《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2015.10.18
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 戦乱を世界中に広げてきたのはアメリカにほかならない。そのアメリカに従うことを目的にして「安全保障関連法」は作られた。「防衛」のための法律だという安倍晋三政権の戯言をマスコミは垂れ流しているが、実際はアメリカの戦争マシーンに日本を組み込み、侵略の道具にしようとしているのだ。

 本ブログでは何度も指摘しているように、1991年12月にソ連が消滅するとネオコンなどアメリカの好戦派は自国が「唯一の超大国」になったと考え、 潜在的ライバルと考えられる旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどを潰し、ライバルを生む出す基盤になる資源が地下に眠る西南アジアを完全に支配しよう とする。そうした考えに基づき、1992年初頭に国防総省でDPGの草案が作成された。作業の中心が国防次官のポール・ウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」と呼ばれている。

 その後、ユーゴスラビアを先制攻撃で破壊、2001年からアフガニスタン、イラク、リビア、シリアなどを先制攻撃し、イランを狙う。2014年2月にはウクライナでネオ・ナチを使ってクーデターを成功させた。

 ウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成された当時、アメリカの好戦派は自分たちが世界の支配者になったと錯覚している。ライバルだったソ連は消滅し、傀儡のボリス・エリツィンが大統領を務めるロシアは属国。そもそも、1991年にアメリカがイラクを攻撃した際、ソ連は軍隊を動かさなかった。

 そうした感覚はロシアでエリツィンが失脚、ウラジミル・プーチンが実権を握った後でも続く。例えば、キール・リーバーとダリル・プレスは2006年、 ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できる とフォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)で主張している。

 ロシアと中国を軍事的に制圧できると考えているようだが、アメリカには第2次世界大戦の直後からソ連を先制核攻撃するという計画があった。まず、1948年にアメリカの「ロバート・マックルア将軍は、統合参謀本部に働きかけ、ソ連への核攻撃に続く全面的なゲリラ戦計画を承認させ」(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)、その翌年に出された統合参謀本部の研究報告ではソ連の70都市へ133発の原爆を落とす(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)ことになっていた。

 1957年になると計画は実現性が強まる。300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊しようと目論んでいた。「ドロップショット作戦」だ。この作戦を1961年7月にライマン・レムニッツァー統合参謀本部議長らが大統領に説明したが、拒否されている。この作戦が立案される直前、1955年から57年にかけてレムニッツァーは琉球民政長官を務め、沖縄を軍事基地化していた。



 こうした動きを危険視したケネディ大統領はCIAのアレン・ダレス長官、チャールズ・キャベル副長官(大統領暗殺の際、ダラス市長だったアール・キャベルの兄)、リチャード・ビッセル計画局長を解任、レムニッツァーの議長再任を拒否(1962年9月に退任)した。このとき、ケネディ大統領はCIAを解体する意向で、それに替わる組織として想定されていたのが1961年10月に創設された軍の情報機関DIAだと言われている。

 しかし、カーティス・ルメイのような好戦派はその後も軍の中で重要や位置を占め、テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、こうしたグループは 1963年の終わりにソ連を奇襲核攻撃する予定 だった。そのころ、先制核攻撃に必要なICBMを準備できると見通していたのだ。1963年11月、ルメイたちと対立してたケネディ大統領は暗殺され、ソ連やキューバが背後にいるとする話も流されたが、FBIによって否定され、核戦争には至らなかった。なお、ルメイはケネディ暗殺の翌年、日本政府から「勲一等旭日大綬章」を授与されている。

 アルゼンチン大統領だったネストル・キルシュネルによると、大統領時代のジョージ・W・ブッシュは「経済を復活させる最善の方法は戦争」だと力説、「アメリカの経済成長は全て戦争によって促進された」と話していた(この証言はオリバー・ストーンが制作したドキュメンタリー、「 国境の南 」に収められている)というが、「経済」を「個人的なカネ儲け」と読み替えれば、正しい。

 戦争をウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいて続けてきたアメリカの好戦派だが、シリアでロシアが空爆を開始、アル・カイダ系武装集団やそこから派生したIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、ダーイシュなどとも表記)の司令部や武器庫などに壊滅的な打撃を与え、「テロとの戦争」の嘘が白日の下に曝されたアメリカ政府は苦しい立場に陥った。

 ロシア軍がカスピ海から巡航ミサイルでISやアル・ヌスラの部隊を攻撃した直後、空母シオドア・ルーズベルトを「メンテナンス」のためだとしてペルシャ湾の外へ出て、アメリカがインドや日本とベンガル湾で行う軍事演習に参加したようだ。中東での影響力が低下したアメリカは東アジアにも火を付けようとしている可能性がある。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.10.19 09:14:39


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: