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スペイン語ロック・ナンバー選・第3弾(その3) メキシコのグループが続きましたので、今回は南米大陸に目を向けて、スペイン語ロックの有名な曲の一つを取り上げたいと思います。エナニートス・ベルデス(Enanitos Verdes)は、1980年代に登場して現在まで活動しているアルゼンチンのバンドです。 このバンドのメンバーですが、マルシアーノ・カンテロ(Marciano Cantero,ヴォーカル、ベースなど)、フェリペ・スタイティ(Felipe Staiti,ギター)、ダニエル・ピッコロ(Daniel Piccolo,ドラムス)という編成。ただし、ドラマーは2009年頃にメンバー交代しており、また、活動時期によっては、キーボーディストが所属していたこともあります。 今回は、そんな彼らの1994年発表の有名なナンバーです。「ラメント・ボリビアーノ(Lamento boliviano)」(直訳すると“ボリビアの嘆き”)という曲名、さらには、曲の冒頭の演奏からもわかるように、南米らしいフォルクローレ色が織り込まれています。アルゼンチンなのにフォルクローレ?という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、このバンドはアルゼンチン西部の都市メンドーサ出身で、メンドーサはアンデス山脈一帯の文化を持つ場所だったりします。 続いては、ライヴでの演奏ですが、少し変わった感じのものをご覧いただきたいと思います。ヒット曲を他のバンドとの共演で、というのはよくあるパターンですが、スペイン語圏は国の数がなんせ多いため、こうしたバンド共演でも国境を越えた交流になることもしばしばです。そんなわけで、アルゼンチンのバンド、エナニートス・ベルデスが、スペインのバンド、オンブレス・へー(Hombres G)と共演しているライヴ映像での「ラメント・ボリビアーノ」をどうぞ。 [収録アルバム]Enanitos Verdes / Big Bang(1994年) 【輸入盤CD】ENANITOS VERDES / COLECCION SUPREMA 【輸入盤CD】ENANITOS VERDES / ESENCIAL (RMST) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2021年08月13日
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スペイン語ロック・ナンバー選・第3弾(その2) “ロック・エン・エスパニョール”(スペイン語ロック)曲選の2曲目です。今回は、以前にこのシリーズでも取り上げたことのあるフォビア(Fobia)によるナンバーです。 フォビアは1990年にデビューしたメキシコのバンドで、途中、解散時期もありましたが、現在まで活動を継続しています。そんな彼らが伸び盛りだった1990年代のヒット・ナンバーで、「ベネノ・ビル(Veneno Vil)」です。 1995年に発表されたバンドの4th作に収録されたナンバーですが、この曲や「イプノティサメ」といったシングルも人気を博し、大きなヒット作となりました。 毎度のパターンですが、次はライヴでの演奏をご覧ください。1990年代後半から2000年代前半にかけてバンドはいったん解散しましたが、再結成後の2012年の映像です。 [収録アルバム]Fobia / Amor chiquito(1995年) ↓ベスト盤です↓ ROCK LATINO (REMASTER)[輸入盤]/FOBIA[CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年08月11日
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スペイン語ロック・ナンバー選・第3弾(その1) 以前、スペイン語圏のロック・ナンバーをピックアップし、動画を付してお届けしましたが、今回はその続きとなる第3弾をお届けしたいと思います。 初回は、メキシコのロック・バンド、ソエー(Zoé)の楽曲です。ソエーは1990年代末に形成され、2000年代に入ってから広く人気を獲得したバンドです。そんな彼らが2013年に発表したアルバム『プログラマトン』に収録されたナンバーが、今回の「アルージョ・デ・エストレージャス(Arrullo de estrellas)」です。カタカナにするとなんだか長ったらしい曲名ですが、“星の囁き”もしくは”星の子守歌”といったような意味だったりします。 この曲は、アルバムからの2枚目のシングル曲としてシングルカットされ、アルバム発表翌年の2014年にメキシコ国内チャートで5位を記録しています。 さて、もう一つは同じ曲のライヴ演奏です。比較的最近のものと思って探してみましたが、以下は、2020年のライヴでのパフォーマンスです。 スペイン語ロック(ロック・エン・エスパニョール)というのは、馴染みのないジャンルという方もいらっしゃるでしょうが、今回を含めて全5回を予定しています。よろしければ、ぜひお付き合いください。[収録アルバム]Zoé / Prográmaton(2013年) ↓参考まで、上記とは別盤です(今回の曲を含む盤ではありません)。↓ 【輸入盤CD】Zoe / Reptilectric (ソエ) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年08月10日
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進化を続けるアルゼンチンの“伝統音楽” タンゴと言えば、アルゼンチンの伝統的な音楽(もちろん演奏だけでなく、歌や踊りもタンゴの重要な構成要素)である。ブエノスアイレスなど、ラプラタ河口域で発達した大衆的音楽が国民的そして世界的音楽へと発展したものとされる。ちなみに、アルゼンチン・タンゴはユネスコの世界無形文化遺産とされていて、現地では、毎年12月11日は“タンゴの日”に制定されているのだとか。 伝統音楽と言っても、タンゴは時代とともに変化してきた。20世紀前半にはヨーロッパで受け入れられ、コンチネンタル・タンゴ(ヨーロピアン・タンゴ)が花開いた。戦後の日本でもタンゴはブームとなったし、20世紀後半にはブロードウェイ経由でのタンゴ・ブームも起きた。また、発祥地のアルゼンチンを見ても、アストル・ピアソラのように、従来の伝統を変革する音楽家も登場している。 本盤『ブエノスアイレス LATE(Buenos Aires LATE)』は、エレクトリック・タンゴ(タンゴ・エレクトロニコ)のコンピレーション盤である。ピアソラにもその傾向はあったものの、21世紀になったいま、電子音とタンゴの組み合わせという、新たなタンゴ音楽の試みによる演奏が並べられた盤である。筆者は特にタンゴに詳しいわけでも何でもないが、感想としては、“伝統音楽”が変容していくドキュメントとして非常に面白いと感じる。本盤を聴けば、古典的なタンゴとは全く別物なのだけれど、演奏のあちらこちらで“やっぱりタンゴ”なのである。 個人的に気になる曲をいくつかピックアップしておきたい。まずは、1.「サンタ・マリーア(デル・ブエン・アイレ)」。この表題は、ブエノスアイレスの街の名の由来になった聖母マリアを指す。これを演奏しているゴタン・プロジェクトは、フランスのアルゼンチンの混成で、アメリカ版『シャル・ウィー・ダンス?』にも使われ、エレクトリック・タンゴの代表的な奏者のようである。オトロス・アイレスによる3.「シン・ルンボ」はなかなか衝撃的で、いかにもタンゴなフレーズを使いながら、しっかりとエレクトロな音楽を展開している。バンド名の“オトロス・アイレス”というのは“ブエノス・アイレス”に引っ掛けながら、“別の空気”を意味するというなかなか妙なネーミングで、曲名の「シン・ルンボ(あてもなく)」というのも面白い。5.「リベルタンゴ」は、言わずと知れたアストル・ピアソラの有名曲。ウルトラタンゴによるここでの演奏は、原曲のイメージをここぞという場面で維持しながら、根本的には大胆に新しいスタイルでの演奏にしている。 電子音やエレクトロがタンゴと結合するという、ひと昔前には発想できなかったような融合が進んでいく。“タンゴ”や“ブエノスアイレス”に力点があるのは、上でも少し触れたように、グループ名や曲目を見ての通りである。しばらく前、年配者が聴いていたり、踊っていたりするイメージもあったタンゴは、新たな姿になって次世代へと引き継がれていくということなのだろうか。ちなみに、本盤には続編(『ブエノスアイレス LATE 2』)があるらしいので、機会があれば、そちらも入手して聴いてみたいと思っていたりする。[収録曲] *〈 〉内はアーティスト名。1. Santa Maria (Del Buen Ayre)〈Gotan Project〉2. Inmigrante〈Tanghetto〉3. Sin Rumbo〈Otros Aires〉4. Un Paso Más Allá〈Narcotango〉5. Libertango〈Ultratango〉6. Dársena Sur〈Maquinal Tango〉7. El Llorón〈Electrocutango〉8. Tango Colegiales〈Debayres〉9. Baires 6 am〈Terminal Tango〉10. La Cumparsita〈Carlos Cutaia〉 *ボーナス・トラック2008年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2021年08月05日
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派手さはないものの、着実な前進を示す1枚 1984年にEl Tri(エル・トリ)としてデビューして、4枚目のアルバムとなったのが、1987年発表の『オトラ・トカーダ・マス(Otra tocada más)』である。デビュー以来のスタイルを維持しつつ、前作(『エル・ニーニョ・シン・アモール』)からの流れを受け継いでの社会的な内容の詞の曲が目立つ。 全体としては、前後の諸作ほどの派手さはないかもしれない。その理由は、上述した通り、社会的内容の曲が多いことにあるような気がする。この傾向は、1990年代へと続いていくわけだが、世の不正などを歌にするのは、時に命懸けに近いものがあったのではないだろうか(1994年には大統領候補が暗殺されたり、21世紀になってからも、麻薬組織がらみで政治家が殺されるのがメキシコ社会だったりするのだから)。 さて、本盤で注目したいナンバーとしては、まずは、2.「ノシーボ・パラ・ラ・サルー」。アルコール飲料に書いてある“健康を害する恐れがあります”というセリフがタイトルになっている。実際のところは”愛は”が主語なのだけれど、こんな表現を表題にするあたり、1980年代当時のとりわけ地方でのアルコール中毒問題が背景にあったということだろう。6.「エル・ブギー・デ・ラ・シーダ」も時代を反映した曲。演奏だけを聴くと、確かにブギー調のナンバーなのだけれど、詞の内容はというと“シーダ(SIDA)”(英語では“エイズ(AIDS)”)をテーマにしている。8.「サラ」は、本盤発表の数年前に逮捕された麻薬王(ラファエル・カロ・キンテーロ)のオンナだった女性の名が曲名になっていて、インパクトのあるナンバーである。最後に、9.「カセータ・デ・コブロ」は、筆者的には本盤の中で特にお気に入りの曲。タイトルは、”(高速道路の)料金所”の意味で、本盤ではアルバムを締め括る曲となっているが、翌年にリリースされたバンド初のライヴ盤(過去記事はこちら)では、オープニング・ナンバーとなっている。[収録曲]1. Otra tocada más2. Nocivo para la salud3. Gente ignorante4. Seguro de vida5. El maldito ritmo6. El boogie del SIDA7. Lágrimas en la lluvia8. Sara9. Caseta de cobro1987年リリース。 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2021年06月25日
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パナマ出身のシンガーによる軽妙な好作 ミゲル・ボセー(Miguel Bosé)は、1956年パナマ出身の男性シンガー。パナマ以外に、スペイン、イタリア、コロンビア国籍も持っている。これまでに20枚ほどのアルバムを発表していて、スペインやメキシコなどスペイン語圏で幅広く人気を獲得したアーティストである。 そんな彼のアルバムの中でナンバー1とファンの呼び声の高い作品が、1993年発表の本盤『バホ・エル・シグノ・デ・カイン(Bajo el signo de Caín)』である。全編スペイン語だが、翌年には英語ヴァージョンとイタリア語ヴァージョンも発表されているとのこと。彼の作品のよさは、曲作り(本番では全曲が彼の参加した共作)と軽やかで味のあるヴォーカルにある。そんな観点から、注目曲をいくつか挙げてみたい。 1.「テ・コメリーア・エル・コラソン」は、シリアスで落ち着いた曲調だが、この“一歩引いた感”が彼の特徴で、この曲なんかにはそれがよく表れている。表題曲の6.「バホ・エル・シグノ・デ・カイン」は、淡々としたヴォーカルと浮遊感のある演奏がいい。9.「サラ」は、肩の力を抜いた感じの歌唱で、おそらくはこのノリをいいと思える人はミゲル・ボセーの音楽全般を気に入るのではないかと思う。 正直なところ、この軽妙さをよしと思うかどうかで好き嫌いが分かれそうなアーティストのような気がする。とはいえ、個人的にはなかなか気に入っていて、本盤は特にお勧めの1枚だったりする。[収録曲]1. Te comería el corazón2. Lo que hay es lo que ves3. Si tú no vuelves4. Nada particular5. Mayo6. Bajo el signo de Caín7. Wako-Shamán8. Imagínate que te quiero9. Sara10. Sol forastero11. La americana12. Gota a gota1993年リリース。 【輸入盤CD】 Miguel Bose / Original Album Series (ミゲール・ボセ) 【中古】 Bajo El Signo De Cain / Miguel Bose / Miguel Bose / Warner Music Latina [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 【中古】 Miguel Bose ミゲルボゼ / Bajo El Signo De Cain 【CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年06月22日
