電車の中でしきりにピアノの運指をなぞっている女性がいた。
昼間なので車両はガラガラで、ドア一つ隔てた斜向かいの席には他に数人の客が座っている。
かなり熱心なその様子を眺めていている自分には、バッハのオルガン曲に思えた。
単なる幻想には違いない。
左手が同じ動きを繰り返していて、バッハが好きな私には通奏低音のように低い音が鳴り響いているような気がしてきた。弾いているつもりの彼女の耳にも、その低音が響いているに違いない。
ショパンを指だけで練習するのは難しい気がするが、バッハのオルガン曲なら出来そうな感じがするでしょう。あるいはチェンバロかもしれない。
多分、先生について習ってきた帰りで、人目も気にせず思わず指が動いてしまったというところでしょうか。
見方によっては厭味な感じがしないでもないですが、自然に出た行動だと思って微笑ましく眺めていました。
昼間の電車は、こういう情景に出会ったりするので私は好きです。
短歌選にご協力頂いた皆様、本当に有難うございました。一応締め切りとさせて頂きます。
百首まで最後の詰めの作業がありますが、何とか纏めたいと思います。
まとまりましたら、発表したいと思いますのでもう少し時間を下さい。
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