《櫻井ジャーナル》

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2015.03.05
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 2週間後に選挙を控えたイスラエルの ベンヤミン・ネタニヤフ首相がアメリカ議会で演説

 しかし、 今回の演説ではボイコットした議員も目につく 。共和党のジョン・ベイナー下院議長が政府に相談なくネタニヤフを招待したことを批判する民主党の議員だけでなく、共和党にも欠席者はいたようで、60名近くが姿を見せなかったという。バラク・オバマ大統領もイスラエルの選挙が近いという理由で欠席した。

 現在、オバマ政権はイランと核問題で交渉中だが、武力で解決するべきだ主張するイスラエル政府やアメリカのネオコン/シオニストと対立、シリアをどうするかという問題もある。ネタニヤフ首相の攻撃的な演説でオバマ政権はイランと交渉しやすくなったと見る向きも少なくないが、支配層の内部に亀裂が入っている可能性は高い。

 ネオコンは「アメリカの利益」より「イスラエルの利益」を優先するシオニストだが、アメリカにはキリスト教系のシオニストもいる。福音主義者と呼ばれている人びとで、アメリカの場合はカルバン派が源流だと言える。ピューリタンはその一派だ。

 イギリスでは17世紀の半ばにピューリタンを中心とする議会派が王党派を破り、国王のチャールズ1世を処刑した。いわゆる「ピューリタン革命」だが、このときに議会派の軍を指揮していたのがオリバー・クロムウェルで、その背後には地主や富裕な商工業者がいた。

 クロムウェルは次に小農民や職人層が支持していた水平派を弾圧、同時にアイルランドを侵略して住民を虐殺している。その一方、1290年から国外へ追放されていたユダヤ教徒をイギリスへ招き入れるが、クロムウェルは彼らをパレスチナへ「帰還」させるつもりだったという。

 ピューリタン(ピルグリム・ファーザーズ)がメイフラワー号でアメリカへ渡ったのは1620年で、革命の20年ほど前。この信者たちは北アメリカで「新イスラエル」を建設するつもりだったようだ。勿論、旧約聖書に登場するイスラエルを念頭においての「新」であり、自分たちは新たな「選ばれし民」だということになる。必然的に先住民は野蛮で未開の「サタンの息子」ということになり、パレスチナ人と同じように虐殺された。



 シオニズムを強く支援していた富豪のひとりがパリに住んでいたエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルド。ウーンデッド・ニー・クリークでの虐殺より8年前、この富豪はユダヤ教徒のパレスチナ入植に資金を提供している。こうした行為を記念し、1958年にはイスラエルで「ヤド・ハナディブ(ロスチャイルド基金)」が設立された。

 1989年にこの基金の理事長に就任したのがジェイコブ・ロスチャイルド。イスラエルをスポンサーにしてイギリスの首相になったトニー・ブレアのほか、ボリス・エリツィン時代のロシアで巨万の富を手に入れ、ウラジミール・プーチン政権に移行してからイギリスへ亡命したボリス・ベレゾフスキー(後にプラトン・エレーニンに改名)も親しくしていた。メディアの世界に君臨しているルパート・マードックとも親密だ。

 エドモンド・ジェームズの孫に当たるエドモンド・アドルフ・ド・ロスチャイルドもイスラエルを支援、イスラエルの核兵器開発に対する最大の資金提供者としても知られている。フランスがイスラエルの核開発に協力した一因はここにある。エドモンド・アドルフはヘンリー・キッシンジャーとも親しいという。

 2011年から西側、イスラエル、ペルシャ湾岸の産油国は中東/北アフリカを戦乱で破壊、その背景に「サイクス・ピコ協定」を見る人もいる。これは1916年にフランスとイギリスが結んだ秘密協定。オスマン帝国を分割し、両国で分けようとしたのだ。両国をロスチャイルドが結びつけたと考えても論理の飛躍とは言えないだろう。

 この協定を甦らせる上で重要な役割を果たしているのがIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)。その黒幕はサウジアラビアだったが、ここにきてISと距離を置こうとしているようにも見える。

 サウジアラビアの新国王、サルマン・ビン・アブドルアジズ・アル・サウドはアル・カイダと関係していると言われているのだが、その武装集団を操ってきたバンダル・ビン・スルタンを無視しているとする情報が流れている。バンダルは1983年から2005年まで駐米大使、2012年から14年にかけて総合情報庁長官、2005年から国家安全保障会議事務局長を務め、ブッシュ家と親しいことからバンダル・ブッシュとも呼ばれている人物。

 サウジアラビアがアメリカやイスラエルと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始したとする シーモア・ハーシュ の記事が掲載されたのはニューヨーカー誌の2007年3月5日号だった。シリア、イラン、イラクを殲滅するとポール・ウォルフォウィッツが口にしたのは1991年。2003年にイランはアメリカの侵略を受けて破壊され、次はシリアとイランだということだろう。

 ところが、シリアの体制転覆は目論見通りに進まない。ロシアが大きな障害になっているからだが、 2013年7月末にバンダルはロシアを極秘訪問 、ウラジミール・プーチン大統領らと会談している。シリアからロシアが手を引けば、ソチの冬期オリンピックを襲撃するとしているチェチェンの武装グループを止めると持ちかけたのだが、シリアから手を引かないとオリンピック期間中に襲わせると解釈されたという。プーチン大統領は怒り、サウジアラビアがチェチェンの反ロシア勢力を支援していることを知っていると応じたとされている。

 ネオコンやイスラエルはシリアやイランを殲滅、傀儡体制を樹立させて中東を支配しようとしているが、ISを大きくしすぎたと考える人もアメリカやサウジアラビアの内部に出てきたようだ。イスラエルでもネタニヤフの強硬策を批判する声が情報機関からも聞こえてくる。






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最終更新日  2015.03.06 06:16:31


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