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21世紀を迎え、衰えぬメキシカン・ロックの王道 アレックス・ローラ(アレハンドロ・ローラ、Alejandro Lora)を中心とするメキシコのロック・バンド、EL TRI(エル・トリ)。彼らにとってスタジオ第15作となったのが、2002年発表の『ノ・テ・オルビーデス・デ・ラ・バンダ(No te olvides de la banda)』という盤である。 1980年代にメジャー・デビューし、1990年代を通じてメキシコ国内や米国で支持されるスペイン語のトップ・バンドの地位を築いたEL TRIだが、本盤でも攻めの姿勢は変わらなかった。大物らしい貫禄のあるロック・ナンバーを軸にしながら、奇抜だったり、意外だと思えるようなことも随所に織り込もうとしているというのが、本盤全体の印象と言えるだろうか。 冒頭の1.「チランゴランディア」は、“チランゴの国”(チランゴはメキシコシティっ子のこと)の意味で、メキシコシティへの愛着を歌にしたもの。シングルとしてヒットした3.「ソラメンテ・ディオス(神のみぞ)」は、勢いのあるストレートなロック調のナンバー。表題曲の4.「ノ・テ・オルビーデス・デ・ラ・バンダ」も、EL TRI節全開のロック・ナンバーである。筆者的には、以上3曲が本盤で必聴のベスト3といったところだったりする。 少し変わった注目のナンバーとしては、アルバムの最後に収められた11.「デ・ラ・ラサ・パ・ラ・バンダ」がある。出だしの曲調としてはアルバムの冒頭曲にした方がふさわしいんじゃないかという気が聴くたびにするのだけれど、10分越えの長尺の演奏が続くうちに民族楽器まで出てきて、気がつくとアルバムの終わりらしい終わり方になっているという、何とも不思議なナンバーだったりする。[収録曲]1. Chilangolandia2. Volvimos a perder3. Solamente Dios4. No te olvides de la banda5. El amor neto6. Los espermatozoides7. El calzón8. Tu sonrisa9. A partir de hoy10. Lo demás me vale11. De la raza pa' la banda2002年リリース。 ↓別盤(こちらのアルバム)です↓ 【中古】 【輸入盤】Hoyos En La Bolsa /ElTri 【中古】afb ↓こちらも別盤(ライヴ盤)です↓ 【中古】 El Tri / Sinfonico 【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2021年05月27日
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マンサネーロ名曲選~第3集(その5) 昨年末に亡くなったメキシコ出身の作曲家アルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)の名曲選の続きです。今回は、「トダビーア(Todavía)」というナンバーです。 まずは1960年代後半のオリジナル・レコーディングのヴァージョンをお聴きください。 続いては、メキシコの有名シンガーによるカバーをご覧いただこうと思います。アルマンド本人は歌手として吹き込みや出演歴がたくさんありますが、よく言われるように、とにかくいろんな人にカバーされたり、楽曲を提供したりもしています。以下は、エディ・マルケス(Edith Márquez)によるカバーです。この女性シンガーは、1980年代後半から活躍している人ですが、キャリアを重ねてきて近年なかなかいい歌いっぷりを披露しています。 最後は、ミリアム・ソリス(Miriam Solís)という女性シンガーとアルマンド本人の共演です。ミリアム・ソリスのアルバム『フェリア・デル・アモール』(2019年)に収録されているデュエットでの「トダビーア」をどうぞ。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年03月14日
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マンサネーロ名曲選~第3集(その4) アルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)の名曲選の続きです。今回取り上げるナンバーは「タル・ベス、キサー(Tal vez, quizá)」という曲です。表題の”タル・ベス”も”キサー”もスペイン語で”たぶん”という意味です。 この曲は、メキシコ人女性シンガーのパウリーナ・ルビオ(Paulina Rubio)のヒット曲として知られています。2000年のアルバム『パウリーナ』に収録され、翌年にシングルカットされています。まずは、その映像をご覧ください。 でもって、この曲を作ったのがアルアンド・マンサネーロというわけです。続いては、このパウリーナが作者のアルマンドと共演している映像です。 さらに今回はもう一つ。別の男性シンガーのカバーもご覧ください。ダビー・カバソス(David Cavazos)という人による歌唱ですが、2018年のものです。甘いマスクに名バラードといった雰囲気に仕上がっていますが、こうやってアルマンドの曲がカバーされ、定番となっていくのかなと思ってみたりします。 ↓下記リンクは、ベスト盤です↓ 【輸入盤CD】ARMANDO MANZANERO / ESENCIAL ARMANDO MANZANERO 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年03月12日
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マンサネーロ名曲選~第3集(その3) アルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)の歌唱で、わりと近年になってから筆者のお気に入りとなったナンバーを今回は取り上げたいと思います。「プロプエスタ(Propuesta(Yo te propongo))」というのがその曲です。筆者が気に入ったのは、次の映像のアルマンドの歌唱です。 この曲は、アルマンド・マンサネロ作ではなく、ロベルト・カルロス(1980年代を中心に人気を博したブラジル人シンガー)によるナンバーです。ロベルト・カルロス本人のほかに、様々な有名シンガーがこの曲をカバーしています。今回はアルマンド・マンサネーロからスタートしてということなので、他のメキシコ人シンガーによる「プロプエスタ」の映像を2つほどあげておきたいと思います。 一つめは、アナ・ガブリエル(Ana Gabriel)によるものです。アレンジが典型的メキシカン調といった感じです。1990年のライブ盤『エン・ビボ』に収められています。 もう一つは、もう少し最近のシンガーによるこの曲のカバーです。キューバ系メキシコ人のカリンバ(Kalimba)がジャズ風アレンジでこの曲を熱唱しているものです。メキシコのジャズ・ピアニスト、エンリケ・ネリとの共演です。 ↓リンクはいずれもベスト編集盤↓ 【輸入盤CD】ARMANDO MANZANERO / ESENCIAL ARMANDO MANZANERO 【輸入盤CD】ARMANDO MANZANERO / SERIE PLATINO 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年03月05日
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マンサネーロ名曲選~第3集(その2) 昨年末に亡くなったアルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)曲選の続きです。“ロマンティシズムの王様”と呼ばれるだけあって、美曲を書くことに長けた類まれな作曲家でした。そんな美曲の一つ、「エル・シエゴ(El ciego)」が今回のナンバーです。 まずは、アルマンド自身による録音を、ジャケットイメージなど数々の写真とともにお聴きください。 続いては、若い頃のルイス・ミゲルが共演した際の映像をご覧ください。TV番組の一コマか何かのようですが、もちろんマンサネーロもだいぶ若いです。 3つめは、やはり有名シンガーによるこの曲の歌唱です。キューバのパブロ・ミラネスによる「エル・シエゴ」をどうぞ。メロディの美しさが際立っています。 アルマンド・マンサネーロの名曲選、不定期ですが、いましばらく続けたいと思います。 ↓ベスト盤↓ 【輸入盤CD】ARMANDO MANZANERO / ESENCIAL ARMANDO MANZANERO 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2021年02月26日
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1990年代末、成功を収めたアコースティック・ライヴ盤 マナー(MANÁ)はメキシコ出身のロック・バンド。1980年代後半にメキシコの音楽シーンに登場し、1990年代後半になるとアメリカでも人気を獲得したことから世界的に知られるようになっていった。そうしたまさしく上り調子の時期に、人気企画だったMTVのアンプラグドでのライヴを行ってアルバム化したのが、本盤『MTVアンプラグド(MTV Unplugged)』ということになる。 このMTVのライヴ企画は、玉石混交な部分もあったけれど、各アーティストや各バンドの従来とは違う側面を焙り出すのに成功した事例も多かった。このマナーの場合も、アコースティック演奏で従来のライヴとは違った面を見せるのに成功した方の事例と言えるだろう。 どの演奏もアコギをメインにしていつもの声を聴かせることに成功している。1990年代を通じて彼らは上り調子を示してきたのだけれど、こういう演奏スタイルになって、パフォーマンスに余裕をもって構えている部分が十分にあるということが可視化されたように思う。 70分超という収録時間だけれど、この演奏を聴いていると、あっという間に時間が過ぎていく。じっくり聴かせるような雰囲気の部分もあれば、終盤になると少し盛り上がった雰囲気で演奏は進んで行く。つまりは、全編通して聴きたい盤というわけだけれど、敢えて出色のナンバーを少しだけ挙げておきたい。2.「エン・エル・ムエジェ・デ・サン・ブラス(サン・ブラスの波止場にて)」は、元のスタジオ作(過去記事)のヴァージョンを上回る出来と言えるように思う。それから、1990年のシングル曲11.「ラジャンド・エル・ソル」はアレンジの勝利。これらに次いで個人的に押したいのは、4.「クアンド・ロス・アンヘレス・ジョラン」や5.「カチート」といったゆったりめのナンバー。終盤の盛り上がりもよいのだけれど、先に述べた“バンドの余裕”というか、もはや若さの勢いだけではない“バンドの器”が感じられる辺りが筆者のツボにはまる。[収録曲]1. No ha parado de llover2. En el muelle de San Blas3. Vivir sin aire4. Cuando los ángeles lloran5. Cachito6. Te solté la rienda7. Desapariciones8. Falta amor9. Coladito10. Ana11. Rayando el sol12. Se me olvidó otra vez13. Perdido en un banco14. Oye mi amor1999年リリース。 【輸入盤CD】MANA / MTV UNPLUGGED (マナ) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方は、“ぽちっと”応援よろしくお願いします! ↓ ↓
2021年02月04日
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偉大なるメキシコ人作曲家の訃報 昨年末にメキシコの有名な歌手で作曲家のアルマンド・マンサネーロ(Armando Manzanero)の訃報が報じられました。原因は新型コロナで、12月17日に入院後、12月28日に亡くなったとのことです。 86歳という高齢だったとはいえ、超大物有名人の、それも新型コロナ感染症による訃報です。現地では惜しむ声が絶えず、大統領も毎朝やっている会見で追悼の意を示しました。 本ブログでは、マンサネーロ名曲集などと銘打って過去にも取り上げてきたアーティストです(下のリンクを参照)。いずれ落ち着いてその続きをとは思いますが、ひとまずは、その死を悼んで、彼の楽曲を振り返ってみたいと思います。 一つ目の動画は、メドレー形式のものです。若いころから最近までの彼の姿とともに、名曲選をお聴きください。 続いては、亡くなるわずか数か月前、2020年10月のビルボードのミュージック・アワードでの映像です。既にビルボードの殿堂入りは2003年に果たしていましたが、同じくビルボードによる、生涯にわたる功績を称えるライフタイム・アチーヴメント賞の受賞時のものです。彼へのオマージュということで、いろんなアーティストが登場してマンサネーロ・ナンバーを熱唱しています。 最後は、アルマンド・マンサネーロ本人による「テ・エストラーニョ(Te extraño)」です。英語で言えば“I miss you”、つまりは「君がいなくて寂しい」という意味の表題の曲です。 彼の遺体は火葬され、故郷ユカタン半島に帰ったとのこと。どうか安らかに眠らんことをお祈りします。Q.D.E.P.[参考過去記事]「アドーロ(Adoro)」 「アマネセール(Amanecer)」 「コンティーゴ・アプレンディー(Contigo aprendí)」 「クアンド・エストイ・コンティーゴ(Cuando estoy contigo) 「ドルミール・コンティーゴ(Dormir contigo)」 「エスペラレー(Esperaré)」 「雨のつぶやき(Esta tarde vi llover)) 「メ・ブエルベス・ロコ(Me vuelves loco)」 「ミア(Mía)」 「ミ・イストリア・エントレ・トゥス・デドス(Mi historia entre tus dedos)」「ナダ・ペルソナル(Nada personal)」 「ノ・セ・トゥ(No sé tú)」 「ノス・イソ・ファルタ・エル・ティエンポ(Nos hizo falta el tiempo)」 「ソモス・ノビオス(Somos novios)」/「イッツ・インポッシブル(It’s Impossible)」 「テ・エストラーニョ(Te extraño)」 「ボイ・ア・アパガール・ラ・ルス(Voy a apagar la luz)」 【輸入盤CD】ARMANDO MANZANERO / LO MEJOR DE LO MEJOR Manzanero: Su Voz Su Piano Y Sus Mejores Interpret by Armando Manzanero 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いいたします! ↓ ↓
2021年01月05日
