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気まぐれ80s~Chapter 14(その7) イエス(Yes)というバンドの真骨頂が『危機』や『こわれもの』など1970年代前半の諸作にあるとするならば、1980年代前半のこのヒット曲「ロンリー・ハート(Owner of a lonely heart)」は、その対極に位置すると言えるでしょう。1980年代の新たな音楽シーンの中でかつてのプログレの雄が発表したこの曲に代表される音楽性の変化を目の当たりにして、“イエスよ、お前もか”と思ったファンもいたことでしょう。 けれども、これはこれでよくできたヒット曲。80年代をリアルタイムで経験した筆者にとっても、上記の評価とは全く切り離された形で、愛おしく懐かしい1曲ということになります。 かつてのプログレッシヴ・バンド然としたイエスを念頭に置くと、まったく別のバンドのように思えてしまうかもしれません。とはいえ、演奏の節々には往時のイエス節の片鱗も見え(聞こえ?)るように思います。 さて、もう一つの映像は、その当時のライヴのものをご覧ください。1984年のステージでの演奏の様子です。 ちなみに、イエスは解散、活動停止や再結成などを経ながら、バンドとしては現在も存続しています。1970年代や1980年代に活躍したミュージシャンたちが高齢化する中、イエスは存続していくのか、かつてのメンバーを重んじて消えていくのか。他のバンドもそうなのですが、この問題はそれぞれ両方の対応があり得るような気がして、イエスの行く末も気になっているところです。[収録アルバム]Yes / 90125(ロンリー・ハート)(1983年) Yes イエス / 90125 - Lonely Heart 【CD】 90125 (EXPANDED/REMASTER)[輸入盤]/YES[CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年06月14日
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気まぐれ80s~Chapter 14(その6) フィル・コリンズ(Phil Collins)は、1951年ロンドン出身で、ジェネシスの一員として活動するだけでなく、ソロとしても大きく活躍しました。1980年代、そんな彼の大きなヒット曲と言えば、「見つめて欲しい(アゲンスト・オール・オッズ)」、「イージー・ラヴァ―」、「恋はごきげん」など多くありますが、今回は、1980年代末の大ヒット・ナンバー、「アナザー・デイ・イン・パラダイス(Another Day in Paradise)」です。 実は、この曲は、過去に一度取り上げている(本ブログで動画リンクができなかった頃の過去記事はこちら)のですが、今回、あらためて動画とともにお楽しみいただこうと思います。 モノトーンで、派手さのないビデオ映像ですが、この曲のテーマに関係しています。詞の内容は、ホームレスという社会的に阻害された者を扱っていて、そのため、当時も賛否両論がありました。 ところで、元々ドラマーだった彼は、ジェネシスでもソロでもヴォーカリストとしての成功も収めました。この曲でもドラム奏者らしさを見せるでもなく、すっかりヴォーカリストとしての存在感を示しています。往時のライヴでの演奏をということで、1990年、ベルリンでのステージの様子をどうぞ。 今回は、ライヴの映像をもう一つ。もう少し後になってからのパフォーマンスということで、2004年、モントルーでのステージでの歌唱をご覧ください。 後に引退と復帰を繰り返したフィル・コリンズですが、5~6年ほど前からでしょうか、急激に老けてしまったように見えます。70歳代前半ですので、年齢相応と言ってしまえばそうなのかもしれませんが、まだ健在でい続けてほしいものです。[収録アルバム]Phil Collins / …But Seriously(1989年) 【中古】 バット・シリアスリー/フィル・コリンズ 【中古】But Seriously [Audio CD] Collins Phil 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年06月12日
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気まぐれ80s~Chapter 14(その5) ウクライナにせよ、ガザにせよ、戦争の止む気配がありません。広島の慰霊碑に刻まれた“過ちは繰返しませぬから”という言葉に反し、人類の過ちは繰り返され続けているように思えます。ベトナム戦争は既に終わっていたわけですが、1980年代前半の段階で、ビリー・ジョエル(Billy Joel)は、本人の言葉によれば“究極的な反戦歌”を発表しました。この次のシングル曲「あの娘にアタック(テル・ハー・アバウト・イット)」の大ヒットに比べれば、この曲のチャートアクションはいくぶん控えめでしたが、ベルギーとオランダではチャート1位になりました。まずはベトナム戦争に関する写真が多く登場する公式の映像です。 この曲はライヴでも定番のものとして演奏されましたが、海兵隊の合唱の場面もライヴのステージ上で再現されてきました。次は、後のライヴ映像で、1990年代のツアー(『リヴァー・オブ・ドリームス』のツアー)の際のものをご覧ください。 ところで、この曲はカントリーの歌手であるガース・ブルックスがカバーしています。ケネディ・センターの名誉賞の授賞式では、本人を前にブルックスがこの曲を披露しました。その2013年の時の映像もご覧ください。 [収録アルバム]Billy Joel / The Nylon Curtain(1982年) ナイロン・カーテン/ビリー・ジョエル[Blu-specCD2]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年06月10日
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気まぐれ80s~Chapter 14(その4) マドンナ(Madonna)は、1980年代前半に音楽シーンに登場し、空前の売り上げを記録したポップ界の女王。現役で活動を続けていて、65歳になった現在も、少し前に新恋人発覚?などと話題と振りまいたりしていました。 そんな彼女の1980年代のヒット曲はと言うと数知れないわけですが、今回は1986年の「パパ・ドント・プリーチ(Papa Don’t Preach)」です。大ヒットした第3作の『トゥルー・ブルー』からの2枚目のシングルで、全米・全英のほかオーストラリア、カナダ、イタリアでもシングルチャート1位となりました。 まずは、オリジナルのビデオをご覧いただきたいと思います。 このナンバーは、当時のアメリカの社会問題としての未婚・未結婚での出産というテーマを取り上げたとして話題にもなりました。上のビデオでは、20歳代後半のマドンナが未成年少女役をやっているというのも何だかすごい設定ですが、その父親役には、俳優のダニー・アイエロが出演しています。 さて、続いては、日本でのライヴの模様です。1990年の横浜でのステージとのことです。 [収録アルバム]Madonna / True Blue(1986年) トゥルー・ブルー [ マドンナ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年06月09日
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気まぐれ80s~Chapter 14(その3) ボブ・シーガー(Bob Seger)は、1970年代から1980年代にかけて人気を博したデトロイト生まれのロック・アーティスト。2004年にロックの殿堂入りを果たしています。 若い頃の前へ前へといった感じの彼も好きなのですが、この人の魅力は1980年代、1990年代と時を重ねていく中で、ロックの魂を保ちつつも、円熟味を増していったところにあります。いい感じで肩の力の抜ける場面が出てきたとでも言い換えるとよいでしょうか。そんな気配が見え始めたナンバーの一つがこの「ロール・ミー・アウェイ(Roll Me Away)」ではないかと思ったりするわけです。まだまだ肩に力の入ったロックだ、と言われてしまうかもしれませんが、筆者的には前へ前へと押すだけではない余裕が少し出始めているように感じます。もちろん、ボブ・シーガーの楽曲のなかでも私的には上位のお気に入り曲です。 そして、年を重ねた後年の映像をご覧ください。2011年ということですので、この楽曲発表から30年近くを経た時点での映像です。ボブ・シーガーは1945年生まれですから、60歳代後半に差し掛かった年齢の姿ということになります。オール白髪と見た目も若い頃とは大きく異なっていますが、素晴らしいステージでのパフォーマンスを披露していると思います。 [収録アルバム]Bob Seger & the Silver Bullet Band / The Distance(1982年) 【中古】 ザ・ディスタンス/ボブ・シーガー&ザ・シルヴァー・ブレット・バンド 【輸入盤CD】Bob Seger & The Silver Bullet Band / Greatest Hits(ボブ・シーガー) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年06月08日
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気まぐれ80s~Chapter 14(その2) 続いては、ペット・ショップ・ボーイズ(Pet Shop Boys)の初期の代表曲「ウエスト・エンド・ガールズ」(West End Girls)」です。このユニット名はメンバーの2人の共通の友人がペット屋さんで働いていたことに由来するということが知られていますが、実は、当初のユニット名は“ウエストエンド”でした。その意味でも、この曲は、彼らの原点的な1曲と言えるのかもしれません。 この曲が収録されたのは、デビュー盤『ウエスト・エンド・ガールズ』(原題はPlease)でした。このアルバム(全英3位、全米7位)そして本シングル曲(全英・全米とも1位)も大きなヒットしましたが、その後、彼らは次々にヒットを飛ばしていくことになりました。まずはその当時のPVをご覧ください。 四半世紀以上の時を経て、2012年ロンドン・オリンピックの閉会式にも彼らは登場し、この曲を披露しました。以下はさらに後のもので、2019年、ハイド・パークでのライヴの映像です。30年以上の時を経て、本人たちの見た目もだいぶ変わりましたが、元のアレンジを忘れずに、丁寧に演じ続けている様が見てとれます。 [収録アルバム]Pet Shop Boys / West End Girls(1986年) 【中古】 ウェスト・エンド・ガールズ/ペット・ショップ・ボーイズ 【中古】 ディスコグラフィー/ザ・コンプ/ペット・ショップ・ボーイズ 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年06月06日
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気まぐれ80s~Chapter 14(その1) 久しぶりの80年代曲選です。これまでと同様に、全10回を予定していますので、ぜひお付き合いください。 最初の曲は、スティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)が1986年に発表した「ハイヤー・ラヴ(Higher Love)」です。スペンサー・デイヴィス・グループやトラフィックなどで若くから才能を発揮してきた彼は、1980年代にソロ・アーティストとしても成功を手にしました。4年の間隔を置いてリリースされたソロ4枚目(過去記事)に収録され、シングルとして大きなヒット(全米1位、全英13位)を記録したのがこのナンバーでした。まずは公式ビデオの映像をご覧ください。 音作りやビデオ映像の姿は時代を感じさせる部分もありますが、この曲の魅力は何よりも歌声にあると感じます。ウィンウッドのヴォーカルは、さりげなくさらりと聴かせるようでありながら、伸びのある高音とソウルフルな歌唱が魅力と言えます。おまけに、複数の楽器をこなすマルチプレイヤーというのも彼の魅力を引き立たせる要素です。 さて、1948年生まれですので、今年で76歳になるウィンウッドですが、後世の健在ぶりもご覧いただこうと思います。昨年(2020年)のライヴでのパフォーマンス模様です。70歳代に突入していますので、昔のような高音の伸びは期待できません。しかし、この年齢でこのヴォーカルは驚きと言えるでしょう。何歳までこの曲を歌い続けられるのかわかりませんが、この後、80歳が近づいたり、80歳になったりしても元気でいてもらいたいものです。 [収録アルバム]Steve Winwood / Back in the High Life(1986年) バック・イン・ザ・ハイ・ライフ [ スティーヴ・ウィンウッド ] 【輸入盤CD】Steve Winwood / Revolutions: The Very Best Of Steve Winwood (スティーヴ・ウィンウッド) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年06月05日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ1か月近くの最新記事へのリンクを追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z)アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z)アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ → つづき(J-N)・つづき(O-Z)アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年06月04日
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記憶のかなたから蘇って… 唐突ですが、昭和のナンバーを1つ。先日、外出先(というか、いつも昭和歌謡がBGMで流れているお店での話です)で、どこか聞き覚えのある昭和の曲が流れてきました。 “都会は海、人は砂漠、愛は蜃気楼”、“あなたの心の中に、傷一つも残せないで愛と呼べるはずもない、絡んだ定めの絆~”。う~ん、何という曲だか思い出せないのに、なぜだか歌詞は次々と脳裏に浮かびます(口ずさみはしませんでしたが)。結局、スマホで歌詞を検索してようやく思い出しました。野口五郎の「19:00の街」です。 往時の映像もご覧ください。ハンサムで歌もうまいとくれば、言うことなしといった感じです。 折角ですので、映像をもう一つ。ギターを手にして「19:00の街」を歌う野口五郎の姿もお楽しみください。 余談ながら、後で気づいたことなのですが、スマホで検索しなくても、歌詞を思い出し続ければ、“滲むように浮かび上がる19:00の街”と出てくるので、検索しなくてもよかったわけです。まあ、その時は気になって仕方なく検索してしまったわけですが(苦笑)。 ゴールデン☆ベスト 野口五郎 [ 野口五郎 ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いします! ↓ ↓
