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マクリーンによるBN初リーダー・セッション ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、1931年生まれで2016年没のアルト・サクソフォン奏者。モダン・ジャズの世界では知らぬ人はいない有名サックス奏者である。そんな彼の作品の中で、これぞいちばんの代表作というわけではないにせよ、聴き手が愛着を寄せる盤の一つが、この『ジャッキーズ・バッグ(Jackie’s Bag)』と言えるのではないだろうか。 レコーディングがなされたのは、1959~1960年にかけてのこと。異なる2回のセッション(同じメンバーは、リーダーのマクリーンを別にすれば、ベースのポール・チェンバースのみ)をA面とB面に配したという具合である(なお、CDでの追加曲は、LPでのB面のメンバーによる)。 1.「クァドラングル(クアドラングル)」に代表されるような、LPのA面(1.~3.)のたたみかけるような“これぞモダン・ジャズ”といった演奏は、本盤の重要な魅力である。マクリーン自身の演奏も実に冴えている。とはいえ、LPではB面に当たる4.「アポイントメント・イン・ガーナ」以降のもう一つの“違った空気感”がさらにこの盤の魅力ではないかと思う。端的に言えば、ティナ・ブルックス(テナー・サックス)の参加の影響が大きい。とりわけ、個人的には、上述の4.と6.「ジャワ島」が特にお勧めだが、CD化で追加された3曲も含めて、このセッションの楽曲の演奏は特にどれもが素晴らしい。 そのようなわけで、マクリーン盤ではあるのだけれど、後半のティナ・ブルックスを聴くための盤としても、存在価値が大きいと言えるように思う。ちなみに、アルバム表題(“ジャッキーつまりはマクリーンのカバン”)は、そのままジャケット・イメージに表されていて、書類を入れて紐を巻いて閉じる形のバッグのイメージである。何だかいろんな楽曲の演奏を詰め込んでカバンに入れたかのような印象を与えるのだけれども、もっと仰々しく扱ってもよかったのではと思うほど、収録曲の演奏のレベルが高い。そんな盤と言っていいように思う。[収録曲]1. Quadrangle2. Blues Inn3. Fidel4. Appointment in Ghana5. A Ballad for Doll6. Isle of Java~以下、CD追加曲~7. Street Singer8. Melonae's Dance9. Medina[パーソネル、録音]1.~3.:Jackie McLean (as)Donald Byrd (tp)Sonny Clark (p: 1.を除く)Paul Chambers (b)Philly Joe Jones (ds)1959年1月18日録音。4.~9.:Jackie McLean (as)Tina Brooks (ts)Blue Mitchell (tp)Kenny Drew (p)Paul Chambers (b)Art Taylor (ds)1960年9月1日録音。 ジャッキーズ・バッグ/東芝EMI 【中古】 【輸入盤CD】Jackie McLean / Jackie's Bag 【K2016/8/26発売】(ジャッキー・マクリーン) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年08月09日
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2022年08月05日
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2通りのクインテットによる初期の代表作 1950年代半ば、西海岸のアルト奏者の代表格だったバド・シャンク(Bud Shank)。本盤『昼と夜のバド・シャンク(Bud Shank-Shorty Rogers-Bill Perkins)』は、彼の代表作として知られる。“昼と夜の~”という表題は、日本盤ならではのものだが、元の盤の表題は、上で挙げたもののほかに、“Bud Shank Quintet”と呼ばれることもあるようだ。ちなみに、“昼と夜”というのは、ジャケットのデザインと関係していて、ジャケット表面には日中のロサンゼルス、裏ジャケには夜のロサンゼルスの写真が使用されている。 LPのA面(CDでは1.~6.)とB面(7.~12.)は、それぞれ異なるセッションで録音されたものである。実際には、A面が1つめのクインテットで、B面の方は異なるメンバーでのクインテット演奏である。特にA面は、いかにも軽やかで西海岸的な雰囲気だが、このセッションはバド・シャンクの初リーダー録音であった。 前半と後半で異なるセッションの音源が組み合わされて一枚になっている以外にも、本盤で特徴的なことがある。それはバド・シャンクのプレイヤーとしての特性で、ただアルト・サックスを演奏しているだけではない。本盤の後半では、テナーやバリトン・サックスも扱いこなし、前半・後半ともにフルート演奏者としての腕前を発揮している。 個人的な好みで何曲か個別の演奏に触れておきたい。2.「カサ・デ・ルス」はシャンクの自作曲(本盤では1.~6.が自作曲)で、流れるようで明朗な彼のアルト・サックスがとにかく聴いてて心地よい。5.「ジャスミン」は、少々甘めと言われるかもしれないが、ヴァリエーションのある曲や演奏の中でこうした曲に出合うと、筆者的にはついつい聴き惚れてしまう(実際、この後の6.「ジャスト・ア・フュー」では、一転してスリリングな演奏になるのもまたいい)。 後半の演奏では、8.「フルーテッド・コラムス」が、表題の通り、フルート演奏が主役となっていて、ハンプトン・ホーズのピアノと相まってその小気味よさがツボにはまると実に快楽的。実際、後半のセッションの演奏では、いくつもの曲でハンプトン・ホーズ節が演奏のノリを引っ張っている。そんな中、柔らかで少しまったり感もある11.「ア・シナー・キスト・アン・エンジェル」も、個人的にはなかなか気に入っていたりする。[収録曲]1. Shank's Pranks2. Casa de Luz3. Lotus Bud4. Left Bank5. Jasmine6. Just a Few7. Paradise8. Fluted Columns9. I Hear Music10. Royal Garden Blues11. A Sinner Kisses an Angel12. It Had to Be You[パーソネル、録音]1.~6.:Bud Shank(as, afl), Shorty Rogers (flh), Jimmy Rowles (p), Harry Babasin (b), Roy Harte (ds)1954年3月25日録音。7.~12.:Bud Shank(as, ts, bs, fl), Bill Perkins (as, ts, fl), Hampton Hawes (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)1955年5月2日録音。 昼と夜のバド・シャンク +1 [ バド・シャンク ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2022年08月02日
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ゆったりと軽快なギター演奏 ピーター・バーンスタイン(Peter Bernstein)は、米国ニューヨーク生まれのジャズ・ギタリスト。1967年生まれの彼は、1990年代以降にいくつものリーダー作を吹き込んでいるのだけれど、筆者はごく一部の作品でしか、彼の演奏を知らない。 本盤『ストレンジャー・イン・パラダイス(Stranger in Paradise)』は、2003年に日本のヴィーナス・レコードによって吹き込まれ(録音場所はニューヨーク)、その翌年にリリースされた。“裸体ジャケ”が得意なヴィーナスの作品とはいえ、“パラダイス(楽園)”だからゴーギャンのタヒチの裸体婦人画というのは多少安直にも思えるが、正直なところ、このジャケット・イメージと作品内容の相関性はあまり大きくないように思う。 実際、演奏そのものは、特に南国楽園風というわけでもないというのが、個人的な印象である。豪快かつ軽妙な1.「ヴィーナス・ブルース」に始まるが、3.「ルイーザ」や4.「ハウ・リトル・ウィー・ノウ」のように、時にゆったりまったりと、また時に軽やかにギター演奏を聴かせる。 そして、本盤は、後半に進むにしたがって、アルバム全体のトーンのようなものが見えてくるように思う。中途半端な(決して悪い意味ではなく、敢えてこう表現できるように思う)まったり感は、バーンスタインの演奏の特徴と言えるだろうか。決して先を行く機敏な動きという感じではなく、ゆったりと頭の中の音を実際に響くギターの弦の音に置き換えていく。そんな感じの演奏が本盤の魅力ということになるのかもしれない。 [収録曲]1. Venus Blues2. Stranger in Paradise3. Luiza4. How Little We Know5. Bobblehead6. Just a Thought7. This Is Always8. Soul Stirrin'9. That Sunday, That Summer10. Autumn Nocturne[パーソネル、録音]Peter Bernstein(g), Brad Mehldau (p), Larry Grenadier (b), Bill Stewart (ds)2003年8月24~25日録音。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月29日
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ギターの神様、“ジミヘン”のマスターピース ジミ・ヘンドリクス(Jimi Hendrix)は、1970年に27歳の若さで不可解な死を遂げた。一般に、死因は睡眠中の窒息死とされるものの、救急隊が病院へ搬送した際に居合わせた人たちの証言に食い違いがあったり、マネージャー(マイケル・ジェフリー)が彼の殺害を告白し、その上、飛行機事故で死んだはずのこのマネージャーがその後も生きていたという証言があったり、何かと不審な点があると言われたりもする。 死の真相はともあれ、彼の存命中にリリースされた3つのスタジオ作のうち、最後の作品となったのが、本盤『エレクトリック・レディランド(Electric Ladyland)』であった(なお、ライヴ盤も含めると、翌年、急死の前に『バンド・オブ・ジプシーズ』という作品がリリースされている)。本盤は、今でこそ1枚のCDにすべて収まっているが、LP時代には2枚組の大作で、これまでのチャンス・チャンドラーに代わってジミ自身がプロデュースを担当したアルバムとなった。 ザ・ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスは、ジミのほか、ノエル・レディング(ベース)、ミッチ・ミッチェル(ドラムス)の3人から成るが、本盤には様々なゲスト・ミュージシャンも参加している。例えば、4.「ヴードゥー・チャイル」には、スティーヴ・ウィンウッド(ハモンドオルガン)やジャック・キャサディ(ベース)、6.「長く暑い夏の夜」にはアル・クーパー(ピアノ)が参加している。他にも、デイヴ・メイスン(3.と15.、12弦ギターおよびコーラス)、ブライアン・ジョーンズ(15.、パーカッション)、マイク・フィニガン(10.と13.、オルガン、参考過去記事)らが演奏に加わっている。 全体がコンセプト・アルバムになっているというわけではないのだけれど、ジミ・ヘンドリックスの頭の中に鳴り響いていた音を実際の音に表現した演奏として、本盤はその集大成的仕事である。否、生き続けていれば集大成作はその後にも生み出されたのだろうから、その死によって集大成作になったという方が正確なのかもしれない。ともあれ、“ジミヘンを聴いてみたいんだけど”なんて人がいるとすれば、筆者はまずこの盤を勧めることは間違いない。 ちなみに、本盤はUS盤とUK盤とでジャケット・デザインが異なっていた。英盤は19人の裸の女性が収められた写真が2枚組仕様で折りたたまれたジャケットの表面と裏面をあわせた形でデザインされていたが、ジミ・ヘンドリクス自身はこのジャケットを気に入っていなかったという(個人的には、最初に本盤を知ったのがUKジャケだったので、こちらの方がしっくりくるのだけれど)。現在では遺族の意向で、ジミの顔写真をあしらった米盤ジャケット・デザインの方が使用されている。 [収録曲](LPのA面)1. And the Gods Made Love2. Have You Ever Been (to Electric Ladyland)3. Crosstown Traffic4. Voodoo Chile(LPのB面)5. Little Miss Strange6. Long Hot Summer Night7. Come On (Let the Good Times Roll)8. Gypsy Eyes9. Burning of the Midnight Lamp(LPのC面)10. Rainy Day, Dream Away11. 1983... (A Merman I Should Turn to Be)12. Moon, Turn the Tides...Gently Gently Away(LPのD面)13. Still Raining, Still Dreaming14. House Burning Down15. All Along the Watchtower16. Voodoo Child (Slight Return)1968年リリース。 エレクトリック・レディランド [ ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年07月24日