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前作を上回るセールスを上げた第9作 1998年に若干15歳でデビューして以来、マルー(Malú)はスペインだけでなく、スペイン語圏のポップ界の王道を歩んできた。現時点で彼女は38歳なのだけれど、デビューが若かったこともあり、既に貫禄もある20年選手である。そんな彼女の余裕と貫禄はいつから出てきたのかと考えてみると、スタジオ作として9枚目となったこの『シー(Sí)』の辺りからではなかっただろうか、と思ったりする。 本盤がリリースされたのは2003年秋だったが、母国スペインのチャートでは初登場1位を記録し、最初の1週間でゴールド・ディスクになった。その後、翌年にかけて国内チャート10位内に51週間も留まるという驚異的セールスを上げた。この間にはアルバムから4曲(1.,3.,4.,7.)がシングル発売され、さらにリリース直後から翌2014年12月まで60都市を超える大規模な国内ツアー(+1公演のみ海外のメキシコシティ公演)を行い、推定45万人を動員した。 個人的な好みで本盤収録のお勧め曲を挙げておきたい。まずは、本盤からのファースト・シングルとなった1.「ア・プルエバ・デ・ティ(あなたから放たれて)」。曲の演奏も展開も、そしてもちろん歌唱も、攻めの姿勢の勢いのあるポップ・ナンバーである。苦悩の末に男性の元を去る女性をテーマにした3.「メ・フイ」は、マルーの十八番とも言える叙情系バラード曲。4.「デサパレセール」もシングルカットされたが、元のヴァージョンに加えて、11.のアコースティック・ヴァージョンもいい。8.「ニ・ウン・パソ・アトラス(一歩も引かない)」は、筆者的には上記の1.に次ぐ本盤のお気に入り曲。さらに、もはや余裕や貫禄すら感じるバラード曲として、6.「アンヘル・カイード(堕ちた天使)」と10.「オハラー」の2曲も聴き逃がせないという風に思う。 以上のとおり、完成度の高さと表現者(ヴォーカリスト)としての成熟が本盤のキーワードと言ってもいいように思う。この後も現在までにもう2枚のアルバムを制作しているが、まだまだ名作を残していきそうなアーティストなので、個人的にもマルーの今後を楽しみにしていたりする。[収録曲]1. A prueba de ti2. Te voy a olvidar3. Me fui4. Desaparecer5. Qué más me da6. Ángel caído7. Deshazte de mí8. Ni un paso atrás9. Lo mismo que yo10. Ojalá11. Desaparecer [versión acústica]2013年リリース。 ↓本盤とは異なりますが、Maluの他のアルバムへの商品リンクです↓ 【輸入盤CD】Malu / Guerra Fria 【輸入盤CD】Malu / Oxigeno 【K2018/11/2発売】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年12月01日
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スペイン語ロック名曲選・第2弾(その5) 不定期でとぎれとぎれでしたが、9月後半から1か月半ほどにわたり5回に分けてスペイン語ロックの名曲選を更新してきました。この第2弾、今回でひとまず一区切りです。今回は、メキシコの有名ロック・バンド、カイファネス(Caifanes)の「ビエント(Viento)」です。1988年に発表されたセルフ・タイトルのファースト作『カイファネス』に所収のナンバーです。 カイファネスは、サウル・エルナンデス(Saúl Hernández, ヴォーカル、ギター)を中心とするバンドで、1996年にいったん活動を休止し、サウルは新バンドのハグアーレスで活動を展開していきました。結局、2011年にはカイファネスは再結成され、現在まで活動を続けるに至っています。 そのようなわけで、バンド再開後のライヴでの「ビエント」の演奏シーンもご覧ください。2011年のライヴでの一場面です。 ついでながら、個人的な話を付け加えておくと、筆者はサウル・エルナンデスに会ったことがあります。確かカイファネスの活動を停止し、ハグアーレスの活動を開始した頃でしたが、レストランでの食事中にも関わらず、ファン・サービスを忘れないといった、とても感じのよい対応でした(おまけに一緒に写真も撮ってくれました)。だから贔屓というわけではないのですが、カイファネスもハグアーレスも筆者のお気に入りバンドだったりします。[収録アルバム]Caifanes / Caifanes(1988年)↓参考リンク(いずれも上記とは別盤です)。↓ 【輸入盤CD】Caifanes / El Silencio【K2020/1/24発売】 【輸入盤CD】Caifanes / El Nervio Del Volcan【K2020/1/24発売】 【輸入盤CD】Caifanes / Volumen 2 (Aka El Diablito)【K2020/1/24発売】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2020年11月04日
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魅惑の曲とヴォーカル、ファースト作 フランシスコ・セスペデス(Francisco Céspedes)は、1957年キューバ出身で、メキシコに帰化した男性シンガー。1997年に彼が最初に発表したアルバムが、『ビダ・ロカ(Vida loca)』である。現在に至るまで数年おきに合計10枚近いアルバムを発表している。また、デビュー以前にもソングライターとして活動しいて、ルイス・ミゲルの楽曲を書いたりもしている。 フランシスコ・セスペデスという人は、元キューバ人らしく、キューバの“フィーリン”などの現代音楽のよき伝統を受け継いでいる。彼の紡ぎだす音楽は、軽妙でいて、かといってありきたりではなく、しっかりと個性があるというように思う。このファースト作では、後の諸作に比べるとまだ荒い部分もあるかもしれないが、そうした彼の特徴が十二分に発揮されている。 1曲(4.「レモリーノ」)を除いて、すべての収録曲がセスペデス自身のペンによる。注目したい曲としては、シングルとして好評を得た3.「ビダ・ロカ」や7.「セ・メ・アントハ」が挙げられる。前者はしっとり系のバラードで、後者はミディアム・テンポで聴かせるポップ・ナンバー。さらに、11.「セニョーラ」は、テレビ・ドラマの曲として親しまれた曲。これらとくに有名な曲以外に筆者のお気に入りとしては、1.「トド・エス・ウン・ミステリオ」や5.「ペンサール・エン・ティ」も捨てがたい。 その後、フランシスコ・セスペデスはさらなる進化を遂げ、いくつも好作を残している。すべての作品を聴いているわけではないけれど、他の作品についても機を見て取り上げていきたいと思っている次第である。[収録曲]1. Todo es un misterio 2. Como si el destino3. Vida loca4. Remolino5. Pensar en ti 6. Tú por qué7. Se me antoja 8. Que hago contigo9. Morena 10. Vida vida11. Señora 1997年リリース。 【中古】 Vida Loca / Francisco Cespedes / Warner Music Latina [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年10月12日
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スペイン語ロック名曲選・第2弾(その3) 不定期でお届け中のスペイン語ロックの名曲を取り上げるシリーズの第3回です。カフェ・タクーバ(Café Tacvba)は、メキシコを代表するロック/オルタナ系のバンドです。1990年代からシーンで活躍していて、今ではトップ・バンドとして活動を続けています。 そんな彼らが1996年に発表したサード作『アバランチャ・デ・エクシトス』所収の曲を今回は取り上げてみたいと思います。“ヒット曲の雪崩”というアルバム表題を見ると、ベスト盤のように見えますが、実際にはそうではなく、全編がカバー曲という異色の作品でした。 その中に収められた1曲がこの「オハラー・ケ・ジュエバ・エル・カフェー(Ojalá que llueva café)」です。ドミニカ共和国出身でグラミー受賞の有名アーティスト、フアン・ルイス・ゲラの楽曲で、“コーヒーの雨よ降っておくれ”という意味のタイトルです。 まずは、アルバムのヴァージョンをお聴きください。画面は動かず、上記アルバムのジャケット・イメージのみです。 続いては、カフェ・タクーバのライヴでの演奏シーンです。 この曲の元々の作者がどんなアーティストだったのか気になる人もいるのではないでしょうか。そんなわけで、ライヴでのフアン・ルイス・ゲラの姿もご覧ください。 [収録アルバム]Café Tacvba / Avalancha de Éxitos(1996年)Juan Luis Guerra y 4.40 / Ojalá que llueva café(1989年) ↓ベスト盤です(本記事の曲も収録)↓ Tiempo Transcurrido: The Best of Cafe Tacuba 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2020年10月09日
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500万アクセス記念~いま聴きたい曲(その28) 続いては、メキシコのオルタナ、ミクスチャー・ロックのバンド、カフェ・タクーバ(Café TacubaもしくはCafé Tacvba)の代表曲の一つです。1990年代に表舞台に登場し、グラミーを4回受賞している有名バンドですが、1996年発表の『アバランチャ・デ・エクシトス』に収録されている「チランガ・バンダ(Chilanga banda)」です。 ビデオ映像に登場するフォルクス・ワーゲンのビートルは、1990年代辺りまでメキシコシティのタクシーの大部分を占めており、懐かしい雰囲気です。ですが、この曲のメキシコシティ・ローカル色はこの映像イメージだけにとどまりません。 実はこの曲の詞の内容はなかなか難解で、スペイン語圏の他の国の人が聴いても意味不明というコメントがよくなされます。それもそのはずで、表題にあるように“チランガ(チランゴ=メキシコシティっ子)”にしかわからない表現が満載な詞だったりします。無論、筆者も全容解明には至っていません(苦笑)。 ともあれ、映像をもう1本。こちらは比較的最近のMTVアンプラグドのライヴ映像です。いくぶん仰々しい演奏も、何だか貫禄を感じさせてくれます。もちろん上記の詞の内容はそのままで、chambear“働く”、chela“ビール”、pachanga“パーティ”など、同じスペイン語を話すスペイン人やアルゼンチン人には聞きなれない表現が並んでいます。 [収録アルバム]Café Tacvba / Avalancha de éxitos(1996年) Tiempo Transcurrido: The Best of Cafe Tacuba 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年08月24日
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500万アクセス記念~いま聴きたい曲(その22) 今日の“いま聴きたい曲”は、メキシコの弾き語りコーラス・デュオ、メヒカント(Mexicanto)のナンバーです。このブログでは既にアルバムを何枚も取り上げていますが、中でも筆者のお気に入りのアルバム『エン・エル・カミーノ』に収録されている「アグア・デ・マール(Agua de mar)」です。 “ヌエバ・カンシオン”(新しい歌)とか“トローバ・メヒカーナ”(メキシコのトローバ)などと言われるジャンルの牽引役となったデュオですが、それぞれが独自の活動を繰り広げながらも2人での活動も続けています。 そんなわけで、比較的最近の、数年前と思われる演奏シーンをご覧ください。 デュオ結成は1985年で、その頃は20歳代の若者だったのでしょうが、すっかり年月を重ね、白髪交じりの外見に変わってきました。こうした最近の彼らの姿を見ると、2人での活動、個々での活動が経験になって積み重なっていって、いい歳の重ね方をしているのかなという印象を勝手に抱いています。[収録アルバム]Mexicanto / En el camino(1995年) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年08月18日
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500万アクセス記念~いま聴きたい曲(その17) 今回は、チリ出身の女性シンガー、モン・ラフェルテ(Mon Laferte)の曲で、「トルメント(Tormento)」というナンバーです。彼女は2017年にラテン・グラミーを受賞しましたが、その前の段階に当たる第4作『モン・ラフェルテVol. 1』のオープニング・ナンバーで、同盤からの最初のシングル曲でした。 何だかおどろおどろしい映像ですが、曲のタイトル(「トルメント」)がそもそも“拷問”を意味します。愛した人がとんでもない男だったという人生の苦痛と悲嘆が詞の内容になっています。 続いては、ライヴでの歌唱もご覧ください。彼女が歌うナンバーはこういうべったりな曲ばかりなわけではないですが、こういうのを聴くと、将来、ラテンのべったりしたナンバーも歌いこなす大物になっていくのではないかという予感すら感じさせてくれます。 [収録アルバム]Mon Laferte / Mon Laferte vol. I(2015年) ↓いずれも別の盤です。↓ 【輸入盤】Norma [ Mon Laferte ] 【輸入盤CD】Mon Laferte / Trenza 【K2017/5/26発売】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年08月13日
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メキシカン・ロックの礎を築いた1枚 1968年に結成されたスリー・ソウルズ・イン・マイ・マインド(Three Souls in My Mind)というバンドは、1971年のアバンダロ・ロック・フェスティヴァル(メキシコ版ウッドストックとも称される音楽イベントで、メキシコ州のアバンダロを舞台に開催された)に代表されるように、アングラ時代のメキシカン・ロック創成期を担った。このバンドは、メンバー間の確執から名義を巡る訴訟問題に発展したが、そのメンバーだったアレハンドロ・ローラを中心に結成され、メジャー・レーベル(WEA)からデビューしたのがEL TRI(エル・トリ)というバンドだった。 EL TRIとしてのファースト作となったのは、1985年発表の本盤『シンプレメンテ(Simplemente)』である。真っ赤な色に塗られたジャケットには、ごくごくシンプルにバンド名のロゴが中央部に配され、下部にアルバム表題(表題は、スペイン語で“シンプルに”の意味)が見える。 知名度・人気度という点では、このバンドの代表曲に数えられる5.「トリステ・カンシオン(哀しき愛の歌)」と8.「メトロ・バルデーラス」が収録されている。前者はメキシカン・ロックの超有名どころの名曲の一つで、後者はメキシコシティの地下鉄を題材にしたこのバンドのライヴでも定番の人気曲。 これら以外にも注目したいナンバーをあと2つほどは挙げておきたい。2.「サン・フアニーコ」は、本作発表前年の1984年11月に起こったLPガス貯蔵施設の爆発事故をテーマにしている。死者500~600人、負傷者2000人という未曽有の大事故の犠牲者に捧げられたもの。こうした社会的テーマを曲にして取り上げるというのは、その後のEL TRIの作品でも続けられていく。一方、3.「ビシオーソ」は、ロック万歳的な内容かつ演奏のナンバーで、筆者的には本盤収録曲では5.と並んで特別にお気に入りの曲だったりする。[収録曲]1. Sópleme usted primero2. San Juanico3. Vicioso4. Juanita5. Triste canción 6. Agua, mi niño (La curva)7. Violencia, drogas y sexo8. Metro Balderas 1984年リリース。 ↓ベスト盤です。↓ Lo Mejor De El Tri【中古】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年07月12日