2024年06月02日
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時代を象徴する代表盤 モトリー・クルー(Mötley Crüe)は、1980年代初頭にロサンゼルスで形成されたヘヴィ・メタルのバンド。いわゆる“LAメタル”ムーヴメントを代表し、バンド名は“雑多なクルー”つまりは“寄せ集めのメンバーたち”といった意味合いに由来する。酒とドラッグに溺れ、暴力行為なども含め問題を起こすこともままあったが、今となっては、それも時代性の一部と言えるのかもしれない。 そんなモトリー・クルーの代表作が1989年発表の『ドクター・フィールグッド(Dr. Feelgood)』である。彼らにとって唯一の全米チャート1位となったアルバムで、世界各国でもヒットを記録した。1987年、メンバーのニッキー・シックスはドラッグの過剰摂取で心停止を起こして生死の境をさまよった。その後、各メンバーはドラッグを断ってアルバム制作に臨み、そうしてでき上がったのが本作ということだった。有能かつ有名なプロデューサーのボブ・ロックがプロデュースを担当し、多彩なゲストがレコーディングに参加した。こうしたゲスト陣には、スティーヴン・タイラー(エアロスミス)、ロビン・ザンダー(チープ・トリック)、ジャック・ブレイズ(ナイト・レンジャー)、ブライアン・アダムスらが名を連ねている。 “パーティ・ロック”と形容される派手で破天荒さを備えた雰囲気を存分に保ちながら、完成度の高い楽曲と演奏が並ぶ。私的な好みで収録曲のいくつかをピックアップして触れてみたい。前奏的な1.「TNT」に続くアルバム表題曲の2.「ドクター・フィールグッド」は、全米のシングル・チャートでも6位になったヒット・チューン。ハード&ヘヴィでありながら親しみやすいという意味では、実によくできたナンバーで、ヒットしたのも頷ける。4.「ラトルスネイク・シェイク」は、豪快かつテンポよいギターとベースが個人的には気に入っている。6.「ウィズアウト・ユー」はバラード調のナンバー。この曲もシングル・カットされ、全米8位の結果を残している。 アルバム後半では、ノリのよさと親しみやすさという観点では、7.「セイム・オール・シチュエーション」、演奏の豪快さや気持ちよさといった点からは、9.「シー・ゴーズ・ダウン」がいい。アルバムを締めくくる11.「タイム・フォー・チェンジ」は、HR/HM系アーティストにとってのいわゆるパワー・バラードのお手本のような曲で、“いまこそ変化の時だ”という直球の詞もなかなかいいのではないかと思う。余談ながら、この曲はB’zの某楽曲の元ネタになったのではないか(パクリなどと指摘されることも)として知られる曲でもあったりする。[収録曲]1. T.nT. (Terror 'n Tinseltown) 2. Dr.Feelgood 3. Slice of Your Pie4. Rattlesnake Shake5. Kickstart My Heart 6. Without You7. Same Ol' Situation (S.O.S.) 8. Sticky Sweet 9. She Goes Down10. Don't Go Away Mad (Just Go Away) 11. Time for Change1989年リリース。 DR.FEELGOOD【輸入盤】▼/モトリー・クルー[CD]【返品種別A】 【中古】 ドクター・フィールグッド/モトリー・クルー 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年05月31日
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半世紀以上経っても輝き続ける超名盤 スモール・フェイセス(スモール・フェイセズ、Small Faces)は、1960年代後半に活躍した英国のバンド。本邦では人気がないどころか、その名前もさほど認知されなかったりするわけだけれども、当時のイギリスでは大いに人気を博した。スティーヴ・マリオット、ロニー・レーン、ケニー・ジョーンズ、ジミー・ウィンストンの4人で結成され、まもなくウィンストンの脱退によってイアン・マクレガンが加入した。 そんな彼らの作品は、筆者も後聴きなのだけれど、後世に聴いてもクオリティが高い。中でも第3作の『オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク(Ogdens' Nut Gone Flake)』は、ずっと聴き継がれたい名盤に数えられると思う。この盤は、6週連続でイギリスチャートにおいて1位を記録したとともに、オリジナル活動期の最後のスタジオ盤となった 。 サウンド面の特徴はと言うと、サイケデリック色の濃いロックということになるだろうが、何よりも音楽自体の“力強さ”が印象的で、本盤の魅力になっていると感じる。前半がミュージカル風、後半については、各曲の冒頭に語りがついていて、おとぎ話を紡ぐといった展開になっている。コンセプト盤なので、通して聴くというのがあくまで前提だろうが、以下、敢えて注目曲をいくつか挙げてみたい。 インパクトという意味では、表題曲の1.「オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク」は外せない。2分半ほどのインスト曲であるが、上で述べた“力強さ”が特によく出ている。2.「アフターグロウ」は、翌年のバンド解散の頃にレコード会社が勝手にシングル化して発売したナンバーで、楽曲の美しさと演奏の力強さが同居している。シングル・リリースに際し、この曲の表題は「アフターグロウ」から「アフターグロウ・オブ・ユア・ラヴ」に変更された。 6.「レイジー・サンデイ」はアルバムに先行して発表されたシングル曲で、全英2位のヒットとなった。8.「ローリン・オーヴァー」は、迫りくるという表現がぴったりの演奏の迫力がいい。弾き語りギター風の11.「マッド・ジョン」は、スティーヴ・マリオットのヴォーカルのカッコよさが際立っている。[収録曲]1. Ogdens' Nut Gone Flake2. Afterglow3. Long Agos and Worlds Apart4. Rene5. Song of a Baker6. Lazy Sunday7. Happiness Stan8. Rollin' Over9. The Hungry Intruder10. The Journey11. Mad John12. Happy Days Toy Town1968年リリース。 【輸入盤CD】Small Faces / Ogdens Nut Gone Flake 【K2018/8/3発売】(スモール・フェイセズ) 【輸入盤】Ogdens Nut Gone Flake (3CD+DVD) [ Small Faces ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年05月27日
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若きJ・D・サウザーのデビュー盤 J・D・サウザー(J. D. Souther, John David Souther)と言えば、イーグルスへの楽曲提供やウェストコーストの立役者といったイメージが強いかもしれない。そんなサウザーには1979年のヒット作『ユア・オンリー・ロンリー』という代表盤があるが、活動歴は長く、ソロ最初の作品となったのは、1972年発表のこの『ジョン・デイヴィッド・サウザー・ファースト(John David Souther)』というアルバムである。 1945年にミシガン州デトロイトで生まれ、その後、テキサス州アマリロで育った。カリフォルニア州ロサンゼルスに移ったのは20歳代になってからのことで、1960年代後半にグレン・フライやジャクソン・ブラウンらと交流し、前者(グレン・フライは今回の盤にも参加している)との関係はやがて“影のイーグルス”、“もう一人のイーグルスのメンバー”などと呼ばれるものに発展していった。 本盤はカントリー・ロックや1970年代ウェストコースト・ロックといった傾向を持つ楽曲と演奏が中心になっており、いずれもサウザー自身のペンによる楽曲である。1.「ファスト・ワン」は初期イーグルスを彷彿とさせる、カントリー調を生かしたナンバー。3.「ジーザス・イン・3/4・タイム」は、イーグルスの楽曲作りへの参加(例えば「至上の愛」)を想起させるもので、彼のバラード調の曲に対するセンスが発揮されている。5.「これも音楽(サム・ピープル・コール・イット・ミュージック)」も、どこかしらイーグルスっぽさを想起させるが、なかなかよくできた楽曲で、この盤の中では注目の曲の一つだと思う。 アルバム後半で注目したい曲としては、まずは、7.「イッツ・ザ・セイム」。バラード調の静かなナンバーで、洗練度は十分とは言えないかもしれないが、曲のよさが光る。あと楽曲のよさという意味では、9.「アウト・トゥ・シー」も外せない。全体として才能の片鱗を感じさせ、完全に洗練されているとは言えない部分もあるかもしれないものの、楽曲も歌と演奏もレベルが高く、個人的な好みのものが多い。このデビュー盤の時点で、彼の才能が十分なものであったことを示す一枚とも言えるのかもしれない。[収録曲]1. The Fast One2. Run Like a Thief3. Jesus in 3/4 Time4. Kite Woman5. Some People Call It Music6. White Wing7. It's the Same8. How Long9. Out to Sea10. Lullaby1972年リリース。 【輸入盤】 J.D. Souther ジェイディーサウザー / John David Souther (+7 Bonus Tracks) 【CD】 【輸入盤CD】J.D. Souther / John David Souther (JDサウザー) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年05月24日
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追従者に終わらず、コルトレーンの先を切り開こうとする意欲作 アーチー・シェップ(Archie Shepp)は、1937年フロリダ出身のジャズ・サックス奏者。1960年からセシル・テイラーのバンドに加わり、その後、ジョン・コルトレーンの『至上の愛』(1964年録音、ただし彼が参加した演奏はリリース時には採用されず、後に2002年のデラックス・エディションで日の目を見た)や『アセンション』(1965年録音)などに参加している。 そんなコルトレーンからの推薦でインパルスからリリースすることになった彼にとって最初のリーダー作が、本盤『フォア・フォー・トレーン(Four for Trane)』である。タイトルからも想像できるように、敬愛するコルトレーンのナンバーを4つ並べたもので、5.のみが彼の自作曲となっている。 本盤は、フリージャズで活躍していたアーチー・シェップの魅力が存分に発揮されている。コルトレーンの信奉者で追従者というのではなく、尊敬するコルトレーンを題材にしてフリーの演奏の幅を広げていこうとする姿勢が十分に見える作品に仕上がっているのではないかと感じる。 取り上げられているコルトレーンの楽曲のオリジナルは、1959~60年頃に吹き込まれたものである。言い換えると、『至上の愛』や『アセンション』を吹き込んだ時期よりも前のことであり、アーチー・シェップはその先を自らの感性で演奏に結実させようとしたのだろう。 そんな中でも特に注目したいのは4.「ナイーマ」(「ナイマ」または「ネイマ」とも表記される)。コルトレーンの妻の名を冠したナンバーで、コルトレーンが好んで演奏した曲でもあった。美しい雰囲気(といってもフリーに根差した演奏なので、計算された“調和”という感じではない)で始まり、次第に“アーチー節”が高まっていく。聴いている方としては、どういうところに行きつくのか、なかなかスリリングで、本盤の中で聴き手がいちばん高揚する曲だと思う。あと、自作曲の5.「ルーファス」も必聴の演奏。フリージャズを牽引していく若きアーチー・シェップの気概が十分に凝縮された演奏に仕上がっている。[収録曲]1. Syeeda's Song Flute2. Mr. Syms3. Cousin Mary4. Naima5. Rufus (Swung His Face At Last To The Wind, Then His Neck Snapped)[パーソネル、録音]Archie Shepp (ts), Alan Shorter (flh), John Tchicai (as), Roswell Rudd (tb), Reggie Workman (b), Charles Moffett (ds)1964年8月10日録音。 フォア・フォー・トレーン [ アーチー・シェップ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年05月20日
