遊裕動脈
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今日のブレンド今回のテーマは「秋」。ウィスキーが一番美味しい季節ですが、これは要するに五穀豊穣の神に感謝するということだと思います。というのは、原材料である麦芽は穀物であり、収穫の後に加工した生産物をいただくことに感謝を捧げるのは、さして美味しくなくても当年収穫の新材料からできたワインでお祭りを催すヌヴォーのフェスと同じだからです。しかし、ウィスキーの場合は仕込みの後に長年の熟成工程を経るために、作り手も飲み手も季節感を失ってしまい、炭酸水で割って氷を入れて飲むようになると、工業製品を消費するフレームの中に落ち込んでしまいがちです。昨今ここ15年くらい続く現象のため、すっかりそういう「時代」となっていましたから、そういうウィスキーは市場で入手できない状態でした。さて原点に帰って、穀物の収穫を祝うお酒を作るというのは、ですから麦に戻ることになります。ベースモルトはグレンファークラス、さらにその下で基礎を固める後ろ楯はプルトニー。これらのハイランドが大麦の籾殻を炊いたような出汁となり、グレンファークラスの繊細なフラワリーテイストがボディを構成します。プルトニーの塩味は知覚できないほどの隠し味として活きています。 その上で花を咲かせるのが日本の富士山麓で、軽井沢のシェリーを上品な背景にバーボン樽のナッティなスパイスが散りばめられた味。プルトニーとグレンファークラスのピート原酒が混ざってヨードとなり、グレンファークラスと富士山麓のバーボン樽原酒がフラワリーテイストを満開にしてくれます。単純に既存の味を加算して作るのではなく、原酒の持つ要素に仕事をしてもらって乗算となるいいブレンドができました。アルコール度が44度なので少し低めですが、これなら神様に捧げても許していただけるだろうと思います。90点の出来栄え。グレンファークラスを21年物にしたら95点に載せられると思います。グレンファークラス4 : プルトニー2 : 富士山麓4
2019年10月23日
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