総攻撃ですかい、参るねぇ」と、「裏半髪先生」が頭を掻き始めた。「言いにくいじゃないの、商売柄」と、私が水を注した。「あ、そうか、それはそうかもな」と、浅倉さん。「先生、かーるくでいいんですよ、かーるくね」と、チョビ髭さん。「ハハハハ、かーるくか、かーるくねぇ」と、先生は復唱するように言って、「そうだねぇ、これも医者の務めかもね」と言って、渋々言い出した。「もっともね、最初から藪医者だと言う観念は困りますよ。そこはよく、御聞き届けてくださいよ、誤解があっちゃー困りますもんでね」。要するに、看板通り全部出来るわけではないなそうである。どんな看板を掲げるかは、医者それぞれの裁量に任されているなそうだ。医療法と言う法律では、「33の診療科目」が定められているらしいのだが、その中からどれをどれだけ選ぶかは個人医師の自由なそうである。「これだけの科目を診療します」と、厚生労働大臣に申請すれば良いとのこと、詰まりはこれはダメですという根拠はないと言うことのようである。と言うことは、やったことのない科目を堂々と掲げている場合もあり得ると言うことである。と言うのも、大学でそうした科目のちょっとした講義を受けた程度でもって開業もあり得ると言うことのようで、これは要注意と言う診療も考えられることもあると言う。である場合もあるから、出来れば「バカの一つ覚え」のような診療科目の少ないお医者さんを選ぶ方が、むしろ自然でありまた不安が無いではないだろうかと、遠まわしのご意見を戴いた次第だった。とは言え、最近に於いてはむしろ全身を診るお医者さんが増えたなそうである。と言うのも、専門講義で習得するというよりも薄く広く学び、ホームドクター的に対処することが求められているなそうである。「これはどうもあるいは?」と、疑問を呈する病気などがあった場合は直ちに専門医を紹介すると言う、システム化の促進の為でもあるらしい。と言うことは、あるいは「専門バカ」では他の病気の発見が遅れることも予想されるからであろう。そう考えれば、なるほどなんであれ「早期発見」の為には、多少の専門以外の医術を心得ていてもらった方がいいのかもしれない。「こりゃこりゃ、おらぁブッターマゲタ」と、浅やんが反対に頭を撫でていた。あり難い、貴重なお話しを賜った次第である。である以上は、我々患者側もそうした眼を養う必要があるような気がした。やはり「医は任術」と言うように、むしろそれ一本だけの医術しか出来ない本物の病院を選ぶことも肝要であるが、専門医でなくとも病状によっては他の医師や病院などへの紹介も多いと言う。そう言うためにも、出来るだけ病気の早期発見と言うことからしても診療科目を多くしている方が良いとのことだった。今まではやたらと多過ぎる看板は、あるいは医師としてのモラルを疑いたくならざるを得ないのではと思っていたが、どうやら眼のウロコを取ってもらった感じがした。「看板に 偽りあるか 医療ミス」では無しに、どうやら「診てもらえ 出来ぬ医療は 紹介す」と言うことのようで安心した。
2013.09.17
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「記、ご注文の件について、ご連絡を申し上げます。当注文につきましては、弊社にて商品情報の扱いに手違いがあったため以下の通り、誤った販売価格でのご注文の承りとなりました。この度は大変なご迷惑をおかけすることになり、深くお詫び申し上げます」。と言う通知やメールが来たならば、皆さんはどう致しますか?これは、実際のお話しである。どことは言わないが、メールで買い物が出来るメデァであることには違いない。しかも、その契約した代金の差額は5000円前後だった。その代金は前払いであり、既に注文の荷物が到着してからのこの文書である。みなさんなら、素直にこれに従いますか?注文を受け、伝票を整理し支払を要求しその代金の確認をし、その上で発送し買主に到着後に実は値段が違いその差額を払ってくれと言うことのようであるが、これは考えようによっては「振り込め詐欺」のように思われても仕方が無いのではないだろうか?いや、あるいは新たな手の込んだ余分な額の取り込み詐欺なのではと、疑いたくなるようなミスに格好つけた商法のような気がした。しかも、現金で振り込むかあるいはポイントから差し引くと言う物である。これが、今始まったことなのかあるいは前々から行われていた物で、その成功率からの詐欺まがいの商売だったのかどうかは分からない。