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ブルーノートでのワンホーン名盤 デクスター・ゴードン(Dexter Gordon)は、1950年代の大半をドラッグと刑務所暮らしで棒に振った。1961年、38歳にして初めてブルーノートに吹き込みを残すべく、ニューヨークに滞在した。電話ボックスからコールする姿のジャケット写真は、彼の拠点だったカリフォルニアからニューヨークへという距離感を表現したものと思われる。 ブルーノートのアルフレッド・ライオンからニューヨークに招かれたデクスターは、複数のセッションをこなした(彼のリーダー名義の『ドゥーン・オールライト』は本盤よりも先の吹込みである)。本盤『デクスター・コーリング(Dexter Calling…)』はワンホーンで、リズムセクションの3人(ピアノがケニー・ドリュー、ベースがポール・チェンバース、ドラムスがフィリー・ジョー・ジョーンズ)は往時のブルーノート最強のメンバーとも言える。実際、完璧なリズム隊抜きにこの盤の魅力は成し得なかっただろう。 そして、デクスターのテナーである。彼のワンホーン盤と言うと、1955年の『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン』(この盤のピアノもケニー・ドリューである)や、今回の盤の翌年の『ゴー!』がよく知られる。これらが大名盤であるのは紛れもないのだけれど、この『デクスター・コーリング…』もまた、彼のキャリアの中で上位の評価となる名盤だということを忘れてはならないだろう。 筆者のお気に入りの演奏をいくつか挙げておきたい。1.「ソウル・シスター」は、まったりとしたワンホーンが心地よい。対して、2.「モーダル・ムード」は、よりスピード感があり、スリリングな演奏だが、これら2曲には大事な共通点がある。それが、上記のリズム隊の着実さと安定感である。これら2曲に加え、筆者のお薦めは、4.「情事の終わり(ジ・エンド・オブ・ラヴ・アフェア)」、さらにもう1曲挙げるとすれば、7.「スマイル」。なお、8.「ランドスライド」はCD化によって加わったボーナス曲だが、この演奏も勢いに乗っていて、なかなかの気持ちよさがある。[収録曲]1. Soul Sister2. Modal Mood3. I Want More4. The End of a Love Affair5. Clear the Dex6. Ernie's Tune7. Smile8. Landslide(CD追加トラック)[パーソネル、録音]Dexter Gordon (ts), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)1961年5月9日録音。Blue Note 4083 【中古】 デクスター・コーリング+1(紙ジャケット仕様)/デクスター・ゴードン(ts),ケニー・ドリュー(p),ポール・チェンバース(b),フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) 【中古】ジャズCD デクスター・ゴードン /デクスター・コーリング+1(H) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年05月17日
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スウィングすべきか、せぬべきか… シェークスピア作の戯曲『ハムレット』の有名すぎるセリフに、“To be, or not to be”というのがある。これをもじって“スウィングすべきか、せぬべきか”としたのが、バーニー・ケッセル(Barney Kessel)の本盤『トゥ・スウィング・オア・ノット(To Swing or Not to Swing -Barney Kessel, Vol. 3)』である。 結論から言うと、概ね“スウィングして”いる。というのも、選曲からして、往年のスウィンギーな曲のレパートリーを選んだという点が大きい。言い換えれば、かつてのビッグ・バンドのスウィング感を、少人数編成で、かつギターを中心に据えて小気味よく演奏しようとしたものだということになるだろう。 導入的なギター中心の1.「ビギン・ザ・ブルース」からして、リラックスしてスウィングするムードが漂う。個人的な好みで注目曲を少し挙げると、アルバム前半では、2.「ルイジアナ」。ハリー・エディソンのトランペットが愛らしく、それを支える全体のスウィング感がいい。4.「エンブレイサブル・ユー」は、ケッセルのギターの本領発揮曲で、ギターの弦が文字通り“歌って”いる。 アルバム後半は、小気味よいスウィングの6.「インディアナ(バック・ホーム・アゲイン・イン・インディアナ)」から始まる。筆者の好みは、スウィング感が最も高まる7.「モーテン・スウィング」。テナーのジョージ・オウルドとリズム隊の絡みも心地よい。ついでながら、表題の通りのラグタイム風の勢いとリズムを見せる11.「12丁目のラグ」で盤が締めくくられているのも、なかなかいい感じがすると思っていたりする。[収録曲]1. Begin the Blues2. Louisiana3. Happy Feeling4. Embraceable You5. Wail Street6. Back Home Again in Indiana7. Moten Swing8. Midnight Sun9. Contemporary Blues10. Don't Blame Me11. Twelfth Street Rag[パーソネル、録音]Barney Kessel (g)Harry Edison (tp; 2, 3, 6~10)Georgie Auld (ts; 2, 6, 7, 12)Bill Perkins (ts; 3, 5, 9)Jimmy Rowles (p)Al Hendrickson (g)Red Mitchell (b)Irv Cottler (ds; 1, 2, 4, 6~8, 10~11)Shelly Manne (ds; 3, 5, 9)1955年3月28日(3, 5, 9)、6月26日(1, 2, 4, 6~8, 10~11)録音。 バーニー・ケッセル / TO SWING OR NOT TO SWING +8 [CD] 【中古】 トゥ・スイング・オア・ノット/バーニー・ケッセル,ハリー・エディソン,ジョージ・オールド,アル・ヘンドリクソン,ジミー・ロウルズ,レッド・ミッチェル,アーヴ・コットラー,ビル・パーキンス 下記のランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いします! ↓ ↓
2024年05月12日
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現代イタリアン・ピアノの魅力 特に日本のリスナーにピアノ・トリオ好きが多いおかげで(加えて、某友人の影響もあったりして)、ついついでに“もう1枚”となって、聞いたことのないピアノ・トリオ盤などを買ってしまうことが多い。当然ながら、その中には当たりも外れもあるのだけれど、個人的には、イタリア人のピアノ盤が“当たり”になることが多いという傾向がある。 本盤『フォワード(Forward)』はそうした盤の一つである。エットーレ・カルッチ(Ettore Carucci)は4歳でピアノを始め、大学ではクラシック音楽を修め、現在はフィレンツェの音楽院で教鞭をとるピアニストである。本盤は2006年に吹き込まれ、その翌年にイタリアのレーベル(ドディチルネ・レコード)からリリースされた。 ドラムスとベースは、それぞれアメリカのアダム・クルス(クルーズ)とベン・ストリートが務め、安定感のある演奏を披露している。カルッチ自身の演奏はというと、知性と叙情性の絶妙なバランスの上にしっかりとしたリズム感が被せられているといったところ。言い換えれば、リズムに乗った安定感だけで聴かせるわけでもなければ、ジャズ的な意味で型にはまった演奏に安住するわけでもない。だからと言って、下手に叙情性に頼りすぎないところが、筆者としてはツボにはまったのではないかと思う。 聴きどころと言えそうな曲をいくつか挙げておきたい。自作曲の1.「アイ・リメンバー・モンク」は、セロニアス・モンクばりのトーンを巧みに織り交ぜつつ、疾走感のある演奏が心地よい。スタンダード曲の3.「枯葉」と、コルトレーンの5.「ロニーズ・ラメント」は、有名曲を決してありがちには演奏せず、エットーレ色のついた演奏に仕上げているところに好感が持てる。「ピアノ・インプロ」と題された4.と6.の演奏は、いずれもピアノの独奏で、インタールード的に(と言っても決して短い演奏時間ではないが)、アルバム全体の流れの中で異なる雰囲気を演出している。あと、圧巻なのは、7.「バイ・バイ・ブラックバード」。有名曲ながら、落ち着き払った冒頭から、リズム感を次第に得ながら流れるようなピアノ展開されていく演奏は実に気持ちいい。[収録曲]1. I remember Monk2. Confusion3. Autumn Leaves4. Piano impro #15. Lonnie's Lament6. Piano impro #27. Bye bye Blackbird8. My Favourite Eyes9. Dolphin Dance[パーソネル、録音]Ettore Carucci(p),Ben Street(b),Adam Cruz(ds)2006年4月1日録音。 ↓本記事のものとは別の盤(同じアーティストが参加しているもの)です。↓ 【中古】 エニウェイ/ベラルディ・ジャズ・コネクション,Ettore Carucci(p),フランチェスコ・ロマギストロ(ds),Camillo Pace(double bass),Vincenzo Presta(sax),Andrea Sab ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年05月08日
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2024年05月05日
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カントリーに傾倒したコステロ盤 デビュー以来、エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は年に1枚のペースでアルバムを発表していったが、1981年は年頭に『トラスト』を発表し、さらに秋になってもう1枚、この『オールモスト・ブルー(Almost Blue)』というアルバムを発表した。コステロ自身としては通算6枚目、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello & The Attractions)名義としては5枚目のオリジナル作となった。 表題の“オールモスト・ブルー(ほぼブルー)”というのを耳にすれば、なんだかブルージーな演奏を想像する人が多いかもしれない。けれども実際に聴いてみればすぐさまわかるように、見事なまでのカントリー曲集である。事のいきさつはと言うと、コステロ自身によれば、メランコリーを主題とした様々な曲からなるアルバムを作ろうと考え、このタイトルにしたのだという。ところが実際にアルバムを制作する段になると、カントリーに魅かれていってこのような内容の作品になったのだという。 そのようなわけで、デビュー当時の作風とはかなり雰囲気の異なる楽曲・演奏が繰り広げられている。実際、当初のLPジャケには“警告:このアルバムにはカントリー&ウエスタンが含まれており、了見の狭い人はラディカルな反応を起こすかもしれません”と記されたシールが貼られていたという。確かに、ニュー・ウェーヴや“怒れる若者”を求めるファンは面食らうことになるが、コステロのキャリア、作風の幅を考えたとき、このアルバムはきっと大きな意味を持つものだったんじゃないかと思う。さらに、後世の作品も聴いてから再びこの盤に戻った筆者は、最初に聴いた印象よりもはるかにすんなりとこれらの楽曲を楽しめた。 本盤からは都合3曲がシングル・リリースされた。本盤全体を通して見られるコステロの歌心が存分に発揮された7.「グッド・イヤー・フォー・ザ・ローゼズ」は、英チャートで6位(さらにアイルランドでは5位)となった。残る2曲のシングルは、2.「スウィート・ドリームス」、4.「アイム・ユア・トイ」だった。 なお、蛇足ながら、1994年のリイシュー時には、元の収録曲数がほぼ倍増するほどのボーナス・トラックが加えられた。アバディーンでのライヴ、アウトテイク曲、さらにはシングル発売されたロイヤル・アルバート・ホールでの4. (これがなかなかの名バラードだったりする)のライヴ・テイク、あわせて11曲が追加収録されている。[収録曲]1. Why Don't You Love Me (Like You Used to Do)?2. Sweet Dreams3. Success4. I'm Your Toy5. Tonight the Bottle Let Me Down6. Brown to Blue7. Good Year for the Roses8. Sittin' and Thinkin9. Colour of the Blues10. Too Far Gone11. Honey Hush12. How Much I Lied1981年リリース。 【輸入盤CD】Elvis Costello / Almost Blue (エルヴィス・コステロ) 【中古】 【輸入盤】Almost Blue/エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年05月01日
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ハードコアなハート作品 1976年にメジャー・デビューしたバンド、ハート(Heart)の初期のアルバムの中で最もハードコアなロック作品と言えるのが、本盤『べべ・ル・ストレンジ(Bébé Le Strange )』だろう。1979年にレコーディング、翌80年初頭にリリースされ、1970年代のハートの活動の締めくくりとなったスタジオ第5作である(ちなみに、同年末には初のベスト盤もリリースされた)。 過去のハートに関する記事にも書いたことであるけれども、このハートというバンドは、単なる“女性版ツェッペリン”などではなかった。レッド・ツェッペリンの音楽を消化し、アンとナンシーの姉妹を中心に自分流のものとしたという方が正確だと考える。つまり、音楽的には、ツェッペリンの模倣やコピーではなく、ツェッペリンを踏まえて、次の時代ないしは次のステップを体現しようとしていたと言っていいように思う。 そんなハートの作品のうち、本盤『べべ・ル・ストレンジ』は、とくにハード・ロックな音作りが印象的である。本盤の聴きどころと言えそうな曲をいくつか挙げておこう。オープニング・ナンバーの1.「べべ・ル・ストレンジ」は、派手というよりは真面目にハードコアな、このバンドらしさが体現されたナンバー。5.「ロッキン・ヘブン・ダウン」とあわせて、このハートというバンドがレッド・ツェッペリンをいかに血肉と化して消化していたのかががよくわかる。 アルバム後半では、シングルにもなった6.「イブン・イット・アップ」が注目の本領発揮曲。その一方、真摯なロック一辺倒ではないのもハートの魅力だと言える。バラード調の10.「スウィート・ダーリン」では、曲のよさもさることながら、アンの圧倒的なヴォーカルが際立つ。また、ナンシーの存在感を感じられる部分も多彩さにつながっている。アルバム前半には、彼女のギター独奏の小品3.「シルバー・ウィールズ」が収められている。また、アルバム後半では、ヴォーカルのみならずほとんどの楽器を担当して、ナンシーがマルチプレイヤーぶりを発揮した8.「レイズド・オン・ユー」が収められている。[収録曲]1. Bébé le Strange2. Down on Me3. Silver Wheels4. Break5. Rockin Heaven Down6. Even It Up7. Strange Night8. Raised on You9. Pilot10. Sweet Darlin'1980年リリース 【輸入盤CD】Heart / Bebe Le Strange (ハート) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年04月27日