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実にハイレベルな“二匹目のドジョウ” 『スーパー・セッション(Super Session)』(1968年リリース)の続編とも言えるのが、この『クーパー・セッション(Kooper Session)』(1970年リリース)というアルバムである。といっても、その表題は、ほとんどダジャレ(“スーパー”→“クーパー”)でしかない。アル・クーパー(Al Kooper)によるセッション企画の第二弾のアルバムということになるわけだが、『スーパー・セッション』を超えるとは言わないまでも、この『クーパー・セッション』は、ただの二番煎じとは言えない、実にハイレベルな好盤なのである。 本盤の参加メンバーで最も注目すべきは、ギタリストのシャギー・オーティス。本盤では、彼の存在感とテクニックが半端ない。この人物は、R&Bシンガー、ジョニー・オーティスの息子であり、しかも、この当時まだ15歳という、まさしく“若き才能”であった。 収録された7曲の演奏は、どれも素晴らしく、全編を通して聴くことをお勧めするが、いくつかの曲を聴きどころとして挙げておきたい。まずは、1.「ベリー・マイ・ボディ」。リズム感に乗って勢いのある曲調が印象的で、その後の収録曲への期待を抱かせるに相応しいオープニング曲である。もう一つ、前半でぜひとも触れておきたいのは、2.「ダブル・オア・ナッシング」。アルのオルガンとシャギーのギターの組み合わせが醸し出すスリリングさがいい(このスリリングさは3.でも継続し、4.で息抜き的にリラックス感が出ているのも、構成の妙と言えるように思う)。 LPでは、1.~4.がA面で、“The Songs”、5.~7.がB面で、“The Blues”と銘打たれている。後半のインストルメンタル演奏もどれも素晴らしいが、何と言っても圧巻は、5.「12:15スロー・グーンバッシュ・ブルース」で、シャギーの演奏を堪能できる。同じく7.「シャギーズ・シャッフル」も聴き逃がせない。 それにしても、アル・クーパーという人は、パフォーマーなのか、裏方ないしは仕掛人なのか。彼のいろんな作品を聴くたびに、この疑問がしばしば湧いてくるのだけれど、きっと正解は“両方”なのだろう。実際、本盤でも、ヴォーカルとしての役割、そしてオルガン・プレーヤーとして聴き手の耳に残るパフォーマンスを披露している。しかし、彼が只者でないのは、仕掛人としての才能である。セッションものやその他いくつかのプロジェクトものでのアル・クーパーの役割は、ただのアーティストには容易にできないマルチぶりの賜物である。そのようなわけで、企画者としてのアル・クーパー、プレイヤーとしてのシャギー・オーティスという、簡単には揃い得ない組み合わせが実現されたことにより生み出された稀有な盤ということになるのだろう。[収録曲]1. Bury My Body2. ouble or Nothing3. One Room Country Shack4. Lookin' for a Home5. 12:15 Goonbash Blues6. Shuggie's Old Time Dee-Di-Lee-Di-Leet-Deet Slide Boogie7. Shuggie's Shuffle1970年リリース。 クーパー・セッション/アル・クーパー[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月20日
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聴衆の支持を集める中でのセカンド作 1988年にデビューし、セルフタイトルのデビュー作が高い評価を得て、「ファスト・カー」のヒットや翌89年のグラミー賞3部門受賞で一躍有名となったトレイシー・チャップマン(Tracy Chapman)。そんな中、同89年にリリースされた第2作が、この『クロスロード(Crossroads)』というアルバムだった。 前作との大きな違いとしては、第一に、同じプロデューサーでありながら、チャップマン自身もプロデュースに加わった点が挙げられる。それから、第二に、演奏に用いられている楽器に幅が出ている点だと言える。これら二点は互いに関係していたのかもしれない。自身がプロデュースに携わることで、やりたかったこと(言い換えれば、ファースト作ではできなかったであろうこと)を取り入れることができたことだろう。そして、その一つが、ギター弾き語り風の雰囲気は保ちつつも、もう少し多様な楽器と演奏を取り入れることだったのではないだろうか。 その結果、“アコギ1本で歌う”のようなイメージで本作を聴くリスナーの期待にそぐわない部分はあっただろう。けれども、この音はいま聴いても全然古さを感じさせないし、それでいて、ファースト作で世間の評価を集めた彼女のよさが十分に発揮された内容に仕上がったと思う。 個人的に気に入っている曲としては、表題曲の1.「クロスロード(Crossroads)」。アルバム表題もこの曲名もなぜか日本語表記は単数形(“クロスローズ”ではない)なのだけれど、淡々と歌う内省的なナンバー。上述のサウンドの変化がよくわかるものとしては、ネルソン・マンデラに捧げた3.「フリーダム・ナウ」、それから、6.「サブシティ」、7.「ボーン・トゥ・ファイト」なんかが私的には気に入っている。あと、9.「ディス・タイム」は“自分を愛する”というテーマのやはり内省的な内容の曲だが、妙に心に染みるナンバーで、筆者には特に印象に残っている。 最後に、筆者の手元にあるCDのブックレット(歌詞カード)には、英語の詞のほかに、独・仏・西・伊の翻訳を合わせた計5言語が記載されている。たまたま入手したものがそういう仕様なのか、あるいは日本盤とかもそうなっていたのか、詳細は分からないが、米国におけるマイノリティというチャップマンの立場や考えと関係しているのだろうか。[収録曲]1. Crossroads2. Bridges3. Freedom Now4. Material World5. Be Careful of My Heart6. Subcity7. Born to Fight8. A Hundred Years9. This Time10. All That You Have Is Your Soul1989年リリース。 【輸入盤CD】Tracy Chapman / Crossroads (トレイシー・チャップマン) 【中古】クロスロード [Audio CD] トレイシー・チャップマン 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年07月16日
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早逝のシンガーソングライターのセカンド作 ティム・ハーディン(Tim Hardin)が、1966年のデビュー盤(参考過去記事)の翌年に発表したのが本作『ティム・ハーディン2(Tim Hardin 2)』だった。ジャケットには窓から外を見るハーディン自身の写真があしらわれているが、横にいる身籠った女性は、妻のスーザン・ヤードリーとのこと。第2作と言っても、ファースト作の後に一から作られたというわけではなく、ファースト作よりも前に録られた音源からファースト作がリリースされた頃までの音源(1964年11月から1966年8月)が本盤には収められている。 さて、本アルバム全体のトーンは、ファースト作に比べるとやや落ち着いたものとなっている。特に前半(LP時代のA面に当たる1.~5.)は、フォーク・シンガーとしての彼の持ち味がより前面に出ている曲が目立つに思う。その一方、後半(B面)を中心にして、フォークの枠を飛び出た演奏も多く含まれ、朗らかだったりノスタルジックだったりする楽曲が並ぶ。 本盤のいちばんの注目曲と言えば、1.「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」だろう。パーカッションを効かせつつも淡々としたバックの演奏で、静かにかつ熱く語りかけるようなパフォーマンスは、本盤収録曲の中でもベストだと思う。そして、何よりも、この曲はいろんなアーティストによってカバーされていくスタンダードとなった。本盤リリースの前年には、ボビー・ダーリンがこの曲を歌って全米8位のヒットとなり、その後もジョーン・バエズ、フォー・トップス、ジョニー・キャッシュらがヒットさせたほか、ロバート・プラントやボブ・シーガーなんかもこの曲をカバーしている。 他の気になる曲もいくつかだけ挙げておこう。4.「レディ・ケイム・フロム・ボルティモア」はソフトタッチのフォーク調のラヴソングで、さらりとした歌い口がいい。6.「ザ・グレイス・オブ・リヴィング」は、フォークから万人に聴きやすい音楽へという、当時の彼の試行錯誤が感じられる。10.「ハンク・ウィリアムスに捧ぐ」は、文字通りカントリー歌手のハンク・ウィリアムズへのトリビュート。この人物の短い生涯について歌われていて、このカントリー・シンガーの各方面への影響(フォーク、ロックなどの様々なアーティストに影響を与えた)の一端を見ることができる。[収録曲]1. If I Were a Carpenter2. Red Balloon3. Black Sheep Boy4. The Lady Came from Baltimore5. Baby Close Its Eyes6. You Upset the Grace of Living When You Lie7. Speak Like a Child8. See Where You Are and Get Out9. It's Hard to Believe in Love for Long10. Tribute to Hank Williams1967年リリース。 ティム・ハーディン2 [ ティム・ハーディン ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月11日
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2022年07月06日
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作曲家として、歌い手として、円熟の余裕盤 ビクトル・マヌエル(Víctor Manuel, 本名ビクトル・マヌエル・サン・ホセ・サンチェス)は、スペイン人のシンガーソングライター。1969年にデビューし、現在も活動を続けている。 そんな彼の代表曲ともいえるナンバーは1970年代にいくつも発表されているが、その一方で、1990年代後半から2000年代前半のいわば円熟期の諸作(それらは筆者がリアルタイムで経験した諸作でもあったりする)は、彼のキャリアの中でも好盤が相次いで作られた時期でもあると思う。 2001年リリースの『エル・イホ・デル・フェロビアリオ(El hijo del ferroviario)』(“鉄道員の息子”の意)は、ビクトル・マヌエルの生年が1947年なので、50歳代前半のときの作品ということになる。本盤の次作に当たる『ガレージの犬』のところでも述べたように、声と歌のよさだけでなく、アーティストとしての余裕のようなものが本盤からも滲み出ている。 筆者が特にお気に入りの曲は、まず冒頭の1.「ナダ・ヌエボ・バホ・エル・ソル」と表題曲の2.「エル・イホ・デル・フェロビアリオ」。いずれも詩的で懐古的で、以前にも書いたように、ヴォーカルが何よりも惚れ惚れとする魅力的な声なのである。同じように、4.「アイ・マス・デ・ドス・カラス」、7.「ポル・ミ・クルパ」なんかもいい。 アルバム全体を見渡した時、曲ごとのアレンジや演奏の工夫はあるものの、これといって派手な曲やアップテンポの曲があるわけでもなく、どちらかというと淡々と進んでいく感じである。そんな中で好曲が次々にさらりと流れていくと言えばいいだろうか。言い換えれば、繰り返して聴けば聴くほど、細部に気がつき、好きなところが増えていく。そんなタイプの作品と言っていいのかもしれない。 [収録曲]1. Nada nuevo bajo el sol2. El hijo del ferroviario3. Dueña y señora4. Hay más de dos caras5. A la mar fui por naranjas6. No es bueno que el hombre esté solo7. Por mi culpa8. María de las Mareas9. Veinticuatro horas10. Si nos llegaran los niños11. Las vidas de un pantalón12. El hombre sin recuerdos13. Eres una isla14. Ojalá tengas suerte2001年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月03日
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葛城ユキ、追悼 「ボヘミアン」(1983年)のヒットで知られるシンガーの葛城ユキが亡くなったと報道されました(外部記事リンク)。これまで闘病されていた経緯があったとはいえ、まだ73歳での逝去でした。追悼ということで、既に過去に取り上げた「ボヘミアン」以外のいくつかの曲をお聴きいただきたいと思います。 今月(2022年6月)半ばのステージが最後の場だったとのことですが、そこで歌われたナンバー、「ローズ」です。 さらに、洋楽カバーをもう一つ。「ヒーロー」です。 葛城ユキといえは、ヒット曲「ボヘミアン」ばかりが取り上げられますが、洋楽カバーの歌唱も素晴らしければ、他の曲でも力量を発揮したシンガーでした。個人的好みでのチョイスですが、1981年の「風の彼方に」、そして、1984年発表のアルバム収録曲だった「ブルースはもう聴こえない」をお聴きください。 報道によれば、安らかな最期だったとのこと。どうか安らかに眠らんことをお祈りします。 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年06月29日
