シリア政府軍は8月31日からイドリブの戦闘漸減ゾーンで停戦する宣言、ロシア軍もその地域での軍事作戦を中止したが、その日に会議を開いていたアル・カイダ系武装集団のハラス・アル・ディンとハイアト・タハリール・アッシャームの幹部がミサイル攻撃を受けて死亡したと伝えられている。
イギリス外務省の資金提供を受け、同国の対外情報機関MI6と関係があるとも言われているSOHR(シリア人権監視所)によると、攻撃で死亡したのは40名以上で、その中にはハラス・アル・ディンとハイアト・タハリール・アッシャーム以外の組織の人間も含まれているとしている。
破壊された建物の周辺にはアル・カイダ系武装集団の医療部隊的な存在であるSCD(シリア市民防衛)、別名「白いヘルメット」のメンバーが群がっているともいう。攻撃はトルコ軍かアメリカ軍によると見られているが、トルコ軍の可能性が高い。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がロシアを訪問、8月27日にウラジミル・プーチン露大統領と会見してから情況が大きく変化したようで、30日にはトルコ領へ逃げ込もうとした戦闘員らがトルコ軍によって押し戻されるということもあった。その際、見捨てられた形の戦闘員はエルドアンを「裏切り者」と罵り、大統領の写真を焼いている。
シリア政府軍がイドリブを制圧した場合、バグダッドとダマスカスを結ぶ幹線の途中になるアル・タンフやユーフラテス川の北側を占領しているアメリカ軍、イギリス軍、フランス軍の置かれた状況は厳しくなる。現在、こうした軍隊はクルドを傭兵として使っているが、少なくともクルドの一部はシリア政府と関係修復を目指して交渉を進めている。
それに対し、アメリカ軍はシリア東部からイラク西部にかけての地域で軍事力を増強、その地域に入り込んだイスラエル軍がイラク領内を攻撃してイラク政府との関係を悪化させている。ジハード傭兵を増やし、イラクをリビアのように破壊しようと目論んでいるのかもしれないが、そうした行動はアメリカを中東でますます孤立させる。
中東にエネルギー源を頼る日本にとって良くない方向へアメリカは向かっているが、日本の支配層は独自の政策を打ち出すことはできそうにない。安倍晋三政権も何かをしているポーズをとるのが関の山。アメリカ支配層に従うしか能がない彼らは日本を滅亡させることになっても結局はアメリカに従おうとするのだろう。