60年代の「ユー・リアリー・ガット・ミー」に代表されるイメージのキンクスは、60年代末から70年代にかけて執拗なまでにコンセプト・アルバム群を出し、70年代後半にはアリスタに移籍し、また異なる傾向のアルバム(この辺も結構個人的には好きだったりする)を産み出していった。その成果もあって、80年代に入ってからは、米進出を成功させる。そうしたアメリカでの成功の時期で際立ったアルバムと言えば、この『ステイト・オブ・コンフュージョン~夜なき街角(State of Confusion)』だったのではないかと考えている。
何と言ってもカッコよさでNo.1なのは、表題曲の1.「夜なき街角(State of Confusion)」。米国向けの太いサウンドがこの時期のキンクスの特徴の一つではあるが、そんな中にも以前からのキンクスらしい軽さ(“軽さ”というと表現は悪いが、“ユーモア”や“肩肘張り過ぎない部分”と言い換えてもよい)が見られる。その典型は、全米6位(キンクスのシングルとしてはアメリカで最高位の記録)となった4.「カム・ダンシング」。自分たちらしさを失わずに変化を遂げていく…。簡単なようで難しいことを難しくなさそうに表現できるのがキンクスだったと言うと大げさかもしれないが、敢えてそのように言っても外れていないように思う。
[収録曲] 1. State of Confusion
3. Labour of Love 4. Come Dancing 5. Property 6. Noise 7. Don't Forget to Dance 8. Young Conservatives 9. Heart of Gold 10. Clichés of the World (B Movie) 11. Bernadette