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パフォーマンスの高さが如実にわかるライヴ盤 U2(ユー・トゥー)は、アイルランド発のロック・バンドで、グラミー最多受賞の記録でも知られる。1980年にデビューした彼らにも、もちろん、若い頃というものがあった。デビュー後に3作品を発表し、その勢いで初のライヴ・アルバムが発表された。それが、この『ブラッド・レッド・スカイ=四騎=(Under a Blood Red Sky)』というライヴ盤だった。 “アンダー・ア・ブラッド・レッド・スカイ”という表題は、7.「ニュー・イヤーズ・デイ」の詞に出てくるフレーズである。本作では、米コロラド州のレッドロックス野外劇場でのライヴの夕焼けというイメージがあったそうだが、実際には、1983年6月5日の同地は悪天候で、激しい雨の中での演奏となった。そのため、同ライヴの音源は、1.と4.の2曲にとどまり、その分、西ドイツ(当時)でのツアーの音源が多く収録されている。 リリース後、間もなかったサード作『WAR(闘)』の曲を中心に、ファースト作、セカンド作、さらにはこれらに収録されなかったシングル曲が並べられている。U2は、上記のグラミー受賞記録だけでなく、ライヴ・パフォーマンスが高いバンドとしても知られる。別に数や額が多いから素晴らしいというわけではないけれど、過去、複数の年においてコンサート収益1位を記録したり、米国における観客動員数の大きいコンサート(史上1~3位をU2が独占し、いずれも8万人超)を記録したりしている。 実際、本盤の注目箇所は圧倒的なライヴ・パフォーマンスである。筆者の気に入っている演奏を何曲かだけ挙げておきたい。1.「グロリア」は、セカンド作に収められたナンバーだが、このライヴの方を聴いて好きになった曲。3.「アイ・ウィル・フォロー」はファースト作のオープニング・ナンバーだった曲で、セカンド・シングルでもあった彼らの原点みたいな曲だが、この演奏は、彼らのライヴ・パフォーマンスのエッセンスが凝縮されている。“U2ってどんなライヴをするの?”と質問する人がいたら、筆者はきっと“この曲を聴いてみて”と答えることと思う。 後半(LP時代のB面)最初の5.「ブラディ・サンデー」は、言わずと知れた彼らの有名曲の一つ。北アイルランドの“血の日曜日事件”(1972年)を題材とした内容で、このライヴ盤でも聴きどころとなっている。さらに、この曲と同じくサード作からのシングルで、彼らの代表曲として知られる7.「ニュー・イヤーズ・デイ」は本盤のハイライトとも言える。もちろん、彼らはこのアルバムの後も進化を続け、さらなる高みに達するわけだけれど、デビュー数年のこの時点でいかに高いライヴ・パフォーマンスができ上っていたのかが、いま聴いても実感できることと思う。[収録曲]1. Gloria2. 11 O'Clock Tick Tock3. I Will Follow4. Party Girl5. Sunday Bloody Sunday6. The Electric Co7. New Year's Day 8. 401983年リリース。 ブラッド・レッド・スカイ=四騎=/U2[CD]通常盤【返品種別A】 【中古】 ブラッド・レッド・スカイ=四騎=/U2 【中古】afb 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年06月25日
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ファースト作にして時代を先取りしていた名盤 デラニー&ボニー(Delaney & Bonnie)は、アメリカの夫婦デュオである。夫のデラニー・ブラムレットは、妻となるボニーと1960年代後半にロサンゼルスで出会い、結婚。そして夫婦デュオができあがるものの、最初に録音した音源はリリースされなかった(後に『ホーム』としてリリース)。その後、本盤を吹き込み、この『オリジナル・デラニー&ボニー(The Original Delaney & Bonnie & Friends)』でメジャー・デビューを果たした。 本盤の凄さは重層的である。そもそものデュオとしての力量について語るだけでは、まったくもって不十分と言ってもいいだろう。その力量については、ストリングスに携わったアレンジャーが、白人デュオだとは思わなかったというエピソードがあるらしい。白人か黒人かという、現代世界から見たらレイシズムそのもののような「偏見」が当たり前だった時代に、その「偏見」の壁を感じさせない歌唱を見せていたという訳である。しかも大部分の曲は、デラニーあるいはボニーがソングライティングに関わったものだった。 さて、本盤の凄さを語るには、“デラニー&ボニー”の名義にも触れなければならない。ジャケットには“デラニー&ボニー”としか書かれていないものの、実際には“デラニー&ボニー&フレンズ”なのである(裏ジャケには写真入りでその“フレンズ”の内容が記されている)。そして、その“フレンズ(友人たち)”には、レオン・ラッセル(ピアノ、ギター)、ドクター・ジョン(キーボードのほか、4.の曲提供)などの“濃い”メンバーたちがいる。これらの面子の存在もまた、本盤のディープでスリリングな演奏の元になっていることは、忘れてはいけないと思う。 話が何だか抽象的になってしまった。以下、筆者の個人的好みのおすすめ曲をいくつか挙げておきたい。1.「団結しよう(ゲット・アワセルヴズ・トゥギャザー)」は、曲のノリも、ヴォーカルも、印象的なホーンも、ギターワークも文句なしの1曲。2.「いつの日か(サムデイ)」のような、デニーとボラニーのヴォーカルの掛け合いは、このデュオの良さがよくわかるナンバーだと思う。5.「老人(ディア・オールド・マン)」のようなソウルでファンキーなヴォーカルは、“黒人/白人”の垣根を思いっきり越えている。 個人的にお勧めのナンバーとして、6.「もっと愛し続けて(ラヴ・ミー・ア・リトル・ロンガー)」は外せない。本盤の翌年にはデレク&ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』がリリースされているが、ソウルとロックが融合したこのスタイルは、デラニー&ボニーが先に完成した形で提示していたことがわかる。アルバム終盤では、9.「十字架の兵士(ソルジャーズ・オブ・ザ・クロス)」が出色。ボニーのソウルフルなヴォーカルがロック調のフォーマットと完璧なまでに調和しているところが、筆者の気に入っている部分である。[収録曲]1. Get Ourselves Together (団結しよう)2. Someday (いつの日か)3. Ghetto (ゲットー)4. When the Battle Is Over (闘いが終わる時)5. Dirty Old Man (老人)6. Love Me a Little Longer (もっと愛し続けて)7. I Can't Take It Much Longer (堪忍袋の緒が切れた)8. Do Right Woman, Do Right Man (ドゥ・ライト・ウーマン)9. Soldiers of the Cross (十字架の兵士)10. Gift of Love (愛の贈りもの)1969年リリース。 オリジナル・デラニー&ボニー [ オリジナル・デラニー&ボニー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年06月21日
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プレスティッジ期の最後を飾るワンホーン盤 ベスト編集ものを別にすれば、ソニー・クリス(Sonny Criss)の1960年代のプレスティッジ所属期の最後を飾ることになったのが、1969年に録音およびリリースされた『アイル・キャッチ・ザ・サン(I’ll Catch the Sun)』という盤である。彼のスタイルは、基本的には変に時代に流されないハード・バップで、彼ならではの泣きのアルトが特徴である。本盤はそうした傾向を如実に示している作品だと言える。 注目したいのは、リズム・セクションの面子である。とりわけ、ピアノのハンプトン・ホーズとドラムのシェリー・マンの存在感が大きい。前者は、軽快に聴き手を楽しませるピアノが身上で、その特徴は本盤でもしっかり発揮されている。後者は西海岸(ウェスト・コースト)ジャズの代名詞的ドラマーだが、軽快で確かなドラミングがこれまたしっかりと発揮されている。そして、その上を踊るのがソニー・クリスのサクソフォンというわけである。 全編通じて35分程度なので、通して聴いても決して長い時間ではない。その中から、注目したい曲をいくつか挙げておきたい。1.「ドント・レイン・オン・マイ・パレード」は、安定したリズム隊の上でキャッチーなリフをソニー・クリスが奏でるという、ある種わかりやすい展開。これと似たタイプの演奏としては、4.「カリフォルニア・スクリーミン」も収められていて、本盤の主たるイメージを表す部分だと言えると思う。それと同時に、ソニー・クリスがクラシックにかつ朗々と吹くというタイプの演奏も耳につく。その代表例としては、表題曲の6.「アイル・キャッチ・ザ・サン」が挙げられる。 正直なところ、“革新”を求める人たちからすれば、この演奏は、必ずしも魅力的な音楽には見えないかもしれない。けれども、筆者としては、このソニー・クリスのサックスの音そのものが中毒的であるのとともに、敢えて自身のスタイルを無理してまで時代に合わせる必要を感じていない頑なさにも妙に共感してしまったりするのである。[収録曲]1. Don't Rain on My Parade2. Blue Sunset3. I Thought About You4. California Screamin'5. Cry Me a River6. I'll Catch the Sun[パーソネル、録音]Sonny Criss (as), Hampton Hawes (p), Monty Budwig (b), Shelly Manne (ds)1969年1月20日録音。 【輸入盤CD】Sonny Criss / I'll Catch The Sun 【中古】 BEST VALUE 1500::アイル・キャッチ・ザ・サン! /ソニー・クリス(as),ハンプトン・ホーズ(p),モンティ・バドウィッグ(b),シェリー 【中古】afb 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年06月17日
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クラリネットの名手による実力発揮の一枚 クラリネットという楽器は、ビッグ・バンドにおいては花形だったが、モダン・ジャズの発展の歴史の中でマイナー楽器へと追いやられてしまった。そんな時代の変化の中、ジャズ音楽の変化にもかかわらず見事にクラリネットを操った名手がバディ・デフランコ(Buddy DeFranco)であった。 バディ・デフランコは、1923年ニュージャージー州生まれで、2014年末に91歳で亡くなっている。当初、彼はビッグ・バンドでの演奏で活動し、1945年にはダウンビート誌の人気投票でクラリネット部門の1位にも選ばれている。やがて、1950年代に入る頃からは自身のバンドで活動するようになり、1953年には拠点も西海岸へと移すことになる。当初はアート・ブレイキーをドラム、ケニー・ドリューをピアノにしていたが、やがてケニー・ドリューの後を引き継いだソニー・クラークをピアニストとしていくつも吹込みを残した。そうした時期の1955年、クインテットで録音されたのが、この『クッキング・ザ・ブルース(Cooking The Blues)』である。 表題の通り、ブルース曲を取り上げた、もしくは、(モダン・ジャズ的な意味での)ブルージーな演奏を披露している盤と言えるが、メンバーを見るととりわけ2月になる点がある。一つは、ピアノがソニー・クラークという点。別に、その前のケニー・ドリューが悪かったとかいうわけでも何でもないけれども、このモダン・ジャズ然とした演奏において、ソニー・クラークが果たしている役割は大きいと思う。それから、もう一つは、ギターを含めたクインテットになっている点。タル・ファーロウのギターは随所で前面に出てきていて、この盤のカラーを大きく色づけている。 お勧めのナンバーをいくつか挙げておきたい。表題曲の2.「クッキング・ザ・ブルース」は、上で述べたソニー・クラークのピアノも、タル・ファーロウのギターもきわめて快調である。メイン・ディッシュと言えるデフランコのクラリネット演奏で最も際立っていると思うのは、3.「スターダスト」。モダン・ジャズの語法の中で、クラリネットもまた、トランペットやサックスと同じように機能することを身をもって示した演奏だと思う。 あともう一つ挙げるとすると、4.「ハウ・アバウト・ユー」。ソニー・クラークのピアノも、タル・ファーロウのギターも、そしてバディ・デフランコのクラリネットも、見事にモダン・ジャズとして調和している。たまたま筆者がそうだったからかもしれないが、クラリネット・ジャズの入口としても、本盤は好適盤と言えるように思ったりする次第である。[収録曲]1. I Can’t Get Started 2. Cooking The Blues 3. Stardust4. How About You5. Little Girl Blue6. Indian Summer[パーソネル・録音]Buddy DeFranco (cl), Sonny Clark (p, org), Tal Farlow (g), Gene Wright (b), Bobby White (ds)1955年8月26日録音。 [枚数限定][限定盤]クッキング・ザ・ブルース/バディ・デフランコ・クインテット[CD]【返品種別A】 クッキング・ザ・ブルース [ バディ・デフランコ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年06月14日
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2022年06月11日
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個人的には後になってから味を噛みしめた盤 1990年、トム・ウェイツ(Tom Waits)が音楽を担当したミュージカル(『ブラック・ライダー』)がハンブルクで初演を迎えた。このミュージカルは、その後、パリをはじめ、様々な場所で上演されたということなのだが、少し遅れて1993年に、同ミュージカルで用いられた楽曲を新たにスタジオで録音したアルバム、『ブラック・ライダー(The Black Rider)』がトム・ウェイツの作品としてリリースされた。 正直、リリース当時、どういったわけか筆者はあまりこの盤には魅かれなかった。平たく言ってしまえば、聴き手側が作品に追い付いていなかったということなのだろう(1曲目の叫び声が強烈だったせいもあるのだろうけれど)。今となっては何とももったいない話ではあるのだが、いろんな音楽を聴いていると、こういうことは時として起こり得る。それなりの年齢になってからそんな風に思えるようになった。 さて、時とともに味を噛みしめるようになった本盤収録の曲のいくつかを見ておきたい。表題曲の2.「ブラック・ライダー」のように、ミュージカルの場面をそのまま切り取ったかのような楽曲が複数見られる。他方、3.「ノーヴェンバー」のように、語り部としてのトム・ウェイツらしい曲も収録されている。その両方の特色を持ち合わせたかのような、9.「ザ・ブライアー・アンド・ローズ」のような曲もある。ミュージカルが元になっていることを強く感じさせるインスト曲の10.「ロシアン・ダンス」や11.「ゴスペル・トレイン」があるが、その直後に聴き手の心に染みわたる12.「アイル・シュート・ザ・ムーン」というのが実にいい。なお、このパターンの展開は、インスト曲の17.「オイリー・ナイト」から18.「ラッキー・デイ」の流れにも見られる。ラストが20.「カーニヴァル」というインストルメンタル・ナンバーで終わるのも、ミュージカル・ベースのアルバムならではなのかもしれないが、ミュージカルを知らなくとも、壮大なストーリー展開の世界に引きずり込まれるような気がする。 こんなことを書きつつ、やっぱりその当時、30年近く前の筆者には、その良さがわからなかったのかな、とちょっと思ってしまったりする。ともあれ、年齢関係なく、成熟したリスナーが聴けば、きっとこの盤の良さがわかってもらえるのではないかと考えたりするのだけれど…。[収録曲]1. Lucky Day Overture2. The Black Rider3. November4. Just the Right Bullets5. Black Box Theme6. 'T' Ain't No Sin7. Flash Pan Hunter/Intro8. That's the Way9. The Briar and the Rose10. Russian Dance11. Gospel Train/Orchestra12. I'll Shoot the Moon13. Flash Pan Hunter14. Crossroads15. Gospel Train16. Interlude17. Oily Night18. Lucky Day19. The Last Rose of Summer20. Carnival1993年リリース。 輸入盤 TOM WAITS / BLACK RIDER [CD] 【輸入盤CD】TOM WAITS / BLACK RIDER 【中古】 ブラック・ライダー/トム・ウェイツ 【中古】afb 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年06月07日