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『エル・トレン・デ・ラ・ビダ(人生の列車)』からの曲を動画で 前回更新のプラジャ・リンボ(Playa Limbo)のアルバム『エル・トレン・デ・ラ・ビダ(人生の列車)』ですが、本ブログでは、過去に「カレンダリオ」という曲を取り上げています。とはいえ、本邦では入手しにくい盤ですので、ついでということでさらに収録曲を紹介しておきたいと思います。 取り上げるのは、同盤に収録されている「デシルシオン(Desilusión)」というナンバーです。表題はスペイン語ですが、英語がわかる方には見ての通り、disillusion(幻滅を捨てること、正気に返ること)の意味です。アルバムの紹介にも書いた通り、お洒落なヴォーカルとサウンドが全開の1曲です。 この曲のライヴ演奏をと思ったのですが、どうもそれらしきものが見当たりません。そこで、もう1曲、アルバムの表題曲である「ウン・インスタンテ~エル・トレン・デ・ラ・ビダ(Un instante (tren de la vida)」のライヴでのパフォーマンスをご覧ください。 [収録アルバム]Playa Limbo / El tren de la vida(2012年) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年06月13日
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2010年代、お洒落なラテン・ポップスの圧倒的ないち押し盤 プラジャ・リンボ(Playa Limbo)は、メキシコのポップ・グループで、ジャズ的な要素なんかも取り込んで、洒落たサウンドを展開する4人組である。2003年、メキシコ第2の都市グアダラハラにおいて、アンヘル・バイジョ(ベース)とホルヘ・コラレス(キーボード)が合流し、テ・デ・ティラ(T’ de Tila)に参加していたマリア・レオン(María León, ヴォーカル)が加わって形成された。メジャー・デビューを飾ったのは2007年である。 これまでのところ、このバンドの最高作と言えそうなのが、2012年発表の『エル・トレン・デ・ラ・ビーダ(El tren de la vida)』という盤である。アルバム表題は、スペイン語で“人生の列車”という意味。洗練されたポップ・サウンドとマリア・レオンのコケティッシュな雰囲気のヴォーカルが実にいいバランスで調和している。 収録曲のうち、何と言っても、1.「イマヒナールテ」、2.「デスイルシオン」、5.「カレンダリオ」の3曲が一押しである。いずれも耳に残りやすい曲調で、お洒落なポップ・サウンドというのに加え、ヴォーカルのマリア・レオンの表現力が存分に発揮されている。他に4.「タン・アルト・タン・レホス」、6.「デハールテ・イール」なんかもいいが、こうやって挙げていくと最後は全曲いいということになってしまいそうである。といったわけで、結局のところ、捨て曲なしの盤ということになるのだけれど、2010年代のラテン・ポップスのお洒落系の作品としては、圧倒的にベストと言える輝きを放っている盤ではないかと筆者的には思っている。 ちなみに、2016年、ヴォーカルのマリア・レオンはグループを脱退した。その理由はTVドラマ『ゲラ・デ・イドロス(英語表題:プライス・オブ・フェイム)』での女優業に専念することだったそうだが、バンドの方では後任の女性ヴォーカリスト、ジャス・レジェスが合流し、その後も新作も発表し続けている。[収録曲]1. Imaginarte 2. Desilusión 3. Nadie nos ve 4. Tan alto, tan lejos 5. Calendario 6. Dejarte ir 7. Que bello 8. La sombra de tu corazón 9. Novia de rancho 10. Un instante (tren de la vida)2012年リリース。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年06月11日
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個人的な思い入れも含めて、これまでのところ最良の盤 1998年にデビューしたスペイン人女性シンガーのマルー(Malú)にとって8枚目のスタジオ盤となったのが、2010年発表の『ゲラ・フリーア(Guerra fría)』である。個人的には思い入れの強い作品で、筆者が1枚通して聴いたものとしては最初の彼女のスタジオ盤だった。そんなこともあって、愛着が強く、繰り返し聴いている。先に結論を述べてしまうと、今のところ、マルーのアルバムの中では最良の出来と言っていいのではないだろうかと思っている。 2009年の『ビベ』(これもかなりのお薦め盤)はスペインで初登場2位だったのだけれど、本盤『ゲラ・フリーア』は、それを上回り、初登場1位となった。その後のアルバム作品もスペインチャートの1位を連続して記録しており、その人気はとどまることを知らない。 本盤の一押しは何と言っても、2.「アオラ・トゥ」。さらに、これ以外にも、お勧めの好曲が目白押しである。ノリのいいポップからしっとりしたバラードまで曲調にバリエーションがあるのも、通して聴いて飽きさせない点と言えるだろう。 筆者のお勧めとしては、まずは、1.「ボイ・ア・ケマールロ・トド」。ポップでありながら、抑揚が効いていて、冒頭で聴き手を一気に惹きつける。比較的ノリのよいナンバーとしては、7.「ベルティゴ」もいい。上記の2.と並ぶ叙情系バラードとしては、5.「ニ・ウン・セグンド」があり、こちらもまたマルーの本領発揮のナンバーである。さらに、ややしっとり気味のバラード調の4.「ブランコ・イ・ネグロ」も筆者のお気に入りだったりする。ついでにもう1曲付け加えておくと、表題曲の9.「ゲラ・フリーア」もハスキーな声と歌唱力が生かされた実に好ナンバーだと思う。 上で述べたように、マルーのアルバム作品の中で、個人的には本作がこれまでのところベストの盤だと思う。まだ未体験で関心のあるという方は、ぜひこの辺を入口に聴いてみていただきたい。[収録曲]1. Voy a quemarlo todo2. Ahora tú 3. Quién4. Blanco y negro5. Ni un segundo6. Libérame7. Vértigo8. Búscame9. Guerra fría10. El apagón11. Así lo haré12. Ni un segundo2010年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Malu / Guerra Fria ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年05月22日
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スペイン語ロック名曲選(その5) 少し間が空きましたが、スペイン語ロックの5回目です。先回の「バホ・ラ・ルーナ」に続き、今回もメキシコのロック・バンドの曲なのですが、1990年にシーンに登場し、1990年代にその地位を確立していったフォビア(Fobia)というバンドの代表的ナンバーの一つです。 「ディオス・ベンディーガ・ア・ロス・グサーノス(Dios bendiga a los gusanos)」というのがそのナンバーです。表題は「芋虫たちに神の祝福あれ」という、これまた不可思議なタイトルです。キリスト教国のメキシコなので、ロック音楽とはいえ、“神の祝福”という表現はまあ普通なのでしょうが、そこに“芋虫(グサーノ)”が組み合わさっているのが意外な感じといったところです。 まずは、元のアルバムに所収のヴァージョンをどうぞ。 実は筆者は若き日の彼らの演奏をライヴで見たのですが、その時点では決して演奏力とかライヴパフォーマンスが高いという感じではありませんでした。けれども、後の映像を見ると、堂々としたバンドに成長しました。そんなわけで、もう1つは、最近のライヴでの見事なパフォーマンスをご覧ください。 不定期更新ながらひとまず5回目までスペイン語ロックの名曲選をやりました。いったんここで一区切りとし、また近いうちに第2弾という形で続けられればと思っている次第です。[収録アルバム]Fobia / Fobia(1990年) ↓ベスト盤です。↓ 輸入盤 FOBIA / ROCK LATINO (REMASTER) [CD] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年05月16日
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スペイン語ロック名曲選(その4) 先の第2回(前回記事はこちら)に続き、メキシコのロック・バンドのナンバーです。1980年代後半のスペイン語ロックの定番曲の一つに、この「バホ・ラ・ルナ(Bajo la luna)」というのがあります。 “月影の下に”を意味する表題のこのナンバーは、クリスタ・ガジ(Crista Galli)なるバンドの代表曲なのですが、当時は1枚のアルバムを発表しただけのバンドでした。筆者もオリジナル・アルバムは入手できず、“ロック・エン・トゥ・イディオマ”関連の編集盤やエアプレイなどでこの曲ばかりを聴いていたというものです。 続いては、1993年のライヴ(TV番組)の映像です。 今回はさらにもう一つ。後年(2009年)のリミックス・ヴァージョンなるものが存在しますので、そちらもよろしければお聴きください。 [収録アルバム]Crista Galli / Crista Galli(1993年)Crista Galli / Exit(2008年、編集盤) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年05月01日
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スペイン語ロック名曲選(その3) スペイン語ロックの不定期更新記事、3曲目です。1980年代後半の“ロック・エントゥ・イディオマ(あなたの言語でロックを)”のキャンペーンは、メキシコやアルゼンチンといった中南米のアーティストに限られたものではありませんでした。スペインのロック・アーティストもそこに含まれていて、エロエス・デル・シレンシオ(Héroes del Silencio)というバンドも、その中で重要な役割を担ったバンドでした。 “沈黙の英雄たち”を意味するエロエス・デル・シレンシオは、1980年代半ばにスペインのサラゴサで結成され、1996年まで活動しました(2007年には再集合し、解散ライヴ・ツアーを行なっています)。1990年、彼らの8枚目のシングル曲となった「エントレ・ドス・ティエラス(Entre dos tierras)」をどうぞ。 スペインのロックというと、あまりイメージしにくいという人も多いかもしれませんが、このバンドは、その当時、筆者も気に入ってよく聴いた思い出があります。 もう一本、ライヴでのこの曲の演奏もご覧ください。1993年、ドイツでのライヴの様子です。 [収録アルバム]Héroes del Silencio / Senderos de traición(1990年 *スペイン国外リリースは1992年) ↓この曲を含む盤が入った2 in 1廉価版のようです。↓ 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Heroes Del Silencio / Avalancha/Senderos De Traicion (Limited Edition)【K2020/3/13発売】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年04月24日
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スペイン語ロック名曲選(その2) 同じ表題の記事の第2回ですが、前回から少々間が空いてしまいました。今回は、本ブログでも既に複数回取り上げているメキシコの有名ロック・バンド、EL TRI(エル・トリ)の初期の有名曲です。1985年のバンドのファースト作『シンプレメンテ』に収録されたナンバーで、同盤収録曲の中では、「トリステ・カンシオン(哀しき愛の歌)」と並んで人気の曲です。まずは、同盤所収のオリジナルの演奏をどうぞ。 表題の「メトロ・バルデーラス」というのは、メキシコ市内に実在する地下鉄の駅(バルデーラス駅)のことで、ようするにそこが失恋の舞台となった男の話がこの歌の詞になっているというものです。地下鉄の駅など町中の実在の地名がいくつも詞の中に出てきます。そんなわけで、ライヴで演奏されるときには、“替え歌”や“替え地名”が頻繁に出てきます。 もう1本は動く映像をということで、2012年のプエブラでのライヴの様子です。上述の通り、チョルーラ(プエブラ市近郊の町)やサラゴサ(このライヴをやっているスタジアム名)といったご当地の地名を含む詞で歌われています。 [収録アルバム]El Tri / Simplemente(1985年)その他、ベスト盤やライヴ盤にも多く収録。 ↓ベスト盤です(この曲が含まれているかどうかは不明)。↓ Lo Mejor De El Tri【中古】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年04月17日
