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宮崎駿の世界R3
<宮崎駿の世界R3>
テレビで「風立ちぬ」の制作ウラ話を見たが、スタッフがアニメ制作にかける情熱がよくわかりました。
で、これを機に、宮崎駿について集めてみました。
・ブラッカムの爆撃機
・ミヤザキワールド
・『折り返し点』
・宮崎駿 風の帰る場所
・ジブリの売りは歌なのか♪
・宮崎駿監督が引退
・知られざる巨匠伝説5
・フランスのジブリ・オタクがすごい
・飛行機大好きの宮崎監督
・アルプスの少女ハイジ
R3:『ブラッカムの爆撃機』を追加
『ブラッカムの爆撃機』という本を、見てみましょう。
<『ブラッカムの爆撃機』ロバート・ウェストール著、金原端人訳>
p100
絶版になっていたこの短編集を救ってくれたのは、宮崎駿さんだ。「熱風」という雑誌に、宮崎さんはこう書いている。「ウェストールは兵役の義務で兵隊にはなったけれど(中略)『ブラッカムの爆撃機』のように爆撃機のなかの状況をリアルに描いた人間は、僕が知っている限りでは世界で彼しかいない」
表題作の「ブラッカムの爆撃機」の主要人物は第二次世界大戦中、布張りの爆撃機に乗ってイギリスとドイツを往復する青年兵士たちだ。彼らが目にする、人間の邪悪さ、死、底なしの恐怖、圧倒的な閉塞感、そして友情がリアルに切なく描かれている。特に燃えるドイツ機の強烈な描写と、主人公たちの愛犬になるジャーマン・シェパードが印象的だ。
この本には、そのほか、ウェストールの戦争物でおなじみの少年チャス・マッギルを主人公にした二編と、リンディ・マッキネルによるウェストールの略歴が収録されている。そして宮崎さんの見事なフルカラーのマンガ「ウェストール幻想 タインマスへの旅」!
死ぬまでにもう一冊、こんなぜいたくな本に参加してみたい。
(金原端人)
【BOOK MARK】
金原瑞人×三辺律子編 、CCCメディアハウス、2019年刊
<商品の説明>より
「もっと海外文学を!」「翻訳物っておもしろい!」読めば一生忘れられない。心にぐっとくる204冊。
・これがお勧め、いま最強の十七冊
・本に感動、映画に感激
・まだファンタジー?ううん、もっとファンタジー!
・えっ、英語圏の本が一冊もない!?
・過去の物語が未来を語る
・明日が語る今日の世界
・眠れない夜へ、ようこそ
・やっぱり新訳!
・顔が好き
・わたしはわたし、ぼくはぼく
・Listen to Books!
・これ、忘れてない?
<読む前の大使寸評>
表紙のコピーにも「翻訳者による海外文学ブックガイド」とあり、つい借りたのでおます。
rakuten
BOOK MARK
<『ミヤザキワールド』>
図書館に予約していた『ミヤザキワールド』という本を、待つこと1週間でゲットしたのです。
ハードカバーでぶ厚くて重たい本であるが、冒頭に16ページものカラー画像を配するサービスがええでぇ♪
取りあげた題材が宮崎駿のアニメとあれば、これは読破できるような気がします。
【ミヤザキワールド】
スーザン・ネイピア著、筑摩書房、2020年刊
<「BOOK」データベース>より
世界を魅了しつづける巨匠の秘密とは?中・韓・ロシア・アラビア語版も刊行される決定版「宮崎駿論」。30世紀の有毒の森、神々が疲れを癒す湯屋、赤毛のさかなの女の子、ふわふわの森の精―これらに共通する要素とは?“アニメ・クイーン”の異名をとる米タフツ大学教授が、アニメーション作家・宮崎駿(1941‐)が手がけた『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)から『風立ちぬ』(2013)まで11の長編映画と、漫画版『風の谷のナウシカ』(1982~94)を徹底解剖。その人生と芸術との知られざる関わりを解き明かす。映像作品はもとより、膨大な日本語・欧文文献を8年がかりで渉猟、宮崎監督本人とスタジオジブリ関係者への直接インタビュー、大学で教える宮崎駿ゼミでの知見も踏まえ、「闇と光」がせめぎ合う「ミヤザキワールド」の魅力に迫る。日本版オリジナルの序文を収録。
<読む前の大使寸評>
ハードカバーでぶ厚くて重たい本であるが、冒頭に16ページものカラー画像を配するサービスがええでぇ♪
取りあげた題材が宮崎駿のアニメとあれば、これは読破できるような気がします。
<図書館予約:(10/25予約、11/01受取)>