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貫禄が増したグラミー受賞作 ソエー(Zoé)は、メキシコのクエルナバカ(モレーロス州の州都)で結成されたオルタナティヴ・ロック・バンド。レオン・ラレーギ(León Larregui)を中心メンバーとする5人組で、メキシカン・ロック独特のリズム感に加え、スペース・ロックやサイケデリック・ロックといった幻想的なサウンドの影響の強い音楽が彼らの特徴の一つとなっている。2001年のデビュー盤から6枚目のスタジオ作となったのが、2018年リリースの本盤『アストラン(Aztlán)』である。 表題の“アストラン”というのは、メキシコ人の祖先である古代アステカの人たちの遥かなる故郷の地の名前。表題曲は7曲目に収録されているが、この曲に限らず、アルバム全体を通じて、幻想的な独自世界が表現されている。なおかつ、これ以前のアルバムと比較すると、落ち着きが増したというか、貫禄がついたというか、とにかく安定感が感じられる。 お気に入りのナンバーをいくつか挙げておきたい。冒頭の1.「ベヌス」、2.「アスル」は、本作中で最良の出来のナンバーの一つ。特に後者の憂鬱さを帯びつつ厚みのあるトーンが個人的にはお気に入り。 他の曲をもう少し挙げると、3.「ノ・アイ・マル・ケ・ドゥレ」は、ソエーらしさが全開と言えそうな演奏内容。表題曲7.「アストラン」は上述の通りの着想の曲で、特に幻想的なナンバーの一つ。10.「エジャ・エス・マヒア」は力強いリズムが特徴で、幻想性とリズムの組み合わせの妙が気に入っている。この曲から11.「オロペル」と12.「クラリビダー」にいたるアルバム終盤の展開(10.、11.と畳みかけるように進行し、12.で少しテンポを落として彼らの世界観をくまなく発揮)も筆者的には本盤の気に入っている部分だったりする。 繰り返しになるが、全体としてソエーらしさが安定的に発揮されている好盤で、お気に入りかつお薦めのアルバムである。2019年のグラミーで、ベスト・ラテン・ロック(アーバン/オルタナ・アルバム)を受賞したのも頷ける充実した内容の一枚だと言える。[収録曲]1. Venus2. Azul3. No hay mal que no dure4. Al final5. Hielo6. Luci7. Aztlán8. Temor y temblor9. Renacer10. Ella es magia11. Oropel12. Clarividad2018年リリース。 ↓LP盤です↓ 【輸入盤LPレコード】Zoe / Aztlan【LP2019/2/1発売】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年06月02日
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目立たない人物による目立たない好盤 ボブ・ニューワース(Bob Neuwirth)は、1939年生まれのアメリカ人シンガーソングライター。1960年代のフォーク・シーンのつながりでボブ・ディランと親交を持ち、『追憶のハイウェイ61』のジャケ写(ダニエル・クレイマーによる写真)で、ディランの背後に下半身だけ写っているのは、実はニューワースだとのこと。 そんな彼は、1970年代に入り、セルフ・タイトルのソロ盤となる『ボブ・ニューワース(Bob Neuwirth)』をリリースした。とはいえ、この作品は世間の大きな注目を集めることもなく、彼はこの1枚だけで表舞台からは姿を消してしまった(とはいうものの、本盤発表後には、ディランのローリング・サンダー・レヴューに参加したり、長い間を経て1980年代後半以降に何枚かのアルバムを発表したりはしている)。 このようなわけで、余程のマニアにしか認知されていないアーティストなわけだけれど、本盤に参加したゲストの面々を見れば、その交流の幅広さがうかがえる。リタ・クーリッジ、ブッカー・T・ジョーンズ、ドニー・フリッツ、ジェフ・バクスター、ジェフ・マルダー、クリス・ヒルマン、ダスティ・スプリングフィールド…と、豪華すぎるメンバーが並ぶ。ゲストが豪華なら素晴らしいというわけではないにせよ、どれだけ顔が広く、有名ミュージシャンのサポートを受けたのだろうという名が連なる。 そして、何よりも本盤の内容。一言にすると、なぜこれが聴衆に受けなかったのだろうと訝しく思ってしまう。時にいい具合に“ディラン”していて、カントリー・テイストもあれば、ジャグバンド風の雰囲気もある。なおかつ、泥臭さが随所に漂う演奏とヴォーカルで、しかも収録曲の過半が自作曲。カバー曲のセンスもよい。一言でいうと、1970年代前半時点でのアメリカ音楽のエッセンスを南部的な雰囲気の中で見事に写し出した一枚と言ってもいいのではないだろうか。 筆者の気に入っているナンバーをいくつか挙げておきたい。2.「キッス・マネー」は、適度なトラディショナル・テイストにディラン風の語り口がいい。カナダのシンガーソングライターであるマレイ・マクロクランのペンによる4.「本キー・レッド」は、米国南部風のジャム的雰囲気が気に入っている。7.「ロックン・ロール・ライダー」は、ザ・バンドに通ずるようなナンバーで、筆者的には、リヴォン・ヘルムとのダブル・ヴォーカルでやる姿を見てみたかったなどと考えてしまう。8.「ウィ・ハド・イット・オール」は、ドニー・フリッツのナンバーで、本盤と同じ年にリリースされたソロ作でも取り上げられた曲。そもそも曲がいいと言ってしまえばそれまでだけれど、ニューワースによる染み入る歌唱もなかなかのもので、本盤の聴きどころだと思う。 すっかり長文になってしまったが、結論として一言。ボブ・ニューワースのこのソロ作が大したセールスも上げず、マイナー盤となったことは、謎でもあり、もったいなくもある。1990年代末以降、CDでリイシューされてせっかく聴けるようになったのだから、もっともっと聴き継がれていってほしい作品だと強く思う。[収録曲]1. Rock & Roll Time2. Kiss Money3. Just Because I'm Here (Don't Mean I'm Home)4. Honky Red5. Hero6. Legend in My Time7. Rock & Roll Rider8. We Had It All9. Country Livin'10. Cowboys & Indians11. Mercedes Benz1974年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月29日
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多彩なゲストを迎え、シンガーとしての前進と安定を示した盤 ギターの神童と言われたエリック・クラプトン(Eric Clapton)は、1970年にソロ・デビュー盤をリリースして以降、長い目で見ると、徐々にシンガーとしての立ち位置を強めていった。かつての前のめりなギター演奏のイメージとは大きく異なり、“レイド・バック”や、レゲエを取り込んだ点などは、それが表面化した現象だったと言えるように思う。1976年発表の本盤『ノー・リーズン・トゥ・クライ(No Reason to Cry)』は、後世から見れば、そうした形でクラプトンがシンガーとしての存在感を強めていった流れの中で理解できる盤なのではないかというふうに思ったりする。 1970年に最初のソロ作(その後にデレク・アンド・ザ・ドミノスの活動が挟まる)の後、1974年の『461オーシャン・ブールヴァード』からはソロ活動に本腰を入れ、翌年に『安息の地を求めて』、そして(間にライヴ盤のリリースを挟むものの)、その次の年に当たる1976年にリリースされたのがこの盤という流れであった。さらに次の年には『スローハンド』が発表されるのだけれど、ここで述べた期間というのは、筆者個人が特別に気に入っているクラプトンの活動期だったりする。 さて、今回の『ノー・リーズン・トゥ・クライ』である。もはやお手のものとなったレイド・バック的なナンバーをいくつも含み、随所でブルースやギターの聴きどころを設けていて、作品としてのバランスが取れている。それに加え、シンガーとしての成長というか安定感がついてきたという印象が強い。さらに、ゲストの多彩さも目を引く。ザ・バンドのメンバーは5人全員が参加しているのに加え、ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズのロン・ウッド、ジェシ・エド・デイヴィス、ビリー・プレストンなどといった超豪華なサポート陣である。 いくつかの曲に目を向けておきたい。いかにもレイド・バックの魅力やヴォーカリストとしての安定感を感じさせるナンバーとしては、2.「カーニヴァル」や10.「ブラック・サマー・レイン」が筆者的にはお勧めである。豪華なゲストに注目したい曲も2つほど挙げておきたい。ヴォーカルでボブ・ディラン、ザ・バンドのリック・ダンコが参加している曲があり、前者は、3.「サイン・ランゲージ」(日本盤表記では「サイン・ラングウィッヂ」)、後者は、5.「オール・アワ・パスト・タイムズ」でそれぞれエリック・クラプトンとともにヴォーカルを担っている。この3.のディランとの共演は本盤での大きな聴きどころと言っていいように思う。 また、クラプトン作品に頻繁に登場するマーシー・レヴィ(マルセラ・デトロイト)のヴォーカルが複数の曲で利いていて、しかもリード・ヴォーカルをとっているナンバー(8.)も見られる。最後に、ブルースで聴かせるナンバーが適度に配されているのも、本盤が聴き手を飽きさせないものになっている理由の一つだと言える。アルフレッド・フィールズの4.「カウンティ・ジェイル・ブルース」やオーティス・ラッシュの7.「ダブル・トラブル」といったナンバーがこれに当たる。無論、ギターの神様を求める聴き手からは、もっとギターを聴かせてもらいたいと注文がつきそうではあるのだけれど、個人的にはこれでいいのだと思ってみたりもする。[収録曲]1. Beautiful Thing2. Carnival3. Sign Language4. County Jail Blues5. All Our Past Times6. Hello Old Friend7. Double Trouble8. Innocent Times9. Hungry10. Black Summer Rain11. Last Night(CD追加曲)1976年リリース。 ノー・リーズン・トゥ・クライ [ エリック・クラプトン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月24日
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ストーンズ絶頂期、自前レーベルからの1枚目 ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の絶頂期は、『ベガーズ・バンケット』(1968年)から『メイン・ストリートのならず者』(1972年)と言われたりする。これら2枚のアルバムの間に発表された作品の中には、『レット・イット・ブリード』と今回取り上げる『スティッキー・フィンガーズ(Sticky Fingers)』が含まれる。これら4作に『アフターマス』(1966年)を加えると、ストーンズの最高作5つということになるというのが、筆者の個人的な見たてである。 絶頂期のまま1970年代に突入したストーンズは、デッカとの契約を終了し、自前のレーベル(ローリング・ストーンズ・レコード)から最初のスタジオ作となるこの『スティッキー・フィンガーズ』をリリースした。全体としては、これまでのサウンドを押し進め、スワンプ・ロックあるいはサザン・ロック的な要素をより多く盛り込んだ作風になっている。セールス面では、見事に全米・全英ともに1位を記録した。 本盤に収録された中で最も有名で人気曲と言えば、1.「ブラウン・シュガー」だろう。先行シングルとしてリリースされ、シングル・チャートでは、イギリスで2位、アメリカで1位を記録した。一方、筆者にとって本盤のベスト曲は2.「スウェイ」。アメリカでシングル発売された3.「ワイルド・ホース」(これもたしかに好曲)のB面曲でもあったが、ややおとなしいこの曲を食ってしまうほどの渋さと迫力が同居するナンバーだと思う。 8.「シスター・モーフィン」は、ミック・ジャガーが恋人のマリアンヌ・フェイスフルのためにプロデュースしたが、発禁処分となり、ストーンズの前作(『レット・イット・ブリード』)への収録も見送られていた。そんな曲の初出というわけだが、表題の“モーフィン”はモルヒネの意味。歌詞も“シスター・モルヒネ”に“カズン・コカイン”というのは、確かにヤバイ曲とされてもやむを得ないというところだろう。9.「デッド・フラワーズ」もなかなか気に入っている曲なのだが、最後に、10.「ムーンライト・マイル」の方について触れておきたい。本作の中でいちばん最後にできあがった曲で、キース・リチャーズ作の「ジャパニーズ・シング(日本の事柄)」という仮題の曲を元にミック・ジャガーとミック・テイラーが徹夜のセッションで仕上げたという。旅の道中であるという雰囲気は分かるが、日本らしいかというと確かにそんなことはないので、表題がこのように落ち着いたということだろうか。[収録曲]1. Brown Sugar 2. Sway3. Wild Horses4. Can't You Hear Me Knocking5. You Gotta Move6. Bitch7. I Got the Blues8. Sister Morphine 9. Dead Flowers 10. Moonlight Mile 1971年リリース。 スティッキー・フィンガーズ [ ザ・ローリング・ストーンズ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年05月20日
