音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年08月17日
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 RATT(ラット)は主に80年代に活躍したへヴィメタル・バンドで、L.A.メタル(一般に米国では、グラム・メタル、ヘア・メタルと呼ばれる)において、モトリー・クルーと双璧をなす。バンドとしては70年代後半から活動していたが、1983年の自主制作盤できっかけを作り、翌84年にメジャー・デビューした。この頃のRATTの音も好きではあるのだが、個人的好みを反映させた1曲を取り上げようと思う。

 「ダンス(Dance)」は、1986年発表のメジャー第3作『ダンシング・アンダーカヴァー』収録曲の1曲目。この曲を選ぶ理由は2つある。一つは上で書いたように、まったくの個人的思い入れ。リアルタイムで買った唯一のRATTのLPで、当時よく聴いたからという理由による。

 もう一つの理由は、その曲調にある。へヴィメタルに時折見られる、リズムやギターリフが単調に陥りやすいという問題をうまく克服して、メリハリのある曲調に仕上がっているという理由からである。それゆえ、この曲には、へヴィメタル的というよりはハードロック的な部分もあると言えるのかもしれない。このアルバムの頃のRATTは、次のステップを模索していた時期でもあり、スラッシュ・メタル的な影響を取り入れるなどの実験的試みも行なっている。実際のところ、90年代に入るとグランジなどのいわゆるオルタナティヴ・ロックが隆盛となり、メタル・シーンは2000年代に入るまで、長い低迷期を迎える。この流れの中で、RATTも不遇の時代を経験する。1991年にベスト・アルバム(『RATT & ROLL 8191』)を出した後、大手レーベル(アトランティック)との契約を失い、その後、バンドは解散・再結成を繰り返すことになる。『ダンシング・アンダーカヴァー』を制作し、80年代後半を迎えた時点で、RATTのメンバーは、このまま同じことを繰り返していてもどうにもならないことを先読みしていたのかもしれない。

 もう一つ、この曲のいいところを挙げておきたい。基本的にL.A.メタル全般に言えることで、とりわけRATTに当てはまることではあるが、L.A.メタルには欧州メタル・バンドにはない「明るさ」、もっと踏み込んで言ってしまえば、「能天気さ」がある。この陽気で開放的な側面ゆえに、RATTの音楽は、"ラットンロール"などと呼ばれて親しまれたのだろう。その明るさは、この「ダンス」という曲にも存分に反映されている。


[収録アルバム]
RATT 『ダンシング・アンダーカヴァー(Dancing Undercover)』 (1986年)
RATT 『ラットンロール8191(Ratt & Roll 8191)』 (ベスト盤、1991年)




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