音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年10月06日
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テーマ: 洋楽(3405)




 ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)というバンド名からして何とも罪作りな感じがする。ボーイズと言っているが、当然、いつまでも少年なわけではなく、10年20年と時間が過ぎれば“おじさんたち”になることがわかっていながら何とも計画性のないネーミングだったと思う。おまけに“ビーチ”なわけで、夏のバンドというイメージが定着したら(というか実際に定着したわけで)、冬場はどうするつもりだったのだろうとこの名を見るたびに思ってしまう。結局、大物になったわけでそんな名称の心配など余計なお世話ということになるのかもしれないけれど…。

 とはいえ、このバンド名の適当さ加減と歩をあわせるように、その作風もブライアン・ウィルソンなる奇才がメンバーにいたことで迷走する。本盤はその頂点で、ビーチ・ボーイズが“おかしな方向に走った”1枚であると同時に、ただのアイドル的ヒット・グループでないことを示した1枚(いや、それどころか現在ではロック史に残る名盤という評価すらなされる)である。

 今となっては古典的名盤としての評価が定着しているので、説明など不要かもしれないが、よく言われるように、この『ペット・サウンズ』は、ビートルズの『ラバー・ソウル』に衝撃を受けたブライアン・ウィルソンが、ビートルズに対抗して完璧なコンセプト・アルバムを制作しようとしたことに始まる。それまでの方向性との違いからメンバーやレコード会社との軋轢が生じ、不遇のアルバムとなった。本作後にこれを越えるアルバムを作ろうとしたブライアンは精神的にもおかしくなっていってしまう。その点からすると、本盤は、上で述べたように、ビーチボーイズがおかしな方向に走ったきっかけであり、おかしな方向に行った頂点ということになる。結局、『ペット・サウンズ』はリリース当時は、少なくとも一般リスナーにはまともに受け止められなかった。あまりに突飛な作品だったわけである。しかし、ビートルズの次作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に影響を与え、実はロック/ポップ界の革新の“裏の原動力”になった。

 そんなロック/ポップ史上の役割を持ったから名盤だといってもてはやしているのかと言うと決してそうではない(否、そうあってはならない)。一個の独立した作品として純粋に優れているのである。けれども、評価が定着し、21世紀を迎えた現在、そうした聴き方がなされているのだろうかというと何だか怪しい気がする。相変わらずビーチ・ボーイズといえば海・サーフィンというイメージで聴いている層と、“ロック/ポップ史の重要性”でブライアン作品を聴いてみようという層に二分されてしまっているように思われる。けれど、重要だからという理由で私たちは無理に“名作”とされるアルバムを聴く必要などない。ジャズみたいに(ジャズがそうであることにも個人的には異論ありだけれど)、“お勉強”な気分でロックを聴くなんて面白くも何ともない。当たり前の話に戻ってきてしまうが、要は“楽しいから聴く”。そう、この美しさは、20世紀後半のロックやポップスの歴史・その影響云々とは関係あろうが無かろうが、21世紀の今の耳から聴いても、ただただ素直に美しく、その精緻な作りとコンセプトに感動する類のものだと思う。

 ちなみにレコードA面は1.~7.の7曲、B面は8.~13.の6曲。ほとんどの曲が3分未満なので、総合計にしても40分足らずの収録時間であるが、とにかく密度が濃い。美しさと切なさが強い印象となる曲が中心で、個人的ベスト・トラックは、2.「僕を信じて(ユー・スティル・ビリーブ・イン・ミー)」。次いで、1.「素敵じゃないか(ウドゥント・イット・ビー・ナイス)」、と13.「キャロライン・ノー」。あと別格で6.「少しの間(レッツ・ゴー・アウェイ・フォー・ア・ホワイル)」と12.「ペット・サウンズ」の精緻さも聴き逃せない。




[収録曲]

1. Wouldn't It Be Nice
2. You Still Believe in Me

4. Don't Talk (Put Your Head on My Shoulder)
5. I'm Waiting for the Day
6. Let's Go Away for Awhile
7. Sloop John B
8. God Only Knows
9. I Know There's an Answer
10. Here Today
11. I Just Wasn't Made for These Times
12. Pet Sounds
13. Caroline, No

1966年リリース。






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