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ミヤザキワールド
『ミヤザキワールド』5
:『もののけ姫』の「異質性」
『ミヤザキワールド』4
:トトロは「死神」であるという都市伝説
『ミヤザキワールド』3
:『天空の城ラピュタ』
『ミヤザキワールド』2
:「訳者あとがき」と「日本の読者へ:スーザン・ネイピア」
『ミヤザキワールド』1
:『千と千尋の神隠し』
<『折り返し点』4>
図書館で宮崎駿著『折り返し点』という分厚い本を手にしたのです。
宮崎さんの近作『風立ちぬ』は、かなりジジ臭くて子ども向きではなくてがっかりしたが・・・
『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』を生んだ栄光の時代を回顧するのも一興かと思うのです♪
【折り返し点】
宮崎駿著、岩波書店、2008年刊
<「BOOK」データベース>より
『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』から最新作『崖の上のポニョ』までー企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演、直筆の手紙など60本余を一挙収録。宮崎駿12年間にわたる思想の軌跡。
<読む前の大使寸評>
近作『風立ちぬ』は、かなりジジ臭くて子ども向きではなくてがっかりしたが・・・
『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』を生んだ栄光の時代を回顧するのも一興かと思うのです♪
rakuten
折り返し点
宮崎さんの宗教観を見てみましょう。
p261~263
<日本人が生きるために必要なもの>
Q:監督は、『となりのとトトロ』『もののけ姫』でも、日本の草木に宿る神々を描いていますが、なぜでしょう
宮崎:
これは亡くなった司馬遼太郎さんもおっしゃっていたことなんですけど、途中から仏教や儒教が入ってきても、結局僕たち日本人のなかには、原始的な宗教心がのこっている。たとえば僕は、「笠地蔵」って話がとても好きなんですけど、あの話に出てくるおじいさんとおばあさんってそれは無欲なんです。笠が売れなくてもお餅も買えないけど、お地蔵さんが気の毒だから、雪を払って笠をお地蔵さんにさして帰ってきた。そうするとおばあさんが「いいことをなさいましたね」っていうんですよ。
そんなふうに生きられたらどんなにいいだろう、それで満足して、生きていくことができたら・・・・。僕はそういうおばあさんとの暮らしを夢見るんです。無垢であることは至上のことなんですよ。浄めることが、けがれを払うこと、清々しくあること、邪念をなくすことが、至上のものという考えが、この島国の人間たちの心の奥に、今なおあるんです。そういう無垢への憧憬みたいなものを、僕らは今なお心のどこかで追っている。
ですから自然保護っていうときに、ドイツ人と話すと全然かみ合わないんですよ。彼らは自然をコントロールしようとするけど、僕らはコントロールしたくない、しない場所を作ろうと思うんですよ。欲で汚さない場所を。その生態系に、何か別のものが入り込んで、変わってしまっても構わない。でも、人間の手で汚すのはやめようね、という。こういう考え方って、日本人が国際性をもてない大きな理由かもしれないけど、日本人が日本人であるための大事な部分だと思うんです。
リアリズムをなくして滅私奉公とか、そういう方向に暴走する危険性をはらんでいるのかもしれないけど、地球がある種の困難に陥ったときに、自分たちにとって、大切な支えになると思うんです。世界をコントロールしきれないこと、それに対して尊敬の念と謙譲の心を持つということが。こういう考えは、昔はヨーロッパ人も持っていたんですけどね。ケルト人が広く深く残してますから。話がちょっと、逸れちゃいましたね。
Q:『千尋』の世界の神様たちは、我々が生きているこの現実世界からあの湯屋へ行くのでしょうか
湯屋
宮崎:
そうだと思いますよ(笑)。あそこにはあそこの世界があるわけですから。湯屋の向こうには街があって、湯屋は、実はその街のはずれにあったりするんです。そして側を通っていた電車は、最近は行きっぱなしで帰ってこない。グルーッと回って3年後くらいに戻ってくるのか、三日くらいで戻ってくるのかもよくわからない。
Q:その電車はどこに繋がっているのですか?
