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2008年02月19日
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カテゴリ: 管理入院






16週で、胎児心停止となった14回目の流産(ちび)の処置の日を綴ってきました。

午前中 午後 とに分けて書いてきましたが、


これから書くのは、小さなあの子に会えた日、その瞬間です。



そして、お願いです。

これを読むと、不安になったり、
怖くなったりすると思われる方は、スルーして下さい。










子宮収縮剤を使い、子宮の収縮はピークに来ているにも係らず、
一向に、開かない子宮の一部。

運ばれて来た晩御飯も、一口も食べる事が出来ないまま、
私は、ベットに横になり、痛みに耐えていた。


助産師が、やって来て、
再度、子宮収縮剤を使うから・・・と、診察室に連れて行かれた。


そして、子宮収縮剤を入れて貰い、
これで、出てこなければ、今日は、一先ずこれで終わり、
明日の朝から、同じ作業を繰り返すと言う。

びっくりするよりも、
何を言われているのかさえわからないほど、
私は、憔悴しきっていた。



この処置の事では、病院側にも色々と配慮して貰っていた。
陣痛室には行かず、ギリギリまで病室で過ごす。
万が一、病室で出て来ることになってもそれで良いと言われていた。

陣痛室の機械や、出産の為の分娩台・・・
それが、今の私にはつらい物に写るだろうとの配慮だったと思う。


そんな中、陣痛促進剤を入れてから、
30分程経つと、少し治まって来ていた痛みが再度強くなって来た。

それを伝えると、内診室で再度内診。
そして、子宮刺激・・・


なかなか開かない子宮口は、この時4センチだと言われた。

そして、せめて8センチ開いて欲しいと・・・


夫は、どこか痛い所はないか?喉は渇かないか?と聞いて来たが、
私は、もう、喋る事さえもできずにいた。


そうして、痛みに耐えている時に、
子宮辺りに、違和感を感じた。

助産師にそれを伝えると、陣痛室に行く事になった。

私の担当助産師は、病室にいても良いと言っていたのだが・・・

陣痛室に行くと、やはりそこは、
出産への希望に満ちた部屋だった。

ピンクの壁には、赤ちゃんの写真や、
母子共に写る写真があちらこちらに貼られていた。

担当助産師が、病室で・・・と言っていた意味が良く分かった。


陣痛室に移るも、出てくるほどの開き方では無いと言われ、
陣痛室で待機となった。

この頃には

「あとどれ位掛かりますか?」

「まだですか?」

助産師の顔を見る度に、そう聞いていた。


何度かそれを聞いていた時に、
「ウ○チが、出るような感じがして来るんだけど・・・」

と、言われ、


私は、トイレに行ってみようと思いついた。

しかし、朝から殆ど食べ物が摂れていない事と、
痛みで、体力を使い切っていた為、
立ち上がった瞬間に、フラフラと倒れてしまった。

夫と、助産師に両腕を支えられながら、トイレに座り込んだ。

丁度、その時に凄い痛みが私を襲い、
トイレの中から、うめき声が聞こえると、
夫が、慌てて助産師を呼んで来ていた。

呼ばれた助産師は、すぐさまトイレのドアを開け、
「大丈夫?」と、聞いたが、私は「もう我慢できない。」とだけ答え、
トイレから、立ち上がる事も出来なくなってしまった。

情けない話、便器から立ち上がれないだけでなく、
下ろした下着さえも、自分であげる事が出来なかった。

分娩台に上がるのは、つらいだろうからと、
分娩室に、病室のベットを運んで来てくれ、
私は、そのベットに横になった。


肩で息をしながら、

もしかすると、明日へ持ち越すのかも知れない・・・

と、ボーっとする頭で考えていた。

暫くして、ダーッと生暖かいものが流れ出し私の体を濡らした。

側にいた夫に、

「破水したから、助産師さんを呼んで!」

この時間帯は、助産師も忙しい時間だったのだろう。
詰め所にも、姿が見当たらないと、
夫は、オロオロしていた。

病棟を見に行くように言い、助産師を呼んできて貰った。

間違いなく、破水だった。

しかし、まだ当直の先生が着いていないので、
我慢してと言われるが、どう我慢するのか?


取り合えず、分娩台に上がろうと言われ、

「出てきたらどうするんですか?」と、聞く私に、

「その時は、その時だから・・・」と、助産師は答え、
分娩台に上がった。


しかし、さすがに、出産の体制になるにはつらいものがあり、
私は、体を横にしたまま足を縮めて、
分娩台の上で医師が来るのを待った。

痛みに耐えるにも、その体制が良かったのもある。

側では、助産師が準備を始め、
カチャカチャと、器具を準備する音が聞こえた。

20分程して、女医が分娩室に入ってきた。

それと同時に、夫は分娩室から出され、
外で待つように言われた。


破水している事、今までの経過を助産師が報告しながら、
状態を見る為に、分娩の体制になるように言われた。

何故だか、医師を待つ間に私の痛みは引いていた。

女医が、いきみは無いの?と聞きながら、
助産師と、何やら相談していた。
多分、器具を入れて引き出そうという事の様に感じた。

そして、器具を入れた時に、

女医 「あっ、ちょっと待って・・・出て来たみたい。」

助産師「あっ、そうですね。」


暫くの間があり、
スルッと、出てくるものがあった。


女医は、出てきた瞬間に、

「今、会う。それとも、綺麗にしてからが良い?」

と、聞いて来た。

私は「今、会わせて下さい。」と、言った。

女医は、手の上に乗ったちびを私に見せてくれた。

その時に、女医の手から、ちびが少しずれて、
頭が、後ろに反った。

小さな口が開いて、口の中が見えた。

女医は「ゴメンね。」と言って、元に戻したが、

私は、ちゃんとお口も出来ていたんだなと思った。

そして、その口で、
指をしゃぶり、あくびをしていたのだと・・・

あの時、エコーでみたあの元気な姿の数々が浮かんだ。


今までの痛みも、忘れこの子に会えた事に、
微笑みすら出ている自分が不思議だった。

やっと会えた。

しかし、動かないのもまた現実で・・・

でも、その事より会えた事の方が嬉しかった。

普通に産んで、会えた時と、
多分変わらないほどの嬉しさだったと思う。

助産師が、綺麗にしてくるからとちびを連れて行った。


そして、胎盤が出てくる気配が無いとの事で、
胎盤を剥がす事になり・・・

これがまた・・・痛くて(><)
麻酔を掛けて欲しいほどだった。

ガリガリ、ガリガリ、体の中を削るかの様な音と、
引きちぎられる様な痛み・・・

痛い、痛いと喚いても、「頑張って!」としか言われない、

私が喚く中、ガリガリ、ガリガリと胎盤を剥がす作業は続いた。


やっと胎盤が剥がれた。

そして、夫が部屋に通された。

助産師が、綺麗にしてくれたちびを連れてきてくれた。

ちびを見た夫は、わぁ~と一瞬微笑んだ。

助産師が、私にちびを差し出したが、
私は、何故か触れてはいけないものの様な気がして、
夫へ渡して貰った。

夫は、ちびを受け取り、
一言、「可愛いやんけ・・・」と、
テレと悲しみが混じった言葉を出し涙した。

私もその言葉を聞いて涙が出て来たが、
泣いている場合ではないのだ。

ちびは、冷凍庫で保管して貰う事になっていたので、
洋服を着せるなら今しかない。

準備していたちびの洋服を夫と2人で着せた。


DSC00120.jpg


寒い日だった。

洋服を着せながら、ちびの体に触れる時があった。

とても、冷たく、一瞬手を引くほど・・・

この冷たさが、この子が生きていない現実を教える。

つらい現実だった。





PM9時16分。

100グラム、16センチの男の子


産声の無い静かな出産だった・・・






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最終更新日  2008年02月21日 22時55分12秒
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