島崎藤村『春』
いまでは 藤村の本を読むひとは少ないと思う文学の研究者か文学専攻の学生か?わたしみたいなオールド文学少女かが読む
むかし教科書に載っていた『千曲川のスケッチ』や詩に魅せられたとえばこれ
初戀
まだあげ 初
めし 前髮
の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる 花櫛
の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅
の秋の 實
に
人こひ 初
めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髮の毛にかゝるとき
たのしき戀の 盃
を
君が 情
に酌みしかな
林檎畑の 樹
の 下
に
おのづからなる 細道
は
誰
が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそうれしけれ(青空文庫より)
すてきとおもう
そして 『破壊』『桜の実の熟する時』 と読み進み わたしは 『新生』 を読んででしまったのだった
『新生』…ご存知だろうか なんという内容だこと!
「おじ」が「めい」をあろうことか妊娠させてしまった
それなのに逃げ出して 悩んだ末が「新生」とは
重苦しくって汚くて、乙女のわたしには受け入れられなかった
しかも私小説でもあるのである
それ以後藤村の小説を封印!しかし半世紀たってまあなんとなくこの本を手にいれ読んだ
『春』
ストーリーは自伝的、明治20年代の文学青年の悩みと教え子に恋し、許婚ある教え子故失恋する、その痛みを冷静描いたもので文章も現代に通じるうまさだし、時代背景(明治の東京の街など)も臨場感あり、今となっては希少価値があると思う
おこがましいがやはり日本文学の源流なる才能だと思う
が、ここでも教え子と恋愛!ま、身を引くというか、我慢するので苦しむのだけれども
というか いつも(若いときから)無理な恋をするしょうがないお人なのだのだな
『春』は『破壊』の次に書かれた作品で、次に『家』があり『桜の実…』はその後で そして『新生』が書かれた
『新生』は中年やもめになったのが主人公 だから順番に読めばよかったのかもしれない
わたしの読む順序がまちがっていたのか 早すぎたのか
あるいはわたしの甲羅が厚くなったか(笑)毛嫌いしていて損をしたのかもしれないといまさらながら理解した次第
『家』も『夜明け前』も読みたいと思っているし、時間があれば『新生』も再読したいきっと感想が異なってくるのだろうと思う
まったく読書って 読む時、年齢、体調、嗜好、経験で違ってくるから不思議おもしろい
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
PR
カテゴリ
コメント新着
New!
七詩さんサイド自由欄
フリーページ
カレンダー
キーワードサーチ