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やさしさと包容力に溢れたヴォーカル カーラ・ボノフ(Karla Bonoff)は、ウエスト・コースト(西海岸)を代表する女性シンガーソングライターの一人で、1970年代後半にメジャー・デビューを果たした。前年のファースト作に続き、1979年に発表されたセカンド盤『ささやく夜(Restless Nights)』は、彼女の代表作と言えるアルバムである。 ファースト作と同様、このセカンド作も豪華なゲスト陣がレコーディングに参加している。少し名前を挙げると、ドン・ヘンリー、J・D・サウザー、ガース・ハドソン、ダニー・コーチマー、ジェームス・テイラーといった具合である。本盤は、決して大きなヒットとはならず(ビルボード31位が最高位)、とりわけ本邦ではカーラ・ボノフの名は広く知られるようにはならなかった。それどころか、ゲスト陣のレベルに達していないとか、内容が安っぽいとか、否定的な評価もされたりしてきた。 筆者個人は、これとは逆の感想を持っていて、これ以上作り込んでしまえば、カーラ・ボノフの魅力を消す結果になっていたんじゃないかと思っている。素朴さ(それは聴く人によっては“野暮ったさ”や“田舎臭さ”と映ることもあるかもしれない)が残るシンガーソングライター然とした歌唱が彼女の大きな魅力であり、各曲の演奏・アレンジはそれが活かされたものであるように感じている。 特におすすめの楽曲としては、リンダ・ロンシュタットが取り上げたことでも知られる1.「涙に染めて(トラブル・アゲイン)」。さらに、アルバム表題曲の2.「ささやく夜(レストレス・ナイツ)」は、個人的には本盤のベスト・ナンバー。他には、5.「ただひとり思い(オンリー・ア・フール)」や7.「静かに燃えて(ネヴァー・ストップ・ハー・ハート)」、8.「ラヴィング・ユー」なんかも気に入っている。ストレートで、やさしく、包容力のあるヴォーカルは、いま聴いても魅力的であり続けていると思う。[収録曲] *( )内は邦盤での曲タイトル1. Trouble Again(涙に染めて)2. Restless Nights(ささやく夜)3. The Letter(手紙)4. When You Walk in the Room(眩しいひと)5. Only a Fool(ただひとり思い)6. Baby Don't Go7. Never Stop Her Heart(静かに燃えて)8. Loving You9. The Water Is Wide(哀しみの水辺)1979年リリース。 ささやく夜 [ カーラ・ボノフ ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2024年04月22日
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バンド活動停止前、最後の盤 1980年のロッド・プライスの脱退後、シングル曲「サード・タイム・ラッキー」が成功した後の彼らの道のりは決して順調ではなかった。バンドの新たな方向性を模索しようとするも結果につながらず、結局は1980年代半ばに実質的解散状態となってしまった(後に1990年代にロッド・プライスは一時的に復帰したが、再度脱退することになる)。 そのようなわけで、1970年代初頭から続いてきたフォガットが1980年代半ばに実質的な解散となる前に出された最後の作品が、この『ジグ・ザグ・ウォーク(Zig Zag Walk)』というアルバムである。奇しくもジグザグに歩くというのが表題で、バンドが真っ直ぐな道を歩んだわけではなかったことを示唆するようでもある。 全体を一言で表せば、“時代への迎合”であろう。ブギーを身上とするロックのスタイルを確立した彼らであるが、時代の流れに合わせてニューウェーヴを消化した80年代サウンド的なものを志向している。軽快に演じようとしながら、随所で軽快になり切れず、ブギーの片鱗を残している。さらに、オールド・ロックンロール・サウンド的なノリが目立つのも本盤の特徴と言えそうである。 本盤を聴いて、多くの人にとっておそらく印象が強いであろうナンバーの一つが、1.「ザッツ・ホワット・ラブ・キャン・ドゥ」。バンドとして何とか時代に食らいついてヒットさせよう(実際にはヒットしなかったが)という意図が見られ、これがストレートなブギーを展開したフォガットなのか、と思うリスナーも多くいることだろう。表題曲の2.「ジグ・ザグ・ウォーク」も同様で、その当時風の“現代的”な曲調を狙っているように見える。 その一方、50年代的ロックンロール調のナンバーも目に付き、特にLPでのB面(6.以降)にそれが顕著である。3.「チュー・チュー・チブギ」(1946年、ティンパニ・ファイブのヒット・ナンバー)、6.「イトゥル・ビー・ミー」(1957年、ジェリー・リー・ルイスのヒットのB面曲)、8.「ダウン・ザ・ロード・ア・ピース」(1940年代、ウィル・ブラッドリー・トリオの演奏で知られるナンバー)といったところが注目で、こうしたナンバーの演奏はかなり成功しているのではないかと筆者的には思う。 いずれにしても、“ブギー”というキーワードで連想されるフォガットの面影はごくわずかで、コアなファンしか聴こうと思わない盤かもしれない。とはいえ、フォガットの看板を無視して、フラットな気持ち(?)で聴くと、特にアルバム後半は意外と楽しめる内容だったりするのかもしれない。[収録曲]1. That's What Love Can Do2. Zig-Zag Walk3. Choo Choo Ch'Boogie4. Jenny Don't Mind5. Three Wheel Cadillac6. It'll Be Me7. Silent Treatment8. Down the Road a Piece9. Seven Day Weekend10. Linda Lou1983年リリース。 Foghat フォガット / Zig-zag Walk 【CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年04月18日
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世界的バンドへ飛躍した時期の力作 アイアン・メイデン(Iron Maiden)は1970年代後半に形成され、1980年にデビュー盤を発表した。その後、セカンド作の後にヴォーカルの交替もあったものの、毎年のようにアルバムを発表し、イギリスでのヘヴィメタル人気を牽引するバンドとなった。 第5作となる1984年の本作『パワースレイヴ~死界の王、オシリスの謎(Powerslave)』は、前作に続いて全米でも目立ったチャートアクションがあり(前作は全米14位、本作は12位)、イギリスのHMバンドから世界的なHMバンドへと変貌していった時期の作品ということになる。 演奏内容は、とにかく完成度が高く、もはや貫禄させ感じさせるようなものに仕上がっている。中でも個人的におすすめなのは、冒頭の1.「撃墜王の孤独」とアルバムの締めくくりとなる8.「暗黒の航海」。前者は第二次大戦期の英独の戦闘機の航空戦をモチーフとしたもの。後者は13分半の長編作で、イギリスのとある詩人の詩をベースにして航海をテーマにした曲である。なお、このナンバーは、2015年に別の楽曲が発表されるまで長らくアイアン・メイデンの最長曲だったとのこと。 さらにもう一つ、注目曲を挙げておくならば、文句なしに表題曲の7.「パワースレイヴ〜死界の王、オシリスの謎〜」である。こちらも7分超で長めの尺のナンバーで、ジャケット・イメージにある古代エジプトをイメージした楽曲。ヘヴィメタルらしいリズム感を保ちながらも、壮大な曲の展開を試みており、演奏の完成度も高いという三拍子そろった好曲だと言える。 余談ながら、アイアン・メイデンのアルバム・ジャケットには“エディ”(エディ・ザ・ヘッド)なるキャラクター(ゾンビということらしい)がいつも登場する。本盤のジャケットはエジプトのピラミッド風のイメージが印象的だが、このジャケにおいても、像の顔がエディのものとなっている。[収録曲]1. Aces High2. 2 Minutes to Midnight3. Losfer Words (Big 'Orra)4. Flash of the Blade 5. The Duellists 6. Back in the Village 7. Powerslave8. Rime of the Ancient Mariner1984年リリース。 FOREVER YOUNG::パワースレイヴ [ アイアン・メイデン ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”お願いします! ↓ ↓
2024年04月15日
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新メンバーで臨んだ盤 ジェフ・ベックが主導したバンドであるジェフ・ベック・グループ(The Jeff Beck Group)は、一般に“第1期”と“第2期”に分けて語られる。前者は1967~69年の期間で、ロッド・スチュワートやロン・ウッドが在籍したのがこちらの時期。いったんバンドの解散を経て、1970年から形成され、1971~72年に実質的に活動した時期が、第2期ということになる。いずれも活動期間は長くなかったが、それぞれの時期に2枚ずつのアルバムを残している。 本盤『ラフ・アンド・レディ(Rough and Ready)』は、第2期ジェフ・ベック・グループの最初のアルバムである。ジェフ・ベック本人に加え、新たなメンバーは、ボビー・テンチ(ヴォーカル、ギター)、クライヴ・チャーマン(ベース)、コージー・パウエル(ドラム)、マックス・ミドルトン(キーボード)という面々であった。 全体として、本盤についてはブラック・ミュージックへの傾倒がよく指摘される(実際、この指向がテンチ、チャーマンというアフリカ系の出自を持つメンバーに反映されたとも言われる)。1.「ガット・ザ・フィーリング」、3.「ショート・ビジネス」、6.「ニュー・ウェイズ/トレイン・トレイン」といったような楽曲には、そうしたノリが端的に表れている。 個人的にお気に入りのナンバーとしては、4.「マックス・チューン」。余談ながら、この曲は、オリジナルのUS盤では「レイネス・パーク・ブルース(Raynes Park Blues)」という別タイトルになっていた。8分半近い長尺のこのナンバーは、後のジェフ・ベックのインスト作品を彷彿とさせるもので、彼自身のギター演奏だけでなく、バンド演奏としての精緻さも注目点だと言える。さらにもう1曲挙げると、6分というやはり長めの尺の7.「ジョディ」。ヴォーカルを聴かせるナンバーでありながら、4.で堪能できるインスト演奏の魅力が随所ににじみ出ている好曲だと感じる。[収録曲]1. Got The Feeling2. Situation 3. Short Business 4. Max's Tune 5. I've Been Used 6. New Ways / Train Train 7. Jody1971年リリース。 ラフ・アンド・レディ(Blu-spec CD2) [ ジェフ・ベック・グループ ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年04月12日
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多彩な演奏を見せるギタリストのデビュー盤 スティーヴィー・サラス(Stevie Salas)は、1964年、カリフォルニア州サン・ディエゴの出身で、ネイティヴ・アメリカンの血をひくギタリスト。1980年代から活動していたが、アイランドと契約し、3ピース・バンドの形式で1990年に第1作を発表した。その盤こそが、この『スティーヴィー・サラス・カラーコード(Stevie Salas Colorcode)』である。 スティーヴィー・サラスのギターの魅力は、ソロだけでなく、カッティング技術の高さにもあるように思う。特にグルーヴィーでパワフルなカッティングをやらせたらピカイチで、聴き手の脳内をスッキリさせる効能(?)がある。全体的な音のつくりとしては、21世紀の今となっては現代風とは言い難いものの、この爽快感はあらためて聴きなおしても楽しめるものであるように感じる。 1.「スタンド・アップ!」は、厚みがありながら爽快感も同時に与えてくれるグルーヴ感が特徴。4.「ジャスト・ライク・ザット」は、ブルース・ロックに根差しつつ、ギター・ソロも聴きどころになっている。6.「ザ・ハーダー・ゼイ・カム」のギター演奏は、意欲的かつ実験的な部分も含み、ソロもカッコいい。8.「ベイビー・ウォーク・オン」や9.「インディアン・チーフ」によく表れているキャッチーさは、おそらく好き嫌いの分かれるところだろうが、ギター演奏の自在さが披露されている。ラストを飾る10.「カヴァー・ミー」は、本盤収録中で特によくできたナンバーの一つ。楽曲よし、ヴォーカルよしで、そこにサラスのギターがいい具合に絡んでいる。[収録曲]1. Stand Up!2. Blind3. Caught in the Middle of It4. Just Like That5. Two Bullets and a Gun6. The Harder They Come7. Over and Over Again8. Baby Walk On9. Indian Chief10. Cover Me1990年リリース。 【中古】 【輸入盤】Colorcode/スティーヴィー・サラス・カラーコード 【中古】スティーヴィー・サラス・カラーコード/ スティーヴィー・サラス・カラーコード 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年04月08日
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2024年04月05日