善意に解釈するならば、あるいは価格の改定をするのを忘れて旧価格にて販売してしまった。そこで、このような手段を選ばずにおられなかったと言うことなのだろうか?確かに「限定品」などであれば、止むを得ず不愉快であっても送金若しくは何らかの同意をせざるを得ないこともあろう。時には、カード会社と提携しているユーザーだっていることだろう。そこから、勝手に引き落とされていたなどと言うこともあり得る訳だ。また、気の弱い人からならばなおさらのことであろうし、「シメシメ、上手く行った」と言う裏で微笑む図太さがチラホラ見えるような気がして仕方が無い。一件二件ならず、相当な数の請求ともなればただ事ではない金額が転げ込んで来ることにもなろう。やり方によっては、最初から安い値段を設定して置いて注文が確定してから実は価格が間違っておりましたと言う、どうも「差額詐欺商法」のような気がしてシックリしない。こんなことが罷り通るとなると、安心して「ネット買い」が出来ない気がした。そんなことよりも、たかが「5000円前後」のお金でこうしたことをバラ撒いて、それこそ会社の信用に関らないとでも言うのだろうか?間違ったや手違いは、売主側の責任であるのに追加料金とはどうも解せない。ここまでにしても、ネット通販の信頼度を妨げてよい物なのだろうか?聞く由によると、そのお知らせタイトルに買取人の本名が書かれたあったと聞くが、こうしたことでヒョッとして個人情報が漏らされているのではと、ビックリすることだってあるだろう。いずれにせよ請求が来れば、大半はやはり振り込むかあるいは引落しにあうのも仕方ないと思う人が多かろうと思う。だが、その価格そのものが本当に誤った値段だったのかはユーザー側としては調べようも無かろう。仮に事実であったとしても、上場している会社のやることではあるまい。勘ぐれば、「いいか、手数料含めて5000円前後で押さえておくんだぞ。それ以上となるとさ、世間が騒ぐからな」などと、そんな裏があるような気がしてならない。少額だけに訴えどころの無い範囲の詐欺行為、せいぜい消費者センター程度への相談ぐらいなもので、注意を受けて「はい、それま~で~よ~」と言うことになってしまいそうである。こんなことが、罷り通っていたんでは「ネット通販は恐い」となり、他の業者などにも影響が必至であろう。自社のミスとして、未だ学生気分が抜け切れない若い社員が多いのでと覚悟して、お知らせ程度にして不問に帰すかべきが商法の基本のような気がした。買う方は、安いから買うのでありミスを支払うために買う訳ではあるまい。「釣銭の 詐欺より恐い 差額盗り」。 ・・
2013.09.13
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いつも屯する、健康式温泉ラウンドでのことだった。「やぁー、全く参ったよな、俺んとこの近くのよ、蕎麦屋の親父がよ、認知症に罹(かか)っちゃたんだよな」と、温泉仲間の土建屋のドラ太さん。「まぁ、よく聞く話しだな、頭の中が空っぽで幸せだろうな、きっと」と、元銀行員の浅倉さん。「あれだってな、男がこの手の病気に罹るとよ、最後まで覚えているのは女房の顔なそうだな。後の周囲のことはさ、覚えていねぇと言うらしいな」と、元デカのチョビ髭さんが言う。「そうなんだ、かかぁだけは忘れねぇんだ?その割りにゃーさ、食ったばかりの飯を忘れてまた食えたがるなそうじゃな。だからよ、そうした食い物などはよ、残さない程度に作ってさ、家族みんなで食い残さねぇように注意せんとならんなそうじゃ。下手に残しているてぇっと、犬か猫でも悪戯(いたずら)したようにな、食い散らしているそうだからな」と、73、4なるお色気話し名人のもしもしの爺さんが言う。「もうこうなりゃーな、人生お終えだな。でさ、かかぁがこの手の病気に罹ったなら、やはり旦那だけは忘れねぇだろうな?」と、浅倉さん。「冗談じゃねぇや、それがな、一番先に忘れるのは旦那の顔なそうだぜ」と、チョビ髭さん。「なんだと~? インプットされていたと言うことかいな?」と、再び浅倉さん。「もあるんだろうがさ、多分亭主の嫌な部分が多かったからじゃねぇか。そればかりじゃーねぇぜ、かかぁが亡くなるとよ、亭主は3、4年で後を追うようにして死んで行く事が多いってさ」と、ドラ太さん。「じゃー亭主が亡くなったなら、どうなんだろう、かかぁは?」。