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スペイン語ロック名曲選(その1) スペイン語ロックというジャンルを広く捉えると1950年代まで遡れるのでしょうが、1980年代後半に“ロック・エントゥ・イディオマ”というキャンペーンが浸透して以降、現代につながるスペイン語ロックの隆盛が起こったと言えるように思います。そこで、不定期更新という形で、1980年代から1990年代にかけてのスペイン語ロックの名曲を動画とともに紹介していこうかと思っています。不定期なので合間が開くかもしれませんが、とりあえずは5回ほど続けるのを目標にしますので、よろしければお付き合いください。 さて、初回はアルゼンチンのロック・シンガーであるミゲル・マテオス(Miguel Mateos)の「アタード・ア・ウン・センティミエント(Atado a un sentimiento)」です。まずは若々しい往時のビデオ映像をどうぞ。 1987年リリースの同名アルバムの表題曲ですが、1980年代のマテオスはZASというバンドで活動をしていて、この当時のアルバムはミゲル・マテオス/ZASという名義で発表していました。1989年のバンド解散後はソロ活動を続けて現在に至りますが、2019年には本人曰く“最終作”となるスタジオ・アルバムを発表しています。 もう一本、後の円熟期のパフォーマンスをご覧ください。2010年にメキシコで録音された(翌2011年にライヴ盤としてリリースされた)演奏です。 [収録アルバム]Miguel Mateos/ZAS / Atado a un sentimiento(1987年)Miguel Mateos / Primera fila(2011年)← 上記のライヴ・ヴァージョンを収録。 ↓ いずれもベスト盤です。 ↓ 【輸入盤CD】【ネコポス100円】MIGUEL MATEOS / ROCK DEL MILENIO 【輸入盤CD】【ネコポス100円】MIGUEL MATEOS / GRANDES EXITOS 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年04月05日
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オーケストラをバックにした揺らぎと癒しの声 タニア・リベルター(Tania Libertad)は1952年ペルー北部生まれで、1980年代からメキシコを拠点に活動している女性シンガー。ボレロやトローバなどの伝統曲を得意とし、60歳代となった現在では、中南米を代表する大御所ヴォーカリストと見なされるようになっている。 そんな彼女が、1990年代後半に、メキシコ市交響楽団(Filarmónica Ciudad de México)の演奏をバックに歌い上げるというコンセプトで吹き込まれたのが、本盤『イムノ・アル・アモール(Himno al amor)』(スペイン語で“愛の讃歌”の意味)であった。 交響楽団を指揮したのは、有名指揮者のフェルナンド・ロサーノ(Fernando Lozano)であった。この人は“音楽に境界はない”という短文を本アルバムに寄せていて、“時間や空間が、ましてはその起源やスタイルが音楽を分断することはない”としてジャンルや流行にとらわれないコラボだったことを臭わせている。さらに、“悪い音楽”というのはジャンルを問わず存在し、いい音楽に境界はないと述べている(ちなみに、ここでいう「境界」という語は、しばしば「国境」の意味でも使われる)。 実際のところ、本盤は、オーケストラは別に録音され、タニアのヴォーカルとミキシングされているようだが、有名歌手がただ単にオケをバックに歌った代物というわけではない。できあがった作品を少し聴けばすぐにわかるように、彼女のヴォーカルと交響楽団との相性は抜群なのである。 推奨曲を筆者の個人的好みに基づいて挙げておきたい。冒頭の1.「イムノ・アル・アモール(愛の讃歌)」は、アルバムの表題曲にもなっていて、本盤の雰囲気がよく表れている歌唱。フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフ(Édith Piaf)の1950年のナンバーだが、本盤所収の他の曲と同じくスペイン語ヴァージョンで歌われている(余談ながら、この曲は、日本では越路吹雪のカバーでも知られる)。2.「マニャーナ・デ・カルナバル(カーニバルの朝)」は、「黒いオルフェ」としても知られ、ルイス・ボンファによる同名映画の主題曲で、ジャズ界でも定番曲として定着している曲。4.「ラ・ボラ・ネグラ」は、メキシコ人シンガー、ホセ・アルフレド・ヒメネス(José Alfredo Jiménez)のナンバーで、私的には本盤の一押しの曲の一つ。6.「プラセール・デ・アモール(愛の喜び)」は原曲のフランス語のほかイタリア語で歌われることも多いオペラ曲だが、ここではやはりスペイン語で歌われている(余談ながら、E・プレスリーの「好きにならずにいられない」のもとになったのがこの曲だった)。7.「ロンヒーナ」はベネズエラ人のサルサ・シンガー、オスカル・デ・レオン(Óscar d’León)の曲で、本盤中の特にお気に入りの一つ。あと、10.「ラ・ギンダ」は、特別ゲストとして参加の映画音楽家ゴンサロ・ロメウ(Gonzalo Romeu)のピアノが大幅にフィーチャーされている。 結局のところ、上記からもわかるように、多様な楽曲を交響楽のアレンジにのせてスペイン語で聴かせるという仕上がりになっている。そして、タニアの揺らぎのある癒しのヴォーカルの本領がこうした仕掛けの上で存分に発揮されている盤と言えるだろう。デンデー(Dendé)というマイナー・レーベルの盤で入手は容易ではなさそうだけれど、個人的には本当に聴けてよかったと思っている一枚だったりする。[収録曲]1. Himno al amor 2. Mañana de carnaval 3. Carusso4. Siboney 5. La bola negra6. Placer de amor 7. Longina 8. Los pájaros perdidos 9. La luna y mi sombra 10. La guinda 11. Nana 12. Asturiana13. Bachinas Brasileiras #5 1997年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2020年03月05日
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高い完成度の第4作 カイファネス(Caifanes)は、サウル・エルナンデス(ヴォーカル、ギター)を中心とするメキシコのロック・バンド。1988年のデビュー盤以降、順調にアルバム作品を制作し、シングル・ヒットも重ねていった。そんな彼らのキャリアの一区切りとなった作品が、4作目にあたる本盤『エル・ネルビオ・デル・ボルカン(El nervio del volcán)』である。“火山の神経”という意味の表題のこの盤は、1994年初頭にロサンゼルスで録音され、グラハム・ナッシュ(9.のハーモニカ、参考過去記事(1) ・(2) )やセシリア・トゥーサン(1.,3.,5.のコーラス、参考過去記事(1) ・(2) )らがゲストとして参加している。 この時点でのメンバーは、上記のサウル・エルナンデスに加えて、アレハンドロ・マルコビッチ(リード・ギター)、アルフォンソ・アンドレ(ドラム、パーカッション)の3人。カイファネスは、本盤リリース翌年の1995年にバンド活動を停止することになった(後に2011年に再結成)。結果的に、デビューの1988年から1995年の活動期間で、本盤が最後のアルバムとなった。 個人的には、リリース当時によく聴いた作品で、思い入れがある。お薦めの楽曲が多く並ぶが、いくつか注目曲をピックアップしてみたい。1.「アフエラ」、3.「アキー・ノ・エス・アシー」、4.「アジェール・メ・ディホ・ウン・アベ」はシングル・カットされた。特に大ヒットした1.は、当時はもちろんのこと、今でもいろんなところでよく耳にするナンバーで、彼らの代表曲の1つである。 これら以外に本盤所収で聴き逃がせないのは、8.「キシエラ・セール・エル・アルコール」。この独特のスロウ・ナンバーは、サウルの曲の中で個人的にはかなり上位にくるお気に入り曲だったりする。さらに、2.「ミエド」と6.「アビエンタメ」も本盤の聴きどころといえそうで、前者はどちらかというとストレートに、後者は独特のリズム感で、いずれもカイファネスらしくロックしている。余談ながら、昨年(2019年)で本盤はリリースから25年を迎えた。1990年代メキシカン・ロックの上位に入る代表作と言える作品なので、“25周年記念エディション”なんて発売されたりしていないのだろうか…(といいつつ、筆者の手持ちは、簡易なリイシュー盤だったりするのだけれど)。[収録曲]1. Afuera2. Miedo3. Aquí no es así4. Ayer me dijo un ave5. Hasta que dejes de respirar6. Aviéntame7. El animal8. Quisiera ser alcohol9. Pero nunca me caí10. El año del dragón11. La llorona1994年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】CAIFANES / NERVIO DEL VOLCAN 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Caifanes / El Nervio Del Volcan【K2020/1/24発売】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2020年03月03日
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初のセルフ・プロデュースによるセルフ・タイトル盤 1998年にデビューしたスペイン人女性シンガー、マルー(Malú)のスタジオ盤第5作となったのが、2005年リリースのセルフ・タイトル作『マルー(Malú)』である。それまでの作品のヒットで既に国際的スターとなり、前年には初のライヴ盤もリリースしていたが、この盤もまた大きなヒットを記録した。 録音はマドリードとロンドンで行われたとのことだが、何より大きな変化は、マルー自身がプロデュースにも参加した点にある。筆者はこの時期よりも後に初めてマルーのことを知ったので、本盤も遡っての“後聴き”なのだけれど、デビューの頃に比べて落ち着きが感じられ、本盤では歌唱力を活かした好曲が多いという印象を持っている。その分、ポップさを求める聴き手には少し物足りないかもしれないけれど、個人的にはこのくらい落ち着いた曲が含まれている方が好みだったりする。 注目曲をいくつか挙げていきたい。冒頭の1.「テ・コノスコ・デスデ・シエンプレ」は、上で述べたような落ち着き払った感じが気に入っていて、さらりとした曲調がいい。スパニッシュ・ギターが効果的に使われている2.「ディレス」は、歌唱力を前面に出し、叙情的な歌声と曲の盛り上げ方が特徴である。この手の曲や演奏は彼女の本領発揮と言えるのだけれど、この曲は特に筆者としてはお気に入りの一つである。以降も、同じ路線の叙情系のナンバーが続くが、その中でも筆者が特によいと思うのは、5.「フラヒレス」、6.「アブラメ」、8.「イ・シゴ・プレグンタンドメ」、10.「ソブレジェベー」。 正直、初めて聴く人には、“なぜこんなにフラメンコ風?”と疑問がわくかもしれない。実は、このマルーという人は、かのパコ・デ・ルシーアの姪っ子で、父もフラメンコの歌い手で、その事実を知れば納得といったところだろうか。このテイストは、彼女のポップスの特徴になっていて、筆者が気に入っている部分だったりする。[収録曲]1. Te conozco desde siempre2. Diles 3. Eres el agua4. Sabes bien5. Frágiles6. Háblame7. Amor de hielo y sal8. Y sigo preguntándome9. Lo que no sabes10. Sobrellevé11. Perdida2005年リリース。 ↓ベスト盤です。↓ 【送料無料】 Malu / Malu Grandes Exitos 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年02月10日
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80年代から90年代へ、貫禄が感じられ始めた作品 メキシコのロック・バンド、EL TRI(エル・トリ)が1990年にリリースしたスタジオ・アルバム6作目が、この『ウナ・レジェンダ・ビバ・ジャマーダ・エル・トリ~生きた伝説(Una leyenda viva llamada El Tri)』という盤である。1984年のメジャー・デビューからそれなりの年月が経過し、ちょうどこの前後から“貫禄”のようなものも感じられるようになったと言えるように思う。 とはいえ、音楽的には守りに入ったわけではなく、むしろ全体的にテンポがよく、前へ前へと押してくる感じが強い。1.「カサ・コミーダ・イ・スステント(家と食糧と生活費)」や5.「アルギエン・パラ・アマール(愛する人が必要)」、6.「メ・ボイ・ア・スイシダール(自殺してやる)」(この曲の表題の直訳するとこうなるが、今どきの世の中だと何かと問題になりそうなタイトル…)なんかがその典型例と言えそうである。 歌詞の内容に目を向けると、相変わらず日常を歌ったものもあれば、社会的・風刺的なものも同時に目につく。上記1.もそうしたテーマだが、他にも4.「エル・デセンプレアード(失業者)」、10.「ヌエストラ・レアリダー(俺たちの現実)」といった表題のナンバーが並ぶ。そうした中でもとりわけ聴き逃がせないナンバーとしては、8.「ミジョネス・デ・ニーニョス(何百万人もの子どもたち)」。高級車に乗り札束に埋もれんばかりの政治家がのさばる一方で、行き場もなくその辺でチューイングガムを売り歩く子どもたちがいる現実をストレートに詞にしている。 最終的に、抜きんでてこれが彼らの最高作という盤ではないかもしれない。けれども、この後1990年代を通してEL TRIが大きな成功を収めていったのは、この頃から余裕のあるパフォーマンスが見られ始めたあたりに原点があると言えるのかもしれないと思ったりする。[収録曲]1. Casa, comida y sustento2. Viejas de vecindad3. Otra garrapata más4. El desempleado5. Alguien para amar6. Me voy a suicidar7. Ríe8. Millones de niños9. Como una lombriz10. Nuestra realidad1990年リリース。 ↓ベスト盤です。↓ Lo Mejor De El Tri【中古】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2020年02月08日