宮崎:
普段自分が生きている世界や周りのことに関心を持たない人が、どうして物語の中のことにだけそんなに関心を持つんですか? 家や会社のかたわらを走る電車やトラックの行先を気にもとめない人に限って。あの電車は?ってたずねてきます。千尋はそんなことには関心を持てないんですよ。目の前で起っている現実だけで精いっぱいなんです。あの世界は我々が住む現代の世界と同じように、茫漠とした世界なんです。
そこに住んでいる人たちにとっては、自分たちの世界なんです。そこへたまたま他所から人が来た。それが千尋なんです。それでいいと思いませんか? 僕は千尋に、あの世界にもきれいな所はあるんだということを知ってもらいたかった。だから、魔物が住んでる全部が異常なところという風にはしたくなかった。世界というのは常に美しいものを持ってるし、雨が降れば海くらいできるさって。そういうものが世界だと思うんです。それはあの世界も、僕らが生きているこの世界も同じことです。
(中略)
Q:つまり、あの異世界はこの現実そのものということなんでしょうか?
宮崎:
それはある種の現実感がなかったらつまらないですからね。でも現実を皮肉るためとか、風刺するためにこの作品を作ったわけじゃないですよ。例えばスタジオジブリで10歳の少女が働かなければならなくなったとします。それは親切な人もいじわるな人も含めて、カエルの大群の中に入ったようなものです。これはそういう映画なんです。
この映画のねらいを企画書に見てみましょう。
p230~231
<不思議の町の千尋>
この作品は、武器を振りまわしたり、超能力の力くらべこそないが、冒険ものがたりというべき作品である。冒険とはいっても、正邪の対決が主眼ではなく、善人も悪人もみな混じり合って存在する世の中ともいうべき中へ投げ込まれ、修業し、友愛と献身を学び、知恵を発揮して生還する少女のものがたりになるはずだ。
彼女は切り抜け、体をかわし、ひとまずは元の日常に帰って来るのだが、世の中が消滅しないのと同じに、それは悪を滅ぼしたからではなく、彼女が生きる力を獲得した結果なのである。
今日、あいまいになってしまった世の中というもの、あいまいなくせに、侵食し喰い尽くそうとする世の中を、ファンタジーの形を借りて、くっきりと描き出すことが、この映画の主要な課題である。
(中略)
もっとも、ただパニクって、「ウソーッ」としゃがみこむ人間がほとんどかも「しれないが、そういう人々は千尋の出会った状況下では、すぐ消されるか食べられるかもしてしまうだろう。千尋が主人公である資格は、実は喰い尽くされない力にあるといえる。決して、美少女であったり、類まれな心の持ち主だから主人公になるのではない。その点が、この作品の特長であり、だからまた、10歳の女の子達のための映画でもあり得るのである。(中略)
困難な世間の中で、千尋はむしろいきいきとしていく。ぶちゃむくれのだるそうなキャラクターは、映画の大団円にはハッとするような魅力的な表情を持つようになるだろう。世の中の本質は、今も少しも変わっていない。言葉は意思であり、自分であり、力なのだということを、この映画は説得力を持って訴えるつもりである
ウーム 一家の生活を補填するために若年労働に明け暮れる中高生が多いと聞く昨今であり・・・・現実は『千と千尋』を通り越して、より過酷である。
アニメ映画ではディズニーの跳梁を許しているが『君の名は』に日本コンテンツ復活の芽が見えるかも。
・・・と言いつつも、臍が曲がった大使は『アナ雪』も『君の名は』も観ていません。
最新報道によれば、宮崎監督が長編製作復帰とのこと♪
2017/02/24
宮崎監督が長編製作復帰へ 事実上の引退撤回
より
約3年半前に長編アニメーション映画の製作から引退を表明した宮崎駿さん(76)が、新作長編の準備に入ったことを、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(68)が23日(日本時間24日)、米国のイベントで明らかにした。事実上の引退撤回とみられる。
『折り返し点』1
『折り返し点』2
『折り返し点』3
<宮崎駿 風の帰る場所>
2013年映画の興行成績No.1は、宮崎監督の「風立ちぬ」だったそうだが…私はそんなに評価できないのです。
でも、「千と千尋の神隠し」頃までの宮崎作品は素晴らしかった♪
その絶頂期のインタビューということで、この本を読んでみます。
【宮崎駿 風の帰る場所】
宮崎駿著、ロッキング・オン、2002年刊
<商品説明>より
12年間にわたる12万字の決定版インタヴュー集
『風の谷のナウシカ』映画版のエンディングはどのようにして作られたのか!?