「仮によ、70を越していたとしてもよ、かかぁはさ、それから15年も長生きするってさ。これはさ、医者の診療のデーターから出ているんだってよ。だからよ、元気なうちにかかぁに務めておかんとよ、その蕎麦屋の親父のようにさ、脳病院(精神病院)に入れられてさ、はい、さようならされるぜ」と、ドラ太さん。「そうかぁ~、女にゃ敵(かな)わねぇわけだ。いい思い出をつくってやるったってな、こう年金暮らしじゃ~な。あっ、そうか、こうした温泉がいいかもな・・・・・?」と、浅倉さん。「そうよな、この仲間じゃホッポーが一番若くてあんたが二番目に若いもんな。遅くねぇぜ、かかぁ孝行もよ」。と言っていたもしもしの爺さんが、最近見えないと思っていたら認知症に罹っていたとのことだった。見舞いに行ったチョビ髭さんに、「お前も俺を縛るのかーっ!」と言って、いきなり一物をつまみ出し小便を仕掛けてきたなそうである。「で、覚えていたかい、あんたを?」と、浅倉さん。「そんなところじゃ無かったな。徘徊するらしいんでな、ベットなどに括(くく)りつけられていたよ。あの痩せ体で以ってよ、結構な暴れ方をするそうだ。もうとっくに、俺の顔なんざぁ~忘れられていたよ。ビックリする前によ、情けなくなってさ、俺もそんなことにならんとも限らねぇと思ったらさ、身の毛が与奪ってきちゃったよ、まったく・・・・・さ。それにな、家族が疲れ切っておったようじゃな。無理もねぇや、気違い(狂気)を飼っているようなもんだもな」。「そうだったんだ、あのしっかり者の爺さんがなぁ~。確か、ばぁさんが先に逝ったんだったな?」と、ドラ太さん。「次は誰の番だろ・・・・・・?」と、浅倉さん。「なんで俺の顔見て言うんだよ、年の順番だって言うんかいナ、え?」と、いち早くチョビ髭さんが幕を張った。「まぁな、これだけは年齢の差はねぇそうじゃ。若いもんだってさ、罹ると言うからな」と言って、安堵の言葉を求めるようにドラ太さんが言い放っていた。「まぁ、罹ったら罹ったでしょうがねぇがよ、自分の糞まで食い散らすとなると、もう人じゃねぇようなもんださ。情けねぇで済まねぇ話しだぜ、泣けて来るよ」と、チョビ髭さん。「なにーっ、・・・・・・・糞まで摘むーっ・・・・・、誰が、まさか爺さんじゃねぇだろうな?」と、浅倉さん。一瞬、みんな黙ってしまった。暫く座が白け、飲み込んだビールが生暖かく感じられた。ややしてドラ太さんが、「逝くときゃ、コロリと逝きてぇもんだな」と言って立ち上がり、風呂場へ向うようだった。「血圧が高いんだろ、湯船に浮んでいたりしてな」と、チョビ髭さんがドラ太さんの背中に揶揄したように話しかけた。「そうか、コロリと浮ぶ手もありか」と、浅倉さん。「おいおい、冗談じゃねぇや。逝くなら盆前とはよく言うがさ、古希も迎えずに逝っていられるかいってんだ」と吹き飛ばす風だったが、ややして「血圧か~」と言って座り直した。いつも身近にいたあのお色気名人話しのもしもしの爺さんが、急にボケ出したことに妙に他人事ではない雰囲気に包まれていたような気がした。それにしても、「ボケた」からとて本当に汚物まで判別出来ないものなのだろうか?「招かざる まさかの病魔の わが身かな」も思いもよらないが、しかし誰にも起り得ることも確かなのである。「なぁ~に、今まで生きてきただけでも得したと思いやぁ、後の人生は見っけものよ。面白く飲んで食ってさ、いい爺ちゃんだったと言われれば本望よ」と、チョビ髭さん。「まぁな、逝くなら盆前とか言ったな。早めに拝んでもらえるからな」と、小生。「あ~ん、おいおい、盆はもう終わってしまったよ」。「そうだな、なんとか今年はクリャできたか」。「誰が・・・・・・・?」「誰がってさ、みんな今居る連中がさ」。「まぁな、盆が来るたんびによ、死神様を呼ぶこたぁねぇだろうて。そうだ、その気で行こうじゃないかとか言う歌もあったじゃねえかよ。確か、畠山みどりの出世街道とか言う唄だったかな。♪~他人(ひと)に好かれていい子になって、落ちて行くときゃ独りじゃないか、どうせこの世は、一本どっこ~♪、かぁ~」と、ドラ太さん。「随分と、古い歌が出てきたな。そう言えやぁあれだな、そんな風に生きて来たんだかもなぁ、お互い・・・・・」と、浅倉さんもご納得のご様子。「仲間消え わが身を振り向く 苦い酒」。
2013.09.03
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