遊心六中記

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茲愉有人

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2025.08.05
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カテゴリ: 観照


5番目は鯉山。


見物している位置からは、鯉山に搭載された宮殿が山籠に一部入り込む形で搭載されていて、鯉の向こう側になりますので、見えません。
前に鳥居が立ち、鳥居をくぐる形で大鯉が搭載され、 大鯉の瀧上りの雄姿 が見えます。

欄縁は浪しぶきが立つ波濤文様の金具 で装飾されています。

ホメロスの書いた長編叙事詩「イーリアス」(トロイ戦争の物語)の場面を描いたB.Bタペストリー から切り分けられたパーツが懸装品に仕立てられています。
このB.Bタペストリーは16世紀に製作された織物です。 (資料1,2)
欄縁下の水引 元のB.Bタペストリーの上部の周縁額部分 です。

胴懸(東)はタペストリー中央図柄の右上半部分を中国の官服の龍文様とつないだ形 です。
これらは復元新調された作品。


見送は、タペストリー中央図柄の左半分 を使っています。

ブラバン・ブリュッセルで制作されて日本に輸入された「イーリアス」の叙事詩の場面を描いた6枚のB.Bタペストリーの1枚。 「トロイ王プリアモスと王妃ヘカベの祈り」の場面の一部 トロイ王プリアモスが中央に来るように切り分けられています。
この見送も復元新調品。

見送の上部には 雲鶴文様の金具、見送り房掛 が備えられ、 房飾り がかけてあります。
(資料1、2)





河原町通の南を遠望すれば、山が連なっていて、辻回しのための待機状態が見えます。

山鉾が到着するまでの間隔が空きながら巡行は続きます。待つ側からすれば、少し間延びする感じです。




6番目は北観音山 。曳山ですが、鉾と同様の姿です。
山ですので 大屋根の上には真松 が立ててあります。
この真松は南観音山の分と2本が鳴滝から毎年届けられ、「双方の行事立合いで縄切れの籤を引いて南北の所有をきめるというしきたり」があるそうです。 (資料1)






天水引は刺繍の「唐草文」 が使用されています。昨年の記録記事を見ますと、昨年も唐草文の天水引が使われていました。​ こちらからご覧ください。

曳山ですので、鉾とは違い、生稚児/稚児人形は乗りません。
一番下水引は「関帝祭の図」の刺繍。二番水引は「赤地牡丹唐草文様綴織」、三番水引は「金地紅白牡丹文様唐織」です。 現在はすべて復元新調品が使われています。






胴懸はインド絨毯「斜め格子草花文様」 。これも復元品です。


大屋根の棟の先端は 獅子口 です。 黒地に金綾筋二本 が見えます。 その両側に鰭(ひれ) が付いています。 雲形金箔置きの木彫 です。 懸魚の部分には、牡丹が彫刻された金箔置き と豪華な装飾です。
正面の鱗板の箇所は、木彫金箔置彩色の雲鶴図 が装飾されています。 (資料1)


見送は「百子喜遊図」
17世紀末の中国・明時代の名品で、チベットの寺院所蔵されていたものとだとか。 (資料1)






7番目は八幡山です。


黄金色に輝く社殿と御神体、「八幡宮」の扁額を掲げた鳥居 が搭載され、前方の両角に 金幣 が備え付けてあります。


四周の 欄縁は、前面が凹型に なっていて、社殿全体が見えるように工夫されています。


鳥居の両柱の上あたりの 笠木上に鳩が一対止まっています 左甚五郎作の鳩 です。今はその複製品が使われていますが。


胴懸は麒麟図 です。 前懸と胴懸で 「三瑞獣図」 となります。


見送は中国製の「日輪双鳳婦女喜遊図」の綴錦 が使われています。


                               



8番目は黒主山。


山上には 桜の木 が据えられ、その左奥に 朱の大傘 が見えます。 大伴黒主 はその傘の下から桜を見上げています。 残念ながらこの位置からは黒主がほとんど見えません


一番水引は雲龍文様の繻珍。二番水引は緋羅紗地に菊、牡丹、瑞鳥その他の文様が刺繍されています

黒主山の特徴と思うのは、山の舁き手として外国人が多数参加されていることです。
祇園祭の山鉾巡行もインターナショナル化してきている側面がうかがえて興味深いところ。
見るから参画へという動きの一つでしょうか。


前懸は 萬暦帝即位の折の御服と伝えられる古錦を復元した 五爪龍文様錦 です。

             胴懸は草花胡蝶文様の綴錦

見送は「瑞花宝散額唐子遊図」 で復元新調品。


今回、巡行を見物していてふと気づいたのは、 巡行の最後尾に付く荷車のスタイルにそれぞれの特徴がある という点でした。
疑問は、一体何を積んで最後尾に連なっているのだろうという点 です。

つづく


参照資料
*​ 祇園祭 祇園祭山鉾連合会 ​ ホームページ
*図録『京都 祇園祭 町衆の情熱・山鉾の風流』 京都文化博物館 2020年
1)『祇園祭細見 改訂版』 島田崇志編著  都のまつり文化研究会発行 令和6年4月
2)『祇園会後祭』 公益財団法人 鯉山保存会 2024年7月 発行 



観照 祇園祭・後祭 Y2025 山鉾巡行 -1 橋弁慶山・南観音山・役行者山・浄妙山 へ





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Last updated  2025.08.05 00:20:14
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