『天空の城ラピュタ』に見える宮崎駿の恋愛観とは!?
『となりのトトロ』で宮崎駿が描きたかった日本とは!?
『魔女の宅急便』は、なぜ『トトロ』の後に作られたのか!?
『紅の豚』で、なぜ宮崎駿自身が主人公になったのか!?
『もののけ姫』で宮崎駿が挑んだ真っ向勝負とは!?
そして、『千と千尋の神隠し』で、なぜ千尋はカオナシと一緒に電車に乗るのか!?
この答えがすべて宮崎駿自身の言葉で語られる。
<読む前の大使寸評>
2013年映画の興行成績No.1は、宮崎監督の「風たちぬ」だったそうだが…私はそんなに評価できないのです。
でも、「千と千尋の神隠し」頃までの宮崎作品は素晴らしかった♪
その絶頂期のインタビューということで、この本を読んでみます。
rakuten
宮崎駿 風の帰る場所
大使一押しの『もののけ姫』に関するインタビューを見てみましょう。
インタビュアー:渋谷陽一
<日の当らない日本史>p157~159より
Q:で、今回の『もののけ姫』なんですけど、司馬遼太郎さんとの対談の中で、司馬さんが「もののけで映画を作ってくれませんか」と言っていますが、それが、宮崎さんの中で動機付けの一つとしてありましたか?
A:いや、ないですね・・・・そういう率直な人間じゃないですから。このモティーフはもっと前からあったんです。まずずいぶんと古いモチーフとしては『美女と野獣』があって、それから、日本を舞台にした製鉄集団というのもありました。
山を削っていくうちに巨大なものがやってきてね、ある日歩きだすっていう、そういう映画を作れないかなって。東映に入ったばかりの頃から言ってたことなんです。
Q:そうなんですか
A:もう30年以上も前の話ですけど、高畑さんに絵を描いて見せたら、それは日本の自然と違うって言われてね。でもね、今は経済活動の結果こうなったんだって言い張れますから。前は違ったにしてもね(笑)。なんか、この漂泊の製鉄集団っていうのにはずっと魅力を感じていて、映画を作らなくても、それなりに掘り下げるってことはやってたんです。
『もののけ姫』ではわかりやすくするために、もう工場制手工業はそこに存在しているっていう世界にしてしまいましたけど、でも、歴史の表面とか、時代劇とかに出てこなかったものの中に、魅力のある集団が他にもいっぱいあって、日本の歴史っていうのは、結構豊かで奥行きが深いんだっていう、そういうことは前から考えてましたから。だから、僕は侍と農民だけの支配と非支配っていう、そういった歴史観だけで映画を作ることに我慢ならなかったんですよ。
かといって、それを超えられる図式を考えられるかというと、それもためらいがありました。右側の世界も嫌いだしね。だから、このテーマで自分の納得いく世界を作るっていうのはね、これは力仕事すぎて駄目かなと思い、やりかけては放り出すのを今まで繰り返してたんです。
黒澤さんと話してたとき、黒澤さんに『日本を舞台にした時代劇をやるなら、シェイクスピアをやればいいよ』っていわれたんですけど、むしろ全然違うもので、しかもファンタジーになっているようなものができないだろうかって、ずっと考えてたんです。
Q:それは映画の問題っていうより、宮崎さんの歴史観の、世界観の問題ってことで―
A:でも、最近の網野善彦さんの仕事とかでも、歴史で隠れていたヒダみたいなものが明らかになったでしょ。だから、もう少しやわらかく歴史を見ようっていう。
Q:なるほどね
A:そうすると、日本の過去には大したものがなくて、ヨーロッパのほうが、エルフだとかゴブリンの鬼だとか、妖しげなものがいっぱいいていいなあなんて言っていたのが、案外日本にもいろいろあるなあっていうふうに、わかってきたんですよ。
<不条理な生>p168~171より
Q:この映画は、最後に宮崎さんのずっと描きたかったテーマ「君は森で生きる。僕はタタラ場で生きる」を言いきっていますよね。この台詞のために僕はこの映画はあると思っているんですが、この「僕はタタラ場で生きる」という台詞は宮崎さん自身が言っているんですよね
A:いや、別にそうじゃないですけど、アシタカはそう言わざるを得ないと思ったんです。「故郷に帰らないんですか?」っていう奴もずいぶんいましたけど。
Q:いや、タタラ場で生きないと意味ないでしょう
A:意味ないですよね。でも、サンを乗っけて故郷に帰ったらカヤがいるんだぞって言ったら、ああそうですかって言った奴がいたけど、そのくらいのレベルにするとものすごくわかるんです(笑)。いや二人とも女房にしてもいいんだ、って追い討ちかけて言いましたけどね(笑)
Q:だから、今までになく、ものすごく肯定的な終わり方だなという気がして、今の宮崎さんの、ものすごく肯定的な気持ちが反映されているのかなあと思ったんですけれども、あの終わり方っていうのは当初からあったものなのですか?