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完成度がさらに上がった代表盤 マナー(Maná)は、1986年、メキシコ第2の都市グアダラハラで結成されたロック・バンド。それ以前には、ソンブレロ・ベルデ(Sombrero Verde)の名で活動をしていた。1990年代を通じてメキシコ国内での人気を不動のものとし、さらには、アメリカ合衆国でも人気を得るようになった。その結果、ラテン・グラミーも複数回受賞している。 そんな彼らのキャリアの中で世界への飛躍を果たしたアルバムと言えそうなのが、この『スエニョス・リキドス(Sueños líquidos)』である。1995年発表の前作(『クアンド・ロス・アンヘレス・ジョラン』)で固まってきた路線を継承しつつ、1997年の本盤では、さらに一段階高いレベルの楽曲と演奏を披露している。スタイルの確立とその内容の充実ぶりは、着実な成長と成熟の成果と言える。 個人的に気に入っているナンバーをいくつか挙げておきたい。冒頭の1.「エチセラ」と4.「チャマン(シャーマン)」は、上述のように固まってきたマナー節が全開と言える楽曲。あと、ロック・バラード系の曲で素晴らしいというケースがこのバンドには結構ある。本盤では、3.「コモ・ドゥエレス・エン・ロス・ラビオス」、8.「エン・エル・ムエジェ・デ・サン・ブラス(サン・ブラスの波止場にて)」、9.「ラ・シレーナ」の3曲、とりわけ8.は必聴の名ナンバーで、マナーの楽曲としては、決して聴き逃がしてはならない1曲と言えるのではないかと思う。[収録曲]1. Hechicera2. Un lobo por tu amor3. Cómo dueles en los labios4. Chamán5. Tú tienes lo que quiero6. Clavado en un bar7. Róbame el alma 8. En el muelle de San Blás9. La sirena 10. Me voy a convertir en un ave11. Cómo te extraño corazón 12. Ámame hasta que me muera1997年リリース。 【輸入盤CD】【ネコポス100円】MANA / SUENOS LIQUIDOS (マナ) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年11月29日
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400万アクセス記念~いま聴きたいあの曲(その25) 気がつくとすっかり11月で気温も下がってきました。10月のうちにこの曲を聴きながら、400万アクセス記念の中で取り上げようと思いつつ、いつの間にか機を逃してしまったというのが今回のナンバーです。「ルナ・デ・オクトゥブレ(Luna de octubre)」というのがその曲なのですが、このスペイン語のタイトルは、ずばり“10月の月”。どこの国でも秋頃の月は美しいと見なされるということでしょうか。 でもって、この曲をカバーしたアーティストの一人が、エウヘニア・レオン(Eugenia León)です。このメキシコ人女性シンガーは、ボレロなどのトラディショナル曲のカバーを積極的に手掛けています。2013年には様々なアーティストとの共演で『シウダダナ・デル・ムンド(世界市民)』というアルバムを企画しているのですが、その中に収められたカルラ・モリソン(Carla Morrison, 日本語ではカーラ・モリソンとの表記もあり,参考過去記事)との共演をご覧ください。 ちなみにこの曲は、メキシコ映画黄金期のスター俳優、ペドロ・インファンテ(Pedro Infante)が1954年に歌ったもので知られます。そのようなわけで、半世紀以上前のものですが、インファンテによる歌唱もどうぞ。 [収録アルバム]Eugenia León / Ciudadana del mundo, vol.1(2013年) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2019年11月09日
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400万アクセス記念~いま聴きたいあの曲(その21) ここ10年ほどでしょうか、筆者がすっかりはまってしまった女性ヴォーカリストにマルー(Malú)という人がいます(参考過去記事(1) ・参考過去記事(2) )。1982年、マドリード出身のスペイン人で、音楽一家に生まれ、パコ・デ・ルシーアの姪にあたる人物です。 今回は、そんなマルーのお気に入り曲の一つを取り上げたいと思います。セルフ・タイトル作となった5枚目のアルバム『マルー』に収められ、シングルとしてもヒットした「ディレス(Diles)」というナンバーです。 この曲もそうなのですが、フラメンコ音楽家たちの家系ということもあるのでしょうか。この人のナンバーには、うまくスパニッシュ・ギターなどをフィーチャーし、現代的ポップスの中にトラディショナルなカラーをうまく混ぜ込んだものがしばしば見られます。 そしてもう一つの特徴がこのハスキーな声と迫力のあるヴォーカルです。以下の映像はリリース当時(2005年)のものですが、22~23歳でこの歌唱というのは実に堂々たるものだと思います。 現在、マルーは30歳代後半に差し掛かっていますが、コンスタントにアルバムを発表し続け、トップ・アーティストとして活躍しています。このブログでも今後も彼女の曲やアルバムを取り上げていきたいと思っていたりする次第です。[収録アルバム]Malú / Malú(2005年)↓あくまで参考まで(この曲は含まない別盤です)↓ 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Malu / Guerra Fria 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2019年11月04日
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400万アクセス記念~いま聴きたいあの曲(その20) 数回前にメキシカン・ロックの曲(参考過去記事)を取り上げましたが、今回の曲は、メキシコ国内のロック音楽のメジャー化の流れの中で活躍したバンドのナンバーです。実は彼らのオリジナル・アルバムは、これまでのところ1枚も入手できずじまいでいるのですが、少なくともこのナンバーは有名なヒット曲というものです。 ケリグマ(Kerigma)というのがそのバンドで、1983~97年まで活動しました。ギターのエルネスト・カナレス(Ernesto Canales)とヴォーカルのセルヒオ・シルバ(Sergio Silva)を中心にメキシコシティで結成され、メンバーの入れ替わりがあったものの数枚のアルバムを残しました。 1991年(ギターは上記エルネストからメルリン・クロスMerlin Crossに交代後)、セカンド・アルバムからのヒット曲で「トレス・ルナーレス(Tres Lunares)」というナンバーです。 ケリグマは1997年に活動を停止したとのことですが、その後、2008年には再集合、近年はライヴなどにも出演しているようで、2019年現在は新しい作品を発表予定と報道されています。詳しい経緯はわからないのですが、おそらく2009年頃に発表された「トレス・ルナーレス」のニューヴァージョンもお聴きください。 [収録アルバム]Kerigma / Esquizofrenia(1991年) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2019年11月02日
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400万アクセス記念~いま聴きたいあの曲(その17) 今回はメキシコの大御所ロック・バンドのEL TRI(エル・トリ)のナンバーです。このバンドは長期間にわたって人気を獲得していますが、個人的には1990年代後半が最盛期中の最盛期だったように思っています。今回のナンバーはちょうどそうした時期の1曲です。 1997年リリースのアルバム『クアンド・トゥ・ノ・エスタス(君がいない時)』に収録された「パレセ・ファシル(Parece fácil)」をどうぞ。 ちなみに表題の「パレセ・ファシル」は“簡単に見える”という意味で、サビの詞は“簡単に見えても、実際には難しい”と続き、人生の苦難や障害をテーマにしています。ファンの中には、いわゆる“人生の応援ソング”的に捉えている人も多いようです。 さて、その後、このバンドは交響楽団との共演ライヴという企画を実現しています。これまでにそうしたライヴ・アルバムを3作発表していますが、その第2弾となった『シンフォニコII』に収録された「パレセ・ファシル」の演奏をお聴きください。 [収録アルバム]El Tri / Cuando tú no estás(1997年) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年10月29日
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20世紀の終焉…と言いつつも変わらぬ詞とサウンド 1998年にリリースされた“世紀末”というタイトルのアルバム…。冷静に考えればあまりにベタというか、いかにもわかりやす過ぎるのだけれど、これでよしとなってしまうのが、老舗バンドと言えるのかもしれない。これまで本ブログには何度か登場しているのだけれど、EL TRIはロック解禁前の1960年代から活動を続けてきたアレハンドラ・ローラをリーダーとし、1980年代にメジャー・デビューしたメキシコのバンド。その12枚目のスタジオ作(ライヴ盤を含めると15枚目のアルバム)となったのが、本盤『フィン・デ・シグロ~世紀末(Fin de siglo)』というわけである。 “世紀末”だから特別かと言うと、実は劇的にそんなことはなく、既に貫禄のついた1990年代の彼ら独特のサウンドをそのままに踏襲した作品に仕上がっている。以下、注目したい曲と個人的好みの注目曲をいくつか挙げてみたい。 2.「ノスタルヒア(郷愁)」は表題の“世紀末”のノスタルジーをテーマにした詞のナンバーで、シングルとしてもヒットした。5.「キエン・ダ・ウン・ペソ・ポル・ミス・スエーニョス(誰が我が夢に金を出してくれるのだろうか)」は、メキシコの大作曲家アルマンド・マンサネロ(マンサネーロ)のナンバーだが、始めから終わりまで完全にEL TRI節に仕上がっている。8.「エル・ブルース・デル・タクシスタ」はメキシコシティを走り回るタクシー運転手をテーマにしたナンバー。ユーバー全盛の今となってはこれもまた郷愁を誘う(笑)。それから、外せないのは12.「トド・セ・バレ(すべてオーケー)」。密かにこの歌と演奏は本盤中ベストと言ってもいいのではないかと思っている曲だったりする。 全体としては、前作『クアンド・トゥ・ノ・エスタス』(1997年)、前々作『オジョス・エン・ラ・ボルサ』(1996年)から続くサウンドと路線を踏襲しつつ先に進めたもので、まとめて“三部作”と呼んでもいいような気がする。このバンドは、人生の様々な側面を歌ったり、社会を皮肉ったりという内容の曲が売りではあるけれど、スペイン語がわからなくとも、特にこの時期のEL TRIは単純にロック音楽としてカッコいい曲が随所に見られる。そういう意味でも、本盤は上記2作と共に聴いてみる価値のある盤だと言えるように思う。[収録曲]1. Todo me sale mal2. Nostalgia3. El voceador4. El futuro del mundo5. Quién da un peso por mis sueños6. Cásate o muérete7. Gandalla8. El blues del taxista9. El Viagra10. No hay pedo11. Amarga Navidad12. Todo se vale13. Cotorreando con la banda14. Razas gemelas1998年リリース。 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年10月02日
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メキシコの“アーバン・ロック”の新定番 カリフォルニア・ブルース(California Blues)は、アルフレド・ラジョ(Alfredo Rayo)率いるメキシコの4人組ロック・バンド。当初、マヌエル、ラミーロ、アルフレドのラジョ三兄弟(Manuel Rayo, Ramiro Rayo, Alfredo Rayo)が1998年にバンドを結成し、そこにカルロス・セグーラ(Carlos Segura)とアントニオ・サンティジャン(Antonio Santillán)が加わって、カリフォルニア・ブルース(California Blues)と名乗った。その後はメンバーチェンジを経ながらも、既にまとまったキャリアを積んだグループとして活動している。 情報過少のため詳しくはよくわからないのだけれど、本盤『デスデ・アデントロ(Desde adentro)』は、2006年(?)発表の、おそらくは4枚目のスタジオ録音作と思われる。本ブログではこれよりも後に出た『マヒア』というアルバムを紹介済みだけれど、本盤は、同作と並んでメキシコの“ロック・ウルバーノ(アーバン・ロック)”の教科書的と言ってもよさそうな演奏内容である。 冒頭の1.「オイ・ケ・ノ・エスタス・コンミーゴ(お前がいない今日)」とラストの9.「コモ・オルビダールテ(どうしてお前を忘れられるか)」は、リラン・ロール(参考過去記事)なんかの流れを汲む、センチな男のラヴ・ソング調のナンバー。いずれも女性に去られた男の未練いっぱいの、ある意味、メキシコ人男性の心にいかにも響きそうな詞の内容(笑)である。 その一方で、シンプルなロックンロールの7.「デハラ・ジャ」があるかと思えば、9.「マリフアナ」のように、ハードロック調で表題がいかにも“都会的”(笑)なナンバー(ただし歌詞はなしのインスト曲)も含まれている。あと、個人的には3.「カンシオン・アノニマ(作者不詳の歌)」や6「トゥス・オホス・ソン(君の目は)」.も気に入っている。この手の音楽の需要はメキシコの都市部でコンスタントにある。既に一定のキャリアを持ったグループとして定着しているだけに、あまりにワンパターンすぎる展開に陥らない限り、彼らの楽曲は親しまれ、楽しまれていくのだろうと思う。[収録曲]1. Hoy que no estás conmigo2. Semáforo rojo3. Canción anónima4. Te vi5. Di que volverás6. Tus ojos son7. Déjala ya8. Día de invierno9. Marihuana10. Cómo olvidarte2006年リリース。 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2019年09月22日