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社会的テーマを中心にした意欲作 メタリカ(Metallica)が1988年に発表した第4作が、本盤『メタル・ジャスティス(…And Justice for All)』である。交通事故で死去したクリフ・バートンに代わってジェイソン・ニューステッド(ベース)が加入した最初の作品である。メンバー変更があったとはいえ、メタリカというバンドは、ヘヴィ・メタル界のトップランナーとして既に貫禄を持ち始めているように思える作品でもある。 よく議論のネタになるのが、本盤のベースがほとんど聞こえないという点。一説ではミックスの際にドラマーからベースの音量を下げるよう指示があったということだが、後にジェイムズ・ヘットフィールド(ヴォーカル)とラーズ・ウルリッヒ(ドラムス)は、ベースを過少に見せる意図はなかったと述べている。ともあれ、こうした音質上の特徴に加え、本盤では変拍子を多く用いたり、長尺の楽曲が多かったりと新たな試みがなされている。そして、楽曲の主題や詞には、社会的テーマが多いのもこの盤の収録曲の特徴となっている。 詞のテーマについて少し見ておこう。1.「ブラッケンド」は、核戦争による壊滅的な世界を主題としたもの。4.「ワン」は、シングルカットされてグラミー賞最優秀メタル・パフォーマンス部門も受賞した曲で、映画『ジョニーは戦場へ行った』の主人公がモチーフになっている。また、表題曲の2.「メタル・ジャスティス」や5.「ザ・ショーテスト・ストロー」に見られるように、司法の問題、自由とは、正義とは何かといった社会的な問題も曲の主題になっている。 それと同時に目につくのが、“大作指向”とでも言えそうな、上述の長尺という傾向である。メタリカは、もともと尺の短い曲が並ぶような感じではなく、6分を超えるような演奏も多かったが、本作では9分半を超える楽曲が2曲(表題曲の2.および8.「トゥ・リヴ・イズ・トゥ・ダイ」)あり、さらに7分半を超える曲(7.「ザ・フレイド・エンズ・オブ・サニティ」)も含まれている。もちろん、長いから退屈になるというようなことはなく、曲の展開や変拍子などの工夫が随所にあり、どの曲も、聴き手を飽きさせない作りになっていると感じる。[収録曲]1. Blackened2. ...And Justice for All3. Eye of the Beholder4. One5. The Shortest Straw6. Harvester of Sorrow7. The Frayed Ends of Sanity8. To Live Is to Die9. Dyers Eve1988年リリース メタル・ジャスティス(リマスター) [ メタリカ ] メタル・ジャスティス(リマスター)/メタリカ[SHM-CD]通常盤【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年04月03日
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アフリカをテーマにした盤 『カヤ』のリリース翌年に当たる1979年にボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(Bob Marley &The Wailers)が発表した作品が、この『サヴァイヴァル(Survival)』である。ボブ・マーリーのスタジオ作としては通算11枚目となる。 ジャマイカの多くの人たちにとってのルーツであるアフリカへの渡航がこの作品の始まりだった。1978年の末、ボブ・マーリーはラスタファリの聖地エチオピアを訪れ、アフリカの国々を回った。そのような背景もあって、収められた楽曲は、アフリカを題材としたものとなり、ジャケット・デザインはアフリカ各地の国旗が並べられたものとなっている。 アルバムは、ボブ・マーリーらしさが発揮された1.「ソー・マッチ・トラブル・イン・ザ・ワールド(世界には問題が山積)」から始まる。2.「ジンバブエ」は、当時のローデシア(旧英領植民地)の民族解放を歌にしたもので、1980年にジンバブエ共和国が独立を達成するときの祝典でも歌われ、ジンバブエ第二の国歌のように見なされているという。 表題曲の5.「サヴァイヴァル」は、“あらゆるものを得た人もいれば、まったく何も得ていない人もいる”、“そうさ、ブラック・サヴァイヴァル” と歌う。続く6.「アフリカ・ユナイト」も同様に政治的メッセージの強いナンバーで、アフリカの団結を呼びかける。こうした内容のせいもあって、南アフリカ共和国(むろん、アパルトヘイトがふつうに存在した当時のことである)では検閲の対象にもなったのだとか。 ちなみに、この作品は、本盤を最初として三部作になるという計画だったという。翌1980年には『アップライジング』がリリースされたものの、1981年にボブ・マーリーは亡くなってしまい、三部作を締めくくるはずだった作品は生前に完成することがなかった(死の2年後に未発表曲などを集めた『コンフロンテイション』が発表されている)。[収録曲]1. So Much Trouble in the World2. Zimbabwe3. Top Rankin'4. Babylon System5. Survival6. Africa Unite7. One Drop8. Ride Natty Ride9. Ambush in the Night10. Wake Up and Live1979年リリース。 サヴァイヴァル +1 [ ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ ] Bob Marley&The Wailers ボブマーリィ&ザウェイラーズ / Survival + 1 <紙ジャケット> 【SHM-CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年03月31日
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コステロ、変化の兆候 1977年に『マイ・エイム・イズ・トゥルー』でデビューしたエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は、当初はパンク調の曲を演じる“怒れる若者”、ニューウェーヴのミュージシャンといった位置づけだった。だが、1980年代に入って徐々に作風を変えていき、若者向けというよりは大人向けの音楽を発信するようになっていった。 本盤『トラスト(Trust)』は、そのような変化の時期を迎える80年代初頭の作品である。セカンド作(過去記事はこちら)以来のエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello and the Attractions)の名義で、これまでと同様にニック・ロウのプロデュース(本盤では14.のみコステロ自身がプロデュース)で、1981年にリリースされた。この盤からのシングルのヒットがなかったこともあり、この時期の彼の作品としては売れた方というわけではなかったが、イギリスで9位、アメリカで28位となった。 筆者の考える注目曲をいくつか見ておきたい。1.「クラブランド」は、デビュー時からのコステロらしい曲調ながら、個々の音や演奏に耳を傾けると、いくつもの新しい工夫が感じられる。3.「ユール・ネヴァー・ビー・ア・マン」は楽曲そのもののよさが目を引くナンバー。これに次いで楽曲のよさが光ると思うのは、7.「足下に注意!(ウォッチ・ユア・ステップ)」や10.「ディファレント・フィンガー」といったナンバー。他に聴き逃がせない収録曲としては、グレン・ティルブルック(イギリスのバンド、スクイーズのヴォーカリスト)とのデュエットを聴かせる9.「フロム・ア・ウィスパー・トゥ・ア・スクリーム」、ピアノをバックに歌う12.「ショット・ウィズ・ヒズ・オウン・ガン」なんかがある。 アルバム全体としては、それまでのコステロの音楽性のベースは維持されているものの、ジャズ、ロカビリー、カントリーといった要素を取り込んだ作品に仕上がっている。そういう意味では、従来の作風を基本にして幅を広げつつあるコステロの姿を窺い知れるアルバムということができるかもしれない。[収録曲]1. Clubland2. Lover's Walk3. You'll Never Be a Man4. Pretty Words5. Strict Time6. Luxembourg7. Watch Your Step8. New Lace Sleeves9. From a Whisper to a Scream10. Different Finger11. White Knuckles12. Shot with His Own Gun13. Fish 'n' Chip Paper14. Big Sister's Clothes1981年リリース。 【中古】 トラスト/エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ,エルヴィス・コステロ,ジ・アトラクションズ 【中古】 Trust / Elvis Costello / Elvis Costello / Rykodisc [CD]【ネコポス発送】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月27日
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完成度の高い好盤 マイケル・シェンカー(Michael Schenker)は、1955年、西ドイツ出身のギタリスト。彼は、1973~78年にUFOのメンバーとして、このバンドの成功に貢献した。そして、UFOを脱退した後は、自身のグループを形成して作品を発表していった。白と黒に塗り分けられたフライングV(ギブソン社のギター)を愛用していたことでも知られる。 さて、UFOを後にした彼が1979年から活動の場としたのがマイケル・シェンカー・グループ(Michael Schenker Group,略称M.S.G.)である。その第一作となったのが、原題ではセルフタイトルの本盤『神(帰ってきたフライングアロウ)(The Michael Schenker Group)』である。収録された楽曲はいずれもシェンカー自身とヴォーカリストのゲイリー・バーデンによるもので、本作は1980年にリリースされて、イギリスのアルバム・チャートでは8位に達した。 本盤の聴きどころとなる曲を少し見ておきたい。シングルとしても発売された1.「アームド・アンド・レディ」は、軽快かつ重厚なナンバーで、ギターを中心とした厚みのあるサウンドとバーデンのヴォーカルが見事にマッチしている。2.「クライ・フォー・ザ・ネーションズ」もシングル化されたナンバーであるが、こちらの方はややシリアスな曲調。バーデンのヴォーカルの魅力が発揮されるとともに、シェンカーのギター・ソロも聴きごたえがある。 6.「イントゥ・ジ・アリーナ」は、本盤では2曲収められているインストルメンタル曲の1つ(もう1曲は小品の4.)で、シェンカーのギター・プレイを堪能できるナンバー。バラード曲の8.に続き、アルバム末尾の9.「ロスト・ホライズンズ」では、スケールの大きなギター・プレイが披露される。この9.は、本盤のというよりは、マイケル・シェンカーのキャリアを通しても、彼の真骨頂が発揮された名演と言えるような気がする。[収録曲]1. Armed and Ready2. Cry for the Nations3. Victim of Illusion4. Bijou Pleasurette5. Feels Like a Good Thing6. Into the Arena7. Looking Out from Nowhere8. Tales of Mystery9. Lost Horizons1980年リリース。 【バーゲンセール】【中古】CD▼神 帰ってきたフライング・アロウ レンタル落ち 輸入盤 MICHAEL SCHENKER GROUP / MICHAEL SCHENKER GROUP [LP] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月23日
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力強いロックを聴かせる好盤 1971年、スピリットを脱退したジェイ・ファーガソン(Jay Ferguson)とマーク・アンデス(Mark Andes)がロサンゼルスで結成したのが、ジョ・ジョ・ガン(Jo Jo Gunne)というバンドである。バンド名は、チャック・ベリーの曲名(Joe Joe Gunne)に由来する。メンバーは上記の2名に加え、マシュー・アンデスとカーリー・スミスという4人組である。そんな彼らが1972年に最初にリリースしたセルフ・タイトル作が、この『ジョ・ジョ・ガン(Jo Jo Gunne)』という盤である。 1970年代前半に4枚のアルバムを残したジョ・ジョ・ガンは、決して広く知られたバンドではない。4枚のアルバムのうち、全米100位圏内に入ったのは2枚だけで、そのうち本ファースト作は最高位となる57位だった。そのようなわけで、お世辞にも売れたバンドではなかったのだけれども、力強い正統派のブギー・ロック・サウンドをストレートに繰り広げる彼らの音楽は、実に心地よいものである。 1.「ラン・ラン・ラン」は、彼らの代表曲(というか、まともにヒットしたと言えそうなのはこの曲ぐらいしかなかったりする)。シングルとして全米27位、イギリス6位を記録し、ノリのよさと勢いでギターを聴かせるナンバーである。この曲のキャッチーさがアルバムの残りの楽曲にもあれば、本盤はさらに注目を浴びたのかもしれない。アルバム全体のトーンは、明るさやキャッチーさというよりも、ある種、真面目なひたむきさという感じが強い。いい楽曲、演奏がいくつも含まれていながら、あと一歩インパクトが足りないという評もなされかねない(その実、筆者的にはこっちの方が好きなのだけれど)。そんな中、特に聴いて欲しい曲としては、8.「テイク・イット・イージー」。5分近い尺の曲で、歌を聴かせんとする楽曲の間で、ギターソロが展開していく部分もじっくりと聴かせようという、曲調も雰囲気も曲展開もなかなかよくできたナンバーだったりする。[収録曲]1. Run Run Run2. Shake that Fat3. Babylon4. I Make Love5. Barstow Blue Eyes6. 99 Days7. Academy Award8. Take it Easy9. Flying Home1972年リリース。 ジョ・ジョ・ガン [ ジョ・ジョ・ガン ] Jo Jo Gunne / Jo Jo Gunne 【SHM-CD】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月19日
