音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年02月15日
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 ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N' Roses)は1985年に結成された米国のロック/ハード・ロック・バンド。2008年に15年ぶりのアルバム(『チャイニーズ・デモクラシー』)をリリースしたので、最近のファンにもその名は知られているだろうが、本盤は1991年にリリースされたもの。『ユーズ・ユア・イリュージョン(Use Your Illusion)』は、正確に言えば、『ユーズ・ユア・イリュージョンI』と『同II』が、二枚別々に(二枚組ではなく)リリースされた。メジャー・シーンに登場した当時のオリジナル・メンバー(厳密にいえば、活動の最初期にもメンバー・チェンジしているのだが)による作品である。なお、現在では、ヴォーカルのアクセル・ローズがオリジナル・メンバーとして残っているのみである。

 自主製作盤で人気を博した彼らは、1987年の『アペタイト・フォー・ディストラクション』でメジャーに進出し、破壊的・挑発的ライブやその他の問題行動で名を馳せた。当時ヴォーカルのアクセルは、相当の問題児で、隣人への暴行事件(証拠不十分で釈放はされたが)を起こしたり、「アルバムを買うな」とライブの観客にけしかけたこともあれば、コンサートが暴動騒ぎに発展した(ただしこれについては、客が不正に撮影していたことにアクセルがキレたのが原因とされる)ことすらある。マスコミや所属するレコード会社に喧嘩を売るような発言も再三であった。さらには、このアルバムよりずっと後にも、コンサートに来た客のTシャツが気に入らないからという理由でライブ中にそのシャツを脱がせたりする騒動も起こしている。クスリの問題も当たり前で、これらアルバム発表の前年にはドラッグが理由でドラマーが交代している。ファースト・アルバムのジャケットも問題のある図柄でリリース後まもなく差し替えられたりした。早い話、当時の彼らは、よくも悪くも破天荒であり、“規格外”だった。そして、そんな中でリリースされた『ユーズ・ユア・イリュージョンI』および『同II』もまた、なんとも規格外な作品だった。

 まず何よりも、2枚同時リリースというのからして普通ではない。それも異なる作品2枚ではない(ちなみに異作品2枚同時リリースという例は、同じ頃だと翌92年のブルース・スプリングスティーンの『ヒューマン・タッチ』と『ラッキー・タウン』がある)。同じタイトルの『I』と『II』を2枚組にはせず、ばらばらに同時リリースしたというわけである。ジャケットは同じデザインで色違いになっている(『I』が黄色/赤色、『II』が青色を基調にしている)。

 通常のアルバム作りでは、いろんな曲を用意・録音し、アルバムを構成するにあたっての選曲(つまりは取捨選択)をしながら、1枚に収まるものを作り上げていく。しかし、この時のガンズはたまったものを2枚に詰め込み、一気に放出といった感じである。折しも時代はCD化を受けて、LPの収録時間からは大幅に増えたCDの収録時間が基準となった頃である。詰め込みに詰め込んで放出した結果は、2枚合わせて2時間半以上、曲数にして合計30曲(『I』が16曲、『II』が14曲)というヴォリュームになった。

 そうなると、アルバムとしての統一性、楽曲や演奏の水準は下がるはずだ。批評家たちはまとまりのなさや質の低下を批判しようと手ぐすねひいて待っていたに違いない。けれども、実際に聴いてみると、不思議とまとまりがある。大きく言えば、『ユーズユア・イリュージョンI』の方は、『アペタイト~』から続く勢いと破壊的エネルギーの爆発を思わせる楽曲が中心を占める。それに対し、『同II』は、同種のエネルギーをもってはいるものの、それを爆発はさせずに内に秘めながら演奏している感じの曲が中心を成す。したがって、『I』と『II』では全体的カラーが若干異なる訳だが、いずれのアルバムもバンドとしてのエネルギーが溜まりに溜まっている様子がひしひしと伝わってくるという点では共通している。

 なぜ2枚組ではなく2枚別々にしたのか。理由は2つあるのだろうと思う。一つはアルバムを買う年齢層(それが若い世代中心であろうことは容易に想像がつく)からして、2枚組は高価になること。セールスの問題という言い方をしてしまえばそれまでだが、若年層にとってアルバム購入資金は重要な課題である。レコード会社が企んだのか、あるいはバンドの意向だったのかは知らない(アクセルの言動からして、バンドの意向なのかもしれない)。いずれにしても、半分でも買えるようにしたのは、ファンにとって非常に好意的な選択だったと思う。

 もう一つの理由は、いま上で述べたように、1枚ずつのカラーが異なるからだろう。2枚組にすると聴き手は2時間半全部を聴かねばならなくなる。そうなると、先述のように、アルバム・コンセプトの問題、詰め込みへの批判が出やすくなる。よって2枚組は得策ではなかった。その上で、1枚ずつのカラーが出たということは、それぞれ1枚毎のまとまりを感じさせるものができたという自信の裏返しでもある。「自分たちのアルバムは買わなくてもいい」などという挑発的発言をしていたが、それは裏返せば、作品についての自信の表明でもある。実際、彼らは自分たちのバンドを“真のロックンロール・バンド”と称していたが、このこともその自信を示す事実と言える。本作『ユーズ・ユア・イリュージョンI 』と『同II』の2枚同時リリースは、そんな自信に満ちた当時の彼らだからこそ為し得たのだろう。

 長くなってきたので、各アルバムの内容紹介については項を改めたい。  ( その2


*収録曲データは、次回( その2 )に掲載します。
*参考までに、色違いのジャケットはこんな感じです。
      ↓


ユーズ・ユア・イリュージョン1


ユーズ・ユア・イリュージョン2




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Last updated  2010年02月15日 07時01分12秒
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