翠 の 風

翠 の 風

2009年01月18日
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テーマ: お勧めの本(7899)
カテゴリ: 今日読み終えた本
「内部告発者」滝沢隆一郎


著者:滝沢隆一郎
発行:角川文庫
頁数:284
読みやすさ:2/5
おすすめ度:4/5

 インフルエンザ読書シリーズ第2弾!・・・です。

 この本はなんとも重いテーマで、ちょっと疲れるストーリーでした。
 最近の偽装問題や企業ぐるみの隠蔽問題に加え、構造改革によって

の評価など、社会のいろんな問題を含んでいて、とても濃い内容でした。
 経済や法律関係の用語が多いので少し読みにくい部分もありますが、
やさしく解説してあるのでなんとかついていけました。

 会社のためを思って、ワンマン経営のトップに意見をして、最後は閑職
で終えることになっても、なお勤め上げた会社を好きでいる人間と、そん
な彼を慕いつつも新しい波に乗って進もうとする中堅社員のコントラスト
が印象的です。
 悪役はホント絵に描いたような悪役で、ワンマン経営者とそれを取り巻
く茶坊主や、政界財界のワルなど、今でもニュースやなんかで出てきそう
な感じの面々です。中には「ああこれはあの人のことか?」と思えるよう
な設定もアリで、なかなか楽しかったです。

ピッタリ来るような配役が目に浮かびます。

 組織の不正や隠蔽などはこの内部告発でしかなかなか表面化しない
ので、社会全体の利益のためには尊い行為として推奨されるべきことな
のでしょうが、実際に中にいる人間にしたら大変なことです。
 また、内部告発に至るきっかけが決して高邁な心からではなく、逆に自

いろいろと複雑な要素を内包していると思います。この本では内部告発
が結果的には社会のためになったわけですが、特に推奨している風でも
ないのが心に残ります。

 なお、この本の原稿が執筆されていた時期は「公益通報者保護法」が
国会で審議されていた最中で、同法は2004年6月に成立しました。ただ、
法律ができたからといってすべて守られるわけじゃないんですよねえ。外
から見れば結果「英雄」なのでしょうが、実際の本人にすれば何もかも失
うぐらいの覚悟が必要なんでしょうね、きっと。






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Last updated  2009年01月20日 09時09分41秒
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