A:ええ、たぶんそういうことになるだろうと。「人間を許すことはできない」と、あの女の子ははっきり言うだろうと。それに対してアシタカは「それでもいいから一緒に生きよう」と言うだろうと。つまり、サンというのは、アシタカに突き刺さった棘ですから。これは今後大変な目に遭うだろうなと思いつつ、でもアシタカはそれを背負って生きていくんだろうとというふうに決めたということです。
Q:そういうことですよね。ということは、まず、少年が主人公でなければいけないし、男が主人公でなければいけないし・・・
A:そうですね。だから、実は「アシタカセッキ」っていうタイトルを考えたんです。セッキっていうのは、草冠に耳を二つ書いて、草に埋もれて耳から耳に伝えられるっていう造字をしてね。キは記ですね。だから、草に埋もれた物語ということで、「アシタカセッ記」としたんですけど、なにしろプロデューサーが「もののけ姫」がよいと言うもので。宮崎駿「の」の字の法則っていうのがあって、なんでも「の」がついているほうがいいっていう。
Q:僕は、そのプロデューサーの判断は全面的に支持しますけど
A:だからもうどうでもいいや、と思ったんです。
Q:で、アシタカはいきなり冒頭で呪われますよね。あれは一番最初で呪われることにすごく大きな意味がありますよね
A:そうですね。不条理に呪われないと意味がないですよ。だって、アトピーになった少年とか、小児喘息になった子供とか、エイズになったとか、そういうことはこれからますます増えるでしょう。不条理なものですよ。
Q:彼は、呪われなければいけないし、呪いを引きずっていかなくてはいけないという冒頭から、一番最後の「俺はタタラ場で生きる」という非常にクリアな結論。「紅の豚」を作った意味が本当にあったと思って、僕は「宮崎さん、偉い!」なんて本当に拍手しようと思いました
A:恐れいります。いや、全然わからない人たちがずいぶんいるんですね。面白いですね。大体、映画好きを自認している大人のほうがわからないみたいです…
Q:いや、わかりやすいじゃないですか
A:だから、予想もしなかった小さな子がわかりやすいと思う一方…いや、本当のこと言って自分でも結局よくわからないのです。作るのに精一杯だったから。今になって、しまったと思う部分が見えたりするけれども…もうちょっと、端折ったり、見やすくできた部分があるんじゃないかって思ったりするんですけれども…。
とにかく死にもの狂いというか、これ以上できる奴がいたら、やってみろ、っていう心境に追い詰められていましたから。しょうがないですよね。
「君は森で生きる。僕はタタラ場で生きる」というテーマは・・・
自然、経済なんかが絡んでいて、案外と尾をひいて効いてくくるわけですね♪
次はぐっとくだけて、宮崎監督の人となりがわかる辺りを見てみましょう。
インタビュアー:渋谷陽一
<漫画家>p246~249より
Q:だけどまあ、高校3年生のときに、日本最初のカラー長編動画『白蛇伝』(1958年)を観て、ヒロインに恋をしたという有名なエピソードがありますけど、それは一種のターニングポイントだったわけですから、やっぱりアニメがお好きだったんじゃないんですか?
A:だってその頃は、アニメと言ったら、そういうとこがやるものでしたからね。だから、東映とかがやったら観に行きましたけど、まあ、大したもんじゃねえなと思ってましたね。ただ、やっぱり音楽がつくとか動くとか色彩があるとか、そういう特徴を持ったアニメーションと、それから白黒で紙に描いていく漫画とね。表現の方法としてどっちがいいんだろうかっていうのを、結構「うーん」と思ってたことは確かです。でも、その当時なんて、なんの材料もないから、今考えれば悩みようもないんですけど(笑)
Q:元々、宮崎さんは漫画家になりたかったんですよね
A:ええ、なろうと思ってたんですね。なりたかったっていうより、なろうと思ってたんです。
Q:決めてたんですか?