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1980年代の活動の集大成的な秀逸ライヴ盤 トム・ウェイツ(Tom Waits)は、1973年のデビュー以来、アサイラム・レコードと契約していたが、1980年代に入って、実験的な音作りを実践しようとレーベルを移籍し、アイランド・レコード所属となった。アイランドでは、いわゆる三部作(『ソードフィッシュトロンボーン』、『レイン・ドッグ』、『フランクス・ワイルド・イヤーズ』)などを吹き込んだが、ちょうどこの時期に相当する1980年代の活動の集大成的なライヴ・アルバムとなったのが、1988年の本盤『ビッグ・タイム(Big Time)』であり、同名のドキュメンタリー映画も制作された。 本作は、トム・ウェイツのライヴ盤としては2作目ということにはなるのだけれど、最初のライヴ盤『娼婦たちの晩餐』は、スタジオに観客を入れてのライヴ演奏という変則的なライヴ盤だった。そのため、本当の意味でのライヴ演奏盤は、本作が初ということになる。収録された音源は、『フランクス・ワイルド・イヤーズ』のリリースに伴う、ヨーロッパとアメリカでのツアーのもので、1987年のロサンゼルスやダブリン、ベルリン、ストックホルムなどでのライヴ・テイクである。 本盤を一言で表すならば、“とにかく圧倒的”である。1980年代当時のトム・ウェイツの勢いや制作意欲がそのままライヴで再現されている。アルバム作品で、ある種の統一感やコンセプトのある演奏を聴くのもいいのだけれど、本盤はもう少し広範囲にこの時期の彼の到達点とういか立ち位置をそのままストレートにライヴで表現していて、そしてその出来が秀逸というものである。 全編をあたかも一つのライヴのように効くのがお勧めではあるが、敢えて聴きどころと言えそうな曲をいくつかピックアップしてみたい。1.「シックスティーン・シェルズ」は、“こんばんは(Good Evening)”という掛け声から始まり、ライヴの開始を告げる好演奏。奇をてらった演奏の一方で、案外じっくり聴かせる演奏があるというのも本盤のよさで、そういう意味では、4.「コールド・コールド・グラウンド」なんかは、推奨曲と言える。同じく“聴かせる”ナンバーとしては、8.「フォーリン・ダウン」も個人的には好みである。 本盤が素晴らしいと思う点として、アルバムを通して聴いたとき、後半から終盤に向けて盛り上がりが高まっていく点だと感じる。無論、複数のライヴ会場の音源を組み合わせているので、実際のライヴ会場の盛り上がりとは異なるはずなのだけれど、そういう雰囲気がきちんと感じられる。11.「レイン・ドッグ」、12.「トレイン・ソング」(これは何とも言えないトム・ウェイツの名曲の一つ)、13.「イリノイ州ジョーンズバーグの町の歌」あたりの流れは、本当にライヴに居合わせているかのような気分を味あわせてくれる。15.「イスタンブールからの電話」や16.「クラップ・ハンズ」の盛り上がりがあった後、最終的に名バラードの18.「タイム」で全体を締めくくる(ちゃんと最後に“サンキュー、グッド・ナイト”と挨拶をしている)というのも、ライヴ感たっぷりと言える。 今となって振り返れば、1980年代のトム・ウェイツは実に充実していた。そして、その充実ぶりをリアルに感じさせてくれるのが、このライヴ盤『ビッグ・タイム』だと言えるように思う。[収録曲]1. 16 Shells from a 30.062. Red Shoes3. Underground4. Cold Cold Ground5. Straight to the Top6. Yesterday Is Here7. Way Down in the Hole8. Falling Down9. Strange Weather10. Big Black Mariah11. Rain Dogs12. Train Song13. Johnsburg, Illinois14. Ruby's Arms15. Telephone Call from Istanbul16. Clap Hands17. Gun Street Girl18. Time1988年リリース。 [枚数限定][限定盤]ビッグ・タイム/トム・ウェイツ[SHM-CD][紙ジャケット]【返品種別A】 【国内盤CD】トム・ウェイツ / ビッグ・タイム ビッグ・タイム [ トム・ウェイツ ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月16日
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2022年05月12日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その10) 第12弾となった80年代曲選も、ひとまずこれで締めです。最後は、ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)の1986年のシングル曲、「ドント・ギヴ・アップ(Don’t Give Up)」です。同じく英国出身のケイト・ブッシュ(Kate Bush)とのデュエット曲で、イギリスのチャートで9位(全米では72位)を記録しました。 動きやインパクトのあるビデオが多かった時代に、ひたすら抱き合ったままの二人が歌うミュージックビデオ…。筆者としては、これはなかなか印象的でした。 そんなこともあって、筆者の中では上のビデオ映像がデフォルトなのですが、これには2つ目のビデオ・ヴァージョンというのもあって、それが以下のものです。 ところで、デュエット曲という性質上、ライヴでやる時に同じメンツで簡単にはできないという問題があります。実際、ピーター・ガブリエルも、ライヴの場面では、いろんなアーティストをゲストに迎えてこの曲をデュエットしています。そんな中、なかなかいい出来になっていると思ったのがこのライヴでの歌唱です。ポーラ・コール(Paula Cole)とのデュエットをご覧ください。 [収録アルバム]Peter Gabriel / So(1986年) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年05月09日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その9) サバイバー(サヴァイヴァー、Survivor)は、「アイ・オブ・ザ・タイガー」(1982年)などのヒットで知られるロック・バンドですが、1983年にヴォーカリストが交代しています。当初のヴォーカリストだったデイヴ・ビックラーが喉を壊してしまったためで、ジミ・ジェイミソンが後任となるわけですが、この新ヴォーカリストのもとでも「バーニング・ハート」(1985年)のようなヒット曲を生み出していくことになりました。 今回の曲は、ジミがヴォーカルだった頃、「バーニング・ハート」の少し後に全米8位となった「イズ・ディス・ラヴ」というナンバーです。まずは、ミュージックビデオの映像をどうぞ。 このジミのヴォーカルは勢いと迫力があって、筆者的にはとても好みです。2014年、63歳の誕生日を前にして、脳卒中で亡くなっているのが残念でなりません。 さて、もう一つは、そのジミの姿が堪能できるビデオです。この曲のヒット当時の、日本のテレビでの映像です。 映画『ロッキー』に絡んだヒットを飛ばし、産業ロック的な印象も強いサバイバーですが、やはり過小評価は禁物…なんて思い直してみたりする次第です。[収録アルバム]Survivor / When Seconds Count(1986年) 【輸入盤CD】Survivor / Best of Survivor (サヴァイヴァー) 【輸入盤CD】Survivor / Ultimate Survivor (サヴァイヴァー) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月08日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その8) 1980年代、アイドル的大人気を誇ったイギリスのデュオといえば、ワム!(Wham!)でした。1982年に「ワム・ラップ! (楽しんでるかい?)」でデビューし、1986年の解散までのわずか数年の間に次々とヒットを飛ばしました。 今回取り上げるのは、1985年のシングル曲、「フリーダム(Freedom)」です。全英1位、全米3位の大ヒットを記録しました。 今とは全然違う情景の、在りし日の中国の様子(自転車で溢れているイメージも懐かしい!)がビデオの中に織り込まれていますが、ワム!はこの1985年に西洋のポップ・グループとしては初となる中国公演を実現しています。天安門事件(1989年)が起きる以前の話です。 続いては、この曲の“ロング・ヴァージョン”なるものをお聴きいただこうと思います。この頃は、12インチ・シングル(LP盤と同サイズだけれども、回転数は45r.p.m.で、アルバムと違って数曲しか収録されない)も盛んで、シングル曲の別ミックスなどが作られていました。7分越えの「フリーダム」です。 [収録アルバム]Wham! / Make It Big(1984年) メイク・イット・ビッグ [ ワム! ] 【輸入盤CD】Wham! / Make It Big (ワム) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年05月05日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その7) 1980年代前半に人気を博したゴーゴーズのメンバーで、解散後にソロとして活躍したベリンダ・カーライル(Belinda Carlisle)。そんな彼女のヒット曲と言えば、「ヘヴン・イズ・ア・プレイス・オン・アース」という人も多いことでしょうが、今回は、これが収録されているのと同じアルバム(『ヘヴン・オン・アース』)からの別のナンバーです。 同盤からは「アイ・ゲット・ウィーク」というシングルもヒットしましたが、今回取り上げる「ワールド・ウィズアウト・ユー(World Without You)」というナンバーは、アメリカではシングル発売されず、UKチャートで34位になったという、ややマイナーなナンバーです。 上で“マイナーな”とは書きましたが、筆者の中ではアルバムを最初に聴いたときから、大ヒットの「ヘヴン~」と並んでいい曲だなあ、なんて思っていたナンバーです。 ライヴ・ステージでのこの曲もご覧ください。1990年なので、曲およびアルバムの発表から数年後の映像ということになります。 [収録アルバム]Belinda Carlisle / Heaven On Earth(1987年) 【中古】輸入洋楽CD BELINDA CARLISLE / Heaven on Earth[輸入盤] 【輸入盤CD】Belinda Carlisle / Greatest (ベリンダ・カーライル) ゴールド [ ベリンダ・カーライル ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年05月04日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その6) スターシップ(Starship)は、ジェファーソン・エアプレインから分離・派生していったバンドの一つで、当初はジェファーソン・スターシップを名乗っていました(後に法的な係争があって、単にスターシップとなりました)。飛行機(エアプレーン)が宇宙船(スターシップ)に変化し、やがてメンバーも変化して、という感じですが、彼らが1980年代半ばに発表したヒット作『フープラ』からのナンバーです。 このアルバム収められたヒット曲というと、「シスコはロック・シティ」が有名ですが、もう一つのヒット・シングル「セーラ(Sara)」も同じく全米1位のヒットを記録しています。「シスコはロック・シティ」も好曲ですが、その当時、筆者的には、どちらかというと、この「セーラ」の方がよりお気に入りでした。 さて、ライヴの映像を2つほど追加でご覧いただこうと思います。一つめは、発表から10年ほどを経た1996年のステージの様子です。もう一つの方は、2007年のライヴの模様です。後者はミッキー・トーマスの年齢(60歳手前ぐらいでしょうか)を考えると驚きの声ののびだという風に感じます。 [収録アルバム]Starship / Knee Deep In The Hoopla(フープラ)(1985年) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年05月02日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その5) 今回は、ヴァン・ヘイレン(Van Halen)の曲を取り上げたいと思います。1988年の「ホエン・イッツ・ラヴ(When It's Love)」というナンバーで、アルバム『OU812』(読み方は、“オー・ユー・エイト・ワン・トゥー”)からのシングル曲でした。 1988年のナンバーですので、デイヴィッド・リー・ロスがバンドを脱退し、その危機を乗り越えてバンドが成長し続けた時期、サミー・ヘイガーがヴォーカルを務めたいた時代の曲です。全米チャートで最高位5位とヒットし、ハード・ロック・バンドによるいかにもバラード系の曲だったわけですが、そういう商業主義的(?)な批判を横に置けば、やっぱり名曲に数えられんじゃないかと未だに思う次第です。 往時のライヴでのステージの雄姿もご覧ください。1990年代初頭のものです。サミー・ヘイガー色が全開で、デイヴのファンには異論があるかもしれませんが、ヴォーカリストの脱退を経たバンドが途切れることなくトップに居続けられたのは、紛れもなくこの人の功績と言っていいように思います。今ではもう見ることのできない、エディの姿と共にご覧ください。 [収録アルバム]Van Halen / OU812(1988年) 【輸入盤】Ou812 [ Van Halen ] 【売り尽くし】OU 812【CD、音楽 中古 CD】メール便可 ケース無:: レンタル落ち 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2022年04月30日