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新時代への移行を代表するお勧め盤 ハードロックとヘヴィメタルというのは、その境界線が時に不明瞭で、国やら時代やら、あげくの果てには評論家によって定義が大きく異なったりする。1979年にイギリスの音楽誌で“NWOBHM”(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル、New Wave Of British Heavy Metal)なる言葉が現れ、この辺りから“ヘヴィメタル”という表現が一般化していったようである。こうした時期を代表する盤の一つとして筆頭に挙げられるのが、ジューダス・プリースト(Judas Priest)の『ブリティッシュ・スティール(British Steel)』だと言えるだろう。 全体としては、ハードロック(HR)からヘヴィメタル(HM)への移行過程と言えそうな内容の楽曲構成である。英盤と米盤で曲順が異なるが、以下、米盤(下の収録曲の情報もこれに準ずる)の順に沿ってみていきたい。 冒頭の1.「ブレイキング・ザ・ロウ」は、シングル曲としてイギリスで12位を記録したナンバーで、疾走感のある曲調にHM然としたヴォーカル(“メタル・ゴッド”として知られるロブ・ハルフォード)がいい。2.「ラピッド・ファイア」もヴォーカルの存在感のある曲で、英盤ではアルバムのオープニング・ナンバーとなっていた。3.「メタル・ゴッズ」は、曲の雰囲気としてはHMというよりもHRという形容の方がしっくりくるかもしれないが、筆者的にはお気に入りのナンバーだったりする。 5.「ユナイテッド」もシングルカットされたナンバー(全英の最高位は26位)。ヘヴィな演奏に存在感のあるヴォーカルと印象的なサビが特徴的で、一度聴いたら、頭から離れなくなるタイプの1曲だと思う。6.「リヴィング・アフター・ミッドナイト」は、アルバムに先行して発売されたシングル曲で、全英12位となった。メリハリが効いてパンチのあるこの曲の演奏はインパクト十分と言える。 この時代よりも少し後の世になって“いかにもHM”あるいは音楽面でヘヴィメタルを定義する時に使われることになるような要素が本盤には随所に見られる。そんな観点に立つと、上述の1.に加えて、アルバム終盤の2曲(8.と9.)は興味深い。特にアルバムの締めくくりとなる9. 「スティーラー」は、よりハードになっていき、メタル化していくサウンドの序章といった趣がある。 [収録曲]1. Breaking the Law2. Rapid Fire 3. Metal Gods4. Grinder 5. United 6. Living After Midnight7. You Don't Have to Be Old to Be Wise8. The Rage 9. Steeler1980年リリース。 ブリティッシュ・スティール [ ジューダス・プリースト ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年03月16日
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出世作となったセカンド盤 ドッケン(Dokken)は、1980年代に活躍したヘヴィメタルのバンド。ドン・ドッケンを中心に構成され、ギタリストのジョージ・リンチが在籍したことでも知られる。このバンドは、1970年代末から1980年代にかけてのアメリカ西海岸のメタル・ムーヴメントの中で人気を博していったが、この『トゥース・アンド・ネイル(Tooth and Nail)』はその足掛かりとなった盤である。 ドッケンは1981年にフランスのレーベルからファースト作をリリースしていたが、これがメジャー・レーベルからリリースされたのは1983年になってからだった。そして、その翌年に発表されたのが、本セカンド作ということになる。ドッケンの作品としては、初めて全米チャートで100位内に入り(最高位49位)、シングル曲(3.,7.,9.の3曲で、9.は全米シングル・チャートで64位を記録)も注目されるようになった。 個人的な好みも含め、注目したい曲を見ていこう。表題曲の2.「トゥース・アンド・ネイル」は、ヘヴィメタル然とした曲調で流れるような疾走感が気持ちいい。7.「イントゥ・ザ・ファイア」は典型的にライヴで盛り上がりそうなナンバーであると同時に、ジョージ・リンチのギターはもちろんのこと、ドン・ドッケンのヴォーカルがカッコいい。9.「アローン・アゲイン」は、上述の通りシングルとして注目を集めた曲で、少々バラード風にヴォーカルを聴かせるナンバー。ここでもドン・ドッケンのヴォーカル力が存分に発揮されている。最後に、10.「ターン・オン・ザ・アクション」はジョージ・リンチのギターのよさが軽快な曲調の中で活かされている好ナンバーだと言える。[収録曲]1. Without Warning2. Tooth and Nail3. Just Got Lucky4. Heartless Heart5. Don't Close Your Eyes6. When Heaven Comes Down7. Into the Fire8. Bullets to Spare9. Alone Again10. Turn on the Action1984年リリース。 【中古】 トゥース・アンド・ネイル/ドッケン 次のブログのランキングサイトに参加しています。 時間の許す方は、クリックで応援をお願いします! ↓ ↓
2024年03月13日
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2024年03月10日
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スペイン語ロック曲選・PART 5(その5) 締めくくりの今回は、スペインのアーティストです。ミゲル・リオス(Miguel Ríos)は、1944年、スペイン南部のグラナダ出身のシンガーソングライター。1960年代から活動をしている彼ですが、今回の「サバド・エン・ラ・ノチェ(Sábado en la noche)」は、1980年代のライヴ盤に収録されたナンバーです。元はアルゼンチン出身のモリスというアーティストが1978年にスペインでリリースした楽曲です。まずは、1982年のステージの模様をご覧ください。 続いては、後世のステージでこの曲を披露している場面をご覧いただこうと思います。メキシコのバンド、El Triの活動40周年記念のライヴ(おそらく2008年頃と思われます)で、ミゲル・リオスが彼らと共演している「サバド・エン・ラ・ノチェ」です。 今回はさらにもう一つ。音声だけなのですが、最初の映像のライヴ(1982年)から“40年後”というライヴ企画があり、2023年にアルバムとして発表されました。80歳を目前にしてこの元気な様子は、映像なしでも十分に伝わってきて、驚異の一言です。 [収録アルバム]Miguel Ríos / Rock & Ríos(1982年)Miguel Ríos and Cia / Rock & Ríos, 40 años después(2023年) 【輸入盤CD】Miguel Rios / Rock & Rios: 40th Anniversary (w/DVD)【K2022/11/25発売】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年03月06日
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スペイン語ロック曲選・PART 5(その4) メキシコのアーティストが続きますが、今回は女性シンガーで女優としても活躍してきたセシリア・トゥーサン(Cecilia Toussaint)です。1980年代にソロ・デビューした当時のアルバム(『アルピア』)の収録曲である「コラソン・デ・カクト(Corazón de cacto)」というナンバーです。 まずは、上記アルバムに所収のオリジナル・ヴァージョンです。残念ながら映像は動きませんが、若きセシリアの声をお聴きください。 続いては、画質はいまいちなものの、後年の動く映像もご覧ください。何年の映像かはっきりしないのですが、十年以上の前のものと思われます。テレビ出演のステージでの「コラソン・デ・カクト」です。 いい年の重ね方をしている、というのが筆者の印象なのですが、そのセシリアも今年の誕生日を迎えると66歳とのこと。それでも、現在でも彼女は元気にライヴを続けています。昨年(2023年)には、活動45周年記念のライヴを行っているとのことで、まだまだ元気で頑張ってほしいものです。[収録アルバム]Cecilia Toussaint / Arpía(1987年) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月04日
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スペイン語ロック曲選・PART 5(その3) リラン・ロール(Lira N’ Roll)は、アントニオ・リラ(Antonio Lira,愛称はトーニョ・リラToño Lira)をフロントマンとするメキシコのロック・バンド。1990年代から活動をしていますが、今回の曲は、その長いキャリアの中では比較的新しめの、2017年リリースの盤の表題曲です。「リベーラメ(Libérame)」というのが、そのタイトルです。 アントニオ・リラは、若い頃はほっそりとしていました(というかなよっとした印象すらありました)が、この頃には50歳代に入り、音楽面でも見た目の面でも貫禄が出てきました。 そんな貫録をさらに感じられるライヴ映像をご覧ください。実は全部で2時間半近いコンサート映像なのですが、ちょうどこの「リベーラメ」がオープニング・ナンバーになっていて、最初の4分半ほどがこの曲の演奏シーンです。 [収録アルバム]Lira N’Roll / Libérame(2017年) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年03月02日
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スペイン語ロック曲選・PART 5(その2) ソエー(Zoé)はメキシコのオルタナ・ロックのバンドで、本ブログではこれまでにも何度か取り上げています。今回は、「アルージョ・デ・エストレージャス」と並び、2013年のアルバム『プログラマトン』からのシングル・ヒット曲である「10 A.M.」です。 この「10 A.M.」は、上記アルバムのオープニング・ナンバーで、同盤からの最初のシングル曲としてヒットしました。メキシコ国内のシングル・チャートの最高位は6位という結果を残しています。 さて、この曲には複数の別ヴァージョンが存在します。2015年、『プログラマトン・レビシタード』(レビシタードは英語の“Revisited”の意)というアルバムが出たのですが、そこには二種類のリミックス・ヴァージョンが収められていました。 そのようなわけで、同盤に収録の“ボスコ・デルレイ・ミックス”と“デロレアン・ミックス”の両方をお聴きください。 [収録アルバム]Zoé / Programatón(2013年)Zoé / Programatón revisitado(2015年) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年03月01日
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スペイン語ロック曲選・PART 5(その1) 通算5度目となるスペイン語ロック曲選です。これまでと同じように、5回にわけてスペイン語圏のアーティストによるロック・ナンバーを取り上げていきたいと思います。よろしくお付き合いください。 1回目の今回は、ベト・クエバス(Beto Cuevas)というチリ出身のアーティストの曲です。この人は、ラ・レイ(La Ley)というバンドでヴォーカリストとしての活動を経て、その後、ソロ・アーティストとして活躍しています。 そんな彼のソロ第1作に収められたヒット曲、「ブエルボ(Vuelvo)」が今回のナンバーです。2005年にラ・レイが活動を停止し、2008年にソロ・アーティストとしてのキャリアをスタートさせた時期のナンバーです。 続いては、ライヴでこのナンバーを披露している映像をご覧ください。2015年、ラ・ムーサ(La Musa)賞での演奏シーンとのことです。 [収録アルバム]Beto Cuevas / Miedo escénico(2008年) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年02月29日
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古き良きアメリカン・ポップスの残響 ポール・ウィリアムズ(Paul Williams)は、1940年生まれの米国のシンガーソングライター、俳優。2009年からはASCAP(米国作曲家作詞家出版者協会)の会長も務めている人物である。いきなりアーティスト名だけでピンとこない人も、「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」(スリー・ドッグ・ナイト)の作詞作曲者、ロジャー・ニコルズとのコンビでカーペンターズの「雨の日と月曜日は」や「愛のプレリュード」などを書いた人物と言えば、心当たりがあるのではないだろうか。 そんな彼は1970年代を中心に複数のソロ・アルバムを残している。それらのうち、ソロ・デビュー盤となったのが、1970年リリースの本盤『サムデイ・マン(Someday Man)』である。収められた10曲すべてが、ウィリアムズの作詞、そしてコンビを組んでいたロジャー・ニコルズの作曲。さらにニコルズはベースなどの演奏や、いくつかの楽曲のプロデュースでも本盤に携わっている。 どの楽曲も古き良きアメリカン・ポップスといった佇まいで、アルバム全体としては、そうした楽曲を集めたソング・ブックといった風情である。そして、感情表現の豊かなウィリアムズのヴォーカルが印象に残る。1.「サムデイ・マン」は、1969年のモンキーズのシングル曲のB面だったナンバーで、本盤のタイトルにもなっているナンバー。2.「光ある世界へ(ソー・メニー・ピープル)」は、筆者のお気に入りナンバーの一つで、レターメンが取り上げた曲でもある。流れるようなバラード風の5.「タイム」は、詩的な歌詞もいい。 アルバム後半(アナログ盤では6.以降がB面)では、8.「真心はどこへ(ドゥー・ユー・リアリー・ハヴ・ア・ハート)」がとくに秀逸。それから、忘れてはならないのは、本盤の演奏、アレンジ、プロデュースのレベルの高さである。例えば、アルバム末尾の10.「ローン・ポニー」に顕著に見られるように、しっかりと練られ、高い演奏力に支えられた完成度というのも、本盤の魅力ではないかと思う。[収録曲]1. Someday Man2. So Many People3. She's Too Good to Me4. Mornin' I'll Be Movin' On5. Time6. Trust7. To Put Up with You8. Do You Really Have a Heart9. I Know You10. Roan Pony1970年リリース。 ポール・ウィリアムス / サムデイ・マン +12 [CD] 【中古】 サムデイ・マン/ポール・ウィリアムズ 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年02月27日