A:ええ、決めてたんです。どんな漫画を描くかは決まってないのに(笑)。それは後でゆっくり考えようと思ってたんですね。いい加減な話なんですけど。だからあの…高校時代まではなにも始めてなかったんですよ。高校までは全然始めなかった、大学になってから始めようと思ってたんです。別に勉強もしょうがなかったからやってたぐらいで大してやってなかったんだけど、なーんかやんなきゃいけないことがいっぱいあったような気もするしね。ほんと高校時代って、なにやってたんだろう。よく覚えてないんですよね。部活もやってたわけじゃないし。たぶん寝てたんでしょうね。そう思うしかない(笑)
(中略)
とにかく漫画家になったらなんか自由が手に入るんじゃないかっていう、全然訳のわかんない錯覚を持ってたんですね(笑)、なんの根拠もなく、なんの情報もないでしょ?それを探そうとも思わないし。誰かの弟子になりたいとも思わない人間なんですよ。描けないのに弟子なんかになったら恥ずかしいじゃないですか。
Q:そのへん、ものすごくプライド高いですからね(笑)
A:自分の次男がね、スイミング・クラブに行けって言ったときにね、「泳げないからヤダ」って言ったんですけどね。とってもそいつの気持ちがわかったんでっすよ(笑)。だって、僕も自動車教習所に、車の運転ができないから行きたくないなと思いましたからね(笑)
Q:ははははは!どうやって自動車教習所は行ったんですか
A:しょうがないから行っただけですけどね。女房が妊娠しているときに、子供の保育園の送り迎えに車がいるっていうふうに夫婦で話して結論が出たから。女房はもうお腹が重くてうんうん言ってんだから、こっちもなんか一つぐらいこう、苦労しなきゃいけないだろうと。だけど、これは吐き気がするぐらい嫌だったんですね。大体、車に乗って車談義してる奴が大っ嫌いでしたから。そしたら自分がそれに入ってしまって(笑)。エライことになりました。あれに入ってなかったら、もう少し違う人生が、もう少し真っ当な人生があったんじゃないかって(笑)
ところで、監督の愛車はシトロエンのデューシュボ(2馬力)というボロ車だそうだが、かなりの拘りがあるようですね(笑)。
<ジブリの売りは歌なのか♪>
宮崎監督の遺作?とも噂される「風立ちぬ」を観にいったのです。
ゼロ戦のシーンは少ないと聞いていたが、確かにゼロ戦はラスト近くにチラッと見えただけでした。
技術者の夢にロマンスをからませた、やや女性向きのお話しになっていて・・・
右寄りの大使にとっては、物足りない思いがしたのです。
だけど、戦前から戦中にかけての自然や街並みのシーンがきれいで、大使が生まれる前の日本は斯くやとの思いがしたのです。
それと、挿入歌が良かったわけです。
映画「会議は踊る」で歌われた『ただ一度だけ Das gibt`s nur einmal』という歌だが、大使の好きな歌なんです。
「アメリカ人の音痴は、日本人以上だ」と宮崎監督は、アフレコのスティーブン・アルパート氏(元ジブリ社員のアメリカ人)の歌をそう評したが・・・
友人をアフレコに抜擢しておいて、それはないんじゃないか(笑)
外人役には、日本語が話せる外人を採用するところが完璧な拘りなんだが、友人の感性に期待を込めて、アフレコに採用するのも宮崎流なんでしょうね♪
以下に宮崎作品で気になる歌を並べてみるが、大使好みのいい歌ばっかりである。
そうか、ジブリの売りは歌なのか♪・・・と思ったりする。
・
Das gibt`s nur einmal
・
さくらんぼの実る頃
・
Heidi - Japanese Opening
・
いつも何度でも
ところでドイツ語の歌ということでは、コニー・フランシスが歌った「Schoner Fremder Mann」という歌が好きなんです(サヨカ)
ドイツ語がいいのか、コニーの色香がいいのか、判然とはしないんだけど♪
Connie Francis - Schoner Fremder Mann
<宮崎駿監督が引退>
宮崎駿監督が引退することを決めたそうです。
朝日の記事を紹介します。
9/02
宮崎駿監督が引退 「風立ちぬ」を最後に
より
日本を代表するアニメ映画監督の宮崎駿(はやお)さん(72)が、第70回ベネチア国際映画祭のコンペ部門に参加しているアニメ「風立ちぬ」を最後に引退する。9月1日午後(現地時間)にベネチアで開かれた公式会見で、スタジオジブリの星野康二社長が明らかにした。
宮崎監督より「公式引退の辞」が出ています。
やりたい事、いろいろ…宮崎駿監督「公式引退の辞」全文
より
(長くなるので省略、全文は
ここ
)
<知られざる巨匠伝説5>
9/23
軍事オタク、アナログ派…宮崎駿監督 知られざる巨匠伝説5
より
◯デジタルものが苦手。手描きにこだわるアナログ派?
