実は、10月8日にスウェーデンではアメリカに批判的だったオルオフ・パルメが首相として返り咲いている。潜水艦騒動はパルメの動きを縛ることになったが、それだけでなく、スウェーデン国民の意識も変化させている。つまり、1980年までソ連を脅威と考える人は国民の5〜10%に過ぎなかったのだが、事件後の83年には40%へ跳ね上がり、軍事予算の増額に賛成する国民も増える。1970年代には15〜20%が増額に賛成していただけだったが、事件後には約50%へ上昇しているのだ。(Ola Tunander, “The Secret War Against Sweden”, 2004)なお、パルメ首相は1986年2月28日、妻と映画を見終わって家に向かう途中、銃撃されて死亡している。