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2016.04.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 バラク・オバマ米大統領は4月20日から21日にかけてサウジアラビアを訪問したが、その際、空港で一行を出迎えたのはサルマン国王ではなくリヤド市長だったという。そのサウジアラビアと同じようにアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を使い、シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒そうとしている国がトルコ。そのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は3月31日から4月1日にかけてワシントンDCで開かれた「核安全保障サミット」へ出席するために訪米、その際にオバマ大統領と公式会談を望んだのだが、拒否されたという。

 サウジアラビアやトルコの背後にはアメリカのネオコン/シオニストやイスラエルが存在、イギリスやフランスもまだシリア侵略を諦めていないようだ。勿論、こうした勢力が手先として使っている傭兵集団がアル・カイダ系の武装集団(アル・ヌスラなど)やダーイッシュである。

 アル・カイダとは、故ロビン・クック元英外相が指摘したように、1970年代の終盤から CIAが訓練してきた「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル 。傭兵の登録リストとも言える。アル・カイダはアラビア語でベースを意味、「データベース」の訳語としても使われている。

 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)はアル・カイダが攻撃したことになっている。攻撃の直後、本格的な調査が行われる前にジョージ・W・ブッシュ政権が断定、それが事実であるかのように少なからぬ人が信じている。

 2011年2月に西側諸国、ペルシャ湾岸産油国、イスラエルなどはリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制打倒を目指して侵略戦争を始めるが、その際に空爆を担当したNATOは地上で戦う アル・カイダ系のLIFG と連携していた。つまりNATOとアル・カイダ系武装集団は同盟関係にあった。

 その年の10月にカダフィは惨殺され、リビアは無政府状態になり、今ではダーイッシュが勢力を拡大、EUへの攻撃も予想されている。トルコ政府も行ったように、大量の「難民」をEUへ送り出し、その中に戦闘員を紛れ込ませて破壊活動を展開することになるだろう。カダフィやロシアのウラジミル・プーチン大統領が警告したような展開になりつつあるということだ。

 カダフィ体制を崩壊させた後、侵略勢力は戦闘員をトルコ経由でシリアへ移動させた。 その拠点になったのはベンガジにあったCIAの施設 マークを消したNATOの輸送機 が武器をリビアからトルコの基地まで運んだとも伝えられている。

 ベンガジにはアメリカの領事館があるのだが、そこが2012年9月11日に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使も殺された。スティーブンスは戦闘が始まってから2カ月後の2011年4月に特使としてリビアへ入る。11月にリビアを離れるが、翌年の5月には大使として戻っていた。 領事館が襲撃される前日、大使は武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃の当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っていた

 調査ジャーナリストの シーモア・ハーシュ によると、アメリカのオバマ政権とトルコのエルドアン政権は2012年のはじめにアサド政権を打倒するための工作に関して秘密合意に達している。トルコ、サウジアラビア、カタールが資金を提供、アメリカのCIAがイギリスの対外情報機関MI6の助けを借りてリビアからシリアへ武器/兵器を送ることになったという。

2012年8月に作成されたDIA(国防情報局/米軍の情報機関)の報告書 によると、シリアで政府軍と戦っている戦闘集団の主力はAQI、サラフ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団であり、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているという。

 AQI、サラフ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団とは侵略勢力が雇っている傭兵を多面的に説明しただけで、実態はひとつ。その中からダーイッシュも形成された。アメリカ政府は「穏健派」を支援するとしていたが、「穏健派」はアル・カイダ系武装集団につけられたひとつのタグにすぎない。そこで、報告書が作成された当時のDIA局長、 マイケル・フリン中将 はアル・ジャジーラの取材に対し、ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が決めた政策によると語っているわけだ。

 ネオコンを含む侵略勢力は傭兵を使った侵略でシリアのアサド政権を倒せると考えていたようだが、昨年9月30日にロシア軍が空爆を始めて状況は一変、侵略軍は敗走しはじめた。ここにきて サウジアラビアは携帯型の防空システムMANPADを供給しはじめたと公言 している。シリアのナーディル・アル・ハルキー首相によると、 4月中旬にはアレッポの北西地域などへトルコから5000名以上の戦闘員が侵入

 今年の初め、アメリカ政府もシリアの現体制を軍事力で破壊する姿勢を見せていた。例えば、1月22日に アシュトン・カーター国防長官 は陸軍第101空挺師団に所属する1800名をイラクのモスルやシリアのラッカへ派遣すると語り、翌23日にはジョー・バイデン米副大統領が訪問先のトルコでアメリカとトルコはシリアで続いている戦闘を軍事的に解決する用意があると語っている。

 ところが、2月10日にヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問してウラジミル・プーチン露大統領と会談してから状況が変化してくる。2月22日にはアメリカ政府とロシア政府は、 シリアで2月27日から停戦することで合意したと発表 、しかもこの合意はダーイッシュ、アル・ヌスラ、あるいは国連がテロリストと認定しているグループには適応されず、こうした武装集団に対する攻撃は継続されるとしている。サウジアラビアやトルコ、恐らくネオコンやイスラエルはオバマ政権の方針転換に従っていない。

 現在、アメリカでは民主党と共和党の大統領候補を決める予備選挙が行われている最中で、4月19日には ニューヨーク州で投票

 昨年10月9日までに登録を済ませておく必要があったのだが、ニューヨーク州の場合、その際に民主党と共和党のどちらを支持しているかを登録していないと予備選で投票できない。4月の時点で有権者1070万人のうち290万人以上が政党を登録していないため、トランプの子どもと同じように投票できなかったようだ。民主党の場合、これがヒラリーの勝利に結びついたとも言われている。

 ヒラリーは軍需企業ロッキード・マーチンやウォール街の巨大金融資本と関係が深いと言われているが、ネオコンの大物ロバート・ケーガンに支持されていることでも知られている。ケーガンの結婚相手であるビクトリア・ヌランドはウクライナのクーデターを仕掛けた人物だが、ヒラリーと個人的に親しいともいう。イスラエルの富豪、ハイム・サバンから多額の献金を受けているとも伝えられている。

 オバマと関係が悪化しているサウジアラビアやトルコだけでなく、ネオコンやイスラエルを含む好戦派は今年の大統領選挙でクリントンが勝利することを願っているだろう。オバマはロシアとの戦争準備を進めているが、ヒラリーはそのオバマより好戦的。それを阻止しようとする勢力との綱引きが激しくなりそうだ。





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最終更新日  2016.04.25 02:40:07


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