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自然と体内に入ってくるギルモア・サウンド 個人的には“腑に落ちる”盤である。もちろん、こういう言い方をしてしまうとツボは人それぞれに違うのだから十人十色ということになってしまうわけだけれど、デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)が作り出す音は、筆者にはすんなりと体の中にしみこんでくるものなのである。 1978年のセルフタイトルの初ソロ作(参考過去記事)に続き、ピンク・フロイドとしての活動が停滞する間、ギルモアは1984年に2枚目となるソロ作『狂気のプロフィール(About Face)』を発表した。第1作目と同様、この2作目も、上記の通り、個人的にはその音が何の違和感もなく自然な感じで体内に入ってくる、そんな盤だったりする。このセカンド盤のチャートアクションは、全英で29位、全米で32位というもので、“失敗”ではないものの、“ヒット”とも言い難いビミョーな成績だった。 全体としては、前作よりも気負いが少なく、かつ時代を反映してか聴きやすいサウンドに仕上がっているように思う。参加メンバーはなかなか豪華で、TOTOのジェフ・ポーカロ(ドラムス、パーカッション)やスティーヴ・ウィンウッド(ハモンドオルガン、ピアノ)なんかの名が目に留まる。また、曲作りの面では、ザ・フーのピート・タウンゼントが作詞したナンバーがあり、3曲を提供してうち2曲(3.と6.)がアルバムに収められた。 筆者が特に好みのナンバーを挙げつつ、本アルバムの収録内容を概観してみたい。まずは、冒頭の1.「夢なき夜(アンティル・ウィー・スリープ)」。ピンク・フロイドの楽曲の傾向と比べると、サウンド的には一般向けを意識しているように思うが、個人的にはこの雰囲気がしっくりくる。3.「ラヴ・オン・ジ・エア」は、ギルモアらしさが生かされたスロー・ナンバーで、シングルとしてもリリースされた。この曲が醸し出すギルモアらしさというのは、5.「果てなきブルー(アウト・オブ・ザ・ブルー)」でいっそう発揮されている。 6.「狂った恋人たち(オール・ラヴァーズ・アー・ディレンジド)」は、一転してハードな曲調で、一つのムードの世界に引き込むというよりは、緩急をつけているのも本盤のいいところだと思う。そんな中、アルバム後半でこのアーティストらしさが発揮されているのは、8.「クルーズ」。さらに、オーケストラルな演奏にギターが映える9.「レッツ・ゲット・メタフィジカル」は要注目のナンバーである。[収録曲]1. Until We Sleep2. Murder3. Love on the Air4. Blue Light5. Out of the Blue6. All Lovers Are Deranged7. You Know I'm Right8. Cruise9. Let's Get Metaphysical10. Near the End1984年リリース。 狂気のプロフィール/デヴィッド・ギルモア[CD]【返品種別A】 David Gilmour デビッドギルモア / About Face 【CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年02月25日
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勢いに乗る第4作 ハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)は、フィンランドのバンドで、地元で人気を得た後に全米進出を目指そうという段階で、メンバー(ドラマーのラズル)の自動車事故死によりそれが叶わなくなったという“伝説のバンド”である。そんな彼らがホームグラウンドで評価を高めていった時期の1983年にリリースされた4枚目のアルバムがこの『ミステリー・シティ(Back to Mystery City)』である。 ファースト作の項(参考過去記事)でも書いたように、雑さや粗削りな部分(決して悪い意味ではなく、いい意味での“チープ”な部分)は、彼らの魅力であった。この第4作では、演奏のまとまりや精度という点では向上しているが、どこかしら残る“チープ感”(繰り返すが、あくまでいい意味で、である)が実にいい味を出していると思う。 インパクトの強いナンバーとしては、2.「マリブ・ビーチの誘惑(マリブ・ビーチ・ナイトメア)」。1981年にカリプソ風のヴァージョンが一度録音されたとのことだが、正式リリースとなったこの1983年のものは、お祭り騒ぎのような雰囲気に勢いとリズムが強調されたアレンジで演奏されている。この曲はフィンランドだけでなく、英国でもシングルとしてリリースされた。他に5.「愛してほしい(アンティル・アイ・ゲット・ユー)」もシングル・リリースされた曲だが、こちらはもう少しおとなしくシリアスな曲調である。 それ以外の曲も気になるものをいくつか挙げておきたい。6.「瞳の中の影(セイリング・ダウン・ザ・ティアーズ)」は、筆者の中では、この曲調、このノリこそハノイ・ロックスらしいといったナンバー。ちなみに同じ趣は8.「せつない気持(ビーティング・ゲッツ・ファスター)」や9.「アイス・クリーム・サマー」にも見られる。 アルバム後半で特に注目なのは、ラストを飾るアルバム表題曲の10.「ミステリー・シティ(バック・トゥ・ミステリー・シティ)」。この曲を聴くと、ドラム担当のラズルがバンドに欠かせないメンバーよく分かる。つまるところ、彼の事故死が結果的にバンドの存続を途絶えさせたのは、とって代わることのできるドラマーはいなかったからというのがよく分かる、そんな演奏でもあると思う。[収録曲]1. Strange Boys Play Weird Openings2. Malibu Beach Nightmare3. Mental Beat4. Tooting Bec Wreck5. Until I Get You6. Sailing Down the Tears7. Lick Summer Love8. Beating Gets Faster9. Ice Cream Summer10. Back to Mystery City1983年リリース。 ミステリー・シティ [ ハノイ・ロックス ] 【中古】輸入洋楽CD HANOI ROCKS / BACK TO MYSTERY CITY[輸入盤] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年02月23日
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大ヒット曲に続くセカンド作 アメリカ(America)は、コーラスワークを生かしたシンプルなサウンドで1970年代に一世を風靡したバンド。結成されたのはイギリスのロンドンだったが、3人のメンバー(ジェリー・ベックリー、デューイ・バネル、ダン・ピーク)はいずれも米軍人の息子であった。 彼らがセルフ・タイトルのデビュー盤を発表したのは1971年だった。その後、翌72年に入ってシングル曲「名前のない馬」が大ヒットし、まさに勢いに乗っている中の同年11月に発表されたのが、このセカンド盤『ホームカミング(Homecoming)』だった。アメリカから遠く離れたロンドンで結成された“アメリカ”が、“里帰り(ホームカミング)”するというのが、この表題の意味するところのようである。本盤は、アルバムのチャートでは、全米9位を記録した。 アルバムのオープニング・ナンバーは、1.「ヴェンチュラ・ハイウェイ」。彼らの代表曲の一つとなったこの曲は、シングルとして全米8位のヒットとなった。3.「河を渡るな(ドント・クロス・ザ・リヴァー)」もシングル化された楽曲で、大きなヒットにはならなかったものの、テンポのよいコーラスワークが好印象のナンバー。7.「空しきコーンウォール(コーンウォール・ブランク)」は、暗めの寂し気な曲調で、本盤の中で特に完成度の高い楽曲の一つだと感じる。9.「再びカリフォルニアへ(カリフォルニア・リヴィジテッド)」は、エレキギターが印象的な、このバンドとしてはややハードな曲調のナンバー。このバンドのイメージにそぐわないとの声もありそうだが、個人的には、こういうのもありだと感じている。[収録曲]1. Ventura Highway2. To Each His Own3. Don't Cross the River4. Moon Song5. Only in Your Heart6. Till the Sun Comes Up Again7. Cornwall Blank8. Head and Heart9. California Revisited10. Saturn Nights1972年リリース。 【中古】 ホームカミング/アメリカ 以下のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年02月21日
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GN'Rデビュー盤の圧倒的存在感 ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N' Roses)は、L.A.ガンズのメンバーとハリウッド・ローズのメンバーが融合するところから誕生した。そのため、前身バンドの名を組み合わせたのが、このバンドの名称となっている。メンバーの入れ替わりを経て1986年にゲフィン・レコードと契約し、先に疑似ライヴEPを発売して注目を集めたものの、第一作をリリースしたのは翌1987年のことだった。 そのファースト作が本盤『アペタイト・フォー・ディストラクション(Appetite for Destruction)』である。もともと音楽活動歴のあったメンバーたちで、ひょっこり出てきた新人バンドのような存在ではなかったとはいえ、とにかく楽曲・演奏・作り込み方のレベルの高さに圧倒される一枚である。この時点から大物になっていくことが十分に予見されるような圧倒的存在感の作品だと言えると思う。 とはいえ、その一方で、当時は物議を醸すバンドでもあった。メンバーのアルコールやドラッグ問題からMTVでの放映が拒否されたり、ロボットに犯される女性というアルバムのジャケットが差し替えられたりと、どちらかというとマイナスな意味でスキャンダラスでもあった。けれども、最終的には発売から50週を経て全米チャートで1位に上り詰めた。 個人的観点から、注目曲をいくつか挙げておこうと思う。1.「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」はシングルとして全米7位を記録したナンバー。3.「ナイトトレイン」は、その当時はどちらかというと聞き流してしまっていたのだけれど、カッコいいだけでなくてよく作り込まれた好曲だと感じる。6分を超える長尺の6.「パラダイス・シティ」は、重厚さに加えて切れのよさも感じられる1曲。このナンバーは、シングル化されてアメリカで5位、イギリスで6位ヒットとなった。なお、LP発売時には、ここまでがいわゆる“A面”だったのだが、本盤では“G面(Side G)”と名づけられていた。 さて、アルバム後半(こちらは、LPでは“R面(Side R)”)に移って、7.「マイ・ミッシェル」もカッコよさと完成度が高い楽曲の一つ。矢継ぎ早に予想できない展開やサウンドの工夫が耳に飛び込んでくるところがいい。曲としてはややポップな方向にも向いた9.「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」は、本盤からの最大のシングル・ヒット曲。アメリカのチャートで1位、イギリスでは6位を記録している。アルバムを締めくくる12.「ロケット・クイーン」は、前半最後の6.と同じく6分を超える長編のナンバーだが、その長さを感じさせない演奏のメリハリと曲展開から、本盤の聴きどころの一つになっているように思う。[収録曲]1. Welcome to the Jungle2. It's So Easy3. Nightrain4. Out ta Get Me5. Mr. Brownstone6. Paradise City7. My Michelle8. Think About You9. Sweet Child o' Mine10. You're Crazy11. Anything Goes12. Rocket Queen1987年リリース。 アペタイト・フォー・ディストラクション/ガンズ・アンド・ローゼズ[SHM-CD]通常盤【返品種別A】 【輸入盤】アペタイト・フォー・デストラクション [ Guns N' Roses ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年02月19日
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2024年02月18日
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マイナー・レーベルに残された絶頂期の名作 カーティス・フラー(Curtis Fuller)の作品として最良の作品はどれか。そう訊かれて、『ブルースエット』や『サウス・アメリカン・クッキン』を挙げる人も多いことだろう。実際、1960年前後の彼は絶好調で、後世に残る名作を次々に吹き込んだ。そんな中で、ワーウィックという、ニューヨークで数年間だけ存在したマイナー・レーベルに残された作品が、この『ボス・オブ・ザ・ソウルストリーム・トロンボーン(Boss of the Soul-Stream Trombone)』である。 本盤の大きな特徴としては、三管にありながら三管にあらず、と言えそうな点。つまりは、フレディ・ハバート、ユセフ・ラティーフが控えめなのである。これは、意図的にそうなっているように思われ、あくまでカーティス・フラーのトロンボーンを主役と位置づけた演奏を展開しているものと見える。リズム隊は、ウォルター・ビショップ・Jr.(ピアノ)、バディ・カトレット(ベース)、すてゅー・マーティン(ドラムス)という、『マグニフィセント・トロンボーン』でも見られる面々で、やはりバックとしての安定した落ち着いた演奏が印象に残る。 とくに聴きどころと言えそうな部分を少しピックアップしてみたい。まずは、フラー自身のペンによる1.「チャンタイズド」。スリリングでこのマイナー風味は、彼の本領発揮の演奏と言える。3.「イフ・アイ・ワー・ア・ベル」、4.「バット・ビューティフル」、そしてコール・ポーターの5.「ドゥ・アイ・ラヴ・ユー」というスタンダード3曲(LPではA面最後とB面最初の2曲に相当)は、とにかく秀逸。それぞれに異なるタッチとテイストの演奏だが、全体の安定感とフラーのトロンボーンに酔いしれる、という表現しか思い浮かばない。6.「ザ・コート」も、上記1.と同様にフラー節全開で、スリリングな演奏にいい意味での中毒性がある。 以上のようなわけで、決してよく知られた感じではないマイナー・レーベル盤であるものの、カーティス・フラーの代表盤の一つとして忘れてはならない作品だと思う。[収録曲]1. Chantized2. Flutie3. If I Were a Bell4. But Beautiful5. Do I Love You?6. The Court7. Mr. L[パーソネル・録音]Curtis Fuller (tb), Freddie Hubbard (tp), Yusef Lateef (ts, fl), Walter Bishop, Jr. (p), Buddy Catlett (b), Stu Martin (ds)1960年12月録音。 【中古】 ボス・オブ・ソウル・ストリーム/カーティス・フラー 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2024年02月15日
