《櫻井ジャーナル》

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2014.03.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ウクライナの首都キエフには、「西側」の「国境なき巨大資本」とネオ・ナチが連合した暫定政権が存在している。選挙で成立したビクトル・ヤヌコビッチ大統領の政権を倒して作られたのだが、その過程でネオ・ナチが重要な役割を果たしたことは本ブログで何度も書いてきた。

 街が火と血の海になる過程で、ネオ・ナチのメンバーは棍棒、ナイフ、チェーンなどを手に、石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルを撃っている。反ヤヌコビッチ派と警官隊(ベルクト)の双方を狙撃したのもネオ・ナチだった可能性が高いと エストニアのウルマス・パエト外相がEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)に報告 している。(UNA-UNSOのメンバーが狙撃していたとする情報も流れている。)

 ネオ・ナチのグループにはシリアやチェチェンでの実戦経験のある人やバルト諸国にあるNATO系の施設で軍事訓練を受けたメンバーもいて、ベルクトの隊員を狙撃するだけでなく、拉致、拷問、そして殺害し、 目を潰された状態で発見された隊員の死体 があることも何度か書いた。

 この 暫定政権は憲法に定められた手順を踏んで誕生したわけでない のだが、「西側」は問題にしていない。この政権が「西側」に利権をもたらすと考えているからだ。この暫定政権への従属を拒否することを「違法」だと非難するのは奇妙な話なのである。論理が矛盾している。

 日頃、「民主」、「自由」、「人権」と叫んでいる「西側」がネオ・ナチと手を組むことに疑問を持つ人もいるいるだろうが、歴史を振り返ると不思議でないことがわかる。

 1917年のロシア革命(十月革命または十一月革命)でボルシェビキの体制が成立すると、革命で倒されたロマノフ朝の生き残りを含むヨーロッパの貴族が秘密結社「トゥーレ協会」を創設、この結社が母体になり、1919年に「ドイツ労働者党」が作られた。その翌年、党名は「国民社会主義ドイツ労働者党(ナチス)」に改称される。



 1933年にはアメリカでフランクリン・ルーズベルト大統領を引きずり下ろし、ファシズム体制を樹立させるためにクーデターが計画されたことは本ブログで何度も書いてきた。その中心的な存在だったのがウォール街の巨人、JPモルガンだ。この計画はアメリカ海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー少将の議会証言で明らかになっている。

 この当時、ドイツやウォール街の巨大資本だけがナチスに好意を抱いていたわけではない。イギリスのウィンストン・チャーチルもアドルフ・ヒトラーに好感を持っていたと言われている。イギリス国王だったエドワード8世(後のウィンザー公爵)はさらに親密な関係にあった。

 1936年にエドワード8世は「世紀の恋」で王位を捨て、アメリカ人女性ウォリス・シンプソンと結婚しているのだが、この女性はドイツのヨアヒム・フォン・リッペントロップ駐英大使(後の外相)と愛人関係にあったことが知られている。フォン・リッペントロップはヒトラーのヨーロッパにおけるスパイ網を築き上げた人物だ。

 1939年にドイツ軍はポーランドへ軍事侵攻、イギリスとフランスがドイツに対して宣戦布告して第2次世界大戦が始まる。その翌年、フォン・リッペントロップはヒトラーに対し、ウィンザー公爵夫妻の誘拐を進言した。ドイツが英国を占領した後、ウィンザー公爵を再び王位につけると夫妻に対して約束し、ドイツの傀儡として利用しようと考えたようだ。当然、ナチス政権の背後には欧米の巨大資本が存在することになる。

 1940年7月にドイツはイギリスを空爆するが、制空権は握れず、8月になるとヒトラーは早くもイギリスへの軍事侵攻に興味を失い、41年6月にソ連に対する軍事侵攻を開始する。つまり、「バルバロッサ作戦」。当初はドイツ軍に圧倒されたソ連軍だが、スターリングラードでの戦いで踏みとどまって反撃、1943年にはドイツ軍の侵攻部隊を壊滅させた。

 1944年になると、ドイツ陸軍参謀本部第12課(東方外国軍課)の課長、つまりソ連に対する情報活動を統括していたラインハルト・ゲーレン准将がアレン・ダレスたちと接触している。当時、ダレスはアメリカの戦時情報機関OSSで破壊活動を指揮、戦後、アメリカの情報活動を統括した人物だ。この段階でアメリカはソ連との戦争を始めたと言える。

 1945年5月にドイツが降伏するが、その頃、チャーチル英首相はJPS(合同作戦本部)に対し、ソ連を攻撃する計画を立てるように命じている。そして出てきたのが「アンシンカブル作戦」。数十万人の米英軍が再武装したドイツ軍約10万人と連合してソ連を奇襲攻撃するという内容だった。ドイツ降伏の2週間後、この計画はチャーチル首相へ提出されているが、参謀本部の拒否で実現していない。この年の7月、チャーチルは退陣した。

 このように、歴史的に見ても「西側」とファシストの結びつきは強い。ナチズムとは巨大資本が作り出したモンスターだとも言える。ウクライナの自称ナショナリストがイギリスやナチスと緊密な関係にあったことも本ブログでは何度か触れた。今回、キエフの暫定政権が巨大資本の代理人とネオ・ナチで構成されているのは必然だ。

 そこへ今回はサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官が率いるイスラム教スンニ派の武装グループ(サラフィーヤ/ワッハーブ派、あるいはアル・カイダ)が加わっているわけで、アメリカとロシアとの軍事衝突が避けられたとしても、ウクライナが「チェチェン化」する可能性もあるだろう。





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最終更新日  2014.03.11 19:36:37


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