スタジオジブリが発行する小冊子『熱風』(’10年7月号)では、デジタル機器に批判的なコメントを寄せ、「僕には鉛筆と紙があればいい」との表明も。
「確かに『風の谷のナウシカ』の原作漫画は、大部分がペン入れなしの鉛筆書き(笑)。また、ジブリの絵コンテ用紙は一般のものよりひとまわりも大きい。脚本がない宮崎作品では絵コンテがシナリオ代わりなので、絵コンテはとても細かく描き込むそうです」
◯’85年設立のスタジオジブリはもともと『天空の城ラピュタ』を作るためにできた「その場限りのチーム」だった!
当時は後進育成にまで手がまわらず、作品ごとにスタッフが集まっていた様子。
「『風の谷のナウシカ』を制作したときは、トップクラフトという会社でした。その次に、ラピュタを制作するために設立したのがスタジオジブリ。その後『となりのトトロ』『火垂るの墓』も成功。経営的にも安定したこともあり、『魔女の宅急便』からジブリは常態化、後進の採用もこのころから始まりました」
<フランスのジブリ・オタクがすごい>
10日の読売テレビ『「風立ちぬ」完成までの50日間に密着!』を観たけど、フランスのジブリ・オタクがすごいわけです。
ジブリクイズ大会の優勝決定戦の二人など、日本語ペラペラで、日本人オタクさえ知らないような難問クイズを答えていた。
(長くなるので省略、全文は
ここ
)
<飛行機大好きの宮崎監督>
「風立ちぬ」というアニメーション映画が7月20日公開だそうです。
ゼロ戦開発を描くアニメだって・・・飛行機大好きの大使としては見逃せないでぇ♪
風立ちぬ公式サイト
より
<企画書:宮崎駿>
零戦の設計者堀越二郎とイタリアの先輩ジャンニ・カプローニとの同じ志を持つ者の時空をこえた友情。いくたびもの挫折をこえて少年の日の夢にむかい力を尽すふたり。
大正時代、田舎に育ったひとりの少年が飛行機の設計者になろうと決意する。美しい風のような飛行機を造りたいと夢見る。
やがて少年は東京の大学に進み、大軍需産業のエリート技師となって才能を開花させ、ついに航空史にのこる美しい機体を造りあげるに至る。三菱A6M1、後の海軍零式艦上戦闘機いわゆるゼロ戦である。1940年から三年間、ゼロ戦は世界に傑出した戦闘機であった。
少年期から青年期へ、私達の主人公が生きた時代は今日の日本にただよう閉塞感のもっと激しい時代だった。関東大震災、世界恐慌、失業、貧困と結核、革命とファシズム、言論弾圧と戦争につぐ戦争、一方大衆文化が開花し、モダニズムとニヒリズム、享楽主義が横行した。詩人は旅に病み死んでいく時代だった。
私達の主人公二郎が飛行機設計にたずさわった時代は、日本帝国が破滅にむかってつき進み、ついに崩壊する過程であった。しかし、この映画は戦争を糾弾しようというものではない。ゼロ戦の優秀さで日本の若者を鼓舞しようというものでもない。本当は民間機を作りたかったなどとかばう心算もない。
自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描きたいのである。夢は狂気をはらむ、その毒もかくしてはならない。美しすぎるものへの憬れは、人生の罠でもある。美に傾く代償は少くない。二郎はズタズタにひきさかれ、挫折し、設計者人生をたちきられる。それにもかかわらず、二郎は独創性と才能においてもっとも抜きんでていた人間である。それを描こうというのである。
独創的な設計にかける人物を描きたいのか♪・・・
格好つけてるけど、いずれにしても飛行機大好きな宮崎監督が見えます。
鈴木敏夫プロデューサーが宮崎監督のエトスを語っています。(朝日デジタルより)
6/17
力をつくしてこれを為せ
より
「高畑勲はもうすぐ78歳、宮崎駿は72歳です。だからその、いつ異変が起きても……だって普通は70過ぎてアニメーション映画作るなんて大変なんですよ! 僕、聞いたんです『この映画は宮さんの遺言なんですか?』って。そしたら彼、『かも知れない』って」
スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが6日、宮崎監督の5年ぶりの新作「風立ちぬ」(7月20日公開)の中間報告会見でこんな話をしました。主人公は、零戦の設計者堀越二郎さんと「風立ちぬ」の作家堀辰雄さんを融合させた人物で、零戦の誕生を縦糸とし薄幸の少女菜穂子との悲恋を横糸として、1930年代の青春を描く物語です。
なぜ鈴木さんが「遺言」と思ったかというと、別に年齢的にアレだからとかそういうことのほかに、「仕事とは何なのか」と問い人生を振り返るような宮崎さん自身の感慨が作品から感じ取れるからだそうです。なるほど確かに、「自伝」ではないけれど「自伝」っぽくなることは予想がつきます。実在の堀越二郎さんが書いた「零戦 その誕生と栄光の記録」を読むと、設計チームを率いて困難な目標に挑みつつ飛行機という夢の中に自らの「美学」を注ぎ込む堀越さんの姿が、アニメーション映画をつくる監督の姿と重なり、「あんなに飛行機が好きな宮崎さんが、これを今まで映画にしなかった方が不思議だ」とさえ思えてきます。
お二人が敬愛する文学者堀田善衞さんのエッセー集「空の空なればこそ」で、旧約の「伝道の書(コヘレトの言葉)」9章の中の言葉であるこの一節が紹介されていることを知りました。
「凡て汝の手に堪ることは力をつくしてこれを為せ」
ははーん、直接のネタ元はこれかな? ちなみに書名の「空」は「くう」と読んで下さい。「ソラのソラ、カラのカラと読まれたのでは、これはもうガッカリもいいところ」と堀田さんが書いています。
<アルプスの少女ハイジ>
ときとして「アルプスの少女ハイジ」のメロディが頭を巡ることがあるけど、たいてい物事が順調なときに、つい頭を巡るんです。
美しいメロディでもあるが、それだけでなく、この歌が希望を喚起するいい歌なんでしょう。
ということで、世界中の子ども達を魅了したこの日本製アニメのテーマソングをyou tubeで探してみました。
Heidi - Opening (multilanguage)
abuelito dime tu
French Original Opening
Heidi - Japanese Opening
やはり、聞きなれた日本語ヴァージョンとスペイン語ヴァージョン (abuelito dime tu)がいいですね♪
ところで、主題歌の終わりのクレジットに出てくる瑞鷹エンタープライズについて、ハイジ翻訳で関わりのある池田香代子さんのブログに詳しく出ていました。
アニメ作りには、あの宮崎駿さん、高畑さんが絡んでいたのには、納得がいきました。
では、テーマソングは誰が作ったんでしょうね?(・・・調べてみます。)
ハイジ
より
「ハイジの髪の毛の色をどうしようか、かなり迷ったのです。アニメの女の子の髪は、だいたい茶色なんですよね。でも、原作は黒です。結局、原作どおりにしたんですがねえ、どうでしょう?」
「大正解です。南欧には西ゴート族の末裔がいて、黒い髪黒い瞳の人が多いんです。スイスあたりがその北限です。フランクフルトのクララは、北方系ということで、金髪に青い眼。その対照が物語のリアリティになっています」
「どうりで。アニメはまずスペインのテレビ局が買って、ヒットしたんですが、スペインの人は、『ハイジはスペイン人だ』と言うんですよ。その謎が解けたな。スペインでハイジのそっくりさんコンテストがあったんですよ。アニメのハイジのそっくりさんです。よちよち歩きからすらっとした娘さんまで、ハイジそっくりの女の子たちが、みんなアニメのハイジの服を着てずらりと並んだのは壮観でした」
蛇足ですが、大使が若かりし頃、南欧を巡る旅をしたことがあるが・・・・・
やはり、頭がクラクラする美人に出会ったのはスペインでした。
西ゴート族の末裔の黒髪と黒い瞳には、アジアの男どもを魅了するトリガーが潜んでいるんでしょうね♪(大使、鼻血が・・・)
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