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熱く燃焼するインプロヴィゼーション演奏盤 ジョージ・アダムス(George Adams)は、1940年、ジョージア州生まれのテナーサックス、フルート、バス・クラリネット奏者。ドン・プーレン(Don Pullen, ドン・ピューレンとも表記される)は、1941年、ヴァージニア州出身のピアノ奏者。2人とも早くに亡くなっていて、前者は1992年に52歳で、後者は1995年に53歳で病死している。 この連名カルテットは、主にヨーロッパで受け入れられる形で活動を展開していった。そうした意味では、ヨーロッパ・フリー・ジャズの影響も、彼らの作風には届いていたと言えるのかもしれない。とはいえ、その演奏は、フリー・ジャズ的演奏という一言で済ますのでは、もったいないほどいろんなものが入っているように思う。ビバップにモダン、さらにはブルース、いろいろな素地があって、この演奏が成り立っている。加えて、本盤で印象的なのは、どこまでもひたすらに熱く、最後まで燃焼しきろうといわんばかりの演奏姿勢。ジョージ・アダムスのテナーもそうだし、ドン・プーレンのピアノも、手抜きなしの潔さがとにかく気持ちいい。 むろんすべてが勢いばかりの演奏というわけではない。2.「サンバ・フォー・ナウ」は、アダムスが楽器をフルートに持ち替えて落ち着いた美曲(プーレンのペンによる)を展開する。4.「ノーバディ・ノウズ・ザ・トラブル・アイヴ・シーン」では、アダムスのテナー演奏ののびのびとした部分も聴くことができる。とはいえ、あくまで本盤の本領は、冒頭の1.「ミンガス・メタモルフォシス」や、表題曲の5.「シティ・ゲイツ」にあると筆者は感じる。とりわけ、アダムスのどんどん盛り上がっていくテナー演奏に、聴いている側は吸い込まれていきそうになる。[収録曲]1. Mingus Metamorphosis2. Samba for Now3. Thank You Very Much Mr. Monk4. Nobody Knows the Trouble I've Seen5. City Gates[パーソネル、録音]George Adams (ts, fl), Don Pullen (p), Dannie Richmond (ds), Cameron Brown (b)1983年3月27・28日録音。 【中古】シティ・ゲイツ / ジョージ・アダムス=ドン・ピューレン・カルテット ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年02月10日
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早弾き・ネオクラシカルの最高峰 イングヴェイ・マルムスティーンは、1963年スウェーデン生まれのギタリスト。グラハム・ボネット率いるアルカトラスでの活躍(参考過去記事)で名声を得たのち、自身のバンドを形成して発表したファースト作が本盤『ライジング・フォース(Rising Force)』である。厳密には、イングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォース(Yngwie Malmsteen's Rising Force)名義によるセルフ・タイトル作ということになる。 イングヴェイ率いるバンドという体裁ではあるが、とにかく聴きどころは彼のギター・プレイ。インストゥルメンタル曲が多いのもその特徴を反映している。冒頭の1.「ブラック・スター」と2.「ファー・ビヨンド・ザ・サン」という2つのインスト曲だけでも圧巻で、ネオクラシカルと形容される早弾きのギターが聴き手を圧倒する。実際、これら2曲はイングヴェイの代名詞ともなっているナンバーであり、彼自身も“おそらく死ぬまで演奏し続けるだろう”と述べている。 ヴォーカルが入っているのは2曲で、3.「ナウ・ユア・シップス・アー・バーンド」と6.「アズ・アバヴ、ソー・ビロウ」。ヴォーカリストはジェフ・スコット・ソート(ソト)で、全8曲中の2曲なので存在感は薄いが、次作(翌1985年発表の『マーチング・アウト』)ではその存在感を発揮していくことになる。 さて、アルバム後半では、5.「イカルスの夢・組曲 作品4」が特に注目のナンバー。8分半に及ぶ長尺で、壮大な曲調の中、クラシックに根差した旋律でエレキギターの技巧が存分に発揮されている。その一方、アルバムを締めくくる8.「フェアウェル」は、1分に満たない小品。ギターのみのこうしたナンバーを締めくくりに配するというのは、後の他の作品(例えばこちらのアルバム)でも彼が用いている手法だったりする。[収録曲]1. Black Star 2. Far Beyond the Sun 3. Now Your Ships Are Burned4. Evil Eye5. Icarus' Dream Suite Op.46. As Above, So Below7. Little Savage8. Farewell1984年リリース。 ライジング・フォース [ イングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォース ] Yngwie Malmsteen イングベイマルムスティーン / Rising Force 【SHM-CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年02月07日
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勢いに乗る第4作 ロッド・スチュワート(Rod Stewart)は、ジェフ・ベック・グループに参加したのち、フェイセズおよびソロで成功を重ねていった。1970年代前半は、フェイセズというバンドでの活動とソロ・アーティストとしての活動が並走していた。本盤『ネヴァー・ア・ダル・モーメント(Never A Dull Moment)』はそんな時期の1枚である。ソロ作としては、前作の『エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー』に続いて英国チャートで1位を記録し、全米チャートでも2位となった。 フェイセズと並行しての活動期ということから、フェイセズのメンバー、例えば、ロン・ウッド(ギター)、イアン・マクレガン(ピアノ、オルガン)が演奏に加わっている。特に1.「トゥルー・ブルー」では、ロニー・レーン(ベース)、ケニー・ジョーンズ(ドラム)も加わり、メンバーが勢ぞろいしている。他に注目すべきミュージシャンとしては、ピート・シアーズが、ピアノで4.「イタリアン・ガールズ」、ベースで8.「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」に参加している(さらに後述の5.のシングルのB面でもピアノ演奏をしている)。 注目したい曲をいくつか見ておきたい。個人的には、冒頭の1.「トゥルー・ブルー」が最も推したいナンバー。演奏の安定感、曲調、さらにはこの手のロッドのヴォーカルは筆者のツボにはまる。なお、同様の指向性のナンバーとしては、4.「イタリアン・ガールズ」もお勧めである。 収録曲のうち、有名な曲としては、いかにも売れ筋という感じではあるものの、7.「ユー・ウェア・イット・ウェル」がある。この曲は、シングルとしてヒットし、全英1位、全米13位となった。他に本盤収録の中で外せないナンバーと思うのは、ジミ・ヘンドリクス曲の5.「エンジェル」。1970年のジミヘンの死後、1971年に発表された盤に収録された(さらにシングルとしても発売された)ナンバーである。ロッド・スチュワートには他のアーティストのカバー曲を多く残してきたが、この曲もなかなかの仕上がりだと思う。[収録曲]1. True Blue 2. Lost Paraguayos 3. Mama You Been on My Mind4. Italian Girls 5. Angel 6. Interludings7. You Wear It Well 8. I'd Rather Go Blind 9. Twisting the Night Away1972年リリース。 ネヴァー・ア・ダル・モーメント +1 [ ロッド・スチュワート ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年02月03日
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映画はともかくアルバムは大ヒット 1980年、人気絶頂のオリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John)主演の映画が封切られた。このミュージカル・ファンタジー映画『ザナドゥ』は、興行的に成功せず、高い評価を受けるということもなかった。けれども、その一方で、この映画のサウンドトラックとして制作された盤は大きなヒットを記録し、イギリスのチャートで2位、アメリカでは4位となった。 このサントラ盤『ザナドゥ(Xanadu)』は、E.L.O.(エレクトリック・ライト・オーケストラ,Electric Light Orchestra)とオリビアの共同名義だった。とはいえ、内容をよく見ると、アルバムの半分がオリビアの作品、残り半分がE.L.O.の作品と言えるようなものとなっている。曲順(LPではどちらがA面、B面か)もまちまちで、オリビア・サイドが先に来ているものもあれば、E.L.O.サイドが先に来ているものもあるようだ(筆者の手持ちのCDは、E.L.O.が先なので、下記ではその曲順を記している)。 E.L.O.サイドは、まさしくE.L.O.節が全開である。注目は5.「ザナドゥ」で、オリビアとE.L.O.が共演していて、シングル曲として全英のほかいくつもの国で1位のヒットとなった(全米では8位)。他方、オリビア・サイドは、プロデュースを担当したジョン・ファーラーの楽曲が大部分を占め、オリビアが他のアーティストと共演する楽曲が3曲含まれている。7.「恋の予感(サドンリー)」は、クリフ・リチャードとのデュエット。8.「ダンシン」はザ・チューブスとの共演で、10.「気の合うふたり(ホエネヴァー・ユア・アウェイ・フロム・ミー)」はジーン・ケリーとのデュエット曲。また、6.「マジック」はシングルとして大ヒットし、英米共で1位を獲得している。[収録曲]1. I'm Alive (E.L.O.)2. The Fall (E.L.O.)3. Don't Walk Away (E.L.O.)4. All Over the World (E.L.O.)5. Xanadu (Olivia Newton-John & E.L.O.) 6. Magic (Olivia Newton-John)7. Suddenly (Olivia Newton-John with Cliff Richard)8. Dancin' (Olivia Newton-John with the Tubes)9. Suspended in Time (Olivia Newton-John)10. Whenever You're Away from Me (Olivia Newton-John with Gene Kelly)1980年リリース。 ザナドゥ [ エレクトリック・ライト・オーケストラ&オリヴィア・ニュートン=ジョン ] ザナドゥ【Blu-ray】 [ オリヴィア・ニュートン=ジョン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2024年01月31日
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“代役ギタリスト”が際立つ1980年代最後の盤 デイヴィッド・カヴァデール率いるホワイトスネイク(Whitesnake)は、1970年代後半に登場し、1980年代いっぱいまで大きな人気を集めた。このいわば最盛期にあたる時期の最後にリリースされたのが、1989年の『スリップ・オブ・ザ・タング(Slip of the Tongue)』である。 このアルバムには、ハプニングによって生じたある特色がある。ギタリストで曲の共作者でもあったエイドリアン・ヴァンデンバーグが、腱鞘炎によって演奏できなくなってしまった。そこで急遽メンバーとして加わったスティーヴ・ヴァイが全面的にギター演奏を引き受けた。結果、曲のクレジットにヴァンデンバーグは登場するものの、演奏には参加していないというイレギュラーなアルバムになった。代役のスティーヴ・ヴァイはアルカトラス(イングヴェイ・マルムスティーンの後任)やデイヴィッド・リー・ロスのバンドで既に活躍した経歴があり、本作の後にはソロでのキャリアを完成させていく。 冒頭の表題曲である1.「スリップ・オブ・ザ・タング」からテンションはマックスの演奏。3.「フール・フォー・ユア・ラヴィング」は、1980年のアルバム(邦題『フール・フォー・ユア・ラヴィング』、原題は『レディ・アン・ウィリング』)に収められていた曲の再演。1980年のものもシングル化されたが、本作のセルフカバーとなったヴァージョンもシングル発売された(1980年ヴァージョンは英で13位、米で53位、1989年のこのヴァージョンは英で43位、米で37位となった)。 他に触れておきたいナンバーとしては、6.「ウィングズ・オブ・ザ・ストーム」。本作全般に言えることだけれども、臨時加入のギタリスト、スティーヴ・ヴァイの色彩が強い。そんな中、この曲のヴァイのギターは、単に彼らしい演奏が披露されているのみならず、爽快なプレイである。あと、10.「セイリング・シップス」はカヴァデールのヴォーカルの魅力が存分に発揮された好曲で、曲後半ではヴァイらしさも発揮されていて、聴き逃がせない1曲になっていると思う。[収録曲]1. Slip of the Tongue2. Cheap an' Nasty3. Fool for Your Loving 4. Now You're Gone 5. Kittens Got Claws6. Wings of the Storm 7. The Deeper the Love8. Judgment Day9. Slow Poke Music 10. Sailing Ships 1989年リリース。 SLIP OF THE TONGUE (2019 REMASTER)【輸入盤】/WHITESNAKE[CD]【返品種別A】 スリップ・オブ・ザ・タング<30周年記念リマスター> [ ホワイトスネイク ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2024年01月28日
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