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年齢を重ねても安定したパブロ節 キューバ出身のパブロ・ミラネス(Pablo Milanés)は、シルビオ・ロドリゲスやノエル・二コラらと並び“キューバの新しいトローバ(ヌエバ・トローバ・クバーナ)”の流れを展開したシンガーソングライターとして知られる。1943年生まれなので、今年の誕生日(2019年2月)で既に76歳を迎えたという年齢だけれど、コンサート出演に加え、アルバム制作や他のアーティストの作品へのゲスト出演などコンスタントに活動を続けている。 スペイン語圏では超有名シンガーである彼の作品の中で、今回は2013年にリリースされた『レナシミエント(Renacimiento)』を取り上げてみたい。表題は“再生”を意味するスペイン語で、つまりは、フランス語の“ルネッサンス”と同じ意味にあたる語である。 このアルバムを出した時点でパブロは既に70歳だったわけだけれど、1970年代~80年代の調子とあまり変わっていないこと――それは安定感と言い換えてもよいかもしれない――に、正直、アルバムを買って聴いて最初にほっとしたという記憶がある。キューバを代表するアーティスト、スペイン語圏でトップレベルの大物となっても、従来の作風を踏まえていることに筆者は妙に安心したわけである。 人は誰だって齢をとる。その齢によって積み重ねられたもので本人も変わっていく。きっとパブロだって例外ではないはずだ。けれども、いくら題材が深刻でも、テーマに何がしかの変化があったとしても、この淡々とした語り口というか“歌い口”はあえて変えないようにしているのではないかと思わされたりもする。 確かに、若い頃と比べて政治的なテーマは少なくなり、人生や愛を歌うものの比率が増えた。1.「エン・パス(平和のうちに)」は、苦悩の末の平和な日々といった主題だし、2.「アポカリプシス(黙示録)」に至っては、マヤの終末予言(2012年)なんかを取り上げている(リリースが2013年だからであって、2019年の今から見れば、世の末なんて訪れなかったのだけれど)。5.「クアル・シ・フエラ・ア・モリール・エスタ・マニャーナ(もし今朝死ぬのだとしたら)」なんかは、パブロが老境に差し掛かったが故のテーマかもしれない。その一方、愛と虚しさのようなテーマの9.「アモール・デ・オトーニョ(秋の愛)」は、彼の本領発揮で、10.「エル・オトーニョ・デ・アモール(愛の秋)」というリプライズもついている。あと、8.「カント・ア・ラ・アバナ」はキューバ的なパーカッションとともにハバナ(スペイン語ではラ・アバナ)讃歌とも言える内容の歌で、これまた個人的にはなかなか気に入っている。[収録曲]1. En paz2. Apocalipsis3. Dulces recuerdos4. Los males del silencio5. Cual si fuera a morir esta mañana6. Homenaje al Changüí7. Lamento8. Canto a La Habana9. Amor de otoño10. El otoño del amor2013年リリース。↓コンピ盤です↓ 【中古】輸入ジャズCD PABLO MILANES / HOY Y SIEMPRE LOS ANOS[輸入盤] 【輸入盤CD】【ネコポス送料無料】Pablo Milanes / Hoy Y Siempre Pablo Milanes Todo El Filin 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年09月18日
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人気絶頂期の到来を告げる1枚 マナー(Maná)は、既に長年活動を続けているメキシコのロック・バンド。1980年代にグアダラハラでフェル・オルベーラ(Fher Olvera,本名フェルナンド・オルベラ)、グスタボ・オロスコ(Gustavo Orozco)らによって結成されたソンブレロ・ベルデというのがその前身である。 マナーとして4枚目のスタジオ作となる本盤『クアンド・ロス・アンヘレス・ジョラン(Cuando los ángeles lloran)』は、1995年4月にリリースされた。セカンド作やサード作とこれらからのシングルのヒットで既にバンドの人気に火がついていたものの、インターナショナル・アーティストへと成長していくきっかけはこの盤と言えるだろう。アルバムとしての出来も、収録曲それぞれの工夫やクオリティも格段にアップしている。筆者的にはリアルタイムで本盤のヒットを体験したというひいきもあるのだけれど、それを差っ引いても、後のマナーの活躍から聴き始めたという人がいたら、ぜひ本盤あたりまでは少なくともさかのぼってほしいと思ったりする。 以下、本盤で注目したいナンバーをいくつか挙げてみたい。9., 10., 3., 4.の4曲がシングルカットされているが、それらのうちから特にお勧めなのは、4.「エル・レロッホ・ククー」と表題曲の8.「クアンド・ロス・アンヘレス・ジョラン」。前者は“鳩時計”、後者は“天使たちが泣くとき”の意で、どちらもテンポを落としたロック・バラード調で、これまでのマナーのナンバーの中でも、名曲に数えられると思う。 その一方、ロック・バンドとしての成熟が見られ始めるナンバーとして特にお勧めなのが、2.「セルバ・ネグラ」と6.「アナ」。前者の表題は“黒い密林”の意味で、メキシカン・ロック独特のリズム感がいい。後者は人生に絶望する15歳の少女(その名前が表題のアナ)を歌った詞の内容。どちらも曲の内容がよくわからなくても演奏がカッコいいという観点では、このアルバムの中では特に上位の、筆者的にはお気に入りのナンバーだったりする。[収録曲]1. Como un perro enloquecido2. Selva negra3. Hundido en un rincón4. El reloj cucú5. Mis ojos6. Ana7. Siembra el amor8. Cuando los ángeles lloran9. Déjame entrar10. No ha parado de llover11. Antifaz12. El borracho1995年リリース。 【輸入盤】Cuando Los Angeles Lioran [ Mana (Latin) ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年08月26日
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メキシコを代表するバンドの初ライヴ盤 メキシカン・ロックの雄であるEL TRI(エル・トリ)が1989年に発表した初のライヴ・アルバムが、『エン・ビボ!!! エン・ラ・カルセル・デ・サンタ・マルタ(En vivo!!! En la cárcel de Santa Martha)』という盤である。 EL TRIがメジャー・デビューしたのは、1984年のことだったが、その前身バンドを含む活動歴は長く、メキシコにおいてロックがアンダーグラウンドだった時代からシーンを牽引してきた。そんな“先鋭的”バンドらしく、本ライヴ盤は、通常のライヴ録音ではなく、メキシコシティ南部に位置するサンタ・マルタ女子刑務所で録音されたものだった。 収録曲の内容を見ると、デビュー以降の主要曲を中心とした、ある種、王道の選曲と言える。アルバム半ばおよび終盤に特に人気曲が配され、曲の配置は、初ライヴ盤としては、順当なものである。その一方、演奏内容は、単なるベスト盤的なものからはかけ離れていて、彼らのライヴ・パフォーマンスの神髄が発揮されている。リーダーでヴォーカルのアレハンドロ・ローラ(Alejandro Lola)の強い個性がMCや掛け声などであますところなく発揮されていて、“ピー”とか“XXXX”となるような発言も遠慮なく収められている。 聴きどころは(というかほぼ筆者の趣味による選曲になってしまうのだけれど)、3.「クアンド・エストイ・コン・ミス・クアーテス」、6.「ポブレ・デ・ロス・ニーニョス」、7.「A.D.O.」、8.「エル・ニーニョ・シン・アモール(愛なき子)」といった主要曲たち。また、ライヴのラストが会場の刑務所をテーマにした11.「サンタ・マルタ」というのもいい。12.の「トリステ・カンシオン(哀しき愛の歌)/レヌンシオ/オジェ・カンティネロ」はライヴのアンコール部で、最大のヒットナンバーの「トリステ・カンシオン」に始まり、メジャー・デビュー前のバンドの代表曲である「オジェ・カンティネロ」で終わるという、これまた王道の選曲。その後、EL TRIはいろんな趣向のライヴ盤を発表して行くことになるが、今でも思い出しては引っ張り出してきて繰り返し聴いている盤の一つだったりする。[収録曲]1. Caseta de cobro2. Presta3. Cuando estoy con mis cuates4. Apriétame5. Mente rockera6. Pobres de los niños7. A.D.O.8. El niño sin amor9. Otra oportunidad10. Seguro de vida11. Santa Martha12. Triste canción/Renuncio/Oye cantinero1989年リリース。 ↓ベスト盤です↓ Mejor De El Tri (W/Dvd)【中古】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年08月21日
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キャリア最大のヒット作 グロリア・トレビ(Gloria Trevi)は、メキシコ出身の女性シンガー。1989年にデビューし、スター街道を駆け上るも、未成年者虐待容疑で2000年に逮捕。その後も芸能ゴシップの話題を散々提供した末に音楽界に復帰を果たしたお騒がせ芸能人として知られる。 そんな彼女のこれまで最大のヒット作はというと、セカンド作の『トゥ・アンヘル・デ・ラ・グアルダ(Tu ángel de la guarda)』ということになる。表題のスペイン語は“あなたの守護天使”とまあ、カトリックの国っぽいのだけれど、実際の楽曲の内容は全然トラディショナルではない。実際、TV出演やステージなどでも派手で刺激的な衣装で登場し、曲の内容にも出てくるような若き“家出娘”そのまんまのような姿を散々披露していた。 本盤は、1991年にリリースされ、1.「ペロ・スエルト」(自身が出演した映画のタイトル曲)や7.「アガラテ」などのシングル・ヒットも生んだ。本アルバムは、ソニー・ミュージック・エンタテイメント・メキシコが選んだ“死ぬまでに聴きたい100枚”にも選ばれているのだとか(ほんまかいな…)。 聴きどころと言えそうな曲を挙げていきたい。シングルとしては、4曲がカットされた。上記の1.と7.に加え、表題曲の3.「トゥ・アンヘル・デ・ラ・グアルダ」、家出少女の心情を歌った8.「オイ・メ・イレ・デ・カサ」である。これら2曲は本盤中でも特に一押しのナンバーで、この当時のグロリア・トレビらしい曲である。シングル4曲の他にお勧めとしては、2.「ビルヘン・デ・ラス・ビルヘネス」、6.「ジャック・エル・レプロバドール」といったところ。 とかなんとか言いつつも、個人的には、その当時、夜中に暗い部屋(なぜそういうシチュエーションだったのかもはや記憶にはないけれど)で繰り返し聴いた盤ということで、妙な愛着がある。そのせいか、私的には、往時の“流行りもの”を超えて聴くたびに昔を思い出すという、妙にノスタルジックな作品でもあったりする。[収録曲]1. Pelo suelto2. Virgen de las vírgenes3. Tu ángel de la guarda4. Jei! (Escucha)5. Ya No!6. Jack, el reprobador7. Agárrate8. Hoy me iré de casa9. La pasabas bien conmigo10. (Como si fuera) La primera vez11. Amor apache12. Siempre yo1991年リリース。 【メール便送料無料】GLORIA TREVI / TU ANGEL DE LA GUARDA (輸入盤CD) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年08月17日
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安定感のあるスペイン女性ヴォーカリストのヒット作 アマイア・モンテロ(もしくはアマイア・モンテーロ、Amaia Montero)は、スペイン・バスク地方出身の女性シンガーソングライター。1976年生まれの彼女は、ラ・オレハ・デ・バン・ゴッ(La Oreja de Van Gogh, スペイン語で“ヴァン・ゴッホの耳”)のヴォーカリストとして1996年から2007年まで活躍し、その後はソロ・アーティストとしての活動を展開している。 本盤『ナシードス・パラ・クレエール(Nacidos para creer)』は、2017年から2018年にかけてロンドンとマドリードで録音され、2018年に発表されたソロ第4作。出身国であるスペインのほかメキシコ、アルゼンチン、チリ、ペルー、コロンビアなど世界10か国でチャート1位を記録した。彼女のソロ作を全部聴いているわけではないのだけれど、安定感のあるヴォーカルで、表現力も豊かでなかなか気に入っている。 本盤に収められた楽曲は、適度にポップで適度にメロウ。並べられた曲の構成も聴き手を飽きさせないつくりになっている。一押しは、2.「ミ・ブエノス・アイレス(私のブエノスアイレス)」で、いわば“熱唱系”のナンバー。その対極にありそうなのが、軽快なポップ・ナンバーで、4.「アベ・フェニックス(不死鳥)」あたりがその代表例と言えそう。アルバムを通して、この両極の間で様々な曲調やアレンジの曲が散りばめられていて、起伏に富んでいる。 上記の2曲のほかに個人的な好みをあと少し挙げておきたい。表題曲の1.「ナシードス・パラ・クレエール(信じるために生まれてきた)」、3.「レボルシオン(革命)」、10.「ラ・エンレダデーラ(ヒルガオ)」の3曲が、筆者的には特におすすめだったりする。現在のスペイン・ポップスの洗練度を示すと同時に、アマイア自身のソロ・アーティストとしての成熟度も示す好盤と言えるように思う。[収録曲]1. Nacidos para creer2. Mi Buenos Aires3. Revolución4. Ave Fénix5. Vistas al mar6. Por ti7. La boca del lobo8. Final feliz9. Me equivoqué10. La enredadera2018年リリース。 【輸入盤】Nacidos Para Creer [ Amaia Montero ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年08月14日