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本ブログの累計アクセス数が750万件を超えました。この場を借りまして、ご覧いただいている皆さまにあらためて感謝いたします。引き続きご愛顧のほど、お願いいたします。 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2022年04月28日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その4) カッティング・クルー(Cutting Crew)は、イギリスで結成され、1986年にデビューしたロック・バンドです。ファースト・シングルの「愛に抱かれた夜(アイ・ジャスト・ダイド・イン・ユア・アームズ・トゥナイト)」は、アメリカをはじめ4か国でチャート1位という大ヒットを記録し、一躍人気を獲得しました。今回ここで取り上げるのは、同じデビュー盤の収録曲の中からサード・シングルとしてカットされた「モッキンバード(One for the Mockingbird)」というナンバーです。 チャート的には全米38位、全英52位という結果で、ヒット曲というわけではなかったのですが、筆者は当時からなかなか気に入っていた曲でした。「愛に抱かれた~」のあの雰囲気も独特でいいのですが、ロック・バンドらしい疾走感と勢いが何よりもお見事です。そして、適度なキャッチーさも兼ね備えています。 もう1本の映像は、その当時のライヴの様子です。今からだと30年以上も前の映像ということになりますが、メンバーがとにかく若いですね。 [収録アルバム]Cutting Crew / Broadcast(愛に抱かれた夜/旧邦題:ブロードキャスト)(1986年) 【輸入盤CD】Cutting Crew / Broadcast (カッティング・クルー) カッティング・クルー / ブロードキャスト [CD] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年04月27日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その3) アーケイディア(Arcadia)は、デュラン・デュランの一部メンバー(サイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラー)による、サイドユニット的な活動をしたバンド。1985年に『情熱の赤い薔薇』というアルバムを残しましたが、今回のナンバーは、そこからのシングル曲です。 「ザ・プロミス(The Promise)」は、上記アルバムからの3枚目(「グッバイ・イズ・フォーエヴァー」はアメリカのみだったので、イギリスでは2枚目)のシングル曲です。最初のシングルだった「エレクション・デイ」のようなヒットにはなりませんでしたが、個人的には「グッバイ・イズ~」とこの「ザ・プロミス」の方がお気に入りでした。 ちなみに、この曲のクレジットには記されていないようですが、バッキング・ヴォーカルでスティングが参加したことが知られています。 さて、この曲のライヴ映像をと思って探してみたのですが、見つかりませんでした。とはいえ、1986年のテレビ番組出演時と思われる映像がありましたので、ともあれ、彼らの若き日の姿をご覧ください。 [収録アルバム]Arcadia / So Red The Rose(情熱の赤い薔薇)(1985年) ↓プレミアがついているのでしょうか?↓ 【中古】輸入洋楽CD ARCADIA / So Red The Rose : Special Edition[輸入盤] ↓こちらはLP盤↓ 【中古レコード】アーケディア/情熱の赤い薔薇[LPレコード 12inch] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月25日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その2) 1980年代アメリカを代表するアーティストとして、前回のビリー・ジョエルとくれば、今回はこの人です。ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)の大ヒットしたアルバム『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』からのシングル曲、「カヴァー・ミー(Cover Me)」をお聴きください。 1984年のヒット曲で、上記アルバムからのセカンド・シングルとして、全米(ビルボード)7位を記録しています。筆者の個人的な話で恐縮ですが、そういえば、4ヴァージョンが入った12インチ・シングルのレコード盤なんてのも当時聴いていた覚えがあり、懐かしいところです。 その往時のライヴの姿をということで、続いては以下のビデオをご覧ください。今の感覚からすると、何とも暑苦しい雰囲気かもしれませんが、1980年代前半、『U.S.A.』ヒット当時の熱気そのまんまといった風情の映像です。 余談ながら、この「カヴァー・ミー」というシングルのB面は、「ジャージー・ガール」という名曲です。トム・ウェイツの曲で、当時はこのシングル曲のB面としてしかリリースされていない、いわば“ウラ名曲”のようなナンバーでした。[収録アルバム]Bruce Springsteen / Born in the U.S.A.(1984年) ボーン・イン・ザ・U.S.A. [ ブルース・スプリングスティーン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年04月22日
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気まぐれ80s~12thシーズン(その1) 久々に80年代曲選をお届けしたいと思います。2020年3月(新型コロナ感染が広まり始めた頃ですね)以来、およそ2年ぶりの80年代曲選、第12集となります。全10回の予定ですので、よろしくお付き合いください。 最初のナンバーは、ビリー・ジョエル(Billy Joel)の「アップタウン・ガール(Uptown Girl)」です。1983年発表の『イノセント・マン』からの第2弾シングルとしてシングル発売され、全米ビルボード3位のヒットとなりました。 この曲のライヴでの演奏もご覧いただこうと思います。ウクライナ侵略で何かと取り沙汰される昨今のロシアですが、1987年、ビリー・ジョエルが崩壊前のソ連邦で行ったライヴの様子です。 ある種、閉じられた世界だったソヴィエト連邦の国民で、このコンサートで外部世界に触れた当時の若者(当時25歳だったなら今は60歳といった具合ですね)は、今起こっている状況、ロシア国内での情報のあり方に、果たして何を思うのでしょうか。[収録アルバム]Billy Joel / An Innocent Man(1983年) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月20日
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1980年代に向けてバンドの行先の模索 フォガット(Foghat, フォグハット=“霧の帽子”の意)は、1970年代初頭にサヴォイ・ブラウンから分派したバンドで、ブルース・ロックからハード・ブギーへと進む道を切り開いていった。1980年代に入るあたりからは、メンバーの交代や音楽性の模索で停滞期を迎え、挙句の果てには、分裂して双方がフォガットを名乗る事態まで起こった(後に改めて再結成にこぎつけている)。 1980年にリリースされた『タイト・シューズ(Tight Shoes)』は、そんなバンド停滞期の入口での模索を示す盤と言えるように思う。全体としては、その当時、隆盛にあったニューウェーヴへの歩み寄りが顕著である。ジャケットもそのような志向を如実に反映していて、靴(赤いバッシュ)、蛍光色、バンド名は従来のロゴではない表示は、これまでの彼らのジャケットにはなかった趣である。そのようなわけで、コアなファンからは否定的評価も受けてしまうことがある。とはいえ、個人的には、フォガットというバンドの歴史の中でどうかは横においておけば、この当時の音楽シーンの中での単独作品として見れば、なるほどな仕上がりの作品だったと評価できるように思う。 全体的に、ブルース・ロックを控え、ロッド・プライスのギターも抑えめで、デイヴ・ぺヴァレット(ロンサム・デイヴ)中心のポップ・ロック調というのが本盤の中核となっている。曲作りも、ギターソロも意図的にこうした目標を定めた作品を目指しているように見受けられる。曲作りはもともとデイヴが主に担っていたものの、本作では8曲すべてがデイヴのペンによる。ギターに関しては、この音楽的志向はロッド・プライスにとって不満の種となったのだろう(実際、本作をもって彼はバンドを脱退した)。 さて、ポップな収録曲のいくつかに目を向けておきたい。冒頭の1.「ストレンジャー・イン・マイ・ホーム・タウン」は、シングル・カットされたナンバーで、上で述べたような本盤の特徴を如実に示す曲である。バンドが得意とするブギー・ロックを基調としてポップ風なアレンジを加えたと言えそうなナンバーも散見される。3.「フル・タイム・ラヴァ―」はそのよくできた例である。5.「トゥー・レイト・ザ・ヒーロー」もそうした例の一つ。少々奇を衒い過ぎのエフェクトなんかも見られるけれど、なかなかキャッチーに仕上がっている。8.「ノー・ハード・フィーリングス」は、フォガットの作風からするとかなり新傾向と言えそうな曲調のナンバー。デイヴの曲作りのよさが際立っている。[収録曲]1. Stranger in My Home Town2. Loose Ends3. Full Time Lover4. Baby I Can Change Your Mind5. Too Late the Hero6. Dead End Street7. Be My Woman8. No Hard Feelings1980年リリース。 ↓本盤を含む廉価版オリジナル・アルバム集↓ 輸入盤 FOGHAT / ORIGINAL ALBUM SERIES [5CD] ↓LP盤です↓ 【輸入盤LPレコード】Foghat / Tight Shoes(フォガット) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月17日
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およそ1カ月ぶりにINDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー (1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2022年04月13日
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現代UKバンドのギタリストによるファースト・ソロ作 ダンカン・ロイド(Duncan Lloyd)は、2000年にマキシモ・パーク(Maxïmo Park)を結成したイギリス出身のギタリスト。マキシモ・パークは、2003年にポール・スミスを迎え、2005年にファースト作を発表し人気を獲得していく。その一方で、ダンカン・ロイドがバンド活動と並行して制作し、2008年にリリースしたソロ・アルバム作品が、この『シーイング・ダブル(Seeing Double)』である。 21世紀に入り、サイケやパンクどころか、オルタナの名で括られたり分類されたりするロックすらも一巡した後の時代。そんな時代的な流れの中で、それがうまく消化され、音に体現されている好盤というのが、このアルバムを最初に聴いたときの、筆者の第一印象だった。実際、彼の中には1990年代のインディー・ロックやガレージ・ロックなどリアルに体験した音楽と、それ以前のロック史の積み重ね(邦盤ライナーによれば、例えばキャプテン・ビーフハートなんかにも触れている)の双方が流れていると言えそうだ。 特に注目したいナンバーをいくつか挙げておきたい。筆者が気に入っているのは、1.「セヴン・レターズ」や4.「ナイトフライ」といった、本盤収録曲の中では“やや地味”なナンバー。表題曲の8.「シーイング・ダブル」もどちらかと言えば、その流れに近いかもしれない。あと、アコギに持ち替えての6.「ヴィクトリー・アンド・サレンダー」と、10.「アナザー・チャンス」は、いずれもシンプルながら聴き手を妙に惹きつける魅力があり、聴けば聴くほどソングライティングのよさに頷いてしまう。 日本盤ではさらに地味な2曲が追加されているが、それらを含めても総収録時間は38分弱。本来の10曲だけなら30分ちょっとなので、一気に聴けてしまう。それでもって、この長さの中に詰まっている曲の密度は、なかなか濃いものだと言えると思う。[収録曲]1. Seven Letters2. Make Our Escape3. Suzee4. Nightfly5. Misfit6. Victory and Surrender7. You Are Partly to Blame8. Seeing Double9. 3 Times Over10. Another Chance~以下、日本盤ボーナス・トラック~11. All Ours (I Guess I’m at a Loss, Part 2)12. Waiting for Thee2008年リリース。 【国内盤CD】ダンカン・ロイド / シーイング・ダブル ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月09日
