音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年10月02日
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時代をリードする西海岸発のサウンドの確立&一体性の背後に潜む緊張感


 バーズのデヴィッド・クロスビー、バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルス、ホリーズのグレアム・ナッシュの3人が集まって 『クロスビー、スティルス&ナッシュ』 を制作・リリースしたのは1969年6月のことだった。同年8月にはウッドストックに参加し、翌70年にニール・ヤングを加えて発表されたアルバムが本作『デジャ・ヴ(Déjà vu)』である。

 ジャケットにはセピア色の写真が配され、参加メンバーたちが納まっている。しかし、古さや格調を重んじるかのようなこの落ち着いたジャケットとは裏腹に、その内容は時代をリードするものとなった。具体的な名前を挙げると、イーグルスやレッド・ツェッペリンなど70年代を切り開いたロック・グループに影響を与え、いわゆる西海岸(ウェストコースト)サウンドの基礎を作ったのが本作だと言える。ニール・ヤングが加わる前の前作『クロスビー・スティルス&ナッシュ』もアコースティックなハーモニーの美しい好盤だが、この『デジャ・ヴ』では、スティルスの希望でよりロック的な要素が強められた。この部分が本盤のドラマティックな音の響きにつながっている。

 1969年から70年という時期は、ロック界の大きな変動期だった。ビートルズが解散を発表し、ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョップリンといった若き才能が相次いで死去。先行き不透明な中で、クロスビー、スティルス、ナッシュ、ヤングの4人は同じ方向を見定めて進んで行こうとした。その結果が、本作のハーモニーであり、一体感につながったのだろう。

 しかし、そうは言いながらも、この『デジャ・ヴ』を実際に聴くと、一体感や統一感だけではない何かがあることがわかる。それは"壊れそうな脆さ"である。そもそもグループ名(というのだろうか?)のクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングという名称からして、4人の名を並べただけで、寄り合い所帯そのものであることを示している。要するに、名称からして、4つの個が結集して1枚のアルバムを仕上げたという印象だ。確固たるグループとしてこのアルバムやコンサート活動がなされたというよりも、同時期に同じ方向を向いた4人が一緒に活動をしたという方が適切なのだろう。そして、この事実こそが"壊れそうな脆さ"につながっている。それは、例えば、1. 「キャリー・オン」 や9.「カントリー・ガール」に顕著なように、調和の中の緊張感となって聴き手の耳に飛び込んでくる。

 その意味では、レギュラー・グループとしての活動を期待するような集団ではなかったのかもしれない。実際、彼らは個々のアーティストとして活動し、何かの折に再会(再結成)したり、4人のうちの一部(例えばスティルスとヤング)がつかず離れずの活動をするなどしている。そうしたことも考え合わせると、『デジャ・ヴ』はこのタイミングだからこそ奇跡的に成し得たアルバムだったのだろうと感じる。


[収録曲]
Carry On
2. Teach Your Children
3. Almost Cut My Hair
4. Helpless
5. Woodstock
6. Déjà vu
7. Our House
8. 4 + 20
9. Country Girl: a. Whiskey Boot Hill / b. Down Down Down / c. "Country Girl (I Think You're Pretty)
10. Everybody I Love You

1970年リリース。






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