活動当時、ブラックモア自身はあくまでバンドの一メンバーに過ぎないと明言していた。けれども、メンバーの入れ替わりや音楽性の変遷を今になって振り返ってみれば、彼のワンマン・バンドもしくはソロ・バンドと言える性質のものであったことは否定のしようがない。最初はバロック的様式美を採り入れたハードロックを志向していたが、セールスは思うように上がらなかった。やがてメンバーも変遷する中で、次第にポップな要素も取り込んでいった。本盤『ダウン・トゥ・アース(Down To Earth)』は、その転換点とも言える内容である。様式美ハードロックのある種の仰々しさは、このアルバムの前の段階でも徐々に薄れてはきていたが、劇的にキャッチーな方向に向いたという意味では、この作品がバンドの転換点となった。なおかつ、バンド形成時以来のボーカル(ロニー・ジェームス・ディオ)が脱退し、代わりにグラハム・ボネットという野太い直球タイプのボーカリストが加入している(とはいえ、その後、グラハムはまもなく後任のジョー・リン・ターナーに入れ替わる)。