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成熟の域に達したアコースティック・ライヴの好盤 ハート(Heart)は、1976年にデビューしたバンドで、1980年代にはポップな方向性を盛り込んだりして人気を博した。1995年に発表した『ザ・ロード・ホーム(The Road Home)』は、このバンドの成熟をよく示すライヴ盤だと思う。 1990年代、MTVの“アンプラグド”という企画が一世を風靡した。本ライヴ盤は、その流れの中で出来上がったものだったが、当時の流行とは関係なく、後から聴いても実によくできたライヴ作品になった。 その理由というか背景としては、いくつかのことが指摘できると思うのだけれど、一つは、ハートというバンドのバックグラウンド。周知の通り、レッド・ツェッペリンの影響を強く受けており、アコースティックな演奏というのは、ハートにとって付け焼刃ではなく、体内に消化されたものだと言える。次に、アン・ウィルソンのヴォーカリストとしての成熟も挙げられる。当時のアンはちょうど40歳代半ば辺りで、ヴォーカリストとしての味(それはさらに年齢を重ねて深みを増していった)が成熟の域に達していった頃だった。さらに、彼らが敬愛するレッド・ツェッペリンの元メンバー、ジョン・ポール・ジョーンズが演奏とプロデュースで参加している。これらの要素が組み合わさってのこのライヴ盤の出来栄えという結果になったのだろう。 そのようなわけで、アコースティックな演奏とアンのヴォーカルのよさが存分に楽しめる盤と言えるように思う。本盤所収のお気に入りの演奏を挙げ始めるときりがなくなりそうなのだけれど、いくつか触れておきたい。冒頭の1.「夢見るアニー」、2.「ドッグ・アンド・バタフライ」は、70年代のハートらしくアコースティック向きの好曲。これらの曲の間のMCで“私たちのリヴィング・ルームへようこそ”と聴衆に話しかけているのもいい。80年代のヒット曲である5.「アローン」や6.「ジーズ・ドリームズ」もアコースティック向けのアレンジで、特に前者のヴォーカルはアンの実力発揮のナンバーで、ジョニ・ミッチェルのカバーである12.「リヴァー」と合わせて、ヴォーカルの聴きどころとなっている。 さらに、ロック調のヒット曲である10.「クレイジー・オン・ユー」や13.「バラクーダ」は、元の曲のイメージを保ちながら、アコースティック・ギターでの盛り上がりの演奏を披露している。なお、カバー曲としては、上記12.(ジョニ・ミッチェル)以外に、7.(エヴリブラザーズ)や11.(エルトン・ジョン)も含まれており、“リヴィング・ルーム”感がある。さらに、シークレット・トラックとして、アルバム表題になっている15.「ザ・ロード・ホーム」が収められている。[収録曲]1. Dreamboat Annie (Fantasy Child) 2. Dog and Butterfly 3. (Up on) Cherry Blossom Road4. Back to Avalon5. Alone 6. These Dreams 7. Love Hurts 8. Straight On9. All I Wanna Do Is Make Love to You10. Crazy on You11. Seasons12. River13. Barracuda 14. Dream of the Archer15. The Road Home1995年リリース。 Heart ハート / Road Home(Live) 【CD】 【輸入盤CD】Heart / Road Home (ハート) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月05日
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ロック・ギタリストによるポップ志向の強い盤 かつて“ギター小僧”などと評されることが多かったニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)は、1980年代以降、ブルース・スプリングスティーンのE・ストリート・バンドの活躍でも知られる米国人のギタリストである。1970年代は確かにギター少年がそのままアーティストになって自身のバンド(グリン)やソロで作品を発表していったかのようなイメージに当てはまるところも多分にあった。しかし、そんな彼は、1980年代に入る頃から、エレキギターに重きを置きながらもポップな方向に進み、1990年代以降になると、再びロック寄りでなおかつヴォーカルで聴かせることにも長けていった。 以上のようなアーティストとしての変遷の中で、とくにポップなサウンドに傾いた作風と言えるのが、7作目となった本盤『ワンダーランド(Wonderland)』(1983年発表)である。このような特徴ゆえに、ファンの間でも好みが分かれるかもしれない盤だが、筆者はかなり気に入っている。ポップな方向性を持つとは言っても、ギターを聴かせる場面というのも随所に見られるし、聴きやすい明るいサウンドという志向は、成功したと思われるからだ。 筆者お勧めの聴きどころをいくつか挙げてみたい。冒頭の1.「アクロス・ザ・トラックス」は、本作のポップ度とロック度のバランスをよく表していると思う。全面的にポップというわけでは決してなく、ギターを積極的に生かしながらの演奏という好ナンバーだと思う。これと似た方向性で成功している注目曲としては、8.「コンフィデント・ガール」もある。 よりポップな方向性の曲としては、表題曲の6.「ワンダーランド」がある。肩の力の抜け具合もいい感じで、筆者的にはニルス・ロフグレンのお気に入りナンバーの一つになっている。少しテンポを落としたバラード風のナンバーが目立つのも本盤の特徴と言えそうで、2.「イントゥ・ザ・ナイト」や7.「ルーム・ウィズアウト・ラヴ」が個人的にはおすすめ。 収録曲は基本的にニルス本人のペンによるが、カバーの3.「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ」もいい。ローリング・ストーンズで知られる曲(アルバムとしては、こちらに収録)だが、ストーンズ加入もささやかれたニルス・ロフグレンらしい、聴かせどころの一つとなっているナンバーだと思う。[収録曲]1. Across the Tracks2. Into the Night3. It's All Over Now4. I Wait for You5. Daddy Dream6. Wonderland7. Room Without Love8. Confident Girl9. Lonesome Ranger10. Everybody Wants11. Deadline1983年リリース。 ワンダーランド [ ニルス・ロフグレン ] [枚数限定][限定盤]ワンダーランド/ニルス・ロフグレン[CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年04月01日
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スペイン語ロック曲選・PART 4(その5) スペイン語ロック曲選、第4弾の最後は、本ブログで既に複数回登場しているメキシコのロック・バンド、EL TRI(エル・トリ)の代表曲です。「A.D.O.(読み方は“アー・デー・オー”)」というのがその曲名なのですが、この名称は有名な最大手長距離バス会社の名前です(アメリカでいうと“グレイハウンド”みたいな感じでしょうか)。曲の内容はというと、彼女にふられた男が、ADOのバスに乗ってどこか遠くへ行ってしまいたい、というものです。 この曲はEL TRI誕生以前の、スリー・ソウルズ・イン・マイ・マインド(Three Souls In My Mind)というバンド時代の楽曲です。まずは、1970年代のスリー・ソウルズ時代の音源をお聴きください。 バンド・メンバー間の確執の末、アレックス・ローラは1980年代以降、EL TRIとして活動を展開していきましたが、その活動の中でもこの「A.D.O.」は彼らの代表的ナンバーとして演奏し続けられていきました。そんなわけで、EL TRI時代になってからの演奏シーンの映像を2つほどご覧いただこうと思います。まずは、1999年、大手テレビ局(TVアステカ)の企画でのライヴ演奏の模様です。 続いては、“MTVアンプラグド”でのライヴ演奏です。リリースされたのは2004年ですが、録音時代はもう少し古く、1996年のものです。 [収録アルバム]Three Souls In My Mind / Es lo mejor(1977年)El Tri / En vivo!! En la cárcel de Santa Martha(1989年) El Tri / MTV Unplugged(2004年)その他、各種ベスト盤、ライヴ盤にも収録。 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年03月28日
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スペイン語ロック曲選・PART 4(その4) 今回は、1990年代にデビューしたバンド、フォビア(Fobia)のナンバーです。フランシスコ・ウイドブロとレオナルド・デ・ロサンヌを中心とするこのバンドは現在も活動を続けています。 今回のナンバーは、「エル・ミクロビート(El microbito)」という曲で、1990年のセルフタイトルのデビュー盤(同盤の過去記事はこちら)に収められています。まずは、往時のビデオクリップをご覧ください。 続いては、後世のライヴの模様です。2019年、ライヴ盤としてもリリースされたメキシコシティのスポーツパレスでの演奏シーンをご覧いただこうと思います。 冒頭で述べたように、フォビアは元気に現役を続行中です。コロナ禍の2020年に収録され、現時点での最新のアルバムとなっている『フォビア・MTVアンプラグド』に収録されている「エル・ミクロビート」もご覧ください。このライヴ盤は、実験的な楽器(というか“音”)がいろいろと導入されていて、なかなか面白いライヴ盤に仕上がっています。 [収録アルバム]Fobia / Fobia(1990年) Fobia / Fobia MTV Unplugged(2020年) ROCK LATINO (REMASTER)[輸入盤]/FOBIA[CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年03月25日
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スペイン語ロック曲選・PART 4(その3) さて、今回はアルゼンチン人とスペイン人の混成バンド、ロス・ロドリゲス(Los Rodríguez)の有名曲です。「ミロンガ・デル・マリネロ・イ・エル・カピタン(Milonga del marinero y el capitan)」という、カタカナでは長ったらしい曲名ですが、“船員と船長のミロンガ”という意味のタイトルです。1995年の曲ですが、筆者的にはリアルタイムでよく耳にした懐かしのナンバーでもあります。 ロス・ロドリゲスは、1990年にデビューしましたが、活動していたのは1996年までと決して長くありませんでした。後にはメンバーの一部が再合流してライヴなどを行っていますが、バンドとしての本格的な再結成はなかったようです。 とはいえ、後世のライヴ演奏の音源などないのかと探してみたところ、次のようなものに行き当たりましたので、2つばかりお聴きいただこうと思います。 まずは、中心メンバーだった2人(アンドレス・カラマロとアリエル・ロット)が再集合したライヴの演奏(音声のみ)です。当時のバンド名(ロス・ロドリゲス)をもじって、そのうちの2人の再集合ということで“ドス・ロドリゲス”(“ドス”はスペイン語で“2”の意味)と銘打ったライヴでの演奏です。 さらにもう一つ、上記のアリエル・ロットのライヴの模様です。スペインはマドリード郊外のガラパガールでの2001年のパフォーマンスとのことです。 [収録アルバム]Los Rodríguez / Palabras más, palabras menos(1995年) 【輸入盤CD】Los Rodriguez / Palabras Mas Palabras Menos/Sin Documentos (Limited Edition)【K2020/3/13発売】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年03月23日
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スペイン語ロック曲選・PART 4(その2) スペイン語のロックの中には、メキシコの都市部の、あまり裕福な層ではない若者たちに主に支持される“アーバン・ロック(ロック・ウルバーノ)”なるジャンルがあります。ベタなロック調が多いのですが、そんな中でリラン・ロール(Liran’ Roll)は筆者のお気に入りで、今回はこのバンドのナンバーです。 リラン・ロールは、リーダーのアントニオ・リラ(ヴォーカル、ギター)を中心とし、1991年にデビューしたバンドです。今回のナンバーは、決してこのバンドの代表曲とか特徴的というわけではないのですが、「アディオス・アミーゴ(Adiós amigo)」という曲です。文字通り、“友よ、さようなら”という意味で、若くして亡くなった友人のことを歌ったナンバーです。 上の音声はオリジナル・アルバムに所収のものでしたが、続いては、ライヴでの演奏もご覧いただきたいと思います。メキシコシティのメトロポリタン劇場での2006年のライヴ演奏の様子をどうぞ。 [収録アルバム]Liran’ Roll / Cambios(1997年)Liran' Roll / Teatro Metropolitan Live Vol. 1(2006年、ライヴ盤) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年03月21日
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スペイン語ロック曲選・PART 4(その1) スペイン語ロックの楽曲を取り上げるシリーズの第4弾をお届けしたいと思います。最初は、過去にも登場しているアルゼンチン出身のアーティスト、ミゲル・マテオス(Miguel Mateos)のナンバーで、「ジャマメ・シ・メ・ネセシタス(Llámame si me necesitas)」です。 現地では超有名アーティストなわけですが、1980年代、黎明期にあったアルゼンチンのロック音楽を牽引し、スペイン語を公用語にする他の国でも人気を博したシンガーでした。この曲のタイトルは、“僕を必要とする時にはいつでも呼んでおくれ”といった意味で、詞の内容も“すぐに君の所へ飛んでいくから”と続くといったものです。 さて、1986年のアルバムに収録されていたこのナンバーですが、時は流れ、21世紀。今世紀と言っても、もう既に10年ほど前のライヴの模様ですが、円熟の域に達した彼の姿もご覧いただこうと思います。メキシコでのライヴ(その内容はライヴ盤化もされました)での「ジャマメ・シ・メ・ネセシタス」です。 [収録アルバム]Miguel Mateos/ZAS / Solos en América(1986年) Miguel Mateos / Primera fila(2011年) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年03月20日