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大成功を収めたヒット作 モン・ラフェルテ(Mon Laferte,本名ノルマ・モンセラー・ブスタマンテ・ラフェルテ)は、南米チリ出身の女性シンガーソングライター。2003年にモンセラー・ブスタマンテの名でチリ国内で成功を収めたのち、メキシコへ渡り、さらにはペルー映画に出演するなど活躍の場を広げた。 2015年にインディーズ系からリリースしたアルバム『モン・ラフェルテVol. 1(Mon Laferte Vol. 1)』が人気を呼び、同作は翌2016年に再編集されて大手(ユニヴァ―サル・メキシコ)系列のレーベルからリマスターされて再発売された。その結果、シングルも立て続けにヒットし、とりわけセカンド・シングルの7.「トゥ・ファルタ・デ・ケレール」は、メキシコでのiTunesのシングルで半年間首位を続けた上、2016年メキシコで最もエアプレイ回数が多いナンバーとなった。 大雑把には、独自の内省的世界を歌い上げるタイプのシンガーで、とくに2010年代に入ってからのラテン系シンガーソングライターによく見られる流れに属すると言えそう。それと同時に、モン・ラフェルテは、曲によっては、演歌でいうところの、“こぶし”のきいた独特の節回しのようなものが目立つ。この手の節回しは、こうしたラテン・ポップでは、乱発するとランチェラ音楽風になってしまい、若者受けしづらくなる可能性も秘めている。しかし、アルバム全体を聴いて思うのは、どちらかと言うとあっさり系のヴォーカルの内省的ナンバーから、歌謡曲調のノリのポップ曲まで、良くも悪くもヴァラエティに富んだ楽曲配置で起伏に富んだアルバムにしあがった点が成功の大きな要因だったのではないかと思う。 いくつか注目曲を挙げておきたい。アルバム冒頭の1.「トルメント」は最初のシングルで、かつアルバム制作もこの曲から始まったという。上で触れた感情たっぷりの歌いまわしがかなり表に出ているが、アルバム冒頭(かつセールス的にも最初のシングル)ということで、逆にインパクトを残すのに成功している。7.「トゥ・ファルタ・デ・ケレール」は上述の通り大ヒットしたシングル曲で、印象的メロディーに王道的展開のポップ・ナンバー。 他に筆者のお気に入りを見ておくと、2.「エル・クリスタル」と4.「ラ・ビシータ」は、まだアレンジの余地があったかもしれないとは思わないではないが、モン・ラフェルテの曲作りと歌唱の双方の実力がよく発揮された好曲だと思う。あとなぜか初めて聴いたときから耳について離れなくなったのが、8.「サルバドール」。シンガーソングライターとしては、これみたいにシンプルにリスナーの耳に残る曲を作れるかどうかはきっと大事な実力の一部分なのだろうと思う。この後も順調に作品を発表しヒットさせているモン・ラフェルテなので、これ以降のアルバムも機を見て取り上げたいと思っている。[収録曲]1. Tormento2. El cristal3. El diablo4. La visita5. Amor completo6. Un alma en pena7. Tu falta de querer8. Salvador9. Si tú me quisieras10. Malagradecido11. La noche del día que llovió en verano2016年リリース。 ↓本盤とは別の盤ですが、本邦でも入手可能なアルバムがある模様↓ 【輸入盤】Trenza [ Mon Laferte ] Mon Laferte / Norma 輸入盤 【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2019年06月17日
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キャリア10年、5作目の推奨盤 ダビー・フィリオ(David Filio)とセルヒオ・フェリックス(Sergio Félix)の2人からなるメキシコのデュオ、メヒカント(Mexicanto)。彼らにとって5作目となったのが、1995年発表の『エン・エル・カミーノ(En el camino)』という盤である。 1985年にデュオを結成し、1987年のファースト作以降、概ね2年おきに作品を発表し、キャリアを積み重ねた。筆者個人にとって、本盤は、リアルタイムで本当によく聴き、おそらく彼らのアルバムの中でも聴いた回数がいちばん多い作品だと思う。だからというわけではないが、今聴き返しても、彼らの作品中でトップに数えてもいいと思う出来の盤である。 1.「オラ・ビエンベニードス」は“やあ、ようこそ”という意味の表題で、このリリース以降、ライヴのオープニングなどにもよくお目見えするようになったナンバーである。ハーモニーの美しさは全編通してみられるが、2.「アグア・デ・マール」、11.「オイ・テン・ミエド・デ・ミ」が特に気に入っている。他に、詞や歌唱も含めた曲の印象度が個人的に強かったものとしては、4.「ラ・カリデス・デ・ミ・オガール」、6.「ソロ・プレテンド」、10.「ロバンド・ルス・アル・ソル」辺りが挙げられる。あと、アルバム末尾の表題曲13.「エン・エル・カミーノ」はなかなか気の利いたインスト曲で気に入っている。 基本的に、彼らはギター弾き語りのデュオなのだけれど、音の面においても楽曲配置の仕方においても単調にならない工夫が凝らされている。ギターの伴奏だけでなく、ピアノやキーボード音がしっかり支える演奏もあれば、ディストーションの利いたギター音が鳴る場面もある。パーカッションも随所で効果的に入れられている。通して聴いて飽きないというよりは、むしろ通して聴くことで本盤のよさがより一層わかる。この盤はそんなつくりになっていると言えるように思う。 [収録曲]1. Hola bienvenidos 2. Agua de mar 3. Amor 4. La calidez de mi hogar 5. Los sueños 6. Solo pretendo 7. Los ojos de la selva 8. Es tuya la canción 9. Nueva oportunidad 10. Robando luz al sol 11. Hoy ten miedo de mí 12. Ella lo mira y se va 13. En el camino1995年リリース。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年06月02日
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1980年代終盤、タニアの好盤 ペルー出身のタニア・リベルター(Tania Libertad)は、1980年にメキシコへ移住し、メキシコでシンガーとしてのまず評価を受けることになった。1980年代に立て続けにアルバムをリリースし、その実力が評価されていき、やがてスペイン語圏の他国(出身国のペルーも含む)へと支持が拡大していった。 その後、現在に至るまで創作意欲は衰えておらず、新作も出し続けているのだけれど、1980年代後半から1990年代前半、大物シンガーとしてのタニアが確立されていく時期(ちょうどタニアが30歳代の時期から40歳代に入ったあたりに相当する)の諸作にいいものが結構多いように思う。そして、この時期に該当する私的愛聴盤の1つが、この『トロバディクシオン(Trovadicción)』というアルバムであったりする。 本盤の収録曲で特に注目したいのは、まずは解釈の素晴らしさ。スペイン語圏を中心に様々な作曲家のナンバーを独特の揺らぎのある声を活かしながら、他人には決して真似のできないオリジナルな歌いっぷりで披露している。1.「テレシーニャ」は、ブラジルの有名シンガー、作曲家にして、小説家、演出家のシコ・ブアルキの「テレジーニャ」をスペイン語で歌ったもの(原曲はポルトガル語)である。7.「オハラー」はキューバのシンガーソングライター、シルビオ・ロドリゲスの代表的ナンバーの一つを完全に自分の世界に引き込んで歌い上げている。 他の注目点としては、同じくキューバの有名シンガーであるパブロ・ミラネスの協力が挙げられる。3.「エル・プリメール・アモール(初恋)」と11.「サバド・コルト(短い土曜日)」で、パブロがヴォーカルで参加していて、特に前者は必聴のデュエットに仕上がっている。 他に個人的に気に入っている曲をいくつか挙げておきたい。メキシコ出身のトローバ・シンガー、マルシアル・アレハンドロ作の2.「バスタ・イ・ソブラ」、同じくアレハンドロ作の5.「トロバディクシオン」を聴くと、この人の曲との相性がいいのだろうと想像される。キューバのアマウリー・ぺレスの4.「ノ・ロ・バン・ア・インペディール」は淡々とした調子が印象的で、次第に盛り上がっていく。8.「トゥ・ボカ・ウナ・ヌーべ・ブランカ」はスペインのビクトル・マヌエルの作で、原作者の叙情性を残しながらもまったく違う雰囲気の仕上がりというのがいい。 現在の貫禄たっぷりの雰囲気からすると、幾分あっさりしたところもあるにはあるが、この当時のタニアの円熟ぶりの加速度には目を見張るものがあった。とか何とか言いながら、その良さがわかったタイミングというのは、自分自身が当時の彼女の年齢を超えるまで来なかったのだけれど(笑)。[収録曲]1. Terezinha2. Basta y sombra3. El primer amor (dueto con Pablo Milanés)4. No lo van a impedir5. Canciones y momentos6. Trovadicción7. Ojalá8. Tu boca, una nube blanca9. Veinte caballos (dueto con Manduka)10. Por la vida y por la paz11. Sábado corto (dueto con Pablo Milanés)1989年リリース。 ↓ベスト盤です↓ Lo Mejor De Tania Libertad【中古】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2019年05月31日
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セールスを記録した第3作 マヌエル・ミハーレス(Manuel Mijares, デビュー当時はこの名前だったが、まもなく単にミハーレスMijaresというアーティスト名で親しまれることになった)は、1958年生まれのメキシコ人の歌手でシンガーソングライター。1980年代にシンガーとしての頭角を現し始め、当時の人気シンガーであったエマヌエルのコーラスなども務めた。1986年にレコード・デビューし、順調に制作を続けてサード作となったのが1988年発表の本盤『ウノ・エントレ・ミル(Uno entre mil)』で、ミハーレスにとって最初のまとまったセールスを上げたアルバムとなった。 収録された楽曲も、後々コンサートやベスト盤で取り上げられているものが多く、シンガーとしての彼のスタイルやイメージが出来あがった盤と言ってもいいように思う。表題曲の7.「ウノ・エントレ・ミル(1000分の1)」は、イタリア人歌手のジアンニ(ジャンニ)・モランディのヒット曲をスペイン語でカバーしたものである(ちなみに、10.「ヌベ・アスル」もイタリアのジノ・パオリの曲のカバーである)。 他にカバー曲として目立っていてかつシングルになったものとしては、キューバのパブロ・ミラネスの有名なナンバーである8.「エル・ブレべ・エスパシオ(君のいないわずかな空間)」も披露しており、ミハーレスの重要なレパートリー曲になった。 以上の2曲に加えてシングルとして発売された収録曲としては、1.「ソルダード・デル・アモール(愛の戦士)」と5.「タン・ソロ(一人っきり)」がある。前者は、個人的に気に入っているナンバー。後者は、有名シンガーソングライターのアレハンドロ・フィリオの作である。 下積みが長かったミハーレス(日本のバーで歌っていた時期もあるとか)は、本盤の発表年で既に30歳だったわけだけれど、この人のヴォーカルは本当に魅力的という印象を筆者は持っている。2019年現在、還暦を越えた彼だけれど、その美声はこの盤の後もどんどん円熟味を増し、さらに魅力的になっていった。30年以上たった現在から見れば、本盤の声はまだ若かったわけだけれど、なぜ売れたのかを考えながら振り返ると、やはりその声が聴衆の心をつかむことができた点が大きかったのだろうと思う。[収録曲]1. Soldado del amor2. Un centavo de amor3. Como un ladrón4. Con un nudo en la garganta5. Tan solo6. La guerra del amor7. Uno entre mil8. El breve espacio9. No quiero perderte10. Nube azul1988年リリース。 ↓いずれもベスト盤です↓ 【メール便送料無料】MIJARES / SERIE TOP 10 (輸入盤CD) 【メール便送料無料】MIJARES / MIS MEJORES CANCIONES (輸入盤CD) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2019年05月26日
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国産ロック創成期のメキシカン・バンド トロレブス(Trolebús)は1980年代半ばに登場したバンドで、メキシカン・ロック黎明期を担ったグループである。チョルイス(Choluis)とエンリケ・モンテス・パト(Enrique Montes “Pato”)を中心とした当初は5人組で、彼らの最初のレコード作品がこの『トロレブス・エン・センティード・コントラリオ(Trolebús en sentido contrario)』だった。 トロレブス(スペイン語で“トロリーバス”の意味)というバンド名は、かつてリハーサルをするのに街の電線から電気を拝借していたというバンドの姿にちなんだものだという。メキシコシティでは1940年代から今にいたるまでトロリーバスが走っていて、公道上の架線から電気を受けて走っている姿が見られるので、聴衆にはわかりやすいたとえだったのだろう。ついでに、アルバム表題の『センテイード・コントラリオ』(反対向きの通行)も同様で、一方通行の幹線道路をその向きとは逆に走行するトロリーバスの姿は市民にとってすぐに目に浮かぶ光景だった。 演奏内容は、スリー・ソウルズ・イン・マイ・マインド(EL TRIの前身)なんかを思い起こさせるシンプルな演奏と曲調。ブルースをベースにしながらシンプルなロックナンバーが中心で、詞のメッセージを聞かせるのを意図したかのように、ヴォーカルの声が明瞭に聞こえるものが多いという印象がする。でもって、詞の内容はというと、上記のトロリーバスの話から分かるように、明らかに都市部の若者を対象にしたものである。例えば、メキシコ市の住民を指す“チランゴ”の名を冠した7.「バラーダ・チランガ(チランゴのバラード)」や、トロリーバスそのものを表題にした12.「エル・トロレブス」なんかにそのことがうかがわれる。 1990年代以降、メキシコからは米国や世界に出ていくワールドワイドなロック・アーティストを輩出した一方、本ブログでも時々取り上げてきたような“ロック・ウルバーノ”のような地元化したロックの流れも続いている。きっとこのトロレブスを含むこの辺りの音楽がその両方のルーツになっているということなのかなと思ったりしている。[収録曲]1. Plegaria2. Atletic tepis3. Corto circuito4. Monedero5. Barata y descontón6. El país de los borrachos7. Balada chilanga8. El anzuelo9. Jugo de riñón10. Cuando la sicodelia llegó al D.F.11. Blues de las ventanas12. El trolebús1987年リリース。 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2019年04月08日
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