初々しかった乙女はいつの間にか清純な淑女となって、いつもの道には現れなくなった。
別の場所でちらっと見かけた彼女は、随分に洗練されて見違えるほどに美しくなっていた。
おかっぱ風の髪はボブカットとなり、よくコーディネートされた服装も大人びて、その変身ぶりは蝶の変態を見るようだった。
彼女は恋をしているのだろうか。少なくとも自分に恋をしているのは間違いない。
或る日、自分の美しさに気づいて以来、毎朝鏡に向かって話しかけているに違いない。
”この世で一番美しいのは、誰?”
路傍の花を眺めるように、その娘に逢えるのをオッサンは毎日楽しみにしていた。
なのに、その花にはもうめったに会う事ができないのかも知れない。
嗚呼、諸行無常の雨が降る・・・
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