《櫻井ジャーナル》

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2015.10.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ジョージ・W・ブッシュ政権で国務長官を務めた コリン・パウエルが2002年3月28日に書いたメモの中で、イギリスのトニー・ブレア首相はアメリカの軍事行動に加わると書かれている

 実際にアメリカ軍がイギリス軍などを引き連れてイラクを先制攻撃したのは2003年3月20日のこと。統合参謀本部の中に戦争を無謀だとする意見が少なくなかったため、約1年間、開戦が延びたと言われているので、ブッシュ政権はブレア英首相がアメリカに従うと約束した直後に攻撃を始めたかったのだろう。

 この先制攻撃でサダム・フセイン体制は崩壊、フセイン自身は処刑されたが、12年以上を経た今でも戦闘は続き、戦乱は中東や北アフリカへ拡がっている。多くの人びとが犠牲になっていることは言うまでもない。

 イラクの場合、例えば2006年10月に出されたイギリスの医学雑誌「ランセット」によると、2003年3月から06年7月までの間に65万4965名以上のイラク人が死亡、そのうち60万1027名は暴力行為(要するに戦闘)が原因だとしている。またイギリスのORB(オピニオン・リサーチ・ビジネス)は2007年夏までに約100万人が殺されたという調査結果を公表した。

 イラク攻撃を正当化するため、アメリカやイギリスの政府は「大量破壊兵器」を口実として利用した。パウエルのメモが書かれた半年後、2002年9月にブレア政権は「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書、いわゆる「9月文書」を作成、その中でイラクは45分でそうした兵器を使用できると主張している。直後に文書の内容がリークされ、サン紙は「破滅から45分のイギリス人」というセンセーショナルなタイトルの記事を掲載した。この報告書をパウエル国務長官は絶賛したが、大学院生の論文を無断引用した代物で、内容もイラクの脅威を正当化するために改竄されていたことが後にわかる。

 それに対し、2003年5月29日にBBCのアンドリュー・ギリガンはラジオ番組で「9月文書」は粉飾されていると語り、サンデー・オン・メール紙でアラステアー・キャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切って「45分話」を挿入したと主張した。

 ブレア首相の側近で広報を担当していたキャンベルはデイリー・メール紙で記者をしていた経験があり、メール・グループを統括していたロバート・マクスウェルから可愛がられていた。マクスウェルはイギリスの情報機関に協力していた人物で、キャンベルも親イスラエル。ブレアがイスラエル系の富豪を資金源にしていたことは本ブログでも何度か書いた。

 ギリガンが「45分話」の疑惑を語って間もなく、彼の情報源が国防省で生物兵器を担当しているデイビッド・ケリーだということがリークされる。実際、2003年5月22日にギリガンとロンドンのホテルで会っていた。そのため、ケリーは7月15日に外務特別委員会へ呼び出され、17日に死亡した。

疑問 は多く、今でも他殺説は消えていない。自殺に使ったとされるナイフからなぜケリー博士の指紋が見つからないのか、最初に発見されたときには木によりかかっていた死体が救急医が到着したときには仰向けになっていたのはなぜなのか、死体のそばで警備していた警官が正体不明の人間がいたことを隠したのはなぜなのか、古傷があってステーキを切れない右手で左手の手首をなぜカットできたのか、ケリー博士の死体を発見直後に見た同博士の友人が提供した証拠について調査委員会はなぜ触れていないのか、ケリー博士の死体に関する報告書や写真が70年間秘密にされるのはなぜなのか、死んだ場所が記載されていない死亡証明書で調査委員会は死亡原因をどのように特定したのか、博士が行方不明になった日に警察はなぜ博士の居間の壁紙を剥がしたのか、重要証人の何人かが調査委員会に出てこなかったのはなぜか、ケリーの死体が発見されて90分ほどしてトーマス・バレー警察が使っていたヘリコプターが近くに着陸、5分ほどで飛び立ったという事実がなぜ伏せられたのか等々。その後、 2004年10月に「45分話」が嘘だということを外務大臣のジャック・ストローが認めた

 この時に限らず、戦争を始めようとする人びとは、開戦を正当化するために嘘をつく。イラク以降も、リビア、シリア、イラン、ウクライナ・・・いずれもアメリカの政府やマスコミは戦争を正当化するために嘘をつき続けてきたが、「反戦」を主張する人びとの中にもアメリカ支配層の嘘を無批判に受け入れている人が少なくない。一種の「保身術」なのかもしれないが、それでは侵略戦争に抵抗できないだろう。





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最終更新日  2015.10.19 23:40:16


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