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人気絶頂期へ向けた飛躍の一枚 プレスントス・インプリカドス(Presuntos Implicados)は、スペイン南部のムルシア出身の3人組バンド。本ブログでは、1991年作の『セール・デ・アグア』を先に取り上げているが、本盤『アルマ・デ・ブルース(Alma de Blues)』は1989年に発表されたもので、その前作に当たる。 この作品の前にも、プレスントス・インプリカドスは、インディー盤を発表してはいた。だが、初めて全国区で人気を獲得したのはこの盤の成功によってだった。そして、1990年代を通しての人気絶頂期を築き上げていったわけだけれども、それを先取りしていたのが本盤ということになる。 全体としては、自作以降のこのバンドのスタイルが既に出来上がっていることを示す曲が目立つ。演奏・アレンジについては、後々のお洒落感や洗練度に比べると、ややストレートなかんじといったところだろうか。注目曲をいくつか挙げておくと、1.「メ・ダス・エル・マール」は地中海ポップスらしい詞がソーレ・ヒメネスのヴォーカルにマッチしているのがいい。一方、表題曲の2.「アルマ・デ・ブルース」は、少し暗めの曲調でソーレのヴォーカルのよさがうまく出ている。これらはいずれも後々のプレスントス・インプリカドスの楽曲の特徴となっていくものだという風に思う。アルバムを聴き進むと、アップテンポの曲も登場し、飽きさせない作りになっているのだけれど、私的お気に入りを一つ挙げておくと、7.「ラ・ノチェ」。ジャズ・ヴォーカル的な雰囲気をポップスの中にお洒落に取り込もうとして、なかなか成功したナンバーではないかと思ってみたりする。[収録曲]1. Me das el mar2. Alma de blues3. Río Po4. La futura promesa5. No hay palabras6. Encadenada7. La noche8. No hay humor9. Cada historia10. Guitarra y voz11. Asoma el llanto1989年リリース。 【中古】 Alma De Blues / Presuntos Implicados / Presuntos Implicados / Imports [CD]【宅配便出荷】 【中古】 Presuntos Implicados / Alma De Blues 【CD】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2022年03月17日
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“らしさ”を保ち続けた第11作 リトル・リバー・バンド(リトル・リヴァー・バンド、Little River Band)は、1975年にオーストラリアのメルボルンで結成されたバンド。当時の豪州出身バンドとしては、アメリカおよび世界への進出の先駆けとなる役割を果たした。時代が進むと、その先駆者的役割は終わっていったとはいえ、1980年代~1990年代にかけては、そのコーラスを生かした好作をリリースし続けていた。そんな時期の一枚が、本作『ゲット・ラッキー(Get Lucky)』である。 1980年代にグレン・シャロックがバンドを抜け、ジョン・ファーナムがその後継に入るという事態が生じたが、本盤は、ちょうどグレン・シャロックの復帰後の時期に当たる。実際、収録の10曲中、彼がヴォーカルを取っている曲は7曲(うち3曲はウェイン・ネルソンがリード・ヴォーカルを担当)となっている。 30年ほど経過した今から見ると、サウンド的には少なからず時代への迎合が見られる気もしないではない。とはいえ、全体としては、LRBらしいメロディやコーラス・ワークに力点を置いたナンバーが並ぶ。以下、個人的な好みも含め、聴きどころと思う曲を挙げてみたい。 表題曲と言える1.「アイ・ゲット・ラッキー」は、リラックスした曲調と余裕の感じられるグレン・シャロックのヴォーカルがいい。2.「ゼアズ・ノット・アナザー・ユー」は、筆者的には特にお気に入りのナンバーで、スリリングな曲展開が魅力と言える。5.「アイ・ドリーム・アローン」は、バラード曲で、このままでも十分魅力的なのだけれど、あと一歩スロー・テンポならば、さらに名バラードになったのではないかという気もする。 アルバム後半に入ると、ウェイン・ネルソンがリード・ヴォーカルとなっている曲(7.~9.の3曲)が目立つ。正直なところ、その当時の印象としては、ウェイン・ネルソンの部分はあまり強く印象に残らなかったのだけれど、今になって聴いてみれば、後のこのバンドの行く末を先取りしていたと言えるのかもしれない。ウェイン・ネルソンがヴォーカルを取っている曲の中でのベストは、9.「ワン・ザット・ゴット・アウェイ」。次の時代に続くLRBらしさが体現された1曲だと言えるように思う。 ある種、過渡期の作品と言えそうなので、これこそLRBのこれぞ1枚にはならないかもしれない。けれども、LRBの演奏を気に入った人、さらにはこのバンドの変遷が気になる人にとっては、何とも興味深い1枚と言っていいようにも思う。また、それ以外のリスナーにとっても、上で触れた1.、2.、5.、9.はぜひ耳にしてもらいたい、そんな盤だったりする。 [収録曲]1. If I Get Lucky2. There's Not Another You3. Second Wind4. Every Time I Turn Around5. I Dream Alone6. Time and Eternity7. Two Emotions8. As Long as I'm Alive9. The One That Got Away10. Listen to Your Heart1990年リリース。 ↓いずれもベスト盤です↓ 【輸入盤CD】Little River Band / Best Of (リトル・リヴァー・バンド) 【輸入盤CD】Little River Band / Definitive Collection (リトル・リバー・バンド) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年03月13日
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2022年03月10日
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前回記事のアルバムより2曲 前回記事のEL TRI(エル・トリ)のアルバム、『21年後(Veintiún años después)』から2曲ほど取り上げてみたいと思います。このメキシカン・バンドの盤は、日本では入手が難しそうですので、少し映像つきでご覧いただければ、といったところです。 まずは、「ディフィシル(Difícil)」。アルバム所収のヴァージョンの音声をお聴きください。表題は“難しい”という意味のスペイン語で、人生そう簡単じゃない、みたいな内容が詞になっているようですが、演奏面で注目したいのが、ハーモニカです。このバンドにはちゃんとハーピストがいて、演奏の重要な部分をしばしば担っています。また、曲の冒頭の“口笛”もリーダーのアレックス・ローラの得意とする演奏(?)です。 続いては、この曲のライヴ演奏の場面をご覧ください。アルバムのリリース当時の1989年の映像とのことです。 さらにこの盤からもう1曲。「エル・アス・ノ・コノシード(El as no conocido)」(“知られざるエース”の意味)というナンバーです。詞の中にジョニー・ウィンター、ジョニー・ウォーカー、ジェームス・ブラウンなんかがでてきますが、ブルース・ロック調の彼らのルーツが反映されたナンバーです。 この曲のライヴ演奏の様子も見ていただきたいと思います。アルバムの発表当時や少し後のライヴ盤での演奏の音源もあるのですが、今回は、活動35周年の際の、2000年代前半のライヴ演奏の様子をご覧ください。 [収録アルバム]EL TRI / Veintiún años después(1989年)その他、複数のライヴ盤等にも収録。 ↓こちらはベスト盤↓ Mejor De El Tri (W/Dvd)【中古】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年03月08日
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音楽活動21周年を迎えたアレックス・ローラ EL TRI(エル・トリ)にとって、5枚目のスタジオ作(ライヴ盤も含めると6枚目)となったのが、1989年の『21年後~ベインティウン・アニョス・デスプエス(21 años después Alex Lora y El Tri)』であった。“21年”というのは、リーダーのアレックス・ローラ(Alex Lola,アレハンドロ・ローラ)が、EL TRIの原型となったバンド(スリー・ソウルズ・イン・マイ・マインド,Three Souls in My Mind)を結成した1968年から数えて21年になることに因んでいた。 リリースの同年にロサンゼルスで録音された本盤は、1990年代以降、このバンドのライヴの定番となっていく代表曲を複数含んでいる。革新的とか変革的というよりは、前作までの流れを引き継いで、このバンドらしさを発展させていった、そんなアルバムと言えるように思う。 注目すべき曲をいくつか挙げておきたい。1.「マリーア・サビーナ」は、本盤リリースの数年前(1985年)に亡くなった1894年生まれの女性シャーマンの名前をタイトルとしていて、ファンには人気のナンバーとなった。3.「エル・アス・ノ・コノシード」は、ギタリストのセルヒオ・マンセーラとの共作で、80年代のこのバンドらしさが存分に発揮されている。4.「ディフィシル」は、本盤でと言うよりも、このバンドの代表的なナンバーの一つとして筆者が気に入っている曲。一方、6.「ウン・ディア・エン・ラ・ビダ」や7.「エンクエントロス・セルカノス・デル・テルセール・セクソ」なんかは、1990年代に入っていく次のステージをイメージさせる演奏内容。そういう意味では、過渡期の作品と言えるのかもしれないが、1980年代から1990年代へと移ろいゆく当時、現地メキシコではまだまだメジャーではなかったロック音楽を着実に前へ進めていった、そんな盤の一つと言えるのではないだろうか。[収録曲]1. María Sabina2. Puros changos3. El as no conocido4. Difícil5. Tren del infierno6. Un día en la vida7. Encuentros cercanos del tercer sexo8. Maldito sistema9. Que reventón10. La fuerza del amor1989年リリース。 ↓別盤です↓ 【中古】 Nada Que Perder / El Tri / Machete Music [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年03月06日
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モッズ・バンドによるミニ・アルバム+日本盤はさらに6曲 かなり前に『アルタ・フィデリダー』を取り上げたスペインのモッズ・バンド、ロス・フレチャソス(Los Flechazos)。1997年にこのバンドは解散を発表し、翌年には正式に解消。リーダーだったアレハンドロ(またはアレックス)・ディエス・ガリンは、ソロ・プロジェクトを進めていくこととなった。 そのようなわけで、後から見れば、バンドが解散に向かうまでの経緯で制作され、リリースされた6曲入りのミニ・アルバムが、この『ディアス・グリセス(Días grises,灰色の日々)』ということになる。 筆者は偶然にも本作の日本盤を入手したのだけれど、これがまたなかなかよかった。原盤の6曲に加えて、さらに6曲ボーナス・トラック入りという、結局はフル・アルバムに近い曲数(と言っても、各局の時間は短いので、トータル・タイムは30分ちょっとだけれど)になっている。 まず、本編の6曲から見ていきたい。いずれも正統派のネオ・モッズ・バンドらしい演奏が並んでいる。どのナンバーも好曲だが、個人的に特に気に入っているものを挙げると、一つは、1.「ディアス・グリセス(灰色の日々)」。本盤のベスト・ナンバーと言ってもいいかもしれない。あともう一つ挙げるならば、3.「カンサード(疲れきって)」。シンプルな曲構成ながら、聴き手の心をつかむコツのようなものが本当によくわかっているバンドなのだなと思わされたりする。 次に日本盤のボーナス・トラック6曲にも目を向けてみたい。これら6曲のうちの最初の3曲はシングル・リリース用に録音されたもので、残る3曲はラジオ向けのスタジオ・ライヴ演奏が音源だとのこと。これらボーナス曲を見ると、カバーが目立つ。とりわけポピュラーな曲としては、ビートルズの10.「デイ・トリッパー」が収められている。個人的に勢いのよさと完成度が特に高い8.「グッド・シング」(ポール・リヴィア&ザ・レイダーズの曲のカバー)が、なかなか聴いていて心地よい。あと、スタジオ・ライヴの3曲も演奏力の高さが際立っていて、『アルタ・フィデリダー』に収録されていた11.「ヌンカ・マス」の堂々とした演奏が気持ちいい。[収録曲]1. Días grises2. Solo en casa3. Cansado4. Ayer5. Fiebre6. Mi jardín~以下、日本盤ボーナス・トラック~7. Dream in My Mind8. Good Thing9. Pretty Sight Full of Sorrow10. Day Tripper11. Nunca más12. River Deep/Mountain High1996年リリース。 【バーゲンセール】【訳あり】ディアス・グリセス ※ケースにひび割れあり【CD、音楽 新古 CD】メール便可 セル専用 ↓こちらはレコード盤です↓ Los Flechazos / Dias Grises 【LP】 